JP2007242919A - 光透過性電磁波シールド材の製造方法、光透過性電磁波シールド材、およびディスプレイ用フィルタ - Google Patents

光透過性電磁波シールド材の製造方法、光透過性電磁波シールド材、およびディスプレイ用フィルタ Download PDF

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Tatsuya Funaki
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Abstract

【課題】製造効率が向上された光透過性電磁波シールド材の製造方法を提供すること。
【解決手段】透明基板に易接着処理を施す工程、
シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤を、前記透明基板の易接着処理を施した面に塗布、乾燥させ、前記透明基板上に前処理層を形成する工程、
前記前処理層上にドット状のめっき保護層を形成する工程、および、
前記めっき保護層が形成されずに露出した前記前処理層上に、無電解めっきすることによりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面フィルタや、病院などの電磁波シールドを必要とする建築物の窓に用いられ得る貼着用シート等として有用な光透過性電磁波シールド材の製造方法、前記製造方法により製造された光透過性電磁波シールド材、および前記光透過性電磁波シールド材を含むディスプレイ用パネルに関する。
近年、OA機器や通信機器等の普及にともない、これらの機器から発生する電磁波によりもたらされる人体への影響が懸念されている。また、携帯電話等の電磁波により精密機器の誤作動などを起こす場合もあり、電磁波は問題視されている。
そこで、OA機器のPDPの前面フィルタとして、電磁波シールド性および光透過性を有する光透過性電磁波シールド材が開発され、実用に供されている。このような光透過性電磁波シールド材はまた、電磁波から精密機器を保護するために、病院や研究室等の精密機器設置場所の窓材としても利用されている。
この光透過性電磁波シールド材では、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、光透過性電磁波シールド材には、例えば、微細なメッシュ構造を有する導電性の層が使用される。この導電性のメッシュの部分によって電磁波がシールドされ、開口部によって光の透過が確保される。
光透過性電磁波シールド層は、種々の方法により製造されるが、好ましい製造方法として例えば、以下の図2に示すような方法がある。まず、透明基板21に、水溶性インキ22でメッシュのネガパターンを印刷する(印刷工程;図2の矢印(B1))。これに銅を薄く蒸着して、メッシュパターンの銅の薄膜23を形成する(蒸着工程;図2の矢印(B2))。さらに水溶性インキ22を洗浄除去し、メッシュ状の金属導電層24を得る(洗浄工程;図2の矢印(B3))。特許文献1では、このような製造方法を開示している。
この方法によれば、光透過性電磁波シールド材のメッシュ状金属において、メッシュの線幅を十分に小さく、開口率を高くすることができる。しかし、金属導電層の膜厚が小さいものとなる。そのため、これを上述の光透過性電磁波シールド層に好適な導電性を付与するためには、この金属導電層24の上にさらに銅の薄膜25を電気メッキし、銅の膜厚を増加させ、十分な厚みの銅の層を形成する(メッキ工程;図2の矢印(B4))ことが望ましい。
このようにして得られる光透過性電磁波シールド材は、銅層の表面に金属光沢を残したままであるために、PDP用前面フィルタ等に使用すると外部光を反射して眩しさを感じさせる原因となる。そのため、PDP用前面フィルタの光透過性電磁波シールド層とするために、防眩性付与のための黒化処理が通常、行われる。すなわち、上記の金属銅の表面に酸化又は硫化等の処理を行って、防眩性の黒化処理層を形成する(黒化処理工程)。
特開2001−332889号公報
上記の通り、従来の製造方法では、印刷工程、蒸着工程、洗浄工程、メッキ工程、および必要であれば黒化処理工程などの複数の工程を経て光透過性電磁波シールド材を作製する。しかしながら、光透過性電磁波シールド材は生産性の向上が望まれており、そのためには工程数の削減などにより製造効率を向上させる必要がある。
そこで、本発明が目的とするところは、工程数の削減により製造効率を向上させ、製造コストが低減された光透過性電磁波シールド材の製造方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、透明基板に易接着処理を施した後、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤を用いた無電解めっきにより前記透明基板上に金属導電層を形成することで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、
透明基板に易接着処理を施す工程、
シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤を、前記透明基板の易接着処理を施した面に塗布、乾燥させ、前記透明基板上に前処理層を形成する工程、
前記前処理層上にドット状のめっき保護層を形成する工程、および
前記めっき保護層が形成されずに露出した前記前処理層上に、無電解めっきすることによりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法により上記課題を解決する。
前記易接着処理としては、(i)金属酸化物を含む易接着処理層を前記透明基板上に形成する方法、(ii)合成樹脂を含む溶液を前記透明基板上に塗布、乾燥させて、易接着処理層を形成する方法、または(iii)前記透明基板をコロナ処理またはプラズマ処理する方法などが用いられる。
前記(i)の易接着処理において、前記金属酸化物としては、Si、Ti、Sn、Al、およびZnよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物が好ましく用いられる。これらの金属酸化物であれば、高い光透過性および密着性を有する易接着処理層を形成することができる。
前記(i)の易接着処理において、製造方法の効率を向上させる観点から、気相成膜法により形成されるのが好ましい。前記気相成膜法としては、易接着処理は、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法、またはプラズマ化学気相成長法などが用いられる。
前記(ii)の易接着処理において、前記合成樹脂としては、ガラス転移温度が−20〜50℃である合成樹脂が好ましく用いられる。これにより、高い密着性を有する易接着処理層が得られる。前記合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、および酢酸ビニル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
前記(ii)の易接着処理において、前記合成樹脂を含む溶液は、イソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物をさらに含むのが好ましい。これにより、
易接着処理層の接着性、製膜性を向上させることが可能となる。
前記無電解めっき前処理剤に用いられる前記シランカップリング剤としては、高い触媒活性および密着性が得られることから、エポキシ基含有シラン化合物、特にγ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが好ましく用いられる。
前記無電解めっき前処理剤に用いられる前記アゾール系化合物としては、シランカップリング剤が有するエポキシ基などの官能基および貴金属化合物との反応性に優れることから、イミダゾールが好ましく用いられる。
前記無電解めっき前処理剤に用いられる前記貴金属化合物としては、パラジウム、銀、白金、および金などの金属原子を含む化合物を用いるのが好ましい。これらの貴金属化合物であれば、高い触媒活性が得られる。
前記透明基板上に前記前処理層を形成する工程において、前記乾燥は80〜160℃で行われる。これにより、均一な厚さを有し、密着性および触媒活性に優れる前処理層を得ることができる。
また、前記めっき保護層は、高い光透過性を有することが望ましいことから、前記めっき保護層は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、およびスチレン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含むのがよい。
また、前記金属導電層は、前処理層およびめっき保護層との密着性、および、電磁波シールド性を向上させることができることから、銀、銅、またはアルミニウムを含むのが好ましい。
さらに、本発明の方法は、前記金属導電層に防眩性を付与するために、前記金属導電層を黒化処理し、前記金属導電層の表面の少なくとも一部に黒化処理層を形成する工程をさらに有していてもよい。前記黒化処理は、前記金属導電層を酸化処理または硫化処理することによって行われるのがよい。
本発明の方法によれば、蒸着ではなく無電解めっきにより十分な厚さを有するメッシュ状金属導電層を容易に形成することができるので工程数の削減が可能となることから、製造効率が向上した光透過性電磁波シールド材の製造方法を提供することが可能となる。これにより、製造コストが低減された光透過性電磁波シールド材、および、これを用いたディスプレイ用フィルタを提供することが可能となる。
本発明の方法は、基本的に下記の工程、すなわち、
透明基板に易接着処理を施す工程、
所定の無電解めっき前処理剤を用いて、前記透明基板の易接着処理を施した面に前処理層を形成する工程、
前記前処理層上にドット状のめっき保護層を形成する工程、および、
露出している前記前処理層上に、無電解めっきすることにより金属導電層を形成する工程、を含む。
本発明の製造方法の各工程を説明するための概略断面図の一例を図1に示す。本発明の方法では、まず、透明基板11に易接着処理を施す(図1の矢印(A1))。前記易接着処理は、前記透明基板11と、後の工程で作製される前処理層13とを強固に接着させるための処理である。前記易接着処理は、例えば、透明基板11上に易接着処理層12を形成することなどにより行われる。このように、透明基板11に、あらかじめ易接着処理を行うことにより、前記透明基板11と前処理層13との密着耐久性を著しく向上させることができ、めっき保護層14および金属導電層15の剥離を防止することが可能となる。
次に、本発明の方法では、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤を、前記透明基板の易接着処理を施した面に塗布、乾燥させ、易接着処理がなされた透明基板11上に前処理層13を形成する(図1の矢印(A2))。前記前無電解めっき処理剤において、シランカップリング剤、アゾール系化合物、および貴金属化合物を用いることで、前記シランカップリング剤および前記アゾール系化合物が透明基板と無電解めっきにより形成される金属導電層との密着性を向上させるとともに、無電解めっき触媒である貴金属化合物を前処理層中に原子レベルで分散させることができる。これにより、無電解めっき触媒として貴金属粒子を用いた場合よりも、透明な前処理層を得ることが可能となる。従来の一般的な無電解めっき法では、クロム酸などで粗化させた面に物理的に無電解めっき触媒を吸着させる手段が用いられている。そのため、このような手段を用いた場合、透明基板が粗化され易いものに限定されるだけでなく、無電解めっき触媒が粒子状態となるため基板が不透明になる恐れがあった。また、従来の無電解めっき法において使用されていた無電解めっき触媒を含む触媒塗料でも同様に、触媒となる金属またはその化合物が粒子状態で配合されていたため触媒塗料が不透明であり、触媒塗料を塗布した基板が不透明となり、本願発明における方法に活用することができなかった。しかしながら、本願発明において用いられる前処理剤によれば、高い透明性を有する他、カップリング剤により基材表面などを粗化させなくとも高い触媒活性を得るとともに密着性が確保された前処理層を形成することができ、さらには、透明基板が粗化され易いなどの制限を受けることがない。
次に、本発明の方法では、前記前処理層13上にドット状のめっき保護層14を形成する(図1の矢印(A3))。前記めっき保護層14は、後の工程で無電解めっきを行って金属導電層15を形成する際に、前記前処理層13上の所定の部位に無電解めっきが行われるのを抑制するためのものである。ドット状のめっき保護層14が、前記前処理層13上に多数設けられることで、めっき保護層14の間隙に金属導電層15を形成するとともにめっき保護層14が金属導電層15における開口部を形成し、メッシュ状の前記金属導電層15が得られる。
次に、本発明の方法では、前記めっき保護層14が形成されずに露出した前記前処理層12上に、無電解めっきすることによりメッシュ状の金属導電層15を形成する工程(図1の矢印(A4))を行う。これにより、多数の前記めっき保護層13の間および周縁部に形成された凹部に露出した前処理層上に微細な金属粒子が濃密で実質的な連続皮膜として沈積形成され、前記前処理層と密着した金属導電層を得ることが可能となる。また、金属導電層の形成に、無電解めっきを用いることで、十分な厚さを有する金属導電層を容易に形成することができ、製造効率を向上させることが可能となる。
したがって、本発明によれば、透明基板が粗化され易いものに制限されず、易接着処理によりめっき保護層および金属導電層の剥離が防止され、光透過性、電磁波シールド性、および製造効率に優れる光透過性電磁波シールド材の製造方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法について、順を追ってより詳細に説明する。
まず、本発明の方法では、透明基板に易接着処理を施す工程を実施する。前記易接着処理は、透明基板の光透過性を低下させずに、透明基板と前処理層との密着性を向上させ得る処理であれば特に制限されない。
前記易接着処理として、具体的には、(i)金属酸化物を含む易接着処理層を前記透明基板上に形成する方法、(ii)合成樹脂を含む溶液を前記透明基板上に塗布、乾燥させて、易接着処理層を形成する方法、または(iii)前記透明基板をコロナ処理またはプラズマ処理する方法などが用いられる。これらの方法であれば、簡易な方法により易接着処理を実施することができ、製造効率の向上に繋がる。
まず、前記易接着処理として前記(i)の方法について説明する。前記(i)の方法では、金属酸化物を含む易接着処理層を前記透明基板上に形成する方法が用いられる。
前記金属酸化物は、透明基板の光透過性を低下させず、かつ、透明基板と前処理層との密着性を向上させ得るものであれば特に制限されない。前記金属酸化物として、Si、Ti、Sn、Al、およびZnなどの金属の酸化物が好ましく用いることができる。易接着処理層において、これらの金属酸化物は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。前記金属酸化物の例として好ましくは、SiO2、TiO2、SnO2、Al23、ZnOなどを挙げることができる。 これらの金属酸化物からなる薄膜によれば、高い光透過性を有し、透明基板と前処理層との密着性を著しく向上させることができる易接着処理層を形成することができる。
これらの金属酸化物の他にも、Si、Ti、Sn、Al、およびZnよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の窒化物または酸窒化物を含む易接着処理層を前記透明基板上に形成してもよい。
本発明の方法において、前記金属酸化物を含む易接着処理層を形成するには、従来公知の方法を用いて行えばよいが、気相成膜法により形成するのが好ましい。前記気相成膜法として、具体的には、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法、およびプラズマ化学気相成長法などを用いることができる。特に、前記気相成膜法としては、真空蒸着法、または、スパッタリング法が好ましく用いられる。ターゲットとして前記金属酸化物を構成する金属および/または金属酸化物を用いて、前記気相成膜法により易接着処理層を形成することで、結晶性の良い薄膜を低温で形成することができる。
例えば、前記透明基板上に前記金属酸化物を含む易接着処理層を真空蒸着により形成するには、蒸着源、すなわち成膜用材料を真空中で抵抗加熱や誘導加熱、電子ビーム照射等により加熱して溶融させ、その蒸気を前記透明基板上の表面に付着させる方法が用いられる。
前記成膜用材料としては、Si粉末とSiO2粉末の混合焼結体、SiOの粉末や粒、塊などから製造したSiO焼結体、SiO2粉末、SiO2粒、Si粉末、Si粒などが挙げられる。
前記真空蒸着における加熱方式は、電子銃を単体または複数、用いてもよく、また、他の加熱方式あるいはそれらの併用でもよい。ここで言う他の加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、レーザービーム加熱、電子線加熱等が挙げられるが、特にこれに限られるものではない。
前記真空蒸着において反応性ガスとして、所望の金属酸化物からなる薄膜を得るために、酸素の他、必要に応じて窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン、イオンアシスト等を導入してもよい。これにより、生成する易接着処理層の透明性を向上させることができる。この場合には、雰囲気の圧力が通常1×10-5〜1×10-3Torrの範囲にあるようにガスの導入を行うのが好ましい。また、透明基板にバイアス等を加えたり、透明基板の温度を上昇あるいは冷却するなど、堆積条件を変化させてもよい。
前記金属酸化物を含む易接着処理層の厚さは、10〜500nm、好ましくは50〜200nmとするのがよい。前記易接着処理層の厚さを前記範囲内とすることで、十分な接着性が得られる。
また、前記金属酸化物を含む易接着処理層を形成するには、スパッタリング法も好適に用いられる。前記スパッタリング法は、酸素などの反応性ガスを導入しながら、ターゲットとして前記金属酸化物を構成する金属および/または金属酸化物を用いてスパッタリングすることにより行われるのが好ましい。前記ターゲットとしては真空蒸着法において上述した成膜用材料と同様のものが用いられ、反応性ガスについても真空蒸着法において上述したものと同様のものが用いられる。
前記スパッタリング法の条件としては、特に制限されないが、ターゲット投入電力密度を1W/cm2以上、さらに1.5〜25W/cm2、特に2〜20W/cm2とするのが好ましい。また、前記スパッタリング法は、0.1Pa以上、さらに0.2〜5Pa、特に0.2〜2Paの圧力下で行われるのがよい。
次に、前記易接着処理として(ii)の方法について説明する。前記(ii)の方法としては、合成樹脂を含む溶液を前記透明基板上に塗布、乾燥させて、易接着処理層を形成する方法が用いられる。前記方法によれば、簡易な方法により合成樹脂を含む易接着処理層を形成することができ、かつ、透明基板とめっき保護層および金属導電層との密着性を著しく向上させることができる。
前記合成樹脂は、ガラス転移温度が−20〜50℃、特に−10〜20℃であるのが好ましい。これにより、易接着処理層と、めっき保護層および金属導電層などとが粘着するブロッキング現象を抑制して高い密着性を得ることができる。
なお、本発明において、合成樹脂のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリクス社製 RPS−II)を用いて、−50℃から100℃まで(
)℃/分で昇温しながら、歪み1%、周波数1Hzの条件で温度分散を測定し、これにより得られる損失正接(tanδ)の最大値をガラス転移温度とする。
前記ガラス転移温度を有する好ましい合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、および酢酸ビニル樹脂を挙げることができる。高い光透過性および可とう性を有するため、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂として、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、2,6−ポリエチレンナフタレートなどを用いることができる。
前記ポリウレタン樹脂として、具体的には、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに必要に応じて鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂などを用いることができる。
前記有機ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物、および、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が、単独または2種以上混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよび芳香脂肪族ジイソシアネートがより好ましい。
高分子ジオール化合物としては、アジピン酸、セバシン酸、無水フタール酸などの二塩基酸の1種または2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどのグリコール類の1種または2種以上とを縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類などのポリエステルジオール化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイド付加物などのポリエーテルジオール化合物などの各種高分子ジオール化合物を単独または2種以上混合して使用できる。これらの高分子ジオール化合物は、数平均分子量が300〜6,000のものが好ましい。前記高分子ジオール化合物に加えて、1,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3メチル−1,5−ペンタンジオールなどのアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの低分子ジオール化合物を単独または2種以上混合して併用することができる。前記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物の使用比率は、イソシアネート基/水酸基の当量比が通常、(1.3〜3.0)/1.0、より好ましくは、(1.5〜2.0)/1.0となる範囲である。
鎖伸長剤としては、低分子量のジアミン化合物、ジオール化合物などが使用でき、反応停止剤としては、モノアミン化合物、モノアルコール化合物などが使用できる。
本発明では、上記材料から公知の方法により製造できるポリウレタン樹脂がそのまま使用できる。ポリウレタン樹脂としては、重量平均分子量が5000〜20万のものが好ましい。
なお、それぞれの成分の分子量や化学構造、また当量比が異なると、得られるポリウレタン樹脂の硬さも異なることから、これら成分を適宜組み合わせによって、後記のめっき保護層および金属導電層との接着性や印刷物の耐ブロッキング性を調節することが可能である。
前記アクリル樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル等のメタアクリル酸アルキルエステル類のホモポリマーが使用できるが、特にポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートまたはポリブチルメタクリレートなどが挙げられる。
前記酢酸ビニル樹脂は、酢酸ビニルの重合によって得られる樹脂である。また、前記酢酸ビニル樹脂は、ポリ酢酸ビニル樹脂中の50%未満の酢酸ビニル単位が加水分解された樹脂も含む。また、上記酢酸ビニル樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体だけでなく、酢酸ビニルと他のモノマー(例えば、エチレン等のオレフィン)とを共重合して得られ、酢酸ビニル単位が50モル%以上である共重合体も含む。前記酢酸ビニル樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記合成樹脂を含む溶液は、前記合成樹脂の他に、イソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物をさらに含むのがより好ましい。前記合成樹脂を含む溶液において、前記合成樹脂と前記多官能イソシアネート化合物が同時に存在することにより無易接着処理層の接着性および製膜性を向上させることができる。
前記イソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物としては、以下のものが例示される。
2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパンアダクト体、t−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェイト、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビシクロヘプタントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートおよびそれらの混合物あるいは多価アルコール付加体等が挙げられる。
この中でも特に汎用性、反応性の観点から、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
前記合成樹脂を含む溶液に用いられる溶媒としては、合成樹脂などを良好に分散または溶解する溶媒、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール、アセトン、トルエン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セロソルブアセテート、酢酸エチル等が用いられる。
前記合成樹脂を含む溶液を透明基板上に塗布するには、グラビアリバース、グラビアコート、マイクログラビアコート、リップコート、ロールリバースコート、ワイヤーバーコート、キスコート、ダイコート、ロールコート、スピンコート、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬、刷毛塗りなどの方法が一般的であるが、これに限定されるものではない。
皮膜の硬化性を高めるために、塗布した前記合成樹脂を含む溶液を、好ましくは70〜120℃、より好ましくは90〜110℃に加熱して乾燥させるのが好ましい。塗布後に熱乾燥させる場合、乾燥時間は5秒〜5分が好ましい。
上記の通りにして得られた合成樹脂を含む易接着処理層の厚さは0.05〜5μm、特に0.1〜2μmとするのが好ましい。前記易接着処理層の厚さを前記範囲内とすることで、十分な接着性が得られる。
次に、前記易接着処理として(iii)の方法について説明する。前記(iii)の方法としては、前記透明基板をコロナ処理またはプラズマ処理する方法を用いることができる。前記方法によれば、透明基板の光透過性を維持したまま、透明基板の表面に微細な凹凸を生じさせ、透明基板とめっき保護層および金属導電層との密着性を著しく向上させることができる。
コロナ処理は、電線に高電圧を欠けた場合のように強い電場の領域が局在するときに、この領域に限定された局部的な放電(コロナ放電)が生じる。この放電下に前記透明基板を介在させて表面活性化処理を行うものである。
前記透明基板にコロナ処理を行うには、当業者が入手可能な一般的なコロナ処理機によって行えばよい。コロナ放電は通常交流を用いるが、正又は負のコロナを必要に応じて用いてもよい。一般には、高周波発信器と電極を有する連続処理が可能なコロナ放電処理装置を用いて、前記透明基板をコロナ放電電極と対電極の間を通過させて連続的に処理を行う。
また、前記プラズマ処理は、低圧下のガス雰囲気に高電圧を印加し、持続するグロー放電に透明基板をさらし、グロー放電中に生成した電子、イオン、励起原子、ラジカル、紫外線等の活性粒子で透明基板の表面を処理するものである。
前記プラズマ処理は、当業者が入手可能な一般的なプラズマ処理機を用いて行えばよい。プラズマ放電を減圧下で行う方式と大気圧下で行う方式とがあるが、処理装置の設備費用の点からは大気圧下で放電する方式が好ましく用いられ得る。
プラズマガスを形成するのに用いられ得るガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオン、ラドン、窒素等の不活性ガス、また酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、四塩化炭素、クロロホルム、水素、アンモニア、カーボンテトラフルオライド、トリクロロフルオロエタン、トリフルオロメタン等である。また、公知のフッ化ガス、上記ガスの混合ガスでも良い。好ましい混合ガスの組み合わせは、アルゴン/酸素、アルゴン/アンモニア、アルゴン/ヘリウム/酸素、アルゴン/二酸化炭素、アルゴン/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム/窒素、アルゴン/ヘリウム/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム、アルゴン/ヘリウム/アセトン、ヘリウム/アセトン、ヘリウム/空気、アルゴン/ヘリウム/シラン等が挙げられる。
プラズマ処理する際の系内のガス圧は、0.001〜0.1Torr、好ましくは0.01〜0.5Torrで、1〜5分間処理するのが好ましい。
本発明の方法において、上述した易接着処理が施される透明基板としては、透明性および可とう性を備え、その後の処理に耐えるものであれば特に制限はない。透明基板の材質としては、例えば、ガラス、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる、これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PC、PMMAが好ましい。また、透明基板は、これらの材質からなるシート、フィルム、または板として用いられる。
前記透明基板の厚みは特に限定されないが、光透過性電磁波シールド材の光透過性を維持するという観点からすると薄いほど好ましく、通常は、使用時の形態や必要とされる機械的強度に応じて0.05〜5mmの範囲で適宜、厚みが設定される。
本発明の方法では、上述の通りに透明基板の易接着処理を行った後、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤を、前記透明基板の易接着処理を施した面に塗布、乾燥させ、前記透明基板上に前処理層を形成する工程を行う。
前記前処理層は、前記透明基板上において金属導電層が形成され得る部位に少なくとも形成されればよいが、形成を容易にして製造効率を向上させるために、前記透明基板において金属導電層が形成される面の全面に前記前処理層が形成されるのが望ましい。
前記無電解めっき前処理剤において、前記シランカップリング剤および前記アゾール系化合物は単に混合されているだけでもよいが、これらを予め反応させて反応生成物を形成してもよい。これにより、貴金属化合物を前処理層中に原子レベルでより高分散できるとともに、得られる前処理層の光透過性を向上させることができる。
前記シランカップリング剤と前記アゾール系化合物とを反応させるには、例えば、80〜200℃でアゾール系化合物1モルに対して0.1〜10モルのシランカップリング剤を混合して5分〜2時間反応させるのが好ましい。その際、溶媒は特に不要であるが、水の他、クロロホルム、ジオキサンメタノール、エタノール等の有機溶媒を用いてもよい。このようにして得られた前記シランカップリング剤と前記アゾール系化合物との反応生成物に、貴金属化合物を混合することで、前記無電解めっき前処理剤が得られる。
前記無電解めっき前処理剤に用いられる前記シランカップリング剤は、一分子中に金属補足能を持つ官能基を有するものを用いるのが好ましい。これにより、無電解めっき触媒である貴金属化合物の活性を効果的に発現する電子状態、配向とすることが可能となり、被めっき材との高い密着性が得られる。
前記シランカップリング剤として、エポキシ基含有シラン化合物を挙げることができる。前記エポキシ基含有シラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、得られる前処理層が高い光透過性を有することから、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが好ましく挙げられる。
シランカップリング剤のその他の例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等も挙げられる。
次に、前記無電解めっき前処理剤に用いられる前記アゾール系化合物としては、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、ベンダゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、インダゾールなどが挙げられる。これらに制限されるものではないが、シランカップリング剤が有するエポキシ基などの官能基および貴金属化合物との反応性に優れることから、イミダゾールが特に好ましい。
次に、前記無電解めっき前処理剤に用いられる前記貴金属化合物は、無電解めっき液から銅やニッケルなどを選択的に析出・成長させることができる触媒効果を示すものである。具体的には、高い触媒活性が得られることから、パラジウム、銀、白金、および金などの金属原子を含む化合物を用いるのが好ましい。前記化合物としては、前記金属原子の塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、アンモニウム塩などのアンミン錯体などが用いられるが、特にパラジウム化合物、中でも塩化パラジウムが好ましい。
前記無電解めっき前処理剤は、前記アゾール系化合物および前記シランカップリング剤に対し、前記貴金属化合物を、好ましくは0.001〜50mol%、より好ましくは0.1〜20mol%含むのがよい。前記貴金属化合物の濃度が、0.001mol%未満では十分な触媒活性が得られずに所望する厚さを有する金属導電層を形成できない恐れがあり、50mol%を超えると添加量の増加に見合った貴金属化合物による触媒効果が得られない恐れがある。
また、前記無電解めっき前処理剤は、適当な溶媒を含んでいてもよい。前記溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール、アセトン、トルエン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記無電解めっき前処理剤には、必要に応じて体質顔料、界面活性剤、着色剤などの各種添加剤をさらに含有させてもよい。
前記前処理剤を透明基板上に塗布するには、上述した易接着処理における合成樹脂を含む溶液を透明基板上に塗布する方法として上記で列挙した方法と同様の方法が用いられる。
皮膜の硬化性を高めるために、塗布した無電解めっき前処理剤の乾燥は、好ましくは80〜160℃、より好ましくは120〜140℃に加熱して行うのが好ましい。加熱温度が80℃未満では、水分の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られないため、前処理層と金属導電層との密着性などが低下する恐れがある。一方、160℃を超えると前処理層形成材料の熱分解が生じて密着性が低下し、また変色して光透過性が低下する恐れがある。また、乾燥時間は1秒〜5分が好ましい。
本発明の方法では、前記前処理剤を透明基板上に塗布することによって形成された前記前処理層は、シランカップリング剤およびアゾール系化合物によって貴金属化合物が原子レベルで高分散されているため、高い光透過性を有する。具体的には、前記透明基板と前記前処理層との積層体の全光線透過率を、85%以上、特に90%以上とすることができる。これにより、高い光透過性を有する電磁波シールド材が得られる。
次に、本発明の方法では、前記前処理層上にドット状のめっき保護層を形成する工程を行う。前記めっき保護層によれば、後工程で無電解めっきを行って金属導電層を形成する際に、前記前処理層上の所定の部位に無電解めっきが行われるのを抑制して、前記前処理層上の前記めっき保護層が形成された部分以外に金属導電層を形成することが可能となり、メッシュ状の金属導電層が得られる。
前記前処理層上に形成するドット状のめっき保護層は、印刷により形成されるのが好ましい。これにより、簡易な方法で所望するパターンを有するドット状のめっき保護層を複数、形成することができる。
前記前処理層上に前記めっき保護層を形成するには、無電解めっき液に耐性のある樹脂を溶剤に溶解させたレジストインクを印刷することにより行われるのが好ましい。
前記レジストインクにおいて、前記無電解めっき液に耐性のある樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、およびスチレン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの樹脂、特にアクリル樹脂であれば、得られるめっき保護層が、前記前処理層および後工程で作製するメッシュ状の金属導電層との高い密着性が得られるとともに、高い光透過性を有する。したがって、後工程で前記めっき保護層を除去することなく、そのまま光透過性電磁波シールド材に用いることができ、さらなる製造工程の高効率化が図れる。
なかでも、前記無電解めっき液に耐性のある樹脂としては、アクリル樹脂が特に好ましく挙げられ、具体的には易接着処理において上述したものと同様のものが挙げられる。
前記レジストインクは、前記樹脂を、5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%含んでいるのがよい。前記樹脂の濃度が、5質量%未満では所望する厚さを有するめっき保護層を形成できない恐れがあり、50質量%を超えると得られるめっき保護層の光透過性が低下する恐れがある。
前記レジストインクに用いられる溶剤としては、前記樹脂を溶解でき、成膜性に優れるものであればよい。具体的には、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸2−エトキシエチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
前記レジストインクには、印刷仕上がりなどを向上させるため、透明なフィラーや高分子系増粘剤をさらに含ませてもよい。
前記レジストインクの粘度は、25℃において、好ましくは1000〜5000cps、より好ましくは2500〜4000cpsとするのがよい。これにより、より一層良好な形状及び寸法精度を有するめっき保護層が得られる。
前記レジストインクを前記前処理層に印刷するには、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、静電印刷、フレキソ印刷などの印刷方法を用いることができる。特に、細線化のためにはグラビア印刷が好適である。グラビア印刷を用いる場合、印刷速度は5〜50m/minとするのがよい。
また、前記めっき保護層は、転写方式によって印刷されてもよい。転写方式の場合は、例えば、前記前処理層とは別の任意の転写用基材シートに、レジストインクを上記と同様の印刷方法等によって印刷し、熱ラミネート法、ドライラミネート法、またはウエットラミネート法、押出ラミネート法等により、前記前処理層と貼り合わせた後に、前記転写用基材シートのみを剥離して、レジストインクを前記前処理層に転写する方法などを用いることができる。
前記めっき保護層は前記前処理層上に複数形成され、前記めっき保護層間に形成された凹部の前記前処理層が露出している領域が好ましくは格子状、網目状などのメッシュ状となるように印刷される。前記めっき保護層の形状は、円状、楕円状、角形状、直線状など任意であるが、好ましくは角形状であり、特に正方形であることが好ましい。これにより、高い光透過性および電磁波シールド性を有する金属導電層が得られる。
前記めっき保護層は、後工程でメッシュ状の金属導電層における開口部を形成するためのものである。前記金属導電層が高い光透過性を有するには、前記金属導電層において、開口率が高く、開口部の大きさが微小であるのが望ましい。したがって、前記めっき保護層に大きさは、微小であるのが好ましく、得られる金属導電層における開口部の大きさに合わせて適宜決定すればよい。例えば、角形状、特に正方形を有する前記めっき保護層の大きさとしては、一辺の長さを好ましくは100〜400μm、より好ましくは200〜300μmとするのがよい。
また、金属導電層に高い光透過性および電磁波シールド性を付与する観点からは、ドット状のめっき保護層は、等間隔で規則的に配列されているのが望ましい。
前記めっき保護層の厚さは、特に制限されないが、0.1〜5μm程度とするのがよい。前記めっき保護層の大きさや間隔などは、後工程で作製する金属導電層が所望する開口部を有するように、適宜決定すればよい。
また、金属導電層として、前処理層上の中央部にメッシュパターン状の金属導電層が形成され、前処理層上の中央部を除く周縁部に額縁状の金属導電層が形成された構成を有するものを後工程で形成するために、前記めっき保護層は前記前処理層上の周縁部を除く中央部のみに形成してもよい。
このように前記レジストインクを印刷した後に乾燥させることで微小多数からなるドット状のめっき保護層を得る。前記乾燥は、塗布した前記レジストインクを、好ましくは70〜120℃、より好ましくは90〜110℃で加熱することにより行われるのがよい。加熱温度が70℃未満では、溶剤の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られない恐れがあり、120℃を超えると樹脂の熱分解が生じる恐れがある。塗布後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は5秒〜5分が好ましい。
前記めっき保護層の全光線透過率は、85%以上、特に90%以上とするのがよい。これにより、高い光透過性を有する電磁波シールド材が得られる。
次に、本発明の方法では、前記めっき保護層13が形成されずに露出した前記前処理層11上に、無電解めっきすることによりメッシュ状の金属導電層14を形成する工程を行う。無電解めっきを行うことにより、前処理層上の前記めっき保護層の間および周縁部に形成された凹部に露出した前処理層上に微細な金属粒子が濃密で実質的な連続皮膜として沈積形成されて金属導電層を得ることが可能となる。
前記無電解めっきは、無電解めっき浴を用いて常法に従って行うことができる。即ち、めっき金属塩、キレート剤、pH調整剤、還元剤などを基本組成として含むめっき液を建浴したものにめっき基材を浸漬して行うか、構成めっき液を2液以上と分けて添加方式でめっき処理を施すなど適宜選択すれば良い。
めっき金属は、導電性を有してメッキ可能である金属であれば使用することができ、金属単体、合金、導電性金属酸化物等であってもよく、均一な金属薄膜又は一様に塗布された微細な微粒子等からなるものであってもよい。
無電界めっきにより形成される金属導電層に含まれる金属としては、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、プラチナ、銅、チタン、コバルト、鉛等を用いることができる。特に、高い電磁波シールド性が得られる金属導電層が得られることから、好ましくは、銀、銅又はアルミニウムが好ましく用いられる。これらのめっき金属を用いて形成される金属導電層は、前処理層およびメッキ保護層との接着性に優れる他、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。したがって、無電解めっきは、これらの金属を用いて行えばよく、無電解めっき浴としては、無電解Cuめっき浴、無電解Niめっき浴等が使用可能である。
無電解めっきは公知であり、適宜薬品を選定調液して常法に従い、常温または加温下で行えばよい。無電解めっきとして一例を挙げると、Cuからなる金属導電層を形成する場合、硫酸銅等の水溶性銅塩1〜100g/L、特に5〜50g/L、ホルムアルデヒド等の還元剤0.5〜10g/L、特に1〜5g/L、EDTA等の錯化剤20〜100g/L、特に30〜70g/Lを含み、pH12〜13.5、特に12.5〜13に調整した溶液に、前処理層および複数のめっき保護層が形成された透明基板を50〜90℃、30秒〜60分浸漬する方法を採用することができる。
また、無電解めっきをする際に、めっきされる基板を揺動、回転させたり、その近傍を空気撹拌させたりしてもよい。
金属導電層は、線幅が好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下、とりわけ10〜30μmとするのがよい。また、金属導電層は、開口率が75%以上のメッシュパターンとするのが好ましい。なお、ここで言う開口率とは、金属導電層の使用有効面積に対する孔の総面積を言う。
金属導電層のメッシュパターンは幾何学模様であることが好ましく、この孔の形状は、正方形、長方形等の平行四辺形、円形または正六角形(ハニカム形状)等から適宜に選択される。また、どの部分においても一定の特性(主に光透過性および電磁波遮蔽性等)を有することが肝要であるから、規則的に配列されていることが好ましい。
また、金属導電層は、前処理層上の中央部にメッシュパターン状の金属導電層が形成され、前処理層上の中央部を除く周縁部に額縁状の金属導電層が形成される構成であってもよい。このような構成は、メッシュパターン状の金属導電層の保護のために望ましい。
本発明の方法では、図1に示すように、前記金属導電層14を黒化処理し、前記金属導電層14の表面の少なくとも一部に黒化処理層16を形成する工程(図1の矢印(A5))をさらに有していてもよい。
黒化処理は、前記金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理によって行うことが好ましい。特に酸化処理は、より優れた防眩効果を得ることができ、さらに廃液処理の簡易性及び環境安全性の点からも好ましい。
前記黒化処理として酸化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用することが好ましい。
前記黒化処理として硫化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には硫化カリウム、硫化バリウム及び硫化アンモニウム等の水溶液を使用することが可能であり、好ましくは、硫化カリウム及び硫化アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫化アンモニウムを使用することが好ましい。
本発明の方法によれば、上述した通り、所定の無電解めっきを行うことによって十分な厚さを有する金属導電層を容易に形成し、好ましくは全光線透過率の高いめっき保護層を形成することで、製造工程数の削減により製造効率を向上でき、製造コストが低減された光透過性電磁波シールド材を提供することが可能である。また、基材を粗化する必要がないため、透明基板および前処理層が高い光透過性を有する光透過性電磁波シールド材を提供することが可能である。
前記光透過性電磁波シールド材は、易接着処理されてなる透明基板、前記透明基板の易接着処理を施した面に設けられた前処理層、前記前処理層上に設けられたドット状のめっき保護層、および前記めっき保護層が設けられずに露出した前記前処理層上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、前記前処理層が、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応性生物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤の塗布層である構成を有する。前記構成を有する光透過性電磁波シールド材は、上述した本発明の方法により簡易かつ低コストで製造することができる。
前記易接着処理されてなる透明基板としては、Si、Ti、Sn、Al、およびZnよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物を含む易接着処理層が形成された透明基板が好ましく用いられる。前記金属酸化物を含む易接着処理層であれば、高い光透過性を有し、透明基板とめっき保護層および金属導電層との密着性を著しく向上させることができる。
また、前記易接着処理されてなる透明基板としては、合成樹脂を含む易接着処理層が形成された透明基板が好ましく用いられる。
前記合成樹脂としては、ガラス転移温度が−20〜50℃であるものが好ましく用いられる。これにより、易接着処理層と、めっき保護層および金属導電層などとが粘着するブロッキング現象を抑制して高い密着性を得ることができる。前記合成樹脂として、具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、および酢酸ビニル樹脂などが好ましく用いられる。これらの合成樹脂は、高い光透過性および可とう性を有するため好ましい。
前記合成樹脂を含む易接着処理層は、イソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物をさらに含むのが好ましい。前記合成樹脂と前記多官能イソシアネート化合物が同時に存在することにより無易接着処理層の接着性および製膜性を向上させることができる。
さらに、前記易接着処理されてなる透明基板としては、コロナ処理またはプラズマ処理された透明基板が好ましく用いられる。
前記光透過性電磁波シールド材は、所定の成分を含む無電解めっき前処理剤を用いることで前処理層および透明基板が高い光透過性を有する。したがって、前記光透過性電磁波シールド材の全光線透過率を、75%以上、特に80〜90%とすることができる。
なお、前記光透過性電磁波シールド材の全光線透過率の測定は、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機株式会社製)等を用いて、光透過性電磁波シールド材の厚み方向の全光線透過率を測定することにより行われる。
前記光透過性電磁波シールド材は、前記金属導電層に防眩性を付与するため、前記金属導電層の表面の少なくとも一部に黒化処理層を有していてもよい。
なお、前記光透過性電磁波シールド材の各層についての詳細な説明は、本発明の製造方法において上述した通りであるため、ここでは省略する。
本発明による光透過性電磁波シールド材は、光透過性が要求される用途、例えば電磁波を発生する各種電気機器のLCD、PDP、CRT等のディスプレイ装置のディスプレイ面、又は、施設や家屋の透明ガラス面や透明パネル面に好適に適用される。前記光透過性電磁波シールド材は、高い光透過性および電磁波シールド性を有しているので、前述したディスプレイ装置のディスプレイ用フィルタに好適に用いられる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、特に制限されないが、上記方法によって製造された光透過性電磁波シールド材を、ガラス板等の透明基板に積層するなどにより得られる。
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
PETフィルム(厚さ250μm)上に、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、SiO2膜(厚さ50nm)を成膜した。この際、ターゲットにはSiターゲットを用い、成膜時の真空度を0.5Paとし、導入ガスとしてO2を用い、基板温度を25℃として成膜を行った。
次に、イミダゾールに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、モル比で1:1となるように混合し、1時間、100分間、反応させることにより得られた反応生成物を5wt%含む水溶液に、25℃で撹拌しながら塩化パラジウムを添加し、塩化パラジウム濃度が10g/Lの溶液を調製した。これをn−ブタノールで100体積倍に希釈し、塩化パラジウム濃度が100mg/Lの前処理剤を調製した。これにより得られた溶液を、前記PETフィルムのSiO2膜表面に、塗布量が2g/m2となるように塗布し、160℃、5分間で乾燥させた。これにより、前記SiO2膜上に前処理層を形成した。前記PETフィルム、前記SiO2膜、および前記前処理層の厚さ方向の全光線透過は、85%であった。
次に、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、およびシクロヘキサノンを、質量比で20:60:20で含む溶剤に、ポリメチルメタクリレート樹脂を30wt%含むレジストインクを、グラビアオフセット印刷により、前記前処理層上にドット状に印刷し、前記前処理層上に多数の微小凸部からなるめっき保護層を形成した。ドット一個の大きさは一辺が234μmの正方形であり、ドット同士の間隔は20μmであり、ドット配列は正方格子状である。印刷厚さは、乾燥後で3μmとした。また、前記PETフィルム、前記SiO2膜、前記前処理層、および前記めっき保護層の厚さ方向の全光線透過は、75%であった。
このようにして得られためっき保護層および前処理層が形成されたガラス坂を、無電解銅めっき液(メルテックス株式会社製 メルプレートCU−5100)に浸漬し、50℃、20分間で、無電解銅めっき処理して、格子状の金属導電層を得た。前記金属導電層は、厚さは1.5μm、線幅は23μm、開口率は83%であった。
さらに、上記で得られた金属導電層が形成されたガラス板に対して、下記組成の黒化処理を行った。
黒化処理液組成(水溶液)
亜塩素酸ナトリウム: 10質量%
水酸化ナトリウム: 4質量%
黒化処理条件
浴温: 約60℃
時間: 5分間
この黒化処理により、金属導電層の表面が黒化処理された光透過性電磁波シールド材(1)を得た。得られた光透過性電磁波シールド材(1)の表面の黒化処理された厚みは、平均1.5μmであった。
(実施例2)
ポリエステル樹脂(東洋モートン株式会社製 AD−335A、Tg:10℃)および脂環族イソシアネート(東洋モートン株式会社製 CAT−10L)を質量比で100:0.5含み、固形分濃度が10質量%のポリエステル系2液硬化型樹脂組成物を、PETフィルム(厚さ250μm)にロールコート法を用いて塗布し、160℃、5分間、乾燥させることにより、易接着処理層(厚さ0.5μm)を形成した。
実施例1においてSiO2膜が形成されたPETフィルムに代わって、前記易接着処理層が形成されたPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、光透過性電磁波シールド材(2)を作製した。
(実施例3)
PETフィルム(厚さ250μm)の片面だけ空気雰囲気下、フィルムと電極の間隔を1mmとし、処理速度60m/分、消費電力20〜160W/m2/分でコロナ処理した。
実施例1においてSiO2膜が形成されたPETフィルムに代わって、前記コロナ処理が施されたPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、光透過性電磁波シールド材(3)を作製した。
以上の通り、本発明では、上記の通り、従来と比較してより簡便な方法で、金属導電層およびめっき保護層の剥離が防止され、かつ、導電性光透過性および電磁波シールド性に優れる光透過性電磁波シールド材を得ることができる。
本願発明による光透過性電磁波シールド材の製造方法の各工程を、断面図を用いて説明した図である。 従来の光透過性電磁波シールド材の製造方法の各工程を、断面図を用いて説明した図である。
符号の説明
11 透明基板、
12 易接着処理層、
13 前処理層、
14 めっき保護層、
15 金属導電層、
16 黒化処理層、
21 透明基板、
22 水溶性インキ、
23 銅の薄膜、
24 金属導電層、
25 銅の薄膜。

Claims (31)

  1. 透明基板に易接着処理を施す工程、
    シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤を、前記透明基板の易接着処理を施した面に塗布、乾燥させ、前記透明基板上に前処理層を形成する工程、
    前記前処理層上にドット状のめっき保護層を形成する工程、および
    前記めっき保護層が形成されずに露出した前記前処理層上に、無電解めっきすることによりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
    を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  2. 前記易接着処理が、Si、Ti、Sn、Al、およびZnよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物を含む易接着処理層を前記透明基板上に形成することにより行われる請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  3. 前記易接着処理層を、気相成膜法により形成する請求項2に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  4. 前記気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法、またはプラズマ化学気相成長法である請求項3に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  5. 前記気相成膜法が、真空蒸着法、または、スパッタリング法である請求項3または4に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  6. 前記易接着処理が、合成樹脂を含む溶液を前記透明基板上に塗布、乾燥させて、易接着処理層を形成することにより行われる請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  7. 前記合成樹脂は、ガラス転移温度が−20〜50℃である請求項6に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  8. 前記合成樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、および酢酸ビニル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項6または7に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  9. 前記合成樹脂を含む溶液は、イソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物をさらに含む請求項6〜8のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  10. 前記易接着処理層の厚さが、0.05〜5μmである請求項6〜9のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  11. 前記易接着処理が、前記透明基板をコロナ処理またはプラズマ処理することにより行われる請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  12. 前記シランカップリング剤が、エポキシ基含有シラン化合物である請求項1〜11のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  13. 前記シランカップリング剤が、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランである請求項1〜12のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  14. 前記アゾール系化合物が、イミダゾールである請求項1〜13のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  15. 前記貴金属化合物が、パラジウム、銀、白金、および金よりなる群から選択される少なくとも一種の金属原子を含む化合物である請求項1〜14のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  16. 前記透明基板上に前記前処理層を形成する工程において、前記乾燥が80〜160℃で行われる請求項1〜15のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  17. 前記めっき保護層が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、およびスチレン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜16のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  18. 前記金属導電層が、銀、銅、またはアルミニウムを含む請求項1〜17のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  19. 前記金属導電層を黒化処理し、前記金属導電層の表面の少なくとも一部に黒化処理層を形成する工程をさらに有する請求項1〜18のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  20. 前記黒化処理が、前記金属導電層を酸化処理または硫化処理することによって行われる請求項19に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載の製造方法によって製造された光透過性電磁波シールド材。
  22. 易接着処理されてなる透明基板、前記透明基板の易接着処理を施した面に設けられた前処理層、前記前処理層上に設けられたドット状のめっき保護層、および前記めっき保護層が設けられずに露出した前記前処理層上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、
    前記前処理層が、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応性生物、および、貴金属化合物を含む無電解めっき前処理剤の塗布層である光透過性電磁波シールド材。
  23. 前記易接着処理されてなる透明基板が、Si、Ti、Sn、Al、およびZnよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物を含む易接着処理層が形成された透明基板である請求項22に記載の光透過性電磁波シールド材。
  24. 前記易接着処理されてなる透明基板が、合成樹脂を含む易接着処理層が形成された透明基板である請求項22に記載の光透過性電磁波シールド材。
  25. 前記合成樹脂は、ガラス転移温度が−20〜50℃である請求項24に記載の光透過性電磁波シールド材。
  26. 前記合成樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、および酢酸ビニル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項24または25に記載の光透過性電磁波シールド材。
  27. 前記易接着処理層は、イソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物をさらに含む請求項24〜26のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材。
  28. 前記易接着処理されてなる透明基板が、コロナ処理またはプラズマ処理された透明基板である請求項22に記載の光透過性電磁波シールド材。
  29. 全光線透過率が、75%以上である請求項21〜28のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材。
  30. 前記金属導電層の表面の少なくとも一部に黒化処理層を有する請求項21〜29のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材。
  31. 請求項21〜30のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタ。
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