JP2007238830A - 軽油組成物 - Google Patents

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恭志 秋元
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Abstract

【課題】高圧燃料ポンプを有するディーゼルエンジンに使用しても優れた低温流動性を有し、かつ流動性向上剤によるデポジット生成を抑制できる軽油組成物を提供すること。
【解決手段】芳香族分の含有量が10容量%以上、多環芳香族分の含有量が5容量%以下、炭素数20以上のn-パラフィンの含有量が1〜6質量%であり、炭素数26以上のn-パラフィンの含有量が0.02質量%以上である軽油基油に、流動性向上剤を配合してなる軽油組成物であって、流動性向上剤の配合量が、下記の式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする軽油組成物である。
0< X ≦ 400 ・・・・ (1)
〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)を示す。〕
1/12 ≦ X/Y ≦ 1/2 ・・・・ (2)
〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)、Yは、炭素数26以上のn-パラフィン含有量(質量ppm)を示す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、軽油組成物に関し、詳しくは、流動性向上剤を配合した軽油組成物であって、低温流動性が優れると共に、流動性向上剤によるデポジットの生成を抑制し得る軽油組成物に関する。
近年環境問題を改善する要請から、ディーゼルエンジンの排気ガス浄化対策が強力に推し進められており、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOX)などの有害物質を低減する技術開発が急務とされている。
その課題達成の一つの手段として、ディーゼルエンジンの構造やシステムの改良が行われ、高圧燃料ポンプを備えるエンジンが増加しつつある。例えば、コモンレールと呼ばれるディーゼル車の排ガス浄化技術は、燃料噴射の前にコモンレールという筒の中に燃料を圧縮してためておき、コンピューター制御によって燃焼効率が最も高まるタイミングで燃料をコモンレールからシリンダー内に吹き込むものである。このシステムにおいては極めて高圧の噴射ポンプが使用される。また、このシステムにおいてはコンピュータ制御を行うため、微量のきょう雑物がポンプに入り込むことを排除する必要があるため、目の細かい燃料フィルター(ろ紙)を備えている。
一方、ディーゼルエンジンに供される燃料油は、冬季又は寒冷地においては、低温流動性を確保するために、流動性向上剤を配合して使用される。ところが、このような流動性向上剤入りの燃料油を上記目の細かい燃料フィルターと高圧噴霧ポンプを具備するディーゼルエンジンに使用すると、次のような現象が発生する。
すなわち、燃料中に配合された流動性向上剤は、燃料中に存在するワックス中に取込まれ、ワックス結晶の肥大化を抑制する性質がある。そのため、流動性向上剤は燃料油中のワックスとともに、前記目の細かい燃料フィルター上に蓄積することが多い。このような性質は、いわゆるエチレン‐酢酸ビニル共重合体系の流動性向上剤の場合により顕著に見られる。
前記燃料フィルター上に蓄積したワックス分及び流動性向上剤は、エンジンルーム内の温度上昇時にワックス分が溶解し、その一部がリターン燃料とともに燃料タンクに戻るため、燃料タンク内における流動性向上剤の濃度が徐々に増大する。その結果、高温、高圧となるインジェクションのニードル部において前記流動性向上剤が酸化・重合し、デポジットを発生しやすくなる。
上記のようなデポジットの発生は、ディーゼルエンジンのトラブルを招く等、効率的な運転を妨げる原因となり、重大な問題である。
ところで、軽油について、流動点、目詰まり点等の低温流動性を向上する試みは多数存在し、その多くがn-パラフィンの分布を制御することを要件にしている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、低温流動性とともに、デポジットの発生を抑制し得る軽油について従来検討した例は乏しく、その解決策がないのが現状である。
特開平6−340885号公報 特開平11−35953号公報 特開2001−172652号公報
本発明は、このような状況下でなされたもので、高圧燃料ポンプを有するディーゼルエンジンに使用されても優れた低温流動性を有し、かつ流動性向上剤によるデポジット生成を抑制できる軽油組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、流動性向上剤によるデポジット生成を抑制できる軽油組成物を開発すべく鋭意研究した結果、特定の組成を有する軽油組成物がその目的を達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
1.炭素数20以上のn-パラフィンの含有量が1〜6質量%、炭素数26以上のn-パラフィンの含有量が0.02質量%以上であり、芳香族分の含有量が10容量%以上、かつ多環芳香族分の含有量が5容量%以下である軽油基油に、流動性向上剤を配合してなる軽油組成物であって、流動性向上剤の配合量が、下記の式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする軽油組成物、
0< X ≦ 400 ・・・・ (1)
〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)を示す。〕
1/12 ≦ X/Y ≦ 1/2 ・・・・ (2)
〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)、Yは、炭素数26以上のn-パラフィン含有量(質量ppm)を示す。〕
2.軽油基油のオレフィン分が1容量%以下である前記1に記載の軽油組成物、
3.軽油基油の90%留出温度が350℃以下、かつ30℃における動粘度が2.5mm2/s以上である前記1又は2に記載の軽油組成物、
4.軽油基油の硫黄含有量が10質量ppm以下である前記1〜3のいずれかに記載の軽油組成物、
5.流動性向上剤が、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とする化合物である前記1〜4のいずれかに記載の軽油組成物、
を提供するものである。
本発明の軽油組成物は、高圧燃料ポンプを有するディーゼルエンジンに使用しても優れた低温流動性を有し、かつ流動性向上剤によるデポジット生成を抑制できる軽油組成物である。
本発明に用いる軽油基油は、炭素数20以上のn-パラフィン含有量(C20+n‐p)が1〜6質量%、好ましくは2〜5質量%であることを要する。炭素数20以上のn-パラフィン含有量が1質量%未満では流動性向上剤を配合したことによる低温流動性の改善効果が充分でないことが多く、また炭素数20以上のn-パラフィン含有量が6質量%を超えると軽油基油自体の低温流動性が低下することがある。
また、本発明に用いる軽油基油は、炭素数26以上のn-パラフィンの含有量(C26+n‐p)が、0.02質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であることを要する。炭素数26以上のn-パラフィンの含有量が0.02質量%未満では流動性向上剤を配合したことによる低温流動性の改善効果が充分には得られない。また、炭素数26以上のn-パラフィン含有量の上限は、軽油基油自体の低温流動性が低下することを防止する観点から、0.4質量%であることが好ましく、0.25質量%であることがより好ましい。
なお、軽油基油中の炭素数20以上のn-パラフィン含有量、及び炭素数26以上のn-パラフィン含有量の測定方法は、実施例の項で詳細に述べるガスクロマト分析によって求められる値である。
本発明に用いる軽油基油は芳香族分含有量が、10容量%以上であることを要し、好ましくは12容量%以上である。軽油基油の芳香族分が10容量%以上であれば、流動性向上剤の溶解性が良好であり、流動性向上剤が軽油組成物中のワックスともに、前記燃料フィルター上に蓄積され難いため、デポジットを抑制することができる。一方、軽油基油の芳香族分の上限については、特に制限はないが、排気ガス中のPM(粒子状物質)低減の観点から、30容量%以下が好ましく、25容量%以下、さらには20容量%以下がより好ましい。
本発明に用いる軽油基油は、さらに多環芳香族分が5質量%以下であることを要し、より好ましくは3質量%以下である。軽油基油の多環芳香族分が5質量%以下であれば、排気ガス中のPM量が増大する恐れがない。
なお、上記芳香族分、多環芳香族分は、いずれも石油学会規格JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に従って測定した値である。
本発明の軽油組成物においては流動性向上剤を配合する。しかもその流動性向上剤の配合量は、下記の式(1)及び(2)を満たすことを要する。
0< X ≦ 400 ・・・・ (1)
〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)を示す。〕
1/12 ≦ X/Y ≦ 1/2 ・・・・ (2)
〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)、Yは、炭素数26以上のn-パラフィン含有量(質量ppm)を示す。〕
軽油組成物中の流動性向上剤の配合量(X)が400質量ppmを超えると、デポジットの生成をもたらし、またそのように多量に配合しても著しい流動性向上効果が期待できない。さらに、X/Y[〔(流動性向上剤の配合量(質量ppm)〕/〔素数26以上のn-パラフィンの含有量(質量ppm)〕]の値が1/2を越える場合も流動性向上剤の濃度が必要以上に高くなり、デポジットの生成をもたらすことがある。一方、[X/Y]の値が1/12未満であると流動性向上剤の添加効果が充分に得られない。
本発明の軽油組成物に配合する流動性向上剤としては、特に制限はなく、各種の公知の流動性向上剤を使用することができる。例えば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−アルキルアクリレート系共重合体、オレフィン系重合体、ポリアルキルメタクリレート系化合物、塩素化ポリエチレン系化合物、アルケニルコハク酸アミド系化合物、飽和脂肪酸エステル系化合物などが挙げられ、これらを単独に、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうちでも、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とするものが、低温流動性向上効果の点で好ましい。
本発明の軽油組成物に用いる軽油基油については、さらに以下の組成、性状を有するものが好ましい。例えば
本発明に用いる軽油基油は、オレフィン分が1容量%以下であることが好ましく、0.5容量%以下であることがより好ましい。オレフィン分が1容量%以下であれば、軽油組成物の酸化安定性を良好に保つことができる。
なお、上記オレフィン分はいずれも石油学会規格JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に従って測定した値である。
本発明に用いる軽油基油は、90%留出温度(T90)が350℃以下であることが好ましい。T90が350℃以下であれば、エンジン内で良好な噴霧を形成でき、燃焼状態を良好に保ち、出力の低下やセタン価の低下を回避することができる。一方、T90の下限については、325℃が好ましく、330℃がより好ましい。T90が、325℃以上であれば流動性向上剤の添加効果が良好な軽油を得ることができる。なお、T90は、JIS K 2254に基づいて測定した蒸留性状から求めた値である。
本発明に用いる軽油基油の蒸留性状は、上記と同様の理由から、さらに50%留出温度(T50)が270〜300℃、70%留出温度(T70)が290〜320℃、蒸留終点(EP)が350〜380℃であることが好ましい。
また、本発明に用いる軽油基油は、30℃における動粘度が2.5mm2/s以上であることが好ましい。30℃における動粘度が2.5mm2/s以上であれば、燃料噴射ノズルの摩耗を抑制でき、またエンジン内で良好な噴霧を形成することができるため、燃焼状態を良好に保つことができる。一方、30℃における動粘度の上限については、エンジン内で良好な噴霧を形成させる点から、通常が4.5mm2/s以下であることが好ましく、4.0mm2/s以下であることがより好ましい。
さらに本発明に用いる軽油基油は、硫黄分が10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましい。硫黄分が10質量ppm以下であれば、排ガス中のPMの排出量を低減し、PMを構成するサルフェートが増加することを抑制することができる。さらに、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)やNOx触媒などの後処理装置が劣化することを防ぐこともできる。なお、硫黄分の含有量はJIS K 2541−2の「原油及び石油製品−硫黄分試験方法−微量電量滴定式酸化法」に従って測定した値である。
本発明に用いる軽油基油は、任意の方法で得ることができる。例えば、次に示す軽油基材を適宜配合することにより調製することができる。その軽油基剤としては、例えば、脱硫軽油(DGO)、脱硫灯油(DK)、水素化分解軽油(HCK),脱硫重質ナフサ(DHN)、軽質潤滑油留分(LL:軽油に近い留分を水添仕上して得られた留分)、水素化分解軽油(HCGO)、接触分解軽油(LCO)、脱ろう脱硫軽油(DWDLGO)、直脱軽油(DSGO)、間脱軽質軽油(VHLGO)、高沸点重質ナフサ(HHN),GTL(ガストゥリキッド:鉱油系ワックスやフィッシャ−トロプシュプロセス等により製造されるワックスを異性化することによって製造される基油)等が挙げられる。
本発明においては、これらの基材を1種単独で、又は2種以上を組合わせて配合する。特に、水素化脱硫等により高度に脱硫処理したDGO及びDK、さらにはLCO,VHLGO,DSGO,HHN等を用いることが好ましい。
本発明の軽油組成物は、上記のとおり、特定性状の軽油基油に特定量の流動性向上剤を配合したことを特徴とし、流動性向上剤によるデポジット生成を抑制できるものである。
本発明の軽油組成物における低温流動性は、JIS K 2288による目詰まり点(CFPP)が−5℃以下であることが好ましく、−8℃以下がより好ましい。CFPPが−5℃以下の軽油であれば冬季及び寒冷地においても広く使用できる。また、同様の理由で、JIS K 2269による流動点(PPT)が−10℃以下が好ましく、−12.5℃以下がより好ましい。
本発明の軽油組成物は、さらに、充分な潤滑性を有することが好ましい。すなわち、HFRR試験(石油学会規格「JPI−5S−50−79」)による摩耗痕径が500μm以下であることが好ましく、摩耗痕径が460μm以下であることがより好ましい。HFRR試験による摩耗痕径が500μm以下であれば、燃料噴射ポンプ摺動部において異常摩耗が生ずる恐れがない。本発明の軽油組成物は、上記目的を確実に達成するために潤滑性向上剤を添加することもできる。そのような潤滑性向上剤としては、例えば、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、サリチル酸などのカルボン酸類、グリセリンとカルボン酸類とのエステル、メタノールやエタノール等のアルキルアルコールと脂肪酸とのエステルなどのエステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのアルコール類などが挙げられる。本発明においては、これらの潤滑性向上剤は1種を単独で、又は2種以上を混合して添加することができ、その添加量は、通常軽油組成物を基準にして0〜10質量%、好適には30質量ppm〜5質量%である。
なお、HFRR試験による摩耗痕径とは、石油学会法JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」によって測定される摩耗痕径(湿度補正後の摩耗痕径:WS1,4)をいう。
本発明の軽油組成物には、前記、流動性向上剤、及び潤滑性向上剤以外に、更に必要に応じて各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、例えば、清浄剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、セタン価向上剤、消泡剤などが挙げられる。これらの添加剤は1種又は2種以上添加することができる。また、その添加量は状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は添加剤の合計量として軽油組成物に対して1質量%以下とすることが好ましい。
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。なお、軽油組成物の性状及び性能は次の方法に従って求めた。
〔軽油組成物の性状と組成〕
(1)動粘度
JIS K 2283に準拠して測定した。
(2)硫黄分
JIS K 2541−2に準拠して測定した。
(3)芳香族分、多環芳香族族分、オレフィン分
石油学会規格JPI−5S−49−97に準拠して測定した。
(4)ノルマルパラフィン含有量
島津製作所製ガスクロマトグラフGC−9Aとクロマトパック3Aデータ処理装置を用い、次の条件で測定した。
カラム;J&W製DB−1メガボアーカラム60m(30mカラム2本接続)
カラム温度;100〜300℃(5℃/分で昇温)
キャリアーガス;ヘリウム
インジェクター温度;340℃
検出器;水素化炎イオン検出器(FID)
上記データ処理装置を用い、得られたガスクロマトグラムにおいて、ベースラインから上の全面積(S)とノルマルパラフィンピ−クの谷から谷を結ぶ線より上の部分の面積(Pi)とを求め、(Pi/S)×100の式により炭素数iのノルマルパラフィン含有量(質量%)を算出した。
(5)蒸留性状
JIS K 2541により測定した。
(6)曇り点(CP)
JIS K 2269により測定した。
(7)流動点(PPT)
JIS K 2269により測定した。
(8)目詰まり点(CFPP)
JIS K 2288により測定した。
〔軽油組成物の性能〕
(9)デポジットの評価
[実験装置]
恒温槽内に、以下の構造を有するデポジット生成シミュレーターを設置して実験を行った。
シミュレーターの構造は、燃料タンク→フィルター→燃料ポンプ→燃料タンクの燃料循環回路を形成し、それぞれライン(配管)で接続されている。燃料ポンプの吐出口は、前記燃料タンクと結ぶライン(リターンライン)の他に、スロップラインを有している。
上記燃料タンクの容量は50リットル、フィルターは、東京濾器(株)製「部品番号8−94369299−3」(いすゞELF用、スパイラル型、フィルター面積=8580cm2),ポンプは、いすゞELF用分配型ポンプ(VE型)を回転数可変モーターにて駆動させて用いた。
[実験方法]
(i) 燃料タンクに燃料(軽油組成物)を10L投入し、
(ii) 恒温槽を制御し、その燃料を該燃料の曇り点(CP)+5℃に保持した後、毎時1℃にて、CP−5℃まで冷却し、その状態で2時間保持する。
(iii)ポンプを作動させる(ポンプの流量は20L/h、リターンラインの流量/スロップラインの流量=4/1)。
これにより、フィルター上にワックス分と流動性向上剤が捕捉される。
(iv) フィルター前後の差圧が0.9kg/cm2になったときにポンプを停止する。
(v) 恒温槽を50℃に昇温し、フィルター上のワックス分を溶解する。
(vi) 次いでポンプを作動させ、全量をリターンラインへ循環させる。
(vii) その後、燃料タンク内の燃料を採取した。
(viii)前記採取したタンク内の燃料について、熱安定性の評価を行った。
熱安定性の評価方法は、JPI−5S−55−99に規定する「エンジン油‐ホットチューブ試験法」に準拠し、試料油量0.3ml/h,空気量10cm3/min、試験温度260℃及び300℃で4時間熱劣化させる条件で行った。
結果は当該試験法で定める評点見本に基づき0〜10の評点で表した。評点が大きい程劣化が少なく、デポジットの生成が少ないことを示す。
(10)HFRR試験による摩耗痕径の測定
石油学会法JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」(湿度補正後の摩耗痕径:WS1,4)によって測定した。
実施例1〜5及び比較例1〜6
第1表に示した基材を用いて、第2表に示す割合で混合して、軽油組成物を調製し、その性状・組成及び性能を第2表に示す。
第1表及び第2表中のDGOは水素化脱硫軽油、DKは脱硫灯油であり、第2表中のFIは流動性向上剤:Infineum社製「R240」(エチレン‐酢酸ビニル共重合体が主成分)、LIは潤滑性向上剤:日本油脂(株)製「LE731N」(脂肪酸タイプ)である。
Figure 2007238830
Figure 2007238830
第2表より、実施例1〜5の軽油組成物は、いずれもホットチューブ試験によるデポジットの評点が4以上で良好であり、低温流動性(目詰まり温度)も低い。これに対し、X/Y値が大きく、式(2)を満たさない比較例1、FIの配合量Xが式(1)を満たさない比較例3,4、並びにC26+n-pが0.02質量%未満である比較例5,6は、いずれもデポジットの評点が低く、デポジットの劣化が著しい上、デポジット量も多いことを示している。また、X/Y値が小さく、式(2)を満たさない比較例2は、流動点が−7.5℃と高く、低温流動性が不充分である。
本発明の軽油組成物によれば、高圧噴射ポンプを有するディーゼルエンジンに使用しても優れた低温流動性を有し、かつ流動性向上剤によるデポジットの生成を抑制できる軽油組成物を得ることができる。

Claims (5)

  1. 炭素数20以上のn-パラフィンの含有量が1〜6質量%、炭素数26以上のn-パラフィンの含有量が0.02質量%以上であり、芳香族分の含有量が10容量%以上、かつ多環芳香族分の含有量が5容量%以下である軽油基油に、流動性向上剤を配合してなる軽油組成物であって、流動性向上剤の配合量が、下記の式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする軽油組成物。
    0< X ≦ 400 ・・・・ (1)
    〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)を示す。〕
    1/12 ≦ X/Y ≦ 1/2 ・・・・ (2)
    〔式中、Xは、流動性向上剤の配合量(質量ppm)、Yは、炭素数26以上のn-パラフィン含有量(質量ppm)を示す。〕
  2. 軽油基油のオレフィン分が1容量%以下である請求項1に記載の軽油組成物。
  3. 軽油基油の90%留出温度が350℃以下、かつ30℃における動粘度が2.5mm2/s以上である請求項1又は2に記載の軽油組成物。
  4. 軽油基油の硫黄含有量が10質量ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の軽油組成物。
  5. 流動性向上剤が、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とする化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の軽油組成物。
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