JP4440822B2 - 酸素センサ - Google Patents
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Description
被毒防止層が上記の構成となることで、被毒物質は微粒粉末によってトラップされ、酸素センサの電極に到達しないので、被毒による酸素センサの性能劣化を防止する事が出来る。一方で微粒粉末は粗粒粉末に担持されているので、微粒粉末だけで構成された被毒防止層の様に高温での連続使用により被毒防止層が焼き締まり、センサ素子表面から剥離するという問題を防ぐ事が出来る。更に、微粒粉末は粗粒粉末の表面を覆う様に担持されているが、粗粒粉末間には適度に粗粒粉末程度の大きさの空孔が形成されており、微粒粉末は粗粒粉末間の間隙を完全に充填してはいないので、被毒物質が堆積しても被毒防止層が目詰まりを起こす事が無く、センサの応答性の低下を防止する事が出来る。
上記の様な被毒防止層を構成するセラミック粉末の一次粒子の粒度分布は、少なくとも二つのピークを有し、最も粒径が小さい側のピークが0.003μm以上1μm以下にあり、最も粒径が大きい側のピークは10μm以上50μm以下であると、被毒に対する防止効果が高く望ましい被毒防止層である。
ここで、最も粒径が小さい側のピークは1μm以下であり、0.05μm以下、特に0.01μm以下にすることもできる。
上記「被毒防止層」に含有されるセラミック粉末としては、チタニア、アルミナ、シリカ、及びスピネル、ムライト等のアルミニウム原子を含む複合酸化物などの、高温の排気ガス中で化学的に安定である酸化物粉末から選択することが好ましい。但し、化学的に安定であれば酸化物以外の粉末を使用することもできる。この場合、組成の異なる2種類以上のセラミック粉末を混合してもよい。そして、一方の組成のセラミック粉末であるチタニア粉末を微粒粉末とし、他方の組成のチタニア以外のセラミック粉末を粗粒粉末とすると、粉末の選択において自由度が広がり、望ましい粒度分布の粉末を用意することが容易となるし、被毒防止効果の高いセラミック粉末であるチタニア粉末を微粒粉末として用い、高温耐久性の高いチタニア以外のセラミック粉末を粗粒粉末として用いる事もできるので都合が良い。
チタニアは被毒物質を吸着する能力に優れていると考えられる。特にアナターゼ型のチタニアは粒径の小さな粉末が得られ易く、被毒防止効果が高い。
チタニア以外のセラミック粉末としては、特に、スピネル、ムライト等のアルミニウム原子を含む複合酸化物のように熱収縮しにくいセラミック粉末が好ましい。
また、チタニア粉末は0.003〜0.5μmにピークを有し、チタニア以外のセラミック粉末は15〜50μmにピークを有する様に組み合わされると、適度に被毒防止層に空隙が形成されて特に好ましい。このような粉末を含有すれば、被毒物質は十分に吸着され、且つ被毒防止層が熱収縮により電極保護層から剥離することがなく、且つ応答性の低下の少ないより優れた耐久性を有する被毒防止層とすることができる。
粒度分布は、他にもレーザ光回折法や遠心沈降法など、一般的に利用されている方法でも測定できる。但し、同じ試料に対して、細かい領域から粗い領域まで同じ測定法で粒度分布を測定することは難しいことが多い。その場合は、細かい領域と粗い領域の粒度分布を別の測定法で測定してそれぞれの粒度分布から上記被毒防止層の粒度分布を同定してもよい。
(1)酸素センサの製造
純度99%以上のジルコニアに純度99.9%のイットリアを5モル%添加し、湿式混合した後、1300℃で2時間仮焼した。これに水を添加し、ボールミルを使用して粒子の80%が2.5μm以下の粒子径になるまで湿式粉砕し、その後、水溶性バインダを添加し、スプレードライヤ法によって平均粒子径70μmの球状の粉末とした。
(a)被毒防止層の外観
(1)において得られた酸素センサの被毒防止層の外観を目視で観察した。
評価基準は、○;亀裂等は観察されない、△;一部に亀裂が発生するものがある、×;全数に亀裂が発生する、である。
(b)耐被毒性(耐久性)
1800ccのエンジンを使用し、耐久パターンはライフサイクルパターンによった。燃料としては、1リットル当たり0.4gの鉛を含む有鉛ガソリンを使用した。検出性能を安定化するために酸素センサを加熱するためのヒータの印加電圧は14Vとした。センサ取付け位置は、エンジンにより近く500〜800℃の高温の排気ガスが通過する位置と、エンジンから離れ350〜700℃の低温の排気ガスが通過する位置とした。このようにして100時間の耐久試験を行った後、各酸素センサの鉛耐久性の性能評価を、図6の模式図に示す装置を用いたバーナー測定法により行った。
評価基準は、○;応答性はほとんど劣化しない、△;応答性の劣化はあるが、空燃費制御では規制値を外れることはない、×;応答性の劣化が大で、空燃費制御すると規制値を外れる、である。
更に、粉末(2)の粒度分布が、本発明の望ましい範囲から外れて比較的広い粒度分布を持つ実験例31〜32では、被毒防止層中に適度に空孔が形成されないので、製造時に亀裂は生じないものの、耐被毒性は悪く、被毒物質によってセンサの応答性が変化する傾向が見られた。
原料として、比表面積10m2/g、粒度分布のピークが0.2μmにあるアナターゼ型チタニア粉末を20g、比表面積0.5m2/g、粒度分布のピークが34μmにあるスピネル粉末を20g、水を28g及びアルミナゾルを3g使用し、ナイロン玉石を用いてポットミルにより2時間攪拌し、混合して、ペーストを調製した。その後、このペースト中に、(1)において作製された電極保護層を有するセンサ素子を浸漬し、約100mgのペーストを電極保護層の表面に塗着させ、120℃で10分乾燥して厚さ150〜250μmの被毒防止層を形成し、センサ素子を作製した。次いで、保護管ソケットに組み付ける等した後、500℃で30分加熱し、酸素センサを得た。
原料として、比表面積500m2/g、粒度分布のピークが0.007μmにあるアナターゼ型チタニア粉末を22.5g、比表面積0.7m2/g、粒度分布のピークが7μmにあるルチル型チタニア粉末を22.5g、メタノールを35ml及びアルミナゾルを2.8g使用した他は、実施例1と同様にしてペーストを調製した後、このペースト中に、(1)において作製された電極保護層を有するセンサ素子を浸漬し、約100mgのペーストを電極保護層の表面に塗着させ、120℃で10分乾燥して厚さ150〜250μmの被毒防止層を形成し、センサ素子を作製した。次いで、保護管ソケットに組み付ける等した後、500℃で30分加熱し、酸素センサを得た。
Claims (4)
- 固体電解質基体、並びにその表面に形成された検知電極、該検知電極の表面に形成される電極保護層及び該電極保護層の表面に形成される被毒防止層を有するセンサ素子を備える酸素センサにおいて、
該被毒防止層は、チタニア粉末とチタニア以外のセラミック粉末とからなり、該チタニア粉末の一次粒子の粒度分布が0.003μm以上1μm以下にピークを有し、該チタニア以外のセラミック粉末の一次粒子の粒度分布が10μm以上50μm以下にピークを有し、該セラミック粉末程度の大きさの空孔を有する酸素センサ。 - 上記チタニア粉末が、アナターゼ型チタニア粉末である請求項1に記載の酸素センサ。
- 上記チタニア以外のセラミック粉末がアルミニウム原子を含む複合酸化物の粉末である請求項1又は2記載の酸素センサ。
- 上記チタニア粉末の一次粒子の粒度分布が0.003〜0.5μmにピークを有し、上記チタニア以外のセラミック粉末の一次粒子の粒度分布が15〜50μmにピークを有する請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の酸素センサ。
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