JP4657929B2 - 静電荷像現像用トナー、現像剤及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
しかし、加熱ローラ表面とトナー像とが溶融状態、加圧下で接触するために、トナー像の一部が定着ローラ表面に付着・転移し、次の記録媒体にこれが再転移し、記録媒体を汚す、いわゆるオフセット現象が生ずる。このオフセット現象は、定着速度、定着温度の影響を強く受ける。
一般に、定着速度が早い場合は、加熱ローラの表面温度は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させるために加熱ローラからトナーに与える熱量を、定着速度に依らずほぼ一定にするためである。
この電子写真方式の画像形成、特にカラー画像形成では、記録媒体上のトナーは複数のトナーが重なり合ったトナー層を形成しているために、特に定着速度が速く加熱ローラの表面温度が高い場合には、加熱ローラに接触するトナー層と記録媒体に接触している最下層のトナー層との温度差が大きくなる。この場合、最上層のトナーに対して高い温度の加熱ローラが接触するために、ホットオフセット現象を起こしやすい。逆に、このホットオフセット現象を防止するために、加熱ローラの温度を低く設定すると、最下層のトナーが十分に溶融しないために、記録媒体にトナーが定着しないまま加熱ローラに付着するコールドオフセットという現象が生ずる。
を分離するための分離爪の分離跡が定着画像上に出現することがある。さらに、圧力が高いために、定着時に細線のある画像が押しつぶされたり、トナーが飛び散ったりして定着画像の画像品位を低下させるという問題がある。
また、トナーに関しても、定着速度が速い場合には、定着速度が遅い場合に比較して、定着温度付近における溶融粘度の低いトナーが用いられる。しかし、加熱ローラの表面温度を下げ、定着圧力を下げることにより、ホットオフセットと巻き付きジャムを防止しつつトナー像を定着させているが、このような溶融粘度の低いトナーを定着速度の低い定着装置、画像形成装置に用いると、ホットオフセットが発生しやすくなるという問題がある。
ところが、近年、定着速度が早い場合から遅い場合まで適用できる定着温度領域の広く、かつ、耐オフセット性に優れたトナーが要望されている。
また、特許文献2及び3では、ビニール系共重合体の分子量を規定しながら、ポリエチレン等の離型剤を入れ込んで定着性、耐オフセット性の両立を図ることが開示されている。また、特許文献4では、低粘度樹脂と高粘度樹脂の組み合わせで低温定着とホットオフセットを改善した技術が開示されている。
その他に、特許文献5ないし8では、結着樹脂の分子量分布を広げ、相反する保存性と定着性とホットオフセットのバランスを図る技術が開示されている。
この種の定着装置では、記録媒体上のトナーが加熱ローラに付着する、いわゆるオフセットと呼ばれる現象を生ずることがある。このようなオフセットを生ずると、オフセットしたトナーが加圧ローラにも付着し、それら加熱ローラおよび加圧ローラから記録媒体に逆転写して記録媒体を汚すことが知られている。このようなオフセットを防止すべく、従来の定着装置では、例えば加熱ローラの表面にフッ素コートなどを施していた。しかし、環境条件や記録媒体の種類などによって、オフセットを完全に防止することは難しく、やはり逆転写を生ずる問題があった。
そこで、従来の定着装置では、加熱ローラや加圧ローラに接触してクリーニングローラ等のクリーニング部材を設け、加熱ローラや加圧ローラに付着したトナーを除去するものがある。すなわち、表面離型性を向上した加熱ローラや加圧ローラに対して無垢の金属材料でつくったクリーニング部材を押し当てることにより、表面離型性の差からトナーを除去するものがあった。
加熱ローラの温度分布が幅方向で不均一となると、定着性能が不安定となるとともに、オフセットが発生しやすく、また熱劣化により加熱ローラの寿命が短くなりやすいなどの問題を生ずる。特に、特許文献9ないし特許文献11では、重合法により製造した重合トナーを用いる場合には、クリーニング部材に付着堆積したトナー塊が再溶融して記録媒体に逆転写するという問題があった。これは、粉砕法により製造した粉砕トナーを用いる場合には、粘弾性が高く溶けにくいトナーがクリーニング部材に付着するが、重合法により製造した重合トナーを用いる場合には、I)粘弾性が低いトナー粒子がクリーニング部材に付着する、II)通常の粘弾性を有するトナー粒子が付着しでもクリーニング部材と回転しているローラの間で受けるストレスによりクリーニング部材付着物粘弾性が徐々に低下していく等の理由により、再溶融逆転写が発生し易くなっているためと考えられる。
この問題は、通紙可能な最大サイズに比較して、小サイズの記録媒体を通紙する場合に特に顕著に生じた。なぜなら、小サイズの場合は、通紙領域が狭く加熱ローラに接する面積が小さいから、その狭い領域でのみ温度が下がり、その部分に対応した温度検知手段が熱源の点灯を指示することから、非通紙領域の温度まで不必要に上昇し、その非通紙領域に対応するクリーニング部材上のトナーが溶融して逆転写するからである。
したがって、例えば、特許文献12では、このような逆転写の問題を解決すべく、従来の定着装置の中には、加熱ローラの温度分布を幅方向で均一とするため、風を当てて加熱ローラの非通紙領域の温度上昇を防止するものが開示されている。また、例えば、特許文献13に記載されるように、クリーニングローラに沿って通風孔を設けてクリーニングローラの回転とともに定着装置内の空気を循環し、クリーニングローラの温度上昇を防ぐものがある。
また、本発明は、定着効率を下げることなく、クリーニング部材に付着したトナーが逆転写することがない画像形成方法及びこれに用いられるトナー、現像剤を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、高濃度、かつ、高精細の画像が得られる画像形成方法及びこれに用いられるトナー、現像剤を提供することを課題とする。
1.本発明のトナー、現像剤及び画像形成方法は、熱及び圧力で記録媒体上にトナーを定着させる定着装置で用いられるトナーであって、前記定着装置は、定着部材と加圧部材と、これらのいずれかの部材をクリーニングするクリーニング部材とを有し、前記トナーが少なくとも結着樹脂と着色剤を有し、トナー中で最も構成比率の高い結着樹脂(1)の粘弾性を大きくする物質(以下「粘弾性増加物質」という)を含有し、該粘弾性増加物質が予め結着樹脂(2)と混合されていることを特徴とするトナー。
ここでいう弾性増加物質は、高架式フローテスターで測定される1/2流出温度で表されるトナーの粘弾性において、粘弾性増加物質の添加により、添加しない場合のトナーの1/2流出温度よりも5℃以上高くなる物質を指す。
2.さらに、該トナーが、活性水素基を有する化合物と反応可能な少なくともイソシアネート基含有プレポリマー又は該プレポリマーを含む変性ポリエステル樹脂、粘弾性増加物質、着色剤、離型剤を少なくとも含むトナー用組成物を、有機溶媒中に溶解または分散させて形成した該溶解又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で分散させ、架橋剤及び/又は伸張剤と反応させ、得られた分散液から該有機溶剤を除去し、かつトナー表面に付着した樹脂微粒子を洗浄・脱離して得られたものであることを特徴とする。
3.さらに、前記粘弾性増加物質が有機金属化合物であることを特徴とする。
4.さらに、前記結着樹脂(1)酸価をA1、結着樹脂(2)酸価をA2としたとき、(A1)×1/3<(A2)<(A1)を満足することを特徴とする。
5.さらに、前記有機金属化合物がサリチル酸誘導体であることを特徴とする。
6.さらに、前記活性水素基含有化合物が、アミノ基、水酸基、メルカプト基及び、カルボキシル基の中から選ばれる少なくとも1種の基を含有する化合物、もしくは水と反応してこれらの基を発生させ得る化合物、又は水であることを特徴とする。
ここでいう弾性増加物質は、高架式フローテスターで測定される1/2流出温度で表されるトナーの粘弾性において、粘弾性増加物質の添加により、添加しない場合のトナーの1/2流出温度よりも5℃以上高くなる物質を指す。
(2)「該トナーは、活性水素基を有する化合物と反応可能な少なくともイソシアネート基含有プレポリマー又は該プレポリマーを含む変性ポリエステル樹脂、粘弾性増加物質、着色剤、離型剤を少なくとも含むトナー用組成物を、有機溶媒中に溶解または分散させて形成した該溶解又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で分散させ、架橋剤及び/又は伸張剤と反応させ、得られた分散液から該有機溶剤を除去し、かつトナー表面に付着した樹脂微粒子を洗浄・脱離して得られたものであることを特徴とする前記第(1)項に記載のトナー」、
(3)「前記粘弾性増加物質が有機金属化合物であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の静電荷現像用トナー」、
(4)「該結着樹脂(1)の酸価を(A1)、結着樹脂(2)の酸価を(A2)としたとき、下記式(式1)を満足することを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の静電荷現像用トナー;
(5)「該有機金属化合物がサリチル酸誘導体であることを特徴とする前記第(3)項又は第(4)項に記載の静電荷現像用トナー」、
(6)「該活性水素基含有化合物が、アミノ基、水酸基、メルカプト基及び、カルボキシル基の中から選ばれる少なくとも1種の基を含有する化合物、もしくは水と反応してこれらの基を発生させ得る化合物、又は水であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(7)「前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアを含有することを特徴とする二成分静電荷像現像用現像剤」により達成される。
また、(8)「前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の静電荷現像用トナー又は前記第(7)項に記載の現像剤を用い、且つ、定着部材と加圧部材と、これらのいずれかの部材をクリ−ニングするクリ−ニング部材とを有する定着装置を用いることを特徴とする画像形成方法」により達成される。
また、本発明のトナーでは、現像性・転写性に優れ、高品位の画像が得ることができるという極めて優れた効果を奏するものである。
本発明の定着装置(25)は、図1に示すように、定着部材(定着手段)である定着ローラ(251)は、ステンレス、アルミニウム等の金属製の芯金の外周に、加圧手段である加圧ローラ(252)とニップを形成するために、例えば発泡シリコーンゴムや液状シリコーンゴム等の耐熱弾性材料で環状に成型加工された弾性層を備える。弾性層の表層には、転写紙及びトナーの離型性を良くするために離型層を設ける。離型層には、耐熱性があり表面エネルギーの小さい材料が使用され、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの高分子樹脂からなる耐熱性チューブとして使用される。定着ローラ(251)の芯金中には定着ローラ(251)の温度上昇を加速させるためのハロゲンヒータ等の熱源が配設される。
加圧ローラ(252)は、ステンレス、アルミニウム等の金属製の芯金の外周にフッ素系ゴム、シリコーンゴム等の耐熱弾性材料からなる弾性層を適度な厚みで備え、定着ローラ(251)と同様に、表層にフッ素系樹脂等からなる離型層を備える。また、加圧ローラ(252)は、定着ローラ(251)に向けて図示しないバネ等の加圧部材により押圧されており、弾性層を弾性変形させることにより定着ローラ(251)との間で、一定時間トナーを加圧・加熱できるニップ部を形成する。
定着ローラ(251)にトナーとの離型性を良くしてオフセットの発生を防止するために、離型性を向上させるシリコーンオイル等のオイルを塗布する塗布ローラ(255)、定着ローラ(251)に付着したトナー、紙粉をクリーニングするクリーニング部材としてクリーニングローラ(256)を設ける。また、加圧ローラ(252)にも紙粉と記録しないときに接する定着ローラ(251)からトナーが付着することから、加圧ローラ(252)にクリーニングローラ(257)を設ける。さらに、定着ローラ(251)、加圧ローラ(252)等の定着装置(25)における部材のヒータを制御するために、各部材の温度を検知するためにサーミスタ等の温度センサ(258)を設ける。図中、符号(259)は離型剤付与手段を、また符合(260)は離型剤を、それぞれ示す。
また、トナーの一部は、定着ローラ(251)から温度の低い加圧ローラ(252)に移行するものがある。この加圧ローラ(252)に移行したトナーは、加圧ローラ(252)が回転して記録紙に再度接触すると、この残留したナーが記録紙の裏面に付着して画像を汚すことがある。これを防止するために、加圧ローラ(252)に加圧ローラ用クリーニングローラ(以下、単に「クリーニングローラ」と記す。)(257)が設けられる。このクリーニングローラ(257)には、定着ローラ(251)から移行したトナ−が回収される。しかし、このクリーニングローラ(257)に回収されたトナ−が、定着装置(25)の作動時に熱を受けて再溶融し、クリーニングローラ(257)からのトナーの溶け出して加圧ローラ(252)に移行し、ニップ部で記録紙の裏面を汚すことがある。特に、トナーの結着樹脂中の高分子量成分よりは低分子量成分が加熱により容易に粘弾性がかわるために、オフセットが生じやすく、また、再溶融して溶け出しやすい。
ところで、本発明で用いる粘弾性増加物質は、従来のCCA(電荷調節剤)と恰も一部類似しているかのように思われる旨、強引に指摘される可能性(危険性)に対して、念のため付言すれば、従来のCCA含有トナーは溶融混練工程で均一に含有させるため、この時点で樹脂粘着性が増加するので、低温定着性は得がたい。これに対して、本発明においては、低温定着性を達成する目的で、トナー中のメイン樹脂の粘弾性が熱及びシェアが加わらないと(=クリーニングローラ上で増粘しないような構成を採っており、その方法がCCA粒子表面に樹脂を被覆し、メイン樹脂を増粘させていない点で、従来のCCA含有トナーとは基本的に相違する。
本発明においては、結着樹脂(1)の性状、反応部位含有率、定着装置の特性等にもよるが、該粘弾性増加物質の添加量は、トナー中の結着樹脂(1)の100重量部当り、通常0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜6重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明に用いるトナーは、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等の製造方法によるものであるが、これらの製造方法に限るものではないが、前途した様に低温定着性を有する重合トナーにおいては特に顕著な効果が確認される。
重合法の一例を示すと、少なくとも、活性水素基を有する化合物の活性水素基と反応可能なプレポリマー又は該プレポリマー含有変性ポリエステル樹脂からなり必要に応じて(未変性)ポリエステルを混合してなるトナー結着樹脂(結着樹脂(1))、粘弾性増加物質、着色剤、離型剤を含むトナー用組成物(好ましくは液状組成物)を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させて得たトナーを用いることが好ましい。即ち、本発明の結着樹脂の粘弾性増加物質が油水界面に存在し易い材料であった場合、トナー粒子界面に粒子として存在するため、低温定着性を損ねてしまう。そこで、予め第二の結着樹脂(2)と混合し、粘弾性増加物質のトナー粒子中の分散状態を制御することにより、低温定着性の阻害を防止出来る。
更に、クリーニング部材に付着した際に熱的及び機械的ストレスにより実質混練されて、トナー結着樹脂と架橋または反応するためには、熱的及び機械的ストレスが加えられた際に、第二の結着樹脂(2)から離れ、且つ、トナー結着樹脂(1)と結合する必要がある。本発明の結着樹脂の粘弾性を大きくする物質は、結着樹脂の酸骨格部分と架橋又は反応するため、トナー中の最も構成比率の高い結着樹脂(1)の酸価(A1)と粘弾性増加物質と予め混合する際に用いる第二の結着樹脂(2)の酸価(A2)には、クリーニング部材からの逆転写を防止するために(式1)を満たすことが重要である。
又、結着樹脂と粘弾性増加物質を予め混合する際に、着色剤も加え、高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
ポリエステル樹脂中に酸、アルコールのモノマーユニットに含まれる官能基とエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。
例えば、ポリエステル末端をエステル結合以外のもので反応させたものである。具体的には末端に酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、活性水素基含有化合物とさらに反応させ末端を変性したり伸長反応させたものも含まれる。さらに、活性水素基が複数存在する化合物であればポリエステル末端同士を結合させたものも含まれる(ウレア変性ポリエステル、ウレタン変性ポリエステルなど)。また、ポリエステル主鎖中に二重結合などの反応性基を導入し、そこからラジカル重合を起こして側鎖に炭素−炭素結合のグラフト成分を導入したり二重結合同士を橋かけしたものも含まれる(スチレン変性、アクリル変性ポリエステルなど)。
また、ポリエステルの主鎖中に構成の異なる樹脂成分を共重合させたり末端のカルボキシル基や水酸基と反応させたもの。例えば末端がカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、メルカプト基によって変性されたシリコーン樹脂と共重合させたものも含まれる(シリコーン変性ポリエステルなど)以下具体的に説明する。
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸200部およびフマール酸70部、ジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてスチレン200部、過酸化ベンゾイル1部、ジメチルアニリン0.5部を加えと2時間反応を行い、酢酸エチルを蒸留除去し、重量平均分子量92000のポリスチレングラフト変性ポリエステル(1)を得た。
ウレア変性されたポリエステル(i)としては、例えばイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応物などが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基とし
ては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
レンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
また、THF不溶分を1〜25%含むポリエステル樹脂を使用することでホットオフセット向上につながる。また、一成分現像装置内部で長期間の攪拌により、現像ローラとトナー供給ローラ、層厚規制ブレードや摩擦帯電ブレードなどとによる接触ストレスによりさらにトナーが粉砕され、極微粒子が発生したり、流動化剤がトナー表面に埋め込まれるために画像品質が低下といった問題に対して効果をもたらす。また、THF不溶分はカラートナーにおいてはホットオフセットには効果があるものの光沢性やOHPの透明性については確実にマイナスであるが離型幅を広げるなどには1〜10%内で効果を発揮するケースもある。
本発明においては、前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、例えばウレア結合やウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
また、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
(水系媒体中でのトナーの製造法)
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
水系媒体中でプレポリマー(A)、及び未変性ポリエステル(ii)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にプレポリマー(A)、及び未変性ポリエステル(ii)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)、及び未変性ポリエステル(ii)と他のトナー用組成物原料である(以下トナー原料と呼ぶ)粘弾性増加物質マスターバッチ、着色剤、着色剤マスターバッチ(粘弾性増加物質を含むものであってもよい)、離型剤、荷電制御剤などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤、粘弾性増加物質などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
プレポリマー(A)、及び未変性ポリエステル(ii)を含むトナー用組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー用組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、樹脂微粒子と共に分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステルを合成する工程は水系媒体中でトナー用組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フ
ロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させることが特に好ましい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β一ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β一ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは5〜50℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
尚、以下において特に表記するもの以外、「部」及び「%」は重量基準で示すものとする。
(実施例1)
製造例1
[変性ポリエステル系樹脂(A)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物358部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物381部、イソフタル酸200部、テレフタル酸127部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応させ、更に10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させて水酸基価25、酸価0.9のポリエステルプレポリマーを得た。更に80℃まで冷却し、酢酸エチル364部とイソホロンジイソシアネート98部を加えて110℃で2時間反応を行いMw12,000、NCO含量1.29%の変性ポリエステル系樹脂(A−1)の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)を得た。
[アミンのブロック化物(B)の合成]
撹拌棒及び温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行いアミンのブロック化物(B)を得た。
[低分子量ポリエステル(C)の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入官についた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、さらに、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部入れ、180℃、常圧下で1.8時間反応し、低分子量ポリエステル(C)を得た。Mn2,500、Mw6,700、ピーク分子量は5,000、Tg43℃、酸価25であった。
[粘弾性増加物質及び着色剤と結着樹脂の混合]
水1200部、カーボンブラック(キャボット社製、リーガル400R)50部、ポリエステル樹脂(三洋化成製、RS801 酸価10)50部を、さらには水30部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で5分混練後、反応性物質(オリエント社製 ボントロン X−11:サリチル酸誘導体)を5部加え、25分間混合した後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、混合物(1)を得た。
ビーカー内に低分子ポリエステル(C)400部、カルナバワックス110部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に混合物(1)500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し原料溶解液(1)を得た。
原料溶解液(1)1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1Kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、ワックスの分散を行なった。次いで、低分子ポリエステル(1)の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、顔料・ワックス分散液(1)を得た。
顔料・ワックス分散液(1)648部、変性ポリエステル樹脂(B)を154部、アミンブロック化物(B)8.5部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で回転数12,000rpmで25℃で1分間混合し、乳化スラリー(1)を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー(1)を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、回転数60rpmで攪拌しながら、減圧下(10kPa)で乳化液中の酢酸エチル濃度が1%となるまで脱溶剤し分散スラリー(1)を得た。
分散スラリー(1)100部を減圧濾過した後、
I):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
II):I)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
III):II)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
IV):III)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い、ケーキ状物を得た。これを、濾過ケーキ(1)とする。
濾過ケーキ(1)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。
その後、水90部に対して濾過ケーキ(1)15部を加えて、これにフッ素化合物(ネオス社製 ネオスフタージェント310)を0.0005部分散させることで、トナー粒子表面にフッ素化合物を付着させた後、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、体積平均粒径5.0μmのトナー母体粒子を得た。これを、トナー母体粒子(1)とする。
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を1.0部添加し、周速を15m/secとして30秒混合、1分間休止を5サイクル行い、トナー(1)を得た。
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100部
トルエン 100部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 10部
カーボンブラック 7部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調整した。このコート層形成液と流動床型コーティング装置を用い、粒径55μmの球状フェライト1,000部の表面にコーティングした後に、300℃、2時間の条件下で焼成し磁性キャリア(A)を得た。上記トナー(1)4部と、磁性キャリア(A)96部とをボールミルで混合し、二成分現像剤(1)を作製した。
混合物(1)で使用するポリエステル樹脂を低分子ポリエステルCに変え混合物(2)とし、以降、トナー母体粒子を合成し、トナー(2)、二成分現像剤(2)を得た以外は、実施例1と同様とした。
混合物(1)を製造する際に反応性物質を除いて製造して得た混合物(3)用いた以外は実施例1と同様にし、トナー(3)、二成分現像剤(3)を得た。
顔料・ワックス分散液(4)の合成方法で実施した以外は比較例1と同様にし、トナー(4)、二成分現像剤(4)を得た。
−顔料・ワックス分散液(4)の合成−
ビーカー内に低分子ポリエステル(C)400部、カルナバワックス110部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に混合物(3)500部、酢酸エチル500部、反応性物質(オリエント社製 ボントロン X−11) 25部を仕込み、1時間混合し原料溶解液(4)を得た。
原料溶解液(4)1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1Kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、ワックスの分散を行なった。次いで、低分子ポリエステル(1)の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、顔料・ワックス分散液(4)を得た。
反応性物質25部とニカライト X NCF−200(酸価<1 日本カーバイド工業社製)と混合した後、二本ロールで130℃15分間混合し、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、混合物(4)を得、比較例2の顔料ワックス分散液(4)の合成において、反応性物質の替わりに混合物(4)50部を使用した以外は比較例(2)と同様にし、トナー(5)、二成分現像剤(5)を得た。
[低分子量ポリエステル(D)の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入官についた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、さらに、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸50部入れ、180℃、常圧下で1.8時間反応し、低分子量ポリエステル(C)を得た。Mn2,500、Mw7000、ピーク分子量は5,200、Tg43℃、酸価29であった。
上記ポリエステル(D)を用い、混合物(1)と同様にして混合物(5)を得た以外は、実施例(1)と同様にし、トナー(6)、二成分現像剤(6)を得た。
比較例(1)で作製したトナー(3)45部に対し、反応性物質(粘弾性増加物質;オリエント社製 ボントロン X−11:サリチル酸誘導体)0.5部を加えミキサーで混合した後、東洋精機製ラボプラストミルを用い130℃ 15分間混練し、ミキサーにて粉砕した後、高架式フローテスターを用いてT1/2を測定したところ、T1/2は105℃から116℃となり、トナー粘弾性を高くする反応性物質(粘弾性増加物質)として適切であることを確認した。
高架式フローテスターは、島津製作所製 高架式フローテスターCFT−100を用い、昇温速度3℃ シリンダー圧力0.49MPa、ダイ穴径1.0mm、ダイ長さ1.0mmの条件で測定した時の、流出開始時ストロ−クと終了時ストロークの中間ストローク位置の温度(T1/2)を指し、粘弾性が大きい場合、該温度(T1/2)も高くなる。
それぞれ作成したトナー及び現像剤を用い、定着性は(株)リコー製複写機imagio NEO451改造機を用い、リコー製の複写印刷用紙90Kをセットし専用チャート(画像面積率6%)の複写を10枚実施した。定着ローラ表面設定温度を160℃及び170℃と変えてコールドオフセット発生状況を目視で確認した。
それぞれ作成したトナー及び現像剤を用い、定着性は(株)リコー製複写機imagio NEO451改造機を用い、定着画像へクリーニングローラからの溶融トナーの逆転による溶け出しホットオフセットの有無を目視評価した。専用チャート(6%面積率)のA4を両面印刷して連続ランニングした。溶け出し逆転写(ホットオフセット)が観察されなかったものを「○」、確認されたものを「△」、紙が巻き付きジャムしたものを「×」として評価した。
251 定着ローラ
252 加圧ローラ
255 塗布ローラ
256 定着ローラ用クリーニングローラ
257 加圧ローラ用クリーニングローラ
258 温度センサ
259 離型剤付与手段
260 離型剤
Claims (6)
- 定着部材と加圧部材と、これらのいずれかの部材をクリーニングするクリーニング部材とを有し、熱及び圧力で記録媒体上にトナーを定着させる定着装置で用いられるトナーであって、前記トナーが少なくとも結着樹脂と着色剤及びトナー中で最も構成比率の高い結着樹脂(1)の粘弾性を大きくする有機金属化合物からなる粘弾性増加物質を含有し、該粘弾性増加物質が予め結着樹脂(2)と混合されおり、前記有機金属化合物がサリチル酸誘導体であることを特徴とするトナー。
- 前記トナーは、活性水素基を有する化合物と反応可能な少なくともイソシアネート基含有プレポリマー又は該プレポリマーを含む変性ポリエステル樹脂、前記粘弾性増加物質、着色剤、離型剤を少なくとも含むトナー用組成物を、有機溶媒中に溶解または分散させて形成した該溶解又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で分散させ、架橋剤及び/又は伸張剤と反応させ、得られた分散液から該有機溶剤を除去し、かつトナー表面に付着した樹脂微粒子を洗浄・脱離して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記活性水素基を有する化合物が、アミノ基、水酸基、メルカプト基及び、カルボキシル基の中から選ばれる少なくとも1種の基を含有する化合物、もしくは水と反応してこれらの基を発生させ得る化合物、又は水であることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアを含有することを特徴とする二成分静電荷像現像用現像剤。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷現像用トナー又は請求項5に記載の現像剤を用い、且つ、定着部材と加圧部材と、これらのいずれかの部材をクリ−ニングするクリ−ニング部材とを有する定着装置を用いることを特徴とする画像形成方法。
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