JP2007261463A - 車載カメラのキャリブレーションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】車載カメラのキャリブレーションシステムにおいて、自動操作によってパラメータを調整することができるものとする。
【解決手段】車両200の上方に設置されて、車両200の周囲にマーカM(指標)を投影するプロジェクタ10と、マーカMおよび車両200を撮影する位置検出用カメラ20(上方カメラ)と、車載カメラ210で撮影された第1画像座標系におけるマーカMの位置と実空間座標系(ワールド座標系)におけるマーカMの位置との対応関係に基づいて、車載カメラ210の設置パラメータをキャリブレーション処理する演算処理専用コンピュータ30(演算手段)と、得られた実際の設置パラメータを記憶媒体に記憶させる記憶装置50(記憶手段)と、車載カメラ210の映像を無線送受信する2つの無線電送装置60,70(第1の無線伝送手段、第2の無線伝送手段)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車載カメラのキャリブレーションシステムに関する。
自動車にカメラおよびモニタが設置され、カメラで撮影された車両周囲の映像に基づいた映像情報などを車室内のモニタに表示して、運転操作時の利便性を向上させる技術が各種提案されている。
このような車載カメラシステムは、当初は、運転者に対して、死角となる領域の映像を視認可能とさせることのみを目的としていたため、カメラで撮影された映像(実カメラ映像)をそのままモニタに表示するに過ぎなかった。
また、車載カメラとして、車の前方を撮影するフロントカメラ、後方を撮影するリアカメラ、側方を撮影するサイドカメラなど、複数のカメラを備え、各カメラで撮影された映像を切り替えて表示したり、1つの画面の表示領域を分割し、分割して得られた各表示領域ごとに、これらの映像を別個に表示することが行われている。
さらに、モニタ上で、実カメラ映像に車両の予測軌跡を重畳表示したり、上述した複数の映像をそれぞれ例えば車両の真上から視た擬似的な映像に変換する、いわゆる視点変換処理を施した上で、これら複数の映像をシームレスに繋げて、いわゆる俯瞰映像を得る技術も提案されている。
このような予測軌跡等の表示や、俯瞰映像を表示しようとする場合、車両に対するカメラの設置位置や設置姿勢(車両の前後方向、幅方向、鉛直方向の各軸回りのカメラの光軸の角度)というカメラパラメータを精度よく調整する必要がある。
カメラパラメータには、カメラの焦点距離、矩形画素の縦横比、画像中心、レンズ歪等の内部要素を示す内部パラメータと、上述した設置位置や設置姿勢を特定する外部パラメータ(対車両の設置パラメータ)とがある。一般に内部パラメータは、カメラ単体ですでに調整済みであるが、外部パラメータは、カメラを車両に設置した後に調整する必要がある。
この外部パラメータの調整を行うことが、キャリブレーション処理であり、このキャリブレーション処理の技術として、車両の製造ラインに、平面状の校正指標(長方形)を配置し、これを車載カメラで撮影し、この撮影された実カメラ映像に、予め設計的に設定されたデフォルトの外部パラメータに基づいて校正指標を撮影したとしたら得られるであろう基準マーカの映像をモニタ上に重畳表示し、基準マーカが実カメラ映像に一致するように、外部パラメータをキャリブレーションすることが提案されている(特許文献1)。
特許第3551290号公報
しかし、特許文献1による技術は、キャリブレーション操作を手動で行う必要があり、操作には熟練が必要である。つまり、モニタ上で基準マーカが実カメラ映像に一致するように外部パラメータを調整するには、複数の外部パラメータをそれぞれ適切に調整する必要があり、どのパラメータをどの程度調整すれば、基準マーカがどのように変位するかを熟知している必要がある。
特に、複数の車載カメラを有する車両では、調整作業が煩雑となり、所要時間も長くなって、個々の作業時間が限定されている製造ライン上での調整は困難である。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、自動操作によってパラメータを調整することができる車載カメラのキャリブレーションシステムを提供することを目的とする。
本発明に係る車載カメラのキャリブレーションシステムは、車両の上方に設置されたプロジェクタから車両の周囲に投影された指標を、同じく車両の上方に設置された上方カメラによって撮影し、一方、車両に対する設置パラメータに依存した車載カメラで、同じ指標を撮影し、両カメラで撮影された指標同士の対応関係を、演算手段によって比較することで、設置パラメータを自動的に調整するものである。
すなわち、本発明に係る車載カメラのキャリブレーションシステムは、車両に対して所定の設置パラメータを以て設置された車載カメラで、前記車両の周囲に配置された実空間座標系における位置が既知の指標を撮影して得られた、前記設置パラメータに依存した画像座標系における前記指標の位置と、該指標の前記実空間座標系における既知の位置との対応関係に基づいて、前記設置パラメータをキャリブレーション処理する演算手段と、前記キャリブレーション処理の結果を保存する記憶手段と、を備えた車載カメラのキャリブレーションシステムにおいて、前記車両の上方に設置されて、前記指標を前記車両の周囲に投影するプロジェクタと、前記車両の上方に設置されて、前記プロジェクタによって投影された前記指標および前記車両を撮影する上方カメラとを備え、前記演算手段は、前記上方カメラで撮影して得られた前記車両の位置を基準とした前記上方カメラで撮影して得られた前記指標の位置を、前記実空間座標系における既知の位置として求めるものであることを特徴とする。
ここで、設置パラメータは、車両に対する車載カメラの設置姿勢を特定する外部パラメータを意味し、具体的には例えば、実空間座標系の独立した3つの基準軸に対する車載カメラの光軸の向きを表す角度などであり、ロール角、チルト角、パン角などを適用することができる。
本発明に係る車載カメラのキャリブレーションシステムによれば、自動操作によってパラメータを調整することができる。
以下、本発明に係る車載カメラのキャリブレーションシステムの最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態の概要)
車両に設置されて、車両の周囲を撮影するカメラにおいては、設置位置および設置姿勢(角度)という設置状態を特定する設置パラメータがあるが、車両に対するカメラの設置位置の誤差は、当該カメラによって撮影された映像(この映像を構成する各フレームを画像という。)における各対象画像部分の位置精度に大きな影響を及ぼさない。
一方、設置姿勢の誤差は、撮影された画像における各対象画像部分の位置精度に大きな影響を及ぼす。特に、この画像に基づいて、視点変換処理等の位置に関係する画像処理を施した場合には、その影響は顕著なものとなる。
このため、本実施形態のキャリブレーションシステムは、以下、設置姿勢を特定するパラメータをキャリブレーション処理するものである。
(実施形態の構成)
図1は本発明の一実施形態に係る車載カメラ210のキャリブレーションシステム100を示すブロック図、図2は図1に示したキャリブレーションシステム100によってキャリブレーション処理される車載カメラが設置された車両200と、キャリブレーションシステム100との位置関係を示す模式図、図3は図2に示した車両200に設置された4つの車載カメラ210(リヤカメラ211、フロントカメラ212、左サイドカメラ213、右サイドカメラ214)の位置関係を示す平面図である。
ここで、図3に示すように、リヤカメラ211は車両200の後方を撮影し、フロントカメラ212は車両200の前方を撮影し、左サイドカメラ213車両200の左方を撮影し、右サイドカメラ214車両200の右方を撮影するように設置されている。
そして、これらの各車載カメラ210は、車両200に対し、理想的には、それぞれ予め設定されたデフォルトの設置パラメータを以て車両200に設置されるが、実際には設置許容差や部品誤差、組立て誤差があるため、このデフォルトの設置パラメータを実際の設置パラメータとなるようにキャリブレーション処理する必要がある。
図1に示すように、車両200には、リヤカメラ211、フロントカメラ212、左サイドカメラ213、右サイドカメラ214がそれぞれ撮影した映像信号の入力を切替処理したり、表示画面を分割して複数映像を同時並列的に表示処理したり、車両200の予測軌跡を重畳表示処理(スーパーインポーズ)したり、俯瞰映像を表示処理するなどの、映像処理する映像処理装置220と、ナビゲーションシステム230と、映像処理装置220によって処理された映像やナビゲーションシステム230の地図画像等を表示する車載モニタ240とを備えている。
ナビゲーションシステム230には、CD−ROMやメモリカード等の記憶媒体に記憶された車載カメラ210の設置パラメータやマッピングデータを読み出すデータ読出部(CD−ROMドライブやメモリカードスロット)が設けられている。
車両200は、図2に示したように、車両200の製造ライン400上に配置されている。なお、車両の配置部分および車両の周囲は、水平面に保たれているものとする。
本実施形態に係る車載カメラ210のキャリブレーションシステム100は、図2に示すように、車両200の上方に設置されて、車両200の周囲(水平面)に所定のキャリブレーション用マーカM(指標)をマトリックス状に投影するプロジェクタ10と、同じく車両200の上方であってプロジェクタ10の近傍に設置され、プロジェクタ10によって投影されたマーカMおよび車両200を撮影する位置検出用カメラ20(上方カメラ)と、車載カメラ210で撮影して得られた、設置パラメータに依存した第1画像座標系におけるマーカMの位置(第1画像座標系位置)と、マーカMの実空間座標系における位置(実空間座標系位置)との対応関係に基づいて、設置パラメータをキャリブレーション処理する演算処理専用コンピュータ30(演算手段)と、キャリブレーション処理によって得られた実際の設置パラメータを、CD−ROMやメモリカード等の記憶媒体に記憶させる記憶装置50(記憶手段)と、車載カメラ210で撮影して得られた映像を、車両200の外部に無線送出する第1の無線電送装置60(第1の無線伝送手段)と、第1の無線電送装置60から無線送出された車載カメラ210の映像を無線受信する第2の無線電送装置70(第2の無線伝送手段)と、第2の無線電送装置70で受信した車載カメラ210の映像および位置検出用カメラ20の映像を択一的に切り替えた上で、入力されるいずれかの映像を、時系列的に連らなるデジタル静止画像として取り込む映像キャプチャー装置21と、これら各装置を制御するコンピュータ40とを備えた構成である。
ここで、第1の無線伝送装置60は、車両200の映像処理装置220に接続されているが、この第1の無線伝送装置60は車両200に常時接続されているのではなく、本実施形態のキャリブレーションシステム100によりキャリブレーション処理を行うときにのみ接続され、キャリブレーション処理の終了後は、車両200から取り外される。すなわち、第1の無線伝送装置60は、車両200に対して着脱自在とされている。
コンピュータ40は、具体的には、プロジェクタ10が投影するマーカMを作成し、また、4つの車載カメラ210のうちいずれか1つの映像に入力を切り替える信号を発生し、また、映像キャプチャー装置21から入力された静止画像に基づいて、マーカMの座標位置(第1画像座標系位置および後述する第2画像座標系位置)を求める処理を行う。
マーカMの作成処理には、プロジェクタ10によって投影される位置を補正したマーカMを生成したり、複数のマーカMを1個ずつ順次投影させる処理なども含む。
マーカMの投影位置の補正は、位置検出用カメラ20で撮影して得られたマーカMの位置に基づいて行われ、この機能面から、コンピュータ40は本発明のキャリブレーションシステムにおける投影位置補正手段に相当する。
図4は、プロジェクタ10が投影するマーカM群の投影例を示す模式図である。同図において、マトリックス状に投影された各マーカMは、黒丸形状で表されているが、プロジェクタ10が投影するマーカMは、コンピュータ40を使って自由に作成することができるため、色や形状の異なる多種多様なマーカMを投影することができ、図示した投影例のものに限定されるものではない。
また、このプロジェクタ10が製造ライン400上に投影した各マーカMの映像は、位置検出用カメラ20によって撮影され、このカメラ20で撮影された各マーカMの映像は、映像キャプチャ装置21により静止画像としてコンピュータ40に入力され、コンピュータ40は、各マーカMの、位置検出用カメラ20による第2画像座標系における位置(第2画像座標系位置)を検出する。
各マーカMの位置検出は、輝点検出や暗点検出などの公知の検出処理を適用することができる。
ここで、実空間座標系を、以下、ワールド座標系と称するものとすると、ワールド座標系と第2画像座標系とは、製造ライン400に対する位置検出カメラ20の設置位置や設置姿勢等の外部パラメータ、および位置検出カメラ20の内部パラメータに応じた対応関係を特定することができ、内部パラメータは一般に所望とする精度を有しており、また、内部パラメータに誤差が存在しても、外部パラメータのキャリブレーション処理によって、内部パラメータも含めたパラメータ全体を調整することができる。
したがって、製造ライン400に位置検出カメラ20やプロジェクタ10を設置した直後の最初の1回だけ、位置検出用カメラ20のキャリブレーション処理を行うことで、ワールド座標系と第2画像座標系との対応関係を特定することができ、その後に、プロジェクタ10が製造ライン400上に投影した各マーカMの静止画像のワールド座標系における位置(ワールド座標系位置)は、コンピュータ40が各マーカMの第2画像座標系位置を検出することで、既知となる。
なお、本実施形態のキャリブレーションシステム100におけるワールド座標系は、後述するように、製造ライン400上に配置された車両200の特定位置を原点とし、ワールド座標系の独立した3軸のうち2軸は、その配置された車両200の配置向きに依存したものとなるため、位置検出カメラ20によって、製造ライン400上に配置された車両200および投影されたマーカMを撮影し、コンピュータ40がこれらの第2画像座標系位置を検出したときに、各マーカMのワールド座標系位置を特定することができる。
実空間に投影された各マーカMのワールド座標系位置は、位置検出用カメラ20により撮影されることで第2画像座標系位置に変換され、一方、実空間に投影された各マーカMのワールド座標系位置は、未知の設置パラメータに依存した車載カメラ210で撮影されることで第1画像座標系位置に変換され、演算処理専用コンピュータ30が、この第1画像座標系位置と第2画像座標系位置とを比較対照することにより、換言すれば、ワールド座標系位置との対応関係が未知の第1画像座標系位置と、ワールド座標系位置との対応関係が既知の第2画像座標系位置との関係を求めることにより、ワールド座標系位置と第2画像座標系位置との対応関係、すなわち車載カメラ210の実際の設置パラメータを特定する。
ワールド座標系の原点の位置O、およびワールド座標系XYZを規定する独立した3軸X,Y,Zのうちの2軸X,Yは、以下のようにして、コンピュータ40によって求められる。
すなわち、位置検出用カメラ20が、製造ライン400上の概略規定位置に配置された車両200を、図5に示すように撮影し、撮影されたこの車両200を含む映像は映像キャプチャ装置21によって静止画像としてコンピュータ40に入力され、コンピュータ40は、車両200を含む画像に基づいた画像処理により、車両200の後端直線Aおよび右側端直線B(後端直線Aに直交するものとする。)を検出する。
そして、後端直線A、右側端直線Bを、それぞれワールド座標系XYZのY軸、X軸として設定し、後端直線Aと右側端直線Bとの交点を、ワールド座標系XYZの原点の位置Oとして規定し、これによってワールド座標系XYZを一義的に規定する。
各マーカMの第2画像座標系位置(U,V,W)は、コンピュータ40によって検出されており、かつワールド座標系XYZと第2画像座標系UVWとの対応関係は、原点の位置Oおよび各軸X,Yが規定された時点で既知となるため、各マーカMのワールド座標系位置(X,Y,Z)が求められる。
一方、車載カメラ210が、製造ライン400上の概略規定位置に配置された車両200を、図5に示すように撮影し、撮影されたこの車両200を含む映像は映像キャプチャ装置21によって静止画像としてコンピュータ40に入力され、コンピュータ40は、車両200を含む画像に基づいた画像認識処理により、車両200の後端直線Aおよび右側端直線B(後端直線Aに直交するものとする。)を検出する。
そして、後端直線A、右側端直線Bを、それぞれワールド座標系XYZのY軸、X軸として設定し、後端直線Aと右側端直線Bとの交点を、ワールド座標系XYZの原点Oの位置として規定し、これによってワールド座標系XYZを一義的に規定する。なお、Z軸は紙面に直交する方向であって、車両200の上下方向に沿った向きに延びている。
各マーカMの第2画像座標系位置UVWは、コンピュータ40によって検出されており、かつワールド座標系XYZと第2画像座標系位置UVWとの対応関係は、原点の位置Oおよび各軸X,Yが規定された時点で既知となるため、図6に示す各マーカMのワールド座標系位置(X,Y,Z)が求められる。
さらに、車両200のどの位置に車載カメラ210が設置されているか(設置位置)が既知であることを前提として、車載カメラ210のワールド座標系位置も求められる。
ところで、車両200の形状が、後端直線Aや右側端直線Bを簡単に検出することができるものでない場合には、図8に示すように、車両200の既知の複数の位置にそれぞれ、車両位置検出用マーカNを予め設置しておき、これら車両位置検出用マーカNを前述したマーカMの検出要領で検出することにより、車両200の配置位置および配置向きを検出するようにしてもよい。
一方、車載カメラ210(例えばリヤカメラ211)によって撮影された各マーカMの映像は、リヤカメラ211の実際の設置パラメータに依存して規定された第1画像座標系EFG(G軸は紙面に直交する向きに延びている。)において、例えば図7に示すように展開される。
そして、この第1画像座標系EFGの各マーカMの映像は、第1無線電送装置60から車両200の外部に送出され、車両200外部に配置されたの第2無線電送装置70がこの映像を受信し、映像キャプチャ装置21によって静止画像としてコンピュータ40に入力され、コンピュータ40は、前述した輝点検出や暗点検出等の検出処理によって、各マーカMの第1画像座標系位置(E,F,G)を検出する。
演算処理専用コンピュータ30は、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介してコンピュータ40に接続されており、コンピュータ40が求めた各マーカMのワールド座標系位置(X,Y,Z)と第1画像座標系位置(E,F,G)とに基づいて、各車載カメラ210の実際の設置パラメータを求め、記憶装置50が、この演算処理専用コンピュータ30によって得られた実際の設置パラメータを、CD−ROMやメモリカードなどの記憶媒体に記憶させ、この実際の設置パラメータが記憶されたCD−ROM等記憶媒体を、車両200に搭載されたナビゲーションシステム230のCD−ROMドライブやメモリカードスロットに装填し、この記憶媒体に記憶されている実際の設置パラメータを映像処理装置220の内部メモリ等に記憶させておき、各車載カメラ210から入力された映像に対して、映像処理装置220が、その内部メモリに記憶された実際の設置パラメータに応じた映像処理を施す。
この実際の設置パラメータは、キャリブレーション処理済みの設置パラメータであるため、車載カメラ210の映像を各種変換処理しても、変換処理後の座標系においても、十分に高い精度を維持することができる。
(実施形態の作用、効果)
次に、本実施形態に係る車載カメラ210のキャリブレーションシステム100の作用について、図9、図10および図11に示したフローチャートにしたがって説明する。
<イニシャライズ処理>
なお、図9のフローチャートに示した処理工程は、このキャリブレーションシステム100を車両200の製造ライン400に導入した後の少なくとも最初の1回だけは実施する必要があるイニシャライズ処理(マーカ位置確定前処理)であり、各マーカMの投影位置を補正する処理や、マーカMが投影されるワールド座標系XYZのXY平面と第2画像座標系UVWと対応関係を予め求めておくための処理である。
このイニシャライズ処理は、システム100の導入時だけに限るものではなく、例えばシステム100の起動の都度、若しくは一日1回のシステム100の最初の起動時、またはその他の定期的な起動の都度、行うようにしてもよい。
まず最初(システム100の導入時、またはシステム100の定期的な起動時等)に、コンピュータ40がマトリックス状配列のマーカMを作成し(#1)、この作成されたマーカMはプロジェクタ10によって製造ライン400に投影され(#2)、投影されたマーカMは位置検出用カメラ20によって撮影され、この撮影された映像は映像キャプチャー装置21によって静止画像としてキャプチャーされる(#3)。
ステップ3(#3)でキャプチャーされた静止画像はコンピュータ40に入力され、コンピュータ40は、キャプチャーされた静止画像から各マーカMを検出する。そして、コンピュータ40は、作成したマーカMの原本と、キャプチャーされた静止画像におけるマーカMとの位置関係を比較照合し、プロジェクタ10によるマーカMの投影時の歪みを検出し、この歪みを解消する補正式を求める(#4)。
そして、求められた補正式に基づいて、コンピュータ40は、キャプチャーされるマーカMが、作成されたマーカM通りの位置に配置されたものとなるように、作成するマーカMの原本に予め逆補正を施す(#5)。この結果、車両200の製造ライン400には、歪みが無く精度の高いマトリックス配列のマーカMが投影される(#6)。
このように投影された歪みの無いマトリックス配列のマーカMは、位置検出用カメラ20によって撮影され、この撮影された映像は映像キャプチャー装置21によって静止画像としてキャプチャーされる(#7)。
次いで、コンピュータ40に付属するシステムモニタ(図示せず)上において、キャプチャーされた静止画像に含まれる複数のマーカMのうち、少なくとも2つのマーカMを選択し(選択することなく予め決めておいてもよく、その場合は、システムモニタも不要である。)、コンピュータ40は、選択された2つ以上のマーカMの、この静止画像上(第2画像座標系)における各位置を算出し(#8)、さらに、この算出された各マーカMの第2画像座標系位置に基づいて、第2画像座標系におけるマーカM間の距離が算出される(#9)。
一方、ステップ8(#8)で選択された2つ以上のマーカM間の実空間座標系(ワールド座標系)における距離、すなわち製造ライン400上における当該マーカM間の実測距離がコンピュータ40に入力され(#10)、コンピュータ40に入力されたマーカM間の実測距離(ワールド座標系)と、コンピュータ40が算出した第2画像座標系におけるマーカM間の距離とに基づいて、演算処理専用コンピュータ30が、両者間の拡縮倍率を算出する。
この算出された拡縮倍率が、ワールド座標系と第2画像座標系との対応関係を表すものとなる。
なお、ステップ10(#10)において、製造ライン400上における当該マーカM間の距離の実測操作は、イニシャライズ処理を含む全て処理工程において、唯一の手動操作である。なお、この手動操作は、あくまでイニシャライズ処理においてなされるに過ぎず、キャリブレーション処理自体における操作ではない。
<キャリブレーション処理>
次に、本実施形態に係る車載カメラ210のキャリブレーションシステム100によるキャリブレーション処理について、図10および図11を参照して説明する。
まず、車両200を、製造ライン400上の概略規定位置に停止させ(#11)、位置検出用カメラ20によって撮影され、この撮影された映像は映像キャプチャー装置21によって静止画像としてキャプチャーされ(#12)、このキャプチャーされた静止画像はコンピュータ40に入力され、コンピュータ40は、キャプチャーされた静止画像に基づいて画像認識処理により、図5に示した車両200の後端直線Aおよび右側端直線B(後端直線Aに直交するものとする。)を検出して、第2画像座標系における車両200の位置および向きを検出する(#13)とともに、車両200を基準としたワールド座標系XYZを一義的に規定する(#14)。
次いで、コンピュータ40から、4つの車載カメラ210のうち1つ(例えばリヤカメラ211)を選択するカメラ切替信号が第2無線伝送装置70に出力され、このカメラ切替信号は、第2無線伝送装置70から第1無線電送装置60に無線伝送され、第1無線電送装置60は、受信したカメラ切替信号を映像処理装置220に送出する(#15)。これにより車両200の4つの車載カメラ210のうちリヤカメラ211によって撮影された映像が、第1無線電送装置60から第2無線電送装置70に無線伝送される。
ここで、無線伝送を用いるのは、有線伝送のように有形の伝送路(電線等)が存在しないため有線伝送に比べて操作や配置の自由度が高い、という利点によるものであり、この利点を享受しない場合には、有線伝送で各信号を取り出すようにしてもよい。
なお、キャリブレーション処理において、映像処理装置220から送出される車載カメラ210の映像は、映像処理装置220による信号処理が施されていない生映像である。
次に、コンピュータ40は、プロジェクタ10を制御して、イニシャライズ処理で作成された歪みのないマトリックス配列のマーカMのうち1つだけを、製造ライン400に投影させるようにプロジェクタ10を制御し、プロジェクタ10はこの制御にしたがって、図12(b)に示すように、1つのマーカM(黒丸印で表す)だけを製造ライン400上に投影する(#16)。
ステップ16(#16)において、1つのマーカMだけを投影するのは。以下の理由による。
一般に、複数の車載カメラ210を搭載した車両200の当該車載カメラを、その車両200の製造ライン400上でキャリブレーション処理する際に問題となるのは、その処理時間の長さである。
すなわち。例えば図12(a)に示す、プロジェクタ10で投影可能の全てのマーカMを投影し、その全てのマーカMの位置(第2画像座標系位置)を画像認識処理によって検出するには、長時間を要する。
さらに、プロジェクタ10が投影した全てのマーカMの第2画像座標系位置を、対応関係に基づいてワールド座標系位置に変換するのも煩雑な演算処理となり、設置されている車載カメラ210の数だけ、上述したキャリブレーション処理を繰り返した場合、マーカMの位置検出だけで、製造ライン400上での実用的な許容時間を超える可能性がある。
そこで、本実施形態においては、図12(b)に示すように、マーカMを1つずつ投影する手法を採用している。なお、図12(b)において、白丸印で示したマーカMは、実際には投影されていない。
しかも、車載カメラ210(リヤカメラ211)によって撮影された第1画像座標系におけるマーカMの位置をコンピュータ40が検出するに際しても、投影されているマーカMが1つであれば、図13に示すように、検出対象範囲(スキャン範囲)を大幅に狭めることができ、マーカMの検出に要する時間を大幅に短縮することができる。
そして、ワールド座標系におけるマーカMと第1画像座標系におけるマーカMとを対応させるに際しても、それぞれの座標系で検出されるマーカMは1つずつであるため、それぞれの座標系で検出されるマーカMが複数個ずつである場合のように対応するマーカMの組を誤る虞がない。
以上のように、プロジェクタ10がマーカMを1つずつ投影し(#16)、投影された1つのマーカMをリヤカメラ211で撮影して得られた映像(第1画像座標系上に展開された映像)を、第1無線伝送装置60によって第2無線電送装置70に無線伝送し(#17)、第2無線電送装置70が受信した映像を、映像キャプチャー装置21が静止画像としてキャプチャーして、この静止画像をコンピュータ40に送出し、コンピュータ40は、マーカMの第1画像座標系位置を検出する(#18)。
一方、プロジェクタ10製造ライン400上に投影する全てのマーカMのワールド座標系位置は、図9に示したイニシャライズ処理において既にコンピュータ40に記憶されている。
したがって、コンピュータ40は、ステップ18(#18)で検出されたマーカMの第1画像座標系位置と、このマーカMの、記憶されているワールド座標系位置とを組(ペア)にした上で、LANを介して演算処理専用コンピュータ30に受け渡す(#19)。
そして、キャリブレーション処理に必要な組数分の、マーカMの第1画像座標系位置を取得するまで、上述したステップ16(#16)からステップ19(#19)の処理を繰り返す(#20において″No″)。
キャリブレーション処理に必要な組数分の、マーカMの第1画像座標系位置を取得した後(#20において″Yes″)は、コンピュータ40から、映像を送出する車載カメラ210を、リヤカメラ211からフロントカメラ212に切り替えて、上述したステップ16(#16)からステップ19(#19)の処理を繰り返す(#20において″No″)。
さらに、フロントカメラ212によるマーカMの検出処理(#16〜#19)が終了した後は、左サイドカメラ213について同様に処理を繰り返し、次いで、右サイドカメラ214についても同様の処理を繰り返す(#21)。
全ての車載カメラ210について、それぞれ必要組数のマーカMの第1画像座標系位置の取得が完了すると、製造ライン400上におけるデータ収集処理は終了し、車両200は製造ライン400上から退避させてもよい。
次いで、演算処理専用コンピュータ30は、コンピュータ40から入力された、各車載カメラ210ごとの、各マーカMについてのワールド座標系位置と第1画像座標系位置との組に基づいて、各マーカMについてのワールド座標系位置と第1画像座標系位置と対応関係を求め、これにより各車載カメラ210ごとのワールド座標系位置と第1画像座標系位置と対応関係、すなわち各車載カメラの実際の設置パラメータが求められる(#22)。
なお、演算処理専用コンピュータ30が、俯瞰映像を得るための、いわゆる視点変換処理等のマッピング処理を行うように構成されているシステム100においては、演算処理専用コンピュータ30は、視点変換処理のマッピングデータを作成するようにしてもよい(#22)。
各車載カメラ210ごとに得られた実際の設置パラメータやマッピングデータは、記憶装置50によってCD−ROMやメモリカード等の記憶媒体に記憶され(#23)、この実際の設置パラメータやマッピングデータが記憶されたCD−ROM等記憶媒体は、車両200に搭載されたナビゲーションシステム230のCD−ROMドライブやメモリカードスロットに装填され、この記憶媒体に記憶されている実際の設置パラメータはナビゲーションシステム230に読み込まれた上で(#24)、映像処理装置220の内部メモリ等に記憶され(#25)、以後、各車載カメラ210から入力された映像に対して、映像処理装置220が、その内部メモリに記憶された実際の設置パラメータに応じた映像処理を施す。
この実際の設置パラメータは、キャリブレーション処理済みの設置パラメータであるため、車載カメラ210の映像を各種変換処理しても、変換処理後の座標系において、十分に高い精度を維持することができる。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る車載カメラ210のキャリブレーションシステム100によれば、車載カメラ210の実際の設置パラメータを自動的にキャリブレーション処理することができる。
しかも、ワールド座標系と車載カメラ210の座標系である第1画像座標系との対応関係を求める処理は、システム100にとって演算負荷が大きく、処理時間が長く掛かる虞があるため、そのような負荷の大きい処理部分は、製造ライン400から退避した場所でバッチ処理により実施することで、システム100全体の負荷を下げることができる。
また、処理時間が長く掛からず、演算負荷が小さい処理部分、つまりマーカMの検出処理部分だけを、製造ライン400上で実施することで、製造ライン400に適したキャリブレーション処理を実現することができる。
なお、本実施形態においては、全てのマーカMが、ワールド座標系の同一平面上に投影されるものとして説明したが、マーカMの配置条件として、同一平面以外の位置(Z軸方向の異なる位置)にも配置されることが要求される場合もある。
そのような場合は、Z軸方向の高さが既知の箱等を、製造ライン400上に配置することにより、この箱の上面に投影されたマーカMは、高さ方向のデータを有するマーカMとなり、条件を満たすことができる。
本発明の一実施形態に係る車載カメラのキャリブレーションシステムを示すブロック図である。 図1に示したキャリブレーションシステムによってキャリブレーション処理される車載カメラが設置された車両と、キャリブレーションシステムとの位置関係を示す模式図である。 図2に示した車両に設置された4つの車載カメラの位置関係を示す平面図である。 プロジェクタが投影するマーカ群の投影例を示す模式図である。 製造ライン上の概略規定位置に配置された車両を、位置検出用カメラによって撮影した様子を示す模式図である。 ワールド座標系におけるマーカの配置を示す模式図である。 第1画像座標系におけるマーカの配置を示す模式図である。 車両の配置位置および向きを特定する他の方法を説明する図である。 イニシャライズ処理を説明するフローチャートである。 キャリブレーション処理を説明するフローチャート(その1)である。 キャリブレーション処理を説明するフローチャート(その2)である。 ワールド座標系において、(a)は全てのマーカを投影した状態、(b)は1つのマーカだけを投影した状態、をそれぞれ示す模式図である。 第1画像座標系において、1つのマーカだけを投影した状態を示す模式図である。
符号の説明
10 プロジェクタ
20 位置検出用カメラ(上方カメラ)
30 演算処理専用コンピュータ(演算手段)
50 記憶装置(記憶手段)
60,70 無線電送装置(第1の無線伝送手段、第2の無線伝送手段)
100 キャリブレーションシステム
200 車両
210 車載カメラ
M マーカ

Claims (3)

  1. 車両に対して所定の設置パラメータを以て設置された車載カメラで、前記車両の周囲に配置された実空間座標系における位置が既知の指標を撮影して得られた、前記設置パラメータに依存した画像座標系における前記指標の位置と、該指標の前記実空間座標系における既知の位置との対応関係に基づいて、前記設置パラメータをキャリブレーション処理する演算手段と、
    前記キャリブレーション処理の結果を保存する記憶手段と、を備えた車載カメラのキャリブレーションシステムにおいて、
    前記車両の上方に設置されて、前記指標を前記車両の周囲に投影するプロジェクタと、
    前記車両の上方に設置されて、前記プロジェクタによって投影された前記指標および前記車両を撮影する上方カメラとを備え、
    前記演算手段は、前記上方カメラで撮影して得られた前記車両の位置を基準とした前記上方カメラで撮影して得られた前記指標の位置を、前記実空間座標系における既知の位置として求めるものであることを特徴とする車載カメラのキャリブレーションシステム。
  2. 前記車載カメラで撮影して得られた映像を、前記車両の外部に無線送出する第1の無線伝送手段と、前記第1の無線電送手段から無線送出された前記車載カメラの映像を無線受信する第2の無線伝送手段とを備え、
    前記第1の無線伝送手段は前記車両に設置され、前記第2の無線伝送手段、前記演算手段および前記記憶手段は前記車両の外部に設置されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラのキャリブレーションシステム。
  3. 前記上方カメラで撮影して得られた前記指標の位置に基づいて、前記プロジェクタが投影する前記指標の投影位置を補正する投影位置補正手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車載カメラのキャリブレーションシステム。


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