JP2007250254A - 発光装置、及び発光装置の製造方法 - Google Patents

発光装置、及び発光装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度かつ簡易に有機EL素子の温度を計測することが可能な発光装置及び発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10上に設けられた第1電極14と、第1電極14上に設けられた有機層16と、有機層16上に設けられた第2電極18と、第1電極14と有機層16と第2電極18とを有する発光素子30とを備える発光装置であって、基板10上の発光素子30には、有機材料からなり、レーザ光の照射により発光素子から伝熱される熱に基づいたラマン散乱光を放出する検査部12が設けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、発光装置、及び発光装置の製造方法に関する。
近年、電界発光を利用した有機EL装置は、自己発光のため視認性が高く、薄くて軽い、かつ耐衝撃性に優れるなどの優れた特徴を有することから広く注目されている。
有機EL装置の製造工程においては、一般的に発光素子の異常発光や発光欠陥等を検査するための検査工程が設けられている。ここで、発光素子の異常発光や発光欠陥等の機能不良が発生する場合、発光素子の異常な温度変化が起こることが知られている。そのため、この検査工程においては、発光光が有する熱を利用することにより、有機EL装置の異常発光や発光欠陥の検査が行われている。
発光時における有機EL装置の温度検査工程の手法として、有機EL装置の発光による熱を有機EL装置の外界から検出し、有機EL装置の表面温度を計測する方法が知られている。しかし、この手法では、有機EL装置を構成する外形全体の温度情報となり、有機EL装置を構成する内部「有機EL素子」の温度情報を得ることは困難であった。有機EL素子の異常部位の発見には、有機EL装置内部を構成する有機EL素子自体の発光時の温度変化を検出することが重要となってくる。
そこで、有機EL装置内部の発光素子の温度を直接検出する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、マトリクス状に配設された走査線と信号線の交点位置に、有機EL素子が配列されており、これらの有機EL素子に例えば熱電対を利用した温度検出器がそれぞれ対応して設けられた表示パネルが開示されている。
また、特許文献2には、有機ELパネルの周囲温度を検出するために有機ELパネル上に設置された半導体温度センサ等による温度センサと、温度センサから出力される温度に応じたレベルを有する信号をディジタルデータである温度データに変換して制御部に出力するA−D変換器とを備える有機EL装置が開示されている。
特開2002−175046号公報 特開2005−316139号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示される有機EL素子の温度検出方法では以下に示す問題があった。
即ち、熱電対は、有機EL素子から温度を計測する制御ユニットまで形成するため、熱電対自身の熱容量が、温度センサとしての応答速度や正確な温度モニタに影響を与えるおそれがあった。
また、熱電対又は温度センサを有機EL素子毎に設ける場合には、温度計測用の回路を作製する必要があり、発光装置の回路構成が複雑化するという問題があった。
さらに、電流値に基づいた温度検出方法の場合、予め全ての素子が同一の構成を有することを前提として、この構成の素子の電流値をデータ化(代表値)して温度計測を行う。そのため、形成される有機EL素子の構成にばらつきがあった場合、これに伴い有機EL素子を流れる電流にもばらつきが生じるため、この要素も含んで温度計測が行われてしまうという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度かつ簡易に有機EL素子の温度を計測することが可能な発光装置及び発光装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けられた第2電極と、前記第1電極と前記有機層と前記第2電極とを有する発光素子とを備える発光装置であって、前記基板上の前記発光素子には、有機材料からなり、レーザ光の照射により前記発光素子から伝熱される熱に基づいたラマン散乱光を放出する検査部が設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、発光素子に有機材料からなる検査部が設けられるため、レーザ光が照射されると、検査部から有機材料に基づいたラマン散乱光が放出される。このラマン散乱光は、有機材料に基づいた固有のストークスとアンチストークスとを有し、有機材料の温度によりストークスとアンチストークスとの強度比が異なる。従って、このラマン散乱光を計測することにより検査部の温度を計測することが可能となる。これにより、発光素子の駆動時における異常を検出することができ、表示装置の不良部位を特定することができる。また、発光素子の温度の計測にラマン分光法を採用することにより、従来のように温度計測用の回路を作製する必要がなく、発光装置の製造工程の簡略化を図ることができる。
なお、本発明においては、検査部のラマン散乱光に基づいて検査部の温度を計測することになるが、検査部は発光素子に対応して(近接して)設けられるため、検査部の温度は発光素子の温度と近似することができる。
本発明の発光装置は、前記検査部が、前記発光素子と平面視で重ならない位置に、前記発光素子と一定の間隔を空けて設けられたことも好ましい。
この構成によれば、検査部は発光素子と平面視で重ならない位置に設けられるため、レーザ光は有機EL素子に照射されることはない。従って、レーザ光の照射による発光素子の劣化を防止しつつ、ラマン分光法により発光素子の温度を計測することができる。
本発明の発光装置は、前記検査部が、前記第2電極上に設けられたことも好ましい。
この構成によれば、検査部が第2電極上に設けられるため、発光素子に近接した位置に検査部が設けられる。そのため、機能層の発光による熱の熱伝導率は封止ガスを介する場合と比較して高くなる。従って、高精度に発光素子の温度を計測することができる。
本発明の発光装置は、前記第1電極が、前記発光層及び前記第2電極の端部よりも延出した延出部を有し、前記検査部の一部が、前記延出部に接触して設けられたことも好ましい。
この構成によれば、検査部の一部が第1電極に接触して設けられるため、発光層の発光による熱が第1電極を介して検査部に伝熱される。従って、発光層の発光による熱を高い熱伝導率で検査部に伝熱させることができ、高精度に発光素子の温度を計測することができる。
本発明の発光装置は、前記機能層が、前記第1電極及び前記第2電極の端部よりも延出する延出部を有し、前記機能層の延出部が前記検査部であることも好ましい。
この構成によれば、機能層の一部である延出部が検査部を兼ね備えるため、検査部を形成する工程を別途設ける必要がない。従って、製造工程の簡略化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。
本発明の発光装置の製造方法は、基板と、前記基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けれた第2電極と、前記第1電極と前記有機層と前記第2電極とを有する発光素子とを備える発光装置の製造方法であって、前記基板上の前記発光素子に、有機材料からなる検査部を形成する検査部形成工程と、前記検査部にレーザ光を照射し、前記検査部から放出されるラマン散乱光のストークスとアンチストークスとに基づいて、前記発光素子の温度を計測する温度計測工程と、を有することを特徴とする。
また前記検査部形成工程において、前記有機材料として銅フタロシアニン(CuPC)を用い、蒸着法により前記検査部を形成することも好ましい。
また前記検査部形成工程において、前記有機材料としてスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)を用い、スピンコート法、又は液滴吐出法により前記検査部を形成することも好ましい。
この方法によれば、発光素子に有機材料からなる検査部を設けるため、レーザ光を照射すると、検査部は有機材料に基づいたストークスとアンチストークスを放出する。従って、このラマン散乱光により発光素子の温度を計測することができる。これにより、発光素子の駆動時における異常を検出することができ、表示装置の不良部位を特定することができる。
また本発明の発光装置の製造方法は、前記検査部形成工程において、1000cm−1〜−1000cm−1の範囲のストークスとアンチストークスとを放出する前記有機材料を用いることも好ましい。
この方法によれば、上記範囲のラマン散乱光を放射する有機材料により検査部を形成するため、ラマン分光装置により検出可能なラマン散乱光を放出させることができる。これにより、放出されるラマン散乱光に基づいて、容易に発光素子の温度を計測することができる。
また本発明の発光装置の製造方法は、前記温度計測工程において計測した温度と、予め設定した正常な前記発光素子の基準温度とに基づいて補正値を算出し、前記補正値に基づいて、前記発光素子に接続される駆動回路に供給する駆動信号を補正する工程を有することも好ましい。
この方法によれば、計測した温度値に基づいた補正値を走査線駆動回路等にフィードバックすることにより、発光ムラを擬似的に発光装置の均一な発光を実現することができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。また、本実施形態の有機EL装置は、発光層で発光した光を基板側から取り出すボトムエミッション方式である。
(有機EL装置)
図1は、本実施形態の有機EL装置100の配線構造の等価回路図であり、図2は、有機EL装置100の平面図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置100(発光装置)は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された回路構成を有すると共に、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素(サブ画素P)が設けられている。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチ等を備えるデータ側駆動回路120が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタ等を備える走査側駆動回路80が接続されている。
サブ画素Pの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量(cap)と、該保持容量(cap)によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が与えられる陽極14と、この陽極14と陰極(対向電極)18との間に挟み込まれた有機層16とが設けられている。
図2に示すように、基板10上の実表示領域4には、R(赤色),G(緑色),B(青色)に対応して設けられたサブ画素Pがマトリクス状に規則的に配置されている。表示領域RGBは一つの基本単位となって表示単位画素を構成しており、これによって該表示単位画素は、RGBの発光を混色させてフルカラー表示を行うようになっている。
また、実表示領域4の図2中両側には、走査線駆動回路80、80が配置されている。この走査線駆動回路80、80は、ダミー領域5の下層側に位置して設けられている。
図3(a)は有機EL装置100の画素の概略構成を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示す有機EL装置100の1サブ画素Pを要部を示す拡大断面図である。なお、図2(a)、(b)においては、TFT素子等は省略している。
図3(a)、(b)に示すように、ガラス等からなる透明な基板10上には、マトリクス状に配列されたITOからなる陽極14が形成されている。陽極14上には、複数の機能層が積層された有機層16が形成されている。有機層16は、基板10側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層等がこの順番で積層されて構成されている。有機層16上には陰極18が形成されている。この陰極18は、カルシウム(Ca)層とアルミニウム(Al)層とが基板10側からこの順に積層されて構成され、平面視円形状にパターニングされている。なお、パターニングされた各陰極18のそれぞれには、基板10間の上下導通を図るための上下導通線(図示省略)が形成される。
本実施形態において有機EL素子30は、陽極14と、陰極18と、陽極14と陰極18との間の有機層16とから構成されている。そして、緑色、青色、及び赤色の有機EL素子30により画像表示単位となるサブ画素Pが構成されており、3個のサブ画素Pから構成される1個の画素が、図1及び図3(a)に示すように、マトリクス状に配列されている。
陰極18上には、これらを覆うようにして封止部32が設けられている。封止部32は、封止樹脂と、封止樹脂上に配置される封止基板とを有し、水又は酸素の侵入を防いで、陰極18及び有機層16の酸化を防止することができるようになっている。
図3(a)、(b)に示すように、マトリクス状に配列されたサブ画素Pのそれぞれには、有機EL素子30の温度を検出するための検査部12が設けられている。検査部12は、有機EL素子30の外形よりも小さい平面視円形状の薄膜からなり、有機EL素子30と平面視で重ならない位置に、有機EL素子30と一定の間隔を空けて形成されている。つまり、検出部12は、発光に寄与しない非発光領域に設けられている。また、各画素に形成される検査部12は、図3(a)に示すように、行方向及び列方向に等間隔に配置されており、全ての画素における有機EL素子30と検査部12との間隔が等しくなっている。なお、検査部12の形状は円形状に限定されることはなく、レーザ光L1の照射範囲を確保することができれば種々の形状を採用することができる。
検査部12の構成する薄膜の材料としては、所定波長のレーザ光L1を照射すると、1000cm−1〜−1000cm−1の範囲のストークスとアンチストークスとを有するラマン散乱光を放出する有機材料が好適に用いられる。具体的には、低分子有機材料及び高分子有機材料が用いられ、低分子有機材料としてはCuPCが好適に用いられ、高分子有機材料としては正孔注入層と同一材料のPEDOT:PSSが好適に用いられる。
また、より具体的な検査部12を形成する位置としては、有機EL素子30を区画する有機物からなるバンクを発光に寄与しない非発光領域に形成する場合には、このバンクの上面に形成することが好ましい。さらに、バンクを設けない場合には、有機EL素子30,30間の非発光領域に形成する絶縁層上に形成しても良い。
(有機EL装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る有機EL装置100の製造方法について図3(a)、(b)を参照して説明する。なお、以下の説明においては、有機EL素子30の形成工程については、公知の方法が採用されるため省略し、検査部12の形成工程、有機EL素子30の温度計測工程(点灯検査工程)についてのみ詳細に説明する。
(検査部形成工程)
まず、図3(b)に示す有機EL素子30を形成した後、各サブ画素P毎に検査部12を形成する。具体的には、画素領域内の有機EL素子30を形成する位置に開口部を有するマスクを用いて、蒸着法により、低分子材料のCuPCを成膜する。このようにして、有機EL素子30と平面視で重ならない位置に、所定の厚みを有する平面視円形状の検査部12を形成する。
また、検査部12を高分子材料のPEDOT:PSSを用いて検査部12を形成することも可能である。具体的には、スピンコート法、又は液滴吐出法によりPEDOT:PSSを画素領域内に成膜し、フォトリソグラフィーやアッシング処理により、成膜した有機材料を所定形状にパターニングして検査部12を形成しても良い。
(温度計測工程)
次に、サブ画素毎に設けられた検査部12に基づいて有機EL素子30の温度を計測する。本実施形態において検査部12の温度の計測はラマン分光装置を用いて行う。なお、検査部12は有機EL素子30に近接した位置に形成されるため、検査部12の温度を有機EL素子30の温度と近似することができる。
ここで、ラマン分光装置50の概略構成について図4を参照して説明する。
図4に示すように、ラマン分光装置50は、レーザ光L1を出射する光源34と、検出部12が形成された有機EL装置100を載置するステージ40と、レーザ光L1の照射により検査部12から放出されるラマン散乱光を検出する検出部44とを有する。またラマン分光装置50は、光源34から出射されるレーザ光L1の光軸上に、レーザ光L1の所定波長成分のみを通過させるフィルタ36と、レーザ光L1の波長成分のみを反射させると共に、検査部12から放出されるラマン散乱光L2を透過させるノッチフィルタ38とを有する。さらに、ステージ40と検出部44との間に、上記ノッチフィルタ38と、所定波長のラマン分散のみを分光させるプリズム42とを有する。
まず、ラマン分光装置50に設けられたステージ40上に、上述した検査部12を有する有機EL装置100を配置する。このとき、有機EL装置100の基板10を下側にして配置しても良いし、基板10とは反対側の陰極18を下側にして配置しても良い。
次に、光源34からアルゴンレーザ光L1を出射する。そして、フィルタ36及びノッチフィルタ38を介してステージ40上に載置された有機EL装置100の検査部12に上記レーザ光L1を照射する。有機材料からなる検査部12にレーザ光L1が照射されると、検査部12から1000cm−1〜−1000cm−1の範囲のストークスとアンチストークスとを有するラマン散乱光L2が放出される。
検出部44は、有機EL装置100の検査部12から放出されるストークスとアンチストークスを、ノッチフィルタ38及び合成プリズム42を介して検出する。そして、検出部44は、検出したストークスとアンチストークスとの強度比に基づいて、有機EL装置100の検査部12の温度を計測する。
ここで、検出部44はメモリを有しており、このメモリには予め設定した基準となる有機EL素子30の温度値が記憶されている。この基準温度値は、正常に発光している有機EL素子30の温度が基準となる。
検出部44は、メモリに記憶されている基準温度値(正常時の温度)を読み出し、計測温度値と基準温度値とを比較する。そして、検出部44は、計測温度値と基準温度値との温度差が予め設定した閾値を越えるか、又は閾値以下であるかを判断する。これにより、閾値を越える場合には、計測した有機EL素子30が異常発光していると判断する。一方、閾値以下である場合には、有機EL素子30が正常であると判断する。
次に、上記サブ画素Pに隣接するサブ画素Pの位置までステージ40又は光源34を移動させ、上述した方法と同様の方法により有機EL素子30の温度を計測する。
このようにして、ステージ40又は光源34を行方向及び列方向に走査し、各有機EL素子30の温度を計測する。そして、計測する有機EL素子30の検査が終了した後、有機EL素子30の欠陥数に基づいて有機EL装置100が不良品であるか否かを判断する。
ここで、各有機EL素子30の温度を計測した後、計測した温度が基準温度値の閾値を超える場合には、基準温度値に基づいて補正値を算出し、この補正値に基づいて、検出部44に接続される走査線駆動回路やデータ線駆動回路に供給する信号(電流又は電圧の値)を可変(補正)することも可能である。
この方法によれば、計測した温度値に基づいた補正値を走査線駆動回路等にフィードバックすることにより、発光ムラを擬似的に有機EL装置100の均一な発光を実現することができる。
本実施形態によれば、有機EL素子30に有機材料からなる検査部12が設けられるため、レーザ光L1が照射されると、検査部12から有機材料に基づいたラマン散乱光が放出される。従って、このストークスとアンチストークスとの強度比を計測することにより検査部12の温度を計測することが可能となる。これにより、有機EL素子30の駆動時における異常を検出することができ、有機EL装置100の不良部位を特定することができる。また、有機EL素子30の温度の計測にラマン分光法を採用することにより、従来のように温度計測用の回路を作製する必要がなく、発光装置の製造工程の簡略化を図ることができる。また、有機EL素子30の温度を非接触で形成することができるため、有機EL素子30の劣化を防止することができる。
また本実施形態によれば、検査部12は有機EL素子30と平面視で重ならない位置に設けられるため、レーザ光L1は有機EL素子30に照射されることはない。従って、レーザ光L1の照射による有機EL素子30の劣化を防止しつつ、ラマン分光法により有機EL素子30の温度を計測することができる。
また本実施形態によれば、1000cm−1〜−1000cm−1の範囲のラマン散乱光を放射する有機材料により検査部12を形成するため、ラマン分光装置50により検出可能なラマン散乱光を放出させることができる。これにより、放出されるラマン散乱光に基づいて、容易に有機EL素子30の温度を計測することができる。
また、検査部12と有機EL素子30との間隔が、全ての画素において等間隔となっているため、有機EL素子30から発熱する熱が全ての画素の検査部12において均一に伝熱され、高精度な温度測定が可能となる。
さらに、本実施形態における検査部12は、有機EL素子30よりも小さく設けられるため、検査部12自身の熱容量を小さくすることができ、対応する有機EL素子30の温度を高精度に検出することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本実施形態について図面を参照して説明する。
上記実施形態では、有機EL素子30に隣接させて検査部12を形成していた。これに対し、本実施形態では、有機EL素子30を構成する陰極18上に検査部12を形成する点において上記第1実施形態と異なる。なお、その他の有機EL装置100の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5(a)は、本実施形態に係る有機EL装置100の画素の概略構成を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示す有機EL装置100の1サブ画素Pを要部を示す拡大断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、平面視円形状にパターニングされた陰極18上には、有機EL素子30の温度を検出するための検査部12が形成されている。検査部12は、陰極18の外形寸法よりも一回り小さい平面視円形状に形成されると共に、有機EL素子30の平面視略中央部に配置されている。これにより、有機EL素子30の中央部と周縁部とで温度が異なる場合でも、検査部12を有機EL素子30の中央部に規則的に配置されることで、同一条件の下で有機EL素子30の温度を計測することが可能となる。
また本実施形態によれば、検査部12が陰極18上に設けられるため、有機EL素子30に近接した位置に検査部12が設けられる。そのため、有機層16の発光による熱の熱伝導率は封止ガスを介する場合と比較して高くなる。従って、高精度に有機EL素子30の温度を計測することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本実施形態について図面を参照して説明する。
上記第1実施形態では、有機EL素子30と一定の間隔を空けて検査部12を形成していた。これに対し、本実施形態では、検査部12の一部を有機EL素子30を構成する陽極14に接触させて形成する点において上記第1実施形態と異なる。なお、その他の有機EL装置100の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6(a)は、本実施形態に係る有機EL装置100の概略構成を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示す有機EL装置100の1サブ画素Pを要部を示す拡大断面図である。
図6(a)、(b)に示すように、有機EL素子30を構成する陽極14は、有機層16及び陰極18の周縁部よりも延出した延出部14aを有している。陽極14の突出部14aの外周には、陽極14の側面と接触するようにして検査部12が形成されると共に、検査部12の一部が陽極14の延出部14aに乗り上げて形成されている。このように、本実施形態の有機EL素子30に形成される検査部12は、有機EL素子30の陽極14と接触されて形成されている。
本実施形態によれば、検査部12の一部が陽極14に接触して設けられるため、有機層16の発光による熱が陽極14を介して検査部12に伝熱される。従って、有機層16の発光による熱を高い熱伝導率で検査部12に伝熱させることができ、高精度に有機EL素子30の温度を計測することができる。
[第4の実施の形態]
次に、本実施形態について図面を参照して説明する。
上記第1〜3実施形態では、有機EL素子30とは別に検査部12を形成した。これに対し、本実施形態では有機EL素子30の一部の層が検査部12を兼ね備える点において、上記第1〜3実施形態と異なる。なお、その他の有機EL装置100の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7(a)は、本実施形態に係る有機EL装置100の概略構成を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示す有機EL装置100の1サブ画素Pを要部を示す拡大断面図である。
図7(a)、(b)に示すように、有機EL素子30を構成する有機層16は、陽極14及び陰極18の周縁部よりも突出した突出部16aを有している。ここで、有機層16が発光層の一層から構成される場合には発光層に延出部14aが設けられ、発光層が正孔注入層、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の複数の層から構成される場合には、このうちの一層に延出部14aが設けられる。本実施形態においては、この発光層の突出部16aが検査部12となっている。
正孔注入層の材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどを用いることができる。さらに具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)等が好適に用いられる。
正孔輸送層の材料としては、トリフェニルアミン系ポリマーが好適に用いられる。
発光層の材料としては、例えば、ポリフルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシラン系が好適に用いられる。
電子注入層の材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等が好適に用いられる。
本実施形態によれば、有機層16の一部である延出部14aが検査部12を兼ね備えるため、検査部12を形成する工程を別途設ける必要がない。従って、製造工程の簡略化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。
[電子機器]
次に、本発明の電子機器の一例について説明する。
図8は、上述した有機EL装置を備えた携帯電話(電子機器)を示した斜視図である。図8に示すように、携帯電話機600は、ヒンジ122を中心として折り畳み可能な第1ボディ106aと第2ボディ106bとを備えている。そして、第1ボディ106aには、有機EL装置601と、複数の操作ボタン127と、受話口124と、アンテナ126とが設けられている。また、第2ボディ106bには、送話口128が設けられている。
なお、上述した有機EL装置は、携帯電話以外にも種々の電子機器に適用することができる。例えば、プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などの電子機器に適用することが可能である。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上記実施形態では、全ての画素毎に検出部を形成していたが、任意の画素にのみ検出部を形成しても良い。この場合には、任意の画素に対してのみ有機EL素子30の温度を計測すれば良い。
また、有機EL装置の駆動方式としては、パッシッブマトリクス方式でも良いし、アクティブマトリクス方式でも良い。
また、上記実施形態では、陰極を平面視円形状にパターニングしたが、これに限定されることはなく、有機層上の全面に連続して形成しても良い。
本発明の一実施形態に係る有機EL装置の等価回路図である。 本発明の一実施形態に係る有機EL装置の構成を示す平面図である。 第1実施形態に係る有機EL装置の画素の要部拡大図である。 ラマン分光装置の構成を模式的に示す図である。 第2実施形態に係る有機EL装置の画素の要部拡大図である。 第3実施形態に係る有機EL装置の画素の要部拡大図である。 第4実施形態に係る有機EL装置の画素の要部拡大図である。 携帯電話の概略構成を示す斜視図である。
符号の説明
10…基板、 12…検査部、 14…陽極(第1電極)、 14a…延出部、 16…有機層、 16a…延出部、 18…陰極(第2電極)、 30…有機EL素子、
100…有機EL装置(発光装置)

Claims (10)

  1. 基板と、前記基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けられた第2電極と、前記第1電極と前記有機層と前記第2電極とを有する発光素子とを備える発光装置であって、
    前記基板上の前記発光素子には、有機材料からなり、レーザ光の照射により前記発光素子から伝熱される熱に基づいたラマン散乱光を放出する検査部が設けられたことを特徴とする発光装置。
  2. 前記検査部が、前記発光素子と平面視で重ならない位置に、前記発光素子と一定の間隔を空けて設けられたことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記検査部が、前記第2電極上に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  4. 前記第1電極が、前記発光層及び前記第2電極の端部よりも延出した延出部を有し、
    前記検査部の一部が、前記延出部に接触して設けられたことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  5. 前記機能層が、前記第1電極及び前記第2電極の端部よりも延出する延出部を有し、
    前記機能層の延出部が前記検査部であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  6. 基板と、前記基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けれた第2電極と、前記第1電極と前記有機層と前記第2電極とを有する発光素子とを備える発光装置の製造方法であって、
    前記基板上の前記発光素子に、有機材料からなる検査部を形成する検査部形成工程と、
    前記検査部にレーザ光を照射し、前記検査部から放出されるラマン散乱光のストークスとアンチストークスとに基づいて、前記発光素子の温度を計測する温度計測工程と、
    を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
  7. 前記検査部形成工程において、前記有機材料として銅フタロシアニン(CuPC)を用い、蒸着法により前記検査部を形成することを特徴とする請求項6に記載の発光装置の製造方法。
  8. 前記検査部形成工程において、前記有機材料としてスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)を用い、スピンコート法、又は液滴吐出法により前記検査部を形成することを特徴とする請求項6に記載の発光装置の製造方法。
  9. 前記検査部形成工程において、1000cm−1〜−1000cm−1の範囲のストークスとアンチストークスとを放出する前記有機材料を用いることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  10. 前記温度計測工程において計測した温度と、予め設定した正常な前記発光素子の基準温度とに基づいて補正値を算出し、前記補正値に基づいて、前記発光素子に接続される駆動回路に供給する駆動信号を補正する工程を有することを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

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