JP6174962B2 - ディーゼル燃料油組成物 - Google Patents
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Description
そこで、寒冷地用の軽油には、0〜−20℃の低温環境下でも使用可能な低温流動性が確保できるように、従来、軽質分を除去した直留軽油を水素化脱硫した軽質脱硫軽油(蒸留性状T90<約320℃)に、脱硫灯油を60質量%程度混合し、さらに、流動性向上剤及び潤滑性向上剤が添加されている。
灯油混合量の増加、流動性向上剤及び潤滑性向上剤の配合量の増量は、0〜−20℃の低温下における軽油の流動性を確保するが、内燃機関の実用性能を低下させることにもなる。そこで、灯油を混合する代わりに、脱ろう軽油を用いる技術が提供されている(特許文献1参照)。
そこで、本発明は、−30℃或いはそれ以下の低温下において、流動性を損なうことなく、低温における始動性及び走行性能などの内燃機関の実用性能の低下防止が可能なディーゼル燃料油組成物の提供を目的とする。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
[1]脱ろう軽油と脱硫灯油とを含む基材と、該基材に添加される低温流動性向上剤とを含有し、該低温流動性向上剤がワックス分散剤を含むことを特徴とするディーゼル燃料油組成物。
[2] ワックス分散剤が油溶性含窒素化合物を含む[1]に記載のディーゼル燃料油組成物。
[3] 前記ディーゼル燃料油組成物全容量に対して、前記脱ろう軽油が30〜70容量%含まれ、前記脱硫灯油が70〜30容量%含まれる[1]または[2]に記載のディーゼル燃料油組成物。
[5] 前記ディーゼル燃料油組成物中における前記油溶性含窒素極性化合物を含む低温流動性向上剤の添加量Wn(質量ppm)が、120<Wn<600を満たす[1]〜[4]のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
[6] 前記基材が前記ディーゼル燃料油組成物全容量に対して20容量%以下の水素化分解軽油を含む[1]〜[5]のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
[8] 前記ディーゼル燃料油組成物中に含まれる炭素数20以上のn−パラフィンの割合が1.5容量%以下である[1]〜[7]のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
15℃における密度が0.8〜0.85g/cm3であり、30℃における動粘度が1.8〜3.5mm2/sであり、硫黄含有量が10質量ppm以下であり、セタン価が45以上65以下であり、セタン指数が48以上65以下であり、蒸留性状T90が290〜360℃であり、T50が230〜290℃であり、目詰まり点が−20℃以下であり、流動点が−30℃以下である。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物は、脱ろう軽油と脱硫灯油とを含む基材と、低温流動性向上剤とを含有し、該低温流動性向上剤がワックス分散剤を含むことを特徴とする。
ワックス分散剤は油溶性含窒素極性化合物を含むことが好ましい。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物は、ディーゼル燃料油組成物全容量に対して、脱ろう軽油が30〜70容量%含まれ、脱硫灯油が70〜30容量%含まれることが好ましい。
また、本発明に係るディーゼル燃料油組成物中におけるワックス分散剤を含む低温流動性向上剤の添加量Wn[質量ppm]と、ディーゼル燃料油組成物中の−23℃におけるn−パラフィンの析出量Wp[質量%]とが、好ましくは、Wn/Wp>200を満たし、より好ましくは、Wn/Wp>250であり、更に好ましくは、Wn/Wp>300である。
また、ディーゼル燃料油組成物中におけるワックス分散剤を含む低温流動性向上剤の添加量Wnは、120<Wn<600を満たすことが好ましい。さらに、Wnは、150<Wn<300を満たすことがより好ましい。
なお、低温流動性向上剤には、製造時に使用した溶媒や粘度を調整するための希釈剤が含まれることがあるため、上記のWnは本願実施例で使用しているインフィニアム社製Infineum R755を基準としており、他の低温流動性向上剤を用いるときは、その向上剤とInfineum R755に実際に含まれる向上剤成分量にて換算するものとする。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物は、以下の性状を有する。
すなわち、本発明に係るディーゼル燃料油組成物の15℃における密度は、0.8〜0.85g/cm3であることが好ましい。この範囲であると、燃費を良好に保つことができ、燃焼性を良好にし、排気ガス中の全炭化水素(THC)、一酸化炭素(CO)及び粒子状物質(PM)の発生を抑制することができるとともに、エンジンの出力低下を生じさせることもない。この点から、15℃における密度は、0.81〜0.84g/cm3であることがより好ましい。
なお、この密度は、JIS K 2249の「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に従って測定される値である。
なお、上記30℃における動粘度は、JIS K 2283の「原油及び石油製品−同粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に従って測定した値である。
なお、硫黄分含有量は、JIS K 2541−2の「原油及び石油製品−硫黄分試験方法−微量電量滴定式酸化法」に従って測定した値である。
なお、セタン価は、JIS K2280の「オクタン価及びセタン価試験方法ならびにセタン指数算出方法」によって測定され算出される値である。
なお、セタン指数は、JIS K2280の「オクタン価及びセタン価試験方法ならびにセタン指数算出方法」によって測定され算出される値である。
50容量%留出温度(T50):230〜290℃
90容量%留出温度(T90):290〜360℃
蒸留性状が、各々上記値を有することにより、それぞれ高粘度の軽油が内燃機関内部で良好な噴霧を形成でき、燃焼状態を良好に保つ効果を奏する。この点から、上記蒸留性状は、50容量%留出温度(T50)が250〜280℃、90容量%留出温度(T90)が310〜350℃であることがより好ましい。
なお、上記T50及びT90は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に基づいて測定した蒸留性状から求められる値である。
すなわち、曇り点(CP)(JIS K 2269に準拠して測定)は、低温流動性の確保の観点から、好ましくは0℃以下、より好ましくは、−10℃以下である。
目詰まり点(CFPP)(JIS K 2288に準拠して測定)は、低温流動性の確保の観点から、好ましくは−20℃以下であり、より好ましくは−25℃以下であり、さらに好ましくは−30℃以下である。
流動点は、好ましくは−30℃以下であり、より好ましくは、−35℃以下であり、さらに好ましくは、−40℃以下である。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物は、上述の性状を有することにより、低温下において、内燃機関の始動性、走行性などの実用性能が良好なものとなる。
<脱硫灯油>
脱硫灯油(DK)とは、常圧蒸留装置から留出する直留灯油留分を脱硫触媒にて脱硫した留分をいい、硫黄含有量は10質量ppm以下であることが好ましい。脱硫は通常行われる方法で行うことができ、例えば固定床流通反応装置を用いて、Co−Mo/アルミナ触媒、Ni−Mo/アルミナ触媒等の脱硫触媒の存在下、30〜100kg/cm2Gの圧力下、好ましくは50〜70kg/cm2Gの圧力下、300〜400℃、好ましくは330〜360℃の温度で、液空間速度(LHSV)0.5〜5h-1、好ましくは1〜2h-1の条件で深度脱硫反応を行い、その後ストリッパーで硫化水素とナフサ留分を除去してDKを得るものである。
また、脱硫灯油(DK)の15℃における密度は0.780〜0.810g/cm3の範囲であることが好ましく、さらには0.790〜0.800g/cm3の範囲であることが好ましい。この範囲であると出力及び燃費の悪化を抑制することができるという利点がある。さらに、DKの30℃における動粘度は1.30〜1.55mm2/sの範囲であることが好ましい。また、セタン指数は40〜60の範囲であることが好ましく、さらには43〜60の範囲であることが好ましい。この範囲であると着火性が良好となる。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物では、低温流動性維持の観点から、ある程度多量のDKを含有する必要がある一方、動粘度や密度を高く保つ為にはDKが少ない方が良い。この為、上記DKを本発明のディーゼル燃料油組成物中に30〜70容量%含有することが好ましく、35〜60容量%含有することがより好ましい。
脱ろう軽油(DWGO)とは通常の軽油基材からワックス分を減少させたものであり、具体的には、炭素数20以上のノルマルパラフィン(n−パラフィン)成分を、脱ろう軽油全量に対して3質量%以下としたものが好ましく、さらには1.5質量%以下、特には1.0質量%以下であることが好ましい。炭素数20以上のノルマルパラフィン成分が上記範囲を超えると、製品軽油の低温流動性が不十分となり、曇り点や流動点が十分低下しない場合がある。また、曇り点は−25℃〜−5℃の範囲であることが好ましい。脱ろう処理の方法としては、特に限定されず、例えばゼオライト系等の脱ろう触媒を用い、310〜380℃の範囲で30〜70kg/cm2Gの圧力下、1.0〜2.0hr-1の液空間速度(LHSV)で行うことができる。
また、DWGOの15℃における密度は0.820〜0.860g/cm3の範囲であることが好ましく、さらには0.830〜0.850g/cm3の範囲であることが好ましい。この範囲であると製品軽油の密度の低下が抑制され、排気ガス中の粒子状物質(PM)が低減するなど、排気性状が良好となる。次に30℃における動粘度は2.0〜6.0mm2/sの範囲であることが好ましく、またセタン指数が50〜70の範囲であることが好ましい。
本発明のディーゼル燃料油組成物は、低温流動性を向上させ、内燃機関の実用性能を向上させる観点から、脱ろう軽油(DWGO)を70〜30容量%含有することが好ましく、より好ましくは67〜35容量%であり、更に好ましくは65〜40容量%である。
本発明における水素化分解軽油(HCGO)とは、重質軽油(HGO)、減圧軽油(VGO)あるいはこれらの混合油を触媒の存在下で水素化分解し、当該分解生成油を蒸留分離して得られたものである。従来、軽油基材として用いられているHCGOは、硫黄含有量が0.0001〜0.2質量%のものが一般的であったが、本発明においてはHCGOの硫黄含有量が10質量ppm以下のものを使用することが好適である。HCGOの硫黄含有量を10質量ppm以下とすることによって、環境負荷の小さい軽油が製造できる。以上の観点からHCGOの硫黄含有量は好ましくは7質量ppm以下、さらには5質量ppm以下であることが特に好ましい。
本発明における水素化分解軽油(HCGO)はその芳香族分含有量が5.0〜19.5容量%であることが好ましい。芳香族分含有量が上記範囲内であれば、製品軽油中の芳香族分が少なくなり、排気ガス中の粒子状物質(PM)が抑制される。以上の観点から、HCGOの芳香族分含有量は6.0〜17.0容量%の範囲であることが好ましく、7.0〜15.0容量%の範囲であることが更に好ましい。
本発明におけるディーゼル燃料油組成物は、動粘度を高くし、適度に密度を抑える観点から、上記HCGOを0〜20容量%含有することが好ましく、9〜18.5容量%含有することがより好ましい。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物は、上記性状及び組成を有し、優れた低温始動性、低温走行性等の実用性能を得る観点から、脱硫灯油(DK)を30〜70容量%、脱ろう軽油(DWGO)を70〜30容量%、水素化分解軽油(HCGO)を0〜20容量%含有することが好ましい。
本発明のディーゼル燃料油組成物には、必要に応じて、その他の軽油基材、あるいは各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、流動性向上剤、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、界面活性剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、清浄剤、酸化防止剤、色相改善剤、など公知の燃料添加剤が挙げられる。これらは一種または数種組み合わせて添加することができる。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物は、−23℃におけるn−パラフィンの析出量Wpが、0.2質量%<Wp<2.0質量%を満たす。より好ましくは、0.2質量%<Wp<1.5質量%を満たすことである。また、基材に含まれる炭素数20以上のn−パラフィンの割合が1.5容量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0容量%以下である。−23℃におけるn−パラフィンの析出量Wpが上記範囲であれば、製品軽油の低温流動性が十分に得られる。
試料20gにろ過助剤を200ppm加え、−23℃まで急冷して30分間保持した後、テフロン(登録商標)ろ紙(目開き10μm)で減圧ろ過した。残った油分をアセトン40mlで4回洗浄し、ノルマルヘキサン300mlでワックスを溶解、回収した。次にノルマルヘキサンを蒸発・除去した後105〜110℃で乾燥して秤量し、これを試料の20gで割って析出量Wpとした。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物に配合可能な低温流動性向上剤としては、ワックス分子と類似の構造を有し、ワックス分子との親和性が高いメチレン基やアルキル基を有するとともに、ワックス分子と親和性のない化学構造であるエステル基のような極性基を有することを要する。
このような化合物としては、長鎖メチレン基を主鎖として、長鎖アルキル基を側鎖に有し、かつエステル基やアミド基のような極性基を有する、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアルキルメタクリレート(PMA)、アルケニルコハク酸アミド(ASA)、ポリアルキレンオキシド脂肪酸エステルなどが挙げられる。
分子中のメチレン基又はアルキル基の長さ、分子量などにより、軽油基材に対する溶解性を調整することができ、析出するn−パラフィンに作用することができる。
本発明に係るディーゼル燃料油組成物において、低温流動性向上剤に含まれるワックス分散剤は油溶性含窒素極性化合物であることが好ましい。なお、「油溶性」とは、25℃のケロシンに対して1重量%以上透明に溶解することをいう。
油溶性含窒素化合物としては、アミン系化合物、アミド系化合物、アミン塩、イミド系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物、アミノ酸、ウレタン系化合物およびウレア系化合物が挙げられる。これらのうち、油溶性が得られやすく、かつ低温流動性向上剤と併用して流動性向上効果を発揮しやすいという観点から、好ましいのはアミン系化合物、アミド系化合物およびアミン塩である。
具体的には、総炭素数1〜36のモノ、ジおよびトリアルキルアミン、並びに総炭素数2〜36のモノ、ジおよびトリアルカノールアミンなどのアミン系化合物;総炭素数6〜36のカルボン酸アミド、N−モノアルキルカルボン酸アミド、N,N−ジアルキルカルボン酸アミドなどのアミド系化合物;総炭素数6〜36のカルボン酸のモノアルキルアミン、ジアルキルアミンもしくはトリアルキルアミン塩などのカルボン酸アミン塩;その他、カルボン酸イミド、第4級アンモニウムカルボン酸塩、アミノ酸、低分子ウレタン化合物などが挙げられる。
また、アミノ基含有高分子化合物、アミド基含有高分子化合物、アミン塩基含有高分子化合物も挙げることができ、好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸系共重合体のジアルキルアミンによるアミド化物、および無水マレイン酸系共重合体のジアルキルアミンによるアミド・アミン塩化物などが挙げられる。
油溶性含窒素極性化合物は、低温流動性向上剤によって微粒化されたワックス結晶の表面に吸着し、ワックス結晶表面の極性基の電気的反発により、ワックス結晶を安定的に分散させることができる。これにより、微粒化されたワックス結晶の燃料フィルタへの流入を抑制することができる。このように、油溶性含窒素極性化合物を添加することにより、さらなる低温下においても、ディーゼル燃料油組成物の実用性能を維持することが可能になる。
[評価方法]
供試体であるディーゼル燃料油組成物は、下記の方法で評価した。
<C20+n−Pの算出方法>
ガスクロマトグラフ(水素イオン化検出器)を用い、規定の測定条件及び波形処理パラメータにより、副標試料の測定を行い、n−パラフィン炭素数14〜27までの合計値が基準値に入ることを確認した上で、評価燃料(各ディーゼル燃料油組成物)を同装置に導入し、炭素数毎にn−パラフィン濃度を算出した。C20+n−Pは、上述のように定量されたn−パラフィンのうち、炭素数20以上の含量を足し合わせたものである。
<曇り点>
曇り点(Cloud Point:CP)は、JIS K 2269に準拠して測定した。
<目詰まり点>
目詰まり点(Cold Filter Plugging Point:CFPP)は、JIS K 2288に準拠して測定した。
<流動点>
流動点(Pour Point:PP)は、JIS K 2269に準拠して測定した。
供試体であるディーゼル燃料油組成物のワックス結晶サイズを、下記の手順により測定した。
1.評価燃料(各供試体のディーゼル燃料油組成物)を滴下したプレパラートを作製した。
2.作製したプレパラートを低温恒温室に静置した。
3.低温恒温室内を−10℃まで急冷し、1時間保持した。
4.低温恒温室内を2℃/hの冷却速度で−25℃まで徐冷した。
5.低温恒温室内温度を−25℃に保持した。
6.低温恒温室内に設置の偏光顕微鏡を用い、プレパラート上に析出するワックス結晶を観察した。
7.顕微鏡の視野の中で、最も大きなワックス結晶のサイズを記録した。
1.比色管に、評価燃料(各ディーゼル燃料油組成物)を50mLずつ採取した。
2.各比色管を比色管台に設置し、低温恒温槽内に静置した。
3.低温恒温槽内を−10℃まで急冷し、1時間保持した。
4.低温恒温槽内を2℃/hの冷却速度で−30℃まで徐冷した。
5.低温恒温槽内温度を−30℃にて保持した。
6.各評価燃料につき、比色管内に析出しているワックスの沈降状態を確認した。
7.ワックスによる白濁が目視確認される比色管の目盛を記録し、ワックス分散性の尺度として換算した。例えば、比色管に充填されたサンプル量が50mLであり、比色管の底部から30mLまでワックスよる白濁が認められた場合、ワックス分散性を、(30/50)×100=60(%)とする。
環境温度が制御可能なシャシダイナモ上で、下記諸元のディーゼル車両に供試体であるディーゼル燃料油組成物を適用して低温実車試験を実施した。
(供試車両諸元)
エンジンの種類:直列4気筒ディーゼルエンジン
エンジンの排気量:4,777cm3
燃料噴射システム:コモンレール方式
最大積載量:2,000kg
適合規制:新短期排出ガス規制適合
排ガス後処理装置:DPF(Diesel Particulate Filter)
(試験手順)
試験は、公益社団法人石油学会ディーゼル車の燃料供給システム調査専門委員会にて検討の上、提示された“低温シャシによるディーゼル車のフィルタ閉塞性試験マニュアル”に基づいて実施した。性能評価試験の手順は下記のとおりである。
1.車両の燃料系統を評価燃料(各供試体のディーゼル燃料油組成物)にてフラッシングした。
2.フラッシング燃料の抜き出し後、燃料フィルタ(メインフィルタ)を新品に交換した。
3.燃料タンクに評価燃料を規定量(36L)の充填した。
4.環境温度を室温から−10℃まで急冷し、−10℃で1時間保持した。
5.環境温度を2℃/hの冷却速度にて−30℃まで徐冷し、−30℃にて1時間保持した。
6.運転性評価を開始した(運転性評価の詳細は以下に示す)。
(運転性評価)
運転性評価は、低温始動性と低温走行性の2つの観点にて実施した。
・低温始動性試験
1.アクセル全開でクランキングを10秒間行った。
2.工程1でエンジンがかからない場合、30秒後に再度クランキングした。
3.エンジン始動後、アイドリングを5分間実施した。
上記工程1〜3にて、問題無く始動した場合は、始動性PASSとした。工程1〜2においてクランキングを5回繰り返してもエンジンが始動しない場合、あるいは工程3においてアイドリング中にエンジンストールした場合には、始動性FAILとした。なお、始動性がPASSの結果になった場合においても、各評価燃料間の有意差を見出す為、始動に要したクランキング回数を記録した。
・低温走行性試験
4.工程3の5分間のアイドリング後、50km/hまで速やかに加速した。
5.50km/hの一定速度にて、最高ギアを使用して1時間を目安に定速走行を実施した。
上記工程5にて、1時間に亘って50km/hの定速走行が維持できた場合には、走行性PASSとした。1時間に亘る50km/hの定速走行が維持ができなかった場合、あるいはエンジンストールが生じた場合には、走行性FAILとした。
なお、走行性がPASSの結果になった場合においても、各評価燃料間の有意差を見出す為、1時間の走行中に生じるメインフィルタ差圧(当該フィルタへのワックス閉塞により、フィルタ入口出口間に圧力差が生じる)の最大値、燃料流量の最小値(フィルタ上にある程度のワックスが捕捉された場合、燃料の流路が遮断され、流量低下に至る)、及びメインフィルタ差圧解消に要した時間を記録した。なお、メインフィルタ差圧解消時間は最大差圧の半分まで解消した時間とした。
第1表に示す基材を用いて、第2表に記載の配合組成で混合して実施例1〜4のディーゼル燃料油組成物、及び比較例1,2のディーゼル燃料油組成物を製造した。
実施例1〜4,比較例1,2のディーゼル燃料油組成物の特性を、上述した評価方法により評価した。結果を第2表に示す。
*1:WAFI エチレン−酢酸ビニル共重合体に、ワックス分散剤としての油溶性含窒素極性化合物を配合した低温流動性向上剤、インフィニアム社製InfineumR755
*2:EVA エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る低温流動性向上剤、インフィニアム社製InfineumR240
Claims (9)
- 脱ろう軽油と脱硫灯油と芳香族分含有量が5.0〜19.5容量%の水素化分解軽油とを含む基材と、低温流動性向上剤とを含有し、該低温流動性向上剤がワックス分散剤を含むことを特徴とするディーゼル燃料油組成物。
- ワックス分散剤が油溶性含窒素化合物を含む請求項1に記載のディーゼル燃料油組成物。
- 前記ディーゼル燃料油組成物全容量に対して、前記脱ろう軽油が30〜70容量%含まれ、前記脱硫灯油が70〜30容量%含まれる請求項1または2に記載のディーゼル燃料油組成物。
- 前記ディーゼル燃料油組成物中における前記油溶性含窒素極性化合物を含む低温流動性向上剤の添加量Wn[質量ppm]と、前記ディーゼル燃料油組成物中の−23℃におけるn−パラフィンの析出量Wp[質量%]とが、Wn/Wp>200を満たす請求項1〜3のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
- 前記ディーゼル燃料油組成物中における前記油溶性含窒素極性化合物を含む低温流動性向上剤の添加量Wn(質量ppm)が、120<Wn<600を満たす請求項1〜4のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
- 前記基材は、前記水素化分解軽油を前記ディーゼル燃料油組成物全容量に対して20容量%以下の量で含む請求項1〜5のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
- 前記ディーゼル燃料油組成物の−23℃におけるn−パラフィンの析出量Wpが、0.2質量%<Wp<2.0質量%を満たす請求項1〜6のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
- 前記ディーゼル燃料油組成物中に含まれる炭素数20以上のn−パラフィンの割合が1.5容量%以下である請求項1〜7のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
- 以下の性状を有する請求項1〜8のいずれかに記載のディーゼル燃料油組成物。
15℃における密度が0.8〜0.85g/cm3であり、30℃における動粘度が1.8〜3.5mm2/sであり、硫黄含有量が10質量ppm以下であり、セタン価が45以上65以下であり、セタン指数が48以上65以下であり、蒸留性状T90が290〜360℃であり、T50が230〜290℃であり、目詰まり点が−20℃以下であり、流動点が−30℃以下である。
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