実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による接触式変位検出装置を含む計測システムの概略構成の一例を示した図である。この計測システム100は、測長センサー10、信号伝送ケーブル11及び外部機器12からなる。測長センサー10は、ヘッドユニット20、接続ケーブル30及び本体ユニット40からなる接触式の変位検出装置であり、ヘッドユニット20の可動部21を検査対象物Aに接触させて表面形状の測定を行っている。
検査対象物Aの測定は、信号伝送ケーブル11を介して外部機器12から入力されるタイミング信号などの制御信号に基づいて行われ、測定値に応じた検出信号が外部機器12へ出力される。外部機器12としては、PLC(Programmable Logic Controller:プラグラマブルロジックコントローラ)などの制御装置、パーソナルコンピュータなどの情報処理端末装置が考えられる。
ヘッドユニット20は、検査対象物Aに接触させる接触子が先端に設けられた棒状の可動部21と、この可動部21を挿抜可能に保持するホルダーからなるセンサーユニットである。ここでは、コイルのインダクタンスの変化を利用してホルダーに対する可動部21の変位量が検出されるものとする。
本体ユニット40は、コイルの駆動回路、測定値の演算回路、入出力回路、表示パネル41及び表示パネル41の制御回路からなる。この本体ユニット40は、接続ケーブル30を介してヘッドユニット20と接続され、信号伝送ケーブル11を介して外部機器12と接続されている。コイルの駆動回路は、ヘッドユニット20のホルダー内に設けられる1次コイルに交流電流を供給する電力供給手段である。具体的には、所定の周波数(例えば、20kHz)の正弦波信号が1次コイルの駆動用信号として供給される。
測定値の演算回路は、1次コイル及び2次コイルの各出力に基づいて可動部21の変位量を検出し、測定値を求める処理、測定値に応じた検出信号を生成する処理を行っている。ここでは、ユーザ操作に基づいて許容範囲の上限値及び下限値が指定され、検査対象物Aに接触させた可動部21の変位量についての測定値と、上限値及び下限値との比較結果が検出信号として出力されるものとする。この検出信号は、信号伝送ケーブル11を介して外部機器12に伝送される。
表示パネル41は、測定値や動作状態などを表示するための表示素子と、各種操作キーとを有するユーザインターフェースであり、本体ユニット40筐体における1つの面に配置される。
図2は、図1の測長センサー10におけるヘッドユニット20の構成例を示した外観図であり、可動部21及びホルダー25からなるヘッドユニット20の詳細が示されている。可動部21は、一端にコアが形成され、他端にコンタクト部22を有するロッド部23と、一端がホルダー25に取り付けられ、他端がロッド部23に取り付けられたダストブーツ24からなる。ダストブーツ24は、塵埃などがホルダー25内に入るのを防ぐためのカバーであり、軸方向に伸縮可能な蛇腹状の樹脂部材からなる。
ホルダー25は、直方体形状の筐体からなり、回路基板26を内蔵している。ホルダー25の長手方向の一方の端面に可動部21が配置され、他方の端面に接続ケーブル30が配置されている。ここでは、可動部21が、軸方向をホルダー25に対する挿抜方向とし、さらに、軸方向をホルダー25の長手方向に一致させて配置されているものとする。
回路基板26は、可動部21の変位量を検出するための回路が設けられたプリント基板であり、1次コイルの制御回路、増幅回路、個体バラツキに関するデータを記憶する不揮発性の半導体メモリ、動作状態を示すインジケータの制御回路などが形成されている。個体バラツキに関するデータとは、演算回路42が1次コイル及び2次コイルの各出力に基づいて可動部21の変位量を求める際に、ヘッドユニット20の個体バラツキによって生じる誤差をデジタル処理にて補正させるためのデータである。
図3は、図2のヘッドユニット20内部の構成例を示した断面図であり、B−B線による切断面の様子が示されている。このヘッドユニット20のコンタクト部22は、交換可能な接触子となっており、例えば、金属球22aと、金属球22aの保持部22bからなる。保持部22bは、ロッド部23の端面に設けられた係合孔に係止され、測定時には、金属球22aを検査対象物に押し付けた状態で変位量の検出が行われる。
ホルダー25内には、円筒状のボールケージ27a、スプリング28、1次コイル及び2次コイル53が形成されたボビン52、円筒状の金属シールド54が配置されている。また、ホルダー25の可動部21とは反対側の端面には、封止部材29が設けられている。
ボールケージ27aは、多数の金属ボール27bが周面に配置された軸受けであり、ロッド部23のブレを防止するとともに、ロッド部23が軸方向に移動する際のロッド部23及びホルダー25間の摩擦抵抗を低減させている。
スプリング28は、ロッド部23をホルダー25に対して軸方向に付勢するためのコイル状のばねである。このスプリング28は、可動部21を検査対象物側へ付勢する付勢手段であり、ここでは、可動部21がホルダー25から引き出される向き、すなわち、ロッド部23をホルダー25内から押し出す向きに付勢している。
スプリング28は、ロッド部23と同軸に配置されており、ロッド部23端部に取り付けられているスプリング受け23aに一端が当接している。ストッパー25aは、ロッド部23に対して挿抜方向の可動範囲を制限するための係止部材であり、ホルダー25内に形成されている。このストッパー25aは、検査対象物側について可動部21の可動範囲を制限し、スプリング受け23aがストッパー25aに当接することにより、可動部21の抜け落ちを防止している。
コア51は、1次コイル及び2次コイル53の共通の磁心であり、細長いパイプ状に加工された磁性体からなる。このコア51は、中心軸をロッド部23の中心軸に一致させて配置されている。
ボビン52は、コイルを構成する線材を巻き付ける巻き線の保持手段であり、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの樹脂部材からなる。2次コイルとは、1次コイルと電磁結合させるコイルのことであり、1次コイルと同軸に形成されている。
ボビン52には、コア51を挿抜可能に係合させるための係合孔(ここでは、貫通孔となっている)が形成されており、一端側からコア51が挿入される。
金属シールド54は、磁気を遮断するためのコイルカバーであり、ボビン52の巻き線形成領域を取り囲むように配置される。例えば、SUS(Stainless Used Steel:ステンレス鋼)が金属シールド55を構成する部材として用いられる。この金属シールド55により、各コイル53及び54を流れる電流によって生じる磁界の漏出を抑制することができるとともに、金属シールド55外の金属部材による上記磁界への影響を抑制することができる。
ボビン52は、ホルダー25内に固定されており、可動部21がホルダー25に押し込まれた際、スプリング受け23aがボビン52の端面に当接することにより、ホルダー25に対するロッド部23の移動が止められる。
図4は、図1の測長センサー10における本体ユニット40の構成例を示した図であり、表示パネル41の詳細が示されている。この表示パネル41には、表示素子として、文字表示部1、バー表示部2、出力インジケータ3、入力インジケータ5及びその他の各種インジケータ6a〜6d,8a,8bが配置されている。各種操作キーとしては、セットキー4、方向キー7及びモード切替キー9が配置されている。
文字表示部1は、複数の7セグメントLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)1aからなるインジケータであり、測定値が算用数字(アラビア数字)で表示される。ここでは、文字表示部1が、筐体の長手方向(x軸方向)に配置された6つの7セグメントLED1aにより構成されているものとする。
バー表示部2は、複数のLED2aが直線上に配置されたインジケータであり、点灯状態のLED2aからなるバーの長さによって測定値が表示される。各LED2aは、矩形状の発光領域を点灯させる発光素子である。ここでは、バー表示部2が、x軸方向に配置された13個のLED2aにより構成され、y軸方向を長手方向とする発光領域が等間隔に配置されているものとする。また、各LED2aは、異なる2つの発光色のいずれかで点灯させることができるものとする。
文字表示部1は、表示パネル41の中央に配置され、バー表示部2は、文字表示部1の下に配置されている。
出力インジケータ3は、検出信号の出力状態を表示するためのLEDインジケータであり、ここでは、3つの出力インジケータ3a〜3cからなる。出力インジケータ3aは、測定値が許容範囲の上限値を上回っているか否かを示すインジケータである。出力インジケータ3bは、測定値が許容範囲内にあるか否かを示すインジケータである。出力インジケータ3cは、測定値が許容範囲の下限値を下回っているか否かを示すインジケータである。入力インジケータ5は、タイミング信号の信号レベルに応じて点灯するLEDインジケータであり、例えば、タイミング信号がオン状態である場合に点灯される。
インジケータ6a〜6dは、動作状態を表示するための複数のLEDインジケータであり、ピークホールドインジケータ6a、ボトムホールドインジケータ6b、ピークツーピークインジケータ6c及び演算モードインジケータ6dからなる。
インジケータ8aは、表示値が現在の測定値(Present Value)であることを示すためのLEDインジケータである。インジケータ8bは、プリセット時に点灯するLEDインジケータである。
セットキー4は、測定値の取り込みを指示したり、入力値を確定させるための操作キーであり、文字表示部1よりも左側に配置されている。方向キー7は、動作モードの切り替えや入力値を変更するための操作キーであり、文字表示部1よりも右側に配置されている。ここでは、方向キー7が上下左右の4つの操作キーからなり、各操作キーの操作に応じて異なる入力信号が生成されるものとする。モード切替キー9は、動作モードを切り替えるための操作キーであり、方向キー7の下に配置されている。ここでは、モード切替キー9の操作により、測定モードと、制御パラメータの入力モードとが切り替えられるものとする。
図5は、図1の測長センサー10の要部における構成例を示したブロック図であり、本体ユニット40内の機能構成の一例が示されている。この本体ユニット40は、変位量検出部61、主制御部62、操作入力部63、表示制御部64、基準値記憶部65、許容誤差指定部66、許容範囲決定部67、許容範囲記憶部68、比較部69、検出信号出力部70a〜70c及びゼロ点調整部71により構成される。
変位量検出部61は、ヘッドユニット20の1次コイル及び2次コイル53の各出力に基づいて、ホルダー25に対する可動部21の変位量を検出し、測定値を求める動作を行っている。ここでは、挿抜方向に関する可動部21の位置と、基準位置との差分が変位量として検出されるものとする。
ゼロ点調整部71は、基準位置を定めて、可動部21の変位量についてゼロ点調整する動作を行っている。具体的には、検査対象物Aが載置される作業面に可動部21を接触させた際のホルダー25に対する可動部21の位置に基づいて、基準位置が定められる。例えば、外部機器12から入力されるプリセット信号などの制御信号をトリガとして得られ、或いは、ユーザ操作をトリガとして得られた可動部21の位置が基準位置として定められる。作業面に可動部21を接触させた状態でゼロ点調整させることにより、温度変化や経年変化によって生じる誤差を測定値から除去することができ、検査対象物Aの厚みなどの形状を正確に測定することができる。
変位量検出部61により求められる測定値としては、検出された可動部21の変位量をそのまま測定値として出力させる場合の他、一定期間内に得られた変位量の検出結果から所定の演算処理によって算出される値を測定値として出力させる場合も含まれる。具体的には、一定期間内に得られた変位量の最大値を測定値として出力させる動作モード(ピークホールドモード)、一定期間内に得られた変位量の最小値を測定値として出力させる動作モード(ボトムホールドモード)、一定期間内に得られた変位量の最大値と最小値との差分を測定値として出力させる動作モード(ピークツーピークモード)などが選択可能となっている。
操作入力部63は、表示パネル41上の操作キー4及び7の操作に基づいて入力信号を生成する入力手段である。具体的には、セットキー4の操作に基づいて、測定値を取り込ませるための測定値取り込み要求が生成され、主制御部62へ出力される。主制御部62は、この測定値取り込み要求に基づいて基準値を基準値記憶部65内に書き込む基準値の取得手段となっている。基準値は、マスターワークを検査対象物Aとして用いて求められた測定値である。一方、方向キー7の操作に基づいて、入力値を変更するための入力信号が生成され、許容誤差指定部66へ出力される。ここでは、アップキーの操作(上操作)又はダウンキーの操作(下操作)によって入力値が変更されるものとする。
表示制御部64は、表示パネル41上の文字表示部1及びバー表示部2の点灯制御を行っている。すなわち、変位量検出部61により求められた測定値を文字表示部1及びバー表示部2に表示するとともに、測定値取り込み要求を生成させるためのユーザ操作(セットキー4の操作)に基づいて、動作モードを測定モードから許容誤差の入力モードに切り替える動作が行われる。ここで、測定モードとは、測定値の表示モードのことであり、許容誤差の入力モードとは、許容誤差及び方向キー7の操作による入力値の表示モードのことである。
基準値記憶部65は、基準値を記憶するメモリであり、ここでは、主制御部62によって書き込まれた基準値のうち、最新のもののみが保持される。
許容誤差指定部66は、ユーザ操作に基づいて許容誤差を指定する動作を行っている。具体的には、許容誤差の入力モードにおける方向キー7の操作に基づいて許容誤差の入力値が変更され、セットキー4の操作に基づいて入力値が確定される。
許容範囲決定部67は、基準値記憶部65内に書き込まれた基準値と、許容誤差指定部66により指定された許容誤差に基づいて、許容範囲の上限値及び下限値を算出する処理を行っている。
ここでは、許容誤差として1つの許容誤差(正の実数値)が指定され、基準値及び許容誤差の和から上限値が求められ、基準値及び許容誤差の差から下限値が求められるものとする。具体的には、基準値をV1とし、許容誤差をD1とすると、許容範囲の上限値V2は、V2=V1+D1により求められ、下限値V3は、V3=V1−D1により求められる。つまり、ここでは、D1×2(=V2−V3)がいわゆる公差ということになる。
許容範囲記憶部68は、許容範囲の上限値68a及び下限値68bを記憶するメモリであり、ここでは、許容範囲決定部67によって算出された上限値V2及び下限値V3のうち、最新のもののみが保持される。
比較部69は、変位量検出部61により求められた測定値と、許容範囲記憶部68の上限値68a及び下限値68bとを比較し、比較結果を出力する処理を行っている。検出信号出力部70a〜70cは、この比較結果に基づいて検出信号を生成し、外部機器12へ出力する動作を行っている。すなわち、第1検出信号出力部70aでは、測定値が上限値68aを越えていることを示す信号を第1検出信号(ここでは、Hi判定信号と呼ぶことにする)として出力する動作が行われる。Hi判定信号としては、例えば、測定値が上限値68aを上回っているか否かに応じて信号レベルの異なる信号が生成される。
第2検出信号出力部70bでは、測定値が許容範囲内にあることを示す信号を第2検出信号(ここでは、Go判定信号と呼ぶことにする。)として出力する動作が行われる。Go判定信号としては、例えば、測定値が許容範囲内にあるか否かに応じて信号レベルの異なる信号が生成される。第3検出信号出力部70cでは、測定値が下限値68bを越えていることを示す信号を第3検出信号(ここでは、Lo判定信号と呼ぶことにする)として出力する動作が行われる。Lo判定信号としては、例えば、測定値が下限値68bを下回っているか否かに応じて信号レベルの異なる信号が生成される。ここでは、各判定信号が、独立した信号線によって個別に外部機器12に伝送されるものとする。
各判定信号は、例えば、3つの独立したトランジスタによって個別に出力される。なお、各判定結果の出力としては、時分割で送出し、或いは、シリアル通信データとして送信しても良い。
図6及び図7は、図1の測長センサー10における動作の一例を示した遷移図であり、制御パラメータの入力モード選択時における表示切り替えの様子が示されている。制御パラメータ入力モードでは、入力ステップを識別するための識別情報、入力ステップ数、選択中の入力ステップの位置が表示される。具体的には、文字表示部1の下位4桁を用いて、選択中の入力ステップに対応付けられた設定項目名などが表示され、上位2桁を用いて、項目番号などが表示されている。
一方、バー表示部2には、入力ステップ数がバー表示され、さらに、選択中の入力ステップの位置が相対的に表示されている。ここでは、左端のLED2aを基点としてバー表示が行われるものとする。選択中の入力ステップの位置は、発光色を他のLEDとは異ならせてバー中に表示されている。例えば、選択中の入力ステップの位置を示すLED2aは、赤色で点灯され、他のLED2aは、緑色で点灯される。
入力ステップは、方向キー7の右操作又は左操作によって切り替えられる。具体的には、動作モードが測定モードから制御パラメータ入力モードに切り替えられると、最初の入力ステップは「ステップ1」となり、この「ステップ1」において方向キー7の右操作が行われると、次の入力ステップ「ステップ2」に切り替えられる。入力ステップ「ステップ2」において方向キー7を左操作すれば、1つ前の入力ステップ「ステップ1」に戻ることができる。各入力ステップでは、方向キー7の上操作又は下操作によって制御パラメータの入力が行われる。
図6には、動作設定メニューとして簡略設定メニューが選択されている場合のパラメータ設定ステップ110〜140と、制御パラメータの選択ステップ111〜119、121〜124、131〜135、141及び142が示されている。制御パラメータ入力モードでは、方向キー7の左右操作101により入力ステップが切り替えられる。この簡略設定メニューでは、4つのパラメータ設定ステップ110〜140がこの順序で互いに切り替え可能となっている。
パラメータ設定ステップ110は、演算モードを指定するための入力ステップであり、動作モードを測定モードから制御パラメータ入力モードに切り替えた際に最初に選択される入力ステップとなっている。このパラメータ設定ステップ110では、文字表示部1に項目番号「00」及び設定項目名「cALc」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「4」が点灯状態のLED2aによりバー表示(緑色)され、選択中のパラメータ設定ステップの位置(4ステップ中の1番目)が赤色で発光させたLED2aにより示されている。
演算モードとは、複数の測長センサー10を用いて検査対象物Aを測定する際、測長センサー10ごとの測定値について演算処理を行う動作モードであり、予め用意された各種演算モードの中から選択指定することができる。
具体的には、「oFF」モード、「MAX」モード、「Min」モード、「M−M」モード、「AvE」モード、「rEFEr」モード、「tWiSt」モード、「CUrvE」モード及び「thicK」モードの中から1つを選択指定することができる。
「oFF」モードは、演算処理を行わずに自機の測定値を出力する演算モードである。「MAX」モードは、各測長センサー10による測定値の中の最大値を出力する演算モードである。「Min」モードは、各測長センサー10による測定値の中の最小値を出力する演算モードである。「M−M」モードは、各測長センサー10による測定値について、最大値及び最小値の差分を算出する演算モードであり、検査対象物表面の平坦度が求められる。
「AvE」モードは、各測長センサー10による測定値について、その平均値を算出する演算モードである。「rEFEr」モードは、各測長センサー10による測定値について、所定の基準値との差分を算出させる演算モードである。「tWiSt」モードは、各測長センサー10による測定値について、差分を算出し、検査対象物表面のねじれ度を求める演算モードである。
「CUrvE」モードは、各測長センサー10による測定値について、所定の演算を行い、検査対象物表面の反りを求める演算モードである。「thicK」モードは、各測長センサー10による測定値について、所定の演算を行い、検査対象物の厚みを求める演算モードである。ここでは、この様な9つの演算モードのうちの1つを選択指定するための選択ステップ111〜119が設けられ、いずれか1つの選択ステップを選択することにより、当該選択ステップに割り当てられた演算モードが指定されるものとする。
選択ステップへは、ユーザによる入力ステップの切り替え操作がなければ、パラメータ設定ステップ110の設定項目名の表示状態から所定時間の経過により自動的に切り替えられる。各選択ステップ111〜119には、演算モード「oFF」、「MAX」、「Min」、「M−M」、「AvE」、「rEFEr」、「tWiSt」、「CUrvE」及び「thicK」がそれぞれ割り当てられており、方向キー7の上下操作102によってこの順序で互いに切り替えることができる。一方、各選択ステップ111〜119において、方向キー7を左右操作すれば、当該選択ステップに割り当てられた演算モードが選択指定され、元のパラメータ設定ステップ110に復帰させることができる。
パラメータ設定ステップ120は、検出モードを指定するための入力ステップであり、文字表示部1に項目番号「01」及び設定項目名「Func」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「4」がバー表示されているとともに、選択中のパラメータ設定ステップの位置(4ステップ中の2番目)が示されている。
検出モードとは、所定の検出タイミングで測定値を出力する動作モードであり、予め用意された各種検出モードの中から選択指定することができる。
具体的には、「Std」モード、「P−H」モード、「b−H」モード及び「P−P」モードの中から1つを選択指定することができる。「Std」モードは、現在の変位量を測定値として出力する検出モードである。「P−H」モードは、外部トリガ又はセルフトリガによって指定される測定期間中における変位量のピーク値(最大値)を測定値として出力する検出モードである。「b−H」モードは、外部トリガ又はセルフトリガによって指定される測定期間中における変位量のボトム値(最小値)を測定値として出力する検出モードである。「P−P」モードは、外部トリガ又はセルフトリガによって指定される測定期間中におけるピーク値(最大値)及びボトム値(最小値)の差分を測定値として出力する検出モードである。
ここでは、この様な4つの検出モードのうちの1つを選択指定するための選択ステップ121〜124が設けられ、いずれか1つの選択ステップを選択することにより、当該選択ステップに割り当てられた検出モードが指定されるものとする。
選択ステップへは、ユーザによる入力ステップの切り替え操作がなければ、パラメータ設定ステップ120の設定項目名の表示状態から所定時間の経過により自動的に切り替えられる。各選択ステップ121〜124には、検出モード「Std」、「P−H」、「b−H」及び「P−P」がそれぞれ割り当てられており、方向キー7の上下操作102によってこの順序で互いに切り替えることができる。一方、各選択ステップ121〜124において、方向キー7を左右操作すれば、当該選択ステップに割り当てられた検出モードが選択指定され、元のパラメータ設定ステップ120に復帰させることができる。
パラメータ設定ステップ130は、応答時間を指定するための入力ステップであり、文字表示部1に項目番号「02」及び設定項目名「SPEd」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「4」がバー表示されているとともに、選択中のパラメータ設定ステップの位置(4ステップ中の3番目)が示されている。
応答時間とは、測定値が所定の閾値を越えてから検出信号の信号レベルを変化させるまでの時間であり、予め定められた値の中から選択指定することができる。
具体的には、「2.5」、「5.0」、「10.0」、「100.0」及び「500.0」の中から1つを選択指定することができる。ここでは、この様な5つの値のうちの1つを選択指定するための選択ステップ131〜135が設けられ、いずれか1つの選択ステップを選択することにより、当該選択ステップに割り当てられた値が応答時間として指定されるものとする。
選択ステップへは、ユーザによる入力ステップの切り替え操作がなければ、パラメータ設定ステップ130の設定項目名の表示状態から所定時間の経過により自動的に切り替えられる。各選択ステップ131〜135には、「2.5」、「5.0」、「10.0」、「100.0」及び「500.0」がそれぞれ割り当てられており、方向キー7の上下操作102によってこの順序で互いに切り替えることができる。一方、各選択ステップ131〜135において、方向キー7を左右操作すれば、当該選択ステップに割り当てられた応答時間が選択指定され、元のパラメータ設定ステップ130に復帰させることができる。
パラメータ設定ステップ140は、ヒストリ機能のオンオフを指定するための入力ステップであり、文字表示部1に項目番号「03」及び設定項目名「HiSt」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「4」がバー表示されているとともに、選択中のパラメータ設定ステップの位置(4ステップ中の4番目)が示されている。
ヒストリ機能とは、測定モードにおいてホールド値を表示させるか否かを指定する機能であり、オフ又はオンのいずれかを選択指定することができる。選択ステップへは、ユーザによる入力ステップの切り替え操作がなければ、パラメータ設定ステップ140の設定項目名の表示状態から所定時間の経過により自動的に切り替えられる。ここでは、オフを選択指定するための選択ステップ141と、オンを選択指定するための選択ステップ142が設けられるものとし、方向キー7の上下操作102によって互いに切り替えることができる。一方、各選択ステップ141及び142において、方向キー7を左右操作すれば、当該選択ステップに割り当てられた動作モードが選択指定され、元のパラメータ設定ステップ140に復帰させることができる。
このパラメータ設定ステップ140において、方向キー7を右操作すれば、入力ステップをメニュー切り替えステップに切り替えることができる。さらに、メニュー切り替えステップにおいて、方向キー7を上下操作すれば、動作設定メニューをこの簡略設定メニューからフル設定メニューに切り替えることができる。ここでは、各測長センサー10のうちの親機についてのみ、動作モードを制御パラメータ入力モードに切り替えることができるものとする。また、パラメータ設定ステップから選択ステップへの自動遷移では、既に設定されている制御パラメータの選択ステップが最初に表示され、設定値が点滅表示されるものとする。
図7には、動作設定メニューとしてフル設定メニューが選択されている場合のパラメータ設定ステップ150〜180と、制御パラメータの選択ステップが示されている。このフル設定メニューでは、簡略設定メニューにおける4つのパラメータ設定ステップ110〜140に加えて、1又は2以上のパラメータ設定ステップが互いに切り替え可能となっている。
パラメータ設定ステップ150は、タイミングトリガを指定するための入力ステップであり、入力ステップをメニュー切り替えステップから切り替えた際に最初に選択される入力ステップとなっている。このパラメータ設定ステップ150では、文字表示部1に項目番号「04」及び設定項目名「tiMG」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「5」がバー表示され、選択中のパラメータ設定ステップの位置(5ステップ中の5番目)が示されている。
タイミングトリガとは、測定期間を示すためのトリガ信号であり、予め用意された動作モードの中から選択指定することができる。
具体的には、「oFF」モード、「t−in」モード、「SELF−Γ」モード及び「SELF−L」モードの中から1つを選択指定することができる。「t−in」モードは、外部入力(外部トリガ)によって測定期間を指定する動作モードである。「SELF−Γ」モードは、セルフトリガによって測定期間を指定する動作モードである。ここでは、検出モードとして「Std」モードが選択されている場合、測定値の立ち上がり時に、測定値がトリガレベルを上回ったときから所定のディレイ時間が経過した時点の測定値が出力される。検出モードとして「Std」モード以外のモードが選択されている場合には、測定値がトリガレベルを上回っている間を測定期間とし、この期間中のピーク値やボトム値が出力される。
「SELF−L」モードは、セルフトリガによって測定期間を指定する動作モードである。ここでは、検出モードとして「Std」モードが選択されている場合、測定値の立ち下がり時に、測定値がトリガレベルを下回ったときから所定のディレイ時間が経過した時点の測定値が出力される。検出モードとして「Std」モード以外のモードが選択されている場合には、測定値がトリガレベルを下回っている間を測定期間とし、この期間中のピーク値やボトム値が出力される。
ここでは、この様な4つの動作モードのうちの1つを選択指定するための選択ステップ151〜154が設けられ、いずれか1つの選択ステップを選択することにより、当該選択ステップに割り当てられた動作モードが指定されるものとする。
選択ステップへは、ユーザによる入力ステップの切り替え操作がなければ、パラメータ設定ステップ150の設定項目名の表示状態から所定時間の経過により自動的に切り替えられる。各選択ステップ151〜154には、動作モード「oFF」、「t−in」、「SELF−Γ」及び「SELF−L」がそれぞれ割り当てられており、方向キー7の上下操作102によってこの順序で互いに切り替えることができる。一方、各選択ステップ151〜154において、方向キー7を左右操作すれば、当該選択ステップに割り当てられた動作モードが選択指定され、元のパラメータ設定ステップ150に復帰させることができる。
このパラメータ設定ステップ150において、動作モード「t−in」が選択指定されている場合、他に設定すべき制御パラメータはなく、方向キー7が右操作されれば、動作モードが制御パラメータ入力モードから測定モードに切り替えられる。これに対し、動作モード「SELF−Γ」又は「SELF−L」が選択指定された場合には、さらに設定すべき制御パラメータが生じる。
パラメータ設定ステップ160は、トリガレベルを指定するための入力ステップであり、動作モード「SELF−Γ」又は「SELF−L」の選択時にパラメータ設定ステップ150から遷移可能となる。このパラメータ設定ステップ160では、文字表示部1に項目番号「05」及び設定項目名「tLEv」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「8」がバー表示され、選択中のパラメータ設定ステップの位置(8ステップ中の6番目)が示されている。
ここでは、選択ステップ161における方向キー7の上下操作102によって所望値がトリガレベルとして入力されるものとする。選択ステップ161へは、ユーザによる入力ステップの切り替え操作がなければ、パラメータ設定ステップ160の設定項目名の表示状態から所定時間の経過により自動的に切り替えられる。選択ステップ161において、方向キー7を左右操作すれば、元のパラメータ設定ステップ160に復帰させることができる。
パラメータ設定ステップ170は、ディレイ時間として所望の値を入力させる入力ステップであり、動作モード「t−in」、「SELF−Γ」又は「SELF−L」の選択時にパラメータ設定ステップ160から遷移可能となる。このパラメータ設定ステップ170では、文字表示部1に項目番号「06」及び設定項目名「tdLY」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「8」がバー表示されているとともに、選択中のパラメータ設定ステップの位置(8ステップ中の7番目)が示されている。
ここでは、選択ステップ171における方向キー7の上下操作102によって所望の値がディレイ時間として入力されるものとする。選択ステップ171において、方向キー7を左右操作すれば、元のパラメータ設定ステップ170に復帰させることができる。
パラメータ設定ステップ180は、ディレイ期間を規定する変動幅の閾値を指定するための入力ステップであり、動作モード「t−in」、「SELF−Γ」又は「SELF−L」の選択時にパラメータ設定ステップ170から遷移可能となる。このパラメータ設定ステップ180では、文字表示部1に項目番号「07」及び設定項目名「tStb」が表示されている。また、バー表示部2には、パラメータ設定ステップの数「8」がバー表示されているとともに、選択中のパラメータ設定ステップの位置(8ステップ中の8番目)が示されている。
ここでは、変動幅の指定に関する動作モードとして、「oFF」モード及び「on」モードのいずれかを選択することができるものとする。
このパラメータ設定ステップ180において、方向キー7が右操作されれば、動作モードが測定モードに切り替えられる。
図8は、図1の測長センサー10における動作の一例を示した遷移図であり、測定モード選択時における表示切り替えの様子が示されている。この例では、演算モード「oFF」及び検出モード「Std」が選択されている場合の切り替え可能な3つの選択ステップ210〜230が示されている。各選択ステップ210〜230は、方向キー7の左右操作201によってこの順序で互いに切り替えることができる。
選択ステップ210は、測定値を表示させる表示モード211を選択指定するためのステップである。この選択ステップ210では、文字表示部1に項目名「P.v.」が表示され、バー表示部2には、選択ステップ数「3」がバー表示されているとともに、選択中のステップの位置(3ステップ中の1番目)が示されている。
ここでは、ユーザによる選択ステップの切り替え操作(ここでは、方向キー7の左右操作201)がなければ、選択ステップ210の項目名の表示状態から測定値の表示モード211に自動的に切り替えられるものとする。表示モード211では、現在の測定値(例えば、「16.500」)が文字表示されるとともに、バー表示される。
選択ステップ220は、許容範囲の上限値を入力させる入力モード221を選択指定するためのステップである。この選択ステップ220では、文字表示部1に項目名「Hi」が表示され、バー表示部2には、選択ステップ数「3」がバー表示されているとともに、選択中のステップの位置(3ステップ中の2番目)が示されている。
ここでは、ユーザによる選択ステップの切り替え操作がなければ、選択ステップ220の項目名の表示状態から入力モード221に自動的に切り替えられるものとする。入力モード221では、登録済みの上限値(例えば、「18.000」)が文字表示されるとともに、許容範囲の上限を示すインジケータが点滅表示される。この入力モード221において、方向キー7を上下操作すれば、上限値を変更することができる。
選択ステップ230は、許容範囲の下限値を入力させる入力モード231を選択指定するためのステップである。この選択ステップ230では、文字表示部1に項目名「Lo」が表示され、バー表示部2には、選択ステップ数「3」がバー表示されているとともに、選択中のステップの位置(3ステップ中の3番目)が示されている。
ここでは、ユーザによる選択ステップの切り替え操作がなければ、選択ステップ230の項目名の表示状態から入力モード231に自動的に切り替えられるものとする。入力モード231では、登録済みの下限値(例えば、「5.000」)が文字表示されるとともに、許容範囲の下限を示すインジケータが点滅表示される。この入力モード231において、方向キー7を上下操作すれば、下限値を変更することができる。つまり、入力モード221及び231は、いずれも許容範囲の上限値又は下限値をユーザに直接に入力させる直接入力モードとなっている。
図9は、図1の測長センサー10における動作の一例を示した遷移図であり、測定モードにおけるセットキー4の操作時の表示切り替えの様子が示されている。測定モードの表示モード211において、セットキー4を押下操作202すると、現在の測定値が基準値としてメモリ内に取り込まれるとともに、動作モードが測定値の表示モードから許容誤差の入力モード212及び213となる。
この入力モード212及び213では、セットキー4の操作を促すための表示状態212と、登録済みの許容誤差の表示状態213とが一定時間ごとに交互に表示される。表示状態212では、「SEt」が文字表示され、表示状態213では、現在登録されている許容誤差「0.100」が表示されている。入力モード212及び213において、方向キー7を上操作又は下操作すれば、許容誤差の入力値を変更することができる。
入力モード212及び213においてセットキー4を押下操作202すると、許容誤差の入力値が確定され、この入力値に基づいて許容範囲の上限値及び下限値が算出されるとともに、文字表示「SEt」の点滅状態214を経て測定値の表示モード211に復帰する。つまり、セットキー4の押下操作202によって測定値の表示モード211から遷移する入力モード212及び213は、許容範囲の上限値及び下限値を基準値と許容誤差の入力値とから算出させる間接入力モードとなっている。
基準値をメモリ内に取り込むためのセットキー4の押下操作202によって、動作モードが表示モード211から許容誤差の入力モード212及び213に切り替えられるので、許容範囲の上限値及び下限値を指定する際の作業工数を減少させることができる。
図10は、基準値を得るためにマスターワークA2を検査対象物として用いた測定の様子を示した斜視図である。マスターワークA2は、基準値を得るために用いられる検査対象物の見本(サンプル)であり、ここでは、水平な作業面を有する作業台A1の上に載置されている。
この例では、マスターワークA2上に貼付されているラベル、ステッカー、タグなどのシート状部材A2aの有無を測定対象としている。例えば、シート状部材A2aが適切に貼付されている検査対象物は、OKワーク(正常ワーク)とし、シート状部材A2aが貼付されていないか、或いは、2枚以上重複して貼付されている検査対象物は、NGワーク(不良ワーク)として検出したいケースが考えられる。
この様な場合、マスターワークA2のシート状部材A2aに可動部21を接触させて得られた測定値を基準値として取り込ませるとともに、シート状部材A2aの厚みの1/2を許容誤差として入力指定することにより、許容範囲の上限値及び下限値を適切に定めることができる。
具体的には、マスターワークA2を用いて得られた測定値が0.49mmであり、シート状部材A2aの厚みが0.04mmであれば、許容誤差として0.02mmを入力することにより、上限値が0.49+0.02=0.51mm、下限値が0.49−0.02=0.47mmと定められる。
この様に許容範囲を定めれば、Go判定信号に基づいて、検査対象物がOKワークであるか否かを検知することができる。また、Hi判定信号に基づいて、シート状部材A2aが2枚以上重複して貼付されている検査対象物を検知することができる。また、Lo判定信号に基づいて、シート状部材A2aが貼付されていない検査対象物を検知することができる。
図11のステップS101〜S108は、図1の測長センサー10における動作の一例を示したフローチャートである。まず、操作入力部63は、測定値の表示モード211において、セットキー4が操作されると、測定値取り込み要求を生成し、現在の測定値が基準値として取得される(ステップS101,S102)。このとき、表示制御部64は、上記キー操作に基づいて動作モードを測定値の表示モード211から許容誤差の入力モード212及び213に切り替え、現在登録されている許容誤差の設定値を表示する(ステップS103)。
次に、許容誤差指定部66は、方向キー7におけるアップキー又はダウンキーが操作されれば、入力値を変更して許容誤差の設定値を調整する(ステップS104,S105)。そして、再度、セットキー4が操作されれば、許容誤差の入力値が確定され、この入力値に基づいて許容範囲の上限値及び下限値が算出される(ステップS106,S107)。この様にして許容範囲が決定されると、動作モードが切り替えられ、測定値の表示モード211に復帰する(ステップS108)。
本実施の形態によれば、マスターワークA2を測定して得られた基準値及び許容誤差に基づいて許容範囲が決定されるので、許容範囲の上限値及び下限値を指定する際の作業工数を減少させることができる。一般に、工業製品では、基準値に対する許容誤差がプラス側とマイナス側とで同一である場合が少なくない。従って、1つの許容誤差を指定するだけで、許容範囲の上限値及び下限値を適切に定めることができる。
一般に、マスターワークが変更になっても、基準値に対する許容誤差は変わらない場合が少なくない。本実施の形態によれば、この様なケースでは、許容誤差を入力する必要がない。また、複数のマスターワークについて許容誤差を記憶させれば、マスターワークの変更ごとに許容誤差を入力する必要がなく、操作性を向上させることができる。その際、マスターワークごとに許容範囲の上限値及び下限値を個別に記憶させる従来の装置と比較して、記憶容量の増大が抑制され、バンク数が少なくて済む。
なお、本実施の形態では、セットキー4を操作すると、測定値の取り込み要求が生成される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、ユーザ操作に基づいて測定値の変動幅を検出する検出手段を備え、変動幅が所定の範囲内となると、測定値の取り込み要求が生成される。この様にして生成された取り込み要求に基づいて測定値を基準値としてメモリ内に取り込むようにしても良い。この様にすれば、測定値のバラツキを抑制することができるので、検出精度を向上させることができる。
また、ユーザ操作に基づく基準値の取り込みとは別に、検出された測定値の変動幅が所定の範囲内となった時点で表示更新要求が生成され、この表示更新要求をトリガとして、測定値の表示を更新するようにしても良い。
また、許容誤差に代えて、公差を入力させて許容範囲を決定するようにしても良い。具体的には、基準値をV1とし、公差をD2とすると、許容範囲の上限値V2は、V2=V1+D2/2により求められ、下限値V3は、V3=V1−D2/2により求められる。
また、本実施の形態では、セットキー4の操作に基づいて測定値が基準値として取り込まれて動作モードが測定モードから許容誤差の入力モードに切り替えられ、或いは、許容誤差の入力モードから測定モードに切り替えられる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、外部機器から入力される制御信号、或いは、通信データとして受信される通信コマンドに基づいて測定値の取り込みや動作モードの切り替えを行うようにしても良い。
また、本実施の形態では、方向キー7の操作によって許容誤差が入力される場合の例について説明したが、外部機器から通信データとして入力される通信コマンドにより許容誤差を指定させても良い。
また、本実施の形態では、許容誤差が入力される場合の例について説明したが、測定レンジに対する許容誤差の割合を入力させても良い。例えば、測長センサーの測定レンジ(測定可能な範囲)が10mmであり、この測定レンジに対する許容誤差の割合が10%であれば、10を入力することにより、許容誤差1.0mmを算出して許容範囲を決定するようなものであっても良い。
実施の形態2.
実施の形態1では、測定モードにおけるセットキー4の操作に基づいて基準値が取り込まれ、許容誤差の入力モードに切り替えられる場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、測定モードとは異なる動作モードにおいて許容誤差を予め登録してから基準値を取得する場合について説明する。
図12のステップS201〜S209は、本発明の実施の形態2による接触式変位検出装置における動作の一例を示したフローチャートである。まず、モード切替キー9の操作によって動作モードが測定モードから許容誤差の入力モードに切り替えられると、現在登録されている許容誤差の設定値が文字表示される(ステップS201,S205)。
このとき、方向キー7におけるアップキー又はダウンキーが操作されれば、入力値を変更して許容誤差の設定値が調整される(ステップS206,S207)。そして、再度、モード切替キー9が操作されれば、許容誤差の入力値が確定され、設定値として記憶されるとともに、測定モードに復帰する(ステップS208,S209)。
次に、セットキー4が操作されれば、現在の測定値が基準値として取り込まれ、この基準値と許容誤差の設定値とから許容範囲の上限値及び下限値が算出される(ステップS202〜S204)。
この様な構成によっても、マスターワークA2を測定して得られた基準値及び許容誤差に基づいて許容範囲が決定されるので、許容範囲の上限値及び下限値を指定する際の作業工数を減少させることができる。
実施の形態3.
実施の形態1では、測定モードにおけるセットキー4の操作に基づいて基準値が取り込まれ、許容誤差の入力モードに切り替えられる場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、許容誤差の入力モードにおけるセットキー4の操作に基づいて基準値を取得する場合について説明する。
図13のステップS301〜S307は、本発明の実施の形態3による接触式変位検出装置における動作の一例を示したフローチャートである。まず、セットキー4の操作に基づいて動作モードが測定モードから許容誤差の入力モードに切り替えられると、現在登録されている許容誤差の設定値が文字表示される(ステップS301,S302)。
このとき、方向キー7におけるアップキー又はダウンキーが操作されれば、入力値を変更して許容誤差の設定値が調整される(ステップS303,S304)。そして、再度、セットキー4が操作されれば、許容誤差の入力値が確定され、設定値として記憶されるとともに、測定モードに復帰する(ステップS305)。
このとき、現在の測定値が基準値として取り込まれ、この基準値と許容誤差の設定値とから許容範囲の上限値及び下限値が算出される(ステップS306,S307)。
この様な構成によっても、マスターワークA2を測定して得られた基準値及び許容誤差に基づいて許容範囲が決定されるので、許容範囲の上限値及び下限値を指定する際の作業工数を減少させることができる。
なお、実施の形態1及び2では、表示パネル41上の文字表示部1に測定値や許容誤差の設定値が文字表示される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、7セグメントLEDからなるインジケータを2以上有する測長センサーでは、各インジケータに測定値、許容誤差の設定値、許容範囲の上限値及び下限値を表示させても良い。
図14は、本発明の他の実施形態による接触式変位検出装置における動作の一例を示した図であり、測定モードにおけるセットキー4の操作時の表示切り替えの様子が示されている。この例では、2つの文字表示部301及び302が表示パネル41内に配置され、測定値の表示モード300では、上段の文字表示部301に現在の測定値が表示され、下段の文字表示部302に現在登録されている許容誤差の設定値が表示される。
この表示モード300において、方向キー7を上操作又は下操作すれば、許容誤差の入力値を変更することができる。また、表示モード300においてセットキー4を押下操作310すれば、現在の測定値(この例では、「16.500」)が基準値として取り込まれ、表示モード320に遷移する。この表示モード320では、取り込んだ基準値に基づいて算出された上限値「17.500」が文字表示部301に文字表示され、下限値「15.500」が文字表示部302に文字表示される。
図15は、本発明の他の実施形態による接触式変位検出装置における動作の一例を示した図であり、許容範囲の表示モード400におけるセットキー4の操作時の表示切り替えの様子が示されている。許容範囲の表示モード400では、上段の文字表示部301に現在登録されている上限値の設定値が表示され、下段の文字表示部302には、現在登録されている下限値の設定値が表示される。
この表示モード400において、セットキー4を押下操作410すれば、現在の測定値が取り込まれ、表示モード420に遷移する。この表示モード420では、文字表示部301に取り込んだ基準値が表示され、文字表示部302には、現在登録されている許容誤差の設定値が表示される。
このとき、方向キー7を上操作又は下操作すれば、許容誤差の入力値を変更することができる。また、表示モード420においてセットキー4を再度押下操作410すれば、基準値と許容誤差の設定値とから許容範囲の上限値及び下限値が算出され、許容範囲の表示モード430に遷移する。