JP2001303078A - 軽油組成物 - Google Patents

軽油組成物

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JP2001303078A
JP2001303078A JP2000119886A JP2000119886A JP2001303078A JP 2001303078 A JP2001303078 A JP 2001303078A JP 2000119886 A JP2000119886 A JP 2000119886A JP 2000119886 A JP2000119886 A JP 2000119886A JP 2001303078 A JP2001303078 A JP 2001303078A
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arom
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gas oil
less
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JP2000119886A
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Takashi Hoshino
崇 星野
Koji Oyama
宏次 尾山
Takashi Kaneko
タカシ 金子
Michiro Matsubara
三千郎 松原
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Eneos Corp
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能化、電子制御化されたディーゼル自動
車に用いた場合に特に環境汚染物質の排出量の大幅な低
減を可能とする、ディーゼル自動車の高性能化や電子制
御化に対応し、かつ潤滑性にも優れた性能を示す軽油組
成物を提供すること。 【解決手段】 硫黄分含有量が0.005質量%以下で
あり、蒸留性状が下記式(1): 1170≦T50+T70+T90+T95 (1) [式中、T50、T70、T90、T95はそれぞれ、50容量
%留出温度(℃)、70容量%留出温度(℃)、90容
量%留出温度(℃)、95容量%留出温度(℃)を示
す]の関係を満たし、かつ、芳香族分が下記式(2): (1-Arom)+5×(2-Arom)+10×(3-Arom)<20 (2) [式中、1-Aromは一環芳香族分含有量(容量%)、2-
Aromは二環芳香族分含有量(容量%)、3-Aromは三環
以上の芳香族分含有量(容量%)を示す]の関係を満た
していることを特徴とする軽油組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽油組成物に関し、
詳しくは硫黄分含有量の少ない軽油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディーゼル自動車においては排出
ガス中のPM(粒子状物質)、NOx(窒素酸化物)、
HC(炭化水素)といった環境汚染物質の排出量の大幅
な低減が求められており、これに対応してエンジンの改
良や、酸化触媒、NOx還元触媒、DPF(ディーゼル
パティキュレートフィルタ)等の後処理装置の装着等の
高性能化が進められている。そして、かかるディーゼル
自動車の高性能化においては、燃料噴射やエンジン燃
焼、さらには後処理装置の機能等についてシステム全体
の最適化を図るために電子制御化が非常に重要である。
【0003】しかしながら、従来の軽油(軽油組成物)
ではこのような高性能化、電子制御化されたディーゼル
自動車のシステム全体の性能を有効に引き出すことはで
きず、そのためディーゼル自動車における環境汚染物質
の排出量の低減等には限界があった。すなわち、高性能
化、電子制御化されたディーゼル自動車においては燃料
となる軽油組成物に対して従来よりさらに厳しい品質が
要求されるものの、かかるディーゼル自動車の高性能化
や電子制御化に対応してシステム全体の最適化による環
境汚染物質の排出量の大幅な低減、ひいては運転性能の
向上を十分に達成できる軽油組成物は未だ開発されてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高性能
化、電子制御化されたディーゼル自動車に用いた場合に
特に環境汚染物質の排出量の大幅な低減を可能とする、
ディーゼル自動車の高性能化や電子制御化に対応し、か
つ潤滑性にも優れた性能を示す軽油組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、硫黄分含有量を低
くすると共に蒸留性状と芳香族分含有量が特定の条件を
満たすようにすることによって、ディーゼル自動車の高
性能化や電子制御化に対応して環境汚染物質の排出量を
著しく低減でき、かつ潤滑性にも優れた性能を示す軽油
組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに
至った。
【0006】すなわち、本発明の軽油組成物は、硫黄分
含有量が0.005質量%以下であり、蒸留性状が下記
式(1): 1170≦T50+T70+T90+T95 (1) [式中、T50、T70、T90、T95はそれぞれ、50容量
%留出温度(℃)、70容量%留出温度(℃)、90容
量%留出温度(℃)、95容量%留出温度(℃)を示
す]の関係を満たし、かつ、芳香族分が下記式(2): (1-Arom)+5×(2-Arom)+10×(3-Arom)<20 (2) [式中、1-Aromは一環芳香族分含有量(容量%)、2-
Aromは二環芳香族分含有量(容量%)、3-Aromは三環
以上の芳香族分含有量(容量%)を示す]の関係を満た
していることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。
【0008】本発明の軽油組成物は、硫黄分含有量が
0.005質量%以下であることが必要であり、好まし
くは0.003質量%以下、より好ましくは0.001
質量%以下である。硫黄分含有量が0.005質量%を
超える場合は、最新のディーゼル自動車の排ガス浄化シ
ステムに硫黄分が影響を与え、排出ガス中のPM、NO
xといった環境汚染物質の排出量が増加することとな
る。なお、ここでいう硫黄分含有量とは、JIS K
2541「硫黄分試験方法」により測定される硫黄分の
含有量を意味する。
【0009】また、本発明の軽油組成物においては、蒸
留性状が下記式(1): 1170≦T50+T70+T90+T95 (1) [式中、T50、T70、T90、T95はそれぞれ、50容量
%留出温度(℃)、70容量%留出温度(℃)、90容
量%留出温度(℃)、95容量%留出温度(℃)を示
す]の関係を満たしていることが必要である。以下、
{T50+T70+T90+T95}の値を「蒸留性状指数」と
いう。
【0010】上記蒸留性状指数が1170未満では燃料
噴射ポンプ及び燃料噴射弁の潤滑性の確保が困難となる
恐れがあることから上記式(1)の通り1170以上で
あることが必要であり、同様の観点から好ましくは12
00以上、より好ましくは1230以上、さらにより好
ましくは1250以上である。一方、上記蒸留性状指数
は1400以下であることが好ましい。
【0011】このように本発明の軽油組成物における蒸
留性状は上記式(1)の関係を満たすものであればよ
く、各蒸留性状は特に規定されるものではないが、下記
の蒸留性状: 初留点 :140〜210℃ 10容量%留出温度(T10):165〜250℃ 30容量%留出温度(T30):200〜280℃ 50容量%留出温度(T50):240〜300℃ 70容量%留出温度(T70):260〜335℃ 90容量%留出温度(T90):290〜360℃ 95容量%留出温度(T95):295〜365℃ 蒸留終点 :300〜390℃ を満たしていることが好ましい。
【0012】軽油組成物の初留点が低すぎる場合には、
一部の軽質留分が気化して噴霧範囲が広がりすぎ、未燃
分として排ガスに同伴される炭化水素量が増加する傾向
があることから、初留点は好ましくは140℃以上、よ
り好ましくは145℃以上、さらにより好ましくは15
0℃以上、さらにより一層好ましくは155℃以上、最
も好ましくは160℃以上である。一方、初留点が高す
ぎる場合は、低温始動性及び低温運転性に不具合を生じ
る可能性があるため、初留点は好ましくは210℃以
下、より好ましくは200℃以下、さらにより好ましく
は195℃以下である。
【0013】軽油組成物のT10が低すぎる場合は、初留
点が低すぎる場合と同様の理由から、排ガスに同伴され
る炭化水素量の増大が懸念されるため、T10は好ましく
は165℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに
より好ましくは175℃以上、さらにより一層好ましく
は180℃以上である。一方、T10が高すぎる場合は、
低温始動性及び低温運転性に不具合を生じる可能性があ
ることから、T10は好ましくは250℃以下、より好ま
しくは240℃以下、さらにより好ましくは235℃以
下である。
【0014】軽油組成物のT30が低すぎる場合も、初留
点が低すぎる場合と同様の理由から、排ガスに同伴され
る炭化水素量の増大が懸念されるため、T30は好ましく
は200℃以上、より好ましくは205℃以上、さらに
より好ましくは210℃以上、さらにより一層好ましく
は215℃以上、最も好ましくは220℃以上である。
一方、T30が高すぎる場合は、低温始動性及び低温運転
性に不具合を生じる可能性があることから、T30は好ま
しくは280℃以下、より好ましくは275℃以下、さ
らにより好ましくは270℃以下である。
【0015】軽油組成物のT50は、燃料噴射ポンプ及び
燃料噴射弁の潤滑性の確保の観点、並びに燃料消費率及
びエンジン出力の観点から、好ましくは240℃以上、
より好ましくは245℃以上、さらにより好ましくは2
50℃以上、さらにより一層好ましくは255℃以上、
最も好ましくは260℃以上である。一方、排出ガス中
のPM濃度を増加させない観点から、T50は好ましくは
310℃以下、より好ましくは305℃以下、さらによ
り好ましくは300℃以下である。
【0016】軽油組成物のT70は、燃料噴射ポンプ及び
燃料噴射弁の潤滑性の確保の観点、並びに燃料消費率及
びエンジン出力の観点から、好ましくは260℃以上、
より好ましくは265℃以上、さらにより好ましくは2
70℃以上、さらにより一層好ましくは275℃以上、
最も好ましくは280℃以上である。一方、排出ガス中
のPM濃度を増加させない観点から、T70は好ましくは
335℃以下、より好ましくは330℃以下、さらによ
り好ましくは325℃以下である。
【0017】軽油組成物のT90は、燃料噴射ポンプ及び
燃料噴射弁の潤滑性の確保の観点から、好ましくは29
0℃以上、より好ましくは300℃以上、さらにより好
ましくは305℃以上、さらにより一層好ましくは31
0℃以上、最も好ましくは315℃以上である。一方、
排出ガス中のPM濃度を増加させない観点から、T90
好ましくは360℃以下、より好ましくは355℃以
下、さらにより好ましくは350℃以下である。
【0018】軽油組成物のT95は、燃料噴射ポンプ及び
燃料噴射弁の潤滑性の確保の観点から、好ましくは29
5℃以上、より好ましくは305℃以上、さらにより好
ましくは310℃以上、さらにより一層好ましくは31
5℃以上、最も好ましくは320℃以上である。一方、
排出ガス中のPM濃度を増加させない観点から、T95
好ましくは365℃以下、より好ましくは360℃以
下、さらにより好ましくは355℃以下である。
【0019】軽油組成物の蒸留終点は、燃料噴射ポンプ
及び燃料噴射弁の潤滑性の確保の観点から、好ましくは
300℃以上、より好ましくは310℃以上、さらによ
り好ましくは315℃以上、さらにより一層好ましくは
320℃以上、最も好ましくは325℃以上である。一
方、排出ガス中のPM濃度を増加させない観点から、蒸
留終点は好ましくは390℃以下、より好ましくは38
5℃以下、さらにより好ましくは380℃以下である。
【0020】なお、ここでいう蒸留性状(初留点、
10、T30、T50、T70、T90、T95、蒸留終点)と
は、全てJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方
法」に準拠して測定される値を意味する。
【0021】本発明の軽油組成物においては、含有され
る芳香族分が下記式(2): (1-Arom)+5×(2-Arom)+10×(3-Arom)<20 (2) [式中、1-Aromは一環芳香族分含有量(容量%)、2-
Aromは二環芳香族分含有量(容量%)、3-Aromは三環
以上の芳香族分含有量(容量%)を示す]の関係を満た
していることが必要である。以下、{(1-Arom)+5×
(2-Arom)+10×(3-Arom)}の値を「芳香族指数」と
いう。
【0022】上記芳香族指数が20以上では排出ガスに
含まれるNOx及びPMの各濃度が増加する恐れがある
ことから上記式(2)の通り20未満であることが必要
であり、同様の観点から好ましくは18以下、より好ま
しくは15以下、さらにより好ましくは12以下、さら
により一層好ましくは10以下である。
【0023】また、本発明の軽油組成物における一環芳
香族分、二環芳香族分及び三環以上の芳香族分のそれぞ
れの含有量は、上記式(2)の関係を満たすものであれ
ばよく、各含有量は特に規定されるものではないが、排
出ガスに含まれるNOx及びPMの各濃度を低下させる
観点から、一環芳香族分含有量は、好ましくは10容量
%以下、より好ましくは8容量%以下、さらにより好ま
しくは5容量%以下である。また、本発明の軽油組成物
における二環芳香族分含有量は、排出ガスに含まれるN
Ox及びPMの各濃度を低下させる観点から、好ましく
は1容量%以下、より好ましくは0.5容量%以下であ
る。更に、本発明の軽油組成物における三環以上の芳香
族分含有量は、排出ガスに含まれるNOx及びPMの各
濃度を低下させる観点から、好ましくは0.5容量%以
下、より好ましくは0.3容量%以下、さらにより好ま
しくは0.2容量%以下、さらにより一層好ましくは
0.1容量%以下である。
【0024】なお、ここでいう一環芳香族分含有量、二
環芳香族分含有量、三環以上の芳香族分含有量とは、石
油学会規格 JPI−5S−49−97に準拠して測定
される芳香族環数別の各芳香族成分の容量百分率(容量
%)を意味する。
【0025】本発明の軽油組成物における全芳香族分含
有量は、排出ガスに含まれるNOx及びPMの各濃度を
低下させる観点から、好ましくは10容量%以下、より
好ましくは8容量%以下、さらにより好ましくは6容量
%以下、さらにより一層好ましくは5容量%以下であ
る。
【0026】また、本発明の軽油組成物における飽和分
含有量は、排出ガス中のNOx及びPMの各濃度を低下
させる観点から、好ましくは90容量%以上、より好ま
しくは92容量%以上、さらにより好ましくは94容量
%以上、さらにより一層好ましくは95容量%以上であ
る。
【0027】さらに、本発明の軽油組成物におけるオレ
フィン分含有量は、軽油組成物の安定性の観点から、好
ましくは5容量%以下、より好ましくは3容量%以下、
さらにより好ましくは1容量%以下である。
【0028】なお、ここでいう全芳香族分含有量とは、
石油学会規格 JPI−5S−49−97に準拠して測
定される全芳香族成分の容量百分率(容量%)を意味す
る。また、飽和分含有量及びオレフィン分含有量とは、
JIS K 2536に規定する「石油製品−成分試験
方法」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定される飽和分
及びオレフィン分の容量百分率(容量%)をそれぞれ意
味する。
【0029】本発明の軽油組成物においては、15℃に
おける密度が好ましくは0.810g/cm3以上、よ
り好ましくは0.815g/cm3以上、さらにより好
ましくは0.820g/cm3以上、さらにより一層好
ましくは0.825g/cm3以上である。密度が上記
下限未満では、燃料消費率及びエンジンの出力・トルク
が劣る傾向にある。一方、15℃における密度は、好ま
しくは0.860g/cm 3以下、より好ましくは0.
850g/cm3以下である。密度が上記上限を超えて
いると、排出ガス中のPM濃度が増加する傾向にある。
なお、ここでいう密度とは、JIS K 2249「原
油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量
換算表」に準拠して測定される密度を意味する。
【0030】そして、本発明の軽油組成物においては、
上記の密度と全芳香族分含有量と50容量%留出温度と
が下記式(3): 0.690≦{D−(0.001648×TA+0.000398×T50)} (3) [式中、Dは15℃における密度(g/cm3)、TA
は全芳香族分含有量(容量%)、T50は50容量%留出
温度(℃)をそれぞれ示す]の関係を満たしていること
が好ましい。以下、{D−(0.001648×TA+0.000398
×T50)}の値を「D−TA−T50関係指数」という。
【0031】上記D−TA−T50関係指数が0.690
未満の場合は排出ガス中に含まれるNOx及びPMの各
濃度が増加する傾向にあることから、上記式(3)の通
りD−TA−T50関係指数は好ましくは0.690以
上、より好ましくは0.695以上、さらにより好まし
くは0.700以上である。一方、上記D−TA−T50
関係指数は0.800以下であることが好ましい。
【0032】本発明の軽油組成物における動粘度は特に
制限されない。しかし、燃料噴射時期の制御及びエンジ
ンに付設された分配型燃料噴射ポンプの潤滑性の観点か
ら、30℃における動粘度は好ましくは1.7mm2
s以上、より好ましくは2.0mm2/s以上、さらに
より好ましくは2.5mm2/s以上、さらにより一層
好ましくは2.7mm2/s以上である。一方、排出ガ
ス中のPM濃度を増加させない観点並びに低温での始動
性に及ぼす影響を小さくする観点から、30℃における
動粘度は好ましくは6.0mm2/s以下、より好まし
くは5.0mm2/s以下、さらにより好ましくは4.
5mm2/s以下である。なお、ここでいう動粘度と
は、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度
試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して測定される
動粘度を意味する。
【0033】本発明の軽油組成物におけるセタン価及び
セタン指数は特に制限されない。しかし、排出ガス中の
NOx、PM、アルデヒドの各濃度をより低減させるこ
とが出来る観点から、セタン価は好ましくは45以上、
より好ましくは50以上、さらにより好ましくは53以
上、さらにより一層好ましくは55以上、特に好ましく
は57以上、最も好ましくは58以上であり、セタン指
数は好ましくは45以上、より好ましくは50以上、さ
らにより好ましくは52以上、さらにより一層好ましく
は54以上、特に好ましくは55以上である。なお、こ
こでいうセタン価とは、JIS K 2280「石油製
品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセ
タン指数算出方法」の「7.セタン価試験方法」に準拠
して測定されるセタン価を意味する。また、セタン指数
とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オク
タン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方
法」の「8.4変数方程式を用いたセタン指数の算出方
法」に準拠して算出した価を意味する。
【0034】本発明の軽油組成物は、その流動点(P
P)について特に限定条件はない。しかし、低温始動性
ないしは低温運転性の観点から、流動点は好ましくは5
℃以下、より好ましくは−2.5℃以下、さらにより好
ましくは−7.5℃以下、さらにより一層好ましくは−
10℃以下、特に好ましくは−20℃以下である。な
お、ここでいう流動点とは、JIS K 2269「原
油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方
法」に準拠して測定される流動点を意味する。
【0035】同様に、本発明の軽油組成物は、その目詰
まり点(CFPP)について特に限定条件はない。しか
し、低温始動性ないしは低温運転性の観点から、目詰ま
り点は好ましくは−1℃以下、より好ましくは−5℃以
下、さらにより好ましくは−8℃以下、さらにより一層
好ましくは−10℃以下、特に好ましくは−12℃以下
である。なお、ここでいいう目詰まり点とは、JIS
K 2288「軽油−目詰まり点試験方法」に準拠して
測定される目詰まり点を意味する。
【0036】また、本発明の軽油組成物は、その曇り点
(CP)について特に限定条件はない。しかし、低温始
動性ないしは低温運転性の観点から、曇り点は好ましく
は2℃以下、より好ましくは0℃以下、さらにより好ま
しくは−1℃以下、さらにより一層好ましくは−2℃以
下、特に好ましくは−6℃以下、最も好ましくは−8℃
以下である。
【0037】また、本発明の軽油組成物は、後述する潤
滑性向上剤の添加効果を十分に維持する観点から、HF
RR試験における摩耗痕径が550μm以下であること
が好ましく、500μm以下であることがより好まし
い。なお、ここでいうHFRR試験における摩耗痕径と
は、石油学会法 JPI−5S−50−98「軽油−潤
滑性試験方法」に準拠して測定される摩耗痕径を意味す
る。
【0038】本発明の軽油組成物は、軽油(ベース軽
油)に必要に応じて添加剤等を配合することにより得ら
れる。本発明にかかるベース軽油は、得られる軽油組成
物が上記条件を満たすものであればよく、その製法等は
特に制限されず、以下の軽油基材を1種もしくは2種以
上を適宜選択・混合して得ることが可能である。このよ
うな本発明に用いられ得る軽油基材としては、具体的に
は例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油;
常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸
留装置にかけて得られる減圧軽油;減圧蒸留装置から得
られる減圧軽油を水素化精製して得られる水素化精製軽
油;直留軽油を通常の水素化精製より苛酷な条件で一段
階又は多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽
油;脱硫又は未脱硫の減圧軽油、減圧重質軽油あるいは
脱硫重油を接触分解して得られる接触分解軽油;原油の
常圧蒸留により得られる直留灯油;直留灯油を水素化精
製して得られる水素化精製灯油;原油の常圧蒸留によっ
て得られる軽油留分を分解して得られる分解灯油等が挙
げられる。
【0039】本発明の軽油組成物に用いられ得る添加剤
としては、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、清浄剤等が
挙げられる。このような添加剤は、所期の性能をさらに
高める目的で単独でもしくは数種類を組み合わせて用い
られ、中でも少なくとも潤滑性向上剤を含有することが
好ましい。
【0040】本発明にかかる潤滑性向上剤としては、例
えば、カルボン酸系、エステル系、アルコール系及びフ
ェノール系の各潤滑性向上剤の1種又は2種以上が任意
に使用可能である。これらの中でも、カルボン酸系、エ
ステル系の潤滑性向上剤が好ましい。
【0041】カルボン酸系の潤滑性向上剤としては、例
えば、リノ−ル酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチ
ン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸及び上記カルボン
酸の2種以上の混合物が挙げられる。また、エステル系
の潤滑性向上剤としては、例えば、グリセリンのカルボ
ン酸エステルが挙げられる。カルボン酸エステルを構成
するカルボン酸は、1種であっても2種以上であっても
よく、その具体例としては、リノ−ル酸、オレイン酸、
サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセ
ン酸等が挙げられる。
【0042】このような潤滑性向上剤の含有量は特に制
限されない。しかし、潤滑性向上剤の効能を引き出すた
めには、具体的には、分配型噴射ポンプを搭載したディ
ーゼルエンジンにおいて、運転中のポンプの駆動トルク
増を抑制し、ポンプの摩耗を低減させるためには、潤滑
性向上剤の配合量は、組成物全量基準で35質量ppm
以上であることが好ましく、50質量ppm以上である
ことがより好ましい。一方、潤滑性向上剤の配合量は、
それ以上加えても添加量に見合う効果が得られないこと
から、150質量ppm以下であることが好ましく、1
00質量ppm以下であることがより好ましい。
【0043】なお、潤滑性向上剤と称して市販されてい
る商品は、それぞれ潤滑性向上に寄与する有効成分が適
当な溶剤で希釈された状態で入手されるのが通例であ
る。こうした市販品を本発明の軽油組成物に配合した場
合にあっては、潤滑性向上剤に関して上述した配合量
は、有効成分としての配合量を意味する。
【0044】また、本発明にかかるセタン価向上剤とし
ては、当業界でセタン価向上剤として知られる各種の化
合物を任意に使用することができ、例えば、硝酸エステ
ルや有機過酸化物等が使用可能であり、中でも硝酸エス
テルを用いることが好ましい。硝酸エステルには、2−
クロロエチルナイトレート、2−エトキシエチルナイト
レート、イソプロピルナイトレート、ブチルナイトレー
ト、第一アミルナイトレート、第二アミルナイトレー
ト、イソアミルナイトレート、第一ヘキシルナイトレー
ト、第二ヘキシルナイトレート、n−ヘプチルナイトレ
ート、n−オクチルナイトレート、2−エチルヘキシル
ナイトレート、シクロヘキシルナイトレート、エチレン
グリコールジナイトレート等の種々のナイトレート等が
包含される。これらの中でも、炭素数6〜8のアルキル
ナイトレートが好ましい。また、セタン価向上剤として
は1種の単一の化合物を用いても良く、2種以上の化合
物を組み合わせて用いても良い。
【0045】本発明の軽油組成物におけるセタン価向上
剤の含有量は、ディーゼルエンジン排出ガスのNOx濃
度、PM濃度、アルデヒド濃度等をより低減させること
ができることから、組成物全量基準で500質量ppm
以上であることが好ましく、600質量ppm以上であ
ることがより好ましく、700質量ppm以上であるこ
とがさらにより好ましく、800質量ppm以上である
ことが特に好ましく、900質量ppm以上であること
が最も好ましい。
【0046】セタン価向上剤の含有量の上限値は特に制
限されないが、一般的には、セタン価向上剤の含有量は
軽油組成物全量基準で、1400質量ppm以下である
ことが好ましく、1250質量ppm以下であることが
より好ましく、1100質量ppm以下であることがさ
らにより好ましく、1000質量ppm以下であること
が最も好ましい。
【0047】なお、セタン価向上剤と称して市販されて
いる商品は、セタン価向上に寄与する有効成分、つま
り、セタン価向上剤を適当な溶剤で希釈した状態で入手
されるのが通例である。こうした市販品を使用して本発
明の軽油組成物を調製する場合にあっては、セタン価向
上剤に関して上述した含有量は、有効成分としての含有
量を意味する。
【0048】本発明にかかる清浄剤としては、例えば、
イミド系化合物;ポリブテニルコハク酸無水物とポリア
ミン類とから合成されるポリブテニルコハク酸イミドな
どのアルケニルコハク酸誘導体;ペンタエリスリトール
などの多価アルコールとポリブテニルコハク酸無水物か
ら合成されるポリブテニルコハク酸エステルなどのコハ
ク酸エステル;ジアルキルアミノエチルメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピ
ロリドンなどとアルキルメタクリレートとのコポリマー
などの共重合系ポリマー、カルボン酸とアミンの反応生
成物(塩等)などを挙げることができる。これらの無灰
清浄剤は、任意に選ばれる1種又は2種以上が使用可能
であって、これらの中でも、アルケニルコハク酸誘導体
及び/又はカルボン酸のアミン塩を使用することが好ま
しい。
【0049】アルケニルコハク酸誘導体は、下記の一般
式(1)〜(4)で表される化合物であることが好まし
い。
【0050】
【化1】
【0051】(式中、Aはn−ブチル基、sec−ブチ
ル基又はtert−ブチル基を表し、R1、R2、R3
びR4は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル
基を表し、但し、R1〜R4の合計炭素数は2であり、R
5は炭素数1〜36のアルキレン基を表し、そしてmは
1〜100の整数を表す。)
【0052】
【化2】
【0053】(式中、Aはn−ブチル基、sec−ブチ
ル基又はtert−ブチル基を表し、R1、R2、R3
びR4は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル
基を表し、但し、R1〜R4の合計炭素数は2であり、R
5は炭素数1〜36のアルキレン基を表し、mは1〜1
00の整数を表し、そしてnは1〜10の整数を表
す。)
【0054】
【化3】
【0055】(式中、Aはn−ブチル基、sec−ブチ
ル基又はtert−ブチル基を表し、R1、R2、R3
びR4は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル
基を表し、但し、R1〜R4の合計炭素数は2であり、R
5は炭素数1〜36のアルキレン基を表し、mは1〜1
00の整数を表し、そしてnは1〜10の整数を表
す。)
【0056】
【化4】
【0057】(式中、Aはn−ブチル基、sec−ブチ
ル基又はtert−ブチル基を表し、R1、R2、R3
びR4は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル
基を表し、但し、R1〜R4の合計炭素数は2であり、R
5は炭素数1〜36のアルキレン基を表し、mは1〜1
00の整数を表し、そしてnは1〜10整数を表す。)
上記一般式(1)〜(4)で表されるアルケニルコハク
酸誘導体について詳述する。
【0058】Aは、n−ブチル基、sec−ブチル基又
はtert−ブチル基を示す。より優れた清浄性が得ら
れることから、tert−ブチル基であることが好まし
い。
【0059】R1〜R4は、それぞれ水素原子、メチル基
又はエチル基を示す。そして、このR1〜R4の合計炭素
数は2である。
【0060】本発明においては、より優れた清浄性が得
られることから、R1及びR3が共に水素原子であり、か
つR2及びR4が共にメチル基である場合、又はR1及び
3が共にメチル基であり、かつR2及びR4が共に水素
原子である場合が好ましい。
【0061】R5は、炭素数1〜36のアルキレン基を
表す。R5は、好ましくは炭素数1〜18のアルキレン
基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基、特に
好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。炭素数
1〜4のアルキレン基としては、具体的には例えば、メ
チレン基、エチレン基、プロピレン基(1−メチルエチ
レン基、2−メチルエチレン基)、トリメチレン基、ブ
チレン基(1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン
基)、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチル
エチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルト
リメチレン基、3−メチルトリメチレン基、テトラメチ
レン基などが挙げられる。これらの中でも、R5は、メ
チレン基、エチレン基、プロピレン基(1−メチルエチ
レン基、2−メチルエチレン基)又はトリメチレン基で
ある場合が最も好ましい。
【0062】一般式(1)〜(4)におけるmは1〜1
00の整数を示す。mは軽油組成物への分散性保持、清
浄性保持の点から、5以上が好ましく、10以上がより
好ましい。また、粘度上昇によるバルブスティックや熱
分解性悪化による燃焼室デポジットへの影響の点から、
50以下が好ましく、40以下がより好ましい。
【0063】また、一般式(2)〜(4)におけるnは
1〜10の整数を表す。nは、好ましくは1〜5、より
好ましくは1〜3の整数である。
【0064】なお、下記式(5)で表される基は、下記
式(6)で表される基を構成単位とする、一般式(1)
〜(4)で表されるアルケニルコハク酸誘導体の重合骨
格を示すものである。
【0065】
【化5】
【0066】(上記式(5)及び(6)におけるR1
2、R3、R4及びmは、一般式(1)〜(4)におけ
るR1、R2、R3、R4及びmと同一の基、整数を示
す。)上記式(1)〜(4)及び(5)において、上記
式(6)で表されるm個の基は同一分子中で同じでも異
なっていてもよい。つまり、上記式(1)〜(4)で表
される化合物及び上記式(5)で表される基は、単独重
合体であっても、共重合体であっても良い。共重合体
は、ランダム共重合体、交互重合体、あるいはブロック
共重合体のいずれであっても良い。
【0067】また、アルケニルコハク酸誘導体の数平均
分子量については何ら制限はないが、軽油組成物中への
分散性保持、清浄性保持の点から、その数平均分子量は
500以上であることが好ましく、1000以上である
ことがより好ましく、1500以上であることがさらに
より好ましく、2000以上であることが最も好まし
い。また、粘度上昇によるバルブスティックや熱分解性
悪化による燃焼室デポジットへの影響の点から、その数
平均分子量は6000以下であることが好ましく、50
00以下であることがより好ましい。
【0068】アルケニルコハク酸誘導体としては、一般
式(1)〜(4)で表される化合物から選ばれる1種の
みの化合物を単独で用いてもよく、2種以上の化合物を
混合して用いてもよい。
【0069】2種以上を用いる場合には、一般式(2)
で表される化合物と一般式(3)で表される化合物の混
合物であることが好ましい。その際の混合比(質量比)
は、(2):(3)=1:99〜99:1であることが
好ましく、10:90〜90:10であることがより好
ましく、20:80〜80:20であることがさらによ
り好ましく、30:70〜70:30であることが最も
好ましい。
【0070】アルケニルコハク酸誘導体の好ましい具体
例を以下に挙げる。
【0071】下記式で表される化合物1(数平均分子
量:2000〜3000)
【0072】
【化6】
【0073】(A:tert−ブチル基、R1、R3:水
素原子、R2、R4 :メチル基、R5:トリメチレ
ン基)。
【0074】下記式で表される化合物2(数平均分子
量:2000〜3000)
【0075】
【化7】
【0076】(A:tert−ブチル基、R1、R3:水
素原子、R2、R4:メチル基、R5:エチレン基、n:
1〜3)。
【0077】下記式で表される化合物3(数平均分子
量:4000〜5000)
【0078】
【化8】
【0079】(A:tert−ブチル基、R1、R3:水
素原子、R2、R4:メチル基、R5:エチレン基、n:
1〜3)。
【0080】下記式で表される化合物4(数平均分子
量:2000〜3000)
【0081】
【化9】
【0082】(A:tert−ブチル基、R1、R3:水
素原子、R2、R4:メチル基、R5:エチレン基、n:
1〜3)。
【0083】次に、カルボン酸のアミン塩について詳述
する。
【0084】カルボン酸は、炭素数が5〜50のもので
あることが好ましく、更に好ましくは炭素数7〜30の
もの、特に好ましくは炭素数9〜20のものである。カ
ルボン酸は、モノカルボン酸、あるいは多価カルボン酸
のいずれであっても良いが、モノカルボン酸であること
が好ましい。またカルボン酸は、脂肪酸、脂環族カルボ
ン酸、芳香族カルボン酸のいずれであっても良いが、脂
肪酸であることが好ましい。脂肪酸としては、直鎖のも
のでも分岐鎖のものでも良く、飽和でも不飽和でも良
い。
【0085】炭素数9〜20の脂肪酸としては、具体的
には例えば、以下のものを挙げることができる。直鎖又
は分岐鎖のノナン酸、直鎖又は分岐鎖のデカン酸、直鎖
又は分岐鎖のウンデカン酸、直鎖又は分岐鎖のドデカン
酸、直鎖又は分岐鎖のトリデカン酸、直鎖又は分岐鎖の
テトラデカン酸、直鎖又は分岐鎖のペンタデカン酸、直
鎖又は分岐鎖のヘキサデカン酸、直鎖又は分岐鎖のヘプ
タデカン酸、直鎖又は分岐鎖のオクタデカン酸、直鎖又
は分岐鎖のノナデカン酸、直鎖又は分岐鎖のイコサン
酸、直鎖又は分岐鎖のノネン酸、直鎖又は分岐鎖のデセ
ン酸、直鎖又は分岐鎖のウンデセン酸、直鎖又は分岐鎖
のドデセン酸、直鎖又は分岐鎖のトリデセン酸、直鎖又
は分岐鎖のテトラデセン酸、直鎖又は分岐鎖のペンタデ
セン酸、直鎖又は分岐鎖のヘキサデセン酸、直鎖又は分
岐鎖のヘプタデセン酸、直鎖又は分岐鎖のオクタデセン
酸(オレイン酸を含む)、直鎖又は分岐鎖のノナデセン
酸、直鎖又は分岐鎖のイコセン酸等。また、リノール酸
等の水酸基を有する脂肪酸も含まれる。上記のカルボン
酸は、1種のカルボン酸を単独で用いても良く、2種以
上のカルボン酸を組み合わせて用いても良い。
【0086】アミンは炭素数1〜30のものであること
が好ましい。更に好ましくは炭素数5〜20ものであ
り、特に好ましくは炭素数8〜18のものである。アミ
ンとしては、例えば、モノアミン、ポリアミン、アルカ
ノールアミン等が挙げられるが、モノアミンであること
が好ましい。
【0087】モノアミンとしては、一つの炭化水素基を
有するモノ置換アミン、二つの炭化水素基を有するジ置
換アミン、三つの炭化水素基を有するトリ置換アミン等
が挙げられるが、モノ置換アミンが好ましい。
【0088】モノ置換アミンとしては、例えば、アルキ
ルアミン、アルケニルアミン、芳香族置換アルキルアミ
ン、シクロアルキルアミン、及びアルキルシクロアルキ
ルアミン等が挙げれられる。アルキルアミン及びアルケ
ニルアミンであることが好ましい。
【0089】炭素数8〜18のアルキルアミンとして
は、例えば、直鎖又は分岐鎖のオクチルアミン、直鎖又
は分岐鎖のノニルアミン、直鎖又は分岐鎖のデシルアミ
ン、直鎖又は分岐鎖のウンデシルアミン、直鎖又は分岐
鎖のドデシルアミン、直鎖又は分岐鎖のトリデシルアミ
ン、直鎖又は分岐鎖のテトラデシルアミン、直鎖又は分
岐鎖のペンタデシルアミン、直鎖又は分岐鎖のヘキサデ
シルアミン、直鎖又は分岐鎖のヘプタデシルアミン、直
鎖又は分岐鎖のオクタデシルアミン等が挙げられる。
【0090】炭素数8〜18のアルケニルアミンとして
は、例えば、直鎖又は分岐鎖のオクテニルアミン、直鎖
又は分岐鎖のノネニルアミン、直鎖又は分岐鎖のデセニ
ルアミン、直鎖又は分岐鎖のウンデセニルアミン、直鎖
又は分岐鎖のドデセニルアミン、直鎖又は分岐鎖のトリ
デセニルアミン、直鎖又は分岐鎖のテトラデセニルアミ
ン、直鎖又は分岐鎖のペンタデセニルアミン、直鎖又は
分岐鎖のヘキサデセニルアミン、直鎖又は分岐鎖のヘプ
タデセニルアミン、直鎖又は分岐鎖のオクタデセニルア
ミン(オレイルアミンを含む)等が挙げられる。
【0091】上記アミンは、1種のアミンを単独で用い
ても良く、2種以上のアミンの混合物を用いても良い。
【0092】カルボン酸のアミン塩の好ましい具体例と
しては、オレイン酸を主成分とする炭素数13〜20の
混合脂肪酸と炭素数8〜16のアルキル基を有するモノ
置換アミン及び炭素数8〜16のアルケニル基を有する
モノ置換アミンの混合物との塩を挙げることができる。
【0093】本発明の軽油組成物における清浄剤の配合
量も特に制限されない。しかし、清浄剤を配合した効
果、具体的には、燃料噴射ノズルの閉塞抑制効果を引き
出すためには、清浄剤の配合量を組成物全量基準で30
質量ppm以上とすることが好ましく、60質量ppm
以上とすることがより好ましく、80質量ppm以上と
することがさらにより好ましい。30質量ppmに満た
ない量を添加しても効果が現れない可能性がある。一
方、配合量が多すぎても、それに見合う効果が期待でき
ず、逆にディーゼルエンジン排出ガス中のNOx、P
M、アルデヒド等を増加させる可能性があることから、
清浄剤の配合量は300質量ppm以下であることが好
ましく、180質量ppm以下であることがより好まし
い。
【0094】なお、先のセタン価向上剤の場合と同様、
清浄剤と称して市販されている商品は、それぞれ清浄に
寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈された状態で入手
されるのが通例である。こうした市販品を本発明の軽油
組成物に配合した場合にあっては、清浄剤に関して上述
した配合量は、有効成分としての配合量を意味する。
【0095】さらに、本発明の軽油組成物においては、
他の性能をさらに高める目的でその他の公知の燃料油添
加剤を単独で、又は数種類組み合わせて添加することも
できる。このような添加剤としては、例えば、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、アルケニルコハク酸アミド等の
低温流動性向上剤;フェノール系、アミン系等の酸化防
止剤;サリチリデン誘導体等の金属不活性化剤;ポリグ
リコールエーテル等の氷結防止剤;脂肪族アミン、アル
ケニルコハク酸エステル等の腐食防止剤;アニオン系、
カチオン系、両性系界面活性剤等の帯電防止剤;アゾ染
料等の着色剤;シリコン系等の消泡剤等が挙げられる。
これらその他の添加剤の添加量は特に制限されないが、
各添加剤の添加量は軽油組成物全量基準で0.5質量%
以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。
【0096】なお、上記の添加剤のうち、帯電防止剤は
従来の軽油にはあまり用いられていない添加剤であった
が、本発明のように硫黄分を0.005質量%以下にま
で脱硫した場合には、帯電による発火をより確実に防止
するため帯電防止剤を使用することが好ましい。
【0097】また、上記した潤滑性向上剤、セタン
価向上剤、清浄剤、低温流動性向上剤、酸化防止
剤、金属不活性化剤、氷結防止剤、腐食防止剤、
帯電防止剤、(10)着色剤、(11)消泡剤等の各添加剤
は、1種のみで使用してもよいが、2種以上を組み合わ
せて使用してもよい。添加剤を組み合わせて用いる場合
の組み合わせの具体例としては、、、、
、(11)、、、、(11)、、、
(11)、、(11)、、、、
(11)、、、(11)、、(11)、
(11)、、、(11)、、(1
1)、(11)、、(11)、(11)、(1
1)、、、(11)、、
(11)、(11)、、(11)、(1
1)、(11)、、(11)、(11)、
(11)、(11)、、(11)、
(11)、(11)、(11)、
(11)、(11)等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0098】
【実施例】以下、実施例により本発明の内容をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定
されるものではない。
【0099】実施例1〜6 表1に示す組成、蒸留性状及び諸特性を有する軽油組成
物を調製し、各軽油組成物について以下に示す排出ガス
試験、潤滑性試験、及び出力・燃費試験を行なった。得
られた結果を同表に示す。なお、潤滑性向上剤として
は、グリセリンとリノール酸、オレイン酸とのモノ、ジ
エステルを主成分とする混合物を使用した。
【0100】(1)排出ガス試験 下記のエンジンを用いて台上試験によるディーゼル13
モード試験を行い、排出ガス性能評価として粒子状物質
(PM)の排出量を測定した。排出ガス中のPMは堀場
製作所製のダイリュウショントンネルを用いてフィルタ
ー上に捕集し、捕集されたPMの重量を測定した。そし
て、PM排出量が0.18g/kWhr以下の場合を
「極めて少ない」と評価した。
【0101】(試験エンジン) エンジン :直列4気筒 排気量 :5.3L 噴射方式 :直噴式 噴射ポンプ:列型電子制御噴射ポンプ 後処理 :酸化触媒 触媒容量 :2L(白金系触媒)。
【0102】(2)潤滑性試験 石油学会法 JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性
試験方法」に準拠して、HFRR試験における摩耗痕径
を測定した。そして、摩耗痕径が400μm以下の場合
を極めて良好とし、合格(○)と評価した。
【0103】(3)出力・燃費試験 下記のエンジンを用いて台上試験によるエンジン出力試
験(JIS D1001)を行い、全負荷状態における最大出力、
最大トルク及び最小燃料消費率を測定した。最大出力、
最大トルクについてはエンジンの仕様値と比較して、3
%未満減の場合に「問題なし」と評価し、増又は1%未
満減の場合に「低下なし」と評価した。また、最小燃料
消費率についてはエンジンの仕様値と比較して、3%未
満増の場合に「問題なし」と評価し、減又は1%未満増
の場合に「悪化なし」と評価した。
【0104】(試験エンジン) エンジン :直列4気筒エンジン 排気量 :5.3L 噴射方式 :直噴式 噴射ポンプ:列型噴射ポンプ 最大出力=107kW/2900rpm 最大トルク=373Nm/1700rpm 全負荷時最小燃料消費率=208g/kWh。
【0105】
【表1】
【0106】表1に示した結果から明らかなように、本
発明に係る軽油組成物を電子制御化されたディーゼルエ
ンジン並びにディーゼル自動車に用いた場合には、環境
汚染物質の排出量が大幅に低減され、更に潤滑性にも優
れた性能が発揮された。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の軽油組成
物によれば、高性能化、電子制御化されたディーゼル自
動車に用いた場合に特に環境汚染物質の排出量の大幅な
低減、更には潤滑性にも優れた性能を発揮することがで
き、ひいては運転性能の向上を十分に達成することが可
能となる。したがって、本発明によれば、ディーゼル自
動車の高性能化や電子制御化に対応した最適な軽油組成
物を得ることが可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 金子 タカシ 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 松原 三千郎 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4H013 CB02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫黄分含有量が0.005質量%以下で
    あり、蒸留性状が下記式(1): 1170≦T50+T70+T90+T95 (1) [式中、T50、T70、T90、T95はそれぞれ、50容量
    %留出温度(℃)、70容量%留出温度(℃)、90容
    量%留出温度(℃)、95容量%留出温度(℃)を示
    す]の関係を満たし、かつ、芳香族分が下記式(2): (1-Arom)+5×(2-Arom)+10×(3-Arom)<20 (2) [式中、1-Aromは一環芳香族分含有量(容量%)、2-
    Aromは二環芳香族分含有量(容量%)、3-Aromは三環
    以上の芳香族分含有量(容量%)を示す]の関係を満た
    していることを特徴とする軽油組成物。
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