JP2011033823A - トナーとその製造方法、現像剤、現像剤収容容器および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エステル結合及び該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステル又は該変性ポリエステルを生成可能な結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、及び結晶性ポリエステル、下記カルボニル基含有ワックスを有機溶媒に含有する油相を水相中で乳化乃至分散させ、脱溶剤して形成される母体粒子を有するトナーとする。(離型剤の分散径:0.06μm以上0.08μm以下)[ワックスの特性]120℃での溶融粘度:1.0mPa・秒以上20mPa・秒以下;酸価:0.1KOHmg/g以上20KOHmg/g以下;DSCによる極大吸熱ピーク温度(融点):65℃以上85℃以下。本トナーからなる現像剤(4)を用いて画像を形成する。
【選択図】図1
Description
高品位、高画質の画像を得るためには、トナーの粒子径を小さくすることにより改良が図られているが、通常の混練、粉砕法による製造方法ではその粒子形状が不定形であり、機械内部では現像部内でのキャリアとの攪拌や、一成分系現像剤として用いる場合は現像ローラとトナー供給ローラ、層厚規制ブレードや摩擦帯電ブレードなどとによる接触ストレスによりさらにトナーが粉砕され、極微粒子が発生したり、流動化剤がトナー表面に埋め込まれるために画像品質が低下するという現象が発生している。また、その形状ゆえに粉体としての流動性が悪く、多量の流動化を必要としたり、トナーボトル内への充填率が低く、コンパクト化への阻害要因となっている。そのため小粒径化したメリットが生かされていないのが現状である。即ち、粉砕法では粒子径の限界が存在し、さらなる小粒径化には対応できない。また、粉砕トナーのような不定形の形状による転写性の悪さから、転写された画像の抜けや、それを補うためトナー消費量が多いなどの問題が発生している。
また、トナー材料を有機溶媒に溶解/または分散し、これを水性媒体中に乳化分散させて凝集するか、あるいは、トナー材料を溶融混練して有機溶媒に溶解/または分散し、これを水性媒体中に乳化分散させた後、有機溶媒を除去してトナーとする方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法により、樹脂の相分離抑制、トナー構成成分の分散性改善、トナー内部での偏析や再凝集防止などの改善が図れ、適切な帯電性、離型性を発現することができるが、キャリアや帯電ブレードなどの帯電部材に対しての汚染性を改善するには十分でなかった。
また、活性水素基含有プレポリマーと、分子内に活性水素基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物を水系媒体中で反応させて粒子を形成してトナーとする方法が提案されている(特許文献3参照)。この手法により、ポリマー溶解懸濁法で用いる樹脂を低分子量のものとして分散相の粘度を下げ、乳化を容易にし、併せて粒子内で重合反応をさせて定着性を改善するとしている。しかし、特許文献3の手法はトナーによる帯電部材等への汚染性に十分配慮したものではなく、例えば、粒子の形状を制御してキャリアや帯電ブレードなどの帯電部材の汚染性を改良するものではなかった。
前記結着樹脂および/または結着樹脂前駆体として、少なくともエステル結合および該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステル、もしくは該変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体、および結晶性ポリエステルを含有すると共に、
前記離型剤が下記特性(1)〜(3)を有するカルボニル基含有ワックスであり、かつ、該離型剤の前記母体粒子中における分散径が0.06μm以上0.80μm以下であることを特徴とするトナーにより解決される。
(1)ブルックフィールド型回転粘度計により測定される120℃における溶融粘度:1.0mPa・秒以上20mPa・秒以下
(2)酸価:0.1KOHmg/g以上20KOHmg/g以下
(3)示差走査熱量分析(DSC)による極大吸熱ピーク温度で定義される融点:65℃以上85℃以下
少なくとも結着樹脂および/または結着樹脂前駆体および離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させてトナー材料液(油相)を調製する工程と、該油相を水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させた後、脱溶剤して母体粒子を形成する工程とを備えたことを特徴とするトナーの製造方法により解決される。
本発明のトナーからなる現像剤(一成分現像剤)あるいは本発明のトナーとキャリアからなる現像剤(二成分現像剤)を用いて、例えば、複写機、レーザープリンターあるいはファクシミリ等の電子写真プロセスを用いる画像形成法により、繰り返し画像形成においても地肌汚れや画像濃度ムラや低下などの少ない高品質画像を継続的に安定して形成することができる。
前記結着樹脂および/または結着樹脂前駆体として、少なくともエステル結合および該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステル、もしくは該変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体、および結晶性ポリエステルを含有すると共に、
前記離型剤が下記特性(1)〜(3)を有するカルボニル基含有ワックスであり、かつ、該離型剤の前記母体粒子中における分散径が0.06μm以上0.80μm以下であることを特徴とするものである。
(1)ブルックフィールド型回転粘度計により測定される120℃における溶融粘度:1.0mPa・秒以上20mPa・秒以下
(2)酸価:0.1KOHmg/g以上20KOHmg/g以下
(3)示差走査熱量分析(DSC)による極大吸熱ピーク温度で定義される融点:65℃以上85℃以下
なお、本発明において、「トナー材料液(油相)を水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させた後、脱溶剤して形成される母体粒子から構成されたトナー」を「母体粒子を有するトナー」と呼称する。また、「母体粒子を有するトナー」を「トナー」と称することがある。
後述するように、母体粒子は、脱溶剤により造粒された粒子を乾燥して得られるか、もしくは、脱溶剤と乾燥を同時に行って得られる。母体粒子を有するトナーには、必要により分級された母体粒子が用いられる。脱溶剤により造粒された粒子を「着色粒子」と呼称することもある。
すなわち、結晶性ポリエステルとカルボニル基含有ワックスは母体粒子中のアモルファス樹脂と相溶せず、例えば、結晶状態で分散している。結晶性ポリエステルはカルボニル基含有ワックスと親和性があり接近しやすく、互いに分散性を助長し合って母体粒子中での微分散を達成することができると推定される。
以下、本発明のトナーに用いられる原材料(トナー材料)について順次説明する。
本発明の母体粒子を有するトナーにおけるトナー材料として用いられる離型剤としては、例えば、カルボニル基含有ワックスであることが重要である。
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
Stir
Speed[%] 25
Time[s] 15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CH3ONa
Concentration[mol/L] 0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume[mL] 1.0
Wait time[s] 0
Titrant addition Dynamic
dE(set)[mV] 8.0
dV(min)[mL] 0.03
dV(max)[mL] 0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE[mV] 0.5
dt[s] 1.0
t(min)[s] 2.0
t(max)[s] 20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
at maximum volume[mL] 10.0
at potential No
at slope No
after number EQPs Yes
n=1
comb. termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential 1 No
Potential 2 No
Stop for reevaluation No
酸価=X×N×56.1/試料重量[KOHmg/g]
ただし、式中のNは、0.1N水酸化カリウムのアルコール溶液のファクターである。
ここで、融点とは、示差走査熱量分析(Differential scanning calorimetry;DSC)により得られる示差熱曲線において、吸熱量が極大になる吸熱ピークの温度(「極大吸熱ピーク温度」と呼称する)である。融点が65℃未満であると、トナーを保存する際にブロッキングを起こしやすくなり、耐熱保存性が低下することがある。また、融点が85℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
離型剤の分散径が0.8μmを超えると、母体粒子間での離型剤の含有量のばらつきが大きくなって、帯電性および流動性が低下したり、現像装置内に離型剤が固着したりすることがあり、その結果、高品位な画像が得られないことがある。また、分散径が0.06μm未満であると、母体粒子の内部に存在する離型剤の割合が大きくなり(相対的に母体粒子表面の離型剤の割合が小さくなって)、離型性が低下することがある。
まず、母体粒子をエポキシ樹脂に包埋して約100nmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色する。次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率10000倍で観察を行い、撮影した写真を画像評価する。これにより、離型剤の分散状態を観察し、分散径を測定することができる。
なお、形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。
本発明におけるトナーの場合には、このような手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.99〜0.95であるものが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効である。平均円形度が0.99〜0.96で円形度が0.96未満の粒子が10%以下であるものがより好ましい。
平均円形度が0.991以上の場合、ブレードクリーニングなどを採用しているシステムでは、感光体上および転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こす。例えば、画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、写真画像など画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。 平均円形度の値は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。
また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性および画像が得られる。
逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.25よりも大きい場合も同様である。また、Dv/Dnが1.05より小さい場合には、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化の面から好ましい面もあるが、トナーを十分に帯電することができなかったり、クリーニング性を悪化させる場合がある。
しかし、本発明の範囲とされたトナーによればこれらの問題が解消される。
本発明における変性ポリエステルは、分子構造中に少なくともエステル結合と該エステル結合以外の結合単位を含むものであり、例えば、活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステルと、該活性水素基を有する化合物との反応により得ることができる。
活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステルとしては、例えば、イソシアネート基あるいはエポキシ基などを有するポリエステルプレポリマーを挙げることができる。このような活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステルは、従来公知のイソシアネート化剤やエポキシ化剤(イソシアネート基やエポキシ基を有する化合物)と、ベースとなるポリエステルとの反応により容易に合成することができる。
例えば、イソシアネート基を有するポリエステル(ポリエステルプレポリマー)を活性水素基を有する化合物(アミン類など)と伸長反応させた変性ポリエステルを結着樹脂に含めば、定着下限温度とホットオフセット発生温度の差を広くすることができて、離型幅の向上にも効果を及ぼす。
また、エポキシ化剤としては、エピクロロヒドリンなどをその代表例として挙げることができる。
この変性ポリエステル中のイソシアネート化剤の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)等が挙げられる。
3価以上のポリアミン化合物としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール化合物としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン化合物としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸化合物としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
これら化合物のアミノ基をブロックした化合物としては、前記アミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類のうち好ましいものは、ジアミン化合物およびジアミン化合物と少量のポリアミン化合物の混合物である。また、架橋剤、伸長剤として、アミン類を用いることができる。
本発明においては、変性ポリエステル(ウレア変性ポリエステル)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ここで、変性ポリエステル(ウレア変性ポリエステル)を「変性ポリエステル(i)」とする。
本発明においては、前記ウレア変性ポリエステル〔変性ポリエステル(i)〕だけでなく、これと共に変性されていないポリエステル〔未変性ポリエステル(ii)〕をトナーバインダー成分として含有させることもできる。
(i)と共に(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、(i)の単独使用より好ましい。前記、(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)を構成するポリエステル成分と(ii)を構成する成分は類似であるものが好ましい。
未変性ポリエステル(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステル(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
また、酸価および水酸基価がそれぞれ上記範囲を越えるものは高温高湿度下、低温低湿度下の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
前述のように、本発明のトナーを構成する母体粒子の結着樹脂として、結晶性ポリエステル〔以下、結晶性ポリエステル(iii)とする〕が含有される。
結晶性ポリエステル(iii)は、アルコール成分と酸成分の反応により得られたものであり、少なくとも融点を有するポリエステルである。
結晶性ポリエステル(iii)のアルコール成分としては、炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびこれらの誘導体を含有し、また、酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、およびこれら酸の誘導体の少なくとも1つを含有することが好ましい。すなわち、前記アルコール成分と酸成分から合成される下記一般式(1)で表される繰返し講造単位を有する結晶性ポリエステルが好ましい。
分子量については、上記の分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れるという観点から鋭意検討した結果、o−ジクロロベンゼンに可溶分のGPCによる分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で1000〜6500、数平均分子量(Mn)で500〜2000、Mw/Mnが2〜5であることが好ましいことを見出した。
吸熱ピーク温度が50℃未満の場合には、耐熱保存性が悪化し、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しやすくなる。一方、吸熱ピーク温度が150℃を超える場合には、定着下限温度が高くなるために低温定着性が得られなくなる。
分散粒径の長軸径を0.2〜3.0μmの範囲に制御することで、母体粒子中でのカルボニル基含有ワックスの微分散をより確実にし、母体粒子表面におけるワックの偏在を抑制することができる。
更に、結晶性ポリエステルの水酸基価については、所定の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには0mgKOH/g以上50mgKOH以下(0〜50mgKOH/g)、より好ましくは5〜50mgKOH/gのものが好ましい。
変性ポリエステルとして、ウレア変性ポリエステルを共存させることにより、本発明の母体粒子を有するトトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
トナーバインダーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cm2となる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
トナーバインダーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。
TG’とTηの差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先に挙げた変性ポリエステルや未変性ポリエステルの他に、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用できる。
本発明の母体粒子により構成されたトナーに用いられるトナー材料として、必要に応じて帯電制御剤を含有することができる。このような帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
本発明において母体粒子形成する際に樹脂微粒子を用いることができ、分散安定性の向上や母体粒子により構成されるトナーの粒径分布を狭くすることができる。
本発明で使用される樹脂微粒子は、少なくとも結着樹脂および/または結着樹脂前駆体と離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させたトナー材料液(油相)を水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させた際に、所望とする水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用できる。
樹脂微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、これらの樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステルおよびそれらの併用である。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
前記樹脂微粒子の体積平均粒径としては、5〜500nmであることが好ましい。
本発明のトナーは、前記トナー材料液(油相)を水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させた後、脱溶剤により造粒された粒子(着色粒子)により形成される母体粒子から構成されるものであるが、ここで母体粒子を有するトナーの流動性や現像性、帯電性、クリーニング性を補助するために母体粒子表面に外添剤を付与することができる。
上記母体粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子が好ましく用いられる。用いられる無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。
また、母体粒子を有するトナーのBET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
本発明におけるトナー材料の組成分として、結着樹脂および/または結着樹脂前駆体が用いられ、結着樹脂は、少なくともエステル結合および該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステルであり、結着樹脂前駆体は前記変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体である。この結着樹脂前駆体として、活性水素基を有する化合物と、該化合物の活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステルを含有するものが好適である。
例えば、活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステルとしてイソシアネート基を有するポリエステル〔ポリエステルプレポリマー(A)〕を使用する場合には、以下のように方法で製造することができる。
次いで40〜140℃にて、水酸基を有するポリエステルにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)〔略「プレポリマー(A)」〕を得る。
さらに(A)に活性水素基を有する化合物であるアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。
ポリオール(1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物等)が好ましい。
また、3価以上のポリオールとして、多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ポリカルボン酸(2)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、ポリカルボン酸の代わりに、ポリカルボン酸の無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
アミン類(B)としては前記アミン類で示したものが挙げられる。
前記(3)を反応させる際、および(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。
本発明に用いる前記水系媒体(水相)としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。
混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
また、水系媒体(水相)には、後述のような界面活性剤や高分子系保護コロイドなどの分散剤を含有してもよい。
水系媒体中でウレア変性ポリエステル〔変性ポリエステル(i)〕、もしくはポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中に、変性ポリエステル(i)、あるいはプレポリマー(A)とアミン類(B)、他の結着樹脂(結晶性ポリエステル等)、離型剤を含むトナー材料(原料)の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
ポリエステルプレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下、「トナー原料」と呼称する)着色剤(あるいは着色剤マスターバッチ)、離型剤、結晶性ポリエステル、未変性ポリエステル、荷電制御剤などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させた方がより好ましい。
また、本発明においては、着色剤、荷電制御剤などのトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
また、前述のように必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いた方が、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
このような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。ポリエステルプレポリマー(A)100重量部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
トナー材料液(油相)を水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させて得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいは、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去して母体粒子となす微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
(洗浄および乾燥)
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、不要サイスの微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。分級された不要サイズの微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
本発明の母体粒子を有するトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよく、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。
磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
磁性キャリアの被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系現像剤(磁性トナーあるいは非磁性トナー)としても用いることができる。
感光体(像担持体)1は、矢印方向に回転駆動されながら、その表面が帯電器2により一様に帯電される(帯電させる工程)。次いで、この感光体1は、その回転方向の該帯電器2の下流側部位の露光部において、図示しない露光手段により画像光γを照射される。これにより、該画像光γが照射された部位の感光体表面の電荷が消失して、該感光体1の表面に、該画像光に対応した静電潜像が形成される。
まず、実施例および比較例のトナーを得るために必要な材料等を以下のようにして作製した。
(有機微粒子エマルションの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水700部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)12部、スチレン140部、メタクリル酸140部、過硫酸アンモニウム1.5部を仕込み、450回転/分で20分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。これを加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液35部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。
[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.30μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは155℃であった。
(水相の調整)
水1000部、[微粒子分散液1]85部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)40部、酢酸エチル95部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
(低分子ポリエステル〈水酸基を有するポリエステル〉の合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物235部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物535部、テレフタル酸215部、アジピン酸50部およびジブチルチンオキサイド3部を入れ、常圧下、240℃で10時間反応し、さらに10〜20mmHgの減圧で6時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、185℃、常圧で3時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2800、重量平均分子量7100、Tg45℃、酸価22KOHmg/gであった。
(中間体ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物700部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物85部、テレフタル酸300部、無水トリメリット酸25部およびジブチルチンオキサイド3部を入れ、常圧で240℃で10時間反応し、さらに10〜20mmHgの減圧で6時間反応し、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2500、重量平均分子量10000、Tg58℃、酸価0.5、水酸基価52であった。
(イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの合成)
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]400部、イソホロンジイソシアネート90部、酢酸エチル500部を入れ110℃で6時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.67%であった。
(結晶性ポリエステルの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器および熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール28モル、フマル酸24モル、無水トリメリット酸1.80モル、ハイドロキノン6.0gを入れ、150℃で6時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3KPaにて1時間反応させ[結晶性ポリエステル1]を得た。得られた[結晶性ポリエステル1]は、融点(DSCの吸熱ピーク温度)125℃、Mn800、Mw3000、酸価26、水酸基価30であった。
(ケチミンの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン180部とメチルエチルケトン80部を仕込み、50℃で6時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は420であった。
(マスターバッチ〈MB〉の合成)
水1300部、カーボンブラック(Printex35 デクサ製)550部〔DBP吸油量=43ml/100mg、pH=9.5〕、ポリエステル1300部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて160℃で45分混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
(油相〈顔料・WAX分散液1〉の作成)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]400部、エステルWAX(酸価:0.1KOHmg/g、融点:65℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)100部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)20部、酢酸エチル1000部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま8時間保持した後、1時間で24℃に冷却した。次いで、この容器に[マスターバッチ1]480部、酢酸エチル550部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]を別の容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1000部を加え、前記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は53%であった。
(油相〈顔料・WAX分散液2〉の作成)
製造例8の顔料・WAX分散液1の作成で用いたエステルWAXの120℃における溶融粘度を20mPa・秒であるものに変更した以外は製造例8と同様にして[顔料・WAX分散液2]を得た。
(油相〈顔料・WAX分散液3〉の作成)
製造例8の顔料・WAX分散液1の作成で用いたエステルWAXの120℃における溶融粘度を22mPa・秒であるものに変更した以外は製造例8と同様にして[顔料・WAX分散液3]を得た。
(結晶性ポリエステルの分散液作製)
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル1]を110g、酢酸エチル450gを採り、80℃で加熱溶解もしくは加熱分散させた後、氷水浴中で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間攪拌を行い、体積平均粒径が0.4μmの[結晶性ポリエステル分散液1]を得た。
以下の乳化、脱溶剤、洗浄および乾燥工程により母体粒子を得た。
(乳化)
[顔料・WAX分散液1]700部、[プレポリマー1]120部、[結晶性ポリエステル分散液1]80部、[ケチミン化合物1]5部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で6,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1300部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
(脱溶剤)
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で10時間脱溶剤した後、45℃で5時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
[乳化スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液1OO部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い[母体粒子1]を得た。
なお、母体粒子1中における離型剤の分散径は0.06μmであった。結晶性ポリエステルの母体粒子1中における分散粒径は、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であった。また、母体粒子1の体積平均粒径(Dv)は3.0μm以上6.0μm未満であり、個数平均粒径(Dn)に対する体積体積平均粒径(Dv)の比(Dv/Dn)は1.05以上1.25以下であった。
実施例1において用いた[顔料・WAX分散液1]700部を、[顔料・WAX分散液2]700部に変更した以外は実施例1と同様にして[母体粒子2]を得た。母体粒子2中における離型剤の分散径は0.8μmであった。結晶性ポリエステルの母体粒子2中における分散粒径は、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であった。また、母体粒子2のDvは3.0μm以上6.0μm未満であり、Dv/Dnは1.05以上1.25以下であった。
実施例1において用いた[顔料・WAX分散液1]700部を、[顔料・WAX分散液3]700部に変更した以外は実施例1と同様にして[母体粒子3]を得た。母体粒子3中における離型剤の分散径は0.82μmであった。結晶性ポリエステルの母体粒子3中における分散粒径は、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であった。また、母体粒子3のDvは3.0μm以上6.0μm未満であり、Dv/Dnは1.05以上1.25以下であった。
実施例1において用いた[結晶性ポリエステル分散液1]80部を0部とした(結晶性ポリエステル分散液1を用いなかった)以外は実施例1と同様にして[母体粒子4]を得た。母体粒子4中における離型剤の分散径は0.06μmであった。また、母体粒子4のDvは3.0μm以上6.0μm未満であり、Dv/Dnは1.05以上1.25以下であった。
実施例1において用いた[顔料・WAX分散液1]の作製に用いたエステルWAX(酸価:0.1KOHmg/g、融点:65℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)100部を、エステルWAX(酸価:20KOHmg/g、融点:65℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)100部に変更した以外は実施例1と同様にして[母体粒子5]を得た。母体粒子5中における離型剤の分散径は0.06μmであった。結晶性ポリエステルの母体粒子5中における分散粒径は、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であった。また、母体粒子5のDvは3.0μm以上6.0μm未満であり、Dv/Dnは1.05以上1.25以下であった。
実施例1において用いた[顔料・WAX分散液1]の作製に用いたエステルWAX(酸価:0.1KOHmg/g、融点:65℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)100部を、エステルWAX(酸価:0.1KOHmg/g、融点:85℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)に変更した以外は実施例1と同様にして[母体粒子6]を得た。母体粒子6中における離型剤の分散径は0.06μmであった。結晶性ポリエステルの母体粒子6中における分散粒径は、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であった。また、母体粒子6のDvは3.0μm以上6.0μm未満であり、Dv/Dnは1.05以上1.25以下であった。
実施例1において用いた[顔料・WAX分散液1]の作製に用いたエステルWAX(酸価:0.1KOHmg/g、融点:65℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)100部を、エステルWAX(酸価:22KOHmg/g、融点:65℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)に変更した以外は実施例1と同様にして[母体粒子7]を得た。母体粒子7中における離型剤の分散径は0.06μmであった。結晶性ポリエステルの母体粒子7中における分散粒径は、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であった。また、母体粒子7のDvは3.0μm以上6.0μm未満であり、Dv/Dnは1.05以上1.25以下であった。
実施例1において用いた[顔料・WAX分散液1]の作製に用いたエステルWAX(酸価:0.1KOHmg/g、融点:65℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)100部を、エステルWAX(酸価:0.1KOHmg/g、融点:90℃、120℃における溶融粘度が1.0mPa・秒)に変更した以外は実施例1と同様にして[母体粒子8]を得た。母体粒子8中における離型剤の分散径は0.06μmであった。結晶性ポリエステルの母体粒子8中における分散粒径は、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であった。また、母体粒子8のDvは3.0μm以上6.0μm未満であり、Dv/Dnは1.05以上1.25以下であった。
それぞれ外添剤処理を施したトナー5重量%とシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%からなる現像剤を調製し、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるリコー製imagio Neo 450を用いて、連続印刷して下記の基準で評価した。
結果を下記表1に示す。なお、地肌汚れはトナー中のWAXによるキャリアへの汚染性を示すものであり、トナーの品質として重要なものである。
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定し、下記画像濃度差(ΔID)による評価基準
に基づき評価した。
画像濃度差(ΔID)による評価基準
◎:0〜0.40
○:0.41〜0.70
△:0.71〜1.00
×:1.00以上
すなわち、本発明によれば、電子写真装置や静電記録装置などにおける画像担持体上の静電潜像を顕像化するための、画像形成用トナー、現像剤、現像剤収容容器(トナー容器)および画像形成方法が提供でき、連続使用においても地肌汚れなどの発生が抑制された高画質の画像形成を可能とすることができる。
2 帯電ローラ
3 現像装置
4 現像剤
5 現像スリーブ(現像剤担持体)
6 転写ベルト(転写手段)
6a バイアスローラ
7 クリーニングブレード
8 回収ばね
9 回収コイル
10 感光体およびクリーニングユニット(PCU)
13 搬送スクリュー
14 パドル(攪拌機構)
16 反射濃度検知センサー(Pセンサー)
17 トナー濃度センサー
18 レジストローラ
20 除電ランプ
S 転写紙
γ 画像光
Claims (15)
- 少なくとも結着樹脂および/または結着樹脂前駆体および離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させたトナー材料液(油相)を水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させた後、脱溶剤して形成される母体粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂および/または結着樹脂前駆体として、少なくともエステル結合および該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステル、もしくは該変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体、および結晶性ポリエステルを含有すると共に、
前記離型剤が下記特性(1)〜(3)を有するカルボニル基含有ワックスであり、かつ、該離型剤の前記母体粒子中における分散径が0.06μm以上0.80μm以下であることを特徴とするトナー。
(1)ブルックフィールド型回転粘度計により測定される120℃における溶融粘度:1.0mPa・秒以上20mPa・秒以下
(2)酸価:0.1KOHmg/g以上20KOHmg/g以下
(3)示差走査熱量分析(DSC)による極大吸熱ピーク温度で定義される融点:65℃以上85℃以下 - 前記離型剤の含有量(重量比)が、前記母体粒子の総量に対して1%以上20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体として、活性水素基を有する化合物と、該化合物の活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステルを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 前記変性ポリエステルが、少なくともエステル結合およびウレア結合を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルの母体粒子中における分散粒径が、長軸径で0.2μm以上3.0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルの示差走査熱量分析(DSC)により測定される吸熱ピーク温度が、50℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルがアルコール成分と酸成分の反応により得られたものであり、該アルコール成分として炭素数2〜6のジオール化合物を含有し、該酸成分としてマレイン酸、フマル酸、コハク酸、または前記各酸の誘導体の少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルのアルコール成分として、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、または前記各ジオール誘導体の少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項7に記載のトナー。
- 前記母体粒子の体積平均粒径(Dv)が、3.0μm以上6.0μm未満であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
- 前記母体粒子の個数平均粒径(Dn)に対する体積平均粒径(Dv)の比(Dv/Dn)が、1.05以上1.25以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載のトナーの製造方法であって、
少なくとも結着樹脂および/または結着樹脂前駆体および離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させてトナー材料液(油相)を調製する工程と、該油相を水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させた後、脱溶剤して母体粒子を形成する工程とを備えたことを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項1乃至10のいずれかに記載のトナーからなることを特徴とする現像剤。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載のトナーと、キャリアからなることを特徴とする現像剤。
- 請求項12または13に記載の現像剤を収容したことを特徴とする現像剤収容容器。
- 少なくとも像担持体表面を帯電させる工程と、該帯電された像担持体上に形成した静電潜像を請求項12または13に記載の現像剤を用いて現像する工程と、該像担持体上に形成されたトナー像を画像支持体に転写する工程と、該転写されたトナー像をローラ状もしくはベルト状の定着部材により加熱加圧定着して定着画像を得る工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
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