JP2007266589A - 窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体、発光素子の製造方法及び発光素子 - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体、発光素子の製造方法及び発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 窒化ガリウム系化合物半導体について、結晶欠陥を低減でき、反りが生じず、成長面に対する側面(光共振面)の垂直性が高く、さらにエッチング等の後加工によるダメージが無い、窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法及び発光素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも表面が化学式XB(但し、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体10上に、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を形成する工程と、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を部分的に除去して平面視で島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14の領域を多数形成する工程と、基体10の露出した部位を窒化する工程と、多数の島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14の領域上に、第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16を形成する工程を具備する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体、発光素子の製造方法及び発光ダイオード(LED)等の発光素子に関するものである。
化学式AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体は、AlN,GaN,InNと、AlGaN,GaInN,AlGaInN等との混晶を形成することができる。このような混晶は、その組成を選択することによりバンドギャップを変化させることができ、可視光領域から紫外光領域までの発光が可能であり、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)等の発光素子の材料として検討されており、また一部実用化が成されている。また、電界効果型トランジスタ(FET)等の電子デバイスの半導体材料としても検討されており、高出力高周波素子として期待されており、開発が進められている。
一般に、窒化ガリウム系化合物半導体の成長用基板として、結晶のC面を成長面とするサファイア基板が使われており、窒化ガリウム系化合物半導体を用いた発光素子は、窒化ガリウム系化合物半導体をエピタキシャル成長させたウエハの状態で電極の形成等のデバイスプロセスを行った後、ドライエッチング等を用いて各発光素子間を分離させ、最後にダイシング等を用いてチップ化する、という手順で作製されている。
また、半導体レーザを製造する場合には、単に半導体レーザ素子間を分離するだけでなく、窒化ガリウム系化合物半導体に光共振面を形成する必要がある。従来のGaAs系やGaAsP系の化合物半導体からなる半導体レーザは、結晶の性質上劈開性を有しており、その劈開面が半導体レーザの光共振面として利用できる。一方、窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体レーザでは、一般にサファイア基板のC面上に窒化ガリウム系化合物半導体が形成されているが、サファイア基板のC面上に作製した窒化ガリウム系化合物半導体に明確な劈開面がないために、劈開面を光共振面とすることは難しいという問題点がある。
そこで、特許文献1に記載されているように、窒化物半導体について、反応性イオンエッチング等のドライエッチングにより端面のエッチングを行い、光共振面を形成する方法が提案されている。
特開平8−191171号公報
しかし、サファイア基板のC面とGaNでは、格子不整合が13.8%、熱膨張係数の差が3.2×10−6/Kあり、これらの違いに起因して窒化ガリウム系化合物半導体層には1×10〜1×1010cm−2もの転位が生じ、また窒化ガリウム系化合物半導体層に反りが生じるという問題点がある。
また、ドライエッチングによる発光素子の分離や光共振面の作製は、工程が複雑になるだけでなく、エッチング時に発光素子自体にダメージを与え、発光特性、及び耐久性等その他の特性を劣化させるという問題点がある。
従って、本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、窒化ガリウム系化合物半導体について、結晶欠陥を低減することができ、反りが生じないだけでなく、成長面に対する側面(光共振面となる面)の垂直性が高く、さらにエッチング等の後加工によるダメージが無い、窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法及び発光素子の製造方法を提供することにある。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は、少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体上に、化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成する工程と、前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を部分的に除去して平面視で島状の前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層の領域を多数形成する工程と、前記基体の露出した部位を窒化する工程と、前記多数の島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層の領域上に、化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成する工程を具備したことを特徴とするものである。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、前記基体は、前記二硼化物単結晶から成る基板であることを特徴とするものである。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、前記基体は、前記二硼化物単結晶から成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、前記基体は、シリコン(Si),サファイア(Al23),炭化珪素(SiC),窒化ガリウム(GaN),スピネル(MgAl24),酸化亜鉛(ZnO),燐化ガリウム(GaP),砒化ガリウム(GaAs),酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(MnO2)またはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を部分的に除去する際にドライエッチング法によって除去することを特徴とするものである。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体は、上記本発明の製造方法によって製造された窒化ガリウム系化合物半導体であって、少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体と、前記基体上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を具備していることを特徴とするものである。
また、本発明の発光素子の製造方法は、上記本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された多数の島状の窒化ガリウム系化合物半導体の領域上に所定の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成して多数の発光素子用の半導体層領域を形成し、次に前記二硼化物単結晶から成る基板を前記領域以外の部位において分割することによって前記半導体層領域を個々に分離することを特徴とするものである。
また、本発明の発光素子は、上記本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、前記二硼化物単結晶から成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成された基体と、前記基体上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層、及び前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を有する第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層と、前記発光層上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層を具備していることを特徴とするものである。
また、本発明の発光素子は、上記本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、シリコン(Si),サファイア(Al23),炭化珪素(SiC),窒化ガリウム(GaN),スピネル(MgAl24),酸化亜鉛(ZnO),燐化ガリウム(GaP),砒化ガリウム(GaAs),酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(MnO2)またはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成された基体と、前記基板上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層、及び前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を有する第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層と、前記発光層上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層を具備していることを特徴とするものである。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は、少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体上に、化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成する工程と、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を部分的に除去して平面視で島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層の領域を多数形成する工程と、基体の露出した部位を窒化する工程と、多数の島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層の領域上に、化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成する工程を具備したことから、二硼化物単結晶から成る基体上に、第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を横方向において不連続な層として成長させることができるため、従来のように横方向において連続した面状の層(いわゆる「べたの層」あるいは「面状の層」)を成長させる場合と比較して、基体の反りが抑制できる。
また、基体の一主面の露出した部位を窒化させると、形成された窒化膜は多結晶やアモルファスが混在している状態であるため、窒化膜上への第2の窒化ガリウム系化合物半導体の成長は阻害され、第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層からなる島状の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成することができる。
また、基体として、ZrB単結晶からなるものを使用すれば、窒化ガリウム系化合物半導体としてのGaNとの格子不整合は0.57%、熱膨張係数差も2.7×10−6/Kと小さいため、二硼化物単結晶基板と窒化ガリウム系化合物半導体との整合性が高くなり、結晶欠陥の少ない窒化ガリウム系化合物半導体層を得ることができる。
また、少なくとも基体の表面が二硼化物単結晶から成る、例えば基体の表面に二硼化物単結晶の膜が形成されていることにより、基体の表面が極性(Ga極性,N極性)を制御された窒化ガリウム系化合物半導体のエピタキシャル成長をするための成長表面としての働きをするため、基体の表面と窒化ガリウム系化合物半導体との格子整合が取れる。その結果、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体を得ることができる。
さらに、基体の表面に二硼化物単結晶からなる膜を形成した場合、その膜を電極として用いることができる。この場合、第1導電型窒化ガリウム系化合物半導体層、発光層、第2導電型窒化ガリウム系化合物半導体層を有する発光素子において、発光層を挟んだ両側に電極を配置することが可能となる。そのため、発光素子の電流分布が均一になるとともに発光層からの発光分布も均一となり、発光特性の良好な発光素子を作製することが可能となる。
また、基体として二硼化物単結晶から成る基板を用いて窒化ガリウム系化合物半導体を形成する場合、基体の表面に形成された自然酸化膜を除去するために、基体の前処理工程が複数必要であるが、これと比較して、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法においては、基体の表面に二硼化物単結晶から成る膜を形成する場合、膜の形成に引き続いて窒化ガリウム系化合物半導体を成長させることができるため、基体の表面の前処理工程を複数必要としない。その結果、製造工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。即ち、基体の表面の前処理工程を複数行わなくても、窒化ガリウム系化合物半導体の成長に必要な清浄な基体の表面を得ることができる。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、基体が二硼化物単結晶から成る基板であることにより、その基板の表面に二硼化物単結晶から成る膜をホモエピタキシャル成長により良好に形成することができる。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、基体は、二硼化物単結晶から成る基板の表面に二硼化物単結晶から成る膜が形成されていることにより、二硼化物単結晶から成る膜が、極性制御された窒化ガリウム系化合物半導体のエピタキシャル成長をするための成長表面として機能するため、基体と窒化ガリウム系化合物半導体との格子整合が取れ、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体を得ることができる。
また、従来、二硼化物単結晶から成る基板は、大気中に曝されると表面に自然酸化膜が容易に形成されてしまい、その状態で窒化ガリウム系化合物半導体を形成した場合には、十分に格子整合性が良好な窒化ガリウム系化合物半導体が形成され難かった。これに対して、本願発明のように、二硼化物単結晶から成る基板の表面に二硼化物単結晶から成る膜すると、成膜装置内でその膜を形成した後に連続的に窒化ガリウム系化合物半導体を形成できるため、膜の表面には自然酸化膜が形成されない。従って、基体上に格子整合性が高い窒化ガリウム系化合物半導体を形成することができる。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、基板は、シリコン(Si),サファイア(Al23),炭化珪素(SiC),窒化ガリウム(GaN),スピネル(MgAl24),酸化亜鉛(ZnO),燐化ガリウム(GaP),砒化ガリウム(GaAs),酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(MnO2)またはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成ることから、二硼化物単結晶から成る膜が、極性制御された窒化ガリウム系化合物半導体のエピタキシャル成長をするための成長表面として機能するため、上記の種々の基板を用いても、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体を得ることができる。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は好ましくは、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を部分的に除去する際にドライエッチング法によって除去することから、任意の形状に垂直性良く形成できるという作用効果を有する。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体は、少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体と、基体上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層と、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層とを具備していることにより、基体の一主面の露出した部位を窒化させると、形成された窒化膜は多結晶やアモルファスが混在している状態であるため、窒化膜上への第2の窒化ガリウム系化合物半導体の成長は阻害され、第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層からなる島状の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成することができる。その結果、基体上に、第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を横方向において不連続な層として成長させることができるため、従来のように横方向において連続した面状の層(いわゆる「べたの層」あるいは「面状の層」)を成長させる場合と比較して、基体の反りを抑制できる。従って、歪の小さい窒化ガリウム系化合物半導体を形成することができる。
本発明の発光素子の製造方法は、上記の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された多数の島状の窒化ガリウム系化合物半導体の領域上に所定の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成して多数の発光素子用の半導体層領域を形成し、次に二硼化物単結晶基板を前記領域以外の部位において分割することによって半導体層領域を個々に分離することから、発光素子用の半導体層を成長し終わった時点で1チップサイズの柱状のエピタキシャル層が形成されているため、従来のように、デバイスプロセス後にドライエッチング等で発光素子に分離する必要がなく、二硼化物単結晶基板をダイシング等で分割することのみでチップサイズの発光素子が得られる。
また、得られた発光素子は、ドライエッチング等による発光素子分離によって得られたものではなく、ドライエッチング等によるダメージが無いので、発光素子の特性が劣化していないものとなる。
また、各発光素子の側面は、二硼化物単結晶基板の成長面に対して垂直性の優れた面となっているため、ドライエッチング等の後加工を施さなくとも、半導体レーザの光共振面として使用することができる。
また、二硼化物単結晶基板は容易に酸でウェットエッチングできるため、ウェットエッチングの際に電極部分さえ耐酸性のエレクトロンワックス等で覆えばよく、二硼化物単結晶基板をエッチングするだけでチップ化することもできる。
本発明の発光素子は、上記の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、二硼化物単結晶から成る基板の表面に二硼化物単結晶から成る膜が形成された基体と、基体上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層、及び前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層が積層された第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層と、第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層と、発光層上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層を具備していることにより、製造の際に、基体の表面に形成された自然酸化膜を除去する前処理工程を複数必要とせず、工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。即ち、基体の前処理工程を複数行わなくても窒化ガリウム系化合物半導体の成長に必要な清浄な基体の表面を得ることができるため、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光効率の高い発光素子が得られる。
本発明の発光素子は、上記の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、シリコン(Si),サファイア(Al23),炭化珪素(SiC),窒化ガリウム(GaN),スピネル(MgAl24),酸化亜鉛(ZnO),燐化ガリウム(GaP),砒化ガリウム(GaAs),酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(MnO2)またはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成る基板の表面に二硼化物単結晶から成る膜が形成された基体と、基板上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層、及び第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層が積層された第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層と、第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層と、発光層上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層とを具備していることにより、二硼化物単結晶から成る膜が、極性制御された窒化ガリウム系化合物半導体のエピタキシャル成長をするための成長表面として機能するため、上記の種々の基板を用いても、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体から構成された発光効率の高い発光素子を得ることができる。
以下、図面に基づいて本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法、及び発光素子の製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更、改良等を施すことは何ら差し支えない。
図1(a)〜(d)は、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法について実施の形態の一例を示す工程毎の模式的な縦断面図である。
図2(a)〜(d)は、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法について実施の形態の他例を示す工程毎の模式的な縦断面図である。
また、図3は本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子について実施の形態の一例を示す模式的な縦断面図である。
これらの図において、10は少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体、11は二硼化物単結晶から成る基板、12はバッファ層、13は二硼化物単結晶から成る膜、14は第1の窒化ガリウム系化合物半導体層、15は窒化膜、16は第2の窒化ガリウム系化合物半導体層、17は第1導電型(例えばn型)窒化ガリウム系化合物半導体層である。また、18は発光層、19は第2導電型(例えばp型)窒化ガリウム系化合物半導体層、20はp型窒化ガリウム系化合物半導体層19とオーミック接触するp型電極、21は二硼化物単結晶から成る基板11の他主面(図2では下面)に形成した基板側電極である。
なお、図2においては、第1導電型をn型、第2導電型をp型としているが、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は、図1に示すように、少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体10上に、化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を形成する工程と、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を部分的に除去して平面視で島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14の領域を多数形成する工程と、基体10の露出した部位を窒化する工程と、多数の島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14の領域上に、化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16を形成する工程を具備した構成である。
これにより、基体10上に、第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層14,16を横方向において不連続な層として成長させることができるため、基体10の反りが抑制できる。また、基体10の一主面の露出した部位を窒化させると、形成された窒化膜は多結晶やアモルファスが混在している状態であるため、窒化膜上への第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16の成長は阻害され、第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層14,16からなる島状の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成することができる。
また、化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14は、具体的には、GaN層やAl0.24Ga0.76N層等である。
化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16は、具体的には、GaN層、In0.02Ga0.98N層等である。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は、図1に示すように、上記の製造方法において好ましくは、基体10は、二硼化物単結晶から成る基板11である。基体10は、化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基板11であり、例えばTiB単結晶から成る基板、ZrB単結晶から成る基板、またはTiを含むZrB単結晶からなる基板等であるが、窒化ガリウム系化合物半導体との高い格子整合性、小さい熱膨張係数差の点で、ZrB単結晶から成る基板であることが好ましい。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法は、図2に示すように、上記の製造方法において好ましくは、基体10は、二硼化物単結晶から成る基板11の表面に二硼化物単結晶から成る膜13が形成されている。基体10の表面は、XB(ただし、XはZr及びTiの少なくとも1種を含む。)から成る二硼化物単結晶から成る膜13であり、例えば硼化ジルコニウム(ZrB)膜である。硼化ジルコニウムから成る膜は、窒化ガリウム系化合物半導体との格子整合性に優れ、熱膨張係数差も小さいため、結晶性に優れた高品質の窒化ガリウム系化合物半導体を形成することができる。
基体10が、二硼化物単結晶から成る基板11の表面に二硼化物単結晶から成る膜13が形成されている場合、基板11の厚みは100μm〜500μm程度がよい。100μm未満では、基板11のハンドリング時に割れが発生しやすい。500μmを超えると、二硼化物単結晶のインゴットからの基板11の取れ数が減少し、生産性が低下する。また、この場合、窒化ガリウム系化合物半導体を形成した後に、基板11をエッチング法等によって除去することもできる。
二硼化物単結晶から成る膜13を形成する基板11は、シリコン(Si),サファイア(Al23),炭化珪素(SiC),窒化ガリウム(GaN),スピネル(MgAl24),酸化亜鉛(ZnO),燐化ガリウム(GaP),砒化ガリウム(GaAs),酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(MnO2),イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等から選択することができる。これらの種々の基体10を用いても、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体を得ることができる。
二硼化物単結晶から成る膜13の厚みは20nm〜200nmがよい。20nm未満では、膜13の窒化ガリウム系化合物半導体層の積層方向と垂直な方向の電気抵抗が高くなるだけでなく、窒化ガリウム系化合物半導体層と良好なオーミック接触が形成でき難くなる。200nmを超えると、膜13の成長に要する時間が長くなり、生産性が低下する。
膜13を形成する基板11がシリコン等から成る場合、基板11の厚みは100μm〜500μm程度がよい。100μm未満では、基板11のハンドリング時に割れが発生しやすい。500μmを超えると、シリコン等のインゴットからの基板11の取れ数が減少し、生産性が低下する。また、この場合、窒化ガリウム系化合物半導体を形成した後に、基板11をエッチング法、研削法等によって除去することもできる。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体は、上記の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された窒化ガリウム系化合物半導体であって、少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体10と、基体10上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14と、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16とを具備した構成である。
この構成により、基体10の表面の露出した部位を窒化させると、形成された窒化膜15は多結晶やアモルファスが混在している状態であるため、窒化膜15上への第2の窒化ガリウム系化合物半導体16の成長は阻害され、第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層14,16からなる島状の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成することができる。
また、本発明の発光素子の製造方法は、上記の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された多数の島状の窒化ガリウム系化合物半導体の領域上に所定の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成して多数の発光素子用の半導体層領域を形成し、次に二硼化物単結晶から成る基板11を前記領域以外の部位において分割することによって半導体層領域を個々に分離する構成である。
また、図3に示すように、本発明の発光素子は、上記の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、二硼化物単結晶から成る基板11の表面に二硼化物単結晶から成る膜13が形成された基体10と、基体10上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14、及び第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上14に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16を有する第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層17と、第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層17上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層18と、発光層18上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層19を具備した構成である。
この構成により、基体10の表面に形成された自然酸化膜を除去する前処理工程を複数必要とせず、製造工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。また、基体10の前処理工程を複数行わなくても窒化ガリウム系化合物半導体の成長に必要な清浄な基体10の表面を得ることができるため、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体から構成された発光効率の高い発光素子が得られる。
また、本発明の発光素子は、上記の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、シリコン(Si),サファイア(Al23),炭化珪素(SiC),窒化ガリウム(GaN),スピネル(MgAl24),酸化亜鉛(ZnO),燐化ガリウム(GaP),砒化ガリウム(GaAs),酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(MnO2)またはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成る基板11の表面に二硼化物単結晶から成る膜13が形成された基体10と、基体10上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14、及び第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上14に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16を有する第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層17と、第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層17上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層18と、発光層18上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層19を具備した構成である。
この構成により、二硼化物単結晶から成る膜13が、極性制御された窒化ガリウム系化合物半導体のエピタキシャル成長をするための成長表面として機能するため、上記の種々の基板11を用いても、高品質、低転位の窒化ガリウム系化合物半導体から構成された発光効率の高い発光素子を得ることができる。即ち、基板11の選択の自由度が大きくなるため、発光素子をより低コストに製造することができる。
図3に示す本発明の発光素子の製造方法に関する実施の形態の一例において、好ましくは二硼化物単結晶から成る基板11としてZrB単結晶からなるものを使用するが、ZrB単結晶の結晶性また格子定数が大きく変化しない程度に他の不純物(Ti,Mg,Al,Hf等)を含んでいても構わない。ZrB単結晶の格子定数はa=3.170Åであり、ウルツァイト構造のGaNの格子定数a=3.189Åとの格子不整合は0.57%、熱膨張係数差も2.7×10−6/Kであるため、整合性が高く、転位の少ない窒化ガリウム系化合物半導体を成長させることが出来る。また、窒化ガリウム系化合物半導体層であるAl0.24Ga0.76Nの格子定数はa=3.170Åであり、ZrB単結晶の格子定数と極めて良い格子整合性を持つ。また、ZrB単結晶基板は、(0001)面(C面)を一方主面(成長面)とするのが好ましい。
また、バッファ層12は、窒化ガリウム系化合物半導体と二硼化物単結晶から成る基板11との格子定数や熱膨張係数が近い場合は必ずしも形成する必要はないが、例えばバッファ層12としてGaN,AlN,これらの混晶であるAlGaN等を、400℃〜800℃の成長温度で成長させる。
バッファ層12の形成後に、基板11の温度を900〜1200℃に昇温し、例えば硼素(B)及びジルコニウム(Zr)の化合物原料から成る原料、例えばテトラヒドロボレートジルコニウム(Zr(BH4)4)を加熱することにより、基板11の一主面(成長面)に、硼素(B)及びジルコニウム(Zr)を供給し、硼化ジルコニウムから成る膜13を、20〜200nm程度の厚みで成長させる(図1の工程(a))。この工程(a)は10分程度実施される。この工程(a)により、二硼化物単結晶から成る膜13をホモエピタキシャル成長により良好に形成することができる。この場合、二硼化物単結晶から成る膜13を真空中で形成した後、その膜13は、窒化ガリウム系化合物半導体を形成するまで真空中に置かれると良い。そうすると、二硼化物単結晶から成る基板11の表面に比べて二硼化物単結晶から成る膜13の表面に含まれる酸素の量を少なくすることができ、Ga1−x3−y3Alx3Iny3N単結晶層(0≦x3≦1,0≦y3<0.1,0<x3+y3≦1)を良好に形成することができるからである。
Ga1−x3−y3Alx3Iny3N単結晶層(0≦x3≦1,0≦y3<0.1,0<x3+y3≦1)は、その上に形成される窒化ガリウム系化合物半導体層の極性をGa極性とすることができる、極性制御層である。
二硼化物ジルコニウムから成る膜13の形成後に、成長温度を800〜1100℃に温度を保持した状態で、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を形成する。この成長方法としては、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、パルスレーザデポジション(PLD)法等が挙げられる。
その後、レジストをマスクとしてパターニングしておき、反応性イオンエッチング(RIE)等によるドライエッチングによって、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を部分的に除去することで、平面視で島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14が形成される。レジストマスクのパターニングは、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を部分的に除去した後に、平面視で四角形の島状になるように作製する。四角形の辺は、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14の<1−100>方向と<11−20>方向に平行になるように形成することが好ましい。
ドライエッチングの際、特にエッチングの深さは限定されないが、レジストマスクに覆われていない部分の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14が完全に除去できていれば良い。即ち、ZrB単結晶等の二硼化物単結晶から成る基板11は、レジストマスクに覆われていない部分の表面が露出しているだけでもよく、または製造プロセスにおける取り扱い時に二硼化物単結晶から成る基板11の機械的強度が保持できるように、支障が無い程度の範囲の深さまで、二硼化物単結晶から成る基板11のレジストマスクに覆われていない部分がエッチングされていても構わない。
また、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14を部分的に除去した後、二硼化物単結晶から成る基板11のレジストマスクに覆われていない部分を新たに選択的にウェットエッチングして、二硼化物単結晶から成る基板11のレジストマスクに覆われていない部分に溝を形成しても構わない。
上記エッチング工程の後、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14上に残ったレジストマスクを除去した後、二硼化物単結晶から成る基板10の表面が露出している部位のみに窒化膜15を形成する。窒化膜15は、アンモニアガス等の窒素源を含む雰囲気中で熱処理することで得られる。例えば、MOCVD法を利用する場合、水素とアンモニアガスの混合雰囲気において1000℃〜1200℃で30分程度熱処理を行うことによって得られる。
また、窒化膜15は具体的には、ZrBNであり、厚みは10〜50nm程度である。
次に、第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16を成長させる。このとき、窒化膜15は多結晶やアモルファスが混在している状態であるため、窒化膜15上への第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16の成長は阻害される。その結果、第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16は、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14上に選択的に形成され、第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16の側面は、二硼化物単結晶から成る基板11の成長面との垂直性が高く、かつ平坦性の良いものとなる。
そして、この第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16上に、所定の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成して発光素子用の半導体層領域を形成すると、その状態で個々の発光素子の分離ができるため、従来のように半導体層の成長終了後にドライエッチング等で後加工する必要が無い。また、第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16の側面にはある特定の結晶面が現れており、発光素子が半導体レーザである場合には、この面を後加工せずとも光共振器として使用できる。
また、図3の例では、第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層17はn型であり、シリコン(Si)等が不純物元素として添加されているが、一層である必要はなく、その上にAlGaN層やInGaN層が形成されていても良い。また、n型の窒化ガリウム系化合物半導体層17上に、光の取り出し効率を高めるために、DBR(Distributed Bragg Reflector)と言われる屈折率の異なる2つの層を交互に積層した光透過層を形成してもよい。
また発光層(活性層)18は、禁制帯幅の広い障壁層と禁制帯幅の狭い井戸層とから成る量子井戸構造が複数回繰り返し規則的に積層された多層量子井戸構造(MQW:Multi Quantum Well)としている(図示せず)。その構成は、AlN,GaN,InNまたはそれらの混晶の層からなるとともに、発光波長により適宜組み合わせて形成される。例えば、井戸層としてInx4Ga1−x4N、障壁層としてIny4Ga1−y4N(ただし、x4>y4≧0)等を用いた組み合わせが可能である。
発光層18の形成温度は、インジウム(In)の組成比にもよるが、700℃〜900℃である。また、障壁層の厚みは5〜15nm、井戸層の厚みは3〜10nmであり、さらに量子井戸構造の繰返し数は3〜5回が用いられるが、その値に特に限定されるものではない。
さらに、発光層18上に形成される第2導電型(p型)窒化ガリウム系化合物半導体層19は、AlGaN層,GaN層等の複数の層からなっている(図示せず)。p型窒化ガリウム系化合物半導体層19は、p型不純物元素として、マグネシウム(Mg),亜鉛(Zn)等が添加されている。
また、p型窒化ガリウム系化合物半導体層19上に形成されたp型電極20は、p型窒化ガリウム系化合物半導体層19に良好なオーミック接触をとることができる材質、例えばニッケル(Ni)薄膜、金(Au)薄膜等を積層した積層構造等とすればよい。
さらに、p型電極20の材料は、発光素子の発光層18で生じた光の取り出し方向によって、光反射性の材質、光透過性の材質を適宜選択することが可能である。例えば、光をp型窒化ガリウム系化合物半導体層19の側に取り出す場合、p型電極20としてNi薄膜、Au薄膜を順次積層してなる透明電極を用いるのがよい。また、光を二硼化物単結晶から成る基板11側に取り出す場合、p型電極20として、光反射性の良好な材質、例えば銀(Ag),アルミニウム(Al),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd)等の薄膜からなるものを好適に用いることができる。
また、光をp型窒化ガリウム系化合物半導体層19側に取り出す場合、二硼化物単結晶から成る基板11の他方主面に基板側電極21を形成し、半導体層領域以外の部位、図3の例では窒化膜15が形成された凹状部を、ダイシング等で分断しチップ化すればよい。
また、p型電極20を光反射性電極として、光を二硼化物単結晶から成る基板10側に取り出すとともに、p型電極20を外部の実装基板の配線導体等に導体バンプ等で電気的に接続するフリップチップ構造を採用する場合には、耐酸性のエレクトロンワックス等の保護膜で発光素子の表面を覆ってから二硼化物単結晶から成る基板11を酸で化学的にエッチングし除去すればよい。
図1に示す本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法の実施例について以下に説明する。
二硼化物単結晶から成る基板11として、ZrB単結晶からなるものを用い、その(0001)面(C面)を窒化ガリウム系化合物半導体の成長面とし、MOCVD法により、成長温度600℃でトリメチルアルミニウム(TMA;Al(CH)、トリメチルガリウム(TMG;Ga(CH)及びアンモニアガスを原料として、Al0.26Ga0.74Nからなるバッファ層12を20nmの厚さまで成長させた。
その後、二硼化物単結晶から成る基板11の温度を1100℃まで上昇させ、TMGとアンモニアガスを原料とし、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14としてGaN層を2μmの厚みまで成長させた。
次にフォトリソグラフィによって、200μm×400μmの大きさの四角形のレジストマスクパターンを、長辺を<1−100>方向と平行に、短辺を<11−20>方向と平行にして、作製した。レジストパターン同士の間隔は3μmとした。
次に、反応性イオンエッチング(RIE)装置でClガスを用いてドライエッチングを行い、二硼化物単結晶から成る基板11のレジストマスク以外の部分の表面が露出するまでエッチングした後、レジストマスクを除去した。
エッチング処理を行った二硼化物単結晶から成る基板11を、再度MOCVD装置に入れ、水素とアンモニアの混合雰囲気中で温度1150℃に30分保って熱処理を行い、二硼化物単結晶から成る基板11の表面に窒化膜15を20nmの厚みで形成した。
その後、成長温度を1050℃まで上昇させ、再び結晶成長を行い、第2の窒化ガリウム系化合物半導体層16としてGaN層を成長させた。このGaN層は、n型不純物原料としてシランガス(SiH)を用い、0.5μmの厚さまで成長させた。
このサンプルの走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって得られた断面図(断面写真)を図4(a),(b)に示す。二硼化物単結晶から成る基板11の成長面に対して側面の垂直性が優れた第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層14,16が得られており、従来のようにドライエッチングで作製したものよりも側面の平坦性が優れたものとなっているため、この側面を後加工をせずともそのまま半導体レーザの光共振面として使用できる。
これにより、二硼化物単結晶から成る基板の成長面との垂直性が高い側面が得られ、後加工によるダメージが無い窒化ガリウム系化合物半導体層を得ることができる。
図2に示す本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法の実施例2について以下に説明する。
二硼化物単結晶から成る基板11として、ZrB単結晶からなるものを用い、基板11の温度を1000℃まで上昇させ、テトラヒドロボレートジルコニウム(Zr(BH4)4)を原料とし、厚み100nmのZrBから成る膜13を形成した。その上にMOCVD法により、成長温度600℃でトリメチルアルミニウム(TMA;Al(CH)、トリメチルガリウム(TMG;Ga(CH)及びアンモニアガスを原料として、Al0.26Ga0.74Nからなるバッファ層12を20nmの厚さまで成長させた。
次に、二硼化物単結晶から成る基板11の温度を1100℃まで上昇させ、TMGとアンモニアガスを原料とし、第1の窒化ガリウム系化合物半導体層14としてGaN層を2μmの厚みまで成長させた。
その後の工程は上記実施例1と同様に行った。
本実施例2においても、二硼化物単結晶から成る基板11の成長面に対して側面の垂直性が優れた第1及び第2の窒化ガリウム系化合物半導体層14,16が得られた。
また、基板11として、表面に自然酸化膜が形成されたものを用いることができた。即ち、基板11を大気中で長期間保管した後であっても、基板11の表面に膜13を形成することにより、窒化ガリウム系化合物半導体成長用の清浄な基板として使用することができるので、基板11の保管に特殊な設備が不要となり、低コストに量産性良く窒化ガリウム系化合物半導体を製造することができた。
(a)〜(d)は、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法についての実施の形態の一例を示す工程毎の模式的な縦断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法についての実施の形態の他例を示す工程毎の模式的な縦断面図である。 本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法による発光素子の製造方法について実施の形態の一例を示し、二硼化物単結晶から成る基板上に形成された多数の発光素子の模式的な縦断面図である。 (a),(b)は、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって作製した窒化ガリウム系化合物半導体のSEMによる断面図(断面写真)及びその要部拡大断面図である。
符号の説明
10・・・少なくとも表面が二硼化物単結晶から成る基体
11・・・二硼化物単結晶から成る基板
12・・・バッファ層
13・・・二硼化物単結晶から成る膜
14・・・第1の窒化ガリウム系化合物半導体層
15・・・窒化膜
16・・・第2の窒化ガリウム系化合物半導体層
17・・・第1導電型(n型)窒化ガリウム系化合物半導体層
18・・・発光層
19・・・第2導電型(p型)窒化ガリウム系化合物半導体層
20・・・p型電極
21・・・基板側電極

Claims (9)

  1. 少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体上に、化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成する工程と、前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を部分的に除去して平面視で島状の前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層の領域を多数形成する工程と、前記基体の露出した部位を窒化する工程と、前記多数の島状の第1の窒化ガリウム系化合物半導体層の領域上に、化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成する工程を具備したことを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法。
  2. 前記基体は、前記二硼化物単結晶から成る基板であることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法。
  3. 前記基体は、前記二硼化物単結晶から成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法。
  4. 前記基体は、シリコン,サファイア,炭化珪素,窒化ガリウム,スピネル,酸化亜鉛,燐化ガリウム,砒化ガリウム,酸化マグネシウム,酸化マンガンまたはイットリア安定化ジルコニアから成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法。
  5. 前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を部分的に除去する際にドライエッチング法によって除去することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された窒化ガリウム系化合物半導体であって、少なくとも表面が化学式XB(ただし、XはTi及びZrの少なくとも1種を含む。)で表される二硼化物単結晶から成る基体と、前記基体上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を具備していることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体。
  7. 請求項1乃至5のいずれか記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された多数の島状の窒化ガリウム系化合物半導体の領域上に所定の窒化ガリウム系化合物半導体層を形成して多数の発光素子用の半導体層領域を形成し、次に前記二硼化物単結晶から成る基板を前記領域以外の部位において分割することによって前記半導体層領域を個々に分離することを特徴とする発光素子の製造方法。
  8. 請求項7記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、前記二硼化物単結晶から成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成された基体と、前記基体上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層、及び前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を有する第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層と、前記発光層上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層を具備していることを特徴とする発光素子。
  9. 請求項7記載の窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法によって製造された発光素子であって、シリコン,サファイア,炭化珪素,窒化ガリウム,スピネル,酸化亜鉛,燐化ガリウム,砒化ガリウム,酸化マグネシウム,酸化マンガンまたはイットリア安定化ジルコニアから成る基板の表面に前記二硼化物単結晶から成る膜が形成された基体と、前記基板上に形成された化学式Alx1Gay1In1−x1−y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,0≦x1+y1≦1)で表される第1の窒化ガリウム系化合物半導体層、及び前記第1の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された化学式Alx2Gay2In1−x2−y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,0≦x2+y2≦1)で表される第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を有する第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第1導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層と、前記発光層上に形成された第2導電型の窒化ガリウム系化合物半導体層を具備していることを特徴とする発光素子。
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