JP2009277924A - 光透過性電磁波シールド材及びその製造方法 - Google Patents

光透過性電磁波シールド材及びその製造方法 Download PDF

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Yoshinori Iwabuchi
芳典 岩淵
Hideaki Takenouchi
秀章 竹之内
Tatsuya Funaki
竜也 船木
Hideshi Kotsubo
秀史 小坪
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Abstract

【課題】容易に得ることができる、高精度のメッシュパターン導電層を有する光透過性電磁波シールド材、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】透明基板、この透明基板上に設けられたメッシュ状の前処理層、前処理層上に設けられたメッシュ状の金属導電層を含む光透過性電磁波シールド材であって、前処理層が、貴金属を含み、且つその貴金属濃度が0.05〜0.9質量%であることを特徴とする光透過性電磁波シールド材にある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面フィルタや、病院などの電磁波シールドを必要とする建築物の窓に用いられ得る貼着用シート等として有用な光透過性電磁波シールド材及びその製造方法に関する。
近年、OA機器や通信機器等の普及にともない、これらの機器から発生する電磁波によりもたらされる人体への影響が懸念されている。また、携帯電話等の電磁波により精密機器の誤作動などを起こす場合もあり、この点からも電磁波は問題視されている。
OA機器のPDPの前面フィルタとして、電磁波シールド性及び光透過性を有する光透過性電磁波シールド材が開発され、実用に供されている。このような光透過性電磁波シールド材はまた、電磁波から精密機器を保護するために、病院や研究室等の精密機器設置場所の窓材としても利用されている。
この光透過性電磁波シールド材では、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、光透過性電磁波シールド材には、例えば、(1)透明基板の一方の面に、金属線又は導電性繊維を網状にした導電メッシュからなる電磁波シールド層が設けられたものが使用される。この導電性のメッシュの部分によって電磁波がシールドされ、開口部によって光の透過が確保される。
この他にも、光透過性電磁波シールド材には、電子ディスプレイ用フィルタとして種々のものが提案されている。例えば、(2)金属銀を含む透明導電薄膜が設けられた透明基板、(3)透明基板上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、(4)透明基板上に導電性粉末を含む導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等が一般的に知られている。
このような電磁波シールド層において、優れた光透過性と電磁波シールド性を両立させるには、メッシュ状の導電層を用い、極めて線幅を細くし、非常に微細な高精細パターンとする必要があるが、前述の従来の光透過性電磁波シールド材では、光透過性と電磁波シールド性を十分に両立させるのが困難であった。すなわち、(1)の光透過性電磁波シールド材では、細線化に限界があり、微細なメッシュパターンを得るのが困難なうえ、目ずれや目曲がりなどの繊維の配列が乱れる問題がある。(2)の光透過性電磁波シールド材の場合、電磁波シールド性が十分ではなく、金属特有の反射光沢が強いなどの問題がある。(3)の光透過性電磁波シールド材では、製造工程が長く、コストが高くなるなどの問題がある。また、(4)の光透過性電磁波シールド材では、十分な電磁波シールド性を得ることが困難であり、電磁波シールド性を向上させるためにパターンを厚くして導電性粉末の量を多くすると、光透過性が低下するなどの問題を有している。
しかしながら、前記(4)の光透過性電磁波シールド材の製造は、例えば、金属粉末又はカーボン粉末などの導電性粉末と、樹脂とを含む導電性インクを用い、透明基板上に凹版オフセット印刷法により印刷パターンを形成する方法を用いて行われる。したがって、前記(4)の光透過性電磁波シールド材では、エッチング加工などを必要とせず、簡易な方法かつ低コストで製造できるという利点を有している。
そこで、前記(4)の技術を改良したものとして、特許文献1および2では、導電性インクを凹版オフセット印刷法により透明基板上に印刷パターンを形成した後、さらに電磁波シールド性を向上させるために、無電解めっき又は電解めっきなどにより、前記印刷パターン上に金属層を選択的に形成する方法が開示されている。
また、特許文献3では、透明基体に、貴金属超微粒子触媒と反対の表面電荷をもった粒子に前記貴金属超微粒子触媒を担持させて作製した担持体を含有するペーストでパターン印刷を行い、このパターン印刷された貴金属超微粒子触媒上に無電解めっき処理を施して、パターン印刷部のみに導電性の金属層を形成させる光透過性電磁波シールド材の製造方法が開示されている。
さらに特許文献4には、電磁波障害を受け得る電子装置類の外装を構成する不導体基板の少なくとも一方の面に、複合金属酸化物水化物とバインダーとからなる塗料組成物を塗布し、該組成物を乾燥して下地層を形成するステップと、該下地層の表面に銅及び/又はニッケルを無電解メッキすることにより金属層を形成するステップとからなることを特徴とする電磁波シールドの形成方法が開示されている。
特許第3017987号明細書 特許第3532146号明細書 特許第3363083号明細書 特開平09−135097号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜2による光透過性電磁波シールド材では、導電性インクまたはペーストを精度よく印刷して微細なパターンを形成するのが困難であることから、光透過性と電磁波シールド性との両立に依然として改善の余地を残している。さらに、特許文献4では、下地層の全面に銅及び/又はニッケルを無電解メッキすることにより金属層としているため、透明性が低く、光透過性電磁波シールド材としては光透過性が十分とは言えない。これに比べて、特許文献3の方法は、パターン印刷された貴金属超微粒子触媒上に無電解めっき処理を施して金属層としているため透明性は良好である。
特許文献4に記載の下地層も、特許文献3と同様にグラビア印刷等で、メッシュ状に形成することも考えられる。しかしながら、特許文献3及び4に記載の下地層の形成用インク(前処理剤)を用いて、幅が数十μm以下の高精細メッシュパターンを印刷するよう試みた場合、以下の問題が発生する。即ち、高精細メッシュパターン状の前処理層(下地層)上に、無電解めっきを施した場合、めっきが析出しない領域が出現したり、めっきムラが生じたり、或いはめっきの異常析出が生ずることがあり、安定してめっき層を形成することが困難であることが分かった。
従って、本発明の目的は、容易に得ることができる、高精度のメッシュパターン導電層を有する光透過性電磁波シールド材を提供することにある。
また、本発明の目的は、容易に得ることができ、且つ光透過性、電磁波シールド性に優れ、高精度のメッシュパターン導電層を有する光透過性電磁波シールド材を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、高精度のメッシュパターンを有する光透過性電磁波シールド材を容易に得ることができる光透過性電磁波シールド材の製造方法を提供することにある。
下地層の形成用インク(前処理剤)を用いて、幅が数十μm以下の高精細メッシュパターンを簡易に形成することができるように本発明者等は種々検討を行ってきた。本発明者等の検討によると、前処理層中の貴金属濃度が、無電解めっきの形成に大きな影響を及ぼし、極めて狭い範囲の濃度でのみにおいて良好なめっき層の形成が可能であることを見いだした。
本発明は、
透明基板、この透明基板上に設けられたメッシュ状の前処理層、前処理層上に設けられたメッシュ状の金属導電層を含む光透過性電磁波シールド材であって、
前処理層が、貴金属を含み、且つその貴金属濃度が0.05〜0.9質量%であることを特徴とする光透過性電磁波シールド材にある。
以下に、本発明の無電解めっき前処理剤の好ましい態様を以下に列記する。
(1)前処理層が、貴金属を含む微粒子を含んでいる。
(2)貴金属を含む微粒子が、表面に貴金属が担持された微粒子である。貴金属が微粒子表面に付着しているため、貴金属の露出した表面積を大きくすることができ、無電解めっきを効率よく行われ得る。
(3)上記表面に貴金属が担持された微粒子が、表面に貴金属が担持された金属酸化物微粒子である。金属酸化物微粒子が、二酸化チタン微粒子であることが好ましい。二酸化チタン微粒子を用いることにより、貴金属が、安定且つ高活性な状態で担持されるので、無電解めっきを効率よく行うことができる。
(4)貴金属が、パラジウム、銀、白金、及び金よりなる群から選択される少なくとも一種の金属である。パラジウムが好ましい。無電解めっきが形成されやすい。
(5)前処理層の貴金属を含む微粒子が、貴金属含有複合金属酸化物又は複合金属酸化物水化物の微粒子である。
(6)上記複合金属酸化物水化物が、下記式(I)
1 X・M22・n(H2O) ・・・(I)
(式中、M1はPd又はAgを表し、M2はSi、Ti又はZrを表し、M1がPdである場合にはxは1であり、M1がAgである場合にはxは2であり、nは1〜20の整数である)で表される。上記複合金属酸化物水化物が、PdTiO3・6(H2O)である。
(7)貴金属を含む微粒子の平均粒径が、0.01〜1μmである。
(8)貴金属を含む微粒子を含む前処理層の層厚が、0.1〜3μmである。
(9)前処理層が、合成樹脂をふくんでおり、その合成樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、およびエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である。これらによれば、透明基板および金属導電層との高い密着性を向上させることができる。
また本発明は、
貴金属を0.05〜0.9質量%の濃度(以下の前処理剤の固形分に対して)で含む無電解めっき前処理剤を、透明基板上にメッシュ状に印刷することにより、透明基板上にメッシュ状の前処理層(貴金属を0.05〜0.9質量%の濃度で含む)を形成する工程、及び、
前処理層上に、無電解めっきを行うことにより、メッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法にもある。
以下、本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法の好ましい態様を以下に列記する。
(1)貴金属が、パラジウム、銀、白金、及び金よりなる群から選択される少なくとも一種の金属である。パラジウムが好ましい。
(2)無電解めっき前処理剤が、貴金属を含む微粒子を含んでいる。
(3)無電解めっき前処理剤が、貴金属を含む微粒子として表面に貴金属が担持された微粒子を含んでいる。上記表面に貴金属が担持された微粒子が、表面に貴金属が担持された金属酸化物微粒子である。金属酸化物微粒子が、酸化チタン微粒子であることが好ましい。
(4)無電解めっき前処理剤が、貴金属を含む微粒子として複合金属酸化物又は複合金属酸化物水化物を含んでいる。上記複合金属酸化物水化物が、上記式(I)で表される。上記複合金属酸化物水化物が、PdTiO3・6(H2O)が好ましい。
(5)無電解めっき前処理剤が合成樹脂を含む。合成樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、およびエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である。
(6)無電解めっき前処理剤がさらにチキソトロピック性付与剤を含む。チキソトロピック性付与剤は、一般に無機微粒子、特に酸化ケイ素微粒子(一般に二酸化ケイ素)である。平均粒径(一般に一次粒子の平均粒径)が4〜50nmの酸化ケイ素微粒子が好ましい(7)無電解めっき前処理剤がさらに有機溶剤を含む。
(8)メッシュ状の金属導電層を形成する工程の前に、前処理層を還元処理する工程を実施する。
(9)還元処理が、前処理層が形成された透明基板を、還元剤を含む溶液に浸漬させることにより行われる。
(10)還元剤が、アミノボラン、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシルアミン、ハイドロサルファイト、及びホルマリンよりなる群から選択される少なくとも1種である。
(11)還元剤を含む溶液における前記還元剤の濃度が、0.01〜200g/Lである。
(12)無電解めっきを行った後、さらに電解めっきを行う。これにより、所望する厚さを有する金属導電層を得ることができる。
(13)さらに、金属導電層を黒化処理又は黒色めっき処理し、金属導電層の表面の少なくとも一部に黒化処理層を形成する工程を有する。これにより、前記金属導電層に防眩性を付与して視認性を向上させることができる。
(14)無電解めっき前処理剤として、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物を含む液を用いてもよい。
(15)印刷が、グラビア印刷により行われる。
(16)前記無電解めっき前処理剤を前記透明基板上にメッシュ状に印刷した後、80〜160℃で乾燥させる。これにより、微細なパターンを有する前処理層を形成することができる。
本発明の透明基板上にメッシュ状の前処理層は、特定の範囲の低濃度の貴金属を含有しており、これによりこの上に設けられる無電解めっき層を均一に形成することができる。従って、このような前処理層を用いることにより、高精細のメッシュパターンの金属導電層を容易に得ることができる。こうして得られた光透過性電磁波シールド材は、均一な層厚のメッシュパターン導電層を有するものであり、特に高精度のメッシュパターン導電層を設計通りに有することができる。
このような光透過性電磁波シールド材は、PDP等のディスプレイ用の光学フィルタとして特に好適である。
本発明の光透過性電磁波シールド材、及びその製造方法について、以下に詳細に説明する。
本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法の各工程を説明するための概略断面図の一例を図1に示す。本発明の方法では、まず、貴金属を0.05〜0.9質量%の濃度(当該前処理剤の固形分に対して)で含む無電解めっき前処理剤を、透明基板11上にメッシュ状に印刷し、透明基板11上にメッシュ状の前処理層12を形成する(図1の矢印A1)。
無電解めっき前処理剤は、一般に、貴金属を含む複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物等の触媒用微粒子或いは表面に貴金属(好ましくはPd)が担持された微粒子(好ましくは金属酸化物微粒子)等の貴金属を含む微粒子(無電解めっき触媒用微粒子)と、合成樹脂等を含むものであり、貴金属濃度が上記のものである。或いは、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物、及び合成樹脂等を含む処理剤を用いても良い。また、透明基板11上には前処理層との密着性、転写性、及び形状保持性を向上させる目的で1層以上のコーティング層を設けても良い。
得られる前処理層中の貴金属濃度は、0.05〜0.9質量%(好ましくは0.1〜0.8質量%、特に好ましくは0.15〜0.7質量%)となり、このような特定の濃度の貴金属を含むことにより、無電解めっきの形成が均一に行われ、幅が数十μm以下の高精細メッシュパターンでも、精確に無電解めっきを形成することができる。下限未満では、高精細メッシュパターン状の前処理層(下地層)上に、無電解めっきを施した場合、めっきに長時間要するだけでなく、めっきが析出しない領域が出現したり、めっきムラが生じたりする場合が多く、上限を超えた場合、余分なコストがかかることに加え、めっきの異常析出が生ずることが多く、安定してめっき層を形成することが困難である場合が多い。
貴金属を含む複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物等の無電解めっき触媒用微粒子を用いた無電解めっき前処理層12は、この後、還元処理して貴金属を析出させることが好ましい。
これらの無電解めっき触媒用微粒子は、前処理剤中で安定性及び分散性に優れているので、これらが均一に高分散且つ固着することによりスジやカブリの発生がなく、微細なパターンを有するメッシュ状の前処理層を精度よく形成することができる。また、複合金属酸化物微粒子、複合金属酸化物水化物微粒子、及び表面に貴金属が担持された微粒子(特に後者)は、安定性及びめっき金属の析出能力が高い。従って、後工程の無電解めっきによって前記前処理層上に選択的にばらつきのない金属導電層を速やかに形成することができ、均一な厚さを有するメッシュ状の金属導電層を得ることが可能となる。さらに、前処理層における透明基板と金属導電層との密着性は合成樹脂によって向上し、これによって前処理層が剥離し難くなり、金属導電層をより精度よく形成することが可能となる。
次に、本発明の方法では、無電解めっき処理を行うことにより、前記メッシュ状の前処理層12上に金属導電層13を形成する(図1の矢印A2)。ここでは、無電解めっき触媒用微粒子を用いて形成された前処理層上に微細な金属粒子が濃密で実質的な連続皮膜として沈積形成され、前処理層上に選択的に接着し、高精細な微細なパターンを有する金属導電層を形成することが可能となる。
このように、本発明によれば、簡易な方法、即ち、無電解めっき前処理剤の貴金属濃度を0.05〜0.9質量%とすることによって、微細なパターンを有するメッシュ状の金属導電層を形成することができ、光透過性及び電磁波シールド性の双方に優れた光透過性電磁波シールド材を得ることができる。さらに、分散性に優れた複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物の微粒子、或いは表面にPdが担持された金属酸化物微粒子によって、粒子の凝集に基づくスジやカブリの形成もなく、外観性及び視認性にも優れた光透過性電磁波シールド材を得ることができる。
以下に、本発明の無電解めっき前処理剤、及び本発明の電磁化シールド材の製造方法について、さらに詳細に説明する。
本発明の無電解めっき前処理剤に使用される貴金属を含む微粒子(無電解めっき用触媒微粒子)は、一般に複合金属酸化物又は複合金属酸化物水化物の微粒子、或いは表面に貴金属(好ましくはPd)が担持された金属酸化物微粒子である。
複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物としては、Pd、Ag、Pt、Au、Si、Ti及びZrよりなる群から選択される少なくとも2種の金属元素を含むものが好ましく用いられる。より好ましくは、Pd又はAgの金属元素と、Si、Ti又はZrの金属元素とを含むものが挙げられる。このような複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物は、高いめっき金属析出能力を有し、さらに前処理剤中での安定性及び分散性に優れた特性を有する。
なかでも、前記特性が特に優れていることから、下記式(I)
1 X・M22・n(H2O) ・・・(I)
(式中、M1はPd又はAgを表し、M2はSi、Ti又はZrを表し、M1がPdである場合、xは1であり、M1がAgである場合、xは2であり、nは1〜20の整数である)で示される複合金属酸化物水化物を用いるのが特に好ましい。
前記式(I)において、M1はPd又はAgであるが、Pdであるのが好ましい。また、M2はSi、Ti又はZrであるが、Tiであるのが好ましい。これにより、高いめっき析出能力を有する複合金属酸化物水水化物が得られる。
複合金属酸化物水化物の例としては、PdSiO3、Ag2SiO3、PdTiO3、Ag2TiO3、PdZrO3及びAg2TiO3等の水化物が挙げられる。特にPdTiO3・6(H2O)が好ましい。
前記複合金属酸化物水化物は、それぞれの相当する金属塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、相当する金属酸化物の水和物等を原料とし、これらを加熱し、加水分解する方法などを用いることによって得られる。
また、複合金属酸化物としては、M1 X・M22(M1、M2及びXについては、上記式(I)と同義である)で示されるものが好ましく用いられる。
無電解めっき前処理剤に用いられる前記複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物の無電解めっき用触媒微粒子の平均粒径は、0.01〜10μm、さらに0.05〜3μmの範囲、特に0.1〜1μmの範囲が好ましい。これにより、凝集が抑制された高い分散性および触媒活性を有する複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物等とすることができる。
なお、本発明において、複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物(表面に貴金属が担持された金属酸化物微粒子も同様)の無電解めっき用触媒微粒子の平均粒子径は、無電解めっき用触媒微粒子を電子顕微鏡(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子の面積円相当径を求めた数平均値とする。
無電解めっき用触媒微粒子として、表面に貴金属(好ましくはPd)が担持された金属酸化物微粒子を使用することが好ましい。貴金属を効率よく触媒として使用することができる。
表面に貴金属が担持された微粒子の微粒子としては、無機微粒子でも有機微粒子でも良いが、無機微粒子が好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、アルミナエアロゾル、クレイ、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、等の無機顔料を挙げることができ、アルミナ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、特に二酸化チタンが好ましい。有機樹脂微粒子の有機樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、アクリル樹脂又はスチレン/(メタ)アクリレート共重合体を挙げることができる。アクリル樹脂(例、アルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートの重合体及び共重合体)、スチレン/(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。有機樹脂微粒子の有機樹脂は硬化されていることが好ましい。
上記微粒子の平均粒径が、0.01〜10μmの範囲、さらに0.05〜3μmの範囲、特に0.1〜1μmの範囲が好ましい。これによりメッシュの線幅を小さくすることができる。貴金属を有する微粒子もほぼ同様の平均粒径を有する。
また、上記貴金属としては、パラジウム、銀、白金、及び金が好ましく、特に上記のようなパラジウム(Pd)が好ましい。Pdは、微粒子状でも薄層でも良い。
上記前処理層に使用される表面に貴金属を有する微粒子は、例えば、微粒子を、貴金属塩化物及びスズ塩化物を含む溶液で処理し、次いで還元処理(例、酸処理)することにより、或いは、微粒子を、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物を含む溶液で処理することにより得られる。
詳細には、表面に貴金属を有する微粒子は、上記微粒子を用いて、例えば以下のようにして得ることができる。
まず、微粒子の表面をアルカリ脱脂処理し、次いで、酸により中和する。このように処理された微粒子を、下記のように処理する。
1)上記微粒子を、塩化スズ溶液で処理して、表面を増感させ(センシタイジングし)、次いで塩化パラジウムで処理して活性化して(アクチベイティング)金属パラジウムを生成させる方法;
2)上記微粒子を、塩化スズ/塩化パラジウム溶液で処理して、Pd−Sn錯体(触媒)を形成し、塩酸等で還元処理してスズ塩を溶解させ、その酸化還元反応により金属パラジウムを生成させる(アクセレーター)方法;又は
3)微粒子を、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び塩化パラジウム(貴金属化合物)を含む溶液で処理する方法。
上記2)の方法における貴金属イオンの還元処理に使用される還元剤としては、ホウ素化水素ナトリウム等の無機塩又はその化合物、塩酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、クエン酸等の炭素数1〜6の有機酸類や、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の炭素数1〜2のアルデヒド類、メタノール、エタノール、プロパノール等どの炭素数1〜3のアルコール類、水素、エチレン、一酸化炭素等の還元性ガスを挙げることができる。貴金属の極薄膜とするために、特に、還元剤が塩酸等の無機酸であることが好ましい。
上記3)の方法において、表面に貴金属を有する微粒子を形成するための処理溶液に用いられる前記シランカップリング剤は、一分子中に金属補足能を持つ官能基を有するものを用いるのが好ましい。これにより、無電解めっき触媒である貴金属の活性を効果的に発現する電子状態、配向とすることが可能となる。また、透明基板との高い密着性も得られる。
シランカップリング剤として、エポキシ基含有シラン化合物を挙げることができる。エポキシ基含有シラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、得られる前処理層が透明基板及び金属導電層と高い密着性を呈することから、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが好ましく挙げられる。
次に、表面に貴金属を有する微粒子を形成するための処理溶液に用いられるアゾール系化合物としては、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、ベンダゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、インダゾール等を挙げることができる。これらに制限されるものではないが、シランカップリング剤が有するエポキシ基等の官能基及び貴金属化合物との反応性に優れることから、イミダゾールが特に好ましい。
前記3)の方法における表面に貴金属を有する微粒子を形成するための処理溶液において、シランカップリング剤及びアゾール系化合物は単に混合されているだけでもよいが、これらを予め反応させて反応生成物を形成してもよい。これにより、貴金属化合物を前処理層中に原子レベルでより高分散できるとともに、得られる前処理層の光透過性を向上させることができる。
シランカップリング剤とアゾール系化合物とを反応させるには、例えば、80〜200℃でアゾール系化合物1モルに対して0.1〜10モルのシランカップリング剤を混合して5分〜2時間反応させるのが好ましい。その際、溶媒は特に不要であるが、水の他、クロロホルム、ジオキサンメタノール、エタノール等の有機溶媒を用いてもよい。このようにして得られた前記シランカップリング剤と前記アゾール系化合物との反応生成物に、貴金属化合物を混合することで、無電解めっき前処理剤が得られる。
本発明の表面に貴金属を有する微粒子を形成するための処理溶液に用いられる貴金属化合物は、無電解めっき処理において銅やアルミニウム等の金属を選択的に析出・成長させることができる触媒効果を示すものである。具体的には、高い触媒活性が得られることから、前述のように、パラジウム、銀、白金、及び金などの金属原子を含む化合物を用いるのが好ましい。このような化合物としては、金属原子の塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、アンモニウム塩等のアンミン錯体などが用いられるが、特にパラジウム化合物、中でも塩化パラジウムが好ましい。
3)の方法で用いられる表面に貴金属を有する微粒子を形成するための処理溶液は、アゾール系化合物及びシランカップリング剤に対し、貴金属化合物を、好ましくは0.001〜50mol%、より好ましくは0.1〜20mol%含むのがよい。貴金属化合物の濃度が、0.001mol%未満では十分な触媒活性が得られずに所望する厚さを有する金属導電層を形成できない恐れがあり、50mol%を超えると添加量の増加に見合った貴金属化合物による触媒効果が得られない恐れがある。
また、本発明の表面に貴金属を有する微粒子を形成するための前処理剤は、適当な溶媒を含んでいてもよい。前記溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール、アセトン、トルエン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記無電解めっき前処理剤における表面に貴金属を有する微粒子等の貴金属を含む微粒子の含有量は、無電解めっき前処理剤の全量(固形分)に対して、10〜50質量%、特に15〜45質量%の範囲にあることが好ましい。前処理層も前処理層の全量に対して一般に上記の量の微粒子を含む。これにより、高い密着性を有する前処理層を形成することが可能となる。他の無電解めっき用触媒微粒子も同様の量で使用することが好ましい。
次に、無電解めっき前処理剤に用いられる合成樹脂は、透明基板及び金属導電層との密着性を確保できるものであれば、特に制限されない。好ましい合成樹脂の例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、及びエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂等を挙げることができる。これらを用いることにより、透明基板及び金属導電層との高い密着性が得られ、前処理層上に金属導電層を精度よく形成することができる。また、これらの合成樹脂は、1種単独で用いられてもよいほか、2種以上を混合して用いてもよい。本発明では、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル等のメタアクリル酸アルキルエステル類のホモポリマー、コポリマーが使用することができる。
ポリエステル樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、2,6−ポリエチレンナフタレート等を挙げることができる。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂 、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等を挙げることができる。なかでも、ポリエステル系ウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル系ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応生成物からなるポリエステル系ウレタン樹脂を使用することができる。前記ポリエステル系ウレタン樹脂の平均分子量は、一般的に1万〜50万である。
前記ポリエステル系ポリオールとしては、低分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオール、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールを挙げることができる。なお、前記低分子ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、グリセリン等のトリオール、ソルビトール等のヘキサオールを挙げることができる。前記ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、等が単独使用又は2種以上使用される。また、前記ラクトンには、ε−カプロラクトン等が使用される。
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられ、これらが単独使用又は2種以上使用される。
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−或いはp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等);脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等);脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等)のポリイソシアネート、或いはまた、これら各種イソシアネートの付加体、又は多量体等が、単独使用又は2種以上使用される。
ポリエステル系ポリオールとポリイソシアネート化合物との使用比率は、特に限定されないが、通常はポリエステル系ポリオール:ポリイソシアネート化合物=1:0.01〜0.5程度(モル比)の範囲内において、使用する化合物の種類等に応じて適宜決定すれば良い。
前記ポリエステル系ウレタン樹脂を使用する場合、無電解めっき前処理剤は、ポリイソシアネート硬化剤をさらに含むのが好ましい。前記ポリイソシアネート硬化剤としては、上述したポリイソシアネート化合物が用いられる。前記硬化剤の含有量は、前記ポリエステル系ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部、特に0.1〜1.0質量部とするのが好ましい。
塩化ビニル樹脂は、従来公知の塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、または従来公知の各種のコポリマー樹脂であり、特に限定されるものではない。コポリマー樹脂としては、従来公知のコポリマー樹脂を使用でき、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとビニルエステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとアクリル酸エステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹脂などの塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリロニトルコポリマー樹脂などが代表的に例示される。特に好ましくは、塩化ビニル単独樹脂、エチレン−塩化ビニルコポリマー樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー樹脂などを使用するのが良い。
本発明の合成樹脂は、高い密着性が得られることから、活性水素を含有する官能基を分子末端に有するものが好ましく用いられる。活性水素を含有する官能基としては、活性水素を有していれば特に制限されず、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシル基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、カルバゾリル基等を挙げることができる。これらのなかで、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基が好ましい。特に、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基が好ましい。なお、これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい。なかでも、ヒドロキシル基、カルボニル基、アミノ基が好ましい。
前記無電解めっき前処理剤における合成樹脂の含有量は、無電解めっき前処理剤の全量(固形分)に対して、20〜80質量%、特に30〜70質量%の範囲にあることが好ましい。前処理層も前処理層の全量に対して一般に上記の量の合成樹脂を含む。その際、前記の合成樹脂を含むことが好ましい。これにより、高い密着性を有する前処理層を形成することが可能となる。
無電解めっき前処理剤として、前述の表面に貴金属を有する微粒子を作製する際に使用した溶液1)〜3)を使用しても良い。その際下記の合成樹脂等を含むことが好ましい。特に、3)のシランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物を含む液が好ましい。
本発明では、無電解めっき前処理剤が前記特定のチキソトロピックインデックスを有するように、一般に、チキソトロピー性付与剤を含有している。チキソトロピー性付与剤としては、例えば、二酸化ケイ素等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ベントナイト、クレイ、タルク等の無機フィラー;硬化ひまし油等の植物油;アマイドワックス、変性ウレア、ウレア変性ポリアミド、カルナバワックス、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等のワックス;を挙げることができる。これらの中では、化学的に安定で、粒径小さくチキソトロピー性の付与効果の大きい酸化ケイ素が好ましい。酸化ケイ素は、一般にシリカと呼ばれ、BET法による比表面積が20〜500m2/g、特に50〜400m2/gが好ましく、一次粒子の平均粒径が4〜50nm、特に5〜30nmであることが好ましい。シリカの好ましい市販品の例としては、日本アエロジル社製のAEROSIL−50、200、300、380、R972を挙げることができる。
無電解めっき前処理剤におけるチキソトロピック剤の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、5〜50質量部、特に7〜40質量部の範囲が好ましい。
本発明の無電解めっき前処理剤は、黒色着色剤をさらに含有していてもよい。これにより、印刷精度の向上とともに、得られる光透過性電磁波シールド材において透明基板側から見た際の防眩効果を付与することができる。
前記黒色着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、黒鉛、および活性炭などが好ましく挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。カーボンブラックの平均粒径は、好ましくは0.1〜1000nm、特に好ましくは5〜500nmである。
無電解めっき前処理剤における黒色着色剤の含有量は、前記合成樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に1〜5質量部とするのが好ましい。これにより、防眩効果を有する前処理層を精度よく形成することが可能となる。
黒色着色剤を用いる場合、市販されている墨インキを用いて無電解めっき前処理剤を調製するのが好ましい。このような墨インキとしては、東洋インキ製造株式会社製 SS8911、十条ケミカル株式会社製 EXG−3590、大日精化工業株式会社製 NTハイラミック 795R墨などがある。例えば、東洋インキ製造株式会社製 SS8911の場合、溶剤中に、カーボンブラックの他、さらに塩化ビニルおよびアクリル樹脂などを含む。したがって、前記した市販品であれば、合成樹脂および黒色着色剤を含む無電解めっき前処理剤の調製を容易に行うことができる。
また、前記無電解めっき前処理剤は、適当な有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール、アセトン、トルエン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記無電解めっき前処理剤には、必要に応じて体質顔料、界面活性剤などの各種添加剤をさらに含有させてもよい。
本発明の方法において、前記前処理剤を塗布する透明基板としては、透明性及び可とう性を備え、その後の処理に耐えるものであれば特に制限はない。透明基板の材質としては、例えば、ガラス、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、(PEN))、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、シクロオレフィン(COP)、ポリーエーテルスルホン(PES)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる、これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PEN、PC、TAC、PMMAが好ましい。また、透明基板は、これらの材質からなるシート、フィルム、または板として用いられる。
透明基板の厚みは特に限定されないが、光透過性電磁波シールド材の光透過性を維持するという観点からすると薄いほど好ましく、通常は、使用時の形態や必要とされる機械的強度に応じて0.05〜5mmの範囲で適宜、厚みが設定される。
本発明の方法では、上述した無電解めっき前処理剤を、透明基板上にメッシュ状に印刷することにより、前記透明基板上にメッシュ状の前処理層を形成する。これにより、簡易な方法で所望する微細なパターンを有する前処理層を形成することができる。
無電解めっき前処理剤を透明基板に印刷するには、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、静電印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、凸版反転オフセット印刷等の印刷方法を用いることができる。特に、細線化のためにはグラビア印刷、グラビアオフセット印刷、凸版反転オフセット印刷が好適である。グラビア印刷を用いる場合、印刷速度は5〜50m/分とするのがよい。
また、前処理層は、転写方式によって印刷されてもよい。転写方式の場合は、例えば、透明基板とは別の任意の転写用基材シートに、無電解めっき前処理剤を前記と同様の印刷方法等によって印刷し、熱ラミネート法、ドライラミネート法、またはウエットラミネート法、押出ラミネート法等により、透明基板と貼り合わせた後に、転写用基材シートのみを剥離して、無電解めっき前処理剤を前処理層に転写する方法などを用いることができる。
このように無電解めっき前処理剤を印刷した後、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜130℃で加熱することにより乾燥させるのがよい。乾燥温度が80℃未満では、溶媒の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られない恐れがあり、160℃を超えると基板に熱的損傷の発生する恐れがある。塗布後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は5秒〜5分が好ましい。
メッシュ状の前処理層におけるパターンの形状には特に制限はなく、例えば四角形の孔が形成された格子状や、円形、六角形、三角形又は楕円形の孔が形成されたパンチングメタル状などが挙げられる。また、孔は規則的に並んだものに限らず、ランダムパターンとしても良い。
金属導電層に高い光透過性及び電磁波シールド性を付与する観点からは、前処理層における開口部は、等間隔で規則的に配列されているのが望ましい。また、高い光透過性を有する金属導電層を形成するには、前記金属導電層において、開口部の形状が角形状、特に正方形または長方形とし、開口率を高くするのが望ましい。したがって、前記前処理層における開口部の大きさは、微小であるのが好ましい。例えば、開口部15の形状が正方形である前処理層12のパターンの一例を図2に示す。
前記前処理層において、線幅(W1)1〜40μm、開口率50〜95%、さらに線幅(W1)5〜30μm、開口率60〜95%とするのが好ましい。なお、前処理層の開口率とは、当該前処理層(外枠がある場合はそれを除いた領域)の投影面積における開口部分が占める面積割合を言う。また、前記前処理層において、線間隔(W2)は、50〜1000μm、さらに100〜400μmとするのが好ましい。このように本発明によれば、微細なバターンを有する前処理層を精度よく形成することができる。
前記前処理層は、透明基板上の中央部では上述したメッシュ状のパターンを有し、前記透明基板上の中央部を除く周縁部に開口部がない額縁状のパターンを有するものであってもよい。このような構成を有する前記前処理層上に金属導電層を形成すれば、前記金属導電層において、額縁状のパターンを有する部位がメッシュ状のパターンを有する部位を保護することができる。
前処理層の厚さは、0.01〜3μm、さらに0.1〜1.5μmの範囲にあることが好ましい。これにより、透明基板および金属導電層との高い密着性を確保することができる。また無電解めっきを均一な膜厚で所定の形状通り形成することができる。さらに、前処理層の厚さを薄くすることにより、メッシュ状の金属導電層を形成しても光透過性電磁波シールド材を斜めから見た際の視認性を向上させることができるだけでなく、光透過性電磁波シールド材上にハードコート層等を形成する場合に平滑化が容易となる。
本発明の方法では、上述の通りにして透明基板上にメッシュ状の前処理層を形成する工程の後、メッシュ状の金属導電層を形成する工程(図1の矢印(A2))の前に、前処理層12に還元処理を行う工程を実施するのが好ましい。還元処理することで、前処理層12に含まれる無電解めっき触媒である複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物等に含まれる金属種を還元し、活性成分である金属種のみを超微粒子状で均一に析出させることができる。このように還元析出した金属種は、高い触媒活性を有し且つ安定であることから、前処理層12と透明基板11との密着性及び無電解めっきの析出速度を向上させ、さらには複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物の使用量を少なくすることが可能となる。
還元処理は、前処理層に含まれる複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物を還元して金属化できる方法であれば特に制限されない。例えば、(i)前記前処理層が形成された透明基板を、還元剤を含む溶液を用いて処理する液相還元法、(ii)前記前処理層が形成された透明基板を、還元性ガスと接触させる気相還元法等を用いることができる。
液相還元法において還元剤を含む溶液を用いて処理する方法として、例えば、前記前処理層が形成された透明基板を還元剤を含む溶液中に浸漬させる方法、前記透明基板の前記前処理層が形成された面に還元剤を含む溶液をスプレーする方法等を用いることができる。
還元剤を含む溶液は、所定の還元剤を水等の溶媒に分散又は溶解させて調製されるものである。前記還元剤としては、特に制限されないが、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルアクリルアミド、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ブドウ糖、アミノボラン、ジメチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボラン(TMAB)、ヒドラジン、ジエチルアミンボラン、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、イミダゾール、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、硫酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、ハイドロサルファイト(Na224:亜二チオン酸ナトリウムともいう)等が挙げられる。前記還元剤は、後工程で用いる無電解めっき浴中に含まれる還元剤と同一のものを用いると、還元処理後の前記透明基板を水洗処理することなく無電解めっきを行うことができ、また無電解めっき浴の組成を変化させる恐れも少ない。
還元剤としては、高い還元性が得られることから、アミノボラン、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシルアミン、ハイドロサルファイト、及びホルマリンを用いるのが好ましい。
還元剤を含む溶液における還元剤の含有量は、0.01〜200g/L、特に0.1〜100g/Lとするのが好ましい。還元剤の濃度が低すぎる場合には十分に還元処理を行うのに所要時間が長くなる恐れがあり、還元剤の濃度が高すぎる場合には析出させためっき触媒が脱落する恐れがある。
液相還元法において還元剤を含む溶液を用いて処理する方法としては、前処理層に含まれる複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物等の触媒微粒子の高い還元性が得られることから、前処理層が形成された透明基板を還元剤を含む溶液中に浸漬させる方法を用いるのが好ましい。
透明基板を浸漬させる場合、前記還元剤を含む溶液の温度は、20〜90℃、特に50〜80℃とするのが好ましい。また、浸漬時間は、少なくとも1分以上、好ましくは1〜10分程度とすればよい。
一方、前記気相還元法を用いて還元処理を行う場合、前記還元性ガスとしては、水素ガス、ジボランガスなど、還元性を有する気体であれば特に制限されない。還元ガスを用いた還元処理時の反応温度および反応時間は、使用する還元ガスの種類などに応じて適宜決定すればよい。
次に、本発明の方法では、上述の通りに形成した前処理層上に、無電解めっき処理により、メッシュ状の金属導電層を形成する工程を実施する。無電解めっき処理を行うことにより、微細な金属粒子が濃密で実質的な連続皮膜として沈積形成されて、前処理層上のみに選択的に金属導電層を得ることができる。
めっき金属は、導電性を有してメッキ可能である金属であれば使用することができ、金属単体、合金、導電性金属酸化物等であってもよく、均一な金属薄膜又は一様に塗布された微細な微粒子等からなるものであってもよい。
無電解めっきにおけるめっき金属としては、銅、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、スズ、コバルト等を用いることができる。特に、高い電磁波シールド性が得られる金属導電層が得られることから、好ましくは、コスト面で有利なことから銅、ニッケルが用いられる。これらのめっき金属を用いて形成される金属導電層は、前処理層との密着性に優れる他、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。
無電解めっきは、無電解めっき浴を用いて常法に従って常温または加温下で行うことができる。即ち、めっき金属塩、キレート剤、pH調整剤、還元剤等を基本組成として含むめっき液を建浴したものにめっき基材を浸漬して行うか、構成めっき液を2液以上と分けて添加方式でめっき処理を施すなど適宜選択すれば良い。
無電解めっきとして一例を挙げると、Cuからなる金属導電層を形成する場合、硫酸銅等の水溶性銅塩1〜100g/L、特に5〜50g/L、ホルムアルデヒド等の還元剤0.5〜10g/L、特に1〜5g/L、EDTA等の錯化剤20〜100g/L、特に30〜70g/Lを含み、pH12〜13.5、特に12.5〜13に調整した溶液に、前処理層が形成された透明基板を50〜90℃、30秒〜60分浸漬する方法を採用することができる。
無電解めっきをする際に、めっきされる基板を揺動、回転させたり、その近傍を空気撹拌させたりしてもよい。
本発明の方法では、前記金属導電層が所望の厚さ、線幅を有するように、前処理層が形成された透明基板に、無電解めっきを行った後、さらに、電解めっきを行ってもよい。
電解めっきにおけるめっき金属としては、無電解めっきにおいて上述したものと同様のものが用いられる。
電解めっきは、特に制限されず、常法に従って行えばよい。例えば、メッシュ状の前処理層および金属導電層が形成された透明基板をめっき液に浸漬させ、前記透明基板を陰極とし、単体のめっき金属を陽極とし、めっき液に電流をかけて行えばよい。めっき液の組成は、特に制限されない。例えば、Cuからなる金属導電層を形成する場合には、硫酸銅水溶液などが用いられる。
メッシュ状の金属導電層におけるパターンの形状には特に制限はなく、前処理層において上述したのと同様である。
前記金属導電層において、線幅(W1)1〜40μm、開口率50〜95%、さらに線幅(W1)5〜30μm、開口率60〜95%とするのが好ましい。なお、金属導電層の開口率とは、当該金属導電層(外枠がある場合はそれを除いた領域)の投影面積における開口部分が占める面積割合を言う。また、金属導電層において、線間隔(W2)は、50〜1000μm、好ましくは100〜400μmとするのがよい。このように本発明によれば、微細なパターンを有する前処理層上に金属導電層を精度よく形成することができる。
また、前処理層の説明において記載した通り、金属導電層は、透明基板上の中央部に上述したメッシュ状のパターンを有し、透明基板上の中央部を除く周縁部に額縁状のパターンを有するものであってもよい。
金属導電層の厚さは、1〜200μm、好ましくは2〜10μm程度とするのがよい。前記金属導電層の厚さが、薄すぎると十分な電磁波シールド性が得られない恐れがあり、厚すぎると光透過性電磁波シールド材の薄型化の観点から好ましくない。
次に、本発明の方法では、図1に示すように、金属導電層に防眩性を付与するため、金属導電層13を黒化処理又は黒色めっき処理し、前記金属導電層13の表面の少なくとも一部に黒化処理層14を形成する工程(図1の矢印(A3))をさらに実施してもよい。
黒化処理は、金属導電層面を粗化及び/又は黒化するものである。金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理によって行うことが好ましい。特に酸化処理は、より優れた防眩効果を得ることができ、さらに廃液処理の簡易性及び環境安全性の点からも好ましい。
黒化処理として酸化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用することが好ましい。
黒化処理として硫化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には硫化カリウム、硫化バリウム及び硫化アンモニウム等の水溶液を使用することが可能であり、好ましくは、硫化カリウム及び硫化アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫化アンモニウムを使用することが好ましい。
また、黒化処理としては、酸化処理又は硫化処理の他にも、黒色めっきにより行なってもよい。これにより密着性に優れ、十分に黒色化された黒化処理層を形成することができる。
黒色めっき処理は、従来公知の方法に準じて行えばよく、電解めっきまたは無電解めっきのいずれを用いて行ってもよい。また、黒色めっきは、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、およびこれらの合金をめっきすることにより行われる。十分に黒色化するには、ニッケル、亜鉛、およびクロムよりなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む合金の黒色めっきにより行われるのが好ましい。
例えば、ニッケルおよび亜鉛の合金からなる黒化処理層を形成するには、硫酸ニッケル50〜150g/L、硫酸ニッケルアンモン10〜50g/L、硫酸亜鉛20〜50g/L、チオシアン酸ナトリウム10〜30g/L及びナトリウムサッカリン0.05〜3g/Lを含有するめっき浴を用いることができる。その後、常法に従って電解めっきなどにより黒色めっきを行えばよい。
黒化処理層の厚さは、特に制限されないが、0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmとするのがよい。前記厚さが、0.01μm未満であると、光の防眩効果が充分でない恐れがあり、1μmを超えると、斜視した際の見かけ上の開口率が低下する恐れがある。
上述した本発明の方法によれば、貴金属含有複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物微粒子、又は表面に貴金属が担持された微粒子等の触媒微粒子と、合成樹脂とを含む、貴金属濃度が特定の量である無電解めっき前処理剤を用いることにより、微細なパターンを有する金属導電層を精度よく設けることができ、光透過性、電磁波シールド性、外観性、および視認性に優れる光透過性電磁波シールド材を得ることができる。
光透過性電磁波シールド材は、本発明の無電解めっき前処理剤を用いることで前処理層が高い光透過性を有する。従って、前処理層が形成されることによって光透過性電磁波シールド材の光透過性が低下することがなく、前記光透過性電磁波シールド材は、70%以上、特に75〜90%と高い全光線透過率を有する。
なお、前記光透過性電磁波シールド材の全光線透過率の測定は、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機株式会社製)等を用いて、光透過性電磁波シールド材の厚み方向の全光線透過率を測定することにより行われる。
なお、前記光透過性電磁波シールド材における各層についての詳細な説明は、本発明の製造方法において上述した通りであるため、ここでは省略する。
本発明の光透過性電磁波シールド材は、光透過性が要求される用途、例えば電磁波を発生する各種電気機器のLCD、PDP、CRT等のディスプレイ装置のディスプレイ面、又は、施設や家屋の透明ガラス面や透明パネル面に好適に適用される。光透過性電磁波シールド材は、高い光透過性および電磁波シールド性を有しているので、前述したディスプレイ装置のディスプレイ用フィルタに好適に用いられる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、特に制限されないが、前記方法によって製造された光透過性電磁波シールド材を、ガラス板等の透明基板に接着剤層などを介して貼り合わせる等することにより得られる。このようなディスプレイ用フィルタでは、メッシュ状の前処理層および金属導電層の開口部は、接着剤層により埋められる。
また、電子ディスプレイ用フィルタは、透明基板、電磁波シールド層、および接着剤層の他、さらに反射防止層、色調補正フィルタ層、近赤外線カット層等を有していてもよい。これらの各層の積層の順序は、目的に応じて決定される。また、ディスプレイ用フィルタには、電磁波シールド機能を高めるために、PDP本体のアース電極と接続するための電極を設けてもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
1.前処理剤の調製
前処理剤の配合(Pd濃度:0.06質量%):
表面にPdが担持された二酸化チタン微粒子
(Pd:二酸化チタンの0.3質量%、平均粒径:0.21μm) 30質量部
ポリエステル樹脂(固形分100%、
商品名:バイロン670、東洋紡(株)製) 100質量部
シクロヘキサノン 560質量部
シリカ微粒子(平均1次粒子径:12nm、
アエロジル#200、日本アエロジル社製) 20質量部
上記配合を混合し、次いでビーズミルで20分間撹拌した。これにより前処理剤を調製した。
2.メッシュ状の前処理層の作製
次に、得られた前処理剤を、PETフィルム(厚さ100μm)上に、線幅16μm、深さ6μmのメッシュパターンが刻み込まれたグラビア印刷版によって印刷した後、100℃、30分間乾燥させることにより、PETフィルム上にメッシュ状の厚さ0.5μmの前処理層を形成した。
[実施例2]
実施例1において、表面にPdが担持された二酸化チタン微粒子として、Pd含有量が二酸化チタンの1.0質量%、平均粒径が0.21μmのものを60質量部用い、前処理剤の配合におけるPd濃度を0.33質量%に変更した以外は同様にしてメッシュ状の前処理層を形成した。
[実施例3]
実施例1において、表面にPdが担持された二酸化チタン微粒子として、Pd含有量が二酸化チタンの2.0質量%、平均粒径が0.21μmのものを90質量部用い、前処理剤の配合におけるPd濃度を0.86質量%に変更した以外は同様にしてメッシュ状の前処理層を形成した。
[比較例1]
実施例1において、表面にPdが担持された二酸化チタン微粒子の量を30質量部から20質量部に変え、前処理剤の配合におけるPd濃度を0.04質量%に変更した以外は同様にしてメッシュ状の前処理層を形成した。
[比較例2]
実施例1において、表面にPdが担持された二酸化チタン微粒子として、Pd含有量が二酸化チタンの2.0質量%、平均粒径が0.21μmのものを120質量部用い、前処理剤の配合におけるPd濃度を1.0質量%に変更した以外は同様にしてメッシュ状の前処理層を形成した。
[評価]
(1)さらに、実施例、比較例で得られた前処理層上に、下記のようにして金属導電層を形成して光透過性電磁波シールド材を作製した。
3.金属導電層の作製
上記で還元処理された前処理層が形成されたPETフィルムを、無電解銅めっき液(メルテックス株式会社製 メルプレートCU−5100)に浸漬し、50℃、5分間で、無電解銅めっき処理して、メッシュ状の金属導電層を得た。
(2)得られた貴族導電層について以下のように評価した。
(A)表面抵抗(Ω/□)
表面抵抗値の測定は、三菱油化(株)製の表面抵抗率計(ロレスタAP)を用いて測定した。
(B)無電解めっきの状態
得られたメッシュ状の金属導電層の状態は顕微鏡を用いて観察した。
得られた結果を下表に示す。
Figure 2009277924
実施例1〜3で得られた本発明の特定の貴金属濃度を有する前処理剤を用いて高精細パターンをグラビア印刷により印刷することができ、また無電解めっきを施すことにより導電性メッシュとすることができることが分かった。比較例1、2に示されたように、本発明の特定の貴金属濃度の範囲外の前処理剤を用いた場合、前処理層の印刷パターンに沿った無電解めっきの形成ができなかった。
本発明の前処理剤を用いて光透過性電磁波シールド材を製造する過程を示す概略断面図である。 前処理層のパターンの一例を示す模式図である。
符号の説明
11 透明基板、
12、22 メッシュ状の前処理層、
13 メッシュ状の金属導電層、
14 黒化処理層、
25 開口部

Claims (14)

  1. 透明基板、この透明基板上に設けられたメッシュ状の前処理層、前処理層上に設けられたメッシュ状の金属導電層を含む光透過性電磁波シールド材であって、
    前処理層が、貴金属を含み、且つその貴金属濃度が0.05〜0.9質量%であることを特徴とする光透過性電磁波シールド材。
  2. 前処理層が、貴金属を含む微粒子を含んでいる請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材。
  3. 貴金属を含む微粒子が、表面に貴金属が担持された微粒子である請求項2に記載の光透過性電磁波シールド材。
  4. 表面に貴金属が担持された微粒子が、表面に貴金属が担持された金属酸化物微粒子である請求項3に記載の光透過性電磁波シールド材。
  5. 金属酸化物微粒子が、酸化チタン微粒子である請求項4に記載の無電解めっき前処理剤。
  6. 貴金属が、パラジウム、銀、白金、及び金よりなる群から選択される少なくとも一種の金属である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
  7. 貴金属が、パラジウムである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
  8. 貴金属を含む微粒子が、貴金属含有複合金属酸化物又は複合金属酸化物水化物の微粒子である請求項2に記載の光透過性電磁波シールド材。
  9. 複合金属酸化物水化物が、下記式(I)
    1 X・M22・n(H2O) ・・・(I)
    (式中、M1はPd又はAgを表し、M2はSi、Ti又はZrを表し、M1がPdである場合にはxは1であり、M1がAgである場合にはxは2であり、nは1〜20の整数である)で表される請求項8に光透過性電磁波シールド材。
  10. 複合金属酸化物水化物が、PdTiO3・6(H2O)である請求項8又は9に記載の無電解めっき前処理剤。
  11. 貴金属を含む微粒子の平均粒径が、0.01〜1μmである請求項2〜10のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
  12. 前処理層の層厚が、0.1〜3μmである請求項1〜11のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
  13. 貴金属を0.05〜0.9質量%の濃度(以下の前処理剤の固形分に対して)で含む無電解めっき前処理剤を、透明基板上にメッシュ状に印刷することにより、透明基板上にメッシュ状の前処理層を形成する工程、及び、
    前処理層上に、無電解めっきを行うことにより、メッシュ状の金属導電層を形成する工程、
    を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  14. 印刷が、グラビア印刷により行われる請求項13に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
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