JP2007262075A - ガルドスチャンネル拮抗物質 - Google Patents

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Abstract

【課題】カリウムフラックスの新規阻害因子を提供すること。
【解決手段】下式(1)で示されるフェニルアセトアミド化合物。
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは0及び1から選択され、m、n及びpの少なくとも1つが1である。m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフッ素は、アセトアミド置換基に対してオルト、メタ及びパラの中から選択される位置に存在し、環3の置換基は、オルト及びパラから選択される位置にあり、そしてpが0、mが1でnが1であるときには、環1のフッ素はアセトアミド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、オルト及びパラから選択される位置にある]
【選択図】なし

Description

本願は、その開示があらゆる目的のために参照してここに組み込まれる、19
99年3月24日に提出された米国特許仮出願通し番号第60/135,511
号に対する優先権を主張するものである。
本発明は、赤血球のCa2+活性化カリウムチャンネル(ガルドスチャンネル
)の特異的で強力且つ安全な阻害因子である有機化合物に関する。より特定する
と、本発明は、インビトロで生物学的媒質中での分解に対して著しく増強された
抵抗性を示し、フッ素化されていない同族化合物に比べて長いインビボ半減期を
有するフッ素置換トリアリールメタンベースの阻害因子に関する。
鎌状赤血球症は数世紀前から西アフリカにおいて認めれてきた。鎌状赤血球貧
血と鎌状赤血球ヘモグロビン(Hb S)の存在は、分子レベルで理解された最
初の遺伝病であった。今日では、βグロビン鎖の第6番目のグリシンがバリンで
置換されたことの形態学的及び臨床的結果として認識されている(Ingram
,Nature 178:792‐794(1956))。アミノ酸の変化及び
疾患状態の由来は、1個のヌクレオチド置換の結果である(Marotta他、
J.Biol.Chem.252:5040‐5053(1977))。
鎌状赤血球症に罹患した患者の罹病及び死亡の主たる原因は、急性及び慢性形
態の疼痛エピソードを繰り返し生じさせ、同時に時間の経過と共に進行する器官
損傷を引き起こす、鎌状赤血球によってもたらされる血管閉塞である。完全な脱
酸素下での鎌状赤血球の変形とゆがみが、鎌状赤血球ヘモグロビン、ヘモグロビ
ンS(Hb S)の重合と細胞内ゲル化によって引き起こされることは長く認め
られ、受け入れられてきた。この現象はEaston他、Blood 70:1
245(1987)によって詳しく検討され、論じられている。Hb Sの細胞
内ゲル化と重合は、赤血球が血管系を通って移動する間のいずれの時点でも起こ
りうる。それ故、重合していないヘモグロビンSを含む鎌状赤血球症の患者にお
ける赤血球は、鎌状赤血球化することなく微小循環を通過して肺に戻ってくる場
合もあり、また静脈内で鎌状赤血球化したり、あるいは毛細管において鎌状赤血
球化することもある。
これらの事象の各々の確率は、適切な毛細管通過時間に比した細胞内ゲル化の
遅延時間によって決定される(Eaton他、Blood 47:621(19
76))。次に、遅延時間は、遅延時間を短縮させる脱酸素化と共に、ヘモグロ
ビンの酸素化状態に依存する。熱力学的に細胞内ゲル化が不可能である場合、あ
るいは静脈酸素圧の遅延時間が約15秒より長い場合には、細胞の鎌状赤血球化
は起こらない。遅延時間が約1秒から15秒の間の場合には赤血球は静脈内で鎌
状赤血球化し得る。遅延時間が約1秒未満であれば、赤血球は毛細管内で鎌状赤
血球化する。
毛細管内で鎌状赤血球化した赤血球に関しては、その結果としていくつもの事
象が起こりうる。それらは、通過時間に全く作用を及ぼさない場合から、毛細管
の一過性の閉塞、最終的に虚血あるいは周辺細胞の梗塞をもたらし、それに続く
赤血球の破壊を生じさせる、より持続的な遮断までの範囲にわたる。
正常な赤血球は約70%の水分を含む。水はミリ秒で正常な赤血球膜を通過す
る。細胞の水分損失は、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)が約32g/
dl以上に上昇すると細胞質粘度の指数上昇を引き起こす。細胞質粘度は赤血球
の変形性と鎌状赤血球化の主要な決定因子であるので、赤血球の脱水は実質的な
レオロジー及び病理学的影響をもたらす。赤血球脱水の調節は鎌状赤血球症を治
療するための重要な治療アプローチとして認識されている。細胞の水分は細胞内
イオン濃度の浸透圧変化に従うので、赤血球のカリウム濃度を維持することは特
に重要である(Stuart他、Brit.J.Haematol.69:1‐
4(1988))。
脱水した鎌状赤血球を治療する(すなわち血漿のオスモル濃度を低下させるこ
とによってヘモグロビンSの重合を減少させる)ために、次のものを含めて多く
のアプローチが試みられてきたが、限られた成功しか収めていない:蒸留水の静
脈内注入(Gye他、Am.J.Med.Sci.266:267‐277(1
973));大量の水分摂取と塩分制限を伴う抗利尿ホルモン、バソプレシンの
投与(Rosa他、M.Eng.J.Med.303:1138‐1143(1
980));Charache他、Blood 58:892‐896(198
1);鎌状赤血球の陽イオン含量を高めるためのモネンシンの使用(Clark
他、J.Clin.Invest.70:1074‐1080(1982);F
ahim他、Life Sciences 29:1959‐1966(198
1));クエン酸セチジル(cetiedil)の静脈内投与(Benjami
n他、Blood 67:1442‐1447(1986));Berkowi
tz他、Am.J.Hematol.17:217‐223(1984));S
tuart他、J.Clin.Pathol.40:1182‐1186(19
87));及びオクスペンチフィリン(oxpentifylline)の使用
(Stuart他、前出)。
脱水鎌状赤血球を治療するもうひとつのアプローチは、カルシウム依存性カリ
ウムチャンネルを標的することにより、赤血球のカリウムフラックスを変化させ
ることを含む(Ishi他、Proc.Natl.Acad.Sci.,94(
21):11651‐6(1997)。このカルシウム活性化カリウムチャンネ
ルはガルドスチャンネルとも称される(Brugnara他、J.Clin.I
nvest.92:520‐526(1993))。最近になって、クローニン
グされたヒト中間コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャンネル、hlK
1が、その生物物理特性及び薬理特性の両方に関してガルドスチャンネルと実質
的に同様であることが示された(Ishi、前出)。
ガルドスチャンネルを阻害するために使用されてきた方法は、イミダゾール、
ニトロイミダゾール及びクロトリマゾールのようなトリアゾール抗真菌剤の赤血
球への投与を含む(Brugnaraらへの米国特許第5,273,992号)
。イミダゾール含有の抗真菌剤、クロトリマゾールは、正常及び鎌状赤血球のガ
ルドスチャンネルの特異的で強力な阻害因子であることが示されており、インビ
トロ及びインビボで鎌状赤血球のCa2+依存性脱水を妨げる(Bruguna
ra、前出;De Franceschi他、J.Clin.Invest.9
3:1670‐1676(1994))。Hb Sのオキシコンフォメーション
を安定させる化合物を組み合わせると、クロトリマゾールは、ミクロポアフィル
ターの障害率の付加的な低下を誘導し、不可逆的に鎌状化した赤血球の形成を減
少させる(Stuart他、J.Haematol.86:820‐823(1
994))。ガルドスチャンネルの阻害を通して鎌状赤血球の脱水を低下させる
のに有用と考えられるヘテロアリールイミダゾール様部分を含む他の化合物は、
ミコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール及びスルコナ
ゾールを含む。これらの化合物は鎌状赤血球の脱水を低減する上で有効であるこ
とが明らかにされたが、他のイミダゾール化合物は、ガルドスチャンネルを阻害
し、カリウムの損失を防ぐ能力を持たないことが認められている。
鎌状赤血球貧血は慢性疾患であるため、その治療用にデザインされる薬剤は、
理想的には、消散可能な疾患(例えば真菌感染)を治療するための薬剤ではあま
り重要でないいくつかの特性を示す。臨床的に有用なガルドスチャンネル阻害因
子は、長期の投与経過にわたって極めて低い毒性を示し、卓越したバイオアベイ
ラビリティーを持ち、ガルドスチャンネルに高度に特異的であって、このチャン
ネルとの相互作用において強力である。
クロトリマゾールといくつかの関連化合物はガルドスチャンネルを阻害し、カ
リウムの損失を防ぐことが示されたが、これらの化合物は鎌状赤血球貧血の治療
にとって理想的な臨床薬剤とは言えない。主要な懸念は、イミダゾール系抗真菌
剤の長期的な投与は肝毒性をもたらすことが明らかにされているという事実であ
る(例えば、Rodriguez他、Toxicology 6:83‐92(
1995);Findor他、Medicina 58:277‐81(199
8);及びRodriguez他、J.Biochem.Toxicol.11
:127‐31(1996)参照)。薬剤の毒性への傾向は、そのバイオアベイ
ラビリティー、標的選択性及び効力のような他の特性によって相殺されねばなら
ない。
現在知られているガルドスチャンネル阻害因子は、インビボでの半減期が短く
、バイオアベイラビリティーが低い。これらの薬剤は患者の生涯の重要な期間に
わたって定期的に投与されねばならないことから、これらの欠点は特に問題であ
る。そのような薬剤に関しては、投与レジメンに対する患者のコンプライアンス
が決定的に重要であり、レジメンが単純であるほど患者がレジメンに従う可能性
が高くなる。バイオアベイラビリティーの低いガルドスチャンネル阻害因子は頻
繁に投与しなければならず、服用を忘れて、その結果薬剤の血漿レベルが赤血球
の脱水を防ぐのに十分でなくなるという危険性を提起する。頻繁な投与に加えて
、バイオアベイラビリティーの低い薬剤は一般に、より良好なバイオアベイラビ
リティーを持つ類似薬剤に比べてより高い用量を投与しなければならない。高用
量では、有害な副作用と毒性が極めて現実的な懸念となる。
低いバイオアベイラビリティーに加えて、クロトリマゾールのような既知のガ
ルドスチャンネル阻害因子は同時に、ガルドスチャンネルとの相互作用において
比較的潜在能が低い。化合物の低い潜在能は、低いバイオアベイラビリティーと
速やかな全身クリアランスによって増悪される。多くの既知のガルドスチャンネ
ル阻害因子のさらなる欠点は、カルシウム活性化カリウムチャンネルとの相互作
用の非特異的な性格であり:これらの薬剤はガルドスチャンネル以外のカルシウ
ム活性化カリウムチャンネルと容易に相互作用する。これらを合わせて考えると
、既知のガルドスチャンネル阻害因子の低い特異性と低いバイオアベイラビリテ
ィーは、より高く、より頻繁な投与を義務付け、それによって有害な副作用と毒
性の危険性を上昇させる。
現在知られているガルドスチャンネル阻害因子の上述した欠点に鑑みて、構造
成分としてイミダゾールを含まず、評価しうる程度にバイオアベイラビリティー
が高く、ゆっくりと代謝・排泄され、ガルドスチャンネルとの相互作用において
強力且つ特異的であるガルドスチャンネル阻害因子の発見から、鎌状赤血球貧血
の治療における実質的な進歩が期待される。驚くべきことに、本発明はこれらの
特性を備えたガルドスチャンネル阻害因子を提供する。
(発明の開示)
ガルドスチャンネルの遮断を通して鎌状赤血球の脱水を低減することは、鎌状
赤血球症の治療及び/又は予防への強力な治療アプローチである。鎌状赤血球の
脱水を低減する手段としてガルドスチャンネルを阻害することができる化合物は
極めて望ましく、本発明の目的である。これまで研究されてきたイミダゾールベ
ースのガルドスチャンネル阻害因子は、証明しうる効果を有してはいるが、文書
でも広く示されている肝毒性の潜在的可能性を含めて、いくつかの欠点が障害と
なっている。この毒性は、阻害因子の低い効力、ガルドスチャンネル以外のカル
シウム活性化カリウムチャンネルとの非特異的相互作用、そして低いバイオアベ
イラビリティーによって増悪され、これらの各々が、阻害因子のより高用量でよ
り頻繁な投与の原因となる。
これら既知の薬剤と異なって、製薬上有用な第二世代のガルドスチャンネル阻
害因子は、生物学的媒質中での長期的な安定性と効力及びガルドスチャンネルに
対する選択性を示すであろう。理想的な薬剤は、生物学的媒質(例えばミクロソ
ーム標本)中で2時間インキュベーションしたあと60%未満しか分解されず、
30nM以下のガルドスチャンネルに対するIC50を持つ。さらに、これらの
薬剤は、IKsのような他のカリウムチャンネルよりもガルドスチャンネルに対
して少なくとも100倍選択的である。
1個又はそれ以上のフェニル基が1個又はそれ以上のフッ素原子若しくはフッ
素含有成分で置換されている、トリフェニルアセトアミドベースのガルドスチャ
ンネル阻害因子が、クロトリマゾール及び類似の非フッ素化トリフェニルアセト
アミドに比べて驚くべき度合に高められたインビボでの半減期とインビトロでの
代謝安定性を持つことが発見された。例えば、クロトリマゾール(19)は、肝
のミクロソーム標本中で2時間インキュベーションしたあと94.2%分解され
、非フッ素化トリフェニルメチルアセトアミド(20)は2時間後に87%分解
される。これらと著しく異なって、本発明の代表的二フッ素化化合物3及び5は
、同様のインキュベーション後それぞれ24%と29%しか分解されない。
フッ素化トリフェニルイミダゾール抗真菌剤に関する試験は、これらのフッ素
化薬剤がそれらの塩素化類似体よりもゆっくり代謝されることを明らかにしたが
、これらの薬剤は同時に類似塩素化誘導体よりも薬理的活性が低かった(Con
te他、Arneim‐Forsch./Drug Res.42:854‐8
58(1992);及びBartoli他、Arneim‐Forsch./D
rug Res.42:832‐835(1992)参照)。意外にも、しかし
ながら、本発明の化合物に関しては全く反対の傾向が認められる:フッ素化化合
物はクロトリマゾールよりも強力なだけでなく、ガルドスチャンネルのより選択
的な阻害因子でもある。例えば化合物3及び5は、クロトリマゾールよりもガル
ドスチャンネルに対して約8から約17倍強力である。さらに化合物3及び5は
、クロトリマゾールと比較すると、他のカリウムイオンチャンネル(例えばI
)よりもガルドスチャンネルに対して約16から約17倍選択的である。
それ故第一の局面においては、本発明は、式(I):
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1であり、
m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフルオロ置換基は、
アセトアミド置換基に対してオルト、アセトアミド置換基に対してメタ及びアセ
トアミド置換基に対してパラの中から独立して選択される位置に存在し、環3の
置換基は、アセトアミド置換基に対してオルト及びアセトアミド置換基に対して
パラから選択される位置にあり、そして
pが0、mが1でnが1であるときには、環1のフルオロ置換基はアセトアミ
ド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、アセトアミド置換基に対してオ
ルト及びアセトアミド置換基に対してパラから選択される位置にある]
に従った構造を持つ化合物を提供する。
第二の局面では、本発明は、製薬上許容される賦形剤と混合して式(I)に従
った化合物を含む製薬組成物を提供する。そのような製剤は本発明の方法におい
て投与することができる。
疾患によって影響される細胞のイオンフラックスを変化させることを通して疾
患(例えば鎌状赤血球症)を管理することは強力な治療アプローチである。さら
に、疾患の過程と正常な生理の両方における細胞イオンフラックスの役割につい
ての基本的な理解は、新しい治療様式、レジメン及び薬剤を提供することを約束
する。細胞イオンフラックスを変化させる化合物、特にカリウムフラックスを阻
害する化合物は、薬剤として、及びこれらのイオンフラックスの基礎となる基本
的機序を解明するためのプローブとして、極めて望ましい。同様に、基礎研究と
治療適用においてこれらの化合物を利用する方法は、研究者と臨床医の戦略にお
ける貴重なツールである。それ故、そのような化合物と方法も本発明の目的であ
る。
そこで、第三の局面では、本発明は細胞のカリウムフラックスを阻害する方法
を提供する。かかる方法は、カリウムフラックスを阻害するために有効な量の式
(I)に従った化合物に細胞を接触させることを含む。
鎌状赤血球症の治療のための重要な治療経路は、赤血球の細胞イオンフラック
スを操作することによって赤血球の脱水を防ぐ若しくは遅延させることである。
それ故、もうひとつの局面では、本発明は赤血球の脱水を低減するための方法を
提供する。かかる方法は、赤血球の脱水を低減するために有効な量の式(I)に
従った化合物に赤血球を接触させることを含む。
第五の局面では、本発明は鎌状赤血球症を治療する又は予防する方法を提供す
る。かかる方法は、鎌状赤血球症に罹患している対象者に、式(I)に従った構
造を持つ化合物の治療上有効な量を投与することを含む。
本発明の化合物は、代謝分解に対してすぐれた抵抗性を示し、非フッ素化類似
化合物と比較してガルドスチャンネルへの高い選択性と効力を示す、新しいクラ
スのカルシウム活性化カリウムフラックス阻害因子である。それ故第六の局面で
は、本発明は、トリフェニルメチル部分を含むカリウムチャンネル阻害因子の、
生物学的媒質中での分解に対する抵抗性を高めるための方法を提供する。したがって、本発明は、以下を提供する
項目1 構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1であり、
m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフルオロ置換基は、
アセトアミド置換基に対してオルト、アセトアミド置換基に対してメタ及びアセ
トアミド置換基に対してパラの中から独立して選択される位置に存在し、環3の
置換基は、アセトアミド置換基に対してオルト及びアセトアミド置換基に対して
パラから選択される位置にあり、そして
pが0、mが1でnが1であるときには、環1のフルオロ置換基はアセトアミ
ド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、アセトアミド置換基に対してオ
ルト及びアセトアミド置換基に対してパラから選択される位置にある]
を持つ化合物。
項目2 構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1である]
を持つ、項目1に記載の化合物。
項目3 構造:
Figure 2007262075

[式中、mは0若しくは1である]
を持つ、項目2に記載の化合物。
項目4
Figure 2007262075

から選択される構造を持つ、項目1に記載の化合物。
項目5 製薬上許容される賦形剤と混合して、構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1であり、
m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフルオロ置換基は、
アセトアミド置換基に対してオルト、アセトアミド置換基に対してメタ及びアセ
トアミド置換基に対してパラの中から独立して選択される位置に存在し、環3の
置換基は、アセトアミド置換基に対してオルト及びアセトアミド置換基に対して
パラから選択される位置にあり、そして
pが0、mが1でnが1であるときには、環1のフルオロ置換基はアセトアミ
ド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、アセトアミド置換基に対してオ
ルト及びアセトアミド置換基に対してパラから選択される位置にある]
を持つ化合物を含む製薬組成物。
項目6 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1である]
を持つ、項目5に記載の製薬製剤。
項目7 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、mは0若しくは1である]
を持つ、項目6に記載の製薬製剤。
項目8 上記化合物が、
Figure 2007262075

から選択される構造を持つ、項目5に記載の製薬組成物。
項目9 構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1であり、
m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフルオロ置換基は、
アセトアミド置換基に対してオルト、アセトアミド置換基に対してメタ及びアセ
トアミド置換基に対してパラの中から独立して選択される位置に存在し、環3の
置換基は、アセトアミド置換基に対してオルト及びアセトアミド置換基に対して
パラから選択される位置にあり、そして
pが0、mが1でnが1であるときには、環1のフルオロ置換基はアセトアミ
ド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、アセトアミド置換基に対してオ
ルト及びアセトアミド置換基に対してパラから選択される位置にある]
を持つ化合物の有効量に細胞を接触させることを含む、細胞のカリウムフラック
スを阻害する方法。
項目10 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1である]
を持つ、項目9に記載の方法。
項目11 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、mは0若しくは1である]
を持つ、項目8に記載の方法。
項目12 上記化合物が、
Figure 2007262075

から選択される構造を持つ、項目9に記載の方法。
項目13 上記細胞が赤血球である、項目9に記載の方法。
項目14 構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1であり、
m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフルオロ置換基は、
アセトアミド置換基に対してオルト、アセトアミド置換基に対してメタ及びアセ
トアミド置換基に対してパラの中から独立して選択される位置に存在し、環3の
置換基は、アセトアミド置換基に対してオルト及びアセトアミド置換基に対して
パラから選択される位置にあり、そして
pが0、mが1でnが1であるときには、環1のフルオロ置換基はアセトアミ
ド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、アセトアミド置換基に対してオ
ルト及びアセトアミド置換基に対してパラから選択される位置にある]
を持つ化合物の有効量に赤血球を接触させて、赤血球の脱水を低減することを含
む、赤血球の脱水を低減するための方法。
項目15 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1である]
を持つ、項目14に記載の方法。
項目16 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、mは0若しくは1である]
を持つ、項目15に記載の方法。
項目17 上記化合物が、
Figure 2007262075

から選択される構造を持つ、項目14に記載の方法。
項目18 鎌状赤血球症に罹患している対象者に、構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1であり、
m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフルオロ置換基は、
アセトアミド置換基に対してオルト、アセトアミド置換基に対してメタ及びアセ
トアミド置換基に対してパラの中から独立して選択される位置に存在し、環3の
置換基は、アセトアミド置換基に対してオルト及びアセトアミド置換基に対して
パラから選択される位置にあり、そして
pが0、mが1でnが1であるときには、環1のフルオロ置換基はアセトアミ
ド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、アセトアミド置換基に対してオ
ルト及びアセトアミド置換基に対してパラから選択される位置にある]
を持つ化合物の治療上有効な量を投与することを含む、鎌状赤血球症の事象を治
療する又は予防するための方法。
項目19 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1である]
を持つ、項目18に記載の方法。
項目20 上記化合物が構造:
Figure 2007262075

[式中、mは0若しくは1である]
を持つ、項目19に記載の方法。
項目21 上記化合物が、
Figure 2007262075

から選択される構造を持つ、項目18に記載の方法。
項目22 阻害因子のアリール基上の水素原子を、フッ素原子を含む
基で置換することを含む、フェニル部分を含むカリウムチャンネル阻害因子の生
物学的媒質中での分解に対する抵抗性を高めるための方法。
項目23 上記カリウムチャンネルがIK1である、項目22に記
載の方法。
項目24 上記カリウムチャンネルがガルドスチャンネルである、請
求項23に記載の方法。
項目25 上記アリール基がトリアリールメチル基の成分である、請
求項22に記載の方法。
本発明のこれらやその他の目的及び利点は、下記の詳細な説明と実施例から明
らかになるであろう。
略語及び定義
「MCHC」は、「平均赤血球ヘモグロビン濃度」である。
「SAD‐1」は、Trudel他、EMBO J.,10(11):315
7‐3165(1991)で述べられたような鎌状赤血球症のトランスジェニッ
クマウスモデルである。ここで使用するとき「生物学的媒質」は、インビトロ及
びインビボの両方の生物学的媒質を指す。インビトロでの「生物学的媒質」の例
は、細胞培養、組織培養、ホモジネート、血漿及び血液を含むが、これらに限定
されない。インビボ適用は一般に哺乳類、特にヒトにおいて実施される。
「フルオロアルキル」は、部分的にフッ素化若しくは過フッ素化されたアルキ
ル又は置換アルキル基を含む「置換アルキル」のサブクラスを指す。フッ素置換
はアルキル部分だけの置換であるか、若しくは実質的に他の何らかの置換又は置
換群とのいかなる組合せでもありうる。
緒言
上述したように、ガルドスチャンネルの阻害を通しての鎌状赤血球脱水の遮断
は、鎌状赤血球症の治療及び/又は予防のための強力な治療アプローチである。
インビトロ試験は、イミダゾール含有の抗真菌剤であるクロトリマゾールが鎌状
赤血球におけるCa2+活性化Kフラックスと細胞脱水を遮断することを示し
た(Brugnara他、J.Clin.Invest.92:520‐526
(1993))。鎌状赤血球症に関するトランスジェニックマウスモデル、SA
D‐1マウスにおける試験(Trudel他、EMBO J.11:3157‐
3165(1991))は、クロトリマゾールの経口投与が赤血球ガルドスチャ
ンネルの阻害、赤血球K定数の上昇、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC
)の低下及び細胞密度の低下を導くことを明らかにしている(De Franc
eschi他、Clin.Invest.93:1670‐1676(1994
))。さらに、経口クロトリマゾールによる治療は、鎌状赤血球症の患者におい
てガルドスチャンネルの阻害を誘導し、赤血球の脱水を低減する(Brugna
ra他、J.Clin.Invest.97:1227‐1234(1996)
)。インビトロでガルドスチャンネルを阻害する他の抗真菌剤は、ミコナゾール
、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール及びスルコナゾールを含む
(Brugnaraらへの米国特許第5,273,992号)。これらの化合物
はすべてイミダゾール様の環、すなわち2個又はそれ以上の窒素を含むヘテロア
リール環を含む。
これまで研究されてきたイミダゾールベースのガルドスチャンネル阻害因子は
、証明しうる効果を有してはいるが、文書でも広く示されている肝毒性の潜在的
可能性を含めて、いくつかの欠点が障害となっている。この毒性は、阻害因子の
低い効力、ガルドスチャンネル以外のカリウムチャンネルとの非特異的相互作用
、そして低いバイオアベイラビリティーによって増悪され、これらの各々が、阻
害因子のより高用量でより頻繁な投与の原因となる。
ガルドスチャンネルを阻害することができる卓越した薬剤を提供するためには
、3つの薬理学的判定基準を満たさなければならない。まず第一に、化合物は、
生物学的媒質中に2時間置いたあと化合物の少なくとも40%が無傷のままであ
るように、生物学的媒質中で安定でなければならない。さらに、化合物は、ガル
ドスチャンネルに対して30nM又はそれ以下のIC50を持つ、ガルドスチャ
ンネルの強力な阻害因子でなければならない。ガルドスチャンネルへの潜在能に
加えて、化合物は同時にこのチャンネルとの相互作用において選択的でなければ
ならない。化合物は、80又はそれ以上のIC50比(IKs/ガルドス)によ
って測定されるような選択性を有していなければならない。
化合物
第一の局面では、本発明は式(I):
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1であり、
m、n及びpがすべて1であるときには、環1及び環2のフルオロ置換基は、
アセトアミド置換基に対してオルト、アセトアミド置換基に対してメタ及びアセ
トアミド置換基に対してパラの中から独立して選択される位置に存在し、環3の
置換基は、アセトアミド置換基に対してオルト及びアセトアミド置換基に対して
パラから選択される位置にあり、そして
pが0、mが1でnが1であるときには、環1のフルオロ置換基はアセトアミ
ド置換基に対してパラであり、環2の置換基は、アセトアミド置換基に対してオ
ルト及びアセトアミド置換基に対してパラから選択される位置にある]
に従った構造を持つ化合物を提供する。
現在好ましい実施態様においては、本発明の化合物は式(II):
Figure 2007262075

[式中、m、n及びpは独立して0及び1から選択され、m、n及びpの少なく
とも1つが1である]
に従った構造を持つ。
この構造に従った化合物が表1に示されており、化合物1‐5を含む。
もうひとつの好ましい実施態様では、本発明の化合物は式(III):
Figure 2007262075

[式中、mは0若しくは1である]
に従った構造を持つ。
式IIIに従った化合物が表1に示されており、化合物3及び5を含む。
本発明の化合物と構造的に緊密に関連する化合物も表1に示されている。本発
明の化合物と構造的に関連する化合物は、本発明のフッ素化化合物の利点と予想
外の特性及び恩恵を評価するための「基線」として役立つ。
Figure 2007262075
化合物の合成
本発明の化合物は、有機合成の技術における標準的手法によって調製すること
ができる。適切な出発物質及び試薬は市販されているものを入手するか、若しく
は標準的有機化学手法によって調製することができる。好ましい工程は個々の実
施例によって示されている。合成経路の例を式1に示す。

Figure 2007262075
式1では、フッ素置換トリフェニルアセトアミドの合成は、フッ素置換ベンゾ
フェノンから調製される対応するフッ素置換トリフェニルメタノール及びベンゾ
フェノンケトンにフェニル又はフッ素置換フェニルを付加する試薬から始まる。
フッ素置換トリフェニルメタノールはその後、このアルコールを塩化アセチル、
次いでシアン化銅に接触させることによって対応するフッ素置換トリフェニルア
セトニトリルに転換される。アセトアミドは、中間体ニトリルを硫酸と氷酢酸の
混合物と反応させることによって生成できる。フッ素置換トリフェニルメタン種
、特にアセトアミドを導く他の合成経路は当業者の能力範囲内である。
化合物の安定性
化合物が製薬上有用なガルドスチャンネル阻害因子として働くためには、候補
化合物は許容されるバイオアベイラビリティーとインビボでの安定性を示さなけ
ればならない。生物学的媒質(例えばミクロソーム標本)中で2時間インキュベ
ーションしたあと化合物の初期量の少なくとも40%が無傷のままであるとき、
化合物は十分なレベルの安定性を持つと判定される。この安定性のレベルは、鎌
状赤血球貧血のような慢性症候群を治療するためには特に重要である。鎌状赤血
球貧血の治療を受ける対象者は、その生涯を通じて抗鎌状赤血球化薬剤(例えば
ガルドスチャンネル阻害因子)を規則正しく服用しなければならない。中でも特
に懸念される点として、そのような生涯にわたる投与レジメンは、レジメンへの
患者のコンプライアンスの変動という深刻な危険性を呈する。コンプライアンス
が低い結果として患者の系における薬剤の力価が低下した場合、鎌状赤血球化の
発生、疼痛と物理的及び生理的損傷の併発の危険性を提起する。インビボでの滞
留時間が長く、バイオアベイラビリティーが高い化合物は単純化された投与レジ
メン(すなわち、1日当りのより少ない投与回数及び/又はより低い投与量)を
可能にする。さらに、投与される化合物の量を低下させることは、薬剤及び/又
はその代謝産物から生じる副作用を低減する可能性をもたらす。それ故、良好な
バイオアベイラビリティーとインビボでの高い安定性を示すガルドスチャンネル
阻害因子を提供することは極めて望ましい。
様々な生物学的媒質中での化合物の安定性は、当該技術において既知の方法に
よって検定することができる。ひとつの実施態様では、インビトロ試料中で化合
物の安定性を検定する。好ましい実施態様では、インビトロ試料は肝のミクロソ
ーム標本である。そのようなインビトロアッセイの結果は、本発明の化合物のイ
ンビボでの安定性に関連するデータを提供する。本発明の化合物の安定性を検定
する上で有用な他のインビトロアッセイは当該技術において既知である。
インビトロでの方法に加えて、薬物動態試験のようなインビボでの方法は一連
の動物モデルにおいて実施することができる。本発明の1つ又はそれ以上の化合
物を、異なる投与量で及び/又は異なる経路によって(例えば静脈内(i.v.
)、腹腔内(i.p.)、経口(p.o.))動物、好ましくはラットに投与す
ることができる。血液、尿及び/又は便のサンプルを連続する時点で採取し、本
発明の化合物及び/又は化合物の代謝産物の存在及び/又は濃度に関してサンプ
ルを検定する。
異なる化合物からのデータを比較するために、どのような適切な量も使用でき
る。そのような量の例は、半減期、バイオアベイラビリティー、あらかじめ定め
られた期間後に無傷のままである化合物の量、等を含む。好ましい実施態様では
、あらかじめ定められた期間後に無傷のままである化合物の量を使用する。ここ
で使用するとき、「無傷」は、もとの化合物とは異なる種に代謝されていない、
さもなければ分解されていない化合物を指す。
好ましい実施態様では、あらかじめ定められた期間は約2時間から約72時間
、より好ましくは約4時間から約24時間である。もうひとつの好ましい実施態
様では、2時間のあらかじめ定められた期間後に残存する無傷の化合物の量は、
最初のサンプルの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好まし
くは少なくとも70%である。
化合物及び/又は代謝産物を検出する、好ましくは定量することができるいか
なる手法も、本発明の化合物を検定する際の使用に適する。これらの方法は、分
光法(例えばNMR(例えば19F NMR)、MS、IR、UV/vis)、
クロマトグラフィー法(例えばLC、GC、HPLC)及び分光法とクロマトグ
ラフィー法の両方を用いるハイブリッド法(例えばGC/MS、LC/MS、L
C/MS/MS)を含むが、これらに限定されない。さらに、かかる方法は、放
射性同位元素(例えばH、15N、14C)又は蛍光標識(例えばフルオレセ
イン、ローダミン)で標識した本発明の化合物のような、検出可能な標識を使用
することができる。小さな有機分子のインビボでの残存率を検定するための他の
方法、特に生物活性分子に適用しうるものは、当業者には明白であろう。
化合物の活性
製薬上有用なガルドスチャンネル阻害因子を開発するためには、候補化合物は
標的チャンネルに対して許容される活性を示さなければならない。化合物がガル
ドスチャンネルに対して30nMに過ぎないIC50を持つ場合、その化合物は
十分に強力であると判定される。
上記の化合物の安定性に関する文脈の中で論じたように、この活性のレベルは
鎌状赤血球貧血のような慢性症候群を治療するために特に重要である。ガルドス
チャンネルに対して30nMの効力を持つガルドスチャンネル阻害因子に関して
、患者のコンプライアンスと副作用についての様々な問題が広く検討されている
ガルドスチャンネルのようなイオンチャンネルに対する本発明の化合物の活性
は、当該技術で既知の方法を用いて検定することができる。例えば、Brugn
ara他、J.Biol.Chem.,268(12):8760‐8768(
1993)参照。この参考文献の中で述べられている方法を用いて、本発明の化
合物のガルドスチャンネルの阻害パーセントとIC50の両方が測定できる。
例示的なアッセイでは、被験化合物による赤血球ガルドスチャンネルの阻害を
、ヒト赤血球を使用して検定することができる。阻害の度合は86Rbのような
検出可能物質を用いて測定できる。例示的アッセイでは、86Rbを使用して、
赤血球を86Rbと被験化合物に接触させ、細胞によって取り込まれた86Rb
の量を測定することにより、ガルドスチャンネルの阻害を定量することができる
。このアッセイに関する数多くのバリエーションが当業者には明白であろう。
本発明の化合物の効力は、Brugnara他、J.Clin.Invest
.92:520‐526(1993)が開示しているような方法により、赤血球
を用いて検定できる。簡単に述べると、赤血球を被験化合物と86Rb含有媒質
に接触させる。86Rb輸送の初期速度が、細胞による86Rb取込みの線形最
小二乗勾配のようなパラメータから計算される。コンピュータ支援非線形曲線適
合を用いる標準的方法によって阻害定数を計算することができる。
イオンチャンネルの活性及びイオンチャンネルに影響を及ぼす物質の活性を測
定するための他の方法は当該技術において既知である。適切なアッセイ方法の選
択は十分に当業者の能力範囲内である。例えば、Hille,B.,IONIC
CHANNELS OF EXCITABLE MEMBRANES,Sin
aner Associates,Inc.Sunderland,MA(19
92)参照。
本発明の化合物及び他の緊密に関連する化合物を用いたガルドスチャンネルと
赤血球の阻害アッセイの結果を下記の表2に示す。表2中の化合物の番号は、表
1に示す化合物構造と前後参照される。
Figure 2007262075
化合物の選択性
化合物が製薬上有用なガルドスチャンネル阻害因子として働くためには、候補
化合物は標的チャンネルに対して許容される選択性を示さなければならない。化
合物のIKsへのIC50対ガルドスチャンネルへのIC50の比率が少なくと
も80と測定されるとき、ガルドスチャンネルに対する選択性を持つ化合物は、
十分に選択的であると判定される。IKs電流の記録は、Turgeon他、C
irculation Research 75:879‐86(1994)に
述べられているようなモルモット筋細胞に関する全血パッチクランプ法を用いて
実施した。
別のカリウムイオンチャンネルと比較したガルドスチャンネルに関する個々の
化合物の選択性は、2つの化合物の結合に関連する量(例えばIC50)の比率
として好都合に測定される。好ましい実施態様では、上述したように測定された
活性を用いて選択性を決定するが、イオンチャンネルの活性及びイオンチャンネ
ルに影響を及ぼす物質の活性を測定するための他の方法は当該技術において既知
である。適切なアッセイ方法の選択は十分に当業者の能力範囲内である。例えば
、Hille,B.,IONIC CHANNELS OF EXCITABL
E MEMBRANES,Sinaner Associates,Inc.S
underland,MA(1992)参照。
本発明の化合物及び他の緊密に関連する化合物についての選択性測定の結果を
表2に示す。ガルドスチャンネルに関する化合物の選択性は、例示的なカリウム
イオンチャンネルであるIKsと比較して測定した。表2中の化合物の番号は、
表1に示す化合物構造と前後参照される。
上記に示した結果からわかるように、本発明の化合物は、他のカリウムイオン
チャンネル(例えばIKs)に比べてガルドスチャンネルへの著明な選択性を示
す。さらに、本発明の化合物はガルドスチャンネルの強力な阻害因子である。そ
れに加えて、これらの化合物のインビボでの半減期は、クロトリマゾールのよう
な非フッ素化化合物に比べて明確に改善されている。
ひとつの実施態様では、本発明の化合物は、ガルドスチャンネルによって仲介
されるもののような、カリウムフラックスの強力で選択的且つ安定な阻害因子で
ある。
本発明の化合物は、好ましくは、インビトロでのミクロソーム酵素標本のよう
な生物学的媒質中で安定であり、生物学的媒質中で2時間インキュベーションし
たあと、少なくとも40%、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上
の無傷化合物が残存する。
特定の操作理論に縛られるのは望むところではないが、現時点では、本発明の
化合物のいくつかの構造的特徴(すなわちフッ素による水素の置換)がこれらの
化合物の安定性、選択性及び効力に関与していると考えられる。それ故、好まし
い実施態様では、本発明の阻害因子は、アリール部分の少なくとも1個の水素原
子がフッ素原子を含む基で置換されている、アリール部分を含む。この実施態様
において、本発明は、カリウムイオンフラックスを阻害する化合物のフッ素化誘
導体、特にガルドスチャンネル阻害活性を持つもの(例えば抗真菌剤、例えばミ
コナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール及びスルコナゾ
ール)を包含する。カリウムイオンチャンネル阻害活性、特にガルドスチャンネ
ル阻害活性を持ち、少なくとも1個のフッ素原子を担う少なくとも1個のアリー
ル部分を含む他の物質も、本発明の範囲内である。
好ましい実施態様では、アリール部分はフェニル基である。もうひとつの好ま
しい実施態様では、アリール部分はトリフェニルメチル基の成分である。
本発明の化合物は、有効成分が1つ又はそれ以上の製薬上許容される担体、賦
形剤又は希釈剤と混合されている製薬組成物の形態で、それ自体として投与する
ことができる。それ故、細胞イオンフラックスに影響を及ぼす化合物(例えばガ
ルドスチャンネル阻害活性)に加えて、本発明はまた、本発明の化合物を含有す
る製薬製剤を提供する。
製薬製剤
第二の局面では、本発明は、製薬上許容される賦形剤と混合して式(I)に従
った化合物を含む製薬製剤を提供する。好ましい実施態様では、化合物は式(I
I)に従ったもの、より好ましくは式(III)に従ったものである。
ここで述べる化合物、若しくは製薬上許容されるその付加塩又は水和物は、多
様な投与経路又は投与様式を用いて患者に供給送達されるように製剤することが
できる。適当な投与経路は、吸入、経皮、経口、眼、直腸、経粘膜、腸、及び筋
肉内、皮下及び静脈内注入を含めた非経口投与を含むが、これらに限定されない
ここで述べる化合物、若しくは製薬上許容されるその塩及び/又は水和物は、
単独で、本発明の他の化合物と組み合わせて、及び/又は他の治療薬と組み合わ
せたカクテルとして投与しうる。本発明の化合物と同時投与しうる治療薬の選択
は、一部には、治療する状態に依存する。
例えば、鎌状赤血球症に罹患している患者に投与するときには、本発明の化合
物を、一般に鎌状赤血球症に結びつく疼痛、感染及び他の症状ならびに副作用を
治療するために使用される薬剤を含むカクテルとして投与できる。そのような薬
剤は、例えば鎮痛薬、抗生物質、等々を含む。化合物はまた、酪酸塩及び酪酸塩
誘導体(Perrine他、N.Engl.J.Med.328(2):81‐
86(1993);ヒドロキシ尿素(Charache他、N.Engl.J.
Med.323(20):1317‐1322(1995));エリスロポエチ
ン(Goldberg他、N.Engl.J.Med.323(6):366‐
372(1990);及びマグネシウムのような食事性の塩(De Franc
eschi他、Blood 88(648a):2580(1996))を含め
て、鎌状赤血球症を治療するために一般的に使用される他の薬剤を含むカクテル
としても投与できる。
本発明に従って使用するための製薬組成物は、活性化合物を製薬上使用しうる
製剤に加工処理することを容易にする賦形剤及び補助剤を含む、1つ又はそれ以
上の生理的に許容される担体を使用して従来の方法で製剤することができる。適
切な製剤は選択する投与経路に依存する。
注入用には、本発明の作用物質を水溶液、好ましくはハンクス液、リンガー液
、又は生理緩衝食塩水のような生理的に適合性の緩衝液に製剤することができる
。現在好ましい実施態様では、製剤は水とアルコール及び/又はグリコールを含
有する。この製剤の他の有用な成分は、例えば界面活性剤、乳化剤及びエトキシ
ル化油のような物質を含む。例示的な製剤は、本発明の化合物、1:1:1の割
合のポリ(エチレングリコール)400、エタノール及び水を含む。もうひとつ
の例示的製剤は、本発明の化合物、水、ポリ(エチレングリコール)400及び
Cremophor‐ELを含む。
経粘膜投与(例えば、口腔、直腸、鼻、眼、等々)用には、透過すべき関門に
適した浸透剤を製剤中で使用する。そのような浸透剤は当該技術において一般的
に知られている。
経口投与用には、活性化合物を当該技術で周知の製薬上許容される担体と組み
合わせることにより、化合物を容易に製剤することができる。そのような担体は
、本発明の化合物を、治療する患者が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣丸、
カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、等として製剤することを
可能にする。経口投与用の製薬製剤は、固形賦形剤と組み合せ、生じた混合物を
任意に摩砕し、所望する場合には適当な補助剤を加えたあと、顆粒混合物を処理
して、錠剤又は糖衣丸のコアを得ることができる。適当な賦形剤は、特に、ラク
トース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含めた糖類;例えばトウ
モロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、ト
ラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PV
P)などのセルロース製剤のような充填剤である。所望する場合には、架橋ポリ
ビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムのよう
な塩などの崩壊剤を加えてもよい。
糖衣丸のコアには適当な被覆を施す。このために、任意にアラビアゴム、滑石
、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、及び/又
は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適当な有機溶剤又は溶剤混合物を含みうる
、濃縮糖溶液が使用できる。同定のため又は活性化合物用量の種々の組合せを特
徴づけるために、錠剤又は糖衣丸被覆に染料又は色素を加えてもよい。
経口で使用できる製薬製剤は、ゼラチンでできたプッシュフィットカプセル、
ならびにゼラチンとグリセロール又はソルビトールのような可塑剤でできた軟性
密封カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトースのような充填剤
、デンプンのような結合剤、及び/又は滑石又はステアリン酸マグネシウムのよ
うな潤滑剤、そして任意に安定剤と混合して有効成分を含有しうる。軟カプセル
においては、活性化合物を脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリ
コールのような適当な液体に溶解又は懸濁することができる。さらに、安定剤を
加えてもよい。経口投与用の製剤はすべて、そのような投与に適した用量にしな
ければならない。
口腔投与用には、組成物は、従来のように製剤される錠剤又はロゼンジの形態
をとりうる。
吸入による投与のためには、本発明に従って使用される化合物は、適当な推進
薬、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテ
トラフルオロメタン、二酸化炭素又は他の適当なガスを使用して、加圧パック又
はネブライザからエーロゾルスプレーの形態で好都合に送達される。加圧エーロ
ゾルの場合には、一定量を送達するための弁を備えることによって投与単位を決
定することができる。吸入器又は注入器において使用するための、例えばゼラチ
ンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトース又はデンプンのような
適当な粉末基剤との粉末混合物を含有して製剤することができる。
化合物は、注入、例えばボーラス注射又は持続注入による非経口投与用に製剤
することができる。注射用製剤は、防腐薬を加えた単位投与形態、例えばアンプ
ル又は多回投与容器として提供されうる。組成物は、油性又は水性溶剤中の懸濁
液、溶液又は乳剤のような形態をとることができ、沈殿防止剤、安定剤のような
製剤物質を含むことができ、及び/又は架橋ポリビニルピロリドン、寒天、ある
いはアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムのような塩などの分散剤を加えてもよ
い。
非経口投与用製薬製剤は、静脈内投与に関して上述したような、水溶性形態の
活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁液は適切な油性注入懸濁
液として調製しうる。適当な親油性溶媒又は溶剤は、ゴマ油のような脂肪油、あ
るいはオレイン酸エチル又はトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、ある
いはリポソームを含む。水性注入懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、ソルビトール又はデキストランのような、懸濁液の粘度を上昇させる物質
を含みうる。任意に、懸濁液はまた、適当な安定剤あるいは高度濃縮溶液が調製
できるように化合物の溶解度を高める物質も含みうる。
代替的に、有効成分は、使用前に適当な溶剤、例えば滅菌発熱物質不含水で還
元するための粉末形態をとりうる。
化合物はまた、例えばココアバター又は他のグリセリドのような従来の坐薬基
剤を含有する坐剤又は停留浣腸のような直腸組成物として製剤することもできる
先に述べた製剤に加えて、化合物はまたデポ剤として製剤することもできる。
そのような長時間作用性製剤は、移植又は経皮送達(例えば皮下又は筋肉内)、
筋肉内注射又は経皮パッチによって投与することができる。それ故、例えば、化
合物は適当なポリマー又は疎水性物質(例えば許容される油中の乳剤として)あ
るいはイオン交換樹脂と共に、あるいはわずかに可溶性の誘導体として、例えば
わずかに可溶性の塩として製剤することができる。
製薬組成物はまた、適当な固相又はゲル相担体又は賦形剤を含みうる。そのよ
うな担体又は賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デ
ンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールのようなポ
リマーを含むが、これらに限定されない。
有効用量
本発明での使用に適する製薬組成物は、有効成分が治療上有効な量、すなわち
その意図される目的を達成するのに有効な量で含有されている組成物を含む。個
々の適用のために有効な実際の量は、中でも特に、治療する状態に依存する。例
えば、鎌状赤血球の脱水を低減する及び/又は赤血球の鎌状化又はインサイツで
の変形の発生を遅延させるための方法において投与するときには、かかる組成物
は、この結果を達成するために有効な量の有効成分を含有する。有効量の決定は
、特にここでの詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力範囲内である。
ここで述べるいずれかの化合物に関して、治療上有効な量は最初に細胞培養ア
ッセイから決定することができる。標的血漿濃度は、ガルドスチャンネルの阻害
を誘導することができる有効成分の濃度である。好ましい実施態様では、ガルド
スチャンネルの活性が少なくとも25%阻害される。現在のところ、ガルドスチ
ャンネルのカリウムフラックスの少なくとも約50%、75%、さらには90%
又はそれ以上の阻害を誘導することができる活性化合物の標的血漿濃度が好まし
い。達成される血漿薬剤濃度の適切性を評価するために患者におけるガルドスチ
ャンネルの阻害のパーセンテージをモニターし、所望するパーセンテージの阻害
を達成するために用量を上方又は下方調節することができる。
当該技術において周知のように、ヒトにおける使用のための治療上有効な量は
動物モデルから決定することもできる。例えば、ヒトに関する用量を、動物にお
いて有効と認められた循環濃度を達成するように製剤することができる。鎌状赤
血球症のための特に有用な動物モデルはSAD‐1マウスモデルである(Tru
del他、EMBO J.11:31573165(1991))。上述したよ
うにガルドスチャンネルの阻害をモニターし、用量を上方又は下方調節すること
により、ヒトにおける用量を調整することができる。
治療上有効な用量はまた、クロトリマゾール及び他の抗真菌剤のような同様の
薬理活性を示すことが知られている化合物に関するヒトデータから決定すること
もできる(例えば、Brugnara他、JPET 273:266272(1
995);Benzaquen他、Nature Medicine 1:53
4‐540(1995);Brugnara他、J.Clin.Invest.
97(5);1227‐1234(1996)参照)。適用される用量は、クロ
トリマゾールと比較したときの投与化合物の相対的バイオアベイラビリティーと
効力に基づいて調節できる。
上述した方法や当該技術において周知である他の方法に基づき、ヒトにおいて
最大の効果を達成するように用量を調節することは十分に当業者の能力範囲内で
ある。
局所投与の場合には、投与する化合物の全身循環濃度は特に重要ではない。そ
のような場合、意図する成果を達成するために有効な局所区域での濃度を実現す
るように化合物を投与する。
慢性鎌状赤血球エピソード及び急性鎌状赤血球発症の両方を含めて、鎌状赤血
球症の予防及び/又は治療における使用に関して、約0.001IMから20I
Mの投与化合物の循環濃度が有効とみなされ、約0.01IMから5IMが好ま
しい。
慢性鎌状赤血球エピソードの予防及び治療のための好ましい投与様式である、
ここで述べる化合物の経口投与についての患者の用量は、典型的には約1mg/
日から約10,000mg/日、より典型的には約10mg/日から約1,00
0mg/日、最も典型的には50mg/日から約500mg/日の範囲である。
患者の体重に照らして表わすと、典型的用量は約0.01から約150mg/k
g/日、より典型的には約0.1から約15mg/kg/日、最も典型的には約
1から約10mg/kg/日の範囲である。
他の投与様式については、治療する個々の臨床適応症のために有効な投与化合
物の血漿レベルを提供するように、投与の用量と間隔を個人ごとに調整すること
ができる。例えば、急性鎌状赤血球発症が最も支配的な臨床症状である場合、ひ
とつの実施態様では、本発明に従った化合物を比較的高濃度で1日につき複数回
にわたって投与することができる。代替的に、患者が、あまり頻繁でない周期的
又は不規則なベースで周期的鎌状赤血球発症だけを呈する場合、ひとつの実施態
様では、本発明の化合物を最小有効濃度で投与し、より低い頻度の投与レジメン
を使用することがより望ましいであろう。これは、個人の鎌状赤血球症の重症度
に相応した治療レジメンを提供するであろう。
ここで提供する教示を利用して、実質的な毒性を引き起こさず、しかも個々の
患者が呈する臨床症状を治療するために極めて有効な予防的又は治療的処置レジ
メンを設計することができる。この設計は、化合物の効力、相対的バイオアベイ
ラビリティー、患者の体重、有害な副作用の存在と重症度、好ましい投与様式、
及び選択する薬剤の毒性プロフィールのような因子を考慮することによる、活性
化合物の慎重な選択を含むべきである。
化合物の毒性
個々の化合物に関する毒性と治療効果の割合がその治療指数であり、LD50
(個体群の50%において致死の化合物用量)とED50(個体群の50%にお
いて有効な化合物用量)の比率として表わすことができる。高い治療指数を示す
化合物が好ましい。細胞培養アッセイ及び/又は動物試験から得られた治療指数
データが、ヒトにおける使用のための用量範囲を決定する際に使用できる。その
ような化合物の用量は、好ましくはほとんどあるいは全く毒性を伴わない、ED
50を含む血漿濃度範囲内である。用いる投与形態と使用する投与経路に依存し
て、この範囲内で用量を変化させることができる。例えば、Fingl他、TH
E PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUT
ICS,Ch.1,p.1,1975より参照。厳密な製剤、投与経路及び用量
は、個々の医師が、患者の状態と化合物を使用する個々の方法に鑑みて選択する
ことができる。
方法
上記で詳細に論じた化合物と製薬製剤に加えて、本発明は、本発明の化合物を
使用することができるいくつかの方法を提供する。かかる方法は、研究室の状況
で使用されるものから、例えば薬物動態、薬剤活性、疾患の由来及び進行等の基
本的機序を明らかにするための方法までにわたる。
それ故、第三の局面では、本発明は細胞のカリウムフラックスを阻害する方法
を提供する。かかる方法は、式Iに従った構造を持つ化合物の有効量に細胞を接
触させることを含む。好ましい実施態様では、化合物は式IIに従った構造、よ
り好ましくは式IIIに従った構造を持つ。
本発明のこの局面は広い範囲の用途を持つが、カリウムフラックスの基礎とな
る基本的機序及びこのフラックスを変調させる薬剤の活性の機序についての試験
のための様式として好ましい。さらに、本発明の化合物は、カリウムフラックス
を変調させる新しい薬剤の発見におけるツールとして使用できる。例えば、本発
明の化合物は、カリウムフラックスの推定上の阻害因子の効果を調べるために、
競合アッセイのようなアッセイにおいて使用できる。本発明のこれらの方法はイ
ンビトロ及びインビボの両方で実施できる。本発明に従ったアッセイは、例えば
、本発明の化合物をその中に組み込むことができる、当該技術で認識されている
方法を修正することによって実施しうる。そのような修正は十分に当業者の技術
範囲内である。
もうひとつの好ましい実施態様では、この方法は、カリウムフラックスを変調
することによって積極的に影響されうる状態を治療又は予防するために治療的に
使用される。現在好ましい実施態様では、かかる状態は鎌状赤血球症である。
第四の局面では、本発明は赤血球の脱水を低減するための方法を提供する。こ
の方法は、式Iに従った構造を持つ化合物の有効量に赤血球を接触させることを
含む。好ましい実施態様では、化合物は式IIに従った構造、より好ましくは式
IIIに従った構造を持つ。
本発明のこの局面は、例えば赤血球脱水の機序の検討、赤血球脱水を阻害する
又は逆転させる化合物の研究、そして赤血球脱水に関連する状態の治療又は予防
を含めて、一連の目的のために使用できる。
第五の局面では、本発明は鎌状赤血球症を治療する又は予防する方法を提供す
る。かかる方法は、鎌状赤血球症に罹患している対象者に、式Iに従った構造を
持つ化合物の治療上有効な量を投与することを含む。好ましい実施態様では、化
合物は式IIに従った構造、より好ましくは式IIIに従った構造を持つ。
本発明のこの局面は、急性鎌状赤血球事象の発症を予防するため、若しくはこ
れらの事象の影響を改善するために利用できる。さらに、かかる方法は慢性鎌状
赤血球症を治療する及び/又は予防するために使用できる。かかる方法は、本発
明の化合物をそのまま、又は好ましくは本発明の製薬製剤を利用することができ
る。該当する投与様式、用量レベルの選択及び投与の頻度は上記に論じている。
第六の局面では、本発明は、フェニル部分を含むカリウムチャンネル阻害因子
の生物学的媒質中での分解に対する抵抗性を高めるための方法を提供する。かか
る方法は、阻害因子のフェニル基の水素原子をフェニル部分を含む基で置換する
ことを含む。
かかる方法は、一連の構造を持つカリウムチャンネル阻害因子を用いて実施す
ることができる。阻害因子の構造に関する唯一の制限は、フェニル環が阻害因子
の構造の成分として存在しなければならないということである。好ましい実施態
様では、フェニル環はトリフェニルメチル基の成分である。さらなる好ましい実
施態様では、生物学的媒質と2時間接触したあと、分解が化合物の60%未満に
低減される。
水素をフッ素基で置換することは、ここで開示されている方法又は有機化学に
おいて標準的な他の方法によって実現できる。必要な置換を有する広い範囲の化
合物が、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,W
I)のような営利供給業者から容易に入手しうるフルオロ‐アリール化合物から
構築できる。さらに、本発明の方法に従って構築される化合物のための適切な出
発物質から化合物を容易に構築するために、数多くの標準的な合成経路が存在す
る。
フルオロ誘導体に転換するための標的を選択するにあたって、当業者は、ガル
ドスチャンネルに対して既知の活性を持つアリール含有化合物から始めることが
望ましいことを理解するであろう。抗真菌特性を持つ、当該技術で認識されてい
る多くの作用物質が証明しうるガルドスチャンネル活性を有している。それ故、
当業者は、フッ素化類似化合物を調製するために、抗真菌活性を持つ作用物質又
はそれらの化合物の類似体を選択するであろう。新しい薬剤を潜在能及び生物分
解に対する抵抗性に関して検定することは、当該技術において既知の方法に加え
てここで提供する方法を用いて、当業者により常套的に実施されうる。さらに、
これらの方法を用いる常用実験を通して、当業者は、1つ又は複数のアリール含
有分子をガルドスチャンネルに対する活性に関して速やかに検定することができ
る。その後、上記に論じたように、有望な標的のフルオロ誘導体を調製し、検定
することができる。
至適製薬特性
a.代謝抵抗性
1個又は複数のフェニル基が1個又は複数のフッ素原子若しくはフッ素含有部
分で置換されている、本発明のトリフェニルアセトアミドベースのガルドスチャ
ンネル阻害因子は、意外にも、クロトリマゾールのような既知の阻害因子に比べ
て高い代謝安定性を持つ。例えば、クロトリマゾール19は、肝ミクロソーム標
本中で2時間インキュベーションしたあと94.2%分解される。これに対し、
化合物3及び5のような本発明の代表的なフッ素化化合物は、同様のインキュベ
ーション後24%と29%しか分解されない。これらのフッ素化トリフェニルア
セトアミドはまた、非フッ素化類似体よりも著明に安定である。例えば、化合物
20は同様のインキュベーション後87%分解される。
フルオロ置換すると安定性が高められるという一般的な傾向が認められるが、
これはすべてのフッ素化誘導体に当てはまるわけではない。例えば、3‐及び3
’‐位置の2個のフェニル環上で置換されたトリフェニルアセトアミド9は、ミ
クロソーム標本中で2時間インキュベーションしたあと97%分解された。従っ
て、この場合には、フッ素置換は明らかにクロトリマゾール及び非フッ素化トリ
フェニルアセトアミドの両方に比べて分解量を上昇させた。
同様に、1つの環に2個のフルオロ置換基を担う類似化合物も速やかに分解さ
れた。例えば、ミクロソーム標本中で2時間後、2‐、4‐(8)及び3‐、4
‐位置(7)で置換された誘導体は、それぞれ61%と85%分解された。さら
に、3つのフェニル環の各々でモノ置換された一部の化合物も速やかに分解され
た。例えば、3‐、3’‐及び3’’‐位置で置換された誘導体(17)は、ミ
クロソーム標本中で2時間後82%分解された。
上記に照らして、選択された置換パターンだけがフッ素化トリフェニルアセト
アミドに必要なレベルの安定性を与えることが発見された。置換パターンによる
化合物の潜在能及び選択性における同様のバリエーションも認められる。
b.効力
フェニル環上の水素をフッ素で置換することによる予想外の結果は、クロトリ
マゾール及び非フッ素化トリフェニルアセトアミドと比較した場合の、ガルドス
チャンネルに関する本発明の化合物の著明に高い効力である。例えば、非フッ素
化トリフェニルアセトアミド20はガルドスチャンネルに対して50nMのIC
50を持つ。これに対し、類似モノフッ素化トリフェニルアセトアミド2は15
nMのIC50を持ち、330%の効力の改善を反映している。
フッ素化トリフェニルアセトアミド誘導体に関して、改善された効力への全般
的傾向が認められるが、一部の置換パターンは置換していない親化合物に比べて
より深く効力を改善すると思われる。この全般的傾向の特殊な局面は、1つ以上
の環が置換されている誘導体は一般に、1つの環だけが置換されているものより
も強力であるということである。例えば、化合物8は2‐及び4‐位置で1つの
環上に2個のフルオロ置換基を持ち、34nMのIC50を有する。これに対し
、化合物12は2‐位置で1つの環上に1個のフルオロ置換基、4’‐位置でも
うひとつの環上に1個のフルオロ置換基を有しており、IC50は5nMである
。これは、8に比べて12の効力のほとんど700%の改善を反映している。さ
らに、化合物12は、非フッ素化親化合物20を1000%上回る効力を持つ。
これはクロトリマゾールに比べて2000%の効力上昇を反映する。
効力上昇の傾向が認められるにもかかわらず、化合物の効力改善の度合は、1
つの環当りの置換基の数から演繹的には予測不能である。例えば、化合物9は3
‐位置で1つの環上に1個のフルオロ置換基、3’‐位置でもうひとつの環上に
1個のフルオロ置換基を有しており、IC50は30nMである。2‐位置で1
つの環上に1個のフルオロ置換基、4’‐位置でもうひとつの環上に1個のフル
オロ置換基を持ち、IC50が5nMである類似化合物11は、9に比べて60
0%の効力上昇である。
上述したように、ガルドスチャンネルへのフッ素化トリフェニルアセトアミド
の効力は、フルオロ置換基の数及びこれらの化合物のフェニル環上の位置の適切
な選択によって操作できることが発見された。意外にも、これらの化合物のガル
ドスチャンネルへの選択性に関しても同様の作用が認められる。
c.選択性
効力とバイオアベイラビリティーに加えて、イオンフラックスを阻害すること
によって鎌状赤血球貧血を治療するための薬剤は、その標的であるイオンチャン
ネルに関して選択的でなければならない。薬剤と標的以外のチャンネルとの相互
作用は、望ましくない潜在的に危険な副作用を引き起こす可能性が高い。例えば
、クロトリマゾールやその類似化合物のいくつかは、筋細胞における遅延整流カ
リウム電流の緩徐成分、IKsと相互作用することが知られている。この電流の
遮断は心室性細動による突然死に結びつく(Turgeon他、Circula
tion Research 75:879‐86(1994))。それ故、I
Ksに比べてガルドスチャンネルに選択性を示す化合物は、おそらくより安全で
より有効な薬剤であることが証明されるであろう。
ガルドスチャンネル阻害因子の1つ又は複数の環をフッ素化することのもうひ
とつの予想外の結果は、他のカリウムチャンネルに比べてガルドスチャンネルへ
のこれらの化合物の高い選択性である。本発明のフルオロ置換トリフェニルアセ
トアミドのいくつかは、クロトリマゾール及び非フッ素化親トリフェニルアセト
アミドの両方と比較して、IKsよりもガルドスチャンネルに対して劇的に改善
された選択性を示す。例えば、化合物3及び5は、IKsよりもガルドスチャン
ネルに対してクロトリマゾールの約16倍及び18倍選択的である。さらに、こ
れらの化合物はどちらも、置換していないトリフェニルアセトアミド親化合物2
0よりも約6倍、ガルドスチャンネルに対して選択的である。
フッ素置換トリフェニルメタン誘導体、特にトリフェニルアセトアミドのよう
なフッ素置換窒素性化合物が赤血球のガルドスチャンネルを有効に阻害すること
が発見された。さらに、フッ素置換化合物は、フッ素置換していない対応する化
合物に比べて驚くほど増強された、生物学的媒質中での分解に対する抵抗性を示
す。
本発明の化合物、組成物及び方法を下記の実施例によってさらに説明する。こ
れらの実施例は説明のために提示するものであり、本発明の特許請求の範囲を制
限するためのものではない。
実施例1は、本発明の化合物の合成と特徴指摘のための方法を例示する。本発
明の化合物は、この実施例で詳述する方法を用いて実質的に純粋な形態として良
好な収率で分離された。
実施例2は、生物学的媒質中での分解に対する抵抗性についての本発明の化合
物のアッセイを例示する。この実施例では、ヒト肝ミクロソームが生物学的媒質
を構成する。本発明の化合物は、非フッ素化トリフェニルメチル化合物に比べ、
ミクロソーム標本による分解に対して著明な抵抗性を示すことが認められた。
実施例3は、ラットにおける本発明の化合物の薬物動態試験を述べる。本発明
のフッ素化化合物は、非フッ素化誘導に比べて改善されたインビボ半減期を示す
ことが認められた。
実施例4は、本発明の化合物によるカリウムチャンネル(ガルドスチャンネル
)の阻害を測定するためのバイオアッセイを述べる。
実施例1
この実施例は、本発明の化合物の合成と特徴指摘のための方法を例示する。下
記に述べる方法を用いて、本発明の化合物を実質的に純粋な形態として良好な収
率で分離した。実施例は、特定して例示されているもの以外の本発明の化合物を
合成するために使用できる一般的な範囲の方法を提供する。
1.1 試験材料及び方法
試薬は、特に異なる記載がないかぎり受領したままの状態で使用した。市販さ
れていないフルオロフェニルリチウム試薬とフルオロベンゾフェノンの調製には
Franco他、J.Chem.Soc.Perkins Trans.II,
443(1988)の方法を用いた。水分感受性反応はすべて、炉乾燥したガラ
ス器具類を使用して窒素大気下で実施した。シリカゲル60 F254でのTL
Cによって反応をモニターし、ハネシアン(Hanessian)染色での黒化
によって検出した(Khadem他、Anal.Chem.,1958,30(
1965))。セレクターシリカゲル(32‐63IM)を使用してカラムクロ
マトグラフィーを実施した。Electrothermal IA9000ユニ
ットで融点を測定し、補正は行わなかった。H(300MHz)と19F(2
82MHz)スペクトルを、CDCl中室温で、Varian(Gemini
2000)NMR機器で記録した。テトラメチルシランを内標準として使用し
た。CHIRACELs OD‐Rカラムを使用し、アセトニトリル/水を溶離
液として、Chiral Technologiesによって化合物1のキラル
分離を実施した。
1.2 化合物1の調製
市販されている前駆物質から4段階で、28%の収率で化合物1を調製した。
1.2a (2‐フルオロフェニル)‐(4‐フルオロフェニル)フェニルメ
タノールの合成
臭化フェニルマグネシウム(1.83mL、5.5mmol)を、t‐ブチル
メチルエーテル(12mL)中の2,4’‐ジフルオロベンゾフェノン(1.0
9g、5.0mmol)の撹拌溶液に室温(「rt」、〜25℃)で滴下して加
えた。添加が完了したあと、反応液を還流で3時間加熱した。溶液を室温に冷却
し、氷冷の1.0M HCl(水溶液)(20mL)に注ぎ入れた。有機物をE
tOAc(3×10mL)で抽出し、乾燥した(NaSO)。減圧下で濃縮
して、所望する生成物(2‐フルオロフェニル)‐(4‐フルオロフェニル)フ
ェニルメタノールを淡褐色油として入手し、それをさらに精製せずに次の反応に
おいて使用した。
1.2b (2‐フルオロフェニル)‐(4‐フルオロフェニル)フェニルア
セトニトリルの合成
(2‐フルオロフェニル)‐(4‐フルオロフェニル)フェニルメタノール(
1.47g、5.0mmol)を、室温で塩化アセチルのジクロロメタン中20
%溶液(10mL)に加えた。生じた溶液を12時間撹拌したあと、蒸発によっ
て溶媒を除去した。残渣にトルエン(2×20mL)を加え、蒸発させて粗2‐
フルオロフェニル‐(4‐フルオロフェニル)フェニルクロロメタンを得、それ
をさらに精製せずに次の段階で使用した。
シアン化銅(0.50g、5.5mmol)を残渣に加え、生じた混合物を1
30℃で2時間半加熱した。反応物がほぼ110℃に冷却すれば、トルエン(3
0mL)を加え、混合物を10分間強く撹拌した。混合物を濾過し、減圧下で溶
媒を除去した。高温のヘキサン(30mL)を粗物質に加え、混合物を30分間
強く撹拌した。濾過とさらなるヘキサンでの洗浄により、所望するシアノ生成物
を白色固体として入手し、それをさらなる精製を行わずに使用した。
1.2c (2‐フルオロフェニル)‐(4‐フルオロフェニル)フェニルア
セトアミド(1)の合成
濃硫酸(10mL)と氷酢酸(10mL)の溶液を室温で粗(2‐フルオロフ
ェニル)‐(4‐フルオロフェニル)フェニルアセトニトリル(1.48g、5
.0mmol)に加えた。生じた橙色溶液を撹拌し、130℃で3時間加熱した
。反応物を0℃に冷却し、水酸化アンモニウムを1滴ずつ加えて中和した。水(
30mL)を加え、有機物をクロロホルム(3×30mL)で抽出した。有機分
画を一緒にして、水(2×10mL)と食塩水(20mL)で連続的に洗浄した
。有機相を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。生じた明褐色の油にヘ
キサン(30mL)を加えて、沈殿を開始させた。沈殿物を粉砕し、高温のヘキ
サン(30mL)で連続的に洗浄した。ヘキサン/ジクロロメタンからの結晶化
により、所望する生成物、(2‐フルオロフェニル)‐(4‐フルオロフェニル
)フェニルアセトアミドを白色結晶固体として得た(0.45g、1.4mmo
l、28%、4段階)。
1.3 化合物3の調製
市販されている前駆物質から3段階で、58%の収率で化合物3を調製した。
1.3a ビス(4‐フルオロフェニル)フェニルメタノールの合成
臭化フェニルマグネシウム(100mL、0.1mol)を、t‐ブチルメチ
ルエーテル中の4,4’‐ジフルオロベンゾフェノン(20g、0.092mo
l)の撹拌溶液(150mL)に室温で滴下して加えた。添加が完了したあと、
反応液を還流で3時間加熱した。溶液を室温に冷却し、氷冷の1.0M HCl
水溶液(100mL)に注ぎ入れた。有機物をEtOAc(2×50mL)で抽
出し、乾燥した(NaSO)。減圧下で濃縮して、ビス(4‐フルオロフェ
ニル)フェニルメタノールを淡褐色油として入手した。真空中で2時間乾燥した
あと、粗物質をさらに精製せずに次の反応において使用した。
1.3b ビス(4‐フルオロフェニル)フェニルアセトニトリルの合成
ビス(4‐フルオロフェニル)フェニルメタノール(0.092mmol)を
、室温で塩化アセチルのジクロロメタン中20%溶液(50mL)に加えた。生
じた紫色溶液を12時間撹拌したあと、蒸発によって溶媒を除去した。残渣にト
ルエン(100mL)を加え、蒸発させて、粗ビス(4‐フルオロフェニル)フ
ェニルクロロメタンを得、それをさらに精製せずに次の段階で使用した。
シアン化銅(8.24g、0.11mol)を粗残渣に加え、混合物を140
℃で3時間加熱した。反応物を100℃に冷却し、トルエン(100mL)を加
えた。生じた混合物を10分間強く撹拌し、室温に冷却して、シリカの短いパッ
ドを通して濾過し、減圧下で溶媒を除去して、褐色固体を得た。高温のヘキサン
(100mL)を粉末化した粗物質に加え、混合物を4時間強く撹拌した。濾過
とさらなるヘキサンでの洗浄により、所望するビス(4‐フルオロフェニル)フ
ェニルアセトニトリルを白色固体として得た(18.9g、67%)。
1.3c ビス(4‐フルオロフェニル)フェニルアセトアミド(3)の合成
濃硫酸(50mL)と氷酢酸(50mL)の溶液を室温でビス(4‐フルオロ
フェニル)フェニルアセトニトリル(18.9g、0.06mol)に加えた。
生じた橙色溶液を撹拌し、130℃で3時間加熱した。反応物を0℃に冷却し、
氷水(150mL)に注ぎ入れて、水酸化アンモニウムで中和した。有機物をク
ロロホルム(3×100mL)で抽出し、一緒にして、食塩水(2×50mL)
で洗浄した。有機物を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮して、黄‐橙色固
体を得た。固体を高温のヘキサン(100mL)と共に30分間撹拌し、濾過し
た。ジクロロメタン/ヘキサンからの結晶化により、ビス(4‐フルオロフェニ
ル)フェニルアセトアミド(3)を白色結晶固体として得た(16.9g、0.
052mol、87%)。
1.4 化合物5の調製
市販されている前駆物質から4段階で、66%の収率で化合物5を調製した。
1.4a ビス(4‐フルオロフェニル)‐2‐フルオロフェニルメタノール
の合成
p‐臭化フルオロフェニルマグネシウム(124mL、0.12mol)を、
t‐ブチルメチルエーテル中の2,4’‐ジフルオロベンゾフェノン(24.5
g、0.11mol)の撹拌溶液(100mL)に室温で滴下して加えた。添加
が完了したあと、反応液を還流で3時間加熱した。溶液を室温に冷却し、氷冷1
.0M HCl(水溶液)(100mL)に注ぎ入れた。有機物をEtOAc(
3×70mL)で抽出し、乾燥した(NaSO)。減圧下で濃縮して、所望
する生成物、ビス(4‐フルオロフェニル)‐2‐フルオロフェニルメタノール
を淡黄色油として入手し、それをさらに精製せずに次の反応において使用した。
1.4b ビス(4‐フルオロフェニル)‐2‐フルオロフェニルアセトニト
リルの合成
塩化アセチルのジクロロメタン中20%溶液(60mL)を室温で粗ビス(4
‐フルオロフェニル)‐2‐フルオロフェニルメタノールに加えた。生じた溶液
を12時間撹拌したあと、蒸発によって溶媒を除去した。残渣にトルエン(10
0mL)を加え、蒸発させて、粗ビス(4‐フルオロフェニル)‐2‐フルオロ
フェニルクロロメタンを得、それをさらに精製せずに次の段階で使用した。
シアン化銅(12g、0.13mol)を粗物質に加え、生じた混合物を16
0℃で3時間加熱した。反応物を約110℃に冷却し、トルエン(100mL)
を加えて、混合物を10分間強く撹拌した。混合物を冷却し、短いシリカプラグ
を通して濾過し、減圧下で濃縮した。高温のヘキサン(100mL)を粗物質に
加え、混合物を30分間強く撹拌した。濾過とさらなるヘキサンでの洗浄により
、所望するビス(4‐フルオロフェニル)‐2‐フルオロフェニルアセトニトリ
ルを白色固体として得た(25.3g、70%)。
1.4c ビス(4‐フルオロフェニル)‐2‐フルオロフェニルアセトアミ
ド(5)の合成
濃硫酸(10mL)と氷酢酸(10mL)の溶液を室温でビス(4‐フルオロ
フェニル)‐2‐フルオロフェニルアセトニトリル(5.0g、0.015mo
l)に加えた。生じた橙色溶液を撹拌し、130℃で2時間加熱した。反応物を
0℃に冷却し、氷(50g)に注いだ。生じた混合物を水酸化アンモニウムの滴
下によって中和した。CHCl(100mL)を加え、有機物をさらなるC
Clで(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機分画を水(2×10
mL)と食塩水(20mL)で連続的に洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO
)、減圧下で濃縮して、黄/橙色固体を得た。固体を粉末化し、濾液に着色が
ないことが明らかになるまで高温のヘキサン(50mL)で繰り返し洗浄した。
ヘキサン/ジクロロメタンからの結晶化により、所望する生成物、ビス(4‐フ
ルオロフェニル)‐2‐フルオロフェニルアセトアミド5を白色結晶固体として
得た(4.98g、0.0145mol、94%)。
1.5 化合物16の調製
市販されている前駆物質から4段階で、11%の収率で化合物16を調製した
1.5a ビス(4‐フルオロフェニル)‐3‐フルオロフェニルメタノール
の合成
n‐ブチルリチウム(4mL、10mmol)を、ブロモ‐3‐フルオロベン
ゼン(1.75g、10mmol)のTHF(25mL)中の撹拌溶液に−78
℃で滴下して加えた。20分後、4,4’‐ベンゾフェノン(1.96g、9m
mol)を加えた。反応物を30分間かけて0℃にあたためた。塩化アンモニウ
ム飽和水溶液を加え、30分間攪拌し続けた。EtOAc(20mL)を加え、
有機物を分離して、食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥して(NaSO)、
減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(100%ヘキサン対10
0%CHCl)によって精製し、ビス(4‐フルオロフェニル)‐3‐フル
オロフェニルメタノールを得た(2.81g、92%)。
1.5b ビス(4‐フルオロフェニル)‐3‐フルオロフェニルアセトニト
リルの合成
ビス(4‐フルオロフェニル)‐3‐フルオロフェニルメタノール(999m
g、3.18mmol)を、室温で塩化アセチルのジクロロメタン中20%溶液
(10mL)に加えた。生じた紫色溶液を12時間撹拌したあと、蒸発によって
溶媒を除去した。残渣にトルエン(20mL)を加え、蒸発させて、粗ビス(4
‐フルオロフェニル)‐3‐フルオロフェニルクロロメタンを得、それをさらに
精製せずに次の段階で使用した。
シアン化銅(344mg、3.82mmol)を粗物質に加え、生じた混合物
を140℃で3時間加熱した。反応物を約110℃に冷却し、トルエン(50m
L)を加えて、混合物を10分間強く撹拌した。混合物を室温に冷却し、シリカ
の短いパッドを通して濾過し、溶媒を減圧下で除去してベージュ色の固体を得た
。高温のヘキサン(100mL)を粉末化した粗物質に加え、混合物を1時間強
く撹拌した。濾過とさらなるヘキサンでの洗浄により、ビス(4‐フルオロフェ
ニル)‐3‐フルオロフェニルアセトニトリルを白色固体として入手し、それを
さらに精製せずに使用した。
1.5c ビス(4‐フルオロフェニル)‐3‐フルオロフェニルアセトアミ
ド(16)の合成
濃硫酸(10mL)と氷酢酸(10mL)の溶液を室温でビス(4‐フルオロ
フェニル)‐3‐フルオロフェニルアセトニトリル(3.18mmol)に加え
た。生じた橙色溶液を撹拌し、130℃で3時間加熱した。反応物を0℃に冷却
し、氷水(50mL)に注ぎ入れて、水酸化アンモニウムで中和した。有機物を
クロロホルムで(3×50mL)で抽出した。有機分画を一緒にして食塩水(2
×20mL)で洗浄し、乾燥して(NaSO)、減圧下で濃縮して黄‐橙色
固体を得た。固体を高温のヘキサン(50mL)と共に30分間撹拌し、濾過し
た。ジクロロメタン/ヘキサンからの結晶化により、所望する生成物、ビス(4
‐フルオロフェニル)‐3‐フルオロフェニルアセトアミド16を白色結晶固体
として得た(147mg、0.43mmol、11%、4段階)。
1.6 H及び19F NMR分光法及び融点による化合物の特性指摘
本発明の化合物をHと19F NMR分光法の組合せによって特性付け、化
合物の融点を測定した。
1: H NMR Г (CHCl): 7.39−7.26 (8H,
m), 7.15−6.90 (5H, m), 5.83 (1H, br
s), 5.72 (1H, brs); 19F NMR Г (CHCl
): −103.4 (1F, s), −115.8 (1F, s); m
.p 180−181℃.

2: H NMR Г (CHCl): 7.37−7.28 (6H,
m), 7.15−7.05 (2H, m), 6.93 (1H, dt
, J=8 and 2 Hz), 5.90 (1H, brs), 5.6
8 (1H, brs); 19F NMR Г (CHCl): −103
.4 (1F, m); m.p 210℃.

3: H NMR Г (CHCl): 7.37−7.20 (9H,
m), 7.04−6.91 (4H, m), 5.81 (1H, br
s), 5.71 (1H, brs); 19F NMR Г (CHCl
): −115.7 (2F, m); m.p 180−181℃.

4: H NMR Г (CHCl): 7.37−7.24 (12H
, m), 6.97 (2H, t, J=8.5 Hz), 5.83 (
1H, brs), 5.75 (1H, brs); 19F NMR Г
(CHCl): −116.2 (1F, s); m.p 193−194
℃.

5: H NMR Г (CHCl): 7.41−7.34 (1H,
m), 7.29−7.23 (4H, m), 7.16 (1H, dd
d, J=18.1, 8.1 and 1.2 Hz), 7.15 (1H
, d, J=7.7 Hz), 7.05−6.97 (4H, m), 6
.93−6.87 (1H, dt, J=8.0 and 1.4 Hz),
5.90 (1H, brs), 5.74 (1H, brs); 19
NMR Г (CHCl): −103.3 (1F, s), −115
.5 (2F, s); m.p 168−169℃.

6: H NMR Г (CHCl): 7.64−7.54 (4H,
m), 7.40−7.34 (6H, m), 5.70 (2H, br
s); 19F NMR Г (CHCl): 137.3 (2F, d,
J=19.2 Hz), −155.8 (1F, t, J=21.4 H
z), −161.9 (2F, dd, J=21.4 and 17.1
Hz).

7: H NMR Г (CHCl): 7.37−7.31 (6H,
m), 7.28−7.20 (5H, m), 7.12−7.04 (2
H, m), 5.90 (1H, brs), 5.74 (1H, brs
); 19F NMR Г (CHCl): −137.8 to −137
.9 (1F, m), −140.3 to −140.4 (1F, m)
; m.p 174−175℃.

8: H NMR Г (CHCl): 7.37−7.28 (10H
, m), 6.95−6.83 (2H, m), 6.81−6.75 (
1H, m), 5.92 (1H, brs), 5.80 (H, brs
); 19F NMR Г (CHCl): −99.1 (1F, dd,
J=19.2 and 8.5 Hz), −111.6 (1F, m);
m.p 187−188℃.

9: H NMR Г (CHCl): 7.38−7.22 (7H,
m), 7.09−6.96 (6H, m), 5.83 (1H, br
s), 5.77 (1H, brs); 19F NMR Г (CHCl
): −112.6 (2F, dd, J=17.1 and 6.4 Hz
); m.p 195−196℃.

13: H NMR Г (CHCl): 7.26−7.19 (6H
, dd, J=9.0 and 5.4 Hz), 7.20−7.01 (
6H, t, J=8.7 Hz), 5.83 (1H, brs), 5.
69 (1H, brs); 19F NMR Г (CHCl): −11
5.3 (3F, s); m.p 180−181℃.

14: H NMR Г (CHCl): 7.39−7.27 (9H
, m), 7.17−7.03 (4H, m), 5.90 (1H, b
rs), 5.85 (1H, brs); 19F NMR Г (CHCl
): −102.9 (2F, s); m.p 166−167℃.

15: H NMR Г (CHCl): 7.41−7.34 (2H
, m), 7.29−7.23 (4H, m), 7.17−7.05 (
4H, m), 6.99 (2H, t, J=8.7 Hz), 5.78
(2H, brs); 19F NMR Г (CHCl): −103.
0 (2F, s), −115.9 (1F, m); m.p 187−1
88℃.

16: H NMR Г (CHCl): 7.34−7.20 (6H
, m), 7.06−6.97 (6H, m), 5.90 (1H, b
rs), 5.71 (1H, brs); 19F NMR Г (CHCl
): −112.2 (1F, dd, J=17.1 and 7.4 H
z), −115.1 to −115.2 (2F, m); m.p 16
5−166℃.

17: H NMR Г (CHCl): 7.35−7.21 (3H
, m), 7.06−6.97 (9H, m), 7.17−7.05 (
4H, m), 5.96 (1H, brs), 5.76 (1H, br
s); 19F NMR Г (CHCl): −112.2 (3F, d
d, J=17.1 and 8.5 Hz); m.p 186−188℃.
実施例2
この実施例は、生物学的媒質中での分解に対する抵抗性についての本発明の化
合物のアッセイを例示する。この実施例では、ヒト肝ミクロソームが生物学的媒
質を構成する。本発明の化合物は、非フッ素化トリフェニルメチル化合物に比べ
、ミクロソーム標本による分解に対して著明な抵抗性を示すことが認められた。
2.1 試験材料及び方法
17のフッ素化トリアリールメタン化合物、クロトリマゾール、及び塩素化ト
リアリールメタン化合物18を、ヒト肝ミクロソームの反応混合物においてイン
ビトロでの代謝安定性に関して試験した。反応混合物は1.0mg/mlのヒト
肝ミクロソーム蛋白、100mMのリン酸カリウム(pH 7.4)、10mM
の塩化マグネシウム及びNADPH生成系を含んだ。化合物を5IMの濃度で3
7℃で試験し、2時間後に混合物中に残存する無傷化合物の量をもとの残存用量
のパーセントとして計算した。
2.2 結果
この試験の結果は、本発明のフッ素化化合物が、類似非フッ素化化合物よりも
生物学的媒質中での分解に対して高い抵抗性を持つことを明らかにしている。結
果は上記の表2に示されている。
実施例3
この実施例は、ラットにおける本発明の化合物の薬物動態試験を例示する。本
発明のフッ素化化合物は、非フッ素化誘導に比べて改善されたインビボ半減期を
示すことが認められた。
3.1 試験材料及び方法
フェニル環の選択されたフルオロ置換がインビトロでの代謝安定性を上昇させ
るという所見をインビボ試験に拡大するため、ラットにおいて薬物動態試験を実
施した。化合物1、化合物3及び化合物18を、T1/2と経口でのバイオアベ
イラビリティーを調べるため、1mg/kg i.v.及び10mg/kg p
.o.の用量で3から5匹の雄性SDラットの群に投与した。血液サンプルを、
投与前からp.o.投与後24時間までの9回の時点、及び投与前からi.v.
投与後24時間までの11回の時点で採取した。サンプルを調製し、LC‐MS
/MSを用いて化合物の血漿濃度に関して分析した。
3.2 結果
インビトロでの代謝データから予想されたように、化合物18は経口でのバイ
オアベイラビリティーが極めて低く、投与後0.25時間から1時間の間に非常
に低いレベル(31〜65ng/ml)が血漿中に発現しただけであり、投与後
2時間のサンプルは検出可能なレベルを示さなかった。i.v.経路では、血流
からの排出は速やかであった。経口投与後のサンプルにおける血漿レベルが非常
に低かったため、化合物18についてはパーセントバイオアベイラビリティーを
計算することができなかった。
化合物18で得られた結果とは著しく異なって、化合物1は35%というはる
かに良好な経口バイオアベイラビリティーを有しており、化合物3についての経
口バイオアベイラビリティーは100%と計算された。
この薬物動態実験の結果は図1にグラフで示されている。
実施例4
実施例4は、本発明の化合物による赤血球中のカルシウム活性化カリウムチャ
ンネル、ガルドスチャンネルの阻害を測定するためのバイオアッセイを述べる。
4.1 試験材料及び方法
ヘパリン化全血を修正フラックス緩衝液(MFB:140mM NaCl;5
mM KCl;10mM Tris;0.1mM EGTA;pH=7.4)で
3回洗浄した。次に洗浄した細胞を86Rb(5μCi/mL)と共に3時間イ
ンキュベーションした。このインキュベーション期間後、RBCを低温MFBで
3回洗浄した。洗浄した86Rb負荷RBCを本発明の被験化合物と共に10分
間インキュベーションした。その後、10mM CaCl及び100μMのカ
ルシウムイオノフォア、A23187を含むMFB溶液20μL/mLを加えて
86Rbフラックスを開始させた。これにより、インキュベーション媒質中に2
00μM CaCl及び2μM A23187の最終濃度を生じた。細胞を1
0分間インキュベーションし、遠心沈殿させて、上清を取り除いた。サンプルを
Wallace Microbeta液体シンチレーションカウンターにおいて
Cerenkov放射により計数した。RBCを水で溶解し、エタノール:クロ
ロホルムの50:50混合物を使用して蛋白を沈殿させることにより、総RBC
86Rb含量を測定した。20分間ミクロフュージ遠心(microfuge
spin)したあと、水層と有機層を分離し、水層を取り出して計数した。外
向きフラックスを最初の細胞の86Rb含量のパーセンテージで表わす。
4.2 上述したバイオアッセイは、本発明の化合物がガルドスチャンネルの
優れた阻害因子であることを明らかにした。阻害試験についての数字上の結果は
上記の表2に示されている。
ここで述べた実施例と実施態様が例示のためだけのものであって、当業者には
それに照らした様々な修正又は変更が示唆され、それらは本出願の精神と範囲内
に包含されること、そして付属の特許請求の範囲内とみなされることは明白であ
る。ここで引用したすべての出版物、特許及び特許願は、あらゆる目的のために
その全体が参照してここに組み込まれる。
図1は、化合物1(i.v.(◆)、経口(▲))、化合物3(i.v.(*)、経口(●))及び化合物18(i.v.(■)、経口(×))に関する経時的な平均血漿濃度をプロットしたものである。用量は、i.v.(1mg/kg)と経口(10mg/kg)であった。

Claims (1)

  1. 化学式Iで定義される化合物であって、明細書にて例として表示されている化合物。
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