JP2007254257A - ジルコニアゾルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 触媒、ブレーキ、吸着剤、研磨剤、バインダー、コーティング、塗料、光学材料、セラミックスなどに利用可能な平均粒子径が50〜500nmで単分散なジルコニアゾルの高精度、高効率な製造方法を提供する。
【解決手段】
水酸化ジルコニウム、酸及び水からなるスラリーを加熱することによりジルコニアゾルを製造する方法において、ジルコニア粒子の共存下で行うことを特徴とし、好ましくは、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比を0.01以上とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジルコニアゾルの製造方法に関する。
ジルコニア粉体はジルコニア粒子同士の凝集を制御することが難しいため、平均粒子径が大きく多分散なものしか得られない。ジルコニア粉体と比較して、ジルコニアゾルは平均粒子径が小さく単分散という特徴を持つため触媒、ブレーキ、吸着剤、研磨剤、バインダー、コーティング、塗料、光学材料、セラミックスなどの分野で好適に利用される。
ジルコニアゾルの平均粒子径はジルコニアゾルを大きく特徴づけるものである。焼結体の原料とする場合、一般にはジルコニアゾルの平均粒子径が小さいほど焼結はしやすくなるが、ジルコニアゾルが他の材料と混合されて用いられる場合、ジルコニアゾルの焼結反応活性を他の材料の焼結反応活性に応じて変える必要がある。他材料と混合された場合、ジルコニアゾルのみが焼結することは得られる焼結体の強度低下をまねく恐れがある。
ジルコニアゾルの反応活性を変える手段としてジルコニアゾルの平均粒子径の制御が有効である。ジルコニアゾルの平均粒子径が大きくなれば焼結しにくいものとなる。また、その他の分野、用途においてもジルコニアゾルの平均粒子径を制御することによってジルコニアゾルを原料とする材料の特性を変えることが可能である。
従来ジルコニアゾルは平均粒子径として数nm〜500nm程度までのものが得られることが公知であるが、任意の平均粒子径を持つ単分散なジルコニアゾルの工業的に利用可能な製造方法が十分に開示されているとはいえない。
ところで、ジルコニアゾルの製造方法として以下の開示がある。
特許文献1には、水酸化ジルコニウムと酸とを含むスラリー状の混合物の酸濃度を制御して加熱処理することを特徴とする平均粒径0.05〜0.3μmの水和ジルコニアゾルの製造方法が記載されている。
この方法によればさまざまな平均粒子径のジルコニアゾルを得ることが可能だが、このジルコニアゾルの単分散性は十分とはいえない。
さらに、所望の平均粒子径によって酸濃度を変える必要があるため生成するジルコニアゾルの酸濃度が一定しないことも問題である。
また、ジルコニアゾルの生成に非常に長時間を要する点で非効率である。
特許文献2には、ジルコニウム塩の水溶液の加水分解により水和ジルコニアゾルを製造する方法において、ジルコニア換算濃度が0.4mol/L以上であり、かつ、加水分解反応終了時の反応液のpHが0.4以上1以下の範囲となるよう調整されたジルコニウム塩水溶液を80℃以上煮沸温度以下で加水分解処理することを特徴とする水和ジルコニアゾルの製造方法によって、平均粒径が0.11〜0.27μmのゾルが得られた実施例が記載されている。
なお、上記特許文献2では加水分解に先立ちジルコニウム塩水溶液の調整のために、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリの添加、または、陰イオン交換樹脂によるジルコニウム塩の陰イオンの一部の水酸イオンへの置換が必要であることが述べられている。
このアルカリの添加は生成するゾルの不純物が多くなるため好ましくなく、陰イオン交換樹脂による置換は工程が煩雑になり、かつ、専用の設備が必要となる面で不利である。
特許文献3には、10〜400m/gの比表面積と20〜500nmの粒子径を有し、そして4ないし15重量%の脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアを、400〜1000℃の温度で0.05〜50時間焼成することにより、0.1〜2重量%の脱水性の水分を保有する焼成ジルコニアを形成させる工程、及び上記焼成ジルコニアをこの焼成ジルコニアのZrO1モル当たり0.01〜100ミリ当量の水溶性酸を含有する水媒体中、上記焼成ジルコニアのZrO濃度を5〜80重量%に保って、上記焼成前コロイド状ジルコニアの粒子径の1〜3倍の粒子径を有するコロイド状ジルコニアの水性ゾルが形成されるまで粉砕を続ける工程からなる、コロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルの製造方法が記載されている。
この方法は工程が煩雑であり非効率である。また、粉砕によって得られる粒子は多分散となる傾向が強く好ましくない。
特許文献4には、ジルコニウム塩水溶液を加水分解して得られる約1000Å以上の単斜晶ジルコニア系凝集粒子にジルコニウム塩を加えた混合縣濁液水溶液のpHを1以下の強酸性とし、凝集粒子を浮遊状態に保ちながら90〜250℃の温度で加水分解を行い、縣濁粒子を種結晶としてこれを3000Å以上に成長させることを特徴とするジルコニア系凝集粒子の製造方法が記載されている。
この方法ではジルコニウム塩を加水分解するため生成するゾルに酸などの不純物が多く含まれるという問題がある。また、ゾルの平均粒子径100〜300nmの範囲において特定の平均粒子径を狙うにはこの方法の精度は低い。
特許第3284413号 特許第3208768号 特開平8−59242 特公平4−72772
発明が解決しようとする課題
本発明は上記の問題を鑑みて成されたものであって、その目的は触媒、ブレーキ、吸着剤、研磨剤、バインダー、コーティング、塗料、光学材料、セラミックスなどに利用可能な平均粒子径が50〜500nmで単分散なゾルの高精度、高効率な製造方法を提供するものである。
課題を解決するための手段
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水酸化ジルコニウム、酸及び水からなるスラリーを加熱することによりジルコニアゾルを製造する方法において、ジルコニア粒子の共存下で行うこと、すなわち、ジルコニア粒子を種結晶として用いることにより、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は下記のジルコニアゾルの製造方法に係る。
(1)水酸化ジルコニウム、酸及び水からなるスラリーを加熱することによりジルコニアゾルを製造する方法において、ジルコニア粒子の共存下で行うことを特徴とするジルコニアゾルの製造方法。
(2)(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.01以上であることを特徴とする前記(1)記載のジルコニアゾルの製造方法。
(3)ジルコニア粒子の平均粒子径が30〜300nmであることを特徴とする前記(1)または前記(2)記載のジルコニアゾルの製造方法。
(4)ジルコニア粒子がジルコニアゾルであることを特徴とする前記(1)〜前記(3)いずれかに記載のジルコニアゾルの製造方法。
(5)スラリー中に含まれる酸濃度が0.1〜1.5N(規定)、好ましくは0.3〜1.0Nであることを特徴とする前記(1)1〜前記(4)いずれかに記載のジルコニアゾルの製造方法。
(6)酸が硝酸であることを特徴とする前記(1)〜前記(5)いずれかに記載のジルコニアゾルの製造方法。
発明の効果
本発明の製造方法によれば、平均粒子径50〜500nmの範囲において単分散なジルコニアゾルを得ることが可能であり、それは触媒、ブレーキ、吸着剤、研磨剤、バインダー、コーティング、塗料、光学材料、セラミックスなどの分野で好適に利用できる。
また、本発明の製造方法によって作製されたジルコニアゾルは不純物イオンが少ないことやジルコニウム濃度が高いことも特徴であり、用途によっては不純物を取り除くことなくそのままの状態で適用できるといった高効率、低環境負荷であるという優位性もある。
以下に本発明のジルコニアゾルの製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明において平均粒子径とは動的光散乱法で測定した粒子径分布の累積頻度が50体積%となる粒子径を言う。
また、本発明でいう水酸化ジルコニウム、ジルコニアとは一般的なものであり、ハフニアを含めた10重量%以下の不純物金属化合物を含むものである。
ジルコニアゾルの製造方法
本発明は、水酸化ジルコニウム、酸及び水からなるスラリーを加熱することによりジルコニアゾルを製造する方法において、ジルコニア粒子の共存下で行うことを特徴とする。具体的には、特に限定されるものではないが、以下の手順で行うことが好ましい。
まず、種結晶であるジルコニア粒子(以下、単にジルコニア粒子という)と水酸化ジルコニウムと酸および水からなるスラリーを調製する。
すなわち、反応容器に必要量の水を入れ、それを適度に攪拌しながら、次に所定量の水酸化ジルコニウムを投入した後、酸、ジルコニア粒子の順で添加することで上記スラリーを調製する。水酸化ジルコニウム、酸、水、ジルコニア粒子の投入順序は特に限定されないが、作業性を考慮すると上記が好ましい。
使用するジルコニア粒子はジルコニア、酸化ジルコニウムの水和物、含水物であってもよく、分散媒に分散したスラリーやジルコニアゾルの状態であってもよい。
ジルコニア粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、30〜300nmが好ましい。また、単分散である必要があるためジルコニアゾルを使用することが好ましい。使用するジルコニアゾルは一般的な方法によって作製したもの、あるいは本発明の方法によって作製したものでよい。例えば、ジルコニウム塩の水溶液の加水分解によってジルコニアゾルを作製することができる。
上記ジルコニア粒子の平均粒子径が300nmを超える場合は、生成するジルコニアゾルの平均粒子径の制御が困難になり、目的とする単分散なジルコニアゾルが得られないため好ましくない。上記ジルコニア粒子の平均粒子径が30nm未満の場合は生成するジルコニアゾルの特性においてジルコニア粒子を添加しない場合と較べ差がなくなるため使用する意味がない。生成するジルコニアゾルの平均粒子径への上記ジルコニア粒子の平均粒子径の影響については後述する。
使用する水酸化ジルコニウムは一般的なものでよく、例えばジルコニウム塩類の溶液をアルカリ、例えば、水酸化ナトリウム溶液、アンモニア等で中和して得られる沈殿を適度に水洗し不純物を除去した水酸化ジルコニウムを用いることができる。
ジルコニウム塩類としては、特に限定されず、塩基性硫酸塩、オキシ塩化物、硝酸塩、酢酸塩、その他有機酸塩等が例示され、オキシ塩化物が安価で純度が高いという点で好ましい。
上記水酸化ジルコニウムのジルコニウム濃度はいくらであってもよいが、高効率でジルコニアゾルの合成を行うためにはより高いジルコニウム濃度であるほうがよく、そのジルコニウム濃度はZrO換算で15重量%以上であることが好ましい。
使用する酸の種類は特に限定されず、ジルコニアゾルの生成速度の面から強酸が好ましく、生成するジルコニアゾルの不純物が少なくなる点で硝酸を用いることがより好ましい。
上記ジルコニア粒子として上記スラリーに加えられるスラリーやジルコニアゾルの酸の含有量にかかわらず、最終的にジルコニア粒子と水酸化ジルコニウムと酸および水からなるスラリーの酸濃度が0.1〜1.5N(規定)、好ましくは0.3〜1.0Nとなるように酸を添加する。
ここで酸の役割のひとつは、水酸化ジルコニウムの結晶化即ちジルコニアの生成を促進することである。水酸化ジルコニウムと水からなるスラリーを加熱保持する場合よりも、水酸化ジルコニウムと酸および水からなるスラリーを同温度で加熱保持するほうが水酸化ジルコニウムの結晶化はより速く進行する。
上記スラリーの酸濃度0.1〜1.5Nというのは、水酸化ジルコニウムが効率よく結晶化する量であり、この範囲を外れた場合、結晶化反応の速度が低下しジルコニアゾルの製造効率が著しく低下するため好ましくない。
酸濃度が1.5Nを超える、過剰な酸を用いることは水酸化ジルコニウムの結晶化効率が悪いだけでなく、コスト、環境負荷、不純物を増大させるため好ましくない。
さらに、もうひとつの酸の役割は、生成したジルコニア粒子の表面に吸着し、粒子同士が凝集せず分散を保つために必要な表面電位を与えるプロトンを供給することである。上記スラリーの酸濃度0.1〜1.5Nであれば、ジルコニア粒子表面にそれらが凝集せず分散を維持するために十分な表面電位を与えることができる。
なお、1.5N(規定)の酸とは、硝酸、塩酸等のプロトンを1個放出する酸の場合は1.5mol/Lと同義であり、硫酸等の2個のプロトンを放出する酸では0.75mol/Lと同義である。
使用する水の量は上記スラリーが目的のジルコニウム濃度となるように加減することができる。上記スラリーのジルコニウム濃度はジルコニアゾルの製造効率の点でみると高いほどよいが、ジルコニウム濃度が高すぎる場合、増粘やゲル化の危険性があるためZrO換算で10〜30重量%となるように調製することが望ましい。
上記スラリーの水酸化ジルコニウムとジルコニア粒子の量比は、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.01以上、好ましくは0.01〜1.8、より好ましくは0.1〜1.0となるように調整し、この比の制御によって目的の平均粒子径のジルコニアゾルを得ることができる。なお、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.01未満では、ジルコニア粒子の添加効果が見られない。詳細は後述する。
次に、上記スラリーを80℃以上の保持温度で保持する。
保持温度が100℃以下ではオートクレーブのような特別な設備を使用せずジルコニアゾルを製造できる点で有利だが、保持温度が100℃より高くても特に問題とならない。80℃未満ではジルコニアゾルの生成速度が著しく低下するため好ましくない。
保持時間は特に限定されず、ジルコニアゾルが生成すれば保持を終了すればよく、保持温度100℃において12〜48時間の保持が適当な条件として挙げられる。
上記スラリーの加熱保持にて作製したジルコニアゾルは必要に応じて透析、逆浸透、限外ろ過などで該ゾル中に含まれる酸、イオンなどを該ゾルの安定性を損なわない程度まで除去できる。
生成したジルコニアゾルの分散媒は水であるが、この分散媒の一部乃至全部を有機溶媒とすることもでき、この有機溶媒に可溶な成分がジルコニアゾルの安定性を損なわない程度にふくまれていても構わない。上記有機溶媒としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、エーテル等が例示される。
平均粒子径の制御
上記(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比および種結晶として添加するジルコニア粒子の平均粒子径によって生成するジルコニアゾルの平均粒子径を制御できる。
後述の実施例に示すように、ジルコニア粒子としてジルコニアゾルを使用し、種々の条件で本発明の方法によってジルコニアゾルを作製した。なお、ジルコニアゾルの作製に用いたスラリーの酸濃度は、全て0.7N(0.7mol/L硝酸)であった。
この結果及び下記で記載する理論平均粒子径の計算結果を、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比と生成したジルコニアゾルの平均粒子径及びその理論値との関係として表すと図1の通りとなる。
図1から明らかなように、上記スラリーの調製時に添加する種結晶としてのジルコニア粒子の平均粒子径が大きいほど、生成したジルコニアゾルの平均粒子径は大きく、また、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比によって、生成するジルコニアゾルの平均粒子径が変化することが判る。
本発明の方法において、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウムの)のモル比によって生成するジルコニアゾルの平均粒子径が変化する理由を理論平均粒子径の計算結果に基づき説明する。
先ず、生成するジルコニアゾルの平均粒子径は、下記の▲1▼〜▲3▼のジルコニアの存在比と平均粒子径の影響を受けると考えられる。
▲1▼水酸化ジルコニウムからジルコニアの核が生成しそれが成長したジルコニア
▲2▼初期添加されるジルコニア粒子が成長したジルコニア
▲3▼初期添加されるジルコニア粒子同士が合体したジルコニア
そして、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウムの)のモル比によって、上記▲1▼〜▲3▼のジルコニアの存在比と平均粒子径が変化することが考えられる。
つぎに、水酸化ジルコニウムから生成するジルコニアが全て初期添加されるジルコニア粒子の成長に消費されると仮定して生成するジルコニアゾルの平均粒子径の理論値(以下、単に理論値ともいう)を算出した。
この理論値計算においては、ジルコニア粒子が密度一定の完全な球体であり、所定の平均粒子径をもつ単分散粒子で、ジルコニアゾルの生成前後でその個数が変化せず、その成長はすべての粒子に対し均等に起こると仮定した。
理論値の計算を例示すると、初期添加されるジルコニア粒子の平均粒子径が77nm、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.1のとき、水酸化ジルコニウムが完全にジルコニアになり、そのジルコニアが全て上記ジルコニア粒子の成長に消費されるならばジルコニア粒子の体積は11倍になるはずである。
上記ジルコニア粒子の体積が11倍になるとき、平均粒子径は11の立方根をとって2.2倍となり、成長し終えた上記ジルコニア粒子の平均粒子径の理論値は77nm×2.2=171nmと算出される。
初期添加されたジルコニア粒子の平均粒子径が77nm、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.1のとき、生成したジルコニアゾルの平均粒子径は107nmで、理論値は171nmであった。
このことから、上記▲1▼が比較的多く生成したと推測される。初期添加されたジルコニア粒子の平均粒子径が153nmの場合も同様の傾向であった。
一方、初期添加されたジルコニア粒子の平均粒子径が77nm、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.5のとき、生成したジルコニアゾルの平均粒子径は132nmで、理論値は91nmであった。
このことから、上記▲3▼の生成が活発であったと推測される。初期添加されたジルコニア粒子の平均粒子径が153nmの場合も同様の傾向であった。
上記▲2▼の初期添加されるジルコニア粒子が上記▲1▼のジルコニアの平均粒子径と同程度か大きい場合に限るが、ジルコニアゾルが生成したとき上記▲1▼〜▲3▼で最も小さい平均粒子径を示すものが上記▲1▼であり、平均粒子径順に並べると▲1▼<▲2▼<▲3▼となると考えられる。
生成するジルコニアゾルの平均粒子径は上記▲1▼の存在比が増えれば小さくなり、上記▲3▼が増えると大きくなる。
つまり、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.5〜1の領域では上記▲2▼、▲3▼の存在比が高まるとともに上記▲2▼の平均粒子径が理論値と近くなり、生成するジルコニアゾルは最大の平均粒子径を取ると考えられる。
また、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.5未満の領域では上記▲1▼の生成が多くなり、生成するジルコニアゾルの平均粒子径は比較的小さくなるが、この比が0.1〜0.5の領域では上記▲2▼の生成も十分に活発で初期添加されるジルコニア粒子の平均粒子径よりは大きくなると考えられる。
そして、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモルが1を越える領域では上記▲2▼、▲3▼の存在比は高くなるが、水酸化ジルコニウムの割合が減少するため上記▲2▼の平均粒子径自体が小さくなり、結果として(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比の増加にともなって生成するジルコニアゾルの平均粒子径は低下していくと考えられる。
以上より、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比によって様々な平均粒子径のジルコニアゾルを得ることが可能といえる。
また、本発明の方法は単分散なジルコニアゾルの合成法としても適当である。
初期添加されたジルコニウム粒子が成長する過程では個々のジルコニア粒子の粒子径比は小さくなる傾向にある。それは個々の粒子についてみた場合、粒子径の小さい粒子でも大きい粒子でも成長する粒子径の絶対値が同じとなるため、小さい粒子ほど成長倍率が高くなり結果的に大きい粒子と小さい粒子の比は小さくなり単分散化する。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
イオン交換水89gに水酸化ジルコニウム150g(ZrO換算で30g含有)を分散し、そこへ68重量%硝酸11gとジルコニアゾル20g(ZrO換算で3gを含有、硝酸をHNO換算で1g含有、平均粒子径77nm)を添加してスラリーを調製した。
該スラリーを100℃で40時間保持してジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は107nmであった。
68重量%硝酸11gとジルコニアゾル40g(ZrO換算で6gを含有、硝酸をHNO換算で2g含有、平均粒子径77nm)を添加した以外は上記実施例1と同様にしてジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は123nmであった。
68重量%硝酸11gとジルコニアゾル100g(ZrO換算で15gを含有、硝酸をHNO換算で5g含有、平均粒子径77nm)を添加した以外は上記実施例1と同様にしてジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は153nmであった。
68重量%硝酸11gとジルコニアゾル300g(ZrO換算で45gを含有、硝酸をHNO換算で15g含有、平均粒子径77nm)を添加した以外は上記実施例1と同様にしてジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は132nmであった。
68重量%硝酸11gとジルコニアゾル20g(ZrO換算で3gを含有、硝酸をHNO換算で1g含有、平均粒子径153nm)を添加した以外は上記実施例1と同様にしてジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は188nmであった。
68重量%硝酸11gとジルコニアゾル40g(ZrO換算で6gを含有、硝酸をHNO換算で2g含有、平均粒子径153nm)を添加した以外は上記実施例1と同様にしてジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は201nmであった。
68重量%硝酸11gとジルコニアゾル100g(ZrO換算で15gを含有、硝酸をHNO換算で5g含有、平均粒子径153nm)を添加した以外は上記実施例1と同様にしてジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は240nmであった。
68重量%硝酸11gとジルコニアゾル300g(ZrO換算で45gを含有、硝酸をHNO換算で15g含有、平均粒子径153nm)を添加した以外は上記実施例1と同様にしてジルコニアゾルを得た。該ジルコニアゾルの平均粒子径は199nmであった。
実施例1〜8における、(ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比と生成したジルコニアゾルの平均粒子径及びその理論値との関係を示す。

Claims (6)

  1. 水酸化ジルコニウム、酸及び水からなるスラリーを加熱することによりジルコニアゾルを製造する方法において、ジルコニア粒子の共存下で行うことを特徴とするジルコニアゾルの製造方法。
  2. (ジルコニア粒子に含まれるジルコニウム)/(水酸化ジルコニウムに含まれるジルコニウム)のモル比が0.01以上であることを特徴とする請求項1記載のジルコニアゾルの製造方法。
  3. ジルコニア粒子の平均粒子径が30〜300nmであることを特徴とする請求項1または2記載のジルコニアゾルの製造方法。
  4. ジルコニア粒子がジルコニアゾルであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のジルコニアゾルの製造方法。
  5. スラリー中に含まれる酸濃度が0.1〜1.5N(規定)、好ましくは0.3〜1.0Nであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のジルコニアゾルの製造方法。
  6. 酸が硝酸であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のジルコニアゾルの製造方法。
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