JP2008146956A - 発光装置、電子機器、及びキャリアバランスの検出方法 - Google Patents

発光装置、電子機器、及びキャリアバランスの検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することが可能な発光装置、電子機器、及びキャリアバランスの検出方法を提供すること。
【解決手段】有機EL装置1Aは、基板10上に形成された陽極としての画素電極11と、画素電極11上に形成された、発光層15を含む機能層3と、機能層3を挟んで画素電極11に対向して配置された陰極16とを備える。陰極16は、複数の部分に分割され、当該部分のそれぞれは、互いに独立して駆動電圧を印加される。
【選択図】図2

Description

本発明は、発光層を備えた発光装置、電子機器、及びキャリアバランスの検出方法に関する。
上記発光装置の一つに、発光層に有機発光材料を用いた有機EL(Electro Luminescence)装置がある。有機EL装置における上記発光層は、当該発光層に注入された正孔及び電子(以下ではまとめて「キャリア」とも呼ぶ)が結合する際に光を発する。有機EL装置は、この光によって発光を行う装置である。
有機EL装置の発光効率及び発光寿命は、発光層への正孔及び電子の注入量のバランス、すなわちキャリアバランスに影響されることが知られている。キャリアバランスは、発光層を含む機能層の各層の厚さや、製造工程の種々の要因によって変動する。キャリアバランスが崩れると、発光効率が落ち、発光装置の寿命が短くなる。したがって、キャリアバランスは偏りのない状態とすることが望ましい。キャリアバランスを調整するための技術としては、例えば、発光層に電子移動制御層を積層させることにより、余剰の電子の注入を抑制するものが知られている(特許文献1参照)。
特開2004−273163号公報
しかしながら、キャリアバランスを直接観測する有効な手段がないため、ある発光装置においてキャリアバランスがどちらに偏っているのか、つまり正孔又は電子のいずれが過多(過少)となっているのかを判断することは困難である。これに起因して、キャリアバランスの偏りを解消しようとした場合に、正孔、電子のどちらの注入量を減少(又は増加)させれば良いのかを容易に判断することができないという問題点がある。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の奏する効果の一つにより、キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することが可能となる。
本発明による発光装置は、基板と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備え、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、前記基板の法線方向から見て前記第1の電極と前記第2の電極とが重なる領域において2以上の部分に分割され、前記部分のそれぞれは、互いに独立して駆動電圧を印加されることを特徴とする。
このような構成によれば、駆動電圧の印加に際し、第1の電極又は第2の電極における電圧印加面積を変えることができる。そして、当該面積を少なくすればキャリアの注入量を減少させることができ、当該面積を増やせばキャリアの注入量を増加させることができる。すなわち、上記構成によれば、キャリアバランスを容易に調整することができる。ここで、注入量が変化するキャリアは、電圧印加面積を変える電極が陽極であれば正孔であり、陰極であれば電子である。また、あるキャリア(正孔又は電子)の注入量を増加させたときに発光輝度が向上すれば、そのキャリアの注入量が相対的に不足していたことが分かり、発光輝度が低下すれば、そのキャリアの注入量が相対的に過剰であったことが分かる。同様に、あるキャリア(正孔又は電子)の注入量を減少させたときに発光輝度が向上すれば、そのキャリアの注入量が相対的に過剰であったことが分かり、発光輝度が低下すれば、そのキャリアの注入量が相対的に不足していたことが分かる。このように、上記構成によれば、キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することが可能となる。そして、キャリアバランスの偏りを解消する方向にキャリアバランスを調整すれば、キャリアバランスの均衡をとることが可能となり、発光効率を向上させることができるとともに、発光寿命を向上させることができる。
上記発光装置において、前記第1の電極は、前記基板上に複数形成された陽極としての画素電極であり、前記第2の電極は、2以上の部分に分割された陰極であって、前記部分のうち少なくとも2つは、複数の前記画素電極に対向するように延設されている構成であってもよい。このような構成によれば、陰極の電圧印加面積を変えることにより、複数の画素電極に対応する複数の発光領域のキャリアバランスを同時に変更することができる。よって、簡単な構成で多数の発光領域のキャリアバランスを調整することができる。
本発明の電子機器は、上記発光装置を備えることを特徴とする。このような構成によれば、高効率の発光が可能な、発光寿命の長い電子機器が得られる。
本発明の発光装置は、基板と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間には駆動電圧が印加され、前記第1の電極又は前記第2の電極のいずれか一方と、前記機能層に含まれるいずれかの層との間にバイアス電圧が印加されることを特徴とする。
このような構成によれば、バイアス電圧の大きさや符号に応じて、バイアス電圧が印加された区間における層間のエネルギー障壁の高さ(仕事関数の差)を変化させることができる。そして、当該エネルギー障壁を高くすればキャリアの注入量を減少させることができ、当該エネルギー障壁を低くすればキャリアの注入量を増加させることができる。これにより、キャリアバランスを容易に調整することができる。ここで、注入量が変化するキャリアは、バイアス電圧を印加する電極が陽極であれば正孔であり、陰極であれば電子である。また、あるキャリア(正孔又は電子)の注入量を増加させたときに発光輝度が向上すれば、そのキャリアの注入量が相対的に不足していたことが分かり、発光輝度が低下すれば、そのキャリアの注入量が相対的に過剰であったことが分かる。同様に、あるキャリア(正孔又は電子)の注入量を減少させたときに発光輝度が向上すれば、そのキャリアの注入量が相対的に過剰であったことが分かり、発光輝度が低下すれば、そのキャリアの注入量が相対的に不足していたことが分かる。このように、上記構成によれば、キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することが可能となる。そして、キャリアバランスの偏りを解消する方向にキャリアバランスを調整すれば、キャリアバランスの均衡をとることが可能となり、発光効率を向上させることができるとともに、発光寿命を向上させることができる。
上記発光装置において、前記第1の電極は陽極であり、前記第2の電極は陰極であり、前記機能層は、前記陽極に隣接する正孔注入層と、前記正孔注入層を挟んで前記陽極の反対側に形成された前記発光層とを含み、前記陽極と前記正孔注入層との間に前記バイアス電圧が印加される構成であってもよい。このような構成によれば、バイアス電圧の大きさや符号に応じて陽極と正孔注入層との間のエネルギー障壁の高さ(仕事関数の差)を変化させることができ、ひいては正孔の注入量を調整することができる。これにより、キャリアバランスの均衡をとることが可能となり、発光効率を向上させることができるとともに、発光寿命を向上させることができる。
本発明の電子機器は、上記発光装置を備えることを特徴とする。このような構成によれば、高効率の発光が可能な、発光寿命の長い電子機器が得られる。
上記電子機器は、前記バイアス電圧を供給する駆動回路と、前記発光装置の発光輝度を測定する検出器と、前記駆動回路及び前記検出器に接続され、前記検出器による発光輝度の測定結果に基づいて、前記駆動回路に対し、前記バイアス電圧を変更させるための信号を送信する制御部と、を備えていてもよい。このような構成によれば、バイアス電圧の変更と発光輝度の測定とを繰り返すことにより、発光輝度が最大となるバイアス電圧を求めることができる。そして、発光輝度が最大となるバイアス電圧が印加された状態は、発光効率が最も高い状態であり、キャリアバランスの偏りのない状態である。すなわち、上記構成の電子機器によれば、自己完結的に発光装置のキャリアバランスの均衡をとることができるので、長期間の使用によってキャリアバランスが崩れたとしても、偏りのないキャリアバランスに復元することができる。これにより、高効率の発光が可能な、発光寿命の長い電子機器が得られる。
本発明のキャリアバランスの検出方法は、基板と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備え、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、前記基板の法線方向から見て前記第1の電極と前記第2の電極とが重なる領域において2以上の部分に分割されている発光装置において、キャリアバランスを検出する方法であって、2以上に分割された前記部分の一部又は全部を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧を印加し、前記発光装置の発光輝度を測定するステップS1と、前記ステップS1とは異なる数の前記部分を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記駆動電圧を印加し、前記発光装置の発光輝度を測定するステップS2と、前記ステップS1及び前記ステップS2における前記発光輝度の大小関係からキャリアバランスを求めるステップS3と、を有することを特徴とする。
このような方法によれば、駆動電圧の印加に際し、第1の電極又は第2の電極における電圧印加面積を変えることができる。そして、当該面積を少なくすればキャリアの注入量を減少させることができ、当該面積を増やせばキャリアの注入量を増加させることができる。すなわち、上記方法によれば、キャリアバランスを容易に調整することができる。ここで、注入量が変化するキャリアは、電圧印加面積を変える電極が陽極であれば正孔であり、陰極であれば電子である。また、ステップS2においては、ステップS1とは異なる数の電極の部分を介して駆動電圧を印加するため、ステップS1とステップS2との間でキャリア(正孔又は電子)の注入量が変わることとなる。以下、ステップS1,S2におけるキャリアの注入量をそれぞれ(C−S1)、(C−S2)で表し、ステップS1,S2における発光輝度をそれぞれ(L−S1)、(L−S2)で表す。そうすると、ステップS3においてキャリアバランスは次のように求まる。すなわち、(C−S1)<(C−S2)の関係がある場合は、(L−S1)<(L−S2)となればステップS1におけるそのキャリアの注入量は不足していたこととなり、(L−S1)>(L−S2)となれば過剰であったこととなる。また、(C−S1)>(C−S2)の関係がある場合は、(L−S1)<(L−S2)となればステップS1におけるそのキャリアの注入量は過剰であったこととなり、(L−S1)>(L−S2)となれば不足していたこととなる。このように、上記方法によれば、キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することができる。
本発明のキャリアバランスの検出方法は、基板と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備えた発光装置においてキャリアバランスを検出する方法であって、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧を印加するとともに、前記第1の電極又は前記第2の電極のいずれか一方と、前記機能層に含まれるいずれかの層との間にバイアス電圧を印加して前記発光装置の発光輝度を測定するステップP1と、前記バイアス電圧を前記ステップP1における値から変化させて前記発光装置の発光輝度を測定するステップP2と、前記ステップP1及び前記ステップP2における前記発光輝度の大小関係からキャリアバランスを求めるステップP3と、を有することを特徴とする。
このような方法によれば、バイアス電圧の大きさや符号に応じて、バイアス電圧が印加された区間における層間のエネルギー障壁の高さ(仕事関数の差)を変化させることができる。そして、当該エネルギー障壁を高くすればキャリアの注入量を減少させることができ、当該エネルギー障壁を低くすればキャリアの注入量を増加させることができる。これにより、キャリアバランスを容易に調整することができる。ここで、注入量が変化するキャリアは、バイアス電圧を印加する電極が陽極であれば正孔であり、陰極であれば電子である。また、ステップP2においては、バイアス電圧の影響によりエネルギー障壁の高さがステップP1とは異なっているため、ステップP1とステップP2との間でキャリア(正孔又は電子)の注入量が変わることとなる。以下、ステップP1,P2におけるキャリアの注入量をそれぞれ(C−P1)、(C−P2)で表し、ステップP1,P2における発光輝度をそれぞれ(L−P1)、(L−P2)で表す。そうすると、ステップP3においてキャリアバランスは次のように求まる。すなわち、(C−P1)<(C−P2)の関係がある場合は、(L−P1)<(L−P2)となればステップP1におけるそのキャリアの注入量は不足していたこととなり、(L−P1)>(L−P2)となれば過剰であったこととなる。また、(C−P1)>(C−P2)の関係がある場合は、(L−P1)<(L−P2)となればステップP1におけるそのキャリアの注入量は過剰であったこととなり、(L−P1)>(L−P2)となれば不足していたこととなる。このように、上記方法によれば、キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
(第1の実施形態)
<有機EL装置>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置1Aの平面図である。図2は、図1中のA−A線における断面図である。
有機EL装置1Aは、光透過性を有する基板10を基体とし、その上に各構成要素が積み上げられた構成となっている。基板10の大きさは、対角1インチ程度である。基板10上には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる光透過性の陽極としての画素電極11が形成されている。画素電極11は、本発明における第1の電極に対応する。画素電極11上には、正孔注入層14、発光層15がこの順に積層されている。以下では、正孔注入層14及び発光層15からなる層を機能層3とも呼ぶ。
機能層3の上には、厚さ約5nmのカルシウム(Ca)及び厚さ約300nmのアルミニウム(Al)の積層体である陰極16が形成されている。換言すれば、陰極16は、機能層3を挟んで画素電極11に対向する位置に形成されている。陰極16は、本発明における第2の電極に対応する。なお、画素電極11、正孔注入層14、発光層15は、図1の平面図において、陰極16の形成領域として示された正方形の領域に形成されている。陰極16は、基板10の法線方向から見て画素電極11と重なる領域において8つの短冊状の部分に分割されている。以下では、陰極16を構成するこれらの短冊状の部分を短冊状電極16aとも呼ぶ。この短冊状電極16aのそれぞれは、互いに独立して駆動電圧を印加される。短冊状電極16aは、それぞれ配線19を介して駆動回路50に接続されている。駆動回路50は、図示しない配線によって画素電極11にも接続されており、画素電極11と陰極16(短冊状電極16a)との間に駆動電圧を印加する。ここで、短冊状電極16aのそれぞれは、互いに独立して駆動電圧を印加される。つまり、駆動回路50は、短冊状電極16aのそれぞれに対し、互いに独立した駆動電圧を印加することができる。
陰極16の上には、水や酸素の侵入を防ぎ、陰極16あるいは機能層3の酸化を防止するための、樹脂等からなる封止部材17が積層されている。
上記正孔注入層14は、導電性高分子材料中にドーパントを含有する導電性高分子層からなる。このような正孔注入層14は、例えば、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有する3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)などから構成することができる。
発光層15は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。画素電極11と陰極16との間に駆動電圧を印加することによって、発光層15には、正孔注入層14から正孔が、また、陰極16から電子が注入される。本明細書では、正孔及び電子を合わせてキャリアとも呼ぶ。発光層15は、これらのキャリアが結合したときに光を発する。発光層15からの発光スペクトルは、材料の発光特性や膜厚に依存する。本実施形態では、発光層15は赤色光を発光し、その主発光波長、すなわち発光スペクトルにおいて発光強度が最大となる波長は約630nmである。
発光層15から図2の下方に射出された光は、そのまま基板10を透過する。発光層15から図2の上方に射出された光は、陰極16によって反射された後に下方へ進み、同じく基板10を透過する。このような構成の有機EL装置1Aは、ボトムエミッション型と呼ばれる。
なお、有機EL装置1Aが、基板10とは反対側に向けて光を射出するトップエミッション型である場合、陰極16は、例えば、薄いカルシウム層と、ITO層などから構成して光透過性をもたせ、画素電極11の下層側には、画素電極11の略全体と重なるようにアルミニウム膜などからなる光反射層を形成する。
以上のような構成の有機EL装置1Aでは、駆動電圧の印加に際し、8つの短冊状電極16aのうちの一部を介して駆動電圧を印加することもできるし、短冊状電極16aの全部を介して駆動電圧を印加することができる。換言すれば、陰極16における電圧印加面積を変えることができる。短冊状電極16aのうちのどれを用いるかは、駆動回路50によって選択することができる。
そして、陰極16における電圧印加面積を少なくすれば発光層15への電子の注入量を減少させることができ、当該面積を増やせば電子の注入量を増加させることができる。すなわち、上記構成の有機EL装置1Aによれば、キャリアバランスを容易に調整することができる。
<キャリアバランスの検出方法>
ここで、有機EL装置1Aにおいてキャリアバランスを検出する方法について説明する。本実施形態におけるキャリアバランスの検出方法は、ステップS1からステップS3の3つのステップを有する。
まず、ステップS1では、8つに分割された陰極16(短冊状電極16a)の一部又は全部を介して駆動電圧を印加し、有機EL装置1Aの発光輝度を測定する。
次に、ステップS2では、ステップS1とは異なる数の短冊状電極16aを介してステップS1と同じ大きさの駆動電圧を印加し、有機EL装置1Aの発光輝度を測定する。ステップS2においては、ステップS1とは異なる数の短冊状電極16aに駆動電圧を印加するため、ステップS1とステップS2との間で発光層15への電子の注入量が変わることとなる。以下、ステップS1,S2における電子の注入量をそれぞれ(C−S1)、(C−S2)で表す。また、ステップS1,S2において測定された発光輝度をそれぞれ(L−S1)、(L−S2)で表す。ステップS2において用いる短冊状電極16aの数は、ステップS1より多くしても良いし、少なくしても良い。前者の場合は(C−S1)<(C−S2)となり、後者の場合は(C−S1)>(C−S2)となる。
続いて、ステップS3では、ステップS1及びステップS2において測定された発光輝度(L−S1)、(L−S2)の大小関係からキャリアバランスを求める。本実施形態では、以下のようにして行う。すなわち、(C−S1)<(C−S2)の関係がある場合は、(L−S1)<(L−S2)となればステップS1における電子の注入量は不足していたこととなり、(L−S1)>(L−S2)となれば過剰であったこととなる。このように判断できる理由は次の通りである。まず、発光輝度が向上することは、発光効率が向上すること、ひいてはキャリアバランスの均衡がとれていくことと等価であり、逆に発光輝度が減少することは、発光効率が低下すること、ひいてはキャリアバランスの均衡が崩れていくことと等価である。したがって、電子の注入量を増やすとともに発光輝度が向上したとすれば、注入量の増加によってキャリアバランスが改善されていることとなるので、元の状態における電子の注入量が不足していたことがわかる。また、電子の注入量を増やすとともに発光輝度が減少したとすれば、注入量の増加によってキャリアバランスが悪化していることとなるので、元の状態における電子の注入量が過剰であったこととなる。
同様の考え方から、(C−S1)>(C−S2)の関係がある場合は、(L−S1)<(L−S2)となればステップS1における電子の注入量は過剰であったこととなり、(L−S1)>(L−S2)となれば不足していたこととなる。このように、上記方法によれば、キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することができる。この結果に基づいて、キャリアバランスの偏りを解消する方向にキャリアバランスを調整すれば、キャリアバランスの均衡をとることが可能となり、有機EL装置1Aの発光効率を向上させることができるとともに、発光寿命を向上させることができる。
なお、有機EL装置1Aを様々な製造条件で製造し、TEG(Test Element Groups)とすることもできる。これらのTEGのそれぞれにおいてキャリアバランスを検出すれば、上記製造条件とキャリアバランスとの相関関係を把握することができ、この相関関係から、キャリアバランスの均衡がとれる製造条件を見出すことができる。そして、その製造条件にて電子機器等の製品を製造することにより、キャリアバランスの均衡のとれた電子機器を製造することが可能となる。
<変形例1−1>
上記実施形態は、陰極16を8つの部分に分割するものであるが、この分割数は任意であり、例えば10本以上としたり、100本以上としたりすることもできる。分割数を増やすことで、駆動電圧を印加する面積をより細かく調整することができるので、電子の注入量もより細かく調整することができる。これにより、キャリアバランスをより精密に調整することができる。
分割数を増やす場合には、機能層3に、抵抗の高いものを用いることが好ましい。機能層3に抵抗の高いものを用いれば、駆動電圧が印加されていない短冊状電極16aの上の機能層3にも電流が流れてキャリアが移動してしまう不具合を防止することができる。したがって、陰極16の分割数は、機能層3の抵抗との兼ね合いで決めることが好ましい。つまり、機能層3を介して隣接する短冊状電極16aに電流が流れない程度に陰極16を分割することが好ましい。
<変形例1−2>
上記実施形態は、陰極16を分割するものであるが、これに代えて、画素電極11を分割する構成としてもよい。この場合には、画素電極11において駆動電圧の印加に用いる面積を変えることとなるので、正孔の注入量を調整することができる。このように正孔の注入量を調整することによっても、上記実施形態と同様にキャリアバランスを検出すること、ひいてはキャリアバランスを調整することができる。さらには、陰極16及び画素電極11をともに分割する構成とすることもできる。このような構成によれば、より細かくキャリアバランスを調整することができるため、より精密にキャリアバランスの偏りを是正することができる。
(第2の実施形態)
<有機EL装置>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置1Bの平面図である。図4は、図3中の領域Bの拡大図であり、図5は、図3中のC−C線における断面図である。有機EL装置1Bは、第1の実施形態の有機EL装置1Aと同様に、分割された陰極16を有し、電子の注入量を調整可能な有機EL装置である。また、有機EL装置1Bは、電子機器としての画像形成装置に用いられる潜像書き込みヘッドモジュール101(図6参照)に、ラインヘッドとして組み込むことができる。以下、有機EL装置1Bについて、図1、図2の有機EL装置1Aと異なる点を中心に説明する。なお、図1、図2の実施形態と同じ要素には同じ符号を付して示すことにして、その説明は省略する。
図3に示すように、有機EL装置1Bは、基板10を基体として構成されている。基板10は、ガラス基板や石英基板等の上に公知の技術を用いてTFT(Thin Film Transistor)素子や各種配線(TFT素子を駆動するためのデータ線、走査線等)、絶縁膜等が形成された、いわゆるTFT素子基板である。基板10には、複数の円形の発光領域5が設けられている。発光領域5は、基板10の長手方向に沿って列をなすように等間隔に形成されている。そして、この発光領域5の列は、基板10上に2列に配列されている。また、各発光領域5は、隣接する他方の列の発光領域5に対して基板10の長手方向について半ピッチだけずれるようにして配置されている。つまり、発光領域5は、千鳥状に配列されている。有機EL装置1Bは、発光領域5において発光を行う。
図5の断面図に示すように、有機EL装置1Bは、基板10を基体とし、その上に各構成要素が積み上げられた構成となっている。基板10上には、ITOからなる光透過性の陽極としての画素電極11が発光領域5ごとに形成されている。画素電極11は、図3の平面図において、発光領域5として示された円より一回り大きな領域に形成されている。この画素電極11は、基板10に形成されたTFT素子に接続されている。
また、基板10上には、無機材料からなる無機バンク12が形成されている。無機バンク12は、画素電極11の周りを囲うようにして配置されており、基板10の法線方向から見て、一部が画素電極11の外縁部に重なった状態に形成されている。換言すれば、無機バンク12は、画素電極11より小さな開口部12aを有して、画素電極11に重ねて配置されている。そして、この開口部12aは、発光領域5に対応する領域に設けられている。
有機EL装置1Bは、発光領域5においてのみ発光し、無機バンク12が形成された領域においては発光は行われない。これは、図5に示すように、当該領域では、画素電極11(陽極)と陰極16との間に絶縁物質である無機バンク12が配置されていることにより、両電極間の電流経路が遮断されるためである。
画素電極11及び無機バンク12の上には、正孔注入層14、発光層15からなる機能層3が形成されている。機能層3上には、陰極16、封止部材17がこの順に積層されている。陰極16は、図4に示されているように、複数の短冊状の部分(短冊状電極16a)に分割されている。そして、短冊状電極16aは、複数の発光領域5にまたがるように1つながりに形成されている。より詳しくは、各短冊状電極16aは、同一線上に並んだすべての発光領域5にかかるように形成されている。換言すれば、各短冊状電極16aは、複数の画素電極11に対向するように延設されている。
以上のような構成の有機EL装置1Bでは、駆動電圧の印加に際し、複数に分割された短冊状電極16aのうちの一部を介して駆動電圧を印加することもできるし、短冊状電極16aの全部を介して駆動電圧を印加することができる。換言すれば、陰極16における電圧印加面積を変えることができる。そして、陰極16における電圧印加面積を少なくすれば発光層15への電子の注入量を減少させることができ、当該面積を増やせば電子の注入量を増加させることができる。すなわち、上記構成の有機EL装置1Bによれば、キャリアバランスを容易に調整することができる。また、第1の実施形態と同様の方法により、キャリアバランスを検出することができる。この結果に基づいて、キャリアバランスの偏りを解消する方向にキャリアバランスを調整すれば、キャリアバランスの均衡をとることが可能となり、有機EL装置1Bの発光効率を向上させることができるとともに、発光寿命を向上させることができる。さらに、各短冊状電極16aは、同一線上に並んだすべての発光領域5にかかるように形成されているため、選択する短冊状電極16aの数を変えることにより、複数の画素電極11に対応する複数の発光領域5のキャリアバランスを同時に変更することができる。よって、簡単な構成で多数の発光領域5のキャリアバランスを調整することができる。
<電子機器への適用>
本実施形態の有機EL装置1Bは、電子機器としての画像形成装置に搭載して用いることができる。より詳しくは、有機EL装置1Bは、画像形成装置に含まれる潜像書き込みヘッドモジュールに組み込んで用いることができる。
図6は、有機EL装置1Bをラインヘッドとして搭載した潜像書き込みヘッドモジュール101の斜視図である。潜像書き込みヘッドモジュール101は、円柱状の感光体ドラム41と平行に、これと対向した状態で用いられる。潜像書き込みヘッドモジュール101は、感光体ドラム41と平行な方向に配設された箱体43と、感光体ドラム41と箱体43との間に位置するように箱体43に取り付けられた光学部材38とを備えている。箱体43は、感光体ドラム41側に開口部を有しており、その開口部に向かって光が射出されるように有機EL装置1Bが固定されている。
また、図7の断面図に示すように、光学部材38は、有機EL装置1Bと対向する位置に備えられている。この光学部材38は、内部にセルフォック(登録商標)レンズアレイ39を備えており、有機EL装置1Bの発光領域5から射出され、一端に入射した光を、他端側から射出して感光体ドラム41の表面で集光、照射(露光)する。これにより、一様に帯電した感光体ドラム41の表面に静電潜像を形成することができる。感光体ドラム41を備えた画像形成装置(不図示)は、静電潜像の形成領域にトナーを付着させ、これを記録媒体に転写、定着させることで記録媒体上に画像を形成する。
このような構成によれば、高効率の発光が可能な、発光寿命の長い潜像書き込みヘッドモジュール101が得られ、ひいては高品位な画像を形成可能な画像形成装置が得られる。
<変形例2−1>
本発明は、上記したラインヘッド用の有機EL装置1B以外にも種々の発光装置に適用することができる。例えば、赤、緑、青の発光が可能な画素を多数備えた表示装置用の発光装置等にも適用することができる。
(第3の実施形態)
<有機EL装置>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置1Cの断面図である。有機EL装置1Cの平面形状は特に図示していないが、任意の形状とすることができ、例えば図1の有機EL装置1Aと同様に、対角1インチ程度の矩形の形状とすることができる。
有機EL装置1Cは、光透過性を有する基板10を基体とし、その上に各構成要素が積み上げられた構成となっている。基板10上には、シリコン酸化膜(SiO2)等からなる層間絶縁層30が形成されており、層間絶縁層30の上には、ITOからなる光透過性の陽極としての画素電極11が形成されている。画素電極11は、層間絶縁層30に設けられたコンタクトホールを介して、基板10上に形成された配線24に接続されている。画素電極11上には、正孔注入層14、発光層15がこの順に積層されており、機能層3を形成している。このうち正孔注入層14は、層間絶縁層30に設けられたコンタクトホールを介して、基板10上に形成された配線26に接続されている。
機能層3の上には、陰極16が形成されている。換言すれば、陰極16は、機能層3を挟んで画素電極11に対向する位置に形成されている。陰極16の上には、水や酸素の侵入を防ぎ、陰極16あるいは機能層3の酸化を防止するための、樹脂等からなる封止部材17が積層されている。なお、画素電極11は、本発明における第1の電極に対応し、陰極16は、本発明における第2の電極に対応する。
図9は、有機EL装置1Cの電気的な構成を示した模式図である。この図に示すように、画素電極11、正孔注入層14、発光層15、陰極16は直列に接続される関係にあるとともに、画素電極11と陰極16との間に駆動電圧が印加される構成となっている。これとは別に、画素電極11と正孔注入層14との間にバイアス電圧を印加可能な構成となっている。
以上のような構成の有機EL装置1Cにおいて、配線24と陰極16との間、すなわち画素電極11と陰極16との間に駆動電圧が印加されると、発光層15には、正孔注入層14から正孔が、また陰極16から電子がそれぞれ注入され、これらが結合する際に発光層15において発光が行われる。
このとき、配線24と配線26との間に電圧を印加することにより、画素電極11と正孔注入層14との間に任意の符号、大きさのバイアス電圧を印加することができる。これにより、バイアス電圧の大きさや符号に応じて、画素電極11と正孔注入層14との間のエネルギー障壁の高さ(仕事関数の差)を変化させることができる。そして、当該エネルギー障壁を高くすれば正孔の注入量を減少させることができ、当該エネルギー障壁を低くすれば正孔の注入量を増加させることができる。これにより、キャリアバランスを容易に調整することができる。
<キャリアバランスの検出方法>
ここで、有機EL装置1Cにおいてキャリアバランスを検出する方法について説明する。本実施形態におけるキャリアバランスの検出方法は、ステップP1からステップP3の3つのステップを有する。
まず、ステップP1では、画素電極11と正孔注入層14との間に駆動電圧を印加するとともに、画素電極11と正孔注入層14との間にバイアス電圧を印加して、有機EL装置1Cの発光輝度を測定する。
次に、ステップP2では、バイアス電圧をステップP1における値から変化させて有機EL装置1Cの発光輝度を測定する。ステップP2においては、ステップP1とは上記したエネルギー障壁の高さが異なるため、ステップP1とステップP2との間で発光層15への正孔の注入量が変わることとなる。以下、ステップP1,P2における正孔の注入量をそれぞれ(C−P1)、(C−P2)で表す。また、ステップP1,P2において測定された発光輝度をそれぞれ(L−P1)、(L−P2)で表す。ステップP2における画素電極11と正孔注入層14との間のエネルギー障壁は、ステップP1より低くしても良いし、高くしても良い。前者の場合は(C−P1)<(C−P2)となり、後者の場合は(C−P1)>(C−P2)となる。
続いて、ステップP3では、ステップP1及びステップP2において測定された発光輝度(L−P1)、(L−P2)の大小関係からキャリアバランスを求める。本実施形態では、以下のようにして行う。すなわち、(C−P1)<(C−P2)の関係がある場合は、(L−P1)<(L−P2)となればステップP1における電子の注入量は不足していたこととなり、(L−P1)>(L−P2)となれば過剰であったこととなる。同様に、(C−P1)>(C−P2)の関係がある場合は、(L−P1)<(L−P2)となればステップP1における電子の注入量は過剰であったこととなり、(L−P1)>(L−P2)となれば不足していたこととなる。このように判断できる理由は、第1の実施形態と同様である。
このように、上記方法によれば、キャリアバランスがどちらに偏っているのかを容易に検出することができる。この結果に基づいて、キャリアバランスの偏りを解消する方向にキャリアバランスを調整すれば、キャリアバランスの均衡をとることが可能となり、有機EL装置1Cの発光効率を向上させることができるとともに、発光寿命を向上させることができる。
なお、有機EL装置1Cを様々な製造条件で製造し、TEGとすることもできる。これらのTEGのそれぞれにおいてキャリアバランスを検出すれば、上記製造条件とキャリアバランスとの相関関係を把握することができ、この相関関係から、キャリアバランスの均衡がとれる製造条件を見出すことができる。そして、その製造条件にて電子機器等の製品を製造することにより、キャリアバランスの均衡のとれた電子機器を製造することが可能となる。
<変形例3−1>
上記実施形態は、画素電極11と正孔注入層14との間にバイアス電圧を印加するものであるが、本発明の実施に当たってはこの構成に限定されない。バイアス電圧は、陽極としての画素電極11又は陰極16のいずれか一方と、機能層3に含まれるいずれかの層(すなわち正孔注入層14又は発光層15)との間に印加すれば足りる。こうした構成によれば、バイアス電圧の大きさや符号に応じて、バイアス電圧が印加された区間における層間のエネルギー障壁の高さ(仕事関数の差)を変化させることができるので、これに応じてキャリアの注入量を増減させることができ、ひいてはキャリアバランスを調整することができる。
ここで、上記において機能層3は、少なくとも発光層15を含んでいればよく、本実施形態で用いた正孔注入層14の他に、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔移動制御層、電子移動制御層等を適宜積層させてもよい。
(第4の実施形態)
<有機EL装置>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。図10は、本実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置1Dの拡大平面図である。図11は、図10中のD−D線における断面図である。有機EL装置1Dは、第3の実施形態の有機EL装置1Cと同様に、画素電極11と正孔注入層14との間にバイアス電圧を印加可能な構成となっている。以下、有機EL装置1Dについて、図8の有機EL装置1Cと異なる点を中心に説明する。なお、図8の実施形態と同じ要素には同じ符号を付して示すことにして、その説明は省略する。
図10に示すように、有機EL装置1Dは、基板10上に、格子状に配置された有機バンク13を有している。そして、有機バンク13が形作る、マトリクス状に分布した矩形領域のそれぞれに、発光層15が形成されている。より詳しくは、発光層15は、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光をそれぞれ行う発光層15R,15G,15Bからなる。発光層15は、同一の色に対応するものが図の縦方向に並ぶように配置されている。この列を画素列と呼ぶ。有機EL装置1は、赤、緑、青に対応する画素列を複数備えており、これらの画素列は赤、緑、青の順に繰り返し配列され、ストライプ状をなしている。有機EL装置1Dは、これら各発光層15による発光よってカラー表示を行うことができる。
図11の断面図に示すように、有機EL装置1Dは、基板10を基体として構成されている。基板10上にはシリコン酸化膜(SiO2)等からなる下地保護膜31が形成されている。下地保護膜31上には、TFT素子27が形成されている。
より詳しくは、下地保護膜31上に、ポリシリコン膜からなる半導体膜36が島状に形成されている。半導体膜36には不純物の導入によってソース領域、ドレイン領域が形成され、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域となっている。下地保護膜31及び半導体膜36の上には、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜32が形成され、ゲート絶縁膜32上には、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)等からなるゲート電極37が形成されている。ゲート電極37及びゲート絶縁膜32の上には、第1層間絶縁膜33と第2層間絶縁膜34とがこの順に積層されている。ここで、第1層間絶縁膜33及び第2層間絶縁膜34は、シリコン酸化膜(SiO2)、チタン酸化膜(TiO2)などの無機絶縁膜から構成されている。
第1層間絶縁膜33の上層には、共通給電線25及び配線26が形成されている。共通給電線25は、第1層間絶縁膜33及びゲート絶縁膜32を貫通して設けられたコンタクトホールを介して半導体膜36のソース領域に接続されている。
第2層間絶縁膜34上には、厚さ約50〜150nmのITOからなる光透過性の陽極としての画素電極11が形成されている。画素電極11は、第2層間絶縁膜34、第1層間絶縁膜33、ゲート絶縁膜32を貫通して設けられたコンタクトホールを介して半導体膜36のドレイン領域に電気的に接続されている。こうした構成において、TFT素子27は、ゲート電極37への電圧の供給によってオン/オフが切り換わり、オン状態となった場合には、共通給電線25から画素電極11へ駆動電流を流す働きをする。
画素電極11の周りには、当該画素電極11を底部とする凹部を形作るように、親液性を有する無機材料からなる無機バンク12、及び撥水性を有する有機材料からなる有機バンク13がこの順に積層されている。
無機バンク12は、画素電極11の周りを囲うようにして第2層間絶縁膜34上に配置されており、基板10の法線方向から見て、一部が画素電極11の外縁部に重なった状態に形成されている。換言すれば、無機バンク12は、画素電極11より小さな開口部12aを有して、画素電極11に重ねて配置されている。無機バンク12は、シリコン酸化膜等の無機絶縁膜からなり、その厚さは約50〜100nmである。
無機バンク12上には、ポリイミドやアクリル樹脂等からなる有機バンク13が形成されている。有機バンク13は、後述する正孔注入層14及び発光層15を形成するにあたって液滴吐出法によって機能液を吐出する際、吐出された機能液の塗布領域を規定するものである。
上記画素電極11、無機バンク12、有機バンク13によって形作られる凹部には、液滴吐出法によって形成された正孔注入層14及び発光層15(発光層15R,15G,15Bのうちのいずれか一つ)がこの順に配置されており、機能層3を構成している。ここで、正孔注入層14は、無機バンク12及び第2層間絶縁膜34を貫通して設けられたコンタクトホールを介して配線26に接続されている。発光層15及び有機バンク13の上には、これらを覆うように、カルシウム(Ca)及びアルミニウム(Al)の積層体である陰極16が形成されている。陰極16の上には、樹脂等からなる封止部材17が積層されている。
ここで、上記した液滴吐出法とは、有機発光材料等の機能物質が溶解又は分散された機能液の液滴を吐出し、その後、吐出された機能液を乾燥させて溶媒を蒸発させ、機能物質の層を形成する手法である。液滴吐出法には、インクジェット法などが含まれる。
有機EL装置1Dにおいても、画素電極11から陰極16までの電気的な構成は、第3の実施形態に係る有機EL装置1Cと同様である(図9参照)。すなわち、画素電極11、正孔注入層14、発光層15、陰極16は直列に接続される関係にあり、画素電極11と陰極16との間に駆動電圧が印加されるとともに、画素電極11と正孔注入層14との間にバイアス電圧を印加可能な構成となっている。バイアス電圧の印加は、共通給電線25と配線26との間に電位差を設けることで行う。
以上のような構成の有機EL装置1Dにおいて、画素電極11と陰極16との間に駆動電圧が印加されると、発光層15には、正孔注入層14から正孔が、また陰極16から電子がそれぞれ注入され、これらが結合する際に発光層15において発光が行われる。
このとき、共通給電線25と配線26との間に電圧を印加することにより、画素電極11と正孔注入層14との間に任意の符号、大きさのバイアス電圧を印加することができる。これにより、バイアス電圧の大きさや符号に応じて、画素電極11と正孔注入層14との間のエネルギー障壁の高さ(仕事関数の差)を変化させることができる。そして、当該エネルギー障壁を高くすれば正孔の注入量を減少させることができ、当該エネルギー障壁を低くすれば正孔の注入量を増加させることができる。これにより、キャリアバランスを容易に調整することができる。また、第3の実施形態と同様の方法により、キャリアバランスを検出することができる。この結果に基づいて、キャリアバランスの偏りを解消する方向にキャリアバランスを調整すれば、キャリアバランスの均衡をとることが可能となり、有機EL装置1Dの発光効率を向上させることができるとともに、発光寿命を向上させることができる。
<電子機器への適用>
有機EL装置1Dは、種々の電子機器に表示装置として搭載して用いることができる。図12は、その際の構成の一例を示したブロック図である。この図において、有機EL装置1Dには、駆動回路51と、本発明における検出器としての輝度検出器52とが接続されている。また、駆動回路51及び輝度検出器52には、制御部53が接続されている。
駆動回路51は、有機EL装置1Dに対して駆動電圧及びバイアス電圧を供給する。駆動回路51は、例えばドライバIC等から構成することができる。輝度検出器52は、有機EL装置1Dの発光輝度を測定し、測定結果を反映した輝度データを制御部53に送信する。制御部53は、輝度検出器52から受信した輝度データ(すなわち輝度検出器52による発光輝度の検出結果)に基づいて、駆動回路51に対し、バイアス電圧を変更させるための信号を送信する。また、制御部53は、輝度検出器52に対して、輝度測定を実行させるための信号を送信する。なお、駆動回路51と制御部53とは、同一の装置によって実現させてもよい。
これらの構成要素を用いると、制御部53による制御の下で、バイアス電圧を変化させながら、有機EL装置1Dの発光輝度をモニターすることができる。そして、有機EL装置1Dの発光輝度が最大となるタイミングでモニター動作を停止させれば、有機EL装置1Dの発光効率を最大にするバイアス電圧を求めることができる。これは、キャリアバランスの偏りを最も小さくするバイアス電圧に他ならない。したがって、上記構成の電子機器によれば、自己完結的に有機EL装置1Dのキャリアバランスの均衡をとることができる。よって、長期間の使用によってキャリアバランスが崩れたとしても、偏りのないキャリアバランスに復元することができる。これにより、高効率の発光が可能な、発光寿命の長い電子機器が得られる。
有機EL装置1D(有機EL装置1Dに駆動回路51、輝度検出器52、制御部53を加えた装置を含む。以下同じ。)は、例えば、図13に示すような電子機器としての携帯電話機100に搭載して用いることができる。携帯電話機100は、表示部110及び操作ボタン120を有している。表示部110は、内部に組み込まれた有機EL装置1Dによって、操作ボタン120で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について、高効率の発光による高品位な表示を行うことができる。
また、有機EL装置1Dは、図14に示すような電子機器としてのディスプレイ200に搭載して用いることができる。ディスプレイ200は、表示部210を備えており、当該表示部210に組み込まれた有機EL装置1Dによって、高効率の発光による高品位な表示を行うことができる。
なお、本発明を適用した有機EL装置1Dは、上記携帯電話機100及びディスプレイ200の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
第1の実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置の平面図。 図1中のA−A線における断面図。 第2の実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置の平面図。 図3中の領域Bの拡大図。 図3中のC−C線における断面図。 有機EL装置をラインヘッドとして搭載した潜像書き込みヘッドモジュールの斜視図。 潜像書き込みヘッドモジュールの断面図。 第3の実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置の断面図。 有機EL装置の電気的な構成を示した模式図。 第4の実施形態に係る、発光装置としての有機EL装置の拡大平面図。 図10中のD−D線における断面図。 電子機器の構成の一例を示したブロック図。 電子機器としての携帯電話機の斜視図。 電子機器としてのディスプレイの斜視図。
符号の説明
1A,1B,1C,1D…発光装置としての有機EL装置、3…機能層、10…基板、11…第1の電極としての画素電極、12…無機バンク、13…有機バンク、14…正孔注入層、15…発光層、16…第2の電極としての陰極、17…封止部材、100…携帯電話機、200…ディスプレイ。

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された第1の電極と、
    前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、
    前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備え、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、前記基板の法線方向から見て前記第1の電極と前記第2の電極とが重なる領域において2以上の部分に分割され、前記部分のそれぞれは、互いに独立して駆動電圧を印加されることを特徴とする発光装置。
  2. 請求項1に記載の発光装置であって、
    前記第1の電極は、前記基板上に複数形成された陽極としての画素電極であり、
    前記第2の電極は、2以上の部分に分割された陰極であって、前記部分のうち少なくとも2つは、複数の前記画素電極に対向するように延設されていることを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1又は2に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
  4. 基板と、
    前記基板上に形成された第1の電極と、
    前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、
    前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備え、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間には駆動電圧が印加され、
    前記第1の電極又は前記第2の電極のいずれか一方と、前記機能層に含まれるいずれかの層との間にバイアス電圧が印加されることを特徴とする発光装置。
  5. 請求項4に記載の発光装置であって、
    前記第1の電極は陽極であり、
    前記第2の電極は陰極であり、
    前記機能層は、前記陽極に隣接する正孔注入層と、前記正孔注入層を挟んで前記陽極の反対側に形成された前記発光層とを含み、
    前記陽極と前記正孔注入層との間に前記バイアス電圧が印加されることを特徴とする発光装置。
  6. 請求項4又は5に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項6に記載の電子機器であって、
    前記バイアス電圧を供給する駆動回路と、
    前記発光装置の発光輝度を測定する検出器と、
    前記駆動回路及び前記検出器に接続され、前記検出器による発光輝度の測定結果に基づいて、前記駆動回路に対し、前記バイアス電圧を変更させるための信号を送信する制御部と、
    を備えることを特徴とする電子機器。
  8. 基板と、
    前記基板上に形成された第1の電極と、
    前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、
    前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備え、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、前記基板の法線方向から見て前記第1の電極と前記第2の電極とが重なる領域において2以上の部分に分割されている発光装置において、キャリアバランスを検出する方法であって、
    2以上に分割された前記部分の一部又は全部を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧を印加し、前記発光装置の発光輝度を測定するステップS1と、
    前記ステップS1とは異なる数の前記部分を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記駆動電圧を印加し、前記発光装置の発光輝度を測定するステップS2と、
    前記ステップS1及び前記ステップS2における前記発光輝度の大小関係からキャリアバランスを求めるステップS3と、
    を有することを特徴とするキャリアバランスの検出方法。
  9. 基板と、
    前記基板上に形成された第1の電極と、
    前記第1の電極上に形成された、発光層を含む機能層と、
    前記機能層を挟んで前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、を備えた発光装置においてキャリアバランスを検出する方法であって、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧を印加するとともに、前記第1の電極又は前記第2の電極のいずれか一方と、前記機能層に含まれるいずれかの層との間にバイアス電圧を印加して前記発光装置の発光輝度を測定するステップP1と、
    前記バイアス電圧を前記ステップP1における値から変化させて前記発光装置の発光輝度を測定するステップP2と、
    前記ステップP1及び前記ステップP2における前記発光輝度の大小関係からキャリアバランスを求めるステップP3と、
    を有することを特徴とするキャリアバランスの検出方法。
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