JP2007253654A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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加寿也 吉岡
Yasuaki Tsuji
泰明 辻
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志文 神保
Yasuyuki Yoshii
康之 吉井
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Abstract

【課題】操舵部材の操作に応じて回転する操舵軸と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータのロータ及び操舵軸により、操舵軸の軸長方向の衝撃エネルギーを十分に吸収することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】操舵部材Aの操作に応じて回転する操舵軸と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータ2により操舵補助する。電動モータ2は、操舵軸に加わる衝撃エネルギーにより軸長方向に移動可能に、操舵軸にセレーション嵌合されたロータ21を有している。操舵軸は、ロータ21との嵌合面に周方向の溝部25を有し、溝部25を含むロータ21と操舵軸との間に合成樹脂26が充填されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、操舵部材の操作に応じて回転する操舵軸と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータにより操舵補助する電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータが操舵軸と交差する位置に配置されており、該電動モータの回転力を増加して操舵軸に伝動する減速機構を備えた間接伝動タイプと、操舵補助用の電動モータが操舵軸と同軸的に配置されており、該電動モータの回転力を電動モータのロータから操舵軸に直接伝動するように構成された直接伝動タイプとが知られている。
このように構成された電動パワーステアリング装置が搭載される車両は電動パワーステアリング装置のほぼ全体を車室内に配置するレイアウトになっているため、電動パワーステアリング装置の全長は必然的に定まる。
特に、直接伝動タイプの電動パワーステアリング装置は、操舵軸の途中に電動モータが同軸的に配置されているため、必然的に定まる電動パワーステアリング装置の全長内で、電動モータ部分を除いた位置に、十分に衝撃エネルギーを吸収することが可能な衝撃エネルギー吸収機構を設けることが困難であった。また、直接伝動タイプの電動モータは比較的大きなトルクを発生するため、電動モータの体格が比較的大きくなり、衝撃エネルギー吸収機構を設ける部分の長さがより短縮され、十分に衝撃エネルギーを吸収することが可能な衝撃エネルギー吸収機構を設けることがより一層困難となる。
なお、衝撃エネルギーを吸収する手段としては、例えば特許文献1では、ステアリングホイールのスポークが、軸長方向のせん断力により変形可能となるように、相互に嵌合させた状態でせん断ピンにより両者を固着する構成であるステアリングホイールが開示されている。このような構成をステアリングシャフトへ適用することにより、ステアリングシャフトに所定値以上の荷重が加えられた場合、せん断ピンが破断してステアリングシャフトが収縮することにより、運転者に加わる衝撃エネルギーを吸収することができる。
また、特許文献2では、アウターシャフトとインナーシャフトとの間に合成樹脂を注入して、衝撃エネルギー吸収時の摺動時に合成樹脂により円滑かつ効果的に衝撃エネルギーを吸収するステアリングシャフトが開示されている。
特開平6−286618号公報 特開平10−45006号公報
しかし、特許文献1に開示されている構成をステアリングシャフトに適用した場合、電動モータの体格が大きくなったときでもテレスコピック機構を設けることは可能となるものの、製造工程においてせん断ピンを取り付ける工程が増加し、取り付け精度によっては通常の操舵時に操舵軸に加わる操舵トルクが変動するおそれがあり、運転者に操舵時の不快感をもたらすおそれがあるという問題点があった。また、特許文献2に示すように合成樹脂による摺動摩擦だけでテレスコピック動作を制御する場合、通常操舵時にテレスコピック動作をしないよう軸長方向の摺動を完全に固定することが困難であり、操舵感に違和感が生じるという問題点もあった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵部材の操作に応じて回転する操舵軸と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータのロータ及び操舵軸により、操舵軸の軸長方向の衝撃エネルギーを十分に吸収することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために第1発明に係る電動パワーステアリング装置は、操舵部材の操作に応じて回転する操舵軸と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータにより操舵補助する電動パワーステアリング装置において、前記電動モータは、前記操舵軸に加わる衝撃エネルギーにより軸長方向に移動可能に、前記操舵軸にセレーション嵌合されたロータを有し、前記操舵軸は該ロータとの嵌合面に周方向の溝部を有し、該溝部を含む前記ロータと前記操舵軸との間に合成樹脂が充填されていることを特徴とする。
第2発明に係る電動パワーステアリング装置は、第1発明において、前記合成樹脂が前記溝部に充填された部分は、前記操舵軸と前記ロータとの間のせん断力が所定値を超えた場合、前記操舵軸と前記ロータとの境界にて破断するようにしてあることを特徴とする。
第1発明では、操舵部材の操作に応じて回転する操舵軸と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータは、操舵軸に加わる衝撃エネルギーにより軸長方向に移動可能に、操舵軸にセレーション嵌合されたロータを有する。操舵軸は、該ロータとの嵌合面に周方向の溝部を有しており、該溝部を含むロータと操舵軸との間に合成樹脂が充填されている。ロータと操舵軸との間に合成樹脂が充填されることにより、操舵軸の周方向に設けてある溝部へも合成樹脂が充填され、一体となってロータと操舵軸とを固着する。衝撃エネルギーが加わらない、又は所定値より小さい衝撃エネルギーが加わった場合には、溝部へ充填された合成樹脂により操舵軸が支持され、軸長方向に摺動することがないことから、運転者は違和感なく操舵することができる。所定値以上の衝撃エネルギーが加わった場合には、溝部へ充填された合成樹脂が破断し、合成樹脂による摺動摩擦によって衝撃エネルギーを吸収することができる。また、ロータは、操舵軸にセレーション嵌合されていることから、操舵軸の下端に自在軸継手により連結される伝動軸の操舵軸に対する角度の変動は一定の範囲内に抑制されており、運転者に不快感をもたらすことがない。
第2発明では、合成樹脂が溝部に充填された部分は、操舵軸とロータとの間のせん断力が所定値を超えた場合、操舵軸とロータとの境界にて破断する。これにより、所定値以上の衝撃エネルギーが加わり、操舵軸とロータとの間のせん断力が所定値を超えた場合には、操舵軸とロータとの境界にて溝部へ充填された合成樹脂が破断し、以降、合成樹脂による摺動摩擦によって衝撃エネルギーを吸収することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の電動モータ近傍の構成を示す操舵軸の中心軸に直交する面での拡大断面図である。本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置は、上端が操舵部材としての操舵輪Aに繋がる入力軸1と、入力軸1の下部が内嵌されるロータ21を有しており、入力軸1と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータ2と、上部がロータ21に内嵌されており、入力軸1の回転力がロータ21を介して伝動される出力軸3とを有している。なお、入力軸1及び出力軸3が操舵輪Aの操作に応じて回転する操舵軸を構成している。
入力軸1の下部及び出力軸3の上部にはスプライン、セレーション等の凹凸条1a、3aが周設されている。また、出力軸3は、ロータ21及びフレーム22を貫通した回転軸としてロータ21に固着されている。
電動モータ2は、内部に入力軸1が相対移動可能な空洞部24を有する円柱形のロータ21と、該ロータ21の周りに相対回転可能に配置された筒形のステータ23と、該ステータ23を支持する略円筒形のフレーム22とを備えたブラシレス型の電動モータである。
ロータ21の外周部には、その磁極が交互に異なる複数個の永久磁石が周方向に離隔して設けられており、入力軸1がロータ21と相対移動可能な空洞部24を有している。空洞部24の内周面には、入力軸1の下部及び出力軸3の上部に周設されたスプライン、セレーション等の凹凸条1a、3aと噛合可能な凹凸条が周設されており、出力軸3は軸長方向に移動せず、周方向にロータ21と一体となって回転するよう固着されている。入力軸1は周方向にロータ21と一体となって回転でき、しかも軸長方向にも凹凸条1aに沿って相対移動可能となっている。
フレーム22は、ロータ21の両側に配置され、入力軸1、出力軸3が夫々挿入される貫通孔を有する円板状の壁部と、ステータ23をその外周に支持する円筒状周壁部を備えている。フレーム22の貫通孔の内周面には凹凸条は設けられておらず、入力軸1及び出力軸3はロータ21と一体となって回転可能となっている。
入力軸1の周面には、溝部25が設けてあり、ロータ21の凹凸条と入力軸1の凹凸条1a上との間には、衝撃を吸収するための合成樹脂26が充填されている。合成樹脂26が充填されることにより、溝部25にも合成樹脂が充填されて突出部分26aを形成する。入力軸21は、溝部25に形成された突出部分26aにより、軸長方向のロータ21との間の相対移動を規制している。
車両が外部の車両、障害物等に衝突し、操舵軸に衝撃エネルギーが加えられた場合、溝部25に形成された突出部分26aと、他の充填部分26bとの間にせん断力が発生する。図2はせん断力が発生した場合の合成樹脂の状態変化を説明するための操舵軸の中心軸に直交する面での部分断面図である。
図2(a)に示すように、操舵軸に衝撃エネルギーが加えられた場合、入力軸1が下方へ、出力軸3及び連結されているロータ21が上方へ、それぞれ荷重が加わることにより、突出部分26aと他の充填部分26bとの間には矢印に示すせん断力が発生する。発生するせん断力が所定値より小さい場合、すなわち合成樹脂の弾性変形限度を超えていない場合には、入力軸1はロータ21との軸長方向の相対位置が変わることなく、通常の操舵を継続することができる。
発生するせん断力が所定値を超えた場合、すなわち合成樹脂の弾性変形限度を超えた場合、図2(b)に示すように、合成樹脂で形成された突出部分26aが破断し、入力軸1は下方へ、ロータ21は上方へ軸長方向に移動する。したがって、操舵軸は、衝撃エネルギーの大小に応じてテレスコピック動作を行い、運転者の安全を確保することが可能となる。
図3は、操舵軸が縮小した場合の電動モータ2近傍の構成を示す操舵軸の中心軸に直交する面での拡大断面図である。図3に示すように、入力軸1の軸長方向の移動を規制していた突出部分26aが破断することにより、入力軸1の下端が空洞部24へ嵌入し、軸長が縮小される。このとき、ロータ21と入力軸1との間には他の充填部分26bが残留していることから、軸長方向の入力軸1の移動に対する摺動摩擦は大きく、衝撃エネルギーを吸収することが可能となる。
図4は、溝部25が設けてある、入力軸1の中心軸に直交する面での断面図である。図4(a)に示すように、入力軸1に設けてある溝部25の形状は、入力軸1の外周に沿って設けられているものに限定されるものではない。例えば図4(b)に示すように、中心軸を中心として点対称となる位置に複数(図4(b)では4個)の溝部25、25、・・・を設けても良い。
以上のように本実施の形態によれば、ロータ21と操舵軸を構成する入力軸1との間に合成樹脂が充填されることにより、入力軸1の周面に設けてある溝部25へも合成樹脂26が充填され、一体となってロータ21と入力軸1とが固着される。衝撃エネルギーが加わらない、又は所定値より小さい衝撃エネルギーが加わった場合には、溝部25へ充填された合成樹脂26により入力軸1の軸長方向の移動が規制され、運転者は違和感なく操舵することができる。所定値以上の衝撃エネルギーが加わった場合には、溝部25へ充填された合成樹脂26の突出部分26aが破断し、残存する合成樹脂26bによる摺動摩擦によって衝撃エネルギーを吸収することができる。
なお、本実施の形態では、入力軸1の移動により操舵軸が伸縮する場合について説明しているが、出力軸3について同様に構成することにより、同様の効果を奏することは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の電動モータ近傍の構成を示す操舵軸の中心軸に直交する面での拡大断面図である。 せん断力が発生した場合の合成樹脂の状態変化を説明するための操舵軸の中心軸に直交する面での部分断面図である。 操舵軸が縮小した場合の電動モータ近傍の構成を示す操舵軸の中心軸に直交する面での拡大断面図である。 溝部が設けてある、入力軸の中心軸に直交する面での断面図である。
符号の説明
1 入力軸(操舵軸)、2 電動モータ、3 出力軸(操舵軸)、21 ロータ、22 フレーム、23 ステータ、24 空洞部、25 溝部、26 合成樹脂、26a 突出部分、26b 他の充填部分、A 操舵輪(操舵部材)

Claims (2)

  1. 操舵部材の操作に応じて回転する操舵軸と同軸的に配置された操舵補助用の電動モータにより操舵補助する電動パワーステアリング装置において、
    前記電動モータは、前記操舵軸に加わる衝撃エネルギーにより軸長方向に移動可能に、前記操舵軸にセレーション嵌合されたロータを有し、
    前記操舵軸は該ロータとの嵌合面に周方向の溝部を有し、
    該溝部を含む前記ロータと前記操舵軸との間に合成樹脂が充填されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記合成樹脂が前記溝部に充填された部分は、前記操舵軸と前記ロータとの間のせん断力が所定値を超えた場合、前記操舵軸と前記ロータとの境界にて破断するようにしてあることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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