JP2007259551A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】同心円状に配置された二つのロータを有する電動機を作動させる際に、電動機の回転数に依ることなく、電動機の作動状態に応じた効率の良い通電制御を実行することができる電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】電動機1のd軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値との合成ベクトルの大きさが、目標電圧円の半径Vp_targetよりも大きくなったときに、アクチュエータ25により、電動機1界磁の磁束が減少する方向にロータ位相差を変更する「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、DC/DCコンバータ101により、直流電源100の出力電圧Vdcを上昇させる「第2の端子間電圧上昇対処処理」と、d軸電流を増加させる「第3の端子間電圧上昇対処処理」のうちの、少なくともいずれか一方を実行する端子間電圧上昇対処手段を備える。
【選択図】 図5

Description

本発明は、永久磁石界磁型の回転電動機の界磁弱め制御を、同心円状に配置された二つのロータ間の位相差を変更することによって行う電動機の制御装置に関する。
従来より、永久磁石界磁型の回転電動機の回転軸の周囲に同心円状に設けた第1ロータ及び第2ロータを備え、回転速度の応じて第1ロータと第2ロータの位相差を変更することで、界磁弱め制御を行うようにした電動機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる従来の電動機においては、第1ロータと第2ロータが、遠心力の作用により径方向に沿って変位する部材を介して接続されている。また、電動機が停止状態にあるときに、第1ロータに配置された永久磁石の磁極と第2ロータに配置された永久磁極の磁極の向きが同一となって界磁の磁束が最大となり、電動機の回転速度が高くなるに従って遠心力により第1ロータと第2ロータの位相差が拡大して、界磁の磁束が減少するように構成されている。
ここで、図14は縦軸を出力トルクTrとし横軸を回転数Nとして、電動機の界磁弱めが必要となる領域を示したものであり、図中uは電動機の直交ライン(界磁弱め制御を行わずに電動機を作動させたときに、回転数と出力トルクの組合わせにより電動機の相電圧が電源電圧と等しくなる点を結んだもの)である。図中Xは界磁弱めが不要な領域であり、Yは界磁弱めが必要な領域である。
図14に示したように、界磁弱めが必要となる領域Yは電動機の回転数Nと出力トルクTrにより決定されるため、従来の回転数のみによる界磁弱め制御では、界磁弱めの制御量が過大又は過小となるという不都合がある。
また、本来、界磁弱め制御は、電動機の回転により電機子に生じる逆起電力を減少させて電機子の端子間電圧が電源電圧よりも大きくなることを抑制し、これにより、電動機をより高回転域で使用できるようにするものである。そして、電動機の回転数や遠心力で第1ロータと第2ロータの位相差を変更する場合には、界磁弱めを変更するパラメータが回転数のみであるため、電動機の出力トルクや回転数の制御範囲を柔軟に変更することができないという不都合がある。
また、発電機としても作動する電動機においては、一般的に駆動時(出力トルクが正)と発電時(出力トルクが負)では同一回転数に対する界磁の制御量を変えた方が運転効率が高くなるが、回転数や遠心力で第1ロータと第2ロータの位相差を変更するときには、このように駆動時と発電時で界磁の制御量を変えることができないという不都合がある。
特開2002−204541号公報
本発明は上記背景を鑑みてなされたものであり、同心円状に配置された二つのロータを有する電動機を作動させる際に、電動機の回転数に依ることなく、電動機の作動状態に応じた効率の良い通電制御を実行することができる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、永久磁石による界磁を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に同心円状に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差を変更することによる界磁制御を行って制御する電動機の制御装置に関する。なお、前記界磁制御には、前記電動機の界磁の磁束を減少させる界磁弱め制御と、前記電動機の界磁の磁束を増大させる界磁強め制御とが含まれる。
そして、本発明の第1の態様は、直流電源から供給される直流電力を前記電動機の電機子に供給する多相交流電力に変換するインバータ回路と、前記ロータ位相差を変更するロータ位相差変更手段と、前記直流電源の出力電圧を変更する直流電圧変更手段と、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが、前記直流電源の出力電圧以下に設定された目標電圧よりも大きくなったときに、前記ロータ位相差変更手段により、前記電動機の界磁の磁束が減少する方向に前記ロータ位相差を変更する「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記直流電圧変更手段により、前記直流電源の出力電圧を上昇させる「第2の端子間電圧上昇対処処理」とのうちの、少なくともいずれか一方を実行する端子間電圧上昇対処手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなると、前記インバータ回路から前記電動機への通電量が減少して前記電動機の出力トルクが減少する。そこで、この場合に、前記端子間電圧上昇対処手段により、前記ロータ位相差を前記電動機の界磁の磁束が減少する方向に変更する前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を実行することによって、前記電動機の逆起電力が減少するため、前記電動機への通電量を増加させることができる。また、前記端子間電圧上昇対処手段により、前記直流電源の出力電圧を上昇させる前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を実行することによっても、前記電動機への通電量を増加させることができる。そして、前記端子間電圧上昇対処手段による前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」は、前記電動機の回転数ではなく前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさに応じて実行されるため、前記電動機の作動状態に応じて、必要な通電量を確保して前記電動機を効率良く作動させることができる。
また、前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」よりも先に実行し、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を実行しても、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きい状態が維持されるときには、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を実行することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記端子間電圧上昇対処手段により、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を先に実行して、前記電動機の界磁の磁束を減少させる。そして、この前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」により、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧以下となれば、前記インバータ回路から前記電動機への通電を維持することができる。一方、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を実行しても、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きいときには、前記「第2の端子間電圧情報対処処理」を実行して、前記直流電源の出力電圧を上昇させることによって、前記インバータから前記電動機への通電が可能な前記電動機の作動範囲をさらに拡大することができる。
また、所定のトルク指令値に応じて前記電動機の作動を制御し、前記端子間電圧上昇対処手段は、前記トルク指令値の変化率に応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」において前記位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更する機械的な処理は、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」において前記直流電圧変更手段により前記直流電源の出力電圧を変更する電気的な処理よりも、変更指令に対する応答時間が長くなる。そこで、前記トルク指令値の変化率に応じて、例えば、該変化率が予め設定された基準値よりも大きいときは、応答時間が短い前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を先に実行して前記電動機の通電量の維持を優先し、また、該変化率が該基準値以下であるときには、応答時間が長い前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を先に行って電動機の運転効率の維持を優先することができる。
また、前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、例えば、該偏差が予め設定された基準値よりも大きいときは、応答時間が短い前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を先に実行して前記電動機の通電量の維持を優先し、また、該偏差が該基準値以下であるときには、応答時間が長い前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を先に行って電動機の運転効率の維持を優先することができる。
また、前記第1ロータの位置を検出するロータ位置検出手段と、前記第1ロータの位置に基づいて、前記電動機を界磁の磁束方向であるd軸と該d軸に直交するq軸からなる2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、該等価回路における各軸の電機子の通電量を制御することにより、前記電動機の通電制御を行う通電制御手段とを備え、前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」と、前記通電制御におけるd軸側の電機子の通電量を増加させる「第3の端子間電圧上昇対処処理」とのうちの少なくともいずれか一つを実行することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記端子間電圧上昇対処手段により、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」に加えて、d軸側の電機子の通電量を増加させる「前記第3の端子間電圧上昇対処処理」を実行することによって、前記電動機に生じる逆起電圧をさらに低下させることができるため、前記電動機をより高回転領域で作動させることができる。
また、前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」及び前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」よりも先に実行し、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」及び前記「第2の端子間上昇対処処理」を実行しても、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きい状態が維持されるときには、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」を実行することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記端子間電圧上昇対処手段により、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」及び前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」よりも先に実行することによって、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」によるd軸電機子の通電量の増加によって前記電動機の運転効率が低下することを極力回避することができる。
また、所定のトルク指令値に応じて前記電動機の作動を制御し、前記端子間電圧上昇対処手段は、前記トルク指令値の変化率に応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記トルク指令値の変化率に応じて、例えば、該変化率が予め設定された基準値よりも大きいときは、電気的な処理であって応答時間が短い前記「第2の端子間電圧上昇対処処理「又は前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」を先に行って前記電動機の通電量の維持を優先し、また、該変化率が該基準値以下であるときには、機械的な処理であって応答時間が長いが、前記電動機への通電量が減少する前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を先に行って電動機の運転効率の維持を優先することができる。
また、前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の各相の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、例えば、該偏差が予め設定された基準値よりも大きいときは、応答時間が短い前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」及び前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」を先に実行して前記電動機の通電量の維持を優先し、また、該偏差が該基準値以下であるときには、応答時間が長い前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を先に行って電動機の運転効率の維持を優先することができる。
また、本発明の第2の態様は、直流電源から供給される直流電力を前記電動機の電機子に供給する多相交流電力に変換するインバータ回路と、前記ロータ位相差を変更するロータ位相差変更手段と、前記直流電源の出力電圧を変更する直流電圧変更手段と、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが、前記直流電源の出力電圧以下に設定された目標電圧よりも小さくなったときに、前記ロータ位相差変更手段により、前記電動機の界磁の磁束が増加する方向に前記ロータ位相差を変更する「第1の端子間電圧低下対処処理と、前記直流電圧変更手段により、前記直流電源の出力電圧を低下させる「第2の端子間電圧低下対処処理」とのうちの、少なくともいずれか一方を実行する端子間電圧低下対処手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも小さくなると、前記インバータ回路における前記直流電力から前記多相の交流電力への変換の際に生じる電力損失が増大する。そこで、この場合に、前記端子間電圧低下対処手段により、前記ロータ位相差の変更による「前記第1の端子間電圧低下対処処理」を実行することによって、前記電動機の界磁の磁束を増加させて前記電動機の各相の電機子の端子間電圧を上昇させることができる。そして、これにより、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差を減少させて、前記インバータ回路における電力損失を低減することができる。
また、前記端子間電圧低下対処手段により、前記直流電源の出力電圧の変更による前記「第2の端子間電圧低下対処処理」を実行することによって、前記直流電源の出力電圧を低下させることができる。そして、これにより、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記インバータ回路に入力される直流電力の電圧との偏差を減少させて、前記インバータ回路における電力損失を低減することができる。そして、前記端子間電圧低下対処手段による前記「第1の端子間電圧低下対処処理」と前記「第2の端子間電圧低下対処処理」は、前記電動機の回転数ではなく前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさに応じて実行されるため、前記電動機の作動状態に応じて前記電動機の運転効率の低下を抑制することができる。
また、前記端子間電圧低下対処手段は、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも小さくなったときに、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」を前記「第2の端子間電圧低下対処処理」よりも先に実行し、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」を実行しても、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも小さい状態が維持されるときには、前記「第2の端子間電圧低下対処処理」を実行することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも小さくなったときに、前記端子間電圧低下対処手段により、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」を先に実行して、前記電動機の界磁の磁束を増加させる。そして、この前記「第1の端子間電圧低下対処処理」により、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさを前記目標電圧に近づけて、前記インバータ回路における電力損失を低減することができると共に、前記電動機の通電量を減少させることができる。
また、所定のトルク指令値に応じて前記電動機の作動を制御し、前記端子間電圧低下対処手段は、前記トルク指令値の変化率に応じて、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」と前記「第2の端子間電圧低下対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記トルク指令値の変化率に応じて、例えば、該変化率が予め設定された基準値よりも大きいときは、電気的な処理であって応答時間が短い前記「第2の端子間電圧低下対処処理」を先に実行して、前記電動機の出力トルクの変化に応じて前記インバータ回路の作動状態を速やかに変更することができる。また、該変化率が該基準値以下であるときには、機械的な処理であって応答時間が長いが、前記電動機への通電量を減少させることができる前記「第1の端子間電圧低下対処処理」を先に行って、前記インバータ回路の作動状態を変更することができる。
また、前記端子間電圧低下対処手段は、前記電動機の各相の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」と前記「第2の端子間電圧低下対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の各相の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、例えば該偏差が予め設定された基準値よりも大きいときは、応答時間が短い前記「第2の端子間電圧低下対処処理」を先に実行して、前記電動機の出力トルクの変化に応じて前記インバータ回路の作動状態を速やかに変更することができる。また、該偏差が該基準値以下であるときには、応答時間が長いが前記電機子への通電量を減少させることができる前記「第1の端子間電圧低下対処処理」を先に行なって、前記インバータ回路の作動状態を変更することができる。
本発明の実施の形態について、図1〜図13を参照して説明する。図1は2重ロータを備えたDCブラシレスモータの構成図、図2は図1に示したDCブラシレスモータの外側ロータと内側ロータの位相差を変更する機構の構成図及び作動説明図、図3及び図4は外側ロータと内側ロータの位相差を変更することによる効果の説明図、図5は電動機の制御装置の制御ブロック図、図6はdq座標系における電圧ベクトル図、図7は誘起電圧定数からロータ位相差を決定するマップ及び誘起電圧定数とq軸電機子のインダクタンスからロータ位相差を決定するマップの説明図、図8は界磁弱め及び電源電圧の上昇による効果の説明図、図9は界磁強め及び電源電圧の低下による効果の説明図、図10は電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルを目標電圧円に近づける処理の実行順序を決定する処理のフローチャート、図11は電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルを目標電圧円に近づける処理のフローチャート、図12は誘起電圧定数からロータ位相差を決定するマップの説明図、図13はアクチュエータによりロータ位相差を変更する処理のフローチャートである。
図1を参照して、本実施の形態における電動機1は、永久磁石11a,11bの界磁が周方向に沿って等間隔に配設された内側ロータ11(本発明の第2ロータに相当する)と、永久磁石12a,12bの界磁が周方向に沿って等間隔に配設された外側ロータ12(本発明の第1ロータに相当する)と、内側ロータ11及び外側ロータ12に対する回転磁界を発生させるための電機子10aを有するステータ10とを備えたDCブラシレスモータである。電動機1は、例えばハイブリッド車両や電動車両の駆動源として使用され、ハイブリッド車両に搭載されたときは、電動機及び発電機として動作する。
内側ロータ11と外側ロータ12は、共に回転軸が電動機1の回転軸2と同軸となるように同心円状に配置されている。そして、内側ロータ11においては、N極を回転軸2側とする永久磁石11aとS極を回転軸2側とする永久磁石11bが交互に配設されている。同様に、外側ロータ12においても、N極を回転軸2側とする永久磁石12aとS極を回転軸2側とする永久磁石12bが交互に配設されている。
次に、電動機1は、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差であるロータ位相差を変更するために、図2(a)に示した遊星歯車機構30を備えている。図2(a)を参照して、遊星歯車機構30は、内側ロータ11の内周側の中空部に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、外側ロータ12と同軸且つ一体に形成された第1リングギアR1、内側ロータ11と同軸且つ一体に形成された第2リングギアR2、第1リングギアR1と噛合する第1プラネタリギア31、第2リングギアR2に噛合する第2プラネタリギア32、第1プラネタリギア31及び第2プラネタリギア32と噛合するアイドルギアであるサンギアS、第1プラネタリギア31を回転自在に支持すると共に回転軸2に回転可能に軸支された第1プラネタリキャリアC1、及び第2プラネタリギア32を回転自在に支持すると共にステータ10に固定された第2プラネタリキャリアC2を備えている。
遊星歯車機構30において、第1リングギアR1と第2リングギアR2は略同等のギア形状とされ、第1プラネタリギア31と第2プラネタリギア32も略同等のギア形状とされている。また、サンギアSの回転軸33は電動機1の回転軸2と同軸に配置されると共に、軸受け34により回転可能に軸支されている。そして、これにより、第1プラネタリギア31と第2プラネタリギア32がサンギアSと噛合し、外側ロータ12と内側ロータ11が同期して回転するように構成されている。
さらに、第1プラネタリキャリアC1の回転軸35は、電動機1の回転軸2と同軸に配置されると共にアクチュエータ25に接続されており、第2プラネタリキャリアC2はステータ10に固定されている。
アクチュエータ25は、外部から入力される制御信号に応じて、油圧により第1プラネタリキャリアC1を正転方向又は逆転方向に回転させ、或いは回転軸2回りの第1プラネタリキャリアC1の回転を規制する。そして、アクチュエータ25によって第1プラネタリキャリアC1が回転すると、外側ロータ12と内側ロータ11間の相対的な位置関係(位相差)が変化する。なお、遊星歯車機構30とアクチュエータ25により、本発明のロータ位相差変更手段が構成される。また、油圧ではなく電動により第1プラネタリキャリアC1を回転させるアクチュエータを用いてもよい。
図2(b)は、遊星歯車機構30における第1リングギアR1と、第1プラネタリキャリアC1と、サンギアSと、第2プラネタリキャリアC2と、第2リングギアR2の回転速度の関係を示した図であり、縦軸が各ギアの回転速度Vrに設定されている。
図2(b)において、ステータ10に固定された第2プラネタリキャリアC2の速度はゼロである。そのため、第2リングギアR2及び内側ロータ11は、例えば逆転方向(Vr<0)に回動するサンギアSに対して、第2リングギアR2に対するg2に応じた速度で正転方向(Vr>0)に回転することになる。
ここで、アクチュエータ25が非作動状態(アクチュエータ25による第1プラネタリキャリアC1の回動がなされていない状態)にあるときは、第1プラネタリキャリアC1の回転速度はゼロである。そのため、第1リングギアR1及び外側ロータ12は、回転するサンギヤSに対して、第1リングギアR1に対するサンギアSのギア比g1に応じた速度で逆方向に回転する。そして、ギヤ比g1とギヤ比g2は略同等(g1≒g2)に設定されているので、内側ロータ11と外側ロータ12は同期して回転し、内側ロータ11と外側ロータ12間の位相差が一定に維持される。
一方、アクチュエータ25が作動状態(アクチュエータ25により第1プラネタリキャリアC1が回動している状態)にあるときは、第1リングギアR1及び外側ロータ12は、回転するサンギアSに対して、第1リングギアR1に対するサンギアSのギア比g1に応じた速度に対して、第1プラネタリキャリアC1の回動分だけ増速又は減速されて、逆方向に回転する。そして、これにより、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差が変化する。
また、アクチュエータ25は、第1リングギアR1に対するサンギアSのギア比g1と電動機1の極対数Pに対して、少なくとも、機械角度β(度)=(180/P)×g1/(1+g1)だけ、第1プラネタリキャリアC1を正転方向又は逆転方向に回動可能に構成されている。
そのため、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差は、少なくとも電気角で180度の範囲で進角側又は遅角側に変更することができ、電動機1の状態は、外側ロータ12の永久磁石12a,12bと内側ロータ11の永久磁石11a,11bが同極同士を対向して配置された界磁弱め状態と、外側ロータ12の永久磁石12a,12bと内側ロータ11の永久磁石11a,11bが異極同士を対向して配置された界磁強め状態との間で、適宜設定可能である。
図3(a)は界磁強め状態を示しており、外側ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内側ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが同一であるため、合成された磁束Q3が大きくなる。一方、図3(b)は界磁弱め状態を示しており、外側ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内側ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが逆であるため、合成された磁束Q3が小さくなる。
図4は、図3(a)の状態と図3(b)の状態において、電動機1を所定回転数で作動させた場合にステータ10の電機子に生じる誘起電圧を比較したグラフであり、縦軸が誘起電圧(V)に設定され、横軸が電気角(度)に設定されている。図中aが図3(a)の状態(界磁強め状態)であり、bが図3(b)の状態(界磁弱め状態)である。図4から、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差を変更することで、生じる誘起電圧のレベルが大幅に変化していることがわかる。
そして、このように、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差を変更して、界磁の磁束を増減させることにより、電動機1の誘起電圧定数Keを変化させることができる。これにより、誘起電圧定数Keが一定である場合に比べて、電動機1の出力及び回転数に対する運転可能領域を拡大することができる。また、電動機の制御として一般的なdq座標変換により、d軸(界磁軸)側の電機子に通電して界磁弱め制御を行う場合に比べて、電動機1の銅損が減少するため、電動機1の運転効率を高めることができる。
次に、図5〜図13を参照して、本発明の電動機の制御装置について説明する。図5に示した電動機の制御装置(以下、単に制御装置という)は、電動機1を界磁方向をd軸としてd軸と直交する方向をq軸とした2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、外部から与えられるトルク指令値Tr_cに応じたトルクが電動機1から出力されるように、電動機1に対する通電量を制御するものである。
制御装置はCPU、メモリ等により構成される電子ユニットであり、トルク指令値Tr_cと電動機1の外側ロータ12と内側ロータ11の位相差(ロータ位相差)の推定値θd_eとに基づいて、d軸側の電機子(以下、d軸電機子という)に流れる電流(以下、d軸電流という)の指令値Id_cとq軸側の電機子(以下、q軸電機子という)に流れる電流(以下、q軸電流という)の指令値Iq_cとを決定する電流指令値決定部60、電流センサ70,71により検出されてバンドパスフィルタ72により不要成分が除去された電流検出信号と、レゾルバ73(本発明のロータ位置検出手段に相当する)により検出された外側ロータ12のロータ角度θrとに基づいて、3相/dq変換によりd軸電流の検出値Id_sとq軸電流の検出値Iq_sとを算出する3相/dq変換部75、d軸電流の指令値Id_cと検出値Id_sの偏差ΔId及びq軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sの偏差ΔIqを減少させるように、d軸電機子の端子間電圧(以下、d軸電圧という)の指令値Vd_cとq軸電機子の端子間電圧(以下、q軸電圧という)の指令値Vq_cとを決定する通電制御部50(本発明の通電制御手段に相当する)、d軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値Vq_cを大きさV1と角度θの成分に変換するrθ変換部61、及び該大きさV1と角度θの成分をPWM制御により3相(U,V,W)の交流電圧に変換するPWM演算部62(本発明のインバータ回路の機能を含む)を備えている。
また、制御装置は、d軸電圧の指令値Vd_c及びq軸電圧の指令値Vq_cとd軸電流の検出値Id_s及びq軸電流の検出値Iq_sと電動機1の角速度の検出値ω_s(図示しない角速度検出手段により検出される)とに基づいて、電動機1の誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqとを算出する定数算出部63、誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqとに基づいてロータ位相差の推定値θd_eを求めるロータ位相差推定部64、PWM演算部62に直流電力を供給する直流電源100の出力電圧Vdcから後述する目標電圧円の半径Vp_targetを算出する目標電圧円算出部90、d軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値Vq_cから後述する実電圧円の半径Vpを算出する実電圧円算出部92、Vp_targetとVpとの偏差ΔVpに基づいて誘起電圧定数の指令値Ke_cを決定する誘起電圧定数指令値決定部93、誘起電圧定数の指令値Ke_cに対応したロータ位相差θd_c1を取得するロータ位相差取得部95、該θd_c1とロータ位相差の推定値θd_eとの偏差Δθdに基づいてロータ位相差の指令値θd_c2を決定するロータ位相差指令値決定部97を備えている。
さらに、制御装置は、Vp_targetとVpとの偏差ΔVpと誘起電圧定数の指令値Ke_cとに基づいて直流電源100の出力電圧の指令値Vdc_cを決定する直流電圧指令値決定部120、該出力電圧の指令値Vdc_c及び減算器125により算出されるVdc_cと電圧センサ103により検出される直流電源100の出力電圧Vdcとの偏差に応じて界磁弱め電流の補正値ΔId_volを算出する界磁弱め電流補正値算出部121、及びトルク指令値Tr_cとVp_targetとVpとの偏差ΔVpとに応じて、誘起電圧定数指令値決定部93と直流電圧指令値決定部120と界磁弱め電流補正値算出部121の作動タイミングを決定するトルク応答判定部110を備えている。
なお、直流電源100はバッテリ102とDC/DCコンバータ101とにより構成され、DC/DCコンバータ101が本発明の直流電圧変更手段に相当する。また、電圧センサ103、目標電圧円算出部90、実電圧円算出部92、減算器91、トルク応答判定部110、誘起電圧定数指令値決定部93、直流電圧指令値決定部120、界磁弱め電流補正値算出部121、加算器51、ロータ位相差取得部95、減算器96、及びロータ位相差指令値決定部97により、本発明の端子間電圧上昇対処手段と端子間電圧低下対処手段が構成される。
また、通電制御部50は、d軸電流の指令値Id_cに補正値ΔId_volを加算する加算器51、該補正値ΔId_volが加算されたd軸電流の指令値Id_caとd軸電流の検出値Id_sとの偏差ΔIdを算出する減算器52、該偏差ΔIdを生じさせるためのd軸偏差電圧ΔVdを算出するd軸電流制御部53、d軸電流の指令値Id_cとq軸電流の指令値Iq_cとに基づいて、d軸とq軸間で干渉し合う速度起電力の影響を打ち消すための成分(非干渉成分)を算出する非干渉制御部56、d軸偏差電圧ΔVから非干渉制御部56により算出された非干渉成分を減じる減算器54、q軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sとの偏差ΔIqを算出する減算器55、該偏差ΔIqを生じさせるためのq軸偏差電圧ΔVqを算出するq軸電流制御部57、及びq軸偏差電圧ΔVqに非干渉成分を加える加算器58を備えている。
次に、図6はdq座標系における電流と電圧の関係を示したものであり、縦軸がq軸(トルク軸)に設定され、横軸がd軸(界磁軸)に設定されている。図中Cは目標電圧円算出部90によってその半径Vp_target(本発明の目標電圧に相当する)が算出される目標電圧円である。Vp_targetは例えばVdc×0.5に設定され、或いは正弦波変調に対応したVdc/61/2に設定される。
そして、制御装置は、d軸電機子の端子間電圧Vdとq軸電機子の端子間電圧Vqの合成ベクトルV(その大きさが実電圧円の半径となる)が、目標電圧円Cの円周上をトレースするように、電動機1のロータ位相差と直流電源100の出力電圧とd軸電流とを制御する。なお、図中Eは電動機1の回転によりq軸電機子に生じる逆起電力、ωは電動機1の角速度、Rはd軸電機子及びq軸電機子の抵抗、Lqはq軸電機子のインダクタンス、Ldはd軸電機子のインダクタンス、Vdはd軸電圧、Vqはq軸電圧、Idはd軸電流、Iqはq軸電流である。
ここで、図6のq軸側の成分について、以下の式(1)の関係が成立するため、以下の式(2)から電動機1の誘起電圧定数Keを算出することができる。
Figure 2007259551
但し、Ke:誘起電圧定数、ω:電動機の角速度、R:q軸電機子及びd軸電機子の抵抗、Iq:q軸電流、Vq:q軸電機子の端子間電圧、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電流。
Figure 2007259551
また、図6のd軸側の成分について、以下の式(3)の関係が成立するため、以下の式(4)からq軸電機子のインダクタンスLqを算出することができる。
Figure 2007259551
Figure 2007259551
そこで、定数算出部63は、q軸指令電圧Vq_c、電機子1の角速度の検出値ω_s、d軸電流の検出値Id_s、及びq軸電流の検出値Iq_sを、上記式(2)のVq、ω、Id、及びIqにそれぞれ代入して、誘起電圧定数Keを算出する。また、定数検出部63は、d軸電流の検出値Id、d軸電圧の指令値Vd_c、電機子1の角速度の検出値ω_s、及びq軸電流の検出値Iqを、上記式(4)のId、Vd、ω、及びIqにそれぞれ代入して、q軸電機子のインダクタンスLqを算出する。
なお、上記式(2),式(4)におけるd軸電機子及びq軸電機子の抵抗Rは、予め設定した固定値である。また、上記式(2)におけるd軸電機子のインダクタンスLdは、予め設定した固定値としてもよいが、ロータ位相差が大きくなるほどd軸電機子のインダクタンスLdが小さくなるので、ロータ位相差の指令値θd_cが大きいほどインダクタンスLdが小さくなるようにした推定値を用いてもよい。
次に、ロータ位相差推定部64は、定数検出部63により算出された誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqとに基づいて、ロータ位相差の推定値θd_eを求める。ここで、ロータ位相差が変化すると、それに応じて電動機1の誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqが変化する。
そこで、ロータ位相差推定部64は、図7(b)に示したKe,Lq/θdの対応マップに、定数検出部63により算出された誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqとを適用して対応する位相差θdを取得し、該位相差θdを外側ロータ12と内側ロータ11の位相差の推定値θd_eとする。
なお、Ke,Lq/θdの対応マップは、実験データやコンピュータシミュレーションに基づいて作成され、予めメモリ(図示しない)に記憶されている。また、図7(a)に示したKe/θdの対応マップに、定数算出部63により算出された誘起電圧定数Keを適用して、θd_eを求めることもできるが、誘起電圧定数Keに加えてq軸電機子のインダクタンスLqを用いてロータ位相差の推定値θd_eを求めることで、ロータ位相差の推定精度を高めることができる。
そして、電流指令値決定部60は、予めメモリに記憶されたTr,θd/Id,Iqの対応マップに、トルク指令値Tr_cと、ロータ位相差の推定値θd_eを適用して、対応するId,Iqを取得し、該取得したId,Iqをそれぞれd軸電流の指令値Id_c及びq軸電流の指令値Iq_cとして決定する。このように、ロータ位相差の推定値θd_eを用いることで、実際の電動機1の界磁の磁束の変化を反映したd軸電流の指令値Id_c及びq軸電流の指令値Iq_cを決定することができる。そのため、トルク指令値Tr_cに対して電動機1の出力トルクを精度良く制御することができる。
次に、図8を参照して、d軸電機子の端子間電圧とq軸電圧の端子間電圧の合成ベクトルVの大きさVpがVp_targetよりも大きいとき(Vp_target<Vp)に、合成ベクトルVがVp_targetを半径とする目標電圧円Cの周上をトレースするように、ロータ位相差と直流電源100の出力電圧とd軸電流を変更することによる効果について説明する。
図8(a)は、合成ベクトルVが目標電圧円Cの外側にある場合であり、この場合は、PMW演算部62から電動機1への通電量が制限されて、電動機1の通電制御が妨げられる。そこで、先ず、ロータ位相差を界磁の磁束を減少させる方向(ロータ位相差を大きくして界磁を弱める方向)に変更する「第1の端子間電圧上昇対処処理」を実行する。これにより、電動機1の誘起電圧定数Keが減少し、誘起電圧定数Keが減少した分、q軸電機子で発生する逆起電力Eが小さくなる。その結果、図8(b)に示したように、合成ベクトルVが目標電圧円Cの円周に近づく。
次に、直流電源100の出力電圧Vdcを上昇させる「第2の端子間電圧上昇対処処理」を実行する。これにより、目標電圧円算出部90で算出されるVp_targetが大きくなり、その結果、図8(c)に示したように、目標電圧円Cが拡大されて合成ベクトルVが目標電圧円Cにさらに近づく。
そして、さらに、d軸電流を増加させる「第3の端子間電圧上昇対処処理」を実行する。これにより、図8(d)に示したように、合成ベクトルVが目標電圧円Cの円周上に至っいている。このように、合成ベクトルVを目標電圧円Cに近づけることにより、PWM演算部62から電動機1への通電量を増加させることができるため、電動機1の通電制御の制限を回避することができる。
次に、図9を参照して、d軸電機子の端子間電圧とq軸電機子の端子間電圧の合成ベクトルVの大きさVpがVp_targetよりも小さいとき(Vp<Vp_target)に、合成ベクトルVがVp_targetを半径とする目標電圧円Cの周上をトレースするように、ロータ位相差と直流電源100の出力電圧を変更することによる効果について説明する。
図9(a)は、合成ベクトルが目標電圧円Cの内側にある場合であり、この場合は、PWM演算部62に直流電圧Vdcのスイッチング処理に伴う電力損失が大きくなる。そこで、制御装置は、先ず、ロータ位相差を界磁の磁束を増大させる方向(ロータ位相差を小さくして界磁を強める方向)に変更する「第1の端子間電圧低下対処処理」を実行する。これにより、電動機1の誘起電圧定数Keが増大し、誘起電圧定数Keが増大した分、q軸電機子で発生する逆起電力Eが大きくなる。その結果、図9(b)に示したように、合成ベクトルVが目標電圧円Cの円周に近づく。
次に、制御装置は、直流電源100の出力電圧Vdcを低下させる「第2の端子間電圧低下対処処理」を実行する。これにより、目標電圧円算出部90で算出されるVp_targetが小さくなり、その結果、図9(c)に示したように、目標電圧円Cが縮小されて合成ベクトルVが目標電圧円Cにさらに近づいて、目標電圧円Cの円周上に至っている。
このように、合成ベクトルVを目標電圧円Cに近づけることにより、PWM演算部62における直流電圧Vdcのスイッチング処理に伴う電力損失を減少させることができる。また、電動機1に供給される電流に重畳するリップル電流が低減して電動機1で生じる銅損が減少し、さらに、高次周波数の電流の重畳が低減するため、電動機1で生じる鉄損も減少するという効果を得ることができる。
次に、図10を参照して、トルク応答判定部110により、誘起電圧定数指令値決定部93と直流電圧指令値決定部120と界磁弱め電流補正値算出部121の作動を制御する処理について説明する。
トルク応答判定部110は、STEP10で、トルク指令値Tr_cの変化率ΔTr_c(例えば、制御装置の連続する制御サイクル間におけるTr_cの変化率を算出)が、予め設定された基準値ΔTr_limit以下であるか否かを判断する。そして、ΔTr_cがTr_limitよりも小さかったとき(ΔTr_c<ΔTr_limit)は、STEP20に分岐し、誘起電圧定数指令値決定部93の作動フラグF1と直流電圧指令値決定部120の作動フラグF2と界磁弱め電流補正値算出部121の作動フラグF3を全てON(作動許可)して、STEP13に進む。
これにより、誘起電圧定数指令値決定部93の作動による上記「第1の端子間電圧上昇対処処理」が、直流電圧指令値決定部120による上記「第2の端子間電圧上昇対処処理」及び界磁弱め電流補正値算出部121による上記「第3の端子間電圧上昇対処処理」よりも先に実行される。また、誘起電圧定数指令値決定部93による上記「第1の端子間電圧低下対処処理」が、直流電圧指令値決定部120による上記「第2の端子間電圧低下対処処理」よりも先に実行される。
そして、機械的な処理であるために応答速度が遅いが、電動機の運転効率向上の効果が高い「第1の端子間電圧上昇対処処理」と「第1の端子間電圧低下対処処理」により、運転効率を優先させて電動機1の作動を制御することができる。
一方、STEP10で、トルク指令値Tr_cの変化率ΔTr_cが基準値ΔTr_limit以上であったときにはSTEP11に進む。そして、STEP11で、トルク応答判定部110は、d軸電機子の端子間電圧とq軸電機子の端子間電圧の合成ベクトルVの大きさVpと目標電圧Vp_targetとの偏差ΔVpが、予め設定された基準値ΔVp_limit以上であるか否かを判断する。ΔVpがΔVp_limitよりも大きかったとき、すなわち、トルク指定値の変化率ΔTr_cは大きいが、ΔVpは小さいときにはSTEP20に分岐し、トルク応答判定部110は上述したSTEP20の処理を実行して、STEP13に進む。
一方、ΔVpがΔVp_limit以上であったとき、すなわち、トルク指令値の変化率ΔTr_cが大きく、且つ、ΔVpも大きいときにはSTEP12に進む。そして、トルク応答判定部110は、誘起電圧定数指令値決定部93の作動フラグF1をOFF(作動禁止)し、直流電圧指令値決定部120の作動フラグF2と界磁弱め電流補正値算出部121の作動フラグF3をON(作動許可)して、STEP13に進む。
これにより、直流電圧指令値決定部120による上記「第2の端子間電圧上昇対処処理」及び界磁弱め電流補正値算出部121による上記「第3の端子間電圧上昇対処処理」が、誘起電圧定数指令値決定部93の作動による上記「第1の端子間電圧上昇対処処理」よりも先に実行される。また、直流電圧指令値決定部120による上記「第2の端子間電圧低下対処処理」が、誘起電圧定数指令値決定部93による上記「第1の端子間電圧低下対処処理」よりも先に実行される。
そして、電気的な処理であって応答速度が速い「第2の端子間電圧上昇対処処理」、「第3の端子間電圧上昇対処処理」及び「第2の端子間電圧低下対処処理」により、トルク指令Tr_cの変化に対する応答性を優先させて電動機1の作動を制御することができる。
なお、本実施の形態では、STEP10でΔTr_cのレベルを判断すると共に、STEP11でΔVpのレベルを判断して、「第1の端子間電圧上昇対処処理」と「第2の端子間電圧上昇対処処理」と「第3の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序と、「第1の端子間電圧低下対処処理」と「第2の端子間電圧低下対処処理」の実行順序を決定したが、ΔTr_cのレベルとΔVpのいずれかのレベルのみを判断して、これらの実行順序を決定してもよい。
次に、図5を参照しつつ、図11に示したフローチャートに従って、上述したフラグF1,F2,F3が全てONであるときの誘起電圧定数指令値決定部93、直流電圧指令値決定部120、及び界磁弱め電流補正値算出部121の作動について説明する。図11において、STEP30〜STEP32及びSTEP40〜STEP41が誘起電圧定数指令値決定部93による処理であり、STEP32とSTEP50〜STEP51が直流電圧指令値決定部120による処理である。また、STEP60は界磁弱め電流補正値算出部121である。
図11のSTEP30で、誘起電圧定数指令値決定部93は、減算器91(図5参照)で算出されたΔVp(Vp_target−Vp)が0以上(0≦ΔVp)であるか否かを判断する。そして、ΔVpが0よりも小さいとき(ΔVp<0)、すなわち、上述した図8(a)の合成ベクトルVが目標電圧円Cの外側にある状態のときは、STEP40に分岐する。
誘起電圧定数指令値決定部93は、STEP40で、ΔVpに対するPI(比例積分)制御によって算出した誘起電圧定数の指令値Ke_cに対応するロータ位相差の指令値θd_cが、アクチュエータ30による界磁弱め側の限界値θd_max(180度)以上であるか否かを判断する。そして、θd_cがθd_maxよりも小さかったとき(θd_c<θd_max)は、STEP41に進み、誘起電圧定数指令値決定部93は、Ke_cをロータ位相差取得部95に出力する。
ロータ位相差取得部95は、図12に示したKe/θdマップにKe_cを適用してKe_cに対応したロータ位相差θd_c1を取得する。そして、減算器96で算出されるθd_c1とθd_eの偏差Δθdがロータ位相差指令値決定部97に出力される。ロータ位相差指令値決定部97は、Δθdに対するPI(比例積分)制御により決定したロータ位相差の指令値θd_c2をアクチュエータ25に出力する。
そして、アクチュエータ25は、図13に示したフローチャートの処理を実行して、電動機1のロータ位相差を変更する。すなわち、アクチュエータ25は、図13のSTEP1でロータ位相差指令値決定部97からロータ位相差の指令値θd_c2を受信すると、STEP2でθd_c2を機械角度βに変換する。そして、続くSTEP3で、アクチュエータ25は機械角度βを第1プラネタリキャリアC1の動作角度γに変換し、STEP4で該動作角度γ分だけ、第1プラネタリキャリアを回動させる。これにより、ロータ位相差の指令値θd_c2に応じた角度分だけロータ位相差が変更されて電動機1の界磁の磁束が変化し、上述した図8(a)から図8(b)に移行する「第1の端子間電圧上昇対処処理」が実行される。
一方、STEP40で、θd_cがθd_max以上であったときはSTEP50に分岐する。STEP50で、直流電圧指令値決定部120は、ΔVpに対するPI(比例積分)制御により算出した直流電圧の指令値Vdc_cが、DC/DCコンバータ101により出力可能な最大電圧であるVdc_max以上であるか否かを判断する。
そして、Vdc_cがVdc_maxよりも小さかったときはSTEP51に進み、直流電圧指令値決定部120は、ΔVpに対するPI(比例積分)制御により算出したVdc_c(この場合、Vdc_cは増加する)をDC/DCコンバータ101に出力して、STEP33に進む。これにより、直流電源100の出力電圧Vdcが上昇し、それに応じて目標電圧円算出部により算出される目標電源電圧円の半径Vp_targetが増加する。そして、上述した図8(b)から図8(c)に移行する「第2の端子間電圧上昇対処処理」が実行される。
また、STEP50でVdc_cがVdc_max以上(Vdc_max≦Vdc_c)であったときには、STEP60に分岐する。そして、この場合は直流電源100の出力電圧Vdcをこれ以上上昇させることができない。そこで、界磁弱め電流補正値算出部121は、Vdc_cとVdc_sとの偏差ΔVdcに対するPI(比例積分)制御により算出した界磁弱め電流の補正値ΔId_volを加算器51に出力する。これにより、d軸電流が増加し、上述した図8(c)から図8(d)に移行する「第3の端子間電圧上昇対処処理」が実行される。
このように、STEP30でVpがVp_targetよりも大きかったときは、「第1の端子間電圧上昇対処処理」→「第2の端子間電圧上昇対処処理」→「第3の端子間電圧上昇対処処理」の順で、VpをVp_targetに近づける処理が実行される。
次に、STEP30でVpがVp_target以下であったとき(上述した図9(a))の状態)は、STEP31に進む。そして、STEP31で、誘起電圧定数指令値決定部93は、ΔVpに対するPI(比例積分)制御によって算出した誘起電圧定数の指令値Ke_cに対応するロータ位相差の指令値θd_cが、アクチュエータ30による界磁強め側の限界値θd_min(0度)以下であるか否かを判断する。
そして、θd_cがθd_minよりも大きかったとき(θd_min<θd_c)は、STEP32に進み、誘起電圧定数指令値決定部93は、Ke_cをロータ位相差取得部95に出力する。これにより、上述したSTEP41の処理と同様にして電動機1のロータ位相差が変更され、電動機1の界磁の磁束が増大して、上述した図9(a)から図9(b)に移行する「第1の端子間電圧低下対処処理」が実行される。
一方、STEP31でθd_cがθd_min以下であったとき(θd_c≦θd_min)には、STEP70に分岐する。そして、この場合はこれ以上ロータ位相差を減少させることができない。そこで、直流電圧指定値決定部120は、ΔVpに対するPI(比例積分)制御により算出したVdc_c(この場合、Vdc_cは減少する)を出力してSTEP33に進む。
これにより、直流電源100の出力電圧Vdcが減少し、それに応じて目標電圧円算出部により算出される目標電源電圧円の半径Vp_targetが減少する。そして、上述した図9(b)から図9(c)に移行する「第2の端子間電圧低下対処処理」が実行される。
このように、STEP30でVpがVp_target以下であったときは、「第1の端子間電圧低下対処処理」→「第2の端子間電圧低下対処処理」の順序で、VpをVp_targetに近づける処理が実行される。
なお、本実施の形態においては、図11に示した処理により、VpがVp_targetよりも大きいときに、「第1の端子間電圧上昇対処処理」と「第2の端子間電圧上昇対処処理」と「第3の端子間電圧上昇対処処理」を実行してVpをVp_targetに近づける制御と、VpがVp_target以下であるときに、「第1の端子間電圧低下対処処理」と「第2の端子間電圧低下対処処理」を実行してVpをVp_targetに近づける制御とを行ったが、いづれか一方の制御のみを行う場合にも本発明の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、界磁弱め電流補正値算出部121を備えて、d軸電流の増加により電動機1の界磁を弱める「第3の端子間電圧上昇対処処理」を実行したが、「第3の端子間電圧上昇対処処理」を実行しない場合にも、本発明の効果を得ることができる。
また、本実施の形態においては、図10のSTEP11及び図11のSTEP30で、d軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値Vq_cの合成ベクトルVの大きさVpと、目標電圧円の半径Vp_targetとを比較したが、電動機1の電機子の端子間電圧を検出して各相の端子間電圧の合成ベクトルの大きさを算出し、その算出値(本発明の電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさに相当する)と目標電圧円の半径Vp_targetとを比較するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、電動機をd軸及びq軸からなる2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱う電動機の制御装置を示したが、α軸及びβ軸からなる2相交流の固定座標系による等価回路に変換して扱う電動機の制御装置や、等価回路への変換を行わずに3相交流のまま扱う電動機の制御装置においても、本発明の適用が可能である。
2重ロータを備えたDCブラシレスモータの構成図。 図1に示したDCブラシレスモータの外側ロータと内側ロータの位相差を変更する機構の構成図及び作動説明図。 外側ロータと内側ロータの位相差を変更することによる効果の説明図。 外側ロータと内側ロータの位相差を変更することによる効果の説明図。 電動機の制御装置の制御ブロック図。 dq座標系における電圧ベクトル図。 誘起電圧定数からロータ位相差を決定するマップ及び誘起電圧定数とq軸電機子のインダクタンスからロータ位相差を決定するマップの説明図。 界磁弱め及び電源電圧の上昇による効果の説明図。 界磁強め及び電源電圧の低下による効果の説明図。 電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルを目標電圧円に近づける処理の実行順序を決定する処理のフローチャート。 電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルを目標電圧円に近づける処理のフローチャート。 誘起電圧定数からロータ位相差を決定するマップの説明図。 アクチュエータによりロータ位相差を変更する処理のフローチャート。 電動機の界磁弱めが必要となる領域の説明図。
符号の説明
1…電動機、2…電動機の回転軸、10…ステータ、11…内側ロータ、11a,11b…永久磁石、12…外側ロータ、12a,12b…永久磁石、25…アクチュエータ、30…遊星歯車機構、C1…第1プラネタリキャリア、C2…第2プラネタリキャリア、R1…第1リングギア、R2…第2リングギア、S…サンギア、31…第1プラネタリギア、32…第2プラネタリギア、33…サンギアの回転軸、34…軸受け、35…第1プラネタリキャリアの回転軸、50…通電制御部、60…電流指令値決定部、63…定数算出部、64…ロータ位相差推定部、90…目標電圧円算出部、92…実電圧円算出部、93…誘起電圧定数指令値決定部、100…直流電源、101…DC/DCコンバータ(直流電圧変更手段)、110…トルク応答判定部、120…直流電圧指令値決定部、121…界磁弱め電流補正値算出部

Claims (12)

  1. 永久磁石による界磁を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に同心円状に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差を変更することによる界磁制御を行って制御する電動機の制御装置であって、
    直流電源から供給される直流電力を前記電動機の電機子に供給する多相交流電力に変換するインバータ回路と、
    前記ロータ位相差を変更するロータ位相差変更手段と、
    前記直流電源の出力電圧を変更する直流電圧変更手段と、
    前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが、前記直流電源の出力電圧以下に設定された目標電圧よりも大きくなったときに、前記ロータ位相差変更手段により、前記電動機の界磁の磁束が減少する方向に前記ロータ位相差を変更する「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記直流電圧変更手段により、前記直流電源の出力電圧を上昇させる「第2の端子間電圧上昇対処処理」とのうちの、少なくともいずれか一方を実行する端子間電圧上昇対処手段とを備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」よりも先に実行し、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」を実行しても、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きい状態が維持されるときには、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を実行することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  3. 所定のトルク指令値に応じて前記電動機の作動を制御し、
    前記端子間電圧上昇対処手段は、前記トルク指令値の変化率に応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  4. 前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  5. 前記第1ロータの位置を検出するロータ位置検出手段と、
    前記第1ロータの位置に基づいて、前記電動機を界磁の磁束方向であるd軸と該d軸に直交するq軸からなる2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、該等価回路における各軸の電機子の通電量を制御することにより、前記電動機の通電制御を行う通電制御手段とを備え、
    前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」と、前記通電制御におけるd軸側の電機子の通電量を増加させる「第3の端子間電圧上昇対処処理」とのうちの少なくともいずれか一つを実行することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  6. 前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きくなったときに、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」及び前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」を、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」よりも先に実行し、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」及び前記「第2の端子間上昇対処処理」を実行しても、前記電動機の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも大きい状態が維持されるときには、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」を実行することを特徴とする請求項5記載の電動機の制御装置。
  7. 所定のトルク指令値に応じて前記電動機の作動を制御し、
    前記端子間電圧上昇対処手段は、前記トルク指令値の変化率に応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする請求項5記載の電動機の制御装置。
  8. 前記端子間電圧上昇対処手段は、前記電動機の各相の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、前記「第1の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第2の端子間電圧上昇対処処理」と、前記「第3の端子間電圧上昇対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする請求項5記載の電動機の制御装置。
  9. 永久磁石による界磁を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に同心円状に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差を変更することによる界磁制御を行って制御する電動機の制御装置であって、
    直流電源から供給される直流電力を前記電動機の電機子に供給する多相交流電力に変換するインバータ回路と、
    前記ロータ位相差を変更するロータ位相差変更手段と、
    前記直流電源の出力電圧を変更する直流電圧変更手段と、
    前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが、前記直流電源の出力電圧以下に設定された目標電圧よりも小さくなったときに、前記ロータ位相差変更手段により、前記電動機の界磁の磁束が増加する方向に前記ロータ位相差を変更する「第1の端子間電圧低下対処処理と、前記直流電圧変更手段により、前記直流電源の出力電圧を低下させる「第2の端子間電圧低下対処処理」とのうちの、少なくともいずれか一方を実行する端子間電圧低下対処手段とを備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  10. 前記端子間電圧低下対処手段は、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも小さくなったときに、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」を前記「第2の端子間電圧低下対処処理」よりも先に実行し、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」を実行しても、前記電動機の各相の電機子の端子間電圧の合成ベクトルの大きさが前記目標電圧よりも小さい状態が維持されるときには、前記「第2の端子間電圧低下対処処理」を実行することを特徴とする請求項9記載の電動機の制御装置。
  11. 所定のトルク指令値に応じて前記電動機の作動を制御し、
    前記端子間電圧低下対処手段は、前記トルク指令値の変化率に応じて、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」と前記「第2の端子間電圧低下対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする請求項9記載の電動機の制御装置。
  12. 前記端子間電圧低下対処手段は、前記電動機の各相の端子間電圧の合成ベクトルの大きさと前記目標電圧との偏差の大きさに応じて、前記「第1の端子間電圧低下対処処理」と前記「第2の端子間電圧低下対処処理」の実行順序を決定することを特徴とする請求項9記載の電動機の制御装置。
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