JP2007256316A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルト定着装置において立ち上がり時間の短縮と省エネルギー化の両立を計り、かつ高品位な画像を得る。
【解決手段】定着ベルト52が少なくとも定着部材54とベルト支持部材53とに張設される定着装置において、定着ベルト52の回動方向におけるベルト支持部材53の下流側かつニップの上流側に定着ベルト52を加熱する補助熱源61を配備する。この補助熱源61から付与される熱により、定着ベルト52表面と用紙P及び用紙P上の未定着トナーの三者が暖められ、効率良く未定着画像を定着する。
【選択図】図2
【解決手段】定着ベルト52が少なくとも定着部材54とベルト支持部材53とに張設される定着装置において、定着ベルト52の回動方向におけるベルト支持部材53の下流側かつニップの上流側に定着ベルト52を加熱する補助熱源61を配備する。この補助熱源61から付与される熱により、定着ベルト52表面と用紙P及び用紙P上の未定着トナーの三者が暖められ、効率良く未定着画像を定着する。
【選択図】図2
Description
本発明は、熱定着装置及びこれを用いる加熱装置、画像形成装置に関するものである。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは印刷機等の画像形成装置においては熱定着装置が広く用いられている。従来、熱定着装置としては、一対のローラを対向させて配置し、一方のローラを加熱ローラとして用い、他方のローラを加圧ローラとして用いるヒートロール方式の定着装置が多用されてきた。ヒートロール方式の定着装置では、加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ部に記録媒体を挟持させて搬送しながら加熱ローラからの熱により、未定着画像を融着させて定着する。
また、熱定着装置としては、図10に示すようなローラとベルトを組み合わせた構成のものがある。一般にベルト定着装置と呼ばれるこの構成では、定着ローラ(加熱ローラ)に代えて複数のローラに掛け回されたベルト(定着ベルト)を用い、通常、定着ベルトが掛け回されるローラのひとつには加圧ローラを対向圧接させてある。また、定着ベルトが掛け回されるローラのひとつ(通常、上記加圧ローラが圧接されるローラ以外のローラ)には定着ベルトをベルトの裏面側から加熱するための熱源が設けられ、加圧ローラにもベルトを表面側から加熱するための熱源が設けられている場合が多い。
図10に、ベルト定着装置の一例を示す。図10において、符号152は定着ベルト,153は加熱ローラ,154は定着ローラ,155は加圧ローラ,156は加熱ローラ153に内蔵された加熱手段,157は加圧ローラ155に内蔵された加熱手段である。
このような構成のベルト定着装置においては、加熱手段としてのベルトはローラ(定着ローラ)に比べて体積が小さく、熱容量が小さいので短時間での温度上昇が可能であり、ヒートロール方式に比べて定着温度の立ち上がりが早い(立上げ時間が短い)という利点がある。しかも、加圧ローラにも熱源を備えることにより、定着ベルトの表裏両面で立ち上がりを早められるという利点も併せ持つ。
ところで近年、環境問題が重要となり、画像形成装置においても省エネルギー化が進んでいる。この画像形成装置の省エネルギーを考えるに当たって無視できないのは、トナーを記録媒体に定着する定着装置の省電力である。画像形成装置の待機時における定着装置の消費電力の低減としては、従来、待機時には加熱ローラの温度を定着温度よりやや低い一定の温度に保つことにより、使用時に直ちに使用可能温度まで立ち上げ、使用者が定着ローラの昇温を待つことがないようにしている。この場合、定着装置を使用していないときにもある程度の電力を供給して余分なエネルギーを消費していた。
この待機時の消費エネルギーを削減して更なる省電力化を図ることが望まれ、未使用時には電力供給をゼロにすることが求められてきている。しかしながら待機時にエネルギー消費をゼロにすると、加熱ローラは鉄やアルミなどの金属ローラを主に使用しており熱容量が大きいため、約180℃前後の使用可能温度にまで昇温するには数分の加熱時間が必要であり、使用者の使い勝手が悪化してしまう。加熱ローラの昇温時間を短くすることは、単位時間の投入エネルギーすなわち定格電力を大きくすることで可能である。実際、プリント速度の速い高速機には電源電圧を200Vにして対応している装置も多い。しかし、日本国内の一般的なオフィスでは、商用電源は100V15Aであり、200Vに対応させるには設置場所の電源関連に特別な工事を施す必要があり一般的な解決法とはいえない。このため、加熱ローラを短時間で昇温させようとしても、最大投入エネルギーが電源により決まってしまっていた。
これを改善するため、例えば特許文献1に示されているように、定着装置が待機状態になったときに一定レベルだけ低い電圧を加熱ローラに供給して定着装置の温度が下がることを遅らせたり、特許文献2及び特許文献3に示されているように、定着装置の待機時に補助電源である二次電池を充電し、定着装置を立ち上げたときに主電源装置と二次電池や一次電池から電力を供給して立上り時間を短縮するようにしたりすることが提案されている。
しかしながら、更なる立ち上がり時間の短縮と省エネルギー化の両立及び高品位な画像が求められており、従来の定着装置及び画像形成装置においては実現されていないという問題がある。
本発明は、従来の定着装置及び画像形成装置における上述の問題を解決し、立ち上がり時間の短縮と省エネルギー化の両立及び高品位な画像を得ることのできる定着装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
前記の課題は、本発明により、加熱手段により加熱される定着ベルトを挟んで定着部材と加圧部材を圧接させてニップを形成し、該ニップに未定着トナー像を担持する記録材を通過させて定着を行う定着装置であって、前記定着ベルトが少なくとも前記定着部材とベルト支持部材とに張設される定着装置において、前記定着ベルト回動方向における前記ベルト支持部材の下流側かつ前記ニップの上流側に補助熱源を配備したことにより解決される。
また、前記補助熱源が前記定着ベルトの記録材側に配備されていると好ましい。
また、前記補助熱源が前記定着ベルトの内側に配備されていると好ましい。
また、前記補助熱源が前記定着ベルトのテンショナーを兼ねると好ましい。
また、前記補助熱源が前記定着ベルトの内側に配備されていると好ましい。
また、前記補助熱源が前記定着ベルトのテンショナーを兼ねると好ましい。
また、前記補助熱源がハロゲンヒータであると好ましい。
また、前記補助熱源が面状発熱体であると好ましい。
また、前記補助熱源の直下流位置における前記定着ベルトと記録材の距離が5〜30mmであると好ましい。
また、前記補助熱源が面状発熱体であると好ましい。
また、前記補助熱源の直下流位置における前記定着ベルトと記録材の距離が5〜30mmであると好ましい。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置を備え、主電源と該主電源により充電される補助電源とを有し、前記補助熱源に前記補助電源から電力を供給可能に構成した加熱装置により解決される。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置または請求項8に記載の加熱装置を備える画像形成装置により解決される。
また、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下であるトナーを用いると好ましい。
また、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下であるトナーを用いると好ましい。
また、前記トナーの前記顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下であると好ましい。
また、前記トナーの重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)であると好ましい。
また、前記トナーの円形度が0.900〜0.960であると好ましい。
また、前記トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあると好ましい。
また、前記トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあると好ましい。
また、前記トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gであると好ましい。
また、前記トナーの油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していると好ましい。
また、前記トナーとキャリアを含有する現像剤を用いると好ましい。
また、前記トナーの油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していると好ましい。
また、前記トナーとキャリアを含有する現像剤を用いると好ましい。
本発明の定着装置、加熱装置、画像形成装置によれば、ベルト支持部材の下流側かつニップの上流側に配備した補助熱源から付与される熱により、定着ベルトと用紙及び用紙上の未定着トナーの三者が暖められ、更に効率良く未定着画像を定着することができる。また、用紙が定着ニップに進入する前に補助熱源を発熱させることにより、立ち上がり時間を短縮することも可能となる。
そして、SPR−Cトナーなど粘度の高いトナーに対しても定着分離爪上で記録媒体の搬送方向に大きな塊状に成長することを防止し、高画質でかつ画像汚れのない画像形成を行うことが可能となる。
補助熱源を定着ベルトの記録材側に配備した場合は定着ベルトの表面(定着側)を効率的に加熱することができる。補助熱源を定着ベルトの内側に配備した場合はベルト表面の劣化進行を遅くすることができる。また、レイアウトの自由度が高くなるというメリットもある。
補助熱源が定着ベルトのテンショナーを兼ねる場合には、部品点数を少なくすることができ、コストダウンが可能となる。また、テンションローラ等に吸収される熱が無くなる分、熱効率が向上する
主電源により充電される補助電源から補助熱源に電力を供給可能とすることにより、定着装置の立ち上げ時間を短縮することができる。
請求項10〜17に記載のトナー及び現像剤を使用することにより、色再現、彩度、透明性に優れた画像を形成することができる。
請求項10〜17に記載のトナー及び現像剤を使用することにより、色再現、彩度、透明性に優れた画像を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る定着装置を装着可能な画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。このカラーレーザプリンタ1は、装置本体の下部に給紙部2が設けられ、その上方に作像部3を配置した構成となっている。装置上面には排紙トレイ6が形成されている。図に破線で記録紙の搬送経路を示すように、給紙部2から用紙を給送し、作像部3にて形成した画像を用紙上に転写し、定着装置50で定着して排紙トレイ6に排紙する。なお、装置側面には開閉式の手差しトレイ11が設けられ、ここからの手差し給紙も可能である。
図1は、本発明に係る定着装置を装着可能な画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。このカラーレーザプリンタ1は、装置本体の下部に給紙部2が設けられ、その上方に作像部3を配置した構成となっている。装置上面には排紙トレイ6が形成されている。図に破線で記録紙の搬送経路を示すように、給紙部2から用紙を給送し、作像部3にて形成した画像を用紙上に転写し、定着装置50で定着して排紙トレイ6に排紙する。なお、装置側面には開閉式の手差しトレイ11が設けられ、ここからの手差し給紙も可能である。
手差しトレイ11とは反対側の装置本体の側面には両面装置9が装着されており、定着後の用紙を両面装置9を介して用紙の表裏を反転させた後、両面搬送部30を経て再給紙することも可能である。また、両面装置9から、装置側面方向の図示しない排紙トレイに用紙を排出することが可能である。
作像部3には、給紙側を下に、排紙側を上となるように傾斜して配置された転写搬送ベルト装置20が配設されている。この転写搬送ベルト装置20の上部走行辺に沿って、下から順にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、黒(Bk)用の4つの作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkが並んで配置されている。各作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkの構成は同じであるが、扱うトナーの色が異なっている。各色トナーは、トナーボトル収容部10にセットされた図示しない各色毎のトナーボトルに収納されており、その各色毎のトナーボトルから図示しないトナー給送手段により各作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkの現像装置に送られる。
各作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkは、像担持体としての感光体ドラム5を備えており、該感光体ドラム5は図示していない駆動手段によって図中時計方向へ回転駆動される。感光体ドラム5の回りには帯電器、現像装置、クリーニング装置等が配置されている。各作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkの斜め上方には光書込み装置8が配置されており、該光書込み装置8からのレーザ光は、帯電器と現像装置の間から感光体ドラム5に照射される。
無端ループ状の転写搬送ベルト21は、駆動ローラ22、従動ローラ23及び2つの対向ローラ24,24に巻回張架されている。転写搬送ベルト21の上部走行辺の内側で、各色作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkの感光体ドラム5に夫々対向する位置に、転写ブラシ28がベルト21に接触するように配置されている。そして、従動ローラ23の上部にはベルト21を挟んで紙吸着ローラ27が設けられている。記録紙は従動ローラ23と吸着ローラ27の間からベルト21上に送り出され、吸着ローラ27に印加されたバイアス電圧によって静電的に転写搬送ベルト21上に吸着された状態で搬送される。
転写搬送ベルト装置20は、図示しない機構により、カラープリントの場合はベルト21が4色の作像ユニット4M,4C,4Y,4Bk(の感光体ドラム)に接触する状態に保持され、黒単色プリントの場合は作像ユニット4Bk(の感光体ドラム)のみにベルト21が接触する状態を保持するようになっている。
本例のカラーレーザプリンタ1におけるプリント動作について簡単に説明する。
マゼンタ用の作像ユニット4Mにおいて、感光体ドラム5の表面は帯電器によって所定の電位に均一に帯電される。露光装置8においては、パソコン等のホストマシーンより送られた画像データに基づいて図示しないLD(レーザダイオード)を駆動してレーザ光をポリゴンミラー7に照射し、シリンダーレンズ等を介して反射光を感光体ドラム5M上に導き、感光体ドラム5M上にマゼンタトナーで現像すべき静電潜像を形成する。この潜像に現像装置からトナーが付与され、マゼンタトナーの可視像となる。
マゼンタ用の作像ユニット4Mにおいて、感光体ドラム5の表面は帯電器によって所定の電位に均一に帯電される。露光装置8においては、パソコン等のホストマシーンより送られた画像データに基づいて図示しないLD(レーザダイオード)を駆動してレーザ光をポリゴンミラー7に照射し、シリンダーレンズ等を介して反射光を感光体ドラム5M上に導き、感光体ドラム5M上にマゼンタトナーで現像すべき静電潜像を形成する。この潜像に現像装置からトナーが付与され、マゼンタトナーの可視像となる。
一方、給紙部2からは転写材として指定された用紙が給紙され、給紙された用紙は転写搬送ベルト装置20の搬送方向上流側に設けられたレジストローラ対40に一旦突き当てられる。カラープリント時、転写搬送ベルト装置20では、上述したように転写搬送ベルト21が押し上げられ、ベルト21が4色の作像ユニット4M,4C,4Y,4Bk(の感光体ドラム)に接触している。そして、用紙は上記可視像に同期するようにしてベルト21上に給送され、該ベルトの走行により感光体ドラム5Mに対向する転写位置に到る。この転写位置では、転写ベルト20の裏面側に配置された転写ブラシ28の作用によりマゼンタトナーの可視像が用紙に転写される。
マゼンタ色の場合と同様にして、他の作像ユニット4C,4Y,4Bkにおいてもそれぞれの感光体ドラム5の表面に各トナーによる可視像が形成され、これら可視像は転写搬送ベルト21によって搬送される用紙が各転写位置に到来するごとに重ね転写される。したがって、本実施形態のカラープリンタはフルカラーの画像がモノクロとほぼ同様な短時間で用紙に重ね転写される。
いっぽう、モノクロプリントの場合は、転写搬送ベルト装置20では、上述したように作像ユニット4Bk(の感光体ドラム)のみにベルト21が接触するように転写搬送ベルト21が移動され、黒用の作像ユニット4Bkのみにおいて感光体ドラム5の表面にブラックトナーの可視像が形成され、このBkの可視像に同期するようにしてベルト21上に給送された用紙に対してBkトナー像が転写される。
トナー像転写後の用紙は、転写搬送ベルト21から分離されて、定着装置50により定着される。定着を終えた用紙は、装置本体の上面に設けられた排紙トレイ6に排紙されるか、両面装置9へ受け渡される。
両面装置9から装置側面方向の図示しない排紙トレイに用紙を排出することもできるし、両面記録の場合は両面装置9にて用紙の表裏を反転させ、両面搬送部30を経て作像部3に用紙を再給紙し、用紙裏面に画像を形成することができる。両面記録後の用紙は、装置上面の排紙トレイ6又は装置側面方向の図示しない排紙トレイに排出される。
次に、本発明を適用した定着装置として、図2〜5に示す4例を挙げて説明する。
図2に示す第1実施例の定着装置50Aは、定着ベルト52や加圧ローラ55等を定着ケーシング51内に備えている。本例の定着装置はベルト定着方式であって、剛性のある加圧ローラ55に、比較的柔らかい例えばスポンジローラからなる定着ローラ54が定着ベルト52を挟んで圧接されている。その定着ベルト52は、加熱ローラ53と定着ローラ54との周囲に掛け回され、バネなどの図示しない付勢手段により定着ベルト52内側からテンションローラ60で付勢することにより、定着ベルト52に適切な所定の張力を与えている。加熱ローラ53の内部には、ハロゲンランプ等のヒータ56が備えられている。この加熱ローラ53部には、温度検知手段としてのサーミスタ58が接触ないし近接して配置されている。そして、定着ベルト52の図において下辺である加熱ローラ53と定着ローラ54間のほぼ中間位置に、補助熱源61が定着ベルト52に圧接するように設けられている。
図2に示す第1実施例の定着装置50Aは、定着ベルト52や加圧ローラ55等を定着ケーシング51内に備えている。本例の定着装置はベルト定着方式であって、剛性のある加圧ローラ55に、比較的柔らかい例えばスポンジローラからなる定着ローラ54が定着ベルト52を挟んで圧接されている。その定着ベルト52は、加熱ローラ53と定着ローラ54との周囲に掛け回され、バネなどの図示しない付勢手段により定着ベルト52内側からテンションローラ60で付勢することにより、定着ベルト52に適切な所定の張力を与えている。加熱ローラ53の内部には、ハロゲンランプ等のヒータ56が備えられている。この加熱ローラ53部には、温度検知手段としてのサーミスタ58が接触ないし近接して配置されている。そして、定着ベルト52の図において下辺である加熱ローラ53と定着ローラ54間のほぼ中間位置に、補助熱源61が定着ベルト52に圧接するように設けられている。
定着ローラ54は、芯金54aと、この芯金54aを被覆する耐熱多孔質層の弾性体層54bとを有する。定着ローラ54は、バネなどの図示しない付勢手段により、加圧ローラ55に圧接する向きに付勢されている。上記補助熱源61は、定着ローラ54が定着ベルト52を挟んで加圧ローラ55に圧接されて形成されるニップ部の上流側で加熱ローラ53とニップ部の中間に配置される。その補助熱源61に対向するように、記録媒体としての用紙Pをニップ部に向けて案内するための搬送ガイド63が設けられている。したがって、用紙Pは、搬送ガイド63に案内されてニップ部に向けて搬送される際に、補助熱源61からの熱を受けて加熱される。本例の装置構成では、用紙Pの図において上面が未定着トナー担持面であり、よって、定着ニップに進入する前に、用紙上の未定着トナーが補助熱源61によって補助的に加熱される。もちろん、補助熱源61は、ニップ進入前の用紙だけでなく、定着ベルト52をも加熱する。
加圧ローラ55は、内部にハロゲンランプ等のヒータ57を備えている。この加圧ローラ55には、温度検知手段としてのサーミスタ59が接触ないし近接して配置されている。また、加圧ローラ55には、オイル塗布ローラ65が付設されている。
本例の定着装置50Aでは、加熱ローラ53、加圧ローラ55の内部に備えられたヒータ56,57の容量は、1)定着ベルト52の熱容量が加圧ローラ55に比べて低いこと、2)コールドスタート時に加圧ローラ55は、ヒータ57だけでなく定着ベルト52表面から加圧ローラ55表面を加熱することにより立ち上がり時間の短縮が図れること、等の理由から、ヒータ57に比べヒータ56の方が容量が大きく構成されている。本構成ではヒータ56は1100[W]、ヒータ7は200[W](共に100[V]印加時)のものを用いている。
そして、定着ニップ部の出口側には分離爪64が配置されている。この分離爪64は、先端部を定着ローラ54外周の定着ベルト52の表面に押し当てるように配設されている。これにより、用紙Pが定着ベルト52の外周面に貼り付いたとしても、用紙Pの搬送に伴い定着ベルト52の外周面と用紙Pとの間に分離爪64が入り込むことにより用紙Pを定着ベルト52から分離させ、定着ベルト52への用紙の巻き付きが防止される。
また静電的な力やファンデルワールス力などによる定着ベルト52へのトナー付着防止のために、定着ベルト52とトナーとの離型性向上を目的として、シリコンオイルを定着ベルト52表面に塗布する構成を用いた。微量にオイル塗布を行う媒体として微量塗布ローラ65を用いた。本例では、微量塗布ローラ65より加圧ローラ55を介してシリコンオイルを定着ベルト52表面に塗布する構成とした。
上記微量塗布ローラ65は芯金の周りにシリコンオイルを含浸させたスポンジ状の発泡体を具備し、その外周に微細な孔のある半透膜を一重、もしくは二重に巻いた構成となっており、発泡体のシリコンオイルが半透膜を通してしみ出し、対向する部材に微量のオイルを塗布する部材である。この際、上記微量オイル塗布ローラ65の表層膜は、ペーパージャム時などにトナーが付着した際に、微量オイル塗布ローラ65表面にトナーが固着しないように、離型性の良い材質を採用している。微量オイル塗布ローラ65表面にトナーが固着すると、オイルがしみ出す微孔が塞がれてしまい、オイル塗布が出来なくなるためである。ここでは表層膜に離型性優先した材料としてゴアテックス膜を用いた。
上記補助熱源61は、直径12mmのアルミ素管内部にヒータ62を備えており、バネなどの図示しない付勢手段により定着ベルト52に圧接する向きに付勢されている。補助熱源61から付与される熱により、定着ベルト52表面と用紙P及び用紙P上の未定着トナーの三者が暖められ、更に効率良く未定着画像を定着することが可能となる。また、用紙Pが定着ニップに進入する前に補助熱源61を発熱させることにより、立ち上がり時間を短縮することも可能となる。
本例では、補助熱源61としてアルミ素管を用いているが、素管表面にオフセットトナーの付着防止を目的としたテフロン(登録商標)等の表面処理を施してもよい。また、本例では、補助熱源61は回転可能に支持され、定着ベルト52に連れ周りするよう構成しているが、定着ベルト52との線速差防止のため、他の回転部材と同期してギヤ駆動等を行っても良い。
また、補助熱源61のON/OFF切り替えはサーミスタ58の出力に基づいて制御してもよく、より詳細な温度制御を行う場合には補助熱源61の表面にサーミスタ等の温度検知素子を付設し、該温度検知素子の出力に基づいて制御しても良い。追加する温度検知素子は接触方式/非接触方式のいずれでも良い。
図3は、第2実施例の定着装置50Bの構成を示す断面図である。この定着装置50Bの基本的構成は先に説明した第1実施例の定着装置50Aと同様であるので、重複する説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
本第2実施例の定着装置50Bにおいては、補助熱源61を定着ベルト52のループ内側に配置している。定着ベルトの内側に補助熱源を配置することにより、ベルト表面(定着ベルトの定着面=用紙Pに接触する面)に補助熱源61が接触しなくなるため、ベルト表面の劣化進行を遅くすることができる。また、定着ニップへの用紙Pの進入経路上にローラ状の突起がなくなるため、レイアウトの自由度が高くなるというメリットもある。
さらに、補助熱源61の下流側では定着ニップに進入する用紙Pと定着ベルト52の角度差が少なくなり(平行に近くなり)、したがって用紙Pが定着ニップに進入するとき、補助熱源61から定着ニップ入口までの間では用紙Pと定着ベルト52との距離がほぼ等しくなり、さらに効率良く且つ均一に用紙Pをプレ加熱できるという効果もある。
図4は、第3実施例の定着装置50Cの構成を示す断面図である。この定着装置50Cは先に説明した第2実施例の定着装置50Bからテンションローラ60を省き、補助熱源61が定着ベルト52のテンショナーを兼用する構成となっている。同一部分についての説明は省略する。
本第3実施例の定着装置50Cでは、テンションローラ60を省いたことで、部品点数を少なくすることができ、コストダウンが可能となる。また、テンションローラ60に吸収される熱が無くなる分、熱効率が向上するというメリットもある。
図5は、第4実施例の定着装置50Dの構成を示す断面図である。先に説明した各実施例の定着装置50A〜Cでは補助熱源61はハロゲンヒータを熱源としているのに対し、本第4実施例の定着装置50Dでは面状発熱体を熱源とする点で相違している。同一部分についての説明は省略する。
本第4実施例の定着装置50Dでは、ホルダ73に支持された面状発熱体72を熱源とする補助熱源71を用いている。先に説明した各実施例の定着装置50A〜Cにおける補助熱源61はローラ状に構成され定着ベルト52に従動回転または図示しない駆動機構により回転駆動される構成であったが、本例における補助熱源71は回転せず、面状発熱体72が定着ベルト52と摺動する。なお、補助熱源71をローラ状に構成し、その周面を面状発熱体とすることも可能である。
本第4実施例の定着装置50Dにおいては、補助熱源71の熱源として用いる面状発熱体(例えば抵抗発熱体)がハロゲンヒータよりも立ち上がりが早いので、定着装置の立ち上がり時間をより短縮できるという効果がある。
ここで、補助熱源61の位置について図6を参照して説明する。なお、ここでは図4の第3実施例の定着装置50Cの構成で説明するが、他の実施例の構成でも同様である。
図6では、図4のものよりも補助熱源61がニップに進入する用紙に近い位置に配置され、補助熱源61と用紙Pとの距離が短くなっている。用紙Pは搬送ガイド63に沿ってニップ部に進入する構成となっている。
用紙Pと定着ベルト52が近すぎる場合には、用紙P上の未定着トナーと定着ベルト52との間で静電的な移動が生じることがあり、トナーチリなどの異常画像の原因となる。逆に、用紙Pと定着ベルト52が離れすぎた場合には、用紙Pに対して定着ベルト52や補助熱源61から効率良く熱を供給することができなくなり、補助熱源を設けた効果が少なくなる。
鋭意検討を重ねた結果、異常画像の発生が無く補助熱源61(71)の有効な効果を得るためには、補助熱源61(71)の直下流位置において用紙Pと定着ベルト52の距離:Xが5〜30mmの範囲が最適であった。
次に、定着装置を含めた加熱装置について説明する。
図7に示す加熱装置300は、主電源301,補助電源302,切替部303,加熱部304及び補助熱源305から構成される。主電源301は商用コンセントなどに接続されている。補助電源302は、例えば充放電可能なコンデンサを備える構成とすることができる。補助電源302のコンデンサとしては、例えば日本ケミコン(株)の開発した電気二重層コンデンサ等の2000F程度の静電容量を有しており、数秒から数十秒の電力供給には充分な容量を備えるものを使用可能である。
図7に示す加熱装置300は、主電源301,補助電源302,切替部303,加熱部304及び補助熱源305から構成される。主電源301は商用コンセントなどに接続されている。補助電源302は、例えば充放電可能なコンデンサを備える構成とすることができる。補助電源302のコンデンサとしては、例えば日本ケミコン(株)の開発した電気二重層コンデンサ等の2000F程度の静電容量を有しており、数秒から数十秒の電力供給には充分な容量を備えるものを使用可能である。
加熱部304は、例えば電子写真方式の複写機やプリンタ装置等の画像形成装置における定着装置等であり、上記説明した各実施例の定着装置では加熱ローラ53の内部に備えられたハロゲンランプ等のヒータ56及び加圧ローラ55の内部に備えられたハロゲンランプ等のヒータ57に相当するものであり、主電源301と補助電源302から供給される電力により発熱する。
補助熱源305は、上記説明した各実施例の定着装置における補助熱源61及び補助熱源71のヒータ62あるいは面状発熱体72に相当するものであり、主電源301と補助電源302から供給される電力により発熱する。ただし、後述するように、補助熱源305と主電源301とは、切替部303によって接続/非接続が切り替えられる。
切替部303は、第1〜第4スイッチ(SW1〜SW4)を有しており、主電源301及び補助電源302と加熱部304及び補助熱源305との接続/非接続を切り替える。第1スイッチ(SW1)は主電源301と加熱部304の間に配置される。第2スイッチ(SW2)は補助電源302と加熱部304の間に配置される。また、第3スイッチ(SW3)は補助電源302と補助熱源305の間に配置される。そして、第4スイッチ(SW4)は主電源301と補助電源302の間に配置される。なお、ここでは、第1〜第4スイッチ(SW1〜SW4)は、電力の供給と遮断(オン/オフ)を切り替えるスイッチとして図示・説明しているが、供給と遮断の間で連続的に電力供給量を可変できる手段としても良い。
上記のように構成された加熱装置300で加熱部304及び補助熱源305を加熱するときの動作を図8のタイミングチャートを参照して説明する。
加熱装置300が稼動を開始すると、切替部303の第1〜第3スイッチ(SW1,SW2,SW3)がオンされ(第4スイッチSW4はオフ)、主電源301を加熱部304及び補助熱源305に接続して、主電源301から所定の電力を加熱部304及び補助熱源305に供給することで加熱部304及び補助熱源305を所定の温度に加熱する。この所定の温度に加熱された加熱部304でトナー像の定着を行い、待機状態になると切替部303の第1〜第3スイッチ(SW1,SW2,SW3)をオフし主電源301と加熱部304の接続を遮断(または、電力供給量を低減)させるとともに、第4スイッチ(SW4)をオンして主電源301を補助電源302に接続して補助電源302を充電する。これ以降、待機状態から定着装置を立ち上げるときは、切替部303の第1〜第3スイッチ(SW1,SW2,SW3)をオンして(第4スイッチSW4はオフ)、主電源301及び補助電源302の双方から加熱部304及び補助熱源305に電力を供給することで、短時間で加熱部304及び補助熱源305を所定の温度に立ち上げる。また、待機状態になると主電源301から補助電源302を充電する。
加熱装置300が稼動を開始すると、切替部303の第1〜第3スイッチ(SW1,SW2,SW3)がオンされ(第4スイッチSW4はオフ)、主電源301を加熱部304及び補助熱源305に接続して、主電源301から所定の電力を加熱部304及び補助熱源305に供給することで加熱部304及び補助熱源305を所定の温度に加熱する。この所定の温度に加熱された加熱部304でトナー像の定着を行い、待機状態になると切替部303の第1〜第3スイッチ(SW1,SW2,SW3)をオフし主電源301と加熱部304の接続を遮断(または、電力供給量を低減)させるとともに、第4スイッチ(SW4)をオンして主電源301を補助電源302に接続して補助電源302を充電する。これ以降、待機状態から定着装置を立ち上げるときは、切替部303の第1〜第3スイッチ(SW1,SW2,SW3)をオンして(第4スイッチSW4はオフ)、主電源301及び補助電源302の双方から加熱部304及び補助熱源305に電力を供給することで、短時間で加熱部304及び補助熱源305を所定の温度に立ち上げる。また、待機状態になると主電源301から補助電源302を充電する。
ここで、補助電源302が有するコンデンサは二次電池と異なり、化学反応を伴わないため次のような優れた特徴を有する。すなわち二次電池として一般的なニッケル−カドミウム電池を用いた補助電源装置では、急速充電を行っても数時間の時間を有するが、コンデンサを用いた補助電源302では数分程度の急速な充電が可能であるため、待機状態と加熱状態を繰返した場合でも、コンデンサを用いた補助電源302を使用することにより、立ち上げ時に確実に補助電源302から電力を供給することができ、加熱部304及び補助熱源305を短時間で所定の温度に立ち上げることができる。
また、ニッケル−カドミウム電池は充放電の繰り返し回数が500から1000回であるため加熱時用の補助電源装置としては寿命が短く、交換の手間やコストがかかるが、コンデンサを用いた補助電源302は長寿命であり、繰り返しの充放電による劣化が少なく、さらに、鉛蓄電池のように液交換や補充なども必要ないため、メンテナンスがほとんどいらなくなり、安定して使用することができる。
なお、本例の切替部303では、補助電源302からは加熱部304と補助熱源305の両方またはいずれかに電力を供給できる(両方または一方への電力供給状態を選択できる)ように構成されている。加熱部304と補助熱源305に対してどのように電力を供給するかは、各装置において適宜設定すればよい(各装置において固有に設定可能である)が、例えば、比較的温まり易い加熱ローラ53が所定の温度に達するまでは加熱部304と補助熱源305に対して主電源301と補助電源302の双方から電力を供給し、加熱ローラ53が所定の温度に達したら加熱部304へは主電源301からのみ電力を供給し、補助熱源305へ補助電源302からのみ電力を供給して、定着ユニット全体が温まり易くする、などの制御方法が考えられる。
このように、本例の加熱装置300においては、加熱部304及び補助熱源305を待機状態から立ち上げるときに、主電源301と補助電源302の両方から電力を供給することで大量の電力を供給することができ、加熱部304及び補助熱源305を短時間で所定の温度に立ち上げることができる。
なお、本発明に係る定着装置では新たに具備した熱源(61,71あるいは305)を補助熱源という名称を用いて「補助的な加熱部」としているが、他の熱源(加熱ローラ53,加圧ローラ55の内部に備えられたヒータ56,57)に対する発熱量(例えばハロゲンヒータのワット数)が必ずしも小さいことが必要ということではなく、適用する定着装置や画像形成装置の構成に合わせて適宜選択することが可能である。また、上記各実施例では加熱ローラ53の内部および加圧ローラ55の内部に熱源としてヒータが備えられているが、適用する定着装置や画像形成装置の構成に合わせ、必ずしも加熱ローラ内部および加圧ローラ内部の両方にヒータを備える必要がないことも付記しておく。
次に、トナーについて説明する。
従来から電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像を形成した後、その静電潜像が現像剤で顕像化され、次いで転写工程及び定着工程を経て画像情報が再生される。この場合、現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。
従来から電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像を形成した後、その静電潜像が現像剤で顕像化され、次いで転写工程及び定着工程を経て画像情報が再生される。この場合、現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。
このような現像剤に用いられる電子写真用トナーは、通常、熱可塑性樹脂を、顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。このようにして得られるトナーには、必要ならば、流動性やクリーニング性を改善するために、無機または有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することが行なわれている。
通常の混練粉砕法により得られるトナーは、一般的には、不定形で、その粒径分布は幅広く、流動性が低く、転写性が低く、定着エネルギーが高く、トナー粒子間で帯電量が不均一で、帯電安定性が低いと言う問題点があった。さらに、このようなトナーから得られる画像は、その画質が未だ不満足のものであった。
一方、混練粉砕法による前記トナーの問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は、粉砕工程が含まれていないため、そのトナーの製造には練り工程及び粉砕工程が必要でなく、エネルギーの節約、生産時間の短縮、製品収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、このような重合法により得られる重合トナー粒子における粒度分布も、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布の形成が容易である上、ワックスの内包化も容易で、トナーの流動性を大きく向上させることもできる。また、球形トナーを得ることも容易である。
しかし、重合法によるトナーには未だ解消されていない課題も多い。重合法で得られるトナーは、重合過程において表面張力が作用するため、混練粉砕法に比較すると、粒子の真球度が高いものではあるが、そのトナー物性は未だ十分ではない。また、この方法ではトナーの形状をコントロール(異型化)することは容易でない。しかし、この方法は、帯電安定性、転写性については有利である。
重合法の内で広く行われている懸濁重合法によるトナーの製造方法では、それに用いるバインダー(結着樹脂)用モノマーは人体に対して有害性のスチレンモノマーやアクリルモノマーに限られ、そして得られるトナーにはこれらの成分が含まれるため、環境上の問題がある。また、得られるトナーは、ワックスを内包化するため、トナーを実際に使用したときに、トナーの感光体への付着は低減されるものの、トナーの定着性については、ワックスが粒子界面状に存在する粉砕法に比べて、内包化されている分、ワックスがトナー表面に染み出にくく定着効率の悪いトナーとなる。従って、重合トナーは、消費電力に対しては不利なトナーとなってしまう。さらに、重合トナーの場合、その定着性向上を図るためワックスを増量したり、ワックスの分散粒径を大きくすると、カラートナーとして用いる場合、そのカラー画像の透明性が悪化するため、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)によるプレゼンテーション画像形成用トナーとして用いるには不適なものとなる。
重合トナーの製造法には、懸濁重合法の他、異型化が比較的可能な乳化重合法などもある。乳化重合法においても、そのモノマーはスチレンモノマーに限られる。この方法の場合も、その未反応モノマー分のトナー粒子からの完全除去や、乳化剤、分散剤のトナー粒子からの完全除去はむずかしく、トナーによる環境問題をも生じるようになってきている。
トナーの製造法として溶解懸濁法が知られている。この方法の場合、低温定着が可能なポリエステル樹脂を使用できるメリットはあるが、この方法の場合、低温定着性樹脂や着色剤を溶剤に溶解又は分散する工程において高分子量成分を加えるため、液粘度が上がり生産性上の問題が発生するようになる。さらに、この溶解懸濁法においては、トナーの表面形状に関し、球形で且つ表面を凹凸形状にすることによりトナーのクリーニングの改善を図ることが提案されている(特開平9−15903号公報)が、このようなトナーは規則性のない不定形トナーであるため、帯電安定性にかけ、さらに耐久性や離型性にも問題があり、満足すべきトナー品質は得られていない。
また、特開平11−133665号公報によれば、トナーの流動性改良、低温定着性改良、ホットオフセット性改良を目的に、トナーバインダーとしてウレタン変性されたポリエステルの伸長反応物からなる実用球形度が0.90〜1.00の乾式トナーが提案されている。また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナーが特開平11−149180号公報及び2000−292981号公報等に記載されている。これらの公報に記載されたトナーの製造方法は、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でアミンと重付加反応させる高分子量化工程を含むものである。
しかしながら、前記のような重合法により得られる重合トナーの場合、顔料の分散が悪く、顔料はトナー中に不均一に分散しているために、このトナーにより得られた画像は、透明性が低く、彩度(鮮やかさ)に劣るという問題点を有するものであった。特に、前記トナーを用いてOHPシート上にカラー画像を形成した場合、その画像は暗い画像となる欠点を生じた。
上記のような問題に鑑み、本発明に係る定着装置,加熱装置及び画像形成装置では、ポリエステル系樹脂をバインダーとする電子写真用トナーであって、顔料系着色剤が高分散して、透明性及び彩度(鮮やかさ、光沢)にすぐれた高品質の画像が得られるとともに、粉体流動性、耐ホットオフセット性、帯電安定性及び転写性にすぐれた電子写真用トナーを使用するものである。
以下、本発明に係る定着装置,加熱装置及び画像形成装置に好適に用ることのできるトナー及び現像剤について説明する。そのトナー及び現像剤は次に列記するような構成を備えるものである。
(1)有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下である電子写真用トナー。
(2)該着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下である前記(1)に記載のトナー。
(3)重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)である前記(1)〜(2)のいずれかに記載のトナー。
(4)円形度が0.900〜0.960である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のトナー。
(5)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にある前記(1)〜(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gである前記(1)〜(5)のいずれかに記載のトナー。
(7)トナーの油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解している前記(1)〜(6)のいずれかに記載のトナー。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーとキャリアを含有する現像剤。
(1)有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下である電子写真用トナー。
(2)該着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下である前記(1)に記載のトナー。
(3)重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)である前記(1)〜(2)のいずれかに記載のトナー。
(4)円形度が0.900〜0.960である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のトナー。
(5)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にある前記(1)〜(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gである前記(1)〜(5)のいずれかに記載のトナー。
(7)トナーの油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解している前記(1)〜(6)のいずれかに記載のトナー。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーとキャリアを含有する現像剤。
なお、本発明において用いるトナーは言うまでもなく、白黒用トナー及びカラートナーとして応用可能なものである。
次に、トナーの実施形態について説明する。
本発明に用いるトナーは、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーAが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーAをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンBと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂Cを含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られるものである。
本発明に用いるトナーは、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーAが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーAをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンBと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂Cを含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られるものである。
ウレア変性ポリエステル系樹脂Cにおいて、そのTgは40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
このトナーは、該プレポリマーAと該アミンBとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cをバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。
前記トナーについて鋭意検討を重ねた結果、トナー粒子中に含まれる顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径を0.5μm以下に規定するとともに、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合を5%以下にコントロールすることにより、低温定着性、帯電安定性及び流動性にすぐれるとともに、高品質の画像を与え、特に、透明性の良い光沢性にすぐれたカラー画像を与えるトナーが得られることを見出した。
さらに検討した結果、該着色剤の分散粒径を個数平均径で0.3μm以下に規定するとともに、個数平均径が0.5μm以上の個数割合を10%以下にコントロールすることにより、さらに高品質のトナーが得られることを知見した。このようなトナーは、画像解像力にすぐれ、デジタル方式の現像装置用トナーとして好適なものとなる。特に、本発明によるカラートナーの場合、解像力及び透明性にすぐれ、色再現性の良い高品質のカラー画像を与える。
本発明に用いる着色剤が均一に分散した前記トナーを得るには、トナーの製造条件に工夫を講ずることが必要であり、従来の製造条件では、前記した如き高品質のトナーを得ることはできない。
前記高品質トナーを得るには、プレポリマーA、着色剤及び離型剤を含む油性分散液を形成させるに際し、該着色剤を粉砕する工程(湿式粉砕工程)を採用することが必要である。この場合の湿式粉砕工程を実施するための湿式粉砕装置としては、液体中で着色剤に衝撃力を与えて微粉砕し得る装置であればよく、任意のものを用いることができる。このようなものとしては、従来公知の各種の湿式粉砕装置、例えば、ボールミルやビーズミル等が挙げられる。
前記湿式粉砕工程において、その温度は5〜20℃、好ましくは15〜20℃である。
前記湿式粉砕条件を調節することにより、トナー粒子中に含まれる着色剤の分散粒径及び粒度分布を前記範囲にコントールすることができる。
前記湿式粉砕条件を調節することにより、トナー粒子中に含まれる着色剤の分散粒径及び粒度分布を前記範囲にコントールすることができる。
前記湿式粉砕工程は、必要に応じ、反応後の分散液に対しても適用することができる。
さらに、前記高品質トナーを得るには、樹脂中に着色剤を高濃度で分散させたマスターバッチ着色剤粒子を着色剤材料として有機溶媒中に添加し、攪拌分散させる方法を好ましく採用することができる。このマスターバッチ粒子を用いることにより、分散粒径の小さな着色剤が均一に分散した、透明性の良いカラー画像を与えるトナーを得ることができる。
さらに、前記高品質トナーを得るには、樹脂中に着色剤を高濃度で分散させたマスターバッチ着色剤粒子を着色剤材料として有機溶媒中に添加し、攪拌分散させる方法を好ましく採用することができる。このマスターバッチ粒子を用いることにより、分散粒径の小さな着色剤が均一に分散した、透明性の良いカラー画像を与えるトナーを得ることができる。
このようなマスターバッチ着色剤粒子を好ましく製造するには、熱溶融性の樹脂と着色剤との混合物をその樹脂の溶融温度で高せん断力で混練し、得られた混練物を冷却固化し、この固化物を粉砕する。
前記樹脂としては、前記プレポリマーA由来のウレア変性ポリエステル系樹脂Cと混和性の良い熱可塑性樹脂が用いられる。本発明の場合、ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。前記熱可塑性樹脂において、その軟化点は100〜200℃、好ましくは120〜160℃であり、その数平均分子量Mnは、2500〜5000、好ましくは2500〜30000である。
前記マスターバッチ着色剤粒子中の着色剤濃度は、10〜60重量%、好ましくは25〜55重量%である。
次に、トナー中の顔料系着色剤の分散粒径等のトナー物性の測定法について詳述する。
次に、トナー中の顔料系着色剤の分散粒径等のトナー物性の測定法について詳述する。
トナー中の着色剤の分散粒径及び粒度分布を測定するには、トナーをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームMT6000−XL(盟和商事)にてトナーを約100nmに超薄切片化した測定サンプルを用意する。
これを電子顕微鏡(日立製作所社製 H−9000NAR)を用いて加速電圧100kVにしてTEM写真を10000〜40000倍にて複数個撮影し、その画像情報をIMAGE ANALYZERの画像処理解析装置LUZEXIIIにて画像データに変換する。対象顔料系着色剤粒子は粒径にして0.1μm以上の粒径を有する粒子について無作為にサンプリングが300回を超えるまで測定を繰り返し、平均粒径と粒度(粒径)分布を求める。
本発明に用いるトナーにおいて、その重量平均粒径(Dv)は3〜7μmであり、その個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00≦Dv/Dn≦1.20である。Dv/Dnをこのように規定することにより、高解像度、高画質のトナーを得ることが可能となる。また、より高品質の画像を得るには、着色剤の重量平均粒径(Dv)を3〜7μmにし、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)を1.00≦Dv/Dn≦1.20にし、且つ3μm以下の粒子を個数%で1〜10個数%にするのがよく、より好ましくは、重量平均粒径を3〜6μmにし、Dv/Dnを1.00≦Dv/Dn≦1.15にするのがよい。このようなトナーは、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナーの粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に、転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明で規定した範囲よりもトナーの体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着して、キャリアの帯電能力を低下させる。一方、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生しやすくなる。これらの現象は、トナー中の微粉の含有率が大きく関係し、特に3μm以下の粒子含有量が10%を超えると、トナーのキャリアへの付着が生じにくくなる上、高いレベルで帯電の安定性を図ることがむつかしくなる。
逆に、トナーの粒子径が本発明で規定した範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.20よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
トナーの平均粒径及び粒度分布は、カーコールターカウンター法により測定される。トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。本発明においてはコールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し測定した。
次に、トナーの個数分布及び体積分布の測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて形成した約1%NaCl水溶液である。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて形成した約1%NaCl水溶液である。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。本発明に用いるトナーに係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(Dv)と、その個数分布から求めた個数平均粒径(Dn)により、その比Dv/Dnを求めた。
トナーの耐ホットオフセット性に関しては、これまでにもバインダー樹脂の分子量分布の制御を含む様々な検討が行われてきた。低温定着性と耐ホットオフセット性という相反する性質の両立を図るための方法としては、分子量分布の広いバインダー樹脂を用いる方法や、分子量が数十万〜数百万の高分子量成分と、分子量が数千から数万の低分子量成分を含む少なくとも2つの分子量ピークを有する混合樹脂を用いる方法等がある。高分子量成分が架橋構造を持っているか又はゲルの状態であると、ホットオフセットにはより効果的である。しかし、光沢性や透明性なども求められているフルカラートナーにおいては、高分子量成分の多量の導入は好ましくない。本発明の場合、トナーはウレア結合を有する高分子量のウレア変性ポリエステル系樹脂を含むことから、透明性や光沢性を満足しながら、耐ホットオフセット性をも達成することが可能になった。
トナー中に含まれるバインダー樹脂成分の分子量分布は、GPCにより以下のようにして測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラム溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定操作を行う。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラム溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定操作を行う。
試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
トナー中に含まれる前記バインダー成分の分子量分布におけるそのメインピーク分子量は、通常2500〜10000、好ましくは2500〜8000、さらに好ましくは2500〜6000である。分子量1000未満の成分の量が増えると耐熱保存性が悪化する傾向となる。一方、分子量30000以上の成分が増えると単純には低温定着性が低下傾向になるが、バランスコントロールでその低下を極力押さえることも可能である。分子量30000以上の成分の含有量は1%〜10%で、トナー材料により異なるが、好ましくは3〜6%である。1%未満では充分な耐ホットオフセット性が得られず、10%超では光沢性、透明性が悪化するようになる。
トナー中に含まれるバインダー樹脂のMnは2500〜50000で、Mw/Mnの値は10以下である。10を超えると、シャープメルト性に欠け、光沢性が損なわれる。
トナーの円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(シスメックス(株)製)により計測される。
本発明に用いるトナーにおいて、その平均円形度は0.900〜0.960であり、特定の形状と形状の分布を有すことが重要である。平均円形度が0.900未満ではトナーは不定形の形状を示し、満足した転写性やチリのない高画質画像を与えない。不定形のトナー粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することから、ファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも高い。そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起る。また、残されたトナーは次の現像工程のために除去しなければならず、クリーナ装置が必要であったり、トナーイールド(画像形成に使用されるトナーの割合)が低かったりする不具合点が生じる。粉砕トナーの円形度は本装置で計測した場合、通常0.910〜0.920である。
本発明に用いるトナーにおいて、その平均円形度は0.900〜0.960であり、特定の形状と形状の分布を有すことが重要である。平均円形度が0.900未満ではトナーは不定形の形状を示し、満足した転写性やチリのない高画質画像を与えない。不定形のトナー粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することから、ファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも高い。そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起る。また、残されたトナーは次の現像工程のために除去しなければならず、クリーナ装置が必要であったり、トナーイールド(画像形成に使用されるトナーの割合)が低かったりする不具合点が生じる。粉砕トナーの円形度は本装置で計測した場合、通常0.910〜0.920である。
トナー形状(円形度)の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法では粒子の投影面積が得られるが、円形度は、この投影面積と面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測した値である。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及びトナーの形状分布を測定する。
本発明に用いるトナーを製造する方法は、無機微粒子及び/又はポリマー微粒子を含む水系媒体中に分散させたイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAをアミンBと反応させる高分子量化工程を含む。この場合、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、――略(例示につき)――上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIO)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIO)単独、および(DIO)と少量の(TC)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(DIO)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、得られるウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記アミン(B)としては、ポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンが用いられる。この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。このようなアミンには、ジアミン(B1)、――略(例示につき)――ケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、プレポリマーAとアミンBとを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。その添加量は、生成するウレア変性ポリエステルに所望する分子量との関係で適宜選定される。
アミン(B)とイソシアネート基を有するプレポリマー(A)との比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン(B)中のアミノ基[NHx](xは1〜2の数を示す)の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明に用いるトナーにおいては、水系媒体中でイソシアネート基含有プレポリマーAとアミンBとを反応させる際に、該水系媒体中には、必要に応じ、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂Dを存在させることができる。このポリエステル系樹脂Dにおいて、そのTgは35〜65℃、好ましくは45〜60℃であり、そのMnは2000〜10000、好ましくは2500〜8000である。このポリエステル系樹脂Dとしては、ウレア変性ポリエステル(UMPE)を用いることができるが、このポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステル(UMPE)は、ワンショット法などの公知の方法により製造される。ウレア変性ポリエステル(UMPE)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜50万、さらに好ましくは3万〜10万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明に用いるトナーにおいては、必要に応じて用いる前記ウレア結合で変性されたポリエステル系樹脂(UMPE)は単独使用だけでなく、このものと共に、変性されていないポリエステル系樹脂(PE)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。(PE)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、(UMPE)の単独使用の場合よりも好ましい。(PE)としては、前記(UMPE)のポリエステル成分と同様なポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいPEの分子量は(UMPE)の場合と同様である。また、(PE)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(UMPE)と(PE)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(UMPE)のポリエステル成分と(PE)は類似の組成が好ましい。(PE)を含有させる場合の(UMPE)と(PE)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(UMPE)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(PE)の水酸基価は5以上であることが好ましい。(PE)の酸価(mgKOH/g)は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには紙への定着時紙とトナーの親和性がよく、低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性特に環境変動に対し悪化傾向がある。プレポリマーAとアミンBとの重付加反応においては酸価がふれると造粒工程でのぶれにつながり乳化における制御がむずかしくなる。
本発明に用いるトナーにおいて、トナーバインダーのガラス転移点(Tg)は通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満では耐熱性が悪化し65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
用いる顔料系着色剤としては、従来公知の各種の顔料が使用できる。このようなものは、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、――略(例示につき)――アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナー中、通常、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
用いる着色剤は、前記したように、樹脂と複合化されたマスターバッチ着色剤粒子として用いることが好ましい。
マスターバッチの製造において着色剤とともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性のポリエステル系樹脂の他に、ポリスチレン、――略(例示につき)――テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用される。
マスターバッチの製造において着色剤とともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性のポリエステル系樹脂の他に、ポリスチレン、――略(例示につき)――テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用される。
マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
本発明に用いるトナーには、トナーバインダー、着色剤とともに離型剤(ワックス)を含有させる。このワックスとしては従来公知の各種のものが使用できる。このようなものとしては、例えば、ポリオレフィンワックス――略(例示につき)――ジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は、通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
本発明に用いるトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知の各種のものが使用できる。このようなものには、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、――略(例示につき)――キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
本発明に用いるトナーにおいて荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
得られた着色剤含有トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、――略(例示につき)――窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子を用いることができる。このようなものとしては、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においてもその流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルを好ましいものとして挙げることができる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
次に、本発明に用いるトナーの製造法について詳述する。
本発明に用いるトナーを製造するには、先ず、油性分散液調製工程において、有機溶媒中に、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAが溶解し、着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を調製する。
本発明に用いるトナーを製造するには、先ず、油性分散液調製工程において、有機溶媒中に、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAが溶解し、着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を調製する。
この油性分散液体は、それに含まれている着色剤を微粉砕し、均一分散させるために、これを、湿式粉砕工程において、湿式粉砕装置を用いて粉砕処理する。この場合、その粉砕処理時間は30〜120分程度である。
次に、前記のようにして得られた油性分散液は、これを、分散(乳化)工程において、水系媒体に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散(乳化)させて水中油型の分散液(乳化液)を形成させるとともに、この分散液中でそれに含まれるイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAを、反応工程において、アミンBと反応させてウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを生成させる。
前記有機溶媒としては、ポリエステル系樹脂を溶解し、水に不溶であるか難溶もしくは微溶のものが用いられる。その沸点は、通常、60〜150℃、好ましくは70〜120℃である。このようなものとしては、例えば、酢酸エチルや、メチルエチルケトン等が挙げられる。
本発明に用いるトナーにおいては、着色剤としては、前記したマスターバッチ着色剤粒子を用いることが好ましく、これによって、着色剤の均一分散を効率良く行うことができる。
本発明に用いるトナーにおいては、有機溶媒には、補助成分として、アミンに対して非反応性のポリエステル系樹脂Dを溶解させるのが好ましい。また、このポリエステル系樹脂Dは、水系媒体に分散させることもできる。
本発明に用いるトナーにおいて、油性分散液を水系媒体中に分散させる場合、その分散装置としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の分散機が適用できる。分散粒子の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、分散液の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
油性分散液中に含まれるプレポリマーA、着色剤、離型剤及びポリエステル系樹脂D等のトナー固形物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー固形物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
湿式粉砕処理した油性液体をその処理後水系媒体中に分散させるまでの時間は、できるだけ短時間であることが好ましい。
本発明に用いるトナーで用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
本発明に用いるトナーで用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー固形物を含む油性相を水が含まれる液体(水系媒体)に乳化、分散するためには、分散剤として、各種の界面活性剤(乳化剤)を用いることができるが、このようなものとしては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、本発明に用いるトナーでは、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
水系媒体中に存在させる無機微粒子としては、水に不溶ないし難溶の従来公知の各種の無機化合物が用いられる。このようなものとしては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
水系媒体中に存在させるポリマー微粒子としては、水に不溶ないし難溶性の従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、炭化水素系樹脂、含フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の疎水性高分子の微粒子が挙げられる。
前記微粒子の粒径は、通常、トナーの粒径よりも小さくなり、粒径均一性の観点から、粒径比[微粒子の体積平均粒径]/[トナーの体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。かかる粒径比が、0.3より大きいと微粒子がトナーの表画に効率よく吸着しないため、得られるトナーの粒度分布が広くなる傾向がある。
微粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナーを得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。例えば、体積平均粒子径5μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.0025〜1.5μm、特に好ましくは0.005〜1.0μmの範囲、10μmのトナーを得た場合には、好ましくは0.005〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μmである。
本発明に用いるトナーでは、水系媒体中には、分散安定剤として、水系媒体中で高分子系保護コロイドを形成する各種の親水性高分子物質を存在させることができる。このような高分子物質において、それを構成するモノマー成分を示すと、以下のものを示すことができる。
アクリル酸、――略(例示につき)――ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するビニルモノマー等。
本発明に用いるトナーにおいて好ましく用いることのできる他の高分子物質としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
本発明に用いるトナーにおいて好ましく用いることのできる他の高分子物質としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
本発明に用いるトナーおいて、プレポリマーAとアミンBとの重付加反応後に得られた乳化分散液からそれに含まれる液状媒体を除去するためには、液状媒体除去工程において、系全体を徐々に昇温し、有機溶媒を蒸発除去する工程を含む方法を採用することができる。この有機溶媒の除去前の液攪拌の強さと有機溶媒の除去時間によりトナー円形度の制御が可能となる。ゆっくり脱溶媒することにより形状はより真球円形度で表わすと0.980以上になり攪拌を強く短時間に脱溶媒を行うことにより、凹凸状や不定形になり円形度で表わすと0.900〜0.950になる。水系媒体中に乳化分散させさらに反応させた後の乳化液を脱液媒中に攪拌槽にて温度30〜50℃の強い攪拌力で攪拌しながら脱液媒を行うことにより、円形度の制御が可能で0.850〜0.990の範囲の形状制御が可能となる。これは造粒中に含有される酢酸エチル等の有機溶媒が急激に除去されることにより体積収縮が起ったものと考えられる。
前記液状媒体の除去は、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成するとともに、水系分散剤を蒸発除去する方法を採用することも可能である。乳化分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、好ましくは使用される最高沸点の液状媒体のその沸点以上の温度に加熱された各種気流が用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で高品質トナーが得られる。
反応後の分散液を、その反応後脱溶媒するまでの時間は、短時間であることが好ましいが、通常、25時間以内である。
なお、無機微粒子としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、そのリン酸カルシウム塩等の無機微粒子を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー粒子から無機微粒子を除去することができる。その他、酵素による分解操作によっても除去できる。
なお、無機微粒子としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、そのリン酸カルシウム塩等の無機微粒子を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー粒子から無機微粒子を除去することができる。その他、酵素による分解操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、プレポリマーAとアミンBとの反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、反応後の分散液の粘度を低くするために、水系媒体中には、プレポリマーやウレア変性ポリエステルが可溶の溶剤を添加することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることがその除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン――略(例示につき)――などを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、プレポリマーAとアミンBとの反応後、常圧または減圧下にて加温してその溶剤を除去する。
プレポリマーAとアミンBとの反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
プレポリマーAとアミンBとの反応後の乳化分散液中のトナー粒子の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行うときには、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。この場合の分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
乾燥後のトナー粒子を、必要に応じての離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子と混合して使用する場合、その混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって、トナー粒子表面でその異種粒子を固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
乾燥後のトナー粒子を、必要に応じての離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子と混合して使用する場合、その混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって、トナー粒子表面でその異種粒子を固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
トナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良い。この現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、――略(例示につき)――シリコーン樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明に用いるトナーは、キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
以下、トナーの実施例について説明するが、本発明に用いるトナーはこれに限定されるものではない。以下の説明で「部」は重量部を示す。なお、各実施例で用いたトナーを表1に示す。
[トナー実施例1]
(添加用ポリエステルの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸230部を常圧下、210℃で10時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後160℃まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応し変性されていないポリエステル(a)(重量平均分子量Mw:85000)を得た。
(添加用ポリエステルの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸230部を常圧下、210℃で10時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後160℃まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応し変性されていないポリエステル(a)(重量平均分子量Mw:85000)を得た。
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸160部、テレフタル酸60部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(1)(Mw:35000)を得た。
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸160部、テレフタル酸60部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(1)(Mw:35000)を得た。
(ケチミン化合物の製造例)
攪拌棒および温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行いケチミン化合物(1)を得た。
攪拌棒および温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行いケチミン化合物(1)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)14.3部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、離型剤であるライスWAX(融点83℃)10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、40℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで5分攪拌した後、ビーズミルで30分間20℃において粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(1)とする。
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)14.3部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、離型剤であるライスWAX(融点83℃)10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、40℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで5分攪拌した後、ビーズミルで30分間20℃において粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(1)とする。
ビーカー内にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、この水分散液(1)に上記トナー材料油性分散液(1)及びケチミン化合物(1)2.7部を加え、攪拌を続けながらウレアー反応させた。
反応後の分散液(粘度:3500mP・s)を減圧下1.0時間以内に50℃以下の温度で有機溶剤を除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、次いで風力分級し、球形状のトナー母体粒子(1)を得た。
次に、得られた母体粒子(1)100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84) 0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
以上のようにして、シアントナー(1)を得た。この顔料系着色材平均分散粒径は0.4μmで、0.7μm以上の個数%は3.5%であった。このトナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
[トナー実施例2]
(マゼンタマスターバッチ粒子の作製)
水 600部
Pigment Red 57 含水ケーキ(固形分50%) 200部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、ポリエステル樹脂(酸価;3、水酸基価;25、Mn;3500、Mw/Mn;4.0、Tg;60℃)1200部を加え、150℃で30分混練後、キシレン1000部を加えさらに1時間混練した後、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、さらに3本ロールミルで2パスしマゼンタ色のマスターバッチ顔料(MB1−M)(平均粒径約0.2μm)を得た。
(マゼンタマスターバッチ粒子の作製)
水 600部
Pigment Red 57 含水ケーキ(固形分50%) 200部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、ポリエステル樹脂(酸価;3、水酸基価;25、Mn;3500、Mw/Mn;4.0、Tg;60℃)1200部を加え、150℃で30分混練後、キシレン1000部を加えさらに1時間混練した後、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、さらに3本ロールミルで2パスしマゼンタ色のマスターバッチ顔料(MB1−M)(平均粒径約0.2μm)を得た。
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物856部、イソフタル酸200部、テレフタル酸20部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で250℃で6時間反応し、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(2)(Mw:25000)を得た。
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物856部、イソフタル酸200部、テレフタル酸20部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で250℃で6時間反応し、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(2)(Mw:25000)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、実施例2のマスターバッチ粒子10部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで10000rpmで攪拌した後、実施例1同様にビーズミルにより湿式粉砕処理して、トナー材料油性分散液(2)を得た。
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、実施例2のマスターバッチ粒子10部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで10000rpmで攪拌した後、実施例1同様にビーズミルにより湿式粉砕処理して、トナー材料油性分散液(2)を得た。
次いで、実施例1と同様にして得た水分散液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして球形状の母体トナー粒子(2)を得た。
次いで、帯電制御材としてオリエント製 ボントロン E−84をE−89に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー(2)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.25μmで、0.5μm以上の個数%は1.0%であった。そのトナーの性状及びその評価結果を表1、表2に示す。
次いで、帯電制御材としてオリエント製 ボントロン E−84をE−89に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー(2)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.25μmで、0.5μm以上の個数%は1.0%であった。そのトナーの性状及びその評価結果を表1、表2に示す。
[トナー実施例3]
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物755部、イソフタル酸195部、テレフタル酸15部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で220℃で8時間反応し、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに10部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(3)(Mw:25000)を得た。
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物755部、イソフタル酸195部、テレフタル酸15部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で220℃で8時間反応し、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに10部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(3)(Mw:25000)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(3)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、実施例2のマスターバッチ粒子15部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで14000rpmで攪拌し、均一に分散させた後、ビーズミルにて15℃にて60分湿式粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(3)とする。
ビーカー内に前記のプレポリマー(3)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、実施例2のマスターバッチ粒子15部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで14000rpmで攪拌し、均一に分散させた後、ビーズミルにて15℃にて60分湿式粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(3)とする。
ビーカー内にイオン交換水465部、炭酸ナトリウム10%懸濁液245部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部を入れ、攪拌して水分散液(3)を得た。次いでこの分散液(3)を40℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料油性分散液(4)を投入し10分間攪拌した後、ケチミン化合物(1)2.7部を加え反応させた。その後40℃1時間以内で溶剤を除去し、次いで実施例2と同様にして、濾別、洗浄、乾燥した後、球形状の母体粒子を(3)を得た。
次に、この母体トナー粒子を用いた以外は実施例1同様にして、トナー(3)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.15μmで0.5μm以上の個数%は3.0%であった。そのトナーの性状及びその評価結果を表1、表2に示す。
[トナー比較例1]
(トナーバインダーの合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物354部およびイソフタル酸166部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、比較トナーバインダー(11)を得た。この比較トナーバインダー(11)のTgは57℃であった。
(トナーバインダーの合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物354部およびイソフタル酸166部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、比較トナーバインダー(11)を得た。この比較トナーバインダー(11)のTgは57℃であった。
(トナーの作成)
ビーカー内に前記の比較トナーバインダー(1)100部、酢酸エチル溶液200部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、実施例1で使用したライスワックス5部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、比較分散液(11)を得た。この分散液(11)を用いた以外は、実施例1と同様にトナー化し、体積平均粒径6μmの比較トナー(11)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.70μmで0.7μm以上の個数%は35%であった。トナーの性状及びその評価結果を表1、表2に示す。
ビーカー内に前記の比較トナーバインダー(1)100部、酢酸エチル溶液200部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、実施例1で使用したライスワックス5部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、比較分散液(11)を得た。この分散液(11)を用いた以外は、実施例1と同様にトナー化し、体積平均粒径6μmの比較トナー(11)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.70μmで0.7μm以上の個数%は35%であった。トナーの性状及びその評価結果を表1、表2に示す。
[トナー比較例2]
(トナーバインダーの合成)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、80℃まで冷却し、トルエン中にてトルエンジイソシアネート14部を入れ110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、ピークトップ分子量7000のウレタン変性ポリエステルを得た。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物363部、イソフタル酸166部を実施例1と同様に重縮合し、ピーク分子量3800、酸価7の変性されていないポリエステルを得た。上記ウレタン変性ポリエステル350部と変性されていないポリエステル650部をトルエンに溶解、混合後、脱溶剤し、比較トナーバインダー母体粒子(12)を得た。この比較トナーバインダー(12)のTgは58℃であった。
(トナーバインダーの合成)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、80℃まで冷却し、トルエン中にてトルエンジイソシアネート14部を入れ110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、ピークトップ分子量7000のウレタン変性ポリエステルを得た。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物363部、イソフタル酸166部を実施例1と同様に重縮合し、ピーク分子量3800、酸価7の変性されていないポリエステルを得た。上記ウレタン変性ポリエステル350部と変性されていないポリエステル650部をトルエンに溶解、混合後、脱溶剤し、比較トナーバインダー母体粒子(12)を得た。この比較トナーバインダー(12)のTgは58℃であった。
(トナーの作成)
比較トナーバインダー(12)100部、実施例2に使用したマスターバッチ粒子とカルナバワックズをそれぞれ10部を加え下記の方法でトナー化した。
比較トナーバインダー(12)100部、実施例2に使用したマスターバッチ粒子とカルナバワックズをそれぞれ10部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合した後、連続式混練機)で混練した。ついでジェット粉砕機微粉砕した後、気流分級機で分級し、体積平均粒径6μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して比較トナー(12)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.7μmで、0.5μm以上の個数%は15.0%であった。そのトナーの性状及び評価結果を表1、表2に示す。
[評価方法]
(1)Tg測定法
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
(1)Tg測定法
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず、試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(2)酸価測定方法
JISK0070に規定の方法による。但し、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフラン等を用いる。
JISK0070に規定の方法による。但し、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフラン等を用いる。
(3)粉体流動性
ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いてかさ密度(g/ml)を測定した。流動性の良好なトナーほど、かさ密度は大きい。以下の4段階で評価した。
×:0.25未満
△:0.25〜0.30
○:0.30〜0.35
◎:0.35以上
ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いてかさ密度(g/ml)を測定した。流動性の良好なトナーほど、かさ密度は大きい。以下の4段階で評価した。
×:0.25未満
△:0.25〜0.30
○:0.30〜0.35
◎:0.35以上
(4)定着下限温度
定着ローラーとしてテフロンローラーを使用した複写機[(株)リコー製複写機 MF−200]の定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
定着ローラーとしてテフロンローラーを使用した複写機[(株)リコー製複写機 MF−200]の定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
(5)ホットオフセット発生温度(HOT)
上記定着下限温度と同様にして定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
上記定着下限温度と同様にして定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
(6)光沢発現温度(GLOSS)
市販カラー複写機(PRETER550;リコー製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした
市販カラー複写機(PRETER550;リコー製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした
(7)ヘイズ度:
直読ヘーズコンピューター(HGM−2DP型)による。
直読ヘーズコンピューター(HGM−2DP型)による。
(8)流出開始温度
トナーの流出開始温度はフローテスターを用いて測定することが出来る。フローテスターとしては、例えば島津製作所製の高架式フローテスターCFT500D型がある。このフローテスターのフローカーブ(図9)から各々の温度を読み取ることができる。
トナーの流出開始温度はフローテスターを用いて測定することが出来る。フローテスターとしては、例えば島津製作所製の高架式フローテスターCFT500D型がある。このフローテスターのフローカーブ(図9)から各々の温度を読み取ることができる。
以上、本発明に用いるトナーは高画質、高精細の画像と低温定着性とホットオフセット性を両立したトナーであり、該トナーを用いた本発明の画像形成装置にて形成される画像は透明性及び彩度にすぐれ、OHP紙にフルカラー画像を形成した時十分な透明性が得られる。また、本発明に用いるトナーは帯電安定性及び色再現性に優れたトナーである。
以上、本発明に係る定着装置,加熱装置および画像形成装置、ならびに、これらで用いるトナーについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能なものである。
例えば、定着装置における定着ベルトの張設形態や、定着ローラあるいは加圧ローラに内蔵するヒータの有無等は、適宜設定できるものである。誘導加熱方式も採用可能である。また、加熱装置における制御も一例であり、適宜な発熱制御が可能である。さらに、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリであっても良いし、複数の機能を備える複合機でも良い。
1 カラーレーザプリンタ
2 給紙部
3 作像部
50 定着装置
52 定着ベルト
53 加熱ローラ
54 定着ローラ
55 加圧ローラ
56,57,62 ヒータ
58,59 サーミスタ
60 テンションローラ
61,71 補助熱源
72 面状発熱体
63 搬送ガイド
P 用紙
2 給紙部
3 作像部
50 定着装置
52 定着ベルト
53 加熱ローラ
54 定着ローラ
55 加圧ローラ
56,57,62 ヒータ
58,59 サーミスタ
60 テンションローラ
61,71 補助熱源
72 面状発熱体
63 搬送ガイド
P 用紙
Claims (17)
- 加熱手段により加熱される定着ベルトを挟んで定着部材と加圧部材を圧接させてニップを形成し、該ニップに未定着トナー像を担持する記録材を通過させて定着を行う定着装置であって、前記定着ベルトが少なくとも前記定着部材とベルト支持部材とに張設される定着装置において、
前記定着ベルト回動方向における前記ベルト支持部材の下流側かつ前記ニップの上流側に補助熱源を配備したことを特徴とする定着装置。 - 前記補助熱源が前記定着ベルトの記録材側に配備されていることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記補助熱源が前記定着ベルトの内側に配備されていることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記補助熱源が前記定着ベルトのテンショナーを兼ねることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記補助熱源がハロゲンヒータであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記補助熱源が面状発熱体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記補助熱源の直下流位置における前記定着ベルトと記録材の距離が5〜30mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置を備え、主電源と該主電源により充電される補助電源とを有し、前記補助熱源に前記補助電源から電力を供給可能に構成したことを特徴とする加熱装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置または請求項8に記載の加熱装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
- 有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下であるトナーを用いることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記トナーの前記顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
- 前記トナーの重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)であることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
- 前記トナーの円形度が0.900〜0.960であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gであることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記トナーの油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記トナーとキャリアを含有する現像剤を用いることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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---|---|---|---|
JP2006076768A JP2007256316A (ja) | 2006-03-20 | 2006-03-20 | 定着装置及び画像形成装置 |
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- 2006-03-20 JP JP2006076768A patent/JP2007256316A/ja active Pending
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