JP2007246467A - 光エネルギーを利用した1剤型の染毛料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】染毛料クリームベースに、銀塩(但しハロゲン化銀を除く)0.3〜5.0重量%、およびアミノ酸(但しシステインのような還元性アミノ酸およびメチオニンのような含硫アミノ酸を除く)0.2〜5.0%を配合して光エネルギーを利用した1剤型の染毛料とする。アミノ酸としては、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸(但し、含硫アミノ酸、およびシステインのような還元性アミノ酸を除く)が好適である。特に好適なアミノ酸としては、塩基性アミノ酸のアルギニン、ヒスチジン、リシンである。これらの製剤においてはPHを2〜8に調整する。さらに、ジヒドロキシアセトン0.01〜1.5%を配合し、製剤のPHを2〜7に調整した光エネルギーを利用した1剤型の染毛料とする。
Description
染毛剤には、酸化染毛剤と非酸化染毛剤とがある。
酸化染毛剤は、酸化染料が毛髪中に浸透し、酸化重合により生成した不溶性色素が毛髪中に定着するものである。
非酸化染毛剤は、酸化染料が毛髪中に浸透したポリフェノールと鉄イオンが黒色色素を生成するものである。
これらの染毛剤は、色持ちが良い(2〜3カ月)ので、永久染毛剤と呼ばれている。
しかし、永久染毛剤は、酸化染料を毛髪中に浸透させる化学処理やその後の化学反応により、毛髪の傷みや地肌のかぶれを生じる欠点がある。
一方、染毛料には、酸性染毛料と毛髪着色料とがある。
酸性染毛料は、毛髪のたんぱく質と酸性染料とのイオン結合によるものであり、色持ちは比較的短い(2〜3週間)ので、半永久染毛料と呼ばれている。
毛髪着色料は、毛髪表面への染料・顔料の付着によるものであって、一時的な着色であり、シャンプーで簡単に落とせるので、一時染毛料と呼ばれている。
FRAGRANCE JOURNAL 2001−8 特集「染毛剤・染毛料の機能と最近の開発動向」第11〜15頁
これは、硫化ナトリウム水溶液からなる第1液と、硝酸銀水溶液からなる第2液とを使用するもの、あるいは、硫化カリウムアルコール溶液からなる第1液と、硝酸銀水溶液からなる第2液とを使用するもの等である。
使用の際には、第1液をブラシに付けて毛髪を湿し、次いで別のブラシで第2液を塗布すると毛髪が黒く染まる。これは毛髪の表面のケラチン質に黒色の硫化銀が付着するからである。
このようにして染める時に、毛髪に腐敗した卵のような悪臭(硫化水素)が付着する。
この悪臭は水洗いすれば容易のとれるが、好ましくないことは明らかである。
平野一貫編著 「増訂六版 香粧品製造法」半田屋医籍店 大正4年1月出版 メイ牛山著 萬里閣書房 昭和3年5月出版 「近代美容法」第292〜297頁
例えば、ジアミン銀錯塩および/又はエタノールアミン銀錯塩を含む水溶液からなるA剤と、パラフェニレンジアミン等の染料中間体を含む水溶液からなるB剤とからなる染毛料が提案されている。
この染毛料を頭髪に塗布し、通常の生活環境において日光に晒して1日放置した後、洗髪したところ、頭髪はカッパーブラウンに染色された状態となっていた。この後、毎日洗髪して20日経た後でも、頭髪の染色状態に変化は確認されなかった。
前記ジヒドロキシアセトンが皮膚の含窒素たんぱく質との反応で、人の皮膚に人工日焼け色を形成するものである。
しかし、この人工日焼け組成物は、毛髪のケラチン質とは反応しないので、毛髪を染色することはできない。
白髪染めを目的とする場合には、自然な色に見える茶褐色からダークグレイ系の色が好まれるため、市販品ではこのような目的を十分に果たせるとは言い難い。
また、1回の着色力が弱いために、何度も塗り直さなければならないので、使用者にとっては、使用回数が多くなると言う煩雑さが有る。
解決しようとする問題点は、前記従来技術の欠点を改善した光エネルギーを利用した1剤型の染毛料を提供することである。
ことに、銀塩(但し、ハロゲン化銀を除く)と塩基性アミノ酸とを組合わせることにより、従来の赤味色を抑え、赤紫から茶紫色、あるいは茶褐色系の色に染毛できることが可能になったことを特徴とする。
さらに、ジヒドロキシアセトンを少量添加することを特徴とする。
また、染毛料クリームベースに使用する界面活性剤として、メチル硫酸イオンまたはエチル硫酸イオンを対イオンとするカチオン界面活性剤を配合することを特徴とする。
また、1剤型の染毛料であるために取扱い易い。さらに、毛髪に塗布後、30分以上直射日光に当てるだけで、銀塩が強固に毛髪に付着して、永久染毛剤と比較しても遜色がないほど色持ちが良い(2〜3カ月)という利点がある。
その上に、白髪染めに適した茶褐色からダークグレイ系の色に染毛することができる。
さらに、ジヒドロキシアセトンを少量添加することにより、染毛の色を濃く調整できる。
また、染毛料クリームベースに特定のカチオン界面活性剤を配合した場合には、製剤の安定性を更に高めることができる。
前記銀塩(但しハロゲン化銀を除く)としては、硝酸銀、硫酸銀、乳酸銀が好適である。
前記アミノ酸としては、β−アラニン、ヒドロキシフェニルアラニン、4−アミノ酪酸、DL−アミノ酪酸、チロシン、ヒドロキシプロリンのような中性アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸のような酸性アミノ酸、アルギニン、ヒスチジン、リシンのような塩基性アミノ酸、更にタウリンのようなアミノスルホン酸を用いることができる。
これらのアミノ酸のうち特にアルギニン、ヒスチジン、リシンのような塩基性アミノ酸が好ましい。
これらの製剤においては、PHを2〜8に調整する。
さらに、前記処方に、ジヒドロキシアセトン(以下、DHAと略す。)0.01〜1.5%を配合して製剤のPHを2〜7に調整し、光エネルギーを利用した1剤型の染毛料とする。
前記製剤のPH調整は、任意であるが、以下の実施例で断りのない場合は、クエン酸または水酸化ナトリウムの水溶液で調整した。
また、染毛料に添加できる公知の添加剤は、製剤の安定を損なわない限り任意である。
例えば、保湿成分として50%乳酸ナトリウム、安定剤としてエデト酸2ナトリウム等が挙げられる。
一般のヘアコンディショナーやリンスなどの毛髪用製品には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなどの長鎖アルキル鎖をもつカチオン界面活性剤がその特性を生かして多用されている。
市販の光エネルギーを利用した染毛料クリームの中にも少量配合されている。
通常のヘアクリーム中にこれらのカチオン界面活性剤を1%以下配合することは何ら支障はなく、ヘアクリーム中にこれらのカチオン界面活性剤を配合し、高級アルコール類との組合わせにより油相成分を少なくし、セット力に優れたベトつきのない製品を提供することは可能である。
なぜなら、染毛料クリームベース処方中の銀塩とカチオン界面活性剤の対イオンである塩素イオンとが反応して塩化銀を生成するためである。
この反応は、写真の感光材料に用いられているように、光に対して極めて敏感であるために、銀塩がヘアクリーム中から徐々に毛髪に移行し、還元固着して発色する前に、クリーム相中で素早く還元され、、銀あるいは酸化銀のような形で黒色粒子として析出してしまう。
このため見掛けは毛髪が黒く染まったように見えるが、シャンプーによりこれらの黒色粒子は洗い流されてしまい、毛髪上にほとんど残らないために、1剤型の染毛料クリームベースでの使用には不適当である。
したがって、塩化アルキルトリメチル系カチオン界面活性剤のような塩素イオン更にはハロゲンイオンを対イオンに持つカチオン界面活性剤の配合は、染毛料の染色力を低下させないためには、配合量を著しく制限されることになる。
このような制限された配合量では、毛髪のしなやかさやセット力の点で性能が十分に発揮できない場合が出てくる。
銀の黒色粒子析出現象は、塩化アルキルトリメチルアンモニウム系カチオン界面活性剤を用いた時ばかりでなく、広くハロゲンイオンが存在した時にも当てはまる。
さらに、使用する銀塩が水に易溶な場合は、この現象はより速やかに起こる。
なぜなら、製剤中に銀塩と、アスコルビン酸、亜硫酸塩、システインのような含硫還元性アミノ酸等の強力な還元性物質とを共存させると、銀塩は瞬時に還元されて黒色の銀微粒子が析出してしまい、毛髪を染める能力が著しく低下する。
還元力の弱い還元性物質であっても、その配合量、保存状態により変化の程度は異なるが、製剤の状態が経時的に変化してしまう。
そのために染毛力が経時的に低下して行くので、弱い還元性物質でも、銀塩を使用した光エネルギー利用の1剤型染毛料クリームベースへの配合は好ましくない。
その上、毛髪上で硫化銀を生成しないばかりでなく、本発明の目的とする褐色からグレー系に毛髪を染色する作用・効果は、見いだせなかった。
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルとしては、ポリオキシエチレン(5,5)セチルエーテル(以下、POE(5、5)セチルエーテルと略す。)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(以下、POE(20)セチルエーテルと略す。)、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル(以下、POE(20)ベヘニルエーテルと略す。)等が挙げられる。
メチル硫酸イオンまたはエチル硫酸イオンを対イオンとするカチオン界面活性剤としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム(以下、ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩と略す。)、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ベヘニルエチルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
特に、これらエチル硫酸イオン、メチル硫酸イオンを対イオンとするカチオン界面活性剤は、銀塩の存在下で光に対して過度に敏感に作用することはなく、光エネルギーを利用した1剤型の染毛料としての働きを十分に果たすことができる。
その上、前記特定のカチオン界面活性剤を配合することにより、製剤の安定性を更に高めることができる。
CH3 / CH3 \+
/ | | | −
R−N +(C2H5)2SO4→ |R―N―C2H5|C2H5SO4
\ | | |
CH3 \ CH3 /
Rは、ラノリン脂肪酸アミドプロピル残基である。
[染毛料クリームベースA]
環状シリコーン 6.7 wt%
メチルフェニルシリコーン 8.3 wt%
ホホバ油 1.7 wt%
セタノール 6.8 wt%
親油性ステアリン酸モノグリセリド 0.8 wt%
POE(5.5)セチルエーテル 1.1 wt%
POE(20)セチルエーテル 1.1 wt%
精製水で100wt%とする。
この染毛料クリームベースAは、柔らかい乳白色のクリームである。
処方 No.1 No.2 No.3
ベースA 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 1.5 1.5 1.5
ヒスチジン 1.0
DHA 0.4
PH 3.6 3.4 3.6
精製水で100gとする。
安定性試験は、45℃の負荷温度で、1週間経過後の状態で判定した。
染色テストは、市販の毛染試験用の人毛白色(毛束屋製)である1束1gの毛束を使用する。この毛束に光エネルギーを利用した染毛料のクリームを1回約0.5gを塗布し、晴天日には1回2時間南側窓ガラス越しに日光を当てる。または、1日1回、室内蛍光灯の約60cm下に6時間放置する。
その後、シャンプーで良く洗い、すすいだ後に、毛束を乾かした。
この操作を3回繰り返した。
毛束の染色テストの結果は、毛束の色は茶色であった。
処方No.2製剤は、アミノ酸が配合されていないので比較例であり、製剤の当初の色は薄い茶色で、経時的にやや茶色に着色し不安定であった。
染色テストの結果、毛束の色は赤茶色で、染毛力が弱かった。
処方No.3製剤も同じく比較例であり、製剤の当初の色は白色であったが、経時的に灰色に変化して不安定であった。
染色テストの結果、毛束の色は赤味の強い茶色で、染毛力が弱かった。
処方 No.4 (g)
ベースA 70.0
硝酸銀 1.5
ヒドロキシプロリン 1.0
DHA
PH4.0に調整し、精製水で100gとする。
前記処方No.4製剤の当初の色は白色で、経時的に変色なく安定であった。
染色テストの結果、毛束の色は、赤みの強い赤茶色で、明るい色調であった。
処方 No.5 No.6
ベースA 70.0 70.0
硫酸銀 1.5 1.5
アミノ酸:ヒスチジン 1.0 アルギニン 0.4
グルタミン酸 0.4
DHA 0.4 0.2
保湿成分:50%乳酸Na 10.0
PH 4.5 3.9
精製水で100gとする。
前記処方No.5製剤の当初の色は白色で、経時的にやや灰色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は茶色であった。
前記処方No.6製剤の当初の色は白色で、経時的にごくわずかに桃色に変色した。
染色テストの結果、毛束の色は赤みの強い赤茶色で、明るい色調であった。
各成分の配合量の単位はグラム(g)である。
処方 No.7 No.8
ベースA 70.0 70.0
銀塩: 硝酸銀 1.0 臭化銀 0.8
アミノ酸: ヒスチジン 1.0 グルタミン酸 1.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
DHA 0.4
PH 5.6 3.2
精製水で100gとする。
染色テストの結果は、著しく染毛力が低下した。
前記処方No.8製剤は、臭素イオンを有する銀塩を配合した比較例であり、製剤の当初の色は白色であり、経時的な変化は全くなかった。
染色テストの結果は、日光に当たってもクリームの変色は全くない上に、髪への着色もなかった。
[染毛料クリームベースB]
環状シリコーン 1.5 g
スクワラン 1.0 g
ホホバ油 1.2 g
セタノール 4.0 g
親油性ステアリン酸モノグリセリド 0.4 g
POE(5.5)セチルエーテル 0.6 g
POE(20)ベヘニルエーテル 0.6 g
ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩(50%溶液) 0.8 g
精製水で70gとする。
この染毛料クリームベースBは、前記染毛料クリームベースAよりも粘弾性が少し高くなった乳白色のクリームである。
処方 No.9 No.10 No.11 No.12
ベースB 70.0 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 1.5 1.5 3.0 3.0
ヒスチジン 1.0 1.0 1.0
DHA 0.54 0.54
PH 3.5 3.8 3.2 7.2
精製水で100gとする。
染色テストの結果は、毛束の色は濃い茶褐色であった。
処方No.10製剤は、アミノ酸が配合されていないので比較例であり、当初の色は白色であったが、経時的に灰色の変色した。
染色テストの結果、毛束の色は赤みの強い茶色で、染毛力が弱かった。
前記処方No.11製剤の当初の色は白色で、経時的(10日)に橙色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は、濃褐色であった。これは業務用途に適している。
処方No.12製剤は、PHが7.0を越えているので比較例であり、重炭酸ナトリウムでPHを調整した当初の色は灰色であったが、すぐに灰黒色に変化して不安定であった。
染色テストの結果は、毛束に対してほとんど染毛力がなかった。
処方 No.13 No.14 No.15 No.16
ベースB 70.0 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 1.5 1.5 1.5 1.5
アルギニン 2.0 2.0 2.0 2.0
DHA 0.1 0.1
安定剤:エデト酸2Na 0.1
PH 6.0 3.1 3.8 7.8
精製水で100gとする。
染色テストの結果は、毛束の色は、赤みの強い紫色であった。
前記処方No.14製剤の当初の色は白色で、経時的に着色しなかった。
染色テストの結果、毛束の色は茶紫色であった。
処方No.15製剤の当初の色は白色で、経時的に着色なく安定であった。
染色テストの結果、毛束の色は紫がかった茶色であった。
処方No.16製剤は、PHが7.0を越えているので比較例であり、当初から茶色に着色しており、その後も製剤の着色が著しかった。
染色テストの結果、毛束の色は茶色になったが、経時的に染色力が低下した。
処方 No.17 No.18
ベースB 70.0 70.0
硝酸銀 1.5 1.5
チロシン 1.0 2.0
DHA 1.0 1.0
PH 2.5 2.8
精製水で100gとする。
前記処方No.17製剤の当初の色は白色で、経時的に薄い茶色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は茶色であった。
前記処方No.18製剤の当初の色は白色で、経時的にゆっくりと茶色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は茶色であった。
各成分の配合量の単位はグラム(g)である。
処方 No.19 No.20
ベースB 70.0 70.0
硝酸銀 1.5
アミノ酸: β−アラニン 2.0 ヒドロキシフェニルアラニン 0.6
DHA 1.0 1.2
PH 2.5 4.6
精製水で100gとする。
前記処方No.19製剤の当初の色は白色で、経時的に灰色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は茶紫色であった。
前記処方No.20製剤は、硝酸銀が配合されていないので比較例であり、製剤の当初の色は白色で、経時的に変化しなかった。
染色テストの結果は、毛束を3回処理しても着色しなかった。
このことは、銀塩が存在しなければ、アミノ酸とDHAでは毛髪を染色できないことを示している。
処方 No.21 No.22 No.23
ベースB 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 1.5 1.0
アミノ酸:DL−アミノ酪酸2.0 4−アミノ酪酸1.0 4−アミノ酪酸1.0
DHA 1.0 0.2 1.0
PH 4.6 5.7 5.8
精製水で100gとする。
前記処方No.21製剤の当初の色は白色で、経時的に変色はなかった。
染色テストの結果、毛束の色は赤色であった。
前記処方No.22製剤の当初の色は白色で、経時的にやや茶色に変化した。
染色テストの結果は、毛束の色は、やや赤みのある茶色であった。
前記処方No.23製剤は、硝酸銀が配合されていないので比較例であり、当初の色は白色で、経時的に変色はなかった。
染色テストの結果は、毛束を3回処理しても着色しなかった。
このことは、銀塩が存在しなければ、アミノ酸とDHAでは毛髪を染色できないことを示している。
処方 No.24 No.25
ベースB 70.0 70.0
銀塩: 硝酸銀 1.5 乳酸銀 4.0
アミノ酸: グルタミン酸 2.0 ヒスチジン 1.0
DHA 1.0
PH 6.9 3.5
精製水で100gとする。
前記処方No.24製剤の当初の色は白色で、経時的に灰色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色はやや赤みを帯びた茶色であった。
前記処方No.25製剤の当初の色は白色で、経時的に着色しなかった。
染色テストの結果、毛束の色は、やや赤みを帯びた茶色であった。
処方 No.26 No.27
ベースB 70.0 70.0
硝酸銀 2.0 1.5
アミノ酸: ヒスチジン 2.0 アルギニン 1.0
β−アラニン 1.0
添加剤: 50%乳酸Na 10.0 エデト酸2Na 0.1
PH 4.8 3.1
精製水で100gとする。
前記処方No.26製剤は、乳酸でPHを調整した。製剤の当初の色は白色で、経時的に着色はなかった。
染色テストの結果、毛束の色は灰紫色であった。
前記処方No.27製剤の当初の色は白色で、経時的に着色はなかった。
染色テストの結果、毛束の色は茶紫色であった。
処方 No.28 No.29
ベースB 70.0 70.0
銀塩: 硝酸銀 1.0 硫酸銀 0.5
アミノ酸: タウリン 2.0 リシン 1.6
ヒスチジン 1.0
PH 6.5 7.7
精製水で100gとする。
前記処方No.28製剤の当初の色は白色で、経時的に着色はなかった。
染色テストの結果、毛束の色は、わずかに赤味を帯びた濃い茶色であった。
前記処方No.29製剤の当初の色は白色で、経時的に着色はなかった。
染色テストの結果、毛束の色は焦げ茶色であった。
処方 No.30 No.31 No.32
ベースB 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 0.38 0.1 0.1
アルギニン 0.5 0.2 0.2
DHA 0.25 0.1 0.1
PH 3.1 8.0 2.8
精製水で100gとする。
前記処方No.30製剤の染色テストの結果、毛束の色は赤茶色であった。
前記処方No.31製剤の染色テストの結果は、ほとんど染まらなかった。
前記処方No.32製剤の染色テストの結果は、ほとんど染まらなかった。
処方 No.33 No.34
ベースB 70.0 70.0
硝酸銀 4.0 4.0
アルギニン 4.0 2.0
DHA 0.5 0.1
PH 2.7 5.3
精製水で100gとする。
前記処方No.33製剤の染色テストの結果、毛束の色は赤紫色であった。
前記処方No.34製剤の染色テストの結果、毛束の色は赤紫色であった。
各成分の配合量の単位はグラム(g)である。
処方 No.35 No.36 No.37 No.38 No.39
ベースB 70.0 70.0 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
アルギニン 2.0 2.0 2.0 0.5 0.5
DHA 0.01 0.1 0.1 0.1 0.5
PH 8.0 7.8 3.1 3.1 2.4
精製水で100gとする。
前記処方No.35製剤の染色テストの結果、毛束の色は茶紫色であった。
前記処方No.36製剤の染色テストの結果、毛束の色は茶色であった。
前記処方No.37製剤の染色テストの結果、毛束の色は紫がかった赤色であった。
前記処方No.38製剤の染色テストの結果、毛束の色は赤色であった。
前記処方No.39製剤の染色テストの結果、毛束の色は紫がかった赤色であった。
各成分の配合量の単位はグラム(g)である。
処方 No.40 No.41 No.42
ベースB 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 1.0
アミノ酸:4−アミノ酪酸 0.5 4−アミノ酪酸 0.2 ヒドロキシ 0.2
フェニルアラニン
DHA 0.4 0.4 1.2
PH 5.7 5.8 4.6
精製水で100gとする。
前記処方No.40製剤の当初の色は白色で、経時的に茶色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は、やや赤味のある茶色であった。
前記処方No.41製剤は銀塩がないので比較例であり、染色テストの結果は、着色しなかった。
前記処方No.42製剤も銀塩がないので比較例であり、染色テストの結果は、着色しなかった。
各成分の配合量の単位はグラム(g)である。
処方 No.43 No.44 No.45
ベースB 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 2.0 3.0 0.5
アミノ酸: リシン 3.0 リシン塩酸塩 3.0 リシン塩酸塩 4.0
DHA 0.1 0.26
PH 3.2 3.1 6.2
精製水で100gとする。
前記処方No.43製剤の当初の色は白色で、経時的に茶色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は、濃いやや赤味がかった茶色であった。
前記処方No.44製剤の染色テストの結果は、淡いくすんだ赤みのある黄色であった。
前記処方No.45製剤の染色テストの結果は、淡いくすんだ黄色であった。
前記処方No.44およびNo.45製剤は、リシン塩酸塩の塩素イオンが染毛力を低下させていることが明らかである。
[染毛料クリームベースC]
環状シリコーン 1.0 g
メチルフェニルシリコーン 1.5 g
ホホバ油 1.0 g
セタノール 5.0 g
親油性ステアリン酸モノグリセリド 0.4 g
POE(5.5)セチルエーテル 0.6 g
POE(20)ベヘニルエーテル 0.6 g
ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩(50%溶液) 1.2 g
精製水で70gとする。
この染毛料クリームベースCは、前記染毛料クリームベースBよりもさらに粘度が高い乳白色のクリームである。
処方 No.46 No.47 No.48
ベースB 70.0 70.0 70.0
硝酸銀 1.0 1.0 1.0
塩基性アミノ酸: リシン 2.0 リシン 3.0 リシン 1.0
アルギニン 1.0
PH 7.6 4.8 4.7
精製水で100gとする。
染色テストの結果、毛束の色は、灰色であった。
前記処方No.47製剤の当初の色は白色で、経時的な変色はなかった。
染色テストの結果、毛束の色は茶褐色であった。
前記処方No.48製剤の当初の色は白色で、経時的に黄灰色に変化した。
染色テストの結果、毛束の色は茶褐色であった。
また、本発明の光エネルギーを利用した染毛料は、1剤型であるために、従来の染毛料のように使用直前に2液を混合する必要がなく、使用する際に、取り扱いが簡単である。
さらに、製剤にDHAを添加することにより、色調を濃くすることができる。
また、毛髪に塗布後、30分以上直射日光に当てるだけでも、銀あるいは酸化銀が強固に毛髪に付着するので、アルカリや酸化反応などによる毛髪の傷みなどもない。
その上、永久染毛剤と比較しても、同等程度色持ちが良い(2〜3カ月)という効果がある。
これらの作用・効果により、本発明の光エネルギーを利用した1剤型の染毛料は、高齢化社会を迎えて大いに利用される可能性がある。
Claims (5)
- 染毛料クリームベースに、銀塩(但し、ハロゲン化銀を除く)0.3〜5.0重量%、およびアミノ酸(但し、システインのような還元性アミノ酸およびメチオニンのような含硫アミノ酸を除く)0.2〜5.0%を配合したことを特徴とする光エネルギーを利用した1剤型の染毛料。
- 染毛料クリームベースに、銀塩(但し、ハロゲン化銀を除く)0.3〜5.0重量%、および中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸(但し、システインのような還元性アミノ酸およびメチオニンのような含硫アミノ酸を除く)、アミノスルホン酸から選ばれた1種以上0.2〜5.0%を配合し、製剤のPHを2〜8に調整したことを特徴とする光エネルギーを利用した1剤型の染毛料。
- 染毛料クリームベースに、銀塩(但し、ハロゲン化銀を除く)0.3〜5.0重量%、および塩基性アミノ酸としてアルギニン、ヒスチジン、リシンから選ばれた1種以上を0.2〜5.0%を配合し、製剤のPHを2〜8に調整したことを特徴とする光エネルギーを利用した1剤型の染毛料。
- 染毛料クリームベースに、銀塩(但し、ハロゲン化銀を除く)0.3〜5.0重量%、アルギニン、ヒスチジン、リジンから選ばれた1種以上を0.2〜5.0%、およびジヒドロキシアセトン0.01〜1.5%を配合し、製剤のPHを2〜7に調整したことを特徴とする光エネルギーを利用した染毛料。
- 前記染毛料クリームベースに使用する界面活性剤として、メチル硫酸イオンまたはエチル硫酸イオンを対イオンとするカチオン界面活性剤を配合することを特徴とする請求項1から請求項4記載の光エネルギーを利用した1剤型の染毛料。
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