JP2007261291A - ルーフ開放型車両の後部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ルーフ開放時に、後部座席の後方部位に形成されたルーフ収納室にルーフが収納されるルーフ開放型車両において、ルーフ収納室の大きさを拡大することなく後部座席周辺のゆとりあるレイアウトが可能であり、乗車居住性の向上を図ることが可能なルーフ開放型車両の後部構造を提供する。さらには、コンバーチブル・トップ車両の車体の剛性の向上にある。
【解決手段】 ルーフ開閉型車両において、後部座席57の後方に車幅方向に延設される車幅方向フレーム31と、車幅方向フレーム31の両端部に結合される側部フレーム32とを有してなり、平面形状が車両前方側に開放された略コの字状に形成されて下部が車体1に着脱自在に取付けられるフレーム構造体3を備え、後部座席57を左右両側方及び後方から囲むようにフレーム構造体3を設置し、フレーム構造体3によってその後方にルーフ収納室2を区画形成している。
【選択図】 図8

Description

本発明は、主としてルーフが開放可能なコンバーチブル・トップ車両に適用され、ルーフ開放時に、該後部座席の後方部位に形成されたルーフ収納室にルーフが収納されるルーフ開放型車両に関する。
ルーフが開放可能なコンバーチブル・トップ車両においては、ルーフを開放してオープンカー形態にする際、ルーフをルーフ駆動機構及びルーフ駆動リンクによって、後部座席の後方部位に形成されたルーフ収納室に収納するように構成されている。
このようなコンバーチブル・トップ車両の後部構造として、特許文献1(特開2005−186687号公報)、特許文献2(特許第3169937号公報)等の技術が提供されている。
特許文献1の技術では、ルーフが開放可能なコンバーチブル・トップ車両の後部座席周辺フレーム構造において、両端部が車体のサイドパネルに固定されてサイドパネルの間を車幅方向に延びるクロスバーと、該クロスバーより上方に突出する逆U字状部材とを備え、クロスバーの上部及び下部に設けられた孔部に前記逆U字状部材の端部を嵌め込んで結合するように構成されている。
また、特許文献2の技術では、回動させたルーフを車体内のルーフ収納室に収納可能なリトラクタブルハードトップ車において、ルーフを開放してオープンカー形態にする際に、ルーフを駆動するためのルーフ駆動リンクをルーフ収納室に配置している。
特開2005−186687号公報 特許第3169937号公報
しかしながら、上述した特許文献1(特開2005−186687号公報)の技術にあっては、両端部が車体のサイドパネルに固定されてサイドパネルの間を車幅方向に延びるクロスバーと、該クロスバーより上方に突出する逆U字状部材とを結合するように構成されており、両端部がサイドパネルに固定されたクロスバーと、該クロスバーより上方に突出する逆U字状部材との結合体が配設された構造となっているため、車室内が狭くなって後部座席の後方部位が窮屈になり、後部座席のゆとりあるレイアウトが困難であった。
また、上述した特許文献2(特許第3169937号公報)の技術にあっては、ルーフを駆動するためのルーフ駆動リンクが、ルーフを収納するルーフ収納室に配置されているため、ルーフ収納室の車両前後方向の長さが大きくなって、後部座席の前後スペースが小さくなり、特に後部座席側の良好な乗車居住性が得られないという問題があった。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、ルーフ開放時に、後部座席の後方部位に形成されたルーフ収納室にルーフが収納されるルーフ開放型車両において、ルーフ収納室の大きさを拡大することなく後部座席周辺のゆとりあるレイアウトが可能であり、乗車居住性の向上を図ることが可能なルーフ開放型車両の後部構造を提供することにある。さらには、コンバーチブル・トップ車両の車体の剛性の向上にある。
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、ルーフ開放時に、後部座席の後方部位に形成されたルーフ収納室にルーフが収納されるルーフ開放型車両において、前記後部座席の後方に車幅方向に延設される車幅方向フレームと、該車幅方向フレームの両端部に結合されて前記後部座席の側方において前後方向にそれぞれ延設される側部フレームとを有してなり、平面形状が車両前方側に開放された略コの字状に形成されて下部が車体に着脱自在に取付けられるフレーム構造体を備え、前記後部座席を左右両側方及び後方から囲むように前記フレーム構造体を配置し、前記フレーム構造体によってその後方に前記ルーフ収納室を区画形成している。
また、本発明において、次のように構成することが好ましい。
すなわち、前記フレーム構造体の側部フレームと車体側部構造材との間には、前記ルーフの前記ルーフ収納室への収納あるいは取出しを行うルーフ駆動リンク機構を設置するルーフ駆動リンク収納スペースが形成されている。
この場合、前記フレーム構造体の側部フレームの両側面と前記車体側部構造材との間には、車幅方向内側を前記側部フレームに連結し、かつ該連結部から車幅方向外側に延びて前記車体側部構造材に連結するL字状の取付ブラケットが介装されているのが好ましい。
さらに、本発明において、前記フレーム構造体を次のように構成することが好ましい。
(1)前記フレーム構造体は、前記側部フレームにシートベルトの支持部材が取付けられるシートベルト取付部を備えている。
(2)前記フレーム構造体は、車両の内装トリムを取付けるための内装トリム取付部を備えている。
(3)前記フレーム構造体は、後部座席のシートバックを取付けるためのシートバック取付部を備えている。
(4)後部座席のシートバックが上下2分割の可倒式シートバックに構成され、前記フレーム構造体の前記側部フレームは、前記可倒式シートバックの固定シートバック及び可倒シートバックの取付部を備えている。
上述の如く、本発明に係るルーフ開放型車両の後部構造は、後部座席の後方に車幅方向に延設される車幅方向フレームと、該車幅方向フレームの両端部に結合されて前記後部座席の側方において前後方向にそれぞれ延設される側部フレームとを有してなり、平面形状が車両前方側に開放された略コの字状に形成されて下部が車体に着脱自在に取付けられるフレーム構造体を備え、前記後部座席を左右両側方及び後方から囲むように前記フレーム構造体を配置し、前記フレーム構造体によってその後方に前記ルーフ収納室を区画形成したので、フレーム構造体の車幅方向フレームによってルーフ収納室を容易に区画形成することができるとともに、下部が車体フレームに強固に取付けられ、車両の衝突時等の衝撃に対する後部座席周辺の強度要件を確保することができる。
これにより、フレーム構造体によって後部座席周辺の強度向上を図ることができるとともに、ルーフ収納室を後部車室から容易に区画形成でき、ルーフ収納室の大きさを拡大することなく後部座席周辺のゆとりあるレイアウトが可能となり、乗車居住性を向上させたルーフ開放型車両を提供できる。
また、本発明において、前記フレーム構造体の側部フレームと車体側部構造材との間には、前記ルーフの前記ルーフ収納室への収納あるいは取出しを行うルーフ駆動リンク機構を設置するルーフ駆動リンク収納スペースが形成され、フレーム構造体の側部フレームと車体側部構造材との間には、車幅方向内側を前記側部フレームに連結し、かつ該連結部から車幅方向外側に延びて前記車体側部構造材に連結するL字状の取付けブラケットが介装されているので、ルーフ駆動リンク機構をフレーム構造体の側方のルーフ駆動リンク収納スペースにルーフ収納室のルーフと干渉することなく設置できることとなり、従来技術(特許文献2)のようなルーフ収納室にルーフ及びルーフ駆動リンク機構の双方を収納するものに比べて、ルーフ収納室の車両前後方向長さが短くなる。これにより、後部座席周辺のスペースにゆとりができて、乗車居住性を向上させることができる。
しかも、ルーフ駆動リンク機構をフレーム構造体の側方のルーフ駆動リンク収納スペースにルーフ収納室に収納されたルーフと干渉することなく設置できるので、フレーム構造体がルーフ駆動リンク機構を覆う機能を果たし、ルーフ駆動リンク機構を覆う部材が不要となり、ルーフ及びルーフ駆動リンク機構収納部の構造が簡単になる。
また、本発明において、下部が車体フレームに強固に取付けられて車両前方側に開放された略コの字状のフレーム構造体の車幅方向フレーム及び左右両側の側部フレームに設けた取付面に、シートベルトの支持部材、内装トリム、及びシートバックが取付けられるようにしたので、シートベルトの支持部材、内装トリム、及びシートバックをフレーム構造体という一つの部材に取付けることが可能となり、これらの取付構造が簡単で強固な取付構造を維持できる。
さらに、回動させたルーフを車体内のルーフ収納室に収納可能なリトラクタブルハードトップ車の場合は、内装トリムをルーフ要素と干渉させることなく、容易にフレーム構造体で支持することができる。
また、本発明において、後部座席のシートバックが上下2分割の可倒式シートバックに構成され、前記フレーム構造体の側部フレームに可倒式シートバックの固定シートバック及び可倒シートバックの取付部が設けられているので、シートバックの内部におけるシートバックフレームが不要となって、シートバックを薄くすることができる。これにより、後部座席周辺の車両前後方向空間を大きくとることができ、後部座席周辺の居住性が向上する。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は本発明が適用されるリトラクタブルハードトップ車の車体構造の概略を示し、図1は車体の概略斜視図、図2はクーペ状態(ルーフ閉鎖状態)を示す側面図、図3はオープン状態(ルーフ開放状態)を示す側面図、図4はオープン状態を示す平面図である。
図1〜図4において、1は車体、51はセンタールーフ、52はリヤルーフ、53はバックウインド、54はトランク、55はフロントウインドフレームである。
また、57は後部座席、61は車体フロア、62はキャビンバックパネルであり、後部座席57とキャビンバックパネル62との間にはルーフ収納室2が形成されている。
このようなリトラクタブルハードトップ車において、図2に示すクーペ状態(ルーフ閉鎖状態)から、図3及び図4に示すオープン状態(ルーフ開放状態)にする際には、後部座席の側方の車体に取付けられる図示しないルーフ駆動装置及びルーフ駆動リンク機構を介してセンタールーフ51、リヤルーフ52及びバックウインド53を回動させることにより、ルーフ収納室2内に収納するように構成されている。
[第1実施形態]
本発明は、図1〜図4に示すように、ルーフの開放時に、後部座席の後方部位に形成されたルーフ収納室にルーフが収納されるルーフ開放型車両における後部座席周辺の後部構造に関するものである。
図5は本発明の第1実施形態に係る後部座席周辺の側面構成図、図6は上記実施形態における後部座席周辺の前側斜め上方から見た斜視図、図7は上記実施形態における後部座席周辺の平面図、図8は上記実施形態におけるフレーム構造体の斜視図、図9は上記実施形態におけるフレーム構造体の斜視図で、シートベルトの取付け状態を示す図である。
図5〜図9において、3はフレーム構造体であり、このフレーム構造体3は、図8及び図9に示すように、車幅方向に延設される車幅方向フレーム31と、該車幅方向フレーム31の左右両端部に結合されて、後部座席57の側方において前後方向に延設されるとともに、高さ方向の下方に延設されて車体フロアに固定される側部フレーム32,32とを有してなり、平面形状が車両前方側に開放された略コの字状に形成されている。
また、フレーム構造体3には、車幅方向フレーム31の車幅方向の2箇所(複数箇所であればよい)に乗員保護用のU字状部材3aが上方に突出して設けられている。
車幅方向フレーム31の下方には、パイプフレーム3jが車幅方向に延設されており、該パイプフレーム3jの両端部を側部フレーム32,32にそれぞれ固定するとともに、その中間部が車幅方向フレーム31と高さ方向に延びる連結部材によって連結されることによりフレーム構造体3の剛性向上を図っている。後部座席後方に配置されるこのパイプフレーム3jは、図8及び図9に示すようなフレーム骨格構造で形成されており、後部座席後方のフレーム構造体3に壁を作らない構造とすることで、図13に示すように、後部座席57のシートバック57bを前側に倒して、車室内からルーフ収納室2へのアクセスを可能とし、ルーフ収納室2を荷物室として利用することができるようになっている。
上記フレーム構造体3の上部(詳細には、側部フレーム32,32の上部)には、図8及び図9に示すように、前席シートベルト64のためのショルダーアンカレッジ取付部3bが設けられている。図5〜図7に示すように、側部フレーム32,32が後部座席57の後方部位からそれぞれ前方に張出し、上記フレーム構造体3が略コの字状の形態にて後部座席57を覆うように、フレーム構造体3が配置されていることから、前席シートベルト64が後部座席の乗員の邪魔にならない位置に前席シートベルト64用のショルダーアンカレッジ取付部3bを設けることが可能となっている。また、フレーム構造体3に前席シートベルト64用の部品が取付けられることで、後述するルーフ駆動装置及びルーフ駆動リンク機構との干渉を回避でき、ルーフの開閉動作に支障とならないように構成されている。なお、図5において、57aは後部座席57のシートクッション、57bは後部座席57のシートバックである。
また、フレーム構造体3の車体フロア61への取付部3dは、当該フレーム構造体3が車体前後方向に倒れるのを回避するために4本の脚で構成されており、フレーム構造体3は、これら4本の脚からなる取付部3dをボルトで車体フロア61に固定することにより、車体フロア61に強固に取付けられるようになっている。詳細には、取付部3dとなる前記脚は、側部フレーム32,32の下方に設けられている。さらに詳細には、側部フレーム32,32の前端下方に設けられている。側部フレーム32,32が後部座席57の後方部位からそれぞれ前方に張出し、上記フレーム構造体3が略コの字状の形態にて後部座席57を覆うように、フレーム構造体3が配置されていることから、側部フレーム32,32の下方に車体への取付部を設けることで、車体フロア61への取付け位置の前後方向の間隔を確保することができて、より強固にフレーム構造体3を車体フロア61に固定することを可能としている。
フレーム構造体3は、以上のような構造を有しているので、車両の衝突時等の衝撃に十分耐え得る強度を具備し、衝撃から後部座席57の周辺の強度要件を確保することが可能となる。
上記フレーム構造体3には、後席シートベルト用ショルダーアンカレッジ取付部3c、前席シートベルト用リトラクタ取付部3f、後席シートベルト用リトラクタ取付部3gが、当該フレーム構造体3の左右両側に対をなして設けられている。このように、前席シートベルト用ショルダーアンカレッジ取付部3b、後席シートベルト用ショルダーアンカレッジ取付部3c、前席シートベルト用リトラクタ取付部3f及び後席シートベルト用リトラクタ取付部3gがフレーム構造体3に設けられていると、図9に示す前席シートベルトタング組立品64(シートベルト、リトラクタ及びアンカレッジからなる組立品)及び後席シートベルトタング組立品65を、予めフレーム構造体3に部分組立しておくことが可能になり、モジュール化されたフレーム構造体3を車体1に組付けることができる。
しかも、フレーム構造体3は、シートベルトタング組立品64及び後席シートベルトタング組立品65からの張力に十分耐え得る強度を有することになる。
図8において、3eは後述する取付ブラケット5の一端側が取付けられるブラケット取付部、3hは内装トリム14が取付けられる内装トリム取付部、3iは後部座席のシートバック57b(図5参照)が取付けられるシートバック取付部である。
図3及び図4に示される車両のオープン状態(ルーフ開放状態)では、図5のようにセンタールーフ51、リヤルーフ52、バックウインド53等のルーフ要素をルーフ収納室2内に収納するため、フレーム構造体3と車体後部50とが直接連結することができず、フレーム構造体3と車体後部50との間に、ルーフ収納室2が形成されるのに十分なスペースを取り、フレーム構造体3の下部は上記ルーフ要素と干渉しない範囲で最小限のスペースとなっている。
また、前述したように、後部座席の側方の車体には、ルーフ駆動装置及びルーフ駆動リンク機構が取付けられ、車両のクーペ状態(図2のルーフ閉鎖状態)からオープン状態(図3及び図4のルーフ開放状態)にする際には、センタールーフ51、リヤルーフ52、バックウインド53等のルーフ要素をルーフ収納室2内に収納すべくルーフ駆動装置及びルーフ駆動リンク機構を回動させるための干渉物のない空間が必要となり、かかる回動のヒンジ中心近傍及びその後方では、図7に示すように、フレーム構造体3の車幅方向フレーム31とその側方に位置する車体1とを真直ぐに連結することが困難となる。
そこで、本発明の実施形態では、フレーム構造体3とセンターピラー69との間の車幅方向のスペースを確保するため、図10(A)、(B)及び(C)に示すように、フレーム構造体3の側部フレーム32とセンターピラー69との間には、車幅方向内側を前後方向に延びる側部フレーム32に連結し、かつ該連結部から車幅方向外側に延びてセンターピラー69に連結するL字状の取付けブラケット5が介装されている。
図10(A)は図6のA−A線断面図、(B)は図6のB−B線断面図、(C)は図6のC−C線断面図である。
上記フレーム構造体3の下部は、ルーフ駆動装置及びルーフ駆動リンク機構を回動させても干渉等の影響がないため、図10(A)に示すように、4本の脚にて構成されるフレーム構造体3の取付部3dが車体フロア61に設けられた車体側の側部部材7に取付ボルト6で直接締め付け固定されている。そして、フレーム構造体3の中間部分及び上部は、図10(B)、図10(C)に示すように、ルーフ駆動装置及びルーフ駆動リンク機構の回動を勘案して、車体のサイドボデーに連結固定されている。つまり、フレーム構造体3の中間部分では、L字状の取付ブラケット5がフレーム構造体3とセンターピラー69との間に架設されて取付ボルト8で固定されており、フレーム構造体3は、L字状の取付ブラケット5を介して車体のサイドボデーに連結固定されている。L字状の取付ブラケット5は、図10(B)に示すように、フレーム構造体3の前方に張出した側部フレーム32,32の前後方向に沿った面に締め付け固定され、側部フレーム32,32よりもさらに車両前方に延出されルーフ駆動装置及びルーフ駆動リンク機構を回避し、車両前方の先端部にて車両の外方に屈曲し、車両のドア開口を構成するとともに車体を構成する骨格部材であるセンターピラー69の前面に重ねられて、取付ボルトで締め付け固定されている。
このように、フレーム構造体3の側部フレーム32とセンターピラー69等の車体側部構造材との間には、車幅方向内側を前記側部フレームに連結し、かつ該連結部から車幅方向外側に延びて車体側部構造材に連結されるL字状の取付ブラケット5が介装されているため、図7に示すように、フレーム構造体3と車体側部構造材との間に、ルーフ駆動リンク機構を設置するルーフ駆動リンク収納スペース4を形成することが可能となる。これによって、ルーフ駆動リンク機構は、フレーム構造体3の側方のルーフ駆動リンク収納スペース4に、ルーフ収納室2に収納されたルーフ要素と干渉することなく設置できることになる。
したがって、かかる構成によれば、従来技術(特許文献2)のようなルーフ収納室2にルーフ要素及びルーフ駆動リンク機構の双方を収納するものに比べて、ルーフ収納室2の車両前後方向長さを短縮でき、これによって後部座席57周辺のスペースにゆとりができて、乗車居住性を向上させることができる。
また、ルーフ駆動リンク機構は、フレーム構造体3の側方のルーフ駆動リンク収納スペース4に、ルーフ収納室2に収納されたルーフ要素と干渉することなく設置可能であるので、フレーム構造体3がルーフ駆動リンク機構を覆う機能を果たし、当該ルーフ駆動リンク機構を覆う部材が不要となり、これらルーフ要素及びルーフ駆動リンク機構収納部の構造が簡単になる。
図11は上記フレーム構造体の内装トリム取付部を示す斜視図、図12は内装トリムのフレーム構造体への取付態様を示し、(A)は図11のG−G線断面図、(B)は図11のH−H線断面図、(C)は図11のJ−J線断面図である。
このような実施形態のルーフ要素を回動させてルーフ収納室2に収納する型式のリトラクタブルハードトップ車においては、ルーフ要素との干渉のおそれがあるため、センターピラー部69よりも後方の車体パネルに内装トリムを取付けることは困難である。
そこで、本発明の実施形態においては、複数の内装トリム14a,14b,14c,14dを取付けるための内装トリム取付部がフレーム構造体3に設けられており、これによって、内装トリム14a,14b,14c,14dをルーフ要素と干渉することなく、容易にフレーム構造体3で支持することが可能となる。
すなわち、上記内装トリムのフレーム構造体3への取付態様の詳細を示す図において、上部の内装トリムの取付態様を示す図12(A)では、内装トリム14aと内装トリム14bとがクリップ11,11でフレーム構造体3に取付けられている。また、上部側方の内装トリムの取付態様を示す図12(B)では、内装トリム14cがクリップ12でフレーム構造体3に取付けられている。さらに、下部方の内装トリムの取付態様を示す図12(C)では、内装トリム14dがクリップ13でフレーム構造体3に取付けられている。
以上のように構成すれば、下部が車体1に強固に取付けられて車両前方側に開放された略コの字状に形成されたフレーム構造体3の車幅方向フレーム31及び左右両側の側部フレーム32,32に設けた取付部に、前席シートベルトタング組立品64(シートベルト、リトラクタ、及びアンカレッジからなる組立品)及び後席シートベルトタング組立品65、内装トリム14a,14b,14c,14d及びシートバック57b等の車両構成品を、フレーム構造体3という一つの部材に取付けることが可能となり、これら車両構成品の取付構造が簡単になり、かつ強固な取付構造を維持することができる。
なお、上記実施形態は、パイプ材によってフレーム構造体を形成するものであるが、パイプ材を用いるのではなくパネル材にて製造することも可能である。図14はパネル材による実施形態におけるフレーム構造体の製作説明図であって、(A)は斜視図、(B)は(A)におけるZ−Z線断面図、(C)は(A)におけるY−Y線断面図である。
上記フレーム構造体3は、図14(A)、(B)に示されるように、2枚の板材31aと31bとを重ね合わせて、強度を要する部分では31dあるいは31eのように管状に膨らませ、所定部位をスポット溶接することにより素材が製作され、各取付面を機械加工することにより形成されている。31cはスポット溶接部である。また、これら以外の部位については、スポット溶接とアーク溶接を併用して素材が製作されている。
上記のように構成されたフレーム構造体3を車体1に取付ける手順は次のようになる。
(1)先ず、センタールーフ51、リヤルーフ52、バックウインド53等からなるルーフモジュールをオープン状態(ルーフ開放状態)でセンターピラー69に取付けることにより、車体1に搭載する。
(2)次いで、4本の脚にて構成されるフレーム構造体3の取付部3dを車体フロア61にボルト締めする。
(3)しかる後、L字状の取付ブラケット5の一端側をセンターピラー69に取付ボルトによって固定するとともに、取付ブラケット5の他端側をフレーム構造体3に取付ボルトによって固定する。
以上の手順により取付ければ、フレーム構造体3を車体1に強固に固定できる。
これによって、比較的後工程でのフレーム構造体3の搭載、取付けが可能となって、他の部品の車体1への取付けが容易になり、作業能率が向上する。
以上の第1実施形態によれば、後部座席57の後方に車幅方向に延設される車幅方向フレーム31と、該車幅方向フレーム31の左右両端部に結合されて後部座席57の側方において前後方向にそれぞれ延設される側部フレーム32,32とにより、平面形状が車両前方側に開放された略コの字状のフレーム構造体3を構成しており、該フレーム構造体3の下部を車体フロア61に着脱自在に取付け、後部座席57を両側方及び後方から囲むようにフレーム構造体3を設置するとともに、フレーム構造体3によってその後方にルーフ収納室2を区画形成したので、フレーム構造体3の車幅方向フレーム31によってルーフ収納室2を容易に区画形成することができる。しかも、下部が車体1に強固に取付けられて車両前方側に開放された略コの字状のフレーム構造体3で、後部座席57を両側方及び後方から囲むように配置することによって、車両の衝突時等の衝撃から後部座席57の周辺の強度要件を確保することができる。
これにより、フレーム構造体3の設置によって後部座席57の周辺の強度向上を図るとともに、ルーフ収納室2を後部車室から容易に区画形成でき、ルーフ収納室2の大きさを拡大することなく後部座席57の周辺のゆとりあるレイアウトが可能となり、乗車居住性を向上させたルーフ開放型車両を提供できる。
[第2実施形態]
図15及び図16は、本発明のフレーム構造体3へのシートバックの取付けの第2実施形態を示し、後部座席57のシートバック57bが上下2分割の可倒式シートバックに構成された車両に上記フレーム構造体3を装着する実施形態である。図15はフレーム構造体の斜視図、図16はシートバックのフレーム構造体への取付態様を示し、(A)は図15のD−D線断面図、(B)は図15のE−E線断面図、(C)は図15のF−F線断面図である。
この第2実施形態では、図15に示すように、後部座席57のシートバック57bが上下2分割の可倒式シートバック57b1及び固定シートバック57b2によって構成されており、上方に固定シートバック57b2が配置され、車幅方向フレーム31に固定されている。また、フレーム構造体3の側部フレーム32,32には可倒式シートバックの固定シートバック57b2及び可倒シートバック57b1の取付部が設けられている。
すなわち、可倒シートバック57b1のフレーム構造体3への取付態様は、図16(A)及び(B)に示すように、シートバックストライカ3i1がフレーム構造体3のパイプフレーム3jに取付けられ、可倒シートバック57b1の上端の裏側(車両後方側)にシートバックストライカ3i1と係合可能にラッチ3i2が取付けられている。シートバック57b1の下部は、図16(C)に示すように、シートバック57bの回動軸となるヒンジセンタ(シートバック取付部)3i3がフレーム構造体3に回動可能に軸支されている。
かかる第2実施形態によれば、上記フレーム構造体3の側部フレーム32,32に可倒式シートバックの固定シートバック57b2及び可倒シートバック57b1の取付部が設けられているので、シートバック57b1,57b2の内部におけるシートバックフレームが不要となって、シートバック57b1,57b2を薄くすることができる。これにより、後部座席57の周辺の車両前後方向空間を大きくとることができ、後部座席57の周辺の居住性が向上する。また、車室内からルーフ収納室2へのアクセスを可能とし、ルーフ収納室2を荷物室として利用することができるとともに、後部座席57のシートバック57bを分割したので、比較的前後方向のスペースが狭い後部座席でも、可倒シートバック57b1をシートクッション57aの上方に完全に倒すことが可能となり、可倒シートバック57b1の背面にも荷物を載置することができる。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
本発明が適用されるリトラクタブルハードトップ車の車体構造の概略を示す車体の概略斜視図である。 上記リトラクタブルハードトップ車のクーペ状態(ルーフ閉鎖状態)を示す側面図である。 上記リトラクタブルハードトップ車のオープン状態(ルーフ開放状態)を示す側面図である。 上記リトラクタブルハードトップ車のオープン状態を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る後部座席周辺を示す側面図である。 上記第1実施形態における後部座席周辺の前側斜め上方から見た斜視図である。 上記第1実施形態における後部座席周辺を示す平面図である。 上記第1実施形態におけるフレーム構造体を示す斜視図である 上記第1実施形態におけるフレーム構造体の斜視図であって、シートベルトの取付け状態を示す図である。 上記第1実施形態における部分断面図であって、(A)は図6のA−A線断面図、(B)は図6のB−B線断面図、(C)は図6のC−C線断面図である。 上記第1実施形態におけるフレーム構造体の内装トリム取付部を示す斜視図である。 上記第1実施形態における内装トリムのフレーム構造体への取付態様を示し、(A)は図11のG−G線断面図、(B)は図11のH−H線断面図、(C)は図11のJ−J線断面図である。 上記第1実施形態におけるシートバックを倒したときの状態を示す斜視図である。 上記第1実施形態におけるフレーム構造体の製作説明図であって、(A)は斜視図、(B)は(A)におけるZ−Z線断面図、(B)は(A)におけるY−Y線断面である。 本発明の第2実施形態に係るフレーム構造体を示す斜視図である。 上記第2実施形態におけるシートバックのフレーム構造体への取付態様を示し、(A)は図15のD−D線断面図、(B)は図15のE−E線断面図、(C)は図15のF−F線断面図である。
符号の説明
1 車体
2 ルーフ収納室
3 フレーム構造体
3a U字状部材
3d 車体フロアへの取付部
3j パイプフレーム
4 ルーフ駆動リンク収納スペース
5 取付ブラケット
14a,14b,14c,14d 内装トリム
31 車幅方向フレーム
32 側部フレーム
51 センタールーフ
52 リヤルーフ
53 バックウインド
57 後部座席
57a シートクッション
57b シートバック
57b1 固定シートバック
57b2 可倒シートバック
61 車体フロア
64 前席シートベルトタング組立品
65 後席シートベルトタング組立品
69 センターピラー

Claims (7)

  1. ルーフ開放時に、後部座席の後方部位に形成されたルーフ収納室にルーフが収納されるルーフ開放型車両において、前記後部座席の後方に車幅方向に延設される車幅方向フレームと、該車幅方向フレームの両端部に結合されて前記後部座席の側方において前後方向にそれぞれ延設される側部フレームとを有してなり、平面形状が車両前方側に開放された略コの字状に形成されて下部が車体に着脱自在に取付けられるフレーム構造体を備え、前記後部座席を左右両側方及び後方から囲むように前記フレーム構造体を配置し、前記フレーム構造体によってその後方に前記ルーフ収納室を区画形成したことを特徴とするルーフ開放型車両の後部構造。
  2. 前記フレーム構造体の側部フレームと車体側部構造材との間には、前記ルーフの前記ルーフ収納室への収納あるいは取出しを行うルーフ駆動リンク機構を設置するルーフ駆動リンク収納スペースが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のルーフ開放型車両の後部構造。
  3. 前記フレーム構造体の側部フレームの両側面と前記車体側部構造材との間には、車幅方向内側を前記側部フレームに連結し、かつ該連結部から車幅方向外側に延びて前記車体側部構造材に連結するL字状の取付ブラケットが介装されていることを特徴とする請求項2に記載のルーフ開放型車両の後部構造。
  4. 前記フレーム構造体は、前記側部フレームにシートベルトの支持部材が取付けられるシートベルト取付部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のルーフ開放型車両の後部構造。
  5. 前記フレーム構造体は、車両の内装トリムを取付けるための内装トリム取付部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のルーフ開放型車両の後部構造。
  6. 前記フレーム構造体は、後部座席のシートバックを取付けるためのシートバック取付部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のルーフ開放型車両の後部構造。
  7. 後部座席のシートバックが上下2分割の可倒式シートバックに構成され、前記フレーム構造体の前記側部フレームは、前記可倒式シートバックの固定シートバック及び可倒シートバックの取付部を備えていることを特徴とする請求項6に記載のルーフ開放型車両の後部構造。
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