JP2007248392A - ガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2007248392A
JP2007248392A JP2006075321A JP2006075321A JP2007248392A JP 2007248392 A JP2007248392 A JP 2007248392A JP 2006075321 A JP2006075321 A JP 2006075321A JP 2006075321 A JP2006075321 A JP 2006075321A JP 2007248392 A JP2007248392 A JP 2007248392A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas sensor
titania
sensor element
powder
anatase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006075321A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4624946B2 (ja
Inventor
Seiho Takagi
正峰 高木
Daisuke Yamada
大介 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2006075321A priority Critical patent/JP4624946B2/ja
Publication of JP2007248392A publication Critical patent/JP2007248392A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4624946B2 publication Critical patent/JP4624946B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

【課題】被毒防止層の剥離が抑制されたガスセンサ素子を製造するための製造方法を提供すること。
【解決手段】粒度分布のピークが1μm以下に調整されたアナターゼ型チタニア粉末と、粒度分布のピークが10μm以上に調整されたチタニア粉末以外のセラミック粉末とを含む被毒防止層用ペーストを電極保護層4の表面に塗布し、成形体を作成する塗布工程と、前記成形体を熱処理して前記アナターゼ型チタニア粉末に由来するアナターゼ型チタニアの一部をルチル型チタニアに転移させるようにして被毒防止層5を形成する熱処理工程と、を有し、前記熱処理工程では、アナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移量が1.5重量%以上、85重量%以下となるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は酸素濃度を検出するために用いられるガスセンサ素子の製造方法およびそれを用いたガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサに関する。
従来、ガスセンサ素子を備えるガスセンサを空燃比センサ等として排気ガスに晒した場合、ガスセンサ素子の外周面に設けられた電極が鉛、リン、ケイ素等の被毒物質により被毒し、経時的に劣化して十分な起電力が得られなくなる。
このような電極の劣化という課題に対しては、例えば電極上に形成される電極保護層上に、鉛トラップ層等の被毒防止層を形成する方法が知られている。被毒防止層としては、例えばγ−アルミナやδ−アルミナ等のセラミック材を含むペーストを保護層上に所定の厚さで塗布し、500〜700℃で焼成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、被毒防止層としては、例えば白金等の鉛トラップ物質を含むものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、被毒しやすいのが低温域であることから、特に低温域での被毒を防止するものとして、例えば粒径の大きなセラミック粉末の周囲を粒径の小さなセラミック粉末で覆った複合粉末を用いる方法が知られている。このような粒径の大きなセラミック粉末と粒径の小さなセラミック粉末との組み合わせ方としては、チタニア粉末とチタニア粉末以外の組み合わせ、チタニア粉末同士の組み合わせが知られている。そして、チタニア粉末を粒径の小さなセラミック粉末として用いる場合はアナターゼ型が好ましく、粒径の大きなセラミック粉末として用いる場合はルチル型が好ましいことが知られている。
また、このような被毒防止層は、例えば上記したような複合粉末にアルミナゾル等の無機バインダや溶媒等を加えて調製されたペーストを電極保護層上に塗布し、乾燥させることにより形成されている。さらに、このような被毒防止層が形成されたガスセンサ素子は保護管ソケットに取り付けてガスセンサとした後、製造工程中に付着した油分等を除去するため、一般に500℃程度で加熱処理が行われる(例えば、特許文献3参照。)。
特開昭62−187245号公報 特開平09−113480号公報 特開2002−195977号公報
上記したように、被毒防止層については、被毒物質による電極の被毒を抑制するため各種の方法が試みられている。しかしながら、このような被毒防止層については、未だ剥離等が発生しやすいという課題がある。すなわち、被毒防止層は多孔性であるために水分を吸収しやすく、この吸収された水分が凍結と解凍を繰り返した際に過大な負荷が加わり剥離が発生する。このような現象は、特に寒冷地等での使用の際に多く見受けられる。また、急激な温度変化による熱収縮によっても、電極保護層と被毒防止層との間に過大な負荷が加わり、被毒防止層の剥離が発生する。
本発明は上記したような課題を解決するためになされたものであって、被毒防止層の剥離が抑制されたガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサを提供することを目的としている。
本発明のガスセンサ素子の製造方法は、有底筒状の固体電解質体と、該固体電解質体の外周面に形成された電極と、該電極の表面に形成された電極保護層と、該電極保護層の表面に形成された被毒防止層とを有するガスセンサ素子の製造方法において、粒度分布のピークが1μm以下に調整されたアナターゼ型チタニア粉末と、粒度分布のピークが10μm以上に調整されたチタニア粉末以外のセラミック粉末とを含む被毒防止層用ペーストを前記電極保護層の表面に塗布し、成形体を作成する塗布工程と、前記成形体を熱処理して前記アナターゼ型チタニア粉末に由来するアナターゼ型チタニアの一部をルチル型チタニアに転移させるようにして前記被毒防止層を形成する熱処理工程と、を有し、前記熱処理工程では、アナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移量が1.5重量%以上、85重量%以下となることを特徴とするものである。
本発明のガスセンサ素子の製造方法においては、前記熱処理工程では、アナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移量が2.0重量%以上、80重量%以下となることが好ましい。また、前記熱処理工程は、空気過剰率λ=0.7以上、1.0以下で行われることが好ましい。
本発明のガスセンサの製造方法は、ガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を取り囲むケーシングとを有するガスセンサの製造方法であって、該ガスセンサ素子が上記したような本発明のガスセンサ素子の製造方法によって製造されたガスセンサ素子であることを特徴とするものである。
本発明のガスセンサ素子は、有底筒状の固体電解質体と、該固体電解質体の外周面に形成された電極と、該電極の表面に形成された電極保護層と、該電極保護層の表面に形成された被毒防止層とを有するガスセンサ素子であって、前記被毒防止層は、粒度分布のピークが1μm以下に調整されたアナターゼ型チタニア粉末と、粒度分布のピークが10μm以上に調整されたチタニア粉末以外のセラミック粉末とを含む被毒防止層用ペーストを前記電極保護層の表面に塗布し、熱処理して前記アナターゼ型チタニア粉末に由来するアナターゼ型チタニアの一部をルチル型チタニアに転移されてなり、該ルチル型チタニアが1.5重量%以上、85重量%以下含有されてなることを特徴とするものである。
本発明のガスセンサ素子においては、前記ルチル型チタニアが2.0重量%以上、80重量%以下含有されてなることが好ましい。
本発明のガスセンサは、ガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を取り囲むケーシングとを有するガスセンサであって、該ガスセンサ素子が上記したような本発明のガスセンサ素子であることを特徴とするものである。
本発明によれば、アナターゼ型チタニア粉末と、チタニア粉末以外のセラミック粉末とを含む被毒防止層用ペーストを電極保護層の表面に塗布した後、このアナターゼ型チタニア粉末に由来するアナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移量が1.5重量%以上、85重量%以下となるように熱処理を行い被毒防止層を形成することで、被毒防止層の剥離が抑制されたガスセンサ素子を容易に製造することが可能となる。
また、本発明によれば、上記したようにして製造されたガスセンサ素子を用いてガスセンサを製造することで、ガスセンサ素子における被毒防止層の剥離が抑制され、被毒による応答性の低下が抑制されたガスセンサを容易に製造することが可能となる。
以下、本発明について説明する。
図1は、本発明のガスセンサ素子1の一例を示した平面図である。また、図2は、図1に示すガスセンサ素子1の先端部(底部)1sを示した断面図である。本発明のガスセンサ素子1は、例えば、有底筒状の固体電解質体2の外表面2hのうち、鍔部2gの先端側テーパ部2iよりも先端部1s側に検知電極3が形成されている。さらに、検知電極3の表面上のうち、鍔部2gよりも先端部1s側に電極保護層4が形成されている。さらに、電極保護層4の表面上のうち、電極保護層4の後端よりも先端部1s側に被毒防止層5が形成されている。また、鍔部2gを含み、これよりも後端部(開口部)1e側には、検知電極3と電気的に接続される細線状のリード部6が形成され、さらにその後端部(開口部)1e側には、固体電解質体2を周方向に一周する端子接続部7が形成されている。一方、固体電解質体2の内表面には電極(基準電極)8が形成されている。
固体電解質体としては、例えばイットリア(Y)ないしカルシア(CaO)を固溶させたジルコニア(ZrO)が代表的なものであるが、それ以外のアルカリ土類金属ないし希土類金属の酸化物とジルコニアとの固溶体であってもよく、さらにはベースとなるジルコニアにハフニア(HfO)が含有されたものであってもよい。この固体電解質体2は、例えばイットリア(Y)粉末等を含むジルコニア粉末を所定の形状に加圧成形した後、所定の温度で焼成してなるものである。
検知電極3は、例えば白金(Pt)やその合金等の貴金属からなるものであり、無電解メッキ法等のメッキ法によって形成されるものである。電極保護層4はスピネル(MgAl)等からなるものであって、スピネル(MgAl)等の粉末をプラズマ溶射法等の溶射法により塗着させてなるものである。このように電極保護層4を溶射法により形成されたものとすることで、その表面に形成される被毒防止層5の食いつきを良くし、剥離を抑制することができる。なお、これら固体電解質体2、その外表面2hに形成される検知電極3、電極保護層4、内表面に形成される基準電極8は、従来のガスセンサ素子と同様の構造とすることができ、その製造方法も従来と同様のものとすることができる。
次に、本発明の主要部である被毒防止層5について説明する。本発明における被毒防止層5は、粒度分布のピークが1μm以下に調整されたアナターゼ型チタニア粉末(微粒子粉末)と、粒度分布のピークが10μm以上に調整されたチタニア粉末以外のセラミック粉末(粗粒子粉末)とを含む被毒防止層用ペーストを電極保護層4上に塗布し、熱処理することにより形成されるものである。そして、本発明ではこのような熱処理の際に、アナターゼ型チタニア粉末に由来するアナターゼ型チタニアの少なくとも一部をルチル型チタニアに転移させている。
すなわち、本発明の被毒防止層5は、粒度分布のピークが1μm以下に調整されたアナターゼ型チタニア粉末(微粒子粉末)と、粒度分布のピークが10μm以上に調整されたチタニア粉末以外のセラミック粉末(粗粒子粉末)とを含む被毒防止層用ペーストから形成されている。チタニアは、被毒物質を吸着する能力に優れていると考えられている。特に、アナターゼ型チタニアは粒径の小さな粉末が得られやすく、被毒防止効果が高い。
粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末としては、例えばアルミナ、シリカ、および、スピネルあるいはムライト等のアルミニウム原子を含む複合酸化物等、高温の排気ガス等において化学的に安定である酸化物粉末が好ましいものとして挙げられる。上記したような粉末は1種のみを用いてよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、化学的に安定であれば酸化物以外の粉末を使用することもできる。本発明では、これらの粉末の中でも特にスピネルあるいはムライト等のアルミニウム原子を含む複合酸化物のように、熱収縮しにくいセラミック粉末が好ましいものとして挙げられる。
微粒子粉末であるアナターゼ型チタニア粉末は上記したように粒度分布のピークが1μm以下に調整されていればよいが、0.003μm以上、0.7μm以下に調整されていれば好ましい。また、粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末としては、上記したように粒度分布のピークが10μm以上に調整されていればよいが、15μm以上、50μm以下に調整されていれば好ましい。
微粒子粉末および粗粒子粉末の粒度分布をこのような組み合わせとすることで、粗粒子の表面に微粒子が多数付着した複合粒子とすることができ、被毒防止層5を形成した場合に、粗粒子程度の大きさの空隙が形成されることから通気性が十分に維持され、かつ、被毒物質を吸着する微粒子も多数付着されることから被毒物質を効率的に吸着することができる被毒防止層5とすることができる。
粒度分布を評価する場合、一つには粒子径を電子顕微鏡の視野において、又はこれを撮影した写真から読み取ることにより行うことができる。電子顕微鏡の視野から粒子径を読み取る場合は、目視で確認できる1次粒子の各々について、その外接円径を測定して粒子径とする。上記の粒子径の測定を多数(1000個程度)の1次粒子について行い、粒度分布を算出する。
なお、微粒子粉末の粒度分布は一般的な走査型電子顕微鏡等では測定が難しいこともあり、その場合は高解像度の電子顕微鏡を用いることで上記と同様に測定できるが、粉末の粒度分布を測定するX線小角散乱法を用いてSchellerの式より算出することもできる。粒度分布は、他にもレーザ光回折法や遠心沈降法など、一般的に利用されている方法でも測定できる。
また、微粒子粉末であるアナターゼ型チタニア粉末は比表面積が2m/g以上、500m/g以下であるものが好ましく、粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末は、比表面積が0.1m/g以上、100m/g以下であるものが好ましい。
なお、このような比表面積は、例えばBET法により測定されるものである。また、粉末の比表面積が特に大きい場合には、例えばユアサアイオニクス社製の全自動表面積測定装置、形式「マルチソーブ12」を用いて測定することができる。
微粒子粉末であるアナターゼ型チタニア粉末の比表面積が2m/g未満であると被毒物質の物理的な補足および反応が共に低下し、500m/gを超えると粉末が凝集しやすくなり、また被毒物質との反応活性が高くなりすぎ、得られるガスセンサ素子が高温環境下での使用により徐々に反応性が低下するため好ましくない。
また、粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末の比表面積が0.1m/g未満であると平滑な表面を有する均質な被毒防止層5を形成することが困難となるおそれがあり、100m/gを超えると粉末が凝集しやすくなるため好ましくない。粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末の比表面積が上記範囲内であると、被毒防止層5とした場合にこれらの間に適度な大きさの空隙が分散して形成されるため、通気性が良好な被毒防止層5とすることができる。
被毒防止層用ペーストは、このような微粒子粉末であるアナターゼ型チタニア粉末および粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末に加え、必要に応じて、例えばアルミナゾルやシリカゾル等の無機バインダ、水等の溶媒を加えることにより調製することができる。被毒防止層用ペーストにおけるアナターゼ型チタニア粉末およびチタニア粉末以外のセラミック粉末の配合量は、被毒防止層用ペースト全体を100重量%とした場合に、それぞれ15重量%以上とすることが好ましい。
微粒子粉末であるアナターゼ型チタニア粉末の配合量が15重量%未満であると、被毒防止層5の被毒物質を捕捉する能力が十分でなくなるおそれがある。また、粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末の配合量が15重量%未満であると、被毒防止層5中の粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末間に適度な空隙が形成されず、通気性が維持されないおそれがある。被毒防止層5における被毒物質を捕捉する能力を十分なものとし、かつ、通気性も十分なものとするためには、それぞれ20重量%以上、50重量%以下とすることが好ましい。
また、微粒子粉末であるアナターゼ型チタニア粉末と粗粒子粉末であるチタニア粉末以外のセラミック粉末との配合割合は特に限定されるものではないが、いずれか一方を100重量部とした場合に、他方を30重量部以上、250重量部以下とすることが好ましく、当量程度とすることもできる。
そして、この被毒防止層用ペーストは、外表面2hに検知電極3、電極保護層4が形成された固体電解質体2の先端側を浸漬することにより塗布することができる。なお、外表面2hに検知電極3、電極保護層4が形成された固体電解質体2の先端側に向かって被毒防止層用ペーストを噴霧することで塗布することも可能である。そして、被毒防止層用ペーストが塗布された固体電解質体2を乾燥させた後、熱処理を行うことにより、被毒防止層5を形成することができる。
この熱処理は、例えばメタン、エタン、プロパン等の炭化水素系燃料を用い、空気過剰率λを0.7以上、1.0以下として行うことが好ましい。空気過剰率λが0.7未満であると、アナターゼ型チタニアをルチル型チタニアに転移させるために必要な熱処理温度とすることが困難となることがあり、1.0を超えると被毒防止層5等が変質することがある。
また、熱処理温度は800℃以上とすることが好ましく、850℃以上とすればより好ましく、900℃以上とすればさらに好ましい。さらに、熱処理温度は1000℃以下とすることが好ましい。一方、熱処理時間は熱処理温度によっても変化するが、好ましくは20分以上、120分以下、より好ましくは30分以上、40分以下である。
熱処理温度が800℃未満であると、アナターゼ型チタニアがルチル型チタニアに転移しにくく、被毒防止層5の剥離を抑制する効果が十分に得られないおそれがある。熱処理温度は900℃以上とすれば、被毒防止層5の剥離をほぼ十分に抑制することができる程度の転移を行わせることが可能となる。また、1000℃を超えると、被毒防止層5等が緻密になりすぎるおそれがあり、また検知電極3を構成する物質も昇華するおそれがある。
また、熱処理時間が20分未満であると、アナターゼ型チタニアがルチル型チタニアに転移する量が少なく、120分程度行えば被毒防止層5の剥離をほぼ十分に抑制することができる程度の転移を行わせることができ、それを超えて行っても転移は起こりにくく、製造性も低下するため好ましくない。
そして、本発明では、熱処理によりアナターゼ型チタニアをルチル型チタニアに転移させることで、被毒防止層5の剥離が起こりにくいものとすることが可能となる。このようなアナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移による被毒防止層5の剥離の抑制については必ずしもそのメカニズムは明らかではないが、アナターゼ型チタニアがルチル型チタニアへ転移する際の粒成長に関係するものと考えられる。
そして、本発明ではアナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移量が1.5重量%以上、85重量%以下としている。ここで、転移量とは、熱処理前のアナターゼ型チタニアの量に対する熱処理により生じたルチル型チタニアの量の比(=(熱処理により生じたルチル型チタニアの量/熱処理前のアナターゼ型チタニアの量)×100[重量%])である。以下、この転移量[重量%]のことをルチル化割合[重量%]と呼ぶ。
このようなルチル化割合[重量%]が1.5重量%未満であると被毒防止層5の剥離が十分に抑制できないおそれがあり、85重量%を超えると被毒物質を吸着する能力が低下し、ガスセンサ素子1の被毒に対する応答性が低下するおそれがある。さらに、ルチル化割合[重量%]が、2.0重量%以上、80重量%以下であれば被毒防止層5の剥離がより一層抑制され、かつガスセンサ素子1の被毒に対する応答性の低下をより一層抑制することができる。
このようなルチル化割合[重量%]は、実際に形成された被毒防止層5をX線分析することによりアナターゼ型チタニアに対するルチル型チタニアのX線スペクトルの強度比(=ルチル型チタニアのX線スペクトルの強度/アナターゼ型チタニアのX線スペクトルの強度、以下「ルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比」と呼ぶ。)を求め、これを予め作成しておいた検量線に当てはめることにより求めることができる。
なお、検量線は、被毒防止層5とほぼ同様の組成を有するものであって、アナターゼ型チタニアおよびルチル型チタニアの合計量に対するルチル型チタニアの含有量の割合(=(ルチル型チタニアの含有量/(アナターゼ型チタニアおよびルチル型チタニアの合計量))×100[重量%]、以下「チタニア中のルチル型割合」と呼ぶ。)がわかっている試料(標準試料)を複数用意し、これらの試料をX線分析することによりルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比を求め、これらの求められたルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比と上記チタニア中のルチル型割合との関係を示したものである。
従って、実際に形成した被毒防止層5(測定試料)をX線分析することによりルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比を求め、これを検量線にあてはめることで、被毒防止層5におけるチタニア中のルチル型割合を求めることができ、熱処理前のものと比較することによりルチル化割合[重量%]も求めることができる。
このような被毒防止層5は、例えば50μm以上、300μm以下、特に150μm以上、250μm以下の厚さとすることが好ましい。厚さが50μm未満であると被毒物質を十分に捕捉することができないおそれがあり、300μmを超えるとガスセンサ素子とした場合に応答性が低下し、さらには被毒防止層5が電極保護層4から剥離しやすくなる傾向にあるため好ましくない。
次に、上記したようなガスセンサ素子1を用いてなる本発明のガスセンサについて説明する。図3は本発明のガスセンサ100の内部構造の一例を示す断面図である。また、図4は図3に示すガスセンサ100の一部の組み付け構造を示す分解斜視図である。
ガスセンサ100は、有底円筒状のガスセンサ素子1と、ガスセンサ素子1の筒部内に挿入されたヒータ101とを備えるものである。ガスセンサ素子1のうち鍔部2gは、絶縁性セラミックからなるホルダ102に係合され、ガスセンサ素子1は、鍔部2gの後端側に配置されたタルクから形成されたセラミック粉末104およびセラミック粉末104の後端側に配置されたスリーブ103により、筒状の主体金具105に気密に保持されている。なお、本明細書においては、ガスセンサ素子1の軸に沿う方向(図3中、上下方向)のうち、先端部1s側(図3中、下方)に向かう側を「先端側」とし、これと反対方向(図3中、上方)に向かう側を「後端側」ということとする。
主体金具105は、ガスセンサ100を排気管等の取付部に取り付けるためのねじ部105bや六角部105cを有し、プロテクタ106がプロテクタ接続部105aにレーザ溶接で接続されている。このプロテクタ106は、主体金具105の先端側開口部から突出するガスセンサ素子1の先端部1sを覆うように取り付けられている。このガスセンサ100はねじ部105bより先端側が排気管等のエンジン内に位置し、それより後端側は外部の大気中に位置して使用される。プロテクタ106には、排気ガスを透過させる複数のガス透過口が形成されている。
一方、主体金具105の後端部105eは、スリーブ103との間にリングパッキン107を介して加締められて気密保持されている。また六角部105cの後端側の接続部105dには、筒状の金属外筒110の先端部111aが外側からレーザ溶接により固着されている。また、この金属外筒110の後端側開口部はゴム等で構成されたグロメット120を嵌入させて加締めることにより封止されている。グロメット120の中心部には、大気を金属外筒110内に導入する一方、水分の進入を防ぐフィルタ部材121が配置されている。またこのグロメット120の先端側には、絶縁性のアルミナセラミックからなるセパレータ122が設けられている。そして、セパレータ122およびグロメット120を貫通してセンサ出力リード線130、131およびヒータリード線132、133が配置されている(図4も参照)。
セパレータ122は、図4に示すように、後端側部122e、先端側部122s、およびこれらの間に位置し、これらよりも大径の鍔部122gとを有する。鍔部122gのうち、後端側部122eとの間には、先端側(図中下方)ほど拡径してテーパ面をなす外筒当接面122hが形成されている。一方、先端側部122sとの間は、階段状の段差をなす先端側面122rが形成されている。
また、このセパレータ122には、各リード線130、131、132、133を挿通するためのリード線挿通孔122a、122bが軸方向に貫通して形成されている。また、後端側の端面には、通気溝122cが4個のリード線挿通孔122a、122bと干渉しない位置に十字形態で軸線と直交する方向に形成されている。また、セパレータ122の先端面に開口する有底状の保持孔122dが軸線方向に形成されている。
図3および図4に示すように、この保持孔122dおよびリード線挿入孔122a、122bには、各リード線130、131、132、133が挿通され、第1、第2センサ端子金具140、141のコネクタ部140a、141a、およびヒータ端子部材142、143が互いに絶縁されつつセパレータ122内に保持される。
図4に示すように、第1センサ端子金具140は、一体に成形されたコネクタ部140a、セパレータ当接部140b、挿入部140cを有する。このうち、コネクタ部140aは、センサ出力リード線130の芯線を把持して、第1センサ端子金具140とセンサ出力リード線130とを電気的に接続する。
また、セパレータ当接部140bは、セパレータ122の保持孔122dに弾性的に当接して、第1センサ端子金具140をセパレータ122内に保持する。また、挿入部140cは、ガスセンサ素子1の筒部内に挿入されて、電極(基準電極)8と導通する。
また、この挿入部140cは、下方押圧部140dおよび上方押圧部140eを含み、この挿入部140cがガスセンサ素子1の筒部内に挿入されることにより、挿入部140cが包囲するヒータ101を押圧して、ヒータ101の軸線がガスセンサ素子1の中心軸線に対して偏心して、発熱部101aがガスセンサ素子1の筒部の内壁(基準電極8)に接触するように、ヒータ101の姿勢を調整する。また、挿入部140cの後端側には、挿入部140cがガスセンサ素子1の筒部内に没入するのを防ぐため、鍔部140gが設けられている。
なお、ヒータ101に形成される発熱部101aが偏心して、ガスセンサ素子1の筒部の内壁に接することで、より小さな容積に熱エネルギーを集中することになり、ガスセンサ100の活性化時間を短縮する上で効果的である。
一方、第2センサ端子金具141は、一体に形成されたコネクタ部141a、セパレータ当接部141b、把持部141cを有する。このうち、コネクタ部141aは、センサ出力リード線131の芯線を把持して、第2センサ端子金具141とセンサ出力リード線131を電気的に接続する。また、セパレータ当接部141bは、セパレータ122の保持孔122dに弾性的に当接して、第2センサ端子金具141をセパレータ122内に保持する。また、把持部141cは、ガスセンサ素子1の後端付近の外周を把持する。
ここで、把持部141cは、ガスセンサ素子1の外表面2hに形成されている端子接続部7と導通することにより、ガスセンサ素子1の外表面2hに形成されている電極(検知電極)3とも導通する。また、把持部141cの先端側には、把持部141c内にガスセンサ素子1の後端部を挿入しやすくするため、鍔部141fが設けられている。
また、ヒータ101は棒状のセラミックヒータであり、アルミナを主とする芯材に抵抗発熱体(図示せず)を有する発熱部101aが形成されている。電極パッド101e、101fにろう付け接続されるヒータ端子金具142、143およびヒータリード線132、133と通じて、このヒータ101に通電すると、ガスセンサ素子1の先端部が加熱される。ヒータ端子金具143には、ヒータリード線132の芯線を把持して、このヒータ端子金具143とヒータリード線132を電気的に接続するコネクタ部143aを有している。なお、図4には示さないが、ヒータ端子金具142も同様にコネクタ部によりヒータリード線133の芯線を把持するコネクタ部を有している。
金属外筒110は、図5に示すように、金属製で略円筒形状を成し、先端側(図中下側)に位置し、上述したようにその先端側の先端部111aが主体金具105と接合される第1外筒部111と、これよりも後端側に位置し第1外筒部よりも小径の第2外筒部112とを有している。この第2外筒部112の軸方向中間部分には、周方向に均等に4箇所、径方向内側に凸部頂面113aが四角形状となって突出する内側凸部113が形成されている。この内側凸部113のうち、この凸部頂面113aより先端側には、斜面をなす鍔部当接面113bが形成されている。この鍔部当接面113bは、図4に示すようなセパレータ122の外筒当接面122hと当接する。
さらに、図3に示すように、セパレータ122の先端側部122sの周囲には、付勢金具150が装着されている。この付勢金具150は、図6に示すように、円筒状の金属筒部151のほか、この金属筒部151の後端部151aに、金属筒部151と一体に形成されたJ型弾性保持部152および筒部延在部153を有する。
このJ型弾性保持部152は、周方向に等間隔に4箇所点在しており、径方向内側に延びると共に徐々に方向転換して先端側に延びて略J字状に湾曲してなる。このJ型弾性保持部152は、付勢金具150をセパレータ122の先端側部122sに装着すると、弾性変形して付勢金具150を先端側部122sに保持する。また、筒部延在部153は、J型弾性保持部152同士の間に形成され、J型弾性保持部152と同様に内側にJ字状に湾曲している。
以上、本発明のガスセンサ素子およびそれを用いたガスセンサについて説明したが、上記したような構造のものに限られず、本発明のガスセンサ素子を用いたものであれば、その構造は特に限定されるものではない。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明する。
(1.ガスセンサ素子の製造)
純度99%以上のジルコニア粉末に純度99.9%のイットリア粉末を5モル%比添加し、湿式混合した後、1300℃で2時間仮焼した。これに水を添加し、ボールミルを使用して粒子の80%が2.5μm以下の粒子径になるまで湿式粉砕し、その後、水溶性バインダを添加し、スプレードライヤ法によって平均粒子径70μmの球状の粉末とした。
この粉末を用い、ラバープレス法によって所定の有底円筒状の成形体を得、これを乾燥し、砥石にて研削し、その形状を整えた。次いで、成形体の外表面に、上記粉末に水溶性バインダ及び水を添加して調製したスラリーを付着させ、乾燥させた。その後、1500℃で2時間保持して焼成し、図1に示されるような固体電解質体2を作製した。
次いで、この固体電解質体2の外表面2hに、厚さ1〜2μmの白金電極を無電解メッキ法によって形成し、その後、大気雰囲気下、1200℃で1時間熱処理し、検知電極3を作成した。その後、プラズマ溶射法によって、検知電極3の表面にスピネル(MgAl)の粉末を塗着させ、電極保護層4を形成した。その後、固体電解質体2の内表面に、厚さ1〜2μmの白金電極を無電解メッキによって形成し、その後、還元雰囲気下、750℃で1時間熱処理し、基準電極8を作成した。
次いで、スピネル粉末2700g(約74重量%)、アナターゼ型チタニア粉末900g(約25重量%)およびアルミナゾル54g(約1重量%)からなる混合粉末3654gに水2リットルを加え、ナイロン玉石を使用してポットミルにより混合することによりスラリーを調製した。なお、スピネル粉末の一次粒子の粒度分布のピークは45μmであり、アナターゼ型チタニア粉末の一次粒子の粒度分布のピークは0.5μmである。
その後、電極保護層4まで形成された固体電解質体2をこのスラリー中に浸漬し、電極保護層4の表面に塗膜を形成し、120℃で乾燥した。さらに、この塗膜が形成された固体電解質体2を、燃料としてプロパンを用い、空気過剰率λ=0.8で、表1に示すような熱処理条件により熱処理し、厚さ150μmの被毒防止層5を形成し、図1、2に示されるようなセンサ素子1を作製した。
そして、この被毒防止層5についてX線分析を行い、ルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比を求め、後述する検量線(図7、8)を用いて、チタニア中のルチル型割合[重量%]、すなわちルチル化割合[重量%]を求めた。結果を表1に示す。
ここで、図7、8に示す検量線は、予め被毒防止層5とほぼ同様の組成を有するものであって、チタニア中のルチル型割合[重量%]がわかっている試料(標準試料)を複数準備し、これらをX線分析することによりルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比を求め、横軸にこの求めたルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比をとり、縦軸に上記チタニア中のルチル型割合[重量%]をとり、両者の関係をグラフ化したものである。
なお、図7はルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比が0.00〜約6.00までの範囲を示したものであり、図8は図7の一部を拡大して示したものであり、ルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比が0.00〜約0.06までの範囲を示したものである。
例えば、試料4のルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比が表1に示されるように0.03であることから、図8において横軸の0.03に対応する縦軸の数値を読み取り、試料4のチタニア中のルチル型割合、すなわちルチル化割合は2.7[重量%]であることがわかる。同様にして、例えば試料7についても、ルチル型/アナターゼ型スペクトル強度比が表1に示されるように2.54であることから、図7において横軸の2.54に対応する縦軸の数値を読み取り、試料7のチタニア中のルチル型割合、すなわちルチル化割合は73[重量%]であることがわかる。
(2.ガスセンサ素子の性能評価)
次いで、上記したようにして作製された試料1〜8のガスセンサ素子1を用いて剥がれ試験を行うと共に、試料1〜8のガスセンサ素子1を用いて図3に示すようなガスセンサ100を作製し、被毒耐久試験を行った。なお、剥がれ試験および被毒耐久試験は以下のようにして行った。なお、剥がれ試験を行った試料をそのままガスセンサに組み付け被毒耐久試験を行ったことは言うまでもない。
(剥がれ試験)
ガスセンサ素子1を液体窒素に10秒間浸漬させ、その後、純水に浸漬する。純水に浸漬したガスセンサ素子1は、その表面が純水に入れたと同時に凍るため、直ちに純水より取り出し10秒間放置する。そして、この10秒間放置した後のガスセンサ素子1の表面を目視にて観察する。結果は表1に示す通りである。なお、表1中、「×」は被毒防止層5が全面剥がれたことを示し、「△」は一部が剥がれたことを示し、「○」は剥がれがなかったことを示す。
(被毒耐久試験)
1600ccの4サイクルエンジンにガスセンサ100を取り付け、回転数を2500rpmと一定にして32時間駆動させた。なお、燃料は、1リットルあたり1ccのシリコンを含むガソリンを使用した。また、ガスセンサ100を取り付ける位置は、エンジン排気温が約400℃となる位置とした。
このような耐久条件が課されたガスセンサ100について、図9に模式的に示すような装置を用いて、バーナー測定法により、シリコン耐久性の評価を行った。なお、バーナー測定法は以下のようにして行った。
[バーナー測定法]
上記耐久条件が課されていない初期ガスセンサ100(以下、単に初期ガスセンサ100という。)と、上記耐久条件を経たガスセンサ100(以下、単に耐久ガスセンサ100という。)を、図9に示す装置にてバーナー測定を行った。図9のメインプロパンガスとメイン空気を用いて、燃焼ガスをλ=1の雰囲気を基準に、バイパスプロパンガスとバイパス空気とを使い、燃焼ガス雰囲気をλ=0.9とλ=1.1に1秒ごとに切り替えた。λは、実際の燃焼ガス中に含まれる未焼成分に対して供給する空気の、理論値に対する過剰率を示す。
そして、図10に示すように、上記バーナー測定法により、TRS及びTLSを測定した。このTLSは、図10に示すように、バイパスのプロパンが打ち込まれてからセンサ出力が450mVに達するまでの時間(秒)、TRSは、バイパスの空気が打ち込まれてからセンサ出力が450mVに達するまでの時間(秒)を示す。
さらに、TRSおよびTLSの値から、以下に示すシリコン耐久性評価基準を設定して、評価を行った。即ち、上記により測定した値より、耐久ガスセンサ100の「TRS−TLS」値と、初期ガスセンサ100の「TRS−TLS」値との差を「Δ−」とした。さらに、耐久ガスセンサ100の「TRS+TLS」値と、初期ガスセンサ100の「TRS+TLS」値との差を「Δ+」とした。この「Δ−」と「Δ+」の絶対値の内、大きい方の値を「Δ」として、次に示す評価基準に従い3段階に評価した。「○」は「0≦Δ≦100ms」、「△」は「100<Δ≦150ms」、「×」は「150ms<Δ」とする。上記のようにして得られた耐久ガスセンサ100の評価結果を表1に示す。
Figure 2007248392
表1から明らかなように、試料1のように熱処理を行わなかったもの(ルチル化割合0重量%)、試料2のように熱処理を行ったもののルチル化割合が1.5重量%以下であったものは、被毒防止層5が全面剥がれている。その結果、固体電解質体2には被毒防止層5が形成されていないので、被毒耐久性が劣ることが分かる。
これに対して、試料N3〜8のように、ルチル化割合が1.5重量%〜85重量%のものは、被毒防止層5が全面剥がれるようなことがなく、被毒耐久性が劣ることが抑制されている。さらに、N4〜8のようにルチル化割合が2.0重量%以上であれば、被毒防止層5が剥がれなかった。なお、No.8は、ルチル化割合が80重量%以上(82重量%)となっており、被毒防止層5が剥がれなかったものの、被毒物質を吸着する能力が低下し、被毒に対する応答性が低下している。
本発明のガスセンサ素子の一例を示した平面図。 図1に示すガスセンサ素子の一部を拡大して示した拡大断面図。 本発明のガスセンサの一例を示した断面図。 図3に示すガスセンサの一部を示した分解斜視図。 図3に示すガスセンサの金属外筒を示した図。 図3に示すガスセンサの付勢金具を示した図。 実施例で作成した検量線図。 図7に示す検量線図の一部を拡大して示した検量線図。 実施例での被毒耐久試験に用いた装置の模式図。 実施例に係る燃焼ガス雰囲気とガスセンサの起電力との対応を示す説明図。
符号の説明
1…ガスセンサ素子(1s…先端部、1e…後端部)、2…固体電解質体(2g…鍔部、2h…外表面、2i…先端側テーパ部)、3…電極(検知電極)、4…電極保護層、5…被毒防止層、6…リード部、7…端子接続部、8…電極(基準電極)、100…ガスセンサ

Claims (7)

  1. 有底筒状の固体電解質体と、該固体電解質体の外周面に形成された電極と、該電極の表面に形成された電極保護層と、該電極保護層の表面に形成された被毒防止層とを有するガスセンサ素子の製造方法において、
    粒度分布のピークが1μm以下に調整されたアナターゼ型チタニア粉末と、粒度分布のピークが10μm以上に調整されたチタニア粉末以外のセラミック粉末とを含む被毒防止層用ペーストを前記電極保護層の表面に塗布し、成形体を作成する塗布工程と、
    前記成形体を熱処理して前記アナターゼ型チタニア粉末に由来するアナターゼ型チタニアの一部をルチル型チタニアに転移させるようにして前記被毒防止層を形成する熱処理工程と、を有し、
    前記熱処理工程では、アナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移量が1.5重量%以上、85重量%以下となることを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  2. 前記熱処理工程では、アナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの転移量が2.0重量%以上、80重量%以下となることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ素子の製造方法。
  3. 前記熱処理工程は、空気過剰率λ=0.7以上、1.0以下で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ素子の製造方法。
  4. ガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を取り囲むケーシングとを有するガスセンサの製造方法であって、該ガスセンサ素子が請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスセンサ素子であることを特徴とするガスセンサの製造方法。
  5. 有底筒状の固体電解質体と、該固体電解質体の外周面に形成された電極と、該電極の表面に形成された電極保護層と、該電極保護層の表面に形成された被毒防止層とを有するガスセンサ素子であって、
    前記被毒防止層は、粒度分布のピークが1μm以下に調整されたアナターゼ型チタニア粉末と、粒度分布のピークが10μm以上に調整されたチタニア粉末以外のセラミック粉末とを含む被毒防止層用ペーストを前記電極保護層の表面に塗布し、熱処理して前記アナターゼ型チタニア粉末に由来するアナターゼ型チタニアの一部をルチル型チタニアに転移されてなり、
    該ルチル型チタニアが1.5重量%以上、85重量%以下含有されてなることを特徴とするガスセンサ素子。
  6. 前記ルチル型チタニアが2.0重量%以上、80重量%以下含有されてなることを特徴とする請求項5に記載のガスセンサ素子。
  7. ガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を取り囲むケーシングとを有するガスセンサであって、該ガスセンサ素子が請求項5または6に記載のガスセンサ素子であることを特徴とするガスセンサ。
JP2006075321A 2006-03-17 2006-03-17 ガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサ Active JP4624946B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006075321A JP4624946B2 (ja) 2006-03-17 2006-03-17 ガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006075321A JP4624946B2 (ja) 2006-03-17 2006-03-17 ガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007248392A true JP2007248392A (ja) 2007-09-27
JP4624946B2 JP4624946B2 (ja) 2011-02-02

Family

ID=38592836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006075321A Active JP4624946B2 (ja) 2006-03-17 2006-03-17 ガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4624946B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010025731A (ja) * 2008-07-18 2010-02-04 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
KR101372287B1 (ko) * 2011-12-14 2014-03-13 한국과학기술연구원 나노튜브 박막 가스 센서 및 그 제조방법
JP2014178179A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Toyota Motor Corp ガスセンサおよびその製造方法
JP2015052501A (ja) * 2013-09-06 2015-03-19 トヨタ自動車株式会社 排気系部品、及びそれを備えた内燃機関
JP2016029360A (ja) * 2014-07-18 2016-03-03 トヨタ自動車株式会社 ガスセンサ素子
WO2021115715A1 (de) * 2019-12-13 2021-06-17 Robert Bosch Gmbh Verfahren zur feuchte-frost-erprobung eines keramischen sensorelements für einen abgassensor

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5578245A (en) * 1978-12-06 1980-06-12 Bosch Gmbh Robert Production of layer system provided on solid electrolyte used electrochemically
JPH07333191A (ja) * 1994-06-09 1995-12-22 Nippondenso Co Ltd 酸素濃度検出器
JP2002195977A (ja) * 1999-10-27 2002-07-10 Ngk Spark Plug Co Ltd 酸素センサ及びセンサ素子の製造方法
JP2006038496A (ja) * 2004-07-22 2006-02-09 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ及びその製造方法
JP2006058282A (ja) * 2004-07-22 2006-03-02 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ及びその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5578245A (en) * 1978-12-06 1980-06-12 Bosch Gmbh Robert Production of layer system provided on solid electrolyte used electrochemically
JPH07333191A (ja) * 1994-06-09 1995-12-22 Nippondenso Co Ltd 酸素濃度検出器
JP2002195977A (ja) * 1999-10-27 2002-07-10 Ngk Spark Plug Co Ltd 酸素センサ及びセンサ素子の製造方法
JP2006038496A (ja) * 2004-07-22 2006-02-09 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ及びその製造方法
JP2006058282A (ja) * 2004-07-22 2006-03-02 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ及びその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010025731A (ja) * 2008-07-18 2010-02-04 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
KR101372287B1 (ko) * 2011-12-14 2014-03-13 한국과학기술연구원 나노튜브 박막 가스 센서 및 그 제조방법
JP2014178179A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Toyota Motor Corp ガスセンサおよびその製造方法
JP2015052501A (ja) * 2013-09-06 2015-03-19 トヨタ自動車株式会社 排気系部品、及びそれを備えた内燃機関
CN105593485A (zh) * 2013-09-06 2016-05-18 丰田自动车株式会社 包括自愈合陶瓷材料的排气系统部件以及具备该部件的内燃机
CN105593485B (zh) * 2013-09-06 2018-11-30 丰田自动车株式会社 包括自愈合陶瓷材料的排气系统部件以及具备该部件的内燃机
US10648388B2 (en) 2013-09-06 2020-05-12 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method for controlling an internal combustion engine having an exhaust system component including a self-healing ceramic material
JP2016029360A (ja) * 2014-07-18 2016-03-03 トヨタ自動車株式会社 ガスセンサ素子
WO2021115715A1 (de) * 2019-12-13 2021-06-17 Robert Bosch Gmbh Verfahren zur feuchte-frost-erprobung eines keramischen sensorelements für einen abgassensor

Also Published As

Publication number Publication date
JP4624946B2 (ja) 2011-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2514701B2 (ja) 酸素センサ
JP4624946B2 (ja) ガスセンサ素子の製造方法およびガスセンサの製造方法ならびにガスセンサ素子およびガスセンサ
CN102680552B (zh) 气体传感器元件和气体传感器
JP5390682B1 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
US8656756B2 (en) Gas sensor
WO2013084097A2 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP5182321B2 (ja) ガスセンサ素子、及び、これを内蔵したガスセンサ
US8097137B2 (en) Gas sensor element and gas sensor
JP4831164B2 (ja) ガスセンサ素子、及びこれを内蔵したガスセンサ
JP4587473B2 (ja) ガスセンサ
JPH06510854A (ja) 排ガスセンサおよびその製造法
EP0919807A1 (en) Oxygen Sensor
JP5187417B2 (ja) ガスセンサ素子及びその製造方法
JP2748809B2 (ja) ガス検出器
JP4216291B2 (ja) ガスセンサ素子およびガスセンサ
JPS6338663B2 (ja)
US20010040092A1 (en) Gas sensor
JP5639032B2 (ja) ガスセンサ素子およびガスセンサ
JP2000121597A (ja) 酸素センサ及びその製造方法
JP4440822B2 (ja) 酸素センサ
JPH01203963A (ja) 酸素センサ素子及びその製造方法
JP6859926B2 (ja) 固体電解質、その製造方法、ガスセンサ
JP6966360B2 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP5931692B2 (ja) ガスセンサ
JP7009262B2 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070711

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101012

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4624946

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250