JP2007258697A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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【解決手段】多層プリント配線板の製造方法は、両面に配線回路層を形成した第1の液晶ポリマーを絶縁層とする配線基板シートを間にして、片面に導体層を有し、融点が第1の液晶ポリマーよりも低い第2の液晶ポリマーを絶縁層とする2枚の導体層基板シートを、第2の液晶ポリマーの側を配線基板シートに向けて配置して、ロールラミネーターを用いて連続的に積層する工程を含む。その後は、適宜の方法により、2枚の導体層基板シートの導体層をパターン化して配線回路層を形成する。
【選択図】図1
Description
このため、これらの機器に搭載されるプリント配線板に対しても高速・低損失信号伝送性、配線高密度化、薄化、軽量化等が求められている。そして、プリント配線板に対するこれらの要求は、そのまま、基板材料のより一層の低誘電率化、低誘電正接化や薄化、軽量化等に向けられている。これら要求を解決する手段として、ビルドアップ方式による多層プリント配線板が採用されて久しい。
しかしながら、上記熱硬化性樹脂は、必ずしも十二分な低誘電率、低誘電正接特性を有するものではないため、電子機器に要求される高周波特性を十二分に満足するものではない。
この提案によれば、回路層の液晶ポリマー成分をその融点以上に加熱する必要なしに、多層プリント配線板を得ることができるとされている。
また、この提案のなかで、各加熱ロールが各配線回路基板の表面(外表面)に形成された配線回路を破損したりするのを防止するために、ロール間に離型シートを掛回して、この離型シートを各配線回路基板の表面に接触させながらロールによる加圧を行うことが開示されている。
この提案によれば、外観が良好で、十分な寸法安定性および高接着力を有する多層配線回路基板(多層プリント配線板)を低コストで得ることができるとされている。
一方、後者(特許文献2)の加熱ロールにより積層するものは、上記のように生産性やコストの点で積層プレスにより積層するものに比べて優れるものの、各配線回路基板の表面(外表面)に形成された配線回路に与える損傷を完全に回避することは難しいように思われる。
すなわち、特許文献2に記載された方法によれば、最初の加圧ロールによる積層工程において、加圧ロールから離れた中央側に外側の絶縁層よりも低い耐熱性(融点)の液晶ポリマー層を配置するため、積層時の加熱加圧条件がより厳しいものとなり、配線回路の変形等の不具合が懸念される。また、同様に最初の積層工程を実際行おうとする場合には、現実的には回路破損防止のためガラス織布含浸テフロンシート(テフロンは登録商標)などの離型シートが必須となると思われ、その場合には、積層工程の微妙な温度制御の妨げとなり多層回路基板の不良につながる恐れがある。
前記2枚の導体層基板シートの導体層をパターン化して配線回路層を形成して配線基板シートを得る工程と、
片面に導体層を有し、融点が前記第2の液晶ポリマーよりも低い第3の液晶ポリマーを絶縁層とする2枚の導体層基板シートを、該第3の液晶ポリマーの側を2枚の配線基板シートに向けて配置して、加熱、加圧下で連続的に積層する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の第一の例に係る多層プリント配線板の製造方法は、少なくとも片面に配線回路層を形成した、第1の液晶ポリマーを絶縁層とする配線基板シートと、片面に導体層を有し、第2の液晶ポリマーを絶縁層に有する2枚の導体層基板シートを用いる。ここで、第1の液晶ポリマーを絶縁層とする配線基板シートは、少なくともその片面に配線回路層を形成していることが必要であるが、絶縁層の両面に配線回路層を形成しているものを用いることが、配線回路層の多層化により有利である。そして、本発明の第一の例に係る多層プリント配線板の製造方法は、配線基板シートを間にして、2枚の導体層基板シートを、第2の液晶ポリマーの側を配線基板シートに向けて配置して、すなわち、導体層基板シートの絶縁層の側を配線基板シートの配線回路層の面に向けて重ねて、連続的に積層する工程を含む。このとき、第2の液晶ポリマーの融点が第1の液晶ポリマーの融点よりも低くなるように、第1の液晶ポリマーおよび第2の液晶ポリマーを選定、あるいは調製して使用する。
ここで、指標としての融点を、熱変形温度に置き換えることもできる。以下の他の例についても同様である。
液晶ポリマーは、第2の液晶ポリマーの融点が第1の液晶ポリマーの融点よりも5〜60℃低いことがより好ましい。これは、熱変形温度で見ると、およそ15〜60℃低いことに相当する。また、第1の液晶ポリマーおよび第2の液晶ポリマーは、融点の差の条件を満たす範囲で、それぞれ融点が一定の範囲にあることが好ましい。すなわち、第1の液晶ポリマーの融点は、250〜330℃の範囲にあることが好ましく、また、第2の液晶ポリマーの融点は、210〜300℃の範囲にあることが好ましい。これは、熱変形温度で見ると、第1の液晶ポリマーの熱変形温度は、およそ220〜300℃の範囲にあることが好ましく、また、第2の液晶ポリマーの熱変形温度は、およそ180〜260℃の範囲にあることに相当する。
これにより、配線基板シートに形成される配線回路層の変形を生じることがなく、また、配線回路層の配線間に第2の液晶ポリマーを良好に充填することができる。
本発明における融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/minで360℃まで昇温した際に観察される吸熱ピークの温度をいう。
なお、指標として熱変形温度を用いるときの熱変形温度は、フィルムに一定の荷重を加えて昇温させたときに、荷重により急激にフィルムが伸び始める温度をいう。例えば、熱機械分析装置(TMA)を用いて、フィルムに5gの荷重をかけ、10℃/minで400℃まで昇温した際のフィルムの寸法変化を測定し、Tg(ガラス移転点温度) 以下の伸びの外挿線とTg以上の伸びの外挿線との交点から熱変形温度を求めることができる。
なお、液晶ポリマーは、基板の安定した寸法精度を得る観点から、例えば、1×10-6〜25×10-6/℃の範囲の線膨張係数を有するものであることが好ましい。
なお、上記の積層処理を行う前に、使用する液晶ポリマーの表面を表面処理しておくことが望ましく、これにより積層面の密着強度を向上させることができる。表面処理方法としては、アルカリ混合溶液によるエッチング処理やプラズマによるエッチング処理が好適に適用可能である。
上記の工程の後で導体層をパターン化して配線回路層を形成するには、適宜の方法を用いることができ、例えば、上記の工程で得られる積層体(多層プリント配線板中間製品)のシートを多層プリント配線板の製品寸法に裁断した後、個々の積層体毎に配線回路層を形成してもよく、また、積層体シートをそのまま連続的に処理して配線回路層を形成してもよい。
上記多層プリント配線板の製造工程において、必要に応じて上記積層体(多層プリント配線板中間製品)のシートを巻き取ってロールとして一時保管する場合、従来例の表面に配線回路層を形成したものでは配線回路層を損傷するおそれがあるが、本発明によれば、表面は導体層であるため、このような不具合はない。
本発明の第二の例に係る多層プリント配線板の製造方法は、上記本発明の第一の例に係る多層プリント配線板の製造方法における工程を経た後、上記2枚の導体層基板シートの導体層をパターン化して配線回路層を形成して配線基板シートを得る工程と、片面に導体層を有し、融点が前記第2の液晶ポリマーよりも低い第3の液晶ポリマーを絶縁層とする2枚の導体層基板シートを、第3の液晶ポリマーの側を2枚の配線基板シートに向けて配置して、連続的に積層する工程をさらに含むものである。
ここで、第3の液晶ポリマーの融点は、第2の液晶ポリマーの融点よりも5〜60℃低いことがより好ましい。これは、熱変形温度で見ると、およそ15〜60℃低いことに相当する。
上記融点の条件を除き、第3の液晶ポリマーを絶縁層に有する2枚の導体層基板シートの液晶ポリマーおよび導体層は、前記本発明の第一の例に係る多層プリント配線板の製造方法で説明したものと同様とすることができる。
また、このとき、ロールラミネーターによるロールの線圧(ラミネート圧)が10〜250kN/mであることが好ましい。また、ロールの温度(表面温度)が150〜300℃であることが好ましい。
これにより、配線回路層や液晶ポリマー(絶縁層)の変形を生じることがなく、また、配線回路層の配線間に液晶ポリマーを良好に充填することができる。
また、このとき、ロールに巻回した材料を引き出して積層し、製造される多層プリント配線板をロールに巻き取るまでの行程をロール・トゥ・ロール方式により連続的に行うと、さらに高い生産性を得るうえでより好ましい。
また、上記第一又は第二の例において、加熱、加圧下で連続的に積層する工程では、その加熱温度を加熱、加圧時の積層体の最内層に位置する液晶ポリマーの融点よりも低い温度とし、かつ、積層体の最外層に位置する液晶ポリマーの融点よりも60℃低い温度以上、言い換えれば60℃を下回らない温度とすることが好ましい。加熱温度を積層体の最内層に位置する液晶ポリマーの融点よりも低くすることで、配線回路層の変形の抑制に有利であり、積層体の最外層に位置する液晶ポリマーの融点よりも60℃低い温度以上とすることで、配線回路への絶縁樹脂(最外層に位置する液晶ポリマー)の充填がより良好に行われる。より好ましい加熱温度としては、積層体の最外層に位置する液晶ポリマーの融点よりも60℃低い温度以上からその液晶ポリマーの融点より5℃高い融点以下の範囲である。
図1(a)〜(f)に示す工程図を参照して、多層プリント配線の製造方法を説明する。
導体層とされる厚みが9μmの銅箔10と、絶縁層とされる厚みが25μmで融点295℃(熱変形温度265℃)の液晶ポリマー12で構成される両面銅張積層板(以下、これを両面銅張積層板LYという。)14に対し、エッチングレジストラミネート、露光、現像、エッチング、レジスト剥離の処理をロールトゥロール方式で実施し、両面に配線層(配線回路層)16を形成した、幅300mm×長さ200mのロール状に巻き取った長尺の両面配線基板(配線基板シート)18を作製した(図1(a))。
つぎに、導体層とされる厚みが9μmの銅箔20と、絶縁層とされる厚みが25μmで融点280℃(熱変形温度240℃)の液晶ポリマー22で構成される、2巻の片面銅張積層板(以下、これを両面銅張積層板LXという。)24を準備し、それぞれ、液晶ポリマー22表面をアルゴン、ヘリウム、酸素、窒素からなるガスを用いてプラズマ処理し、両面配線基板18の上下両面に、プラズマ処理した液晶ポリマー22側を対向させて重ね(図1(b))、ラミネータにより、ロール温度260℃、線圧20kN/mで連続的に加熱、加圧してこれらが一体化した積層体26を作製した(図1(c))。なお、図1(c)中、参照符号27はロールを示す。
つぎに、得られた積層体26を300mm×400mmに裁断し、NCドリル加工にてφ0.15mmのスルーホール28を形成し(図1(d))、所定のデスミア処理後、8μm厚のパネルめっき30を形成した(図1(e))。そして、テンティング法により最外層をエッチング、パターン化して配線層32を形成し、さらにソルダーレジスト層34を形成して、多層プリント配線板36を作製した(図1(f))。
なお、本実施例において得られた積層体26には、配線層16の配線回路の断線や変形が見られず、断面観察の結果も、配線間への液晶ポリマー樹脂(液晶ポリマー22)の充填も良好であり、各樹脂層厚みも略均一となっており、引き続き行われる(d)〜(e)の後工程における歩留り損は生じなかった。
導体層とされる厚みが9μmの銅箔と、絶縁層とされる厚みが25μmで融点260℃(熱変形温度220℃)の液晶ポリマーで構成される片面銅張積層板(以下、これを片面銅張積層板LX2という。)を2巻準備するとともに、実施例1で作製した積層体26(図1(c)参照。)の上下両面の銅箔20をパターン化して配線層(配線回路層)を形成した。
つぎに、上記の配線層を形成した積層体26の上下両面に、液晶ポリマー側を対向させて片面銅張積層板LX2を重ね、実施例1の図1(b)および図1(c)と同様の処理を施し、多層化された積層体を形成した。なお、積層時のラミネート条件は、ロール温度240℃、ロール線圧20kN/mで連続的に加熱、加圧した。この積層体に対し、実施例1の図1(d)および図1(e)と同様の処理を施し、多層プリント配線板を作製した。
本実施例において得られた多層化された積層体には、銅箔20をパターン化して形成した配線層の配線回路の断線や変形が見られず、断面観察の結果も、配線間への、融点が260℃の液晶ポリマー樹脂の充填も良好であり、各樹脂層厚みも略均一となっており、引き続き行われる(d)〜(e)の後工程における歩留り損は生じなかった。
12、22 液晶ポリマー
14 両面銅張積層板
16、32 配線層
18 両面配線基板
24 片面銅張積層板
26 積層体
28 スルーホール
30 パネルめっき
34 ソルダーレジスト層
36 多層プリント配線板
Claims (7)
- 少なくとも片面に配線回路層を形成した、第1の液晶ポリマーを絶縁層とする配線基板シートを間にして、片面に導体層を有し、融点が該第1の液晶ポリマーよりも低い第2の液晶ポリマーを絶縁層とする2枚の導体層基板シートを、該第2の液晶ポリマーの側を該配線基板シートに向けて配置して、加熱、加圧下で連続的に積層する工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- 前記第2の液晶ポリマーの融点が前記第1の液晶ポリマーのよりも5〜60℃低いことを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 前記2枚の導体層基板シートの導体層をパターン化して配線回路層を形成して配線基板シートを得る工程と、
片面に導体層を有し、融点が前記第2の液晶ポリマーよりも低い第3の液晶ポリマーを絶縁層とする2枚の導体層基板シートを、該第3の液晶ポリマーの側を該2枚の配線基板シートに向けて配置して、加熱、加圧下で連続的に積層する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の多層プリント配線板の製造方法。 - 加熱、加圧下で連続的に積層する工程が、ロールラミネーターによるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- ロールラミネーターによる加圧時のロールの線圧が10〜250kN/mであることを特徴とする請求項4記載の多層プリント配線板の製造方法。
- ロールラミネーターによる加圧時のロールの温度が150〜300℃であることを特徴とする請求項4記載の多層プリント配線板の製造方法。
- ロールに巻回した材料を引き出して積層し、製造される多層プリント配線板をロールに巻き取るまでの行程をロール・トゥ・ロール方式により連続的に行うことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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