JP2009302449A - 光透過性電磁波シールド材及びその製造方法 - Google Patents

光透過性電磁波シールド材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 視認性に優れた光透過性電磁波シールド材を提供すること。さらに視認性に優れた光透過性電磁波シールド材の製造方法を提供すること。
【解決手段】 透明基板、及びその上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド材であって、透明基板と金属導電層との間に微細な空房を有する空房含有樹脂層が設けられていることを特徴とする光透過性電磁波シールド材。
【選択図】図3

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面フィルタや、病院などの電磁波シールドを必要とする建築物の窓に用いられる光透過性電磁波シールド材及び光透過性電磁波シールド材の製造方法に関する。
近年、ディスプレイは大画面表示が主流となり、大画面表示デバイスとして、液晶ディスプレイと共にPDPが一般的になってきている。PDPは液晶ディスプレイに比べて応答速度が早い等の利点を有する。しかしながら、このPDPでは画像表示のため発光部に高周波パルス放電を行っているため、不要な電磁波の輻射や赤外線リモコン等の誤動作の原因ともなる赤外線の輻射のおそれがあり、このため、これらを防止する目的で、PDPに対して、導電性を有する種々のPDPフィルタ(光透過性電磁波シールド材)が提案されている。この光透過性電磁波シールド材の導電層としては、例えば、(1)金属銀を含む透明導電薄膜、(2)金属線又は導電性繊維を網状にした導電メッシュ、(3)透明フィルム上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、(4)透明フィルム上に導電性インキをメッシュ状に印刷したもの、等が知られている。
しかしながら、(1)の透明導電薄膜は導電性が十分得られないこと、また(2)の導電メッシュは、一般に、良好な光透過性を得ることができないとの欠点があった。(3)のエッチング加工及び(4)パターン印刷により、所望のメッシュ状の導電層を形成することができることから、線幅や間隔、網目形状の自由度は導電メッシュに比べて格段に大きく、線幅200μm以下、開口率75%以上という細線で開口率の高いメッシュ状の導電層であっても形成可能である。但し、(3)ではエッチング加工において設備が必要であり、また工程が煩雑でコスト高となるとの不利がある。一方、(4)メッシュ状のパターン印刷は上記導電層の形成が特に容易で有利であり、このような細線で目の粗い導電層を形成した導電性印刷膜であれば、良好な光透過性を得ることができる。
しかしながら、上記(3)、(4)の導電層においては、視認性を高めるためにメッシュの表面又は裏面(透明基板側の表面)を黒色に染めて導電性メッシュ表面の反射を抑えることが一般に行われている。
メッシュの裏面(透明基板側の表面)を黒色化する方法としては、金属硫化物等からなる黒色層を設ける方法(A)、導電性メッシュ層の下に別層を設け、無電解メッキ層を設けた場合に別層を黒色に見えるようにする方法(B)、或いは導電性メッシュ層を化学変化させて黒色の層に変える方法(C)等が挙げられる。
(A)の例としては、特許文献1(特許第2979021)に、透明基体上に金属酸化物又は金属硫化物からなる黒色層と、金属薄膜層とが電磁波シールとパターン形状に順次積層された電磁波シールド材料が開示されている。(B)の例としては、特許文献2(特許第2717734)には、透明基体上に親水性透明樹脂層が積層され、該親水性透明樹脂層上に無電解メッキ層がパターン状に積層され、該無電解メッキ層下の親水性透明樹脂層に黒色パターン部が形成されていることを特徴とする透光性電磁波シールド材料が開示されている。親水性透明樹脂層に無電解メッキ層が積層されると、無電解メッキ層形成側から見た場合には金属光沢色に見え、そして、透明基体から透視した場合には無電解メッキ層が積層された部分は黒色に見えると記載されている。
特許第2979021 特許第2717734
しかしながら、上記(A)のような黒色層を設ける方法は、別層を設ける必要があること、また粒子を含有させた場合、パターニングの精度が低下する場合がある等の問題がある。さらに、他の方法も工程増やコスト高をもたらすとの不利がある。
従って、本発明の目的は、視認性に優れた光透過性電磁波シールド材を提供することにある。
また、本発明の目的は、簡易に得ることができ、視認性に優れた光透過性電磁波シールド材を提供することにある。
さらに本発明の目的は、視認性に優れた光透過性電磁波シールド材の簡易に製造する方法を提供することにある。
本発明は、
透明基板、及びその上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド材であって、
透明基板と金属導電層との間に微細な空房を有する空房含有樹脂層が設けられていることを特徴とする光透過性電磁波シールド材;
にある。
上記本発明の光透過性電磁波シールド材の好ましい態様を以下に列挙する。
(1)空房の平均直径が100〜700nmの範囲にある。平均直径は、空房含有樹脂層の断面の電子顕微鏡写真により測定した。これにより、良好な光の散乱がもたらされるが、樹脂層の強度はほとんど低下しない。
(2)空房の体積率が、空房含有樹脂層全体積の10〜50%の範囲にある。空房の体積は、上記と同様に空房含有樹脂層の断面の電子顕微鏡写真により測定した。これにより、良好な光の散乱をもたらされるが、導電層と密着性はほとんど低下しない。
(3)空房含有樹脂層が無電解めっき前処理層である。即ち、一般に、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と合成樹脂とを含む層であるか、或いはシランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物を含む層である。
(4)空房の多くは、空房含有樹脂層の表面まで連通(貫通)している。
また、本発明は、
透明基板の表面に、合成樹脂と合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をパターン印刷して、合成樹脂中に分散した微粒子状のアルカリ可溶性樹脂を有するメッシュ状前処理層を形成する工程、
メッシュ状前処理層をアルカリ水溶液に接触させて、前処理層中の微粒子状のアルカリ可溶性樹脂を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層を形成する工程、及び
空房含有メッシュ状前処理層上に、無電解めっき処理によりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法;及び
透明基板の表面に、合成樹脂と合成樹脂中に分散されたアルカリ可溶性樹脂微粒子とを含む無電解めっき前処理剤をパターン印刷して、合成樹脂中に分散したアルカリ可溶性樹脂微粒子を有するメッシュ状前処理層を形成する工程、
メッシュ状前処理層をアルカリ水溶液に接触させて、前処理層中の微粒子を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層を形成する工程、及び
空房含有メッシュ状前処理層上に、無電解めっき処理によりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法;
にもある。
上記本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法の好ましい態様を以下に列挙する。
(1)無電解めっき前処理剤が、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と合成樹脂とを含む液である。上記方法において、特に優れた導電性が得られやすい。
(2)無電解めっき前処理剤が、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物を含む液である。優れた導電性が得られやすい。
(3)無電解めっきを行った後、さらに、電解めっきを行う。優れた導電性が得られる。
前記光透過性電磁波シールド材の好ましい態様(1)〜(4)も、この製造方法に適用することができる。
本発明の光透過性電磁波シールド材及び前記本発明の製造方法により得られる光透過性電磁波シールド材は、ディスプレイ用光学フィルタ;特にプラズマディスプレイパネル用光学フィルタに有利に使用することができる。
本発明の光透過性電磁波シールド材は、透明基板とメッシュ状導電層との間に微細な空房を有する空房含有樹脂層(好ましくは無電解めっき前処理層)が設けられており、このため基板側から見たメッシュ状導電層の裏面が、空房含有樹脂層の散乱効果により黒く見えるようになり、反射が抑えられるため、視認性が格段に向上している。
本発明の光透過性電磁波シールド材及び光透過性電磁波シールド材の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1に本発明の光透過性電磁波シールド材の1例の概略断面図を示す。透明基板11上に、本発明に従う空房含有樹脂層12が設けられ、その上にメッシュ状金属導電層13が形成されている。空房含有樹脂層12は、内部に微細な空房を有する樹脂層である。空房含有樹脂層12は、一般に無電解めっき前処理層であり、この前処理層上に無電解めっきを施して金属導電層を形成する。即ち、このような前処理層を用いて金属導電層を形成するのが、高い導電性が得られやすく好ましい。
図2の(1)に、本発明の光透過性電磁波シールド材の空房含有樹脂層12の好ましい態様の1例の部分拡大平面図を、図2の(2)に空房含有樹脂層12の好ましい態様の1例の部分拡大断面図を示す。
図2の(1)では、空房含有樹脂層12の表面に、開口部を有する微細な空房V1が形成されている。即ち、空房含有樹脂層12の内部では、開口部を持たない微細な空房も形成されているが、そのほとんどは表面に連通している空房か、その空房V1に連通している空房である。空房含有樹脂層12は、例えば、本発明の好ましい製造方法に従い、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子をアルカリ現像により除去することにより形成される。これ以外にも、中空体微粒子を分散させて形成することも可能である。
図2の(2)には、透明基板11上に設けられた空房含有樹脂層12の部分拡大断面図が示されている。空房含有樹脂層12には、空房が無数に形成されているが、表面においては開口部を有する空房V1及び内部の微細な空房V2からなっている。内部の微細な空房V2も通常表面に連通しているか、空房V1に連通している。空房含有樹脂層12上には、上述のように金属導電層13が設けられる。
図2において、基板側から入射した光はこれらの微細な空房V2、V1で散乱し、基板側から見た場合は、空房含有樹脂層12は黒色を帯びる。特に、空房含有樹脂層12上に金属導電層13が設けられているため、黒色が強くなる。従って、基板側を視聴者側にして、本発明の光透過性電磁波シールド材をPDPに設置した場合、入射光の反射が抑えられた視認性に優れた画像を得ることができる。
空房の断面形状は、一般に球状或いは変形した球状、あるいは変形楕円状であるが、空房が連通している場合は不特定形状のものもある。空房の平均直径が100〜700nmの範囲、特に100〜500nmの範囲にあることが好ましい。光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱であるレイリー散乱(レイリー卿ジョン・ウィリアム・ストラットにちなむ)による効果が大きいと考えられる。上限を超える平均直径では、良好な光の散乱が得られず、また樹脂層の強度が低下する場合がある。下限未満の平均直径は、製造が困難となる。
空房の体積率は、空房含有樹脂層全体積の10〜50%の範囲、特に20〜40%にあることが好ましい。上限を超える空房体積率(一般に空隙率)では、導電層と密着性が低下する場合があり、下限未満の空房体積率では、良好な光の散乱が得にくくなる。
空房含有樹脂層12が無電解めっき前処理層である。即ち、一般に、合成樹脂及びアルカリ可溶性樹脂に加えて、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と合成樹脂とを含む層であるか、或いはシランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物を含む層である。
本発明は、光透過性電磁波シールド材の製造方法は、下記の2つの方法:
(A)透明基板の表面に、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をパターン印刷して、合成樹脂中に分散したアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子を有するメッシュ状前処理層を形成する工程、
メッシュ状前処理層をアルカリ水溶液に接触させて、前処理層中の微粒子状樹脂又は微粒子を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層を形成する工程、及び
空房含有メッシュ状前処理層上に、無電解めっき処理によりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含む製造方法;
(B)無電解めっき前処理剤として、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物と、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子とを含む液を用いてパターン印刷してメッシュ状前処理層を形成する工程、及び
メッシュ状前処理層をアルカリ水溶液に接触させて、前処理層中の微粒子状樹脂又は微粒子を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層を形成する工程、及び
前処理層上に、無電解めっき処理によりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含む製造方法;
を利用することが好ましい。各方法について、以下に詳述する。
本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法(A)を説明する概略断面図を図3に示す。まず、(A1)、(A2)、(A3)に示すように透明フィルム等の透明基板31上に、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂又は微粒子とを含む無電解めっき前処理剤を従いメッシュ状に印刷し、乾燥して合成樹脂中に分散した微粒子状アルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子を有するメッシュ状前処理層32'を形成し(A1)、メッシュ状前処理層にアルカリ水溶液を浸漬、噴霧等により接触させて、前処理層中の微粒子を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層32を形成し(A2)、次いで、空房含有メッシュ状前処理層32に無電解めっきを行うことにより、空房含有メッシュ状前処理層32上に金属などの導電材料からなるメッシュ状の金属導電層33を形成する(A3)。
複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子とを含む無電解めっき前処理剤は、例えば、メッシュ形状に対応する凹版を用いた凹版印刷により印刷される。これにより、スジやカブリの発生がない、微細なパターンを有するメッシュ状の前処理層を精度よく形成することが可能である。そして、次いでアルカリ現像することにより微細空房付きの前記微細なパターンを有するメッシュ状の前処理層を得ることができる。
前記凹版印刷はグラビア印刷若しくはグラビアオフセット印刷であることが好ましく、これにより精度の高い印刷が可能である。
前記無電解めっき前処理剤に用いられる複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物としては、Pd、Ag、Si、Ti及びZrよりなる群から選択される少なくとも2種の金属元素を含むものが好ましく用いられる。より好ましくは、Pd又はAgの金属元素と、Si、Ti又はZrの金属元素とを含むものを挙げることができる。このような複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物は、高いめっき金属析出能力を有し、さらに前処理剤中での安定性及び分散性に優れた特性を有する。
なかでも、前記特性が特に優れることから、下記式(I)
1 X・M22・n(H2O) ・・・(I)
(式中、M1はPd又はAgを表し、M2はSi、Ti又はZrを表し、M1がPdである場合、xは1であり、M1がAgである場合、xは2であり、nは1〜20の整数である)で表される複合金属酸化物水化物を用いることが特に好ましい。
式(I)において、M1はPd又はAgであるが、Pdであることが好ましい。また、M2はSi、Ti又はZrであるが、Tiであることが好ましい。これにより、高いめっき析出能力を有する複合金属酸化物水水化物が得られる。
複合金属酸化物水化物としては、例えばPdSiO3、Ag2SiO3、PdTiO3、Ag2TiO3、PdZrO3及びAg2TiO3などの水化物が挙げることができる。
上述した複合金属酸化物水化物は、それぞれの相当する金属塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、相当する金属酸化物の水和物等を原料とし、これらを加熱し、加水分解する方法などを用いることによって得られる。
また、複合金属酸化物としては、M1 X・M22(M1、M2及びXについては、上記式(I)と同義である)で表されるものが好ましく用いられる。
無電解めっき前処理剤に用いられる複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物の平均粒径は、0.01〜10μm、特に0.05〜3μmのものを用いるのが好ましい。これにより、凝集が抑制された高い分散性および触媒活性を有する複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物とすることができる。
なお、本発明において、複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物の平均粒径は、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物を電子顕微鏡(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子の面積円相当径を求めた数平均値とする。
複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは10〜40質量部とするのが好ましい。含有量が、10質量部未満では十分なめっき析出能力が得られない恐れがあり、60質量部を超えるとこれらの複合金属酸化物の凝集に基づくスジやカブリが形成する恐れがある。
無電解めっき前処理剤は、合成樹脂及び合成樹脂中に微細に分散されるアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子を含んでいる。合成樹脂を含むことにより、透明基板及び導電層との密着性を向上させることができ、前処理層が剥離し難くなり、導電層をより精度よく形成することが可能となる。
合成樹脂は、透明基板および導電層との密着性を確保できるものであれば、特に制限されない。好ましい例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、およびエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂などを挙げることができる。これらを用いることにより、透明基板および導電層との高い密着性が得られ、前処理層上に導電層を精度よく形成することができる。また、これらの合成樹脂は、1種単独で用いられてもよいほか、2種以上を混合して用いてもよい。
アクリル樹脂としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル等のメタアクリル酸アルキルエステル類のホモポリマー、コポリマーが使用できるが、特にメチルメタクリレート、エチルメタクリレートまたはブチルメタクリレートなどのホモポリマー、コポリマーが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、2,6−ポリエチレンナフタレートなどを挙げることができる。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂 、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリエステル系ウレタン樹脂が好ましい。
上記ポリウレタン樹脂として、例えばポリエステル系ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応生成物からなるポリエステル系ウレタン樹脂を使用することができる。ポリエステル系ウレタン樹脂の平均分子量は、一般的に1万〜50万である。
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば低分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。なお、低分子ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、グリセリン等のトリオール、ソルビトール等のヘキサオールを挙げることができる。前記ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、等が単独使用又は2種以上で使用される。また、前記ラクトンには、ε−カプロラクトン等が使用される。
そして、ポリエステル系ポリオールとしては、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等を挙げることができ、これらが単独使用又は2種以上で使用される。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−或いはp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等);脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等);脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等)のポリイソシアネート、或いはまた、これら各種イソシアネートの付加体、又は多量体等が、単独使用又は2種以上で使用される。
ポリエステル系ポリオールとポリイソシアネート化合物との使用比率は、特に限定されないが、通常はポリエステル系ポリオール:ポリイソシアネート化合物=1:0.01〜0.5程度(モル比)の範囲内において、使用する化合物の種類等に応じて適宜決定すれば良い。
ポリエステル系ウレタン樹脂を使用する場合、無電解めっき前処理剤は、ポリイソシアネート硬化剤をさらに含むのが好ましい。ポリイソシアネート硬化剤としては、上述したポリイソシアネート化合物が用いられる。硬化剤の含有量は、ポリエステル系ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部、特に0.1〜1.0質量部とするのが好ましい。
塩化ビニル樹脂は、従来公知の塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、または従来公知の各種のコポリマー樹脂であり、特に限定されるものではない。コポリマー樹脂としては、従来公知のコポリマー樹脂を使用でき、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとビニルエステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとアクリル酸エステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹脂などの塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリロニトルコポリマー樹脂などを挙げることができる。特に、塩化ビニル単独樹脂、エチレン−塩化ビニルコポリマー樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー樹脂などを使用するのが好ましい。
合成樹脂としては、高い密着性が得られることから、活性水素を含有する官能基を分子末端に有するものが好ましい。活性水素を含有する官能基としては、活性水素を有していれば特に制限されず、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシル基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、カルバゾリル基等を挙げることができる。1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基が好ましい。特に、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基またはヒドロキシル基が好ましい。なお、これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい。なかでも、ヒドロキシル基、カルボニル基、およびアミノ基が好ましい。
無電解めっき前処理剤における合成樹脂の含有量は、無電解めっき前処理剤の全量に対して、40〜90質量%、特に60〜80質量%とすることが好ましい。これにより、高い密着性を有する前処理層を形成することが可能となる。
合成樹脂中に微細に分散されるアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、酸性基(カルボン酸、スルホン酸基、リン酸基、硫酸基等)を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。このような樹脂は、前記合成樹脂の製造時に、3個以上の酸性基を有する酸成分、酸性基を有するアルコール成分、酸性基を有するラジカル重合性モノマー等を導入することにより得ることができる。
3個以上酸性基を有する酸成分としては、例えばトリメリット酸、スルホフタル酸等を挙げることができる。
酸性基を有するアルコール成分としては、例えば、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができる。
例えば、酸性基を有するラジカル重合性モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)、エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)等を挙げることができる。
本発明では、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂を予め調製することが好ましい。調製法として、例えば合成樹脂は溶解するがアルカリ可溶性樹脂は溶解しない有機溶剤又溶剤混合物(例えば、脂肪族炭化水素)に溶解させた合成樹脂中に、予め作製されたアルカリ可溶性樹脂微粒子(例えば、水中にアルカリ可溶性樹脂を微分散させて、噴霧乾燥することにより得る)を微分散させる方法;或いは、例えば合成樹脂は溶解するがアルカリ可溶性樹脂は溶解しない有機溶剤又溶剤混合物(例えば、脂肪族炭化水素)に溶解させた合成樹脂中に、アルカリ可溶性樹脂溶液(この時の溶剤も前記有機溶剤と相溶しないものが好ましい)を微分散させる。微分散は、ホモジナイザー等を使用することにより行われる。適宜、乳化剤、分散剤を使用しても良い。
合成樹脂とアルカリ可溶性樹脂との質量比は、一般に80:20〜20:80、好ましくは70:30〜30:70(合成樹脂:アルカリ可溶性樹脂)である。
また、無電解めっき前処理剤は、さらに無機微粒子を含んでいてもよい。無機微粒子を含有することにより、印刷精度を向上することができ、より精度の高い導電層を形成することが可能となる。好ましい無機微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、マイカ、ガラスフレーク、金属ウィスカー、セラミッックウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、スメクタイト等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
無機微粒子の平均粒径は、0.01〜5μm、特に0.1〜3μmであることが好ましい。無機微粒子の平均粒径が、0.01μm未満であると無機微粒子の添加により所望するほどの印刷精度の向上が得られない恐れがあり、5μmを超えるとスジやカブリが発生し易くなる恐れがある。
無電解めっき前処理剤における無機微粒子の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部、特に1〜5質量部とすることが好ましい。これにより、高い印刷適正を持った前処理剤とすることができる。
また、無電解めっき前処理剤は、さらにチキソトロピック剤を含有してもよい。前記チキソトロピック剤によれば、前処理剤の流動性を調整することにより印刷精度を向上させることができ、より精度の高い導電層を形成することが可能となる。チキソトロピック剤としては、従来公知のものであれば使用できる。好ましくは、アマイドワックス、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等を使用することができる。
無電解めっき前処理剤におけるチキソトロピック剤の含有量は、前記合成樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に1〜5質量部とすることが好ましい。これにより、高い印刷適正を持った前処理剤とすることができる。
また、無電解めっき前処理剤は、適当な溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール、アセトン、トルエン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどを挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無電解めっき前処理剤は、必要に応じて体質顔料、界面活性剤などの各種添加剤をさらに含有していてもよい。
本発明の方法では、例えば、上述した無電解めっき前処理剤を、透明基板上に特定のメッシュパターンを有する凹版印刷により、メッシュ状に印刷することにより、透明基板上にメッシュ状の前処理層を形成する。これにより、簡易な方法で所望する微細なパターンを有する前処理層を形成することができる。
無電解めっき前処理剤の粘度は、印刷により断線のない微細な線幅および間隙(ピッチ)を有する前処理層を得るためには、25℃において、好ましくは500〜5000cps、より好ましくは1000〜3000cpsとすることが好ましい。
このように無電解めっき前処理剤を印刷した後、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜130℃で加熱することにより乾燥させるのが好ましい。乾燥温度が80℃未満では、溶媒の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られない恐れがあり、160℃を超えると化合物の熱分解が生じる恐れがある。塗布後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は5秒〜5分が好ましい。
前処理層の厚さは、一般に0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmとするのがよい。これにより、透明基板および導電層との高い密着性を確保することができる。
本発明の方法では、上述の通りにして透明基板上にメッシュ状の前処理層を形成する工程の後、メッシュ状の金属導電層を形成する工程の前に、前処理層42に還元処理を行うことが好ましい。還元処理することにより、前処理層42に含まれる無電解めっき触媒である複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物に含まれる金属種を還元し、活性成分である金属種のみを超微粒子状で均一に析出させることができる。このように還元析出した金属種は、高い触媒活性を有し且つ安定であることから、前処理層42と透明基板との密着性及び無電解めっきの析出速度を向上させ、さらには複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物の使用量を少なくすることが可能となる。
還元処理は、前処理層に含まれる複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物を還元して金属化できる方法であれば特に制限されない。例えば、(i)前記前処理層が形成された透明基板を、還元剤を含む溶液を用いて処理する液相還元法、(ii)前記前処理層が形成された透明基板を、還元性ガスと接触させる気相還元法などを用いることが好ましい。
液相還元法において還元剤を含む溶液を用いて処理する方法として、例えば、前処理層が形成された透明基板を還元剤を含む溶液中に浸漬させる方法、透明基板の前処理層が形成された面に還元剤を含む溶液をスプレーする方法などを用いることができる。
還元剤を含む溶液は、所定の還元剤を水などの溶媒に分散又は溶解させて調製されるものである。還元剤としては、特に制限されないが、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルアクリルアミド、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ブドウ糖、アミノボラン、ジメチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボラン(TMAB)、ヒドラジン、ジエチルアミンボラン、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、イミダゾール、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、硫酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、ハイドロサルファイト(Na224:亜二チオン酸ナトリウムともいう)等を挙げることができる。還元剤は、後工程で用いる無電解めっき浴中に含まれる還元剤と同一のものを用いると、還元処理後の前記透明基板を水洗処理することなく無電解めっきを行うことができ、また無電解めっき浴の組成を変化させる恐れも少ない。
還元剤としては、高い還元性が得られることから、アミノボラン、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシルアミン、ハイドロサルファイト、及びホルマリンを用いるのが好ましい。
還元剤を含む溶液における還元剤の含有量は、0.01〜200g/L、特に0.1〜100g/Lとすることが好ましい。還元剤の濃度が低すぎる場合には十分に還元処理を行うのに所要時間が長くなる恐れがあり、還元剤の濃度が高すぎる場合には析出させためっき触媒が脱落する恐れがある。
液相還元法において還元剤を含む溶液を用いて処理する方法としては、前処理層に含まれる複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物の高い還元性が得られることから、前処理層が形成された透明基板を還元剤を含む溶液中に浸漬させる方法を用いるのが好ましい。
透明基板を浸漬させる場合、前記還元剤を含む溶液の温度は、20〜90℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。また、浸漬時間は、少なくとも1分以上、好ましくは1〜10分程度とすればよい。
一方、気相還元法を用いて還元処理を行う場合、還元性ガスとしては、水素ガス、ジボランガスなど、還元性を有する気体であれば特に制限されない。還元ガスを用いた還元処理時の反応温度および反応時間は、使用する還元ガスの種類などに応じて適宜決定すればよい。
次に、本発明の方法では、上記のようにして得られた前処理層上に無電解めっき処理することにより、メッシュ状の金属導電層を形成する工程を実施する。無電解めっき処理を行うことにより、微細な金属粒子が濃密な連続皮膜として沈積形成されて、前処理層上のみに選択的に金属導電層を得ることが可能となる。
めっき金属は、導電性を有してめっき可能である金属であれば使用することができ、金属単体、合金、導電性金属酸化物等であってもよく、均一な金属薄膜又は一様に塗布された微細な微粒子等からなるものであってもよい。
無電解めっきにおけるめっき金属としては、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、白金、銅、チタン、コバルト、鉛等を用いることができる。特に、高い電磁波シールド性が得られる導電層が得られることから、好ましくは、銀、銅又はアルミニウムが好ましく用いられる。これらのめっき金属を用いて形成される導電層は、前処理層との密着性に優れている上、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。
無電解めっきは、無電解めっき浴を用いて常法に従って常温または加温下で行うことができる。即ち、めっき金属塩、キレート剤、pH調整剤、還元剤などを基本組成として含むめっき液を建浴したものにめっき基材を浸漬して行うか、構成めっき液を2液以上と分けて添加方式でめっき処理を施すなど適宜選択すれば良い。
無電解めっきとして一例を挙げると、Cuからなる導電層を形成する場合、硫酸銅等の水溶性銅塩1〜100g/L、特に5〜50g/L、ホルムアルデヒド等の還元剤0.5〜10g/L、特に1〜5g/L、EDTA等の錯化剤20〜100g/L、特に30〜70g/Lを含み、pH12〜13.5、特に12.5〜13に調整した溶液に、前処理層及びアンカーコート層を有する透明基板を50〜90℃、30秒〜60分浸漬する方法を採用することができる。
無電解めっきをする際に、めっきされる基板を揺動、回転させたり、その近傍を空気撹拌させたりしてもよい。
メッシュ状(格子状)の金属導電層の線幅は、一般に20μm以下、好ましくは5〜15μmで、特に5〜12μmを有する。線のピッチは200μm以下が好ましい。また、開口率は75〜95%であることが好ましく、特に80〜95%である。
導電層の線で囲まれた開口部の形状は、円、楕円、角形(4角形、6角形)など任意の形状とすることができるが、一般に角形であり、特に正方形であることが好ましい。
上記(A)の方法では、メッシュ状の導電層上に電気めっき処理(後述)を行って金属めっき層を形成しても良い。また、この金属めっき層に黒化処理(後述)を行っても良く、例えば、金属膜の酸化処理、クロム合金等の黒色めっき、黒又は暗色系インキの塗布等を行うことができる。
次に、前記(B)の本発明の電磁波シールド性光透過窓材の製造方法を、図面を参照して説明する。
図4に本発明で好適な電磁波シールド性光透過窓材の製造方法(B)を説明する概略図を示す。(B1)、(B2)、(B3)に示すように透明フィルム等の透明基板41上に、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物および貴金属化合物と、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子とを含む無電解めっき前処理剤を、メッシュ状に印刷し、乾燥して合成樹脂中に分散した微粒子状のアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子を有するメッシュ状前処理層42'を形成し(B1)、メッシュ状前処理層にアルカリ水溶液を浸漬、噴霧等により接触させて、前処理層中の微粒子を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層42を形成し(B2)、次いで、空房含有メッシュ状前処理層42に無電解めっきを行うことにより、空房含有メッシュ状前処理層42上に金属などの導電材料からなるメッシュ状の金属導電層43を形成する(B3)。
上記方法において、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物または反応生成物および貴金属化合物と、合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子とを含む無電解めっき前処理剤は、例えば、メッシュ形状に対応する凹版を用いた凹版印刷により印刷される。これにより、上記無電解めっき前処理剤は、シランカップリング剤、アゾール系化合物、および貴金属化合物を、前処理層において原子レベルで分散しているので、スジやカブリの発生がない、微細なパターンを有するメッシュ状の前処理層を精度よく形成することが可能となる。そして、次いでアルカリ現像することにより微細空房付きの前記微細なパターンを有するメッシュ状の前処理層を得ることができる。
前記合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂微粒子は、製造方法(A)で述べたように得ることができる。
前記凹版印刷はグラビア印刷若しくはグラビアオフセット印刷であることが好ましく、これにより精度の高い印刷が可能である。
本発明の方法(B)で、無電解めっき前処理剤として用いられるシランカップリング剤は、一分子中に金属補足能を持つ官能基を有するものを用いるのが好ましい。これにより、無電解めっき触媒である貴金属化合物の活性を効果的に発現する電子状態、配向状態とすることが可能となり、被めっき材との高い密着性が得られる。
シランカップリング剤として、エポキシ基含有シラン化合物を挙げることができる。エポキシ基含有シラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。特に、得られる前処理層が透明基板および導電層と高い密着性を示すことから、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが好ましい。
次に、無電解めっき前処理剤に用いられるアゾール系化合物としては、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、ベンダゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、インダゾールなどを挙げることができる。これらに制限されるものではないが、シランカップリング剤が有するエポキシ基などの官能基および貴金属化合物との反応性に優れることから、イミダゾールが特に好ましい。
無電解めっき前処理剤において、シランカップリング剤およびアゾール系化合物は単に混合されているだけでもよいが、これらを予め反応させて反応生成物を形成してもよい。これにより、貴金属化合物を前処理層中に原子レベルでより高分散できるとともに、得られる前処理層の光透過性を向上させることができる。
シランカップリング剤とアゾール系化合物とを反応させるには、例えば、80〜200℃でアゾール系化合物1モルに対して0.1〜10モルのシランカップリング剤を混合して5分〜2時間反応させるのが好ましい。その際、溶媒は、一般に不要であるが、水の他、クロロホルム、ジオキサンメタノール、エタノール等の有機溶媒を用いてもよい。このようにして得られた前記シランカップリング剤と前記アゾール系化合物との反応生成物に、貴金属化合物を混合することで、無電解めっき前処理剤が得られる。
次に、無電解めっき前処理剤に用いられる貴金属化合物は、無電解めっき処理において銅やアルミニウムなどの金属を選択的に析出・成長させることができる触媒効果を示すものである。例えば、高い触媒活性が得られることから、パラジウム、銀、白金、および金などの金属原子を含む化合物を用いるのが好ましい。このような化合物としては、上記金属原子の塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、アンモニウム塩などのアンミン錯体などが用いられるが、特にパラジウム化合物、中でも塩化パラジウムが好ましい。
無電解めっき前処理剤は、アゾール系化合物および記シランカップリング剤に対し、貴金属化合物を、好ましくは0.001〜50モル%、より好ましくは0.1〜20モル%含むのがよい。貴金属化合物の濃度が、0.001モル%未満では十分な触媒活性が得られずに所望する厚さを有する導電層を形成できない恐れがあり、50モル%を超えると添加量の増加に見合った貴金属化合物による触媒効果が得られない恐れがある。
また、無電解めっき前処理剤は、適当な溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール、アセトン、トルエン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどを挙げることができる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無電解めっき前処理剤には、必要に応じて体質顔料、界面活性剤、着色剤などの各種添加剤をさらに含有させてもよい。
無電解めっき前処理剤(B)の粘度は、印刷により微細な線幅および間隙(ピッチ)を有する前処理層を得るためには、25℃において、好ましくは500〜5000cps、より好ましくは1000〜3000cpsとするのがよい。
無電解めっき前処理剤を印刷するには、グラビア印刷等の凹版印刷が用いられる。印刷速度は5〜50m/分とするのが好ましい。
このように無電解めっき前処理剤を印刷した後、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜130℃で加熱することにより乾燥させるのがよい。乾燥温度が80℃未満では溶媒の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られない恐れがあり、160℃を超えると化合物の熱分解が生じる恐れがある。塗布後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は5秒〜5分が好ましい。
本発明の(B)の方法では、本発明の(A)の方法と同様にして、前処理層上に無電解メッキ処理が行われる。得られたメッシュ状の金属導電層上に、さらに電気メッキ処理を行って金属メッキ層を形成しても良い。また、この金属メッキ層に黒化処理を行っても良く、例えば、金属膜の酸化処理、クロム合金等の黒色メッキ、黒又は暗色系インキの塗布等を行うことができる。
メッシュ状の金属導電層の線幅は、一般に20μm以下、好ましくは5〜15μmで、特に5〜12μmを有する。線のピッチは200μm以下が好ましい。また、開口率は75〜95%であることが好ましく、特に80〜95%である。
導電層の線で囲まれた開口部の形状は、円、楕円、角形(4角形、6角形)など任意の形状とすることができるが、一般に角形であり、特に正方形であることが好ましい。
本発明の方法(上記(A)〜(B))により得られるメッシュ状の(金属)導電層上には、さらに、電気メッキ処理を行って導電層上に金属メッキ層を形成しても良い。また、このメッキ層上に前記防眩層を形成しても良いし、下記の黒化処理を行っても良い。
メッキ処理に用いる材質としては、金属メッキ層が優れた電磁波シールド効果を有するものであればよく特に制限はないが、例えば、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、銀、及び、金等の金属が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上の合金として使用してもよい。
金属メッキ層の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。前記厚さが0.1μm未満であると、充分な電磁波シールド効果を付与できないことがある一方、10μmを超えると、メッキは、メッキ層形成に際し、巾方向にも広がることから、線幅が太くなり、導電層の開口率が低くなってしまうことがある。
金属メッキ層における表面抵抗率としては、3Ω/□以下が好ましく、1Ω/□以下がより好ましい。メッキ層の表面抵抗率が3Ω/□を超えると、導電性が不充分で、電磁波シールド効果が不充分となることがある。
金属メッキ層を形成した後、防眩性を付与させても良い。この防眩化処理を行う場合、メッシュ状導電層の表面に黒化処理を行っても良い。例えば、導電層又はめっき層の酸化処理、硫化処理、クロム合金等の黒色めっき、黒又は暗色系のインキの塗布等を行うことができる。
黒化処理は、導電層又はめっき層の金属の酸化処理又は硫化処理によって行うことが好ましい。特に酸化処理は、より優れた防眩効果を得ることができ、さらに廃液処理の簡易性及び環境安全性の点からも好ましい。
黒化処理として酸化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用することが好ましい。
黒化処理として硫化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には硫化カリウム、硫化バリウム及び硫化アンモニウム等の水溶液を使用することが可能であり、好ましくは、硫化カリウム及び硫化アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫化アンモニウムを使用することが好ましい。
黒化処理層の厚さは、特に制限されないが、一般に0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmである。前記厚さが、0.01μm未満であると、光の防眩効果が充分でない恐れがあり、1μmを超えると、斜視した際の見かけ上の開口率が低下する恐れがある。
本発明の方法において、前処理剤又は導電性インキを塗布する透明基板としては、透明性および可とう性を備え、その後の処理に耐えるものであれば特に制限はない。透明基板の材質としては、例えば、ガラス、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる、これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PC、PMMAが好ましい。また、透明基板は、これらの材質からなるシート、フィルム、または板として用いられる。
透明基板の厚さは特に限定されないが、光透過性電磁波シールド材の光透過性を維持するという観点からすると薄いほど好ましく、通常は、使用時の形態や必要とされる機械的強度に応じて0.05〜5mmの範囲で適宜、厚さが設定される。
本発明の透明基板として長尺状プラスチックフィルムを用い、ロール・ツゥ・ロール方式で、長尺状プラスチックフィルムを連続的に搬送させながら、前処理層の印刷、乾燥、そして無電解めっき処理等を連続的に行うことにより、或いは導電性インキの印刷、乾燥、そして所望によりめっき処理等を連続的に行うことにより、簡便に光透過性電磁波シールド材を得ることが好ましい。
こうして得られる光透過性電磁波シールド材は、接着剤層の他、さらにハードコート層、反射防止層、色調補正フィルタ層、近赤外線吸収層などを有していてもよい。これらの各層の積層の順序は、目的に応じて決定される。また、ディスプレイ用フィルタには、電磁波シールド機能を高めるために、PDP本体のアース電極と接続するための電極を設けてもよい。
好ましい光透過性電磁波シールド材としては、得られたメッシュ状導電層の表面に、例えば、ハードコート層、及び低屈折率層等の反射防止層が設けられ、裏面に近赤外線吸収層が設けられたもの、或いはメッシュ状導電層の表面に、粘着剤層を介して、或いは直接近赤外線吸収層が設けられ、裏面にハードコート層、及び低屈折率層等の反射防止層が設けられたものを挙げることができる。
本発明の光透過性電磁波シールド材は、光透過性が要求される用途、例えば電磁波を発生する各種電気機器のLCD、PDP、CRT等のディスプレイ装置のディスプレイ面、又は施設や家屋の透明ガラス面や透明パネル面に好適に適用される。本発明の光透過性電磁波シールド材は、高い光透過性及び電磁波シールド性を有しているので、前述したディスプレイ装置のディスプレイ用フィルタ、特にPDP用フィルタに好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
(1)前処理剤の調製
20質量部の複合金属酸化物水化物粒子(PdTiO3・6H2O、平均粒子径0.5μm)及び10質量部のシリカ微粒子を、30質量部のアルカリ可溶性樹脂微粒子が分散した30質量部の2液硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂溶液に配合して前処理剤(粘度:2000cps、25℃)を調製した(質量部は固形分換算)。
なお、前記2液硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂溶液は、ポリエステル樹脂(東洋モートン株式会社製 AD−335A、Tg:10℃)と脂環族イソシアネート(東洋モートン株式会社製 CAT−10L)とを質量比で100:0.5含み、固形分濃度が10質量%のものを用いた。
2.メッシュ状の前処理層の作製
次に、前記前処理剤を、PETフィルム(厚さ100μm)上にグラビア印刷によってパターニングした後、120℃、5分間乾燥させることにより、前記PETフィルム上にメッシュ状の前処理層を形成した。得られたメッシュ状の前処理層は、線間距離が254μm、平均線幅が20μmで、開口率が85%、厚さが0.5μmであった。
3.空房含有メッシュ状の前処理層の作製
メッシュ状の前処理層付きPETフィルムを、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、 その後水洗して、アルカリ可溶性樹脂微粒子を除去して空房含有メッシュ状の前処理層を得た。
4.前処理層の還元処理
次に、上記で得られた前処理層が形成されたPETフィルムを、60℃の次亜リン酸ナトリウム溶液(NaH2PO2濃度:30g/L)に、3分間浸漬させ、前処理層の還元処理を行った。
5.金属導電層の作製
上記で還元処理された前処理層が形成されたPETフィルムを、無電解銅めっき液(メルテックス株式会社製 メルプレートCU−5100)に浸漬し、50℃、20分間で、無電解銅めっき処理して、メッシュ状の金属導電層を得た。前記金属導電層の、線幅は25μm、線間隔は254μm、開口率は81%、厚さは4μmであった。金属導電層のメッシュ形状は、メッシュ状の前処理層のメッシュの形状と同じであった。
6.金属導電層の黒化処理
さらに、前記で得られた金属導電層が形成されたPETフィルムに対して、下記組成の黒化処理を行った。
黒化処理液組成(水溶液)
亜塩素酸ナトリウム: 10質量%
水酸化ナトリウム: 4質量%
黒化処理条件
浴温: 約60℃
時間: 5分間
この黒化処理により、金属導電層の表面が黒化処理された光透過性電磁波シールド材を得た。得られた光透過性電磁波シールド材の表面の黒化処理された厚さは、平均0.5μmであった。他の寸法は変化がなかった。
こうして光透過性電磁波シールを作製した。
得られた光透過性電磁波シールを裁断して、メッシュ状の前処理層の断面の電子顕微鏡写真から、メッシュ状の前処理層の空房の平均直径を求めた。
空房の平均直径は400nmであり、空房の体積率(空隙率)は、前処理層全体の %であった。
[参考例1]
実施例1において、アルカリ可溶性樹脂微粒子の代わりに、同量(固形分)の2液硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂溶液を用いた以外同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。
得られたメッシュ状の前処理層は、線間隔が254μm、線幅が20μmで、開口率が85%、厚さが0.5μmであった。また、前記金属導電層の、線幅は25μm、線間隔は254μm、開口率は81%、厚さは4μm、黒化処理層は平均0.5μmであった。
[光透過性電磁波シールド材の評価]
1)視認性
以下の基準で、目視で評価した。
◎:眩しさを感じず、視認性が極めて良好であった。
○:眩しさをやや感じたが、視認性は概ね良好であった。
2)電磁波シールド性
めっき層形成後、電磁波シールド性を、KEC法により測定し、下記のように評価する。
○: 40dB以上 △:20dB以上40dB未満
結果を表1に示す。
Figure 2009302449
本発明の光透過性電磁波シールド材の1例を示す概略断面図である。 (1)本発明の光透過性電磁波シールド材の前処理層の1例の部分拡大平面図;及び (2)その部分拡大断面図; である。 本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法の代表的な1例を示す概略断面図である。 本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法の別の1例を示す概略断面図である。
符号の説明
11,31,41 透明基板
12 空房含有樹脂層
32',42' 前処理剤
32,42 空房含有前処理剤
13,33,43 金属導電層

Claims (8)

  1. 透明基板、及びその上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド材であって、
    透明基板と金属導電層との間に微細な空房を有する空房含有樹脂層が設けられていることを特徴とする光透過性電磁波シールド材。
  2. 空房の平均直径が100〜700nmの範囲にある請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材。
  3. 空房の体積率が、空房含有樹脂層全体積の10〜50%の範囲にある請求項1又は2に記載の光透過性電磁波シールド材。
  4. 空房含有樹脂層が無電解めっき前処理層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
  5. 透明基板の表面に、合成樹脂と合成樹脂中に微細に分散されたアルカリ可溶性樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をパターン印刷して、合成樹脂中に分散した微粒子状のアルカリ可溶性樹脂を有するメッシュ状前処理層を形成する工程、
    メッシュ状前処理層をアルカリ水溶液に接触させて、前処理層中の微粒子状のアルカリ可溶性樹脂を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層を形成する工程、及び
    空房含有メッシュ状前処理層上に、無電解めっき処理によりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
    を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  6. 透明基板の表面に、合成樹脂と合成樹脂中に分散されたアルカリ可溶性樹脂微粒子とを含む無電解めっき前処理剤をパターン印刷して、合成樹脂中に分散したアルカリ可溶性樹脂微粒子を有するメッシュ状前処理層を形成する工程、
    メッシュ状前処理層をアルカリ水溶液に接触させて、前処理層中の微粒子を除去して微細な空房を有する空房含有メッシュ状前処理層を形成する工程、及び
    空房含有メッシュ状前処理層上に、無電解めっき処理によりメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
    を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  7. 無電解めっき前処理剤が、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と合成樹脂とを含む液である請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 無電解めっき前処理剤が、シランカップリング剤とアゾール系化合物との混合物又は反応生成物、及び貴金属化合物を含む液である請求項5又は6に記載の製造方法。
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