JP2007260697A - 高張力鋼溶接用ソリッドワイヤおよび高張力鋼のガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents
高張力鋼溶接用ソリッドワイヤおよび高張力鋼のガスシールドアーク溶接方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.25〜0.55%、Mn:1.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cr:0.7〜1.2%、Mo:0.55〜0.90%、Ti:0.005〜0.10%、Al:0.01超〜0.035%を含有し、P:0.012%以下、S:0.008%以下、N:0.006%以下で、その他はFeおよび不可避不純物であることを特徴とする。また、ワイヤ全質量に対する質量%で、VまたはNbの1種以上の合計:0.005〜0.035%を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
(1)ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.25〜0.55%、Mn:1.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cr:0.7〜1.2%、Mo:0.55〜0.90%、Ti:0.005〜0.10%、Al:0.01超〜0.035%を含有し、P:0.012%以下、S:0.008%以下、N:0.006%以下で、その他は、Feおよび不可避不純物であることを特徴とする。
また、ワイヤ全質量に対する質量%で、VまたはNbの1種以上の合計:0.005〜0.035%を含有することを特徴とする。さらに、溶接金属中の酸素量が0.022質量%以下である高張力鋼の溶接に用いられることも特徴とする高張力鋼溶接用ソリッドワイヤにある。
また、ソリッドワイヤのVまたはNbの1種以上の合計が0.005〜0.035質量%であることを特徴とする。さらに、シールドガスAr−CO2のCO2混合量を5〜10体積%の範囲で調整することも特徴とする高張力鋼高張力鋼のガスシールドアーク溶接方法にある。
C:0.04〜0.12質量%
Cは、溶接金属の強度確保に必要な元素である。しかし、Cの含有量が0.12質量%(以下、%という。)を超えると溶接割れの感受性が高くなる。なお、強度の十分な確保のためにCは0.06%以上であることが好ましい。
Siは、強度の確保と脱酸を目的に添加する。Siが0.25%未満であると強度が低く酸素が高くなるので特にノッチ位置Bの靭性も低下する。一方、Siが0.55%を超えると靭性が低下する。
Mn:1.5〜2.5%
Mnは、強度の確保と脱酸を目的に添加する。Mnが1.5%未満であると強度が低く酸素が高くなるので靭性も低下する。一方、Mnが2.5%を超えると過剰な焼入れ組織となって靭性が低下する。
Niは、靭性を安定させるために添加する。Niの含有量が2.5%未満であると特にノッチ位置Bでの靭性のバラツキが大きくなる。一方、Niが3.5%を超えると粒界が脆化して靭性が低下する。
Cr:0.7〜1.2%
Crは、強度確保に必要な成分である。Crが0.7%未満であると強度が不足する。一方、Crが1.2%を超えると強度が高くなりすぎ靭性が低下する。
Moは、強度を確保し、特にノッチ位置Bの靭性を高める効果がある。Moが0.55%未満であると強度が不足するとともにノッチ位置Bの靭性が低下する。一方、Moが1.2%を超えると炭化物が析出してノッチ位置Aの靭性が低下する。
Ti:0.005〜0.10%
Tiは、主に酸化物として存在し、組織を微細化して特にノッチ位置Bの靭性を向上させる。Tiが0.005%未満であるとその効果が得られず、0.10%を超えると靭性が低下する。
Alは、強脱酸剤であり、微量の添加で溶接金属の酸素量を低減して、特にノッチ位置Bの靭性を向上させる。Alが0.01%以下であるとその効果が得られず、0.035%を超えると溶接金属に多量歩留り靭性が低下する。
VまたはNbの1種以上の合計:0.005〜0.035%
VおよびNbは、微量で強度を確保する。VまたはNbの1種以上の合計が0.005%未満であると強度が不足する。一方、VまたはNbの1種以上の合計が0.035%を超えると強度が高くなりすぎ靭性が低下する。
溶接金属中の酸素は、SiまたはMn等と酸化物(非金属介在物)として存在し、0.022%を超えると、特にノッチ位置Bの靭性を低下させる。一方、微量のTiとの酸化物は靭性を良好にするので好ましくは0.010%以上とする。
なお、溶接金属中の酸素量は前記ワイヤの脱酸成分に加えシールドガスAr−CO2のCO2混合量により調整する。
シールドガスは、Ar−CO2とするが、本発明においてはAr−CO2のCO2混合量を5〜10体積%(以下、%という。)の範囲として溶接金属の酸素量を低減する。Ar−CO2のCO2混合量が5%未満であるとアークが弱くスラグ巻き込み欠陥が生じるようになる。一方、10%を超えると溶接金属の酸素量が多くなり、特にノッチ位置Bの靭性を低下させる。なお、ガスの流量は耐欠陥性および大気からの窒素の混入を防ぐために25〜35リットル/分であることが好ましい。
過剰なP、SおよびNは、靭性を低下させる。したがって、Pは0.012%以下、Sは0.008%以下、Nは0.006%以下とする。
なお、ワイヤ表面はワイヤ送給性の向上と錆を防止するためにCuめっきを施すことができるが、Cuが過剰となると高温割れを助長するのでワイヤ表面のCuめっき以外のCuも含めて0.5%以下であることが好ましい。
表1に示す各種ワイヤ(ワイヤ径1.2mm)を用いて、表2に示す成分の鋼板を開先角度45°、ギャップ12mmの裏当て付き開先とし溶接長500mmを表3に示す溶接条件でシールドガスAr−CO2のCO2混合量および流量を変えて溶接した。
靭性の評価は、図1に示す衝撃試験片のノッチ位置AおよびBともに試験温度―20℃で吸収エネルギーの各5本の最低値が70J以上、引張強さは900MPa以上を良好とした。表4にX線透過試験、引張試験および衝撃試験結果をまとめて示す。
本発明例である試験No.1〜8は、ワイヤW1〜W8のワイヤ成分が適正で、シールドガス組成のCO2量も適量であるので、多層盛溶接金属の引張強さが良好で衝撃試験片のノッチ位置AおよびBともに高値で安定した吸収エネルギーが得られ、溶接欠陥のない高品質の溶接金属が得られ、極めて満足な結果であった。
試験No.10は、ワイヤW10のCおよびVとNbの合計量が低いので引張強さが低くなった。
試験No.11は、ワイヤW11のSiが高いので吸収エネルギーが低くかった。
試験No.13は、ワイヤW13のMnが高いので吸収エネルギーが低くかった。
試験No.14は、ワイヤW14のMnが低いので強度が低く、吸収エネルギーも低くかった。
試験No.16は、ワイヤW16のNiが低いのでノッチ位置Bの吸収エネルギーが低くかった。
試験No.17は、ワイヤW17のCrが高いので引張強さが高くなり吸収エネルギーが低かった。
試験No.18は、ワイヤW18のMoが高いのでノッチ位置Aの吸収エネルギーが低くかった。
試験No.20は、ワイヤW20のTiが高いので吸収エネルギーが低くかった。
試験No.21は、ワイヤW21のCrが低いので引張強さが低くなった。また、Tiが低いのでノッチ位置Bの吸収エネルギーが低くかった。
試験No.22は、ワイヤW22のAlが高いので吸収エネルギーが低くかった。
試験No.24は、シールドガスのCO2量が少ないのでスラグ巻き込み欠陥が生じた。また、ワイヤW13のMnが高いので吸収エネルギーが低くかった。
試験No.25は、シールドガスのCO2量が多いので溶接金属の酸素量が多くなりノッチ位置Bの吸収エネルギーが低くかった。また、ワイヤW18のMoが高いのでノッチ位置Aの吸収エネルギーも低かった。
A 積層パスの重なり部
B 積層パスの中心部
特許出願人 日鐵住金溶接工業株式会社 他1名
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1
Claims (6)
- ワイヤ全質量に対する質量%で、
C:0.04〜0.12%、
Si:0.25〜0.55%、
Mn:1.5〜2.5%、
Ni:2.5〜3.5%、
Cr:0.7〜1.2%、
Mo:0.55〜0.90%、
Ti:0.005〜0.10%、
Al:0.01%超〜0.035%を含有し、
P:0.012%以下、
S:0.008%以下、
N:0.006%以下で、
その他は、Feおよび不可避不純物であることを特徴とする高張力鋼溶接用ソリッドワイヤ。 - ワイヤ全質量に対する質量%で、VまたはNbの1種以上の合計:0.005〜0.035%を含有することを特徴とする請求項1記載の高張力鋼溶接用ソリッドワイヤ。
- 溶接金属中の酸素量が0.022質量%以下である高張力鋼の溶接に用いられることを特徴とする請求項1または2記載の高張力鋼溶接用ソリッドワイヤ。
- ワイヤ全質量に対する質量%で、
C:0.04〜0.12%、
Si:0.25〜0.55%、
Mn:1.5〜2.5%、
Ni:2.5〜3.5%、
Cr:0.7〜1.2%、
Mo:0.55〜0.90%、
Ti:0.005〜0.10%、
Al:0.01超〜0.035%を含有し、
P:0.012%以下、
S:0.008%以下、
N:0.006%以下で、
その他は、Feおよび不可避不純物であるソリッドワイヤを用いてシールドガスAr−CO2のCO2混合量により溶接金属の酸素量を0.022質量%以下にすることを特徴とする高張力鋼のガスシールドアーク溶接方法。 - ソリッドワイヤのVまたはNbの1種以上の合計が0.005〜0.035質量%であることを特徴とする請求項4記載の高張力鋼のガスシールドアーク溶接方法。
- シールドガスAr−CO2のCO2混合量を5〜10体積%の範囲で調整することを特徴とする請求項4または5記載の高張力鋼高張力鋼のガスシールドアーク溶接方法。
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