JP2007238428A - 極超微粒子注入材組成物 - Google Patents

極超微粒子注入材組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2007238428A
JP2007238428A JP2007024402A JP2007024402A JP2007238428A JP 2007238428 A JP2007238428 A JP 2007238428A JP 2007024402 A JP2007024402 A JP 2007024402A JP 2007024402 A JP2007024402 A JP 2007024402A JP 2007238428 A JP2007238428 A JP 2007238428A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cement
ultra
stirring
fine particle
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007024402A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4848293B2 (ja
Inventor
Tomohiko Kanazawa
智彦 金沢
Hirokatsu Kawakami
宏克 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Nippon Steel Cement Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Nittetsu Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd, Nittetsu Cement Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2007024402A priority Critical patent/JP4848293B2/ja
Publication of JP2007238428A publication Critical patent/JP2007238428A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4848293B2 publication Critical patent/JP4848293B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】分散性及び分散保持性に優れ、極微小な地盤の粒子間隙、岩盤の亀裂などに容易に注入することができる極超微粒子注入材組成物、及び、このような極超微粒子注入材組成物製造する方法を提供する。
【解決手段】(a)3CaO・Alの含有量が5質量%以下であるセメントクリンカー2〜25質量%、(b)高炉スラグ74〜97質量%、(c)石膏1〜5質量%を含み、粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60〜80体積%である極超微粒子セメント及びポリカルボン酸系分散剤を必須成分として混合してなることを特徴とする極超微粒子注入材組成物。該製造方法は、周速314m/min以上で混合攪拌する高速攪拌工程を有し、極超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌後、更に加水して再攪拌する工程を有する極超微粒子注入材組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、極超微粒子注入材組成物及びその製造方法に関する。より詳しくは、粒径が極めて小さい極超微粒子によって構成されるセメントを含むスラリー状の注入材であって、土木建築分野において地盤や岩盤に注入して改良、止水等に用いられる極超微粒子注入材組成物及びその製造方法に関する。
セメント粒子を含む注入材組成物は、止水、液状化防止、軟弱地盤の改良、有害物質の漏洩防止を目的に地盤の粒子間隙、岩盤の亀裂に注入して用いられるものであり、土木建築の基礎工事において広く用いられている。例えば、ダム、トンネル、地下鉄、上下水道建設時の地盤補強、止水に使用されている。このようなセメント系注入材組成物としては、セメント系注入材を水に混合攪拌してスラリー状にしたものが用いられている。この場合、セメント粒子の分散性を高めて注入材組成物としての性能を向上させるために分散剤が用いられ、セメント系注入材、分散剤及び水を混合攪拌したスラリーが使用されている。セメント系注入材としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、コロイドセメント、超微粒子セメント等を挙げることができる。セメント系注入材組成物の性能においては、セメント系注入材の粒径が重要であり、一般的に粒子径を小さくすることで注入性は向上する。セメント系注入材の中で超微粒子セメントが最も注入性に優れ、実用性も多い。
従来の超微粒子セメント系注入材としては、ポルトランドセメント又はポルトランドセメントクリンカー(以下セメントクリンカーという)と高炉スラグと石膏との混合物であり、最大粒径10〜16μm程度のものが使用されている。
更に、分散性の向上や凝集による見かけ粒子の粗大化を低減するために、約2μm以下の粒子量を限定し、特定の粒度範囲で構成された超微粒子セメントが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような特定の粒度範囲とした超微粒子セメントは、従前の超微粒子セメントと比較し、注入性は向上しているが、注入対象とする粒子間隙、岩盤の亀裂によっては粒子径の大きさから自ずと注入が不可能な場合があった。したがって、注入性に優れ、様々な形態の地盤や岩盤に対応することができる超微粒子セメント系注入材組成物が求められていた。
また必要以上に粒子径を小さくした超微粒子セメントの場合、例えば、極超微粒子セメントと呼ばれるような超微粒子セメントよりも粒径が小さいものの場合には、強い凝集作用があり、ドライ状態においても粒子間の凝集が散見され、スラリー中の凝集速度も極めて速いという現象が認められる。このため、スラリー中の粒子の分散が不充分になりやすく、凝集による見かけ粒子の粗大化が速まることになる。このようなスラリーを注入材として用いた場合、むしろ注入性の低下を招くことになる(例えば、非特許文献1参照。)。
このような背景から、セメント粒子の分散性を高めて注入性を向上させることを目的として、高圧分散処理方法(例えば、特許文献2参照。)や超音波処理後に凝集粒子を除去する方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。しかしながら、これらの方法においては、特殊な装置が必要で製造ラインが煩雑になることや、粒子の分散処理後に再凝集し易いことから、分散保持性等を向上させて、注入性を高めるための工夫の余地があった。また、超音波処理後に凝集粒子を除去する方法では、廃棄するスラリーが発生し、注入効率の面においても劣ることになる。したがって、極めて高い注入性が期待される極超微粒子セメント注入材を用いた注入材組成物を実用化することが求められており、工業的に簡便な方法によって極超微粒子セメント注入材の分散性や分散保持性を高め、かつ注入効率においても有利なものとするための工夫の余地があった。
特許第3423913号公報 特開平3−26783号公報 特開2000−70700号公報 森麟、田村昌仁、青木康司、"超微粒子注入材の浸透限界"、土木学会論文集、第426号/V−14、pp237−240、(1991.2)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、分散性及び分散保持性に優れ、従来の超微粒子セメント系注入材では粒子径の大きさから注入が不可能であった極微小な地盤の粒子間隙、岩盤の亀裂などに容易に注入することができる極超微粒子注入材組成物、及び、このような極超微粒子注入材組成物を特殊な設備や製造ラインを必要とすることなく製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、極超微粒子注入材組成物について種々検討したところ、構成成分及び組成が特定された極超微粒子セメントを含む極超微粒子注入材組成物において、ポリカルボン酸系分散剤を必須成分として含んでなるものとすると、ポリカルボン酸系分散剤の優れた分散効果に起因して、セメント粒子の凝集を極力低減できることから、従来の超微粒子セメントをしのぐ、優れた注入性を発揮することを見いだした。また、ポリカルボン酸系分散剤存在下、特定の速度で混合攪拌する高速攪拌工程を有する製造方法や、加水及び攪拌を2回以上行う2段加水攪拌法により、極超微粒子注入材組成物を製造することで、更に、分散性及び分散保持性に優れた極超微粒子注入材組成物を得ることができ、注入用途に好適に用いることができることを見いだした。また、このような製造方法においては、特殊な装置を必要としないことから、極超微粒子注入材組成物を簡便に安価に製造できることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。
すなわち本発明は、(a)3CaO・Alの含有量が5質量%以下であるセメントクリンカー2〜25質量%、(b)高炉スラグ74〜97質量%、(c)石膏1〜5質量%を含み、粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60〜80体積%である極超微粒子セメント及びポリカルボン酸系分散剤を必須成分として混合してなる極超微粒子注入材組成物である。
また、本発明の極超微粒子注入材組成物における好ましい形態は、上記ポリカルボン酸系分散剤が不飽和ポリアルキレングリコール系単量体に由来する繰り返し単位と不飽和カルボン酸系単量体に由来する繰り返し単位とを有するポリカルボン酸系共重合体を含む形態である。
本発明はまた、上述した極超微粒子注入材組成物を製造する方法であって、上記製造方法は、周速314m/min以上で混合攪拌する高速攪拌工程を有する極超微粒子注入材組成物の製造方法でもある。
本発明は更に、上述した極超微粒子注入材組成物を製造する方法であって、上記製造方法は、極超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌後、更に加水して再攪拌する工程を有する極超微粒子注入材組成物の製造方法でもある。
なお、極超微粒子注入材組成物は、固体(粉体)、液体(スラリー)等の種々の形態を含むものであるが、通常では、極超微粒子セメント、ポリカルボン酸系分散剤及び水を必須成分として混合してなる極超微粒子注入材組成物として用いられることになる。この場合、スラリー状の形態となり、そのようなスラリーを「極超微粒子セメント系グラウト用スラリー」、又は、単に「スラリー」ともいう。
以下に本発明を詳述する。
本発明の極超微粒子注入材組成物は、構成成分及び組成が特定された極超微粒子セメント及びポリカルボン酸系分散剤を必須成分として混合してなるものである。
上記極超微粒子セメントとは、本発明においては、粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60〜80体積%であるものをいう。本発明の極超微粒子注入材組成物に用いられる極超微粒子セメントは、このように構成成分及び組成が特定されたものである。極超微粒子セメントが上記粒径のものを上記粒子量で含有することで、得られる極超微粒子注入材組成物が優れた注入性を発揮することができる。上記粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60〜80体積%である範囲は、従来の超微粒子セメントに比べより高微粉末であり、工業的に生産可能な粒度のものである。上記極超微粒子セメントの粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60体積%未満であると、従来の超微粒子セメント系と同程度の粒度であり、優れた注入性が充分に発揮されないおそれがある。また、80体積%を超えると、現在の製造技術では1μm以下の粒子を取り除くことは限度があることから、工業的に達成することが困難であるおそれがあり、80体積%が上限値である。また、上記1〜5μmの粒子量は、60〜75体積%であることがより好ましく、65〜75体積%であることが更に好ましい。
上記粒子量は、例えば、分散媒にエタノールを用いて、超音波洗浄器(出力40W、周波数40kHz)で3分間処理後に測定することが好ましい。
上記粒子量は、極超微粒子セメントに含まれる粒径1〜5μmの範囲の粒子量を表し、レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所社製SALD−2000J、屈折率1.70±0.20i)により、粉体状極超微粒子セメントの粒子量を測定することができる。このようにして得られた粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60〜80体積%とする。
本発明の極超微粒子注入材組成物において、上記セメントクリンカーとしては、3CaO・Al(以下、C3Aともいう)の含有量がセメントクリンカー100質量%に対し、本発明の作用効果を充分に発現するには、5質量%以下である。5質量%以下とすることにより、極超微粒子注入材組成物の注入性を充分に優れたものとでき、特に初期の良好な注入性を得ることができる。C3Aの含有量としてより好ましくは、2〜5質量%である。更に好ましくは、3〜5質量%である。なお、C3Aの含有量は、ボーグ式より求めることができる。
本発明における上記セメントクリンカーは、3CaO・SiO、2CaO・SiO、3CaO・Al(C3Aともいう。)、4CaO・Al・Feが主要鉱物として含むものである。セメントクリンカーは、これらの鉱物の含有量が変わることで水和活性、被粉砕性などが大きく異なる。これらの鉱物の含有量としては、本発明の作用効果が発揮される限り特に限定されないが、これらの鉱物の中でもC3Aは、他の鉱物より分散剤の吸着量が多いため、C3A含有量を低減することにより、スラリー液中の初期分散剤濃度を高く維持でき、極超微粒子注入材組成物の分散保持性を高いものとすることができる。C3Aは、初期水和活性が高く、粒子の凝集促進に加え、石膏と迅速に反応し、注入阻害初期水和物であるエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)を生成することが知られている。また、C3Aは粉砕時に微粉側に偏析し、セメントクリンカーをより高微粉末にすると極微粒のC3A粒子数が著しく増加し、極超微粒子注入材組成物の高分散性及び高分散保持性が充分に発揮されないおそれがあるため、含有量を低減することが好ましい。
上記セメントクリンカーとしては、C3Aが上述の範囲であるセメントクリンカーであれば特に限定されないが、具体的には、JISに定める耐硫酸塩セメント、中庸熱セメント、低熱セメントの範疇に属するセメントクリンカーであることが好ましい。より好ましくは、中庸熱セメント、低熱セメントの範疇に属するセメントクリンカーである。
本発明の極超微粒子注入材組成物において、上記セメントクリンカーの含有量は、極超微粒子セメント100質量%中、2〜25質量%の範囲である。例えば、C3Aが5質量%以下であるC3A含有量を低減したセメントクリンカーであっても、セメントクリンカー含有量が多くなると極超微粒子セメント中のC3A含有量が多くなることから、注入性を向上させるためにはセメントクリンカーの含有量を限定し、極超微粒子セメント中のC3A含有量を極力低減することが効果的である。25質量%以下とすることにより、極超微粒子セメント中のC3A含有量の増加に伴って凝集粒子が増加することなく、極超微粒子注入材組成物は、より充分に優れた注入性を発揮することができる。また、セメントクリンカーの含有量が2質量%未満であると、強度発現性が乏しく実用的に有用でないおそれがある。セメントクリンカーの含有量としてより好ましくは、5〜25質量%である。更に好ましくは、5〜20質量%である。
本発明の極超微粒子注入材組成物において、上記高炉スラグの含有量は、極超微粒子セメント100質量%に対し、74〜97質量%のものである。74質量%以上とすることにより、セメントクリンカーの水和活性の緩和効果が充分となり、極超微粒子注入材組成物の優れた注入性を発揮することができる。また、97質量%を超えると、初期から強度発現性が充分でなく、実用的でないおそれがある。本発明の作用効果を充分に発現するには、高炉スラグの含有量としてより好ましくは、74〜95質量%である。更に好ましくは、77〜92質量%である。
本発明の極超微粒子注入材組成物において、上記高炉スラグとしては、特に限定されないが、徐冷スラグ、水砕スラグの1種又は2種を好適に使用することができる。より好ましくは、強度発現性の面から水砕スラグである。高炉スラグを用いずに、セメントクリンカーと石膏とを含む極超微粒子セメントを用いると、水と混練したときに水和活性が高く、凝集することから、見掛け上の粒子の粗大化が生じるおそれがある。高炉スラグを使用することにより、水と混練したときの水和活性を緩和し、極超微粒子注入材組成物において、凝集粒子が低減し、分散保持性が優れたものとすることができ、さらに中〜長期の強度発現及び耐久性の向上が得られる。
本発明の極超微粒子注入材組成物において、上記石膏の含有量としては、極超微粒子セメント100質量%中に対し、1〜5質量%の範囲である。1質量%未満であると、初期の強度発現が低下し、5質量%を超えるとC3Aとの反応によるエトリンガイトの生成量が増加し、高い注入性が得られないのに加え、材料分離による石膏層が多くなり、均一な地盤改良効果が得られないおそれがある。石膏の含有量としてより好ましくは、1〜4質量%である。更に好ましくは、2〜4質量%である。
本発明の極超微粒子注入材組成物において、上記石膏は、特に限定されないが、二水石膏、半水石膏、II型無水石膏やIII型無水石膏等の無水石膏等が好適である。これらは、化学石膏であっても、天然産のものであってもよく、熱処理されていてもよい。好ましくは、注入性、強度発現の面からII型無水石膏である。
上記石膏を構成成分とすることにより、初期の強度発現性、高炉スラグの中長期の水和促進効果を得ることができる。一方、石膏は、易粉砕性の材料であり、混合粉砕により、C3Aと同じく偏析しやすい。石膏の種類によっては活性であり、例えば、半水石膏は水和により極めて短時間に硬化する。C3Aと迅速に反応する石膏は、極超微粒子注入材組成物が優れた注入性を発揮できるものとするために、特定量以下とすることが好ましい。また、石膏は、他の材料に比べ、密度が小さく、圧力注入時に材料分離を生じることから、多量に添加すると、極超微粒子注入材組成物を注入材として用いた場合に、付着性に乏しい石膏層を形成するおそれがある。
上記極超微粒子セメントの含有量は特に限定されないが、極超微粒子注入材組成物100質量%に対して、固形分換算で95〜99.7質量%が好ましい。95質量%未満であると、経済性が悪くなり、コストが合わないおそれがある。99.7質量%を超えると、極超微粒子注入材組成物の分散性、分散保持性が充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは、96〜99.5質量%である。更に好ましくは、97〜99質量%である。
本発明で使用するポリカルボン酸系分散剤は、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、例えば、セメント・コンクリート分野で使用される分散剤や市販のセメント・コンクリート用減水剤が好ましい。市販のセメント・コンクリート用減水剤の中でも本発明で好適に用いることができる分散剤は、ポリカルボン酸系セメント分散剤や減水剤と呼ばれるものであり、セメント分散剤の必須成分とすることができるポリカルボン酸系共重合体を含むものである。このようなポリカルボン酸系セメント分散剤は、立体障害によって少量で高分散性及び高分散保持性が得られる分散剤として知られている。ポリカルボン酸系セメント分散剤において、ポリカルボン酸系共重合体は、遊離のカルボキシル基を有し、セメント組成物に対して減水性能を発揮することができるものであればよく、1種又は2種以上用いることができるが、側鎖にポリアルキレングリコールを有するポリカルボン酸系共重合体が好適である。側鎖にポリアルキレングリコールを有する場合、分散性及び分散保持性は、主鎖長、側鎖長、カルボン酸量などによって性能が異なることが知られている。
上記セメント・コンクリート分野で使用されるポリカルボン酸系セメント分散剤は、本発明の極超微粒子注入材組成物において好適に用いることができ、該極超微粒子セメントに対しても、他の分散剤に比べ高分散性及び高分散保持性を発揮することができる。
本発明のポリカルボン酸系分散剤に含まれるポリカルボン酸系共重合体は、上記セメント分散剤と同様、遊離のカルボキシル基を有し、極超微粒子セメントにおいて分散性能を発揮し、極超微粒子注入材組成物が優れた分散性(浸透性)及び分散保持性を有するものとすることができるものであればよく、1種又は2種以上用いることができるが、側鎖にポリアルキレングリコールを有することが好ましい。すなわち、上記ポリカルボン酸系分散剤は、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体に由来する繰り返し単位と不飽和カルボン酸系単量体に由来する繰り返し単位とを有するものであることが好ましい。このように、上記ポリカルボン酸系分散剤は、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体に由来する繰り返し単位と不飽和カルボン酸系単量体に由来する繰り返し単位とを有するポリカルボン酸系共重合体を含む極超微粒子注入材組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記ポリカルボン酸系共重合体としては、側鎖が長いものであることが好ましい。側鎖が長い共重合体とすることにより、このようなポリカルボン酸系分散剤を含む極超微粒子注入材組成物は、分散性(浸透性)及び分散保持性に優れることとなる。側鎖の鎖長と分散性(浸透性)及び分散保持性について、概念的に説明すると、側鎖が長い場合、立体障害が生じやすいため、ポリカルボン酸系共重合体が吸着した極超微粒子セメント粒子が互いに接近しにくくなり、分散性に優れるものとすることができる。また、特定の極超微粒子セメント粒子において、その表面に吸着する際ポリカルボン酸系共重合体同士が立体障害により互いに接近しにくくなることから、極超微粒子セメント粒子をポリカルボン酸系共重合体が過度に覆ってしまうことが避けられることとなる。このため、極超微粒子セメント粒子が水と接触する部分を充分に確保することができ、これによって、水和がすすみ、短時間で凝結し、硬化時間を短くすることができる。
一方、側鎖が短い場合、立体障害が生じにくいため、ポリカルボン酸系共重合体が極超微粒子セメント粒子を覆い、極超微粒子セメント粒子の水和が妨げられ、凝結に長時間を要するおそれがある。このように、ポリカルボン酸系分散剤に含まれるポリカルボン酸系共重合体は、分散性及び分散保持性に優れるため、側鎖が長いものであることが好ましい。なお、上記ポリカルボン酸系共重合体については後述する。
上記ポリカルボン酸系分散剤の添加量は特に限定されないが、該極超微粒子セメント100質量%に対して、固形分換算で0.3〜5.0質量%が好ましい。0.3質量%未満であると、極超微粒子注入材組成物の分散性、分散保持性が充分に発揮できないおそれがあり、5.0質量%を超えると、添加量が多くなり過ぎて経済性が悪くなり、コスト的に合わないおそれがある。より好ましくは、0.5〜4.0質量%である。更に好ましくは、1.0〜3.0質量%である。
上記極超微粒子注入材組成物としては、極超微粒子セメント及びポリカルボン酸系分散剤を必須成分として混合してなるものであるが、上述したように、通常は、水を含んでなるものである。このような水としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、好ましくは、JIS A 5308の附属書9に定める水である。このようなJIS A 5308の附属書9に定める水は、コンクリートの性能に悪影響を及ぼさないもので、上水道や上水道以外の水(河川水、湖沼水、井戸水、地下水等)が規定されている。これら以外の水、例えば、海水等のような強電解質を使用した場合、セメント粒子の凝集が促進され、高注入性が得られないおそれがある。
上記水の含有量は本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、極超微粒子注入材組成物(極超微粒子セメント系スラリー)の構成成分や用途に応じて適宜設定することができる。例えば、注入材として用いる場合には、水/極超微粒子セメント質量比は、スラリーを地盤などへ注入する際の水/極超微粒子セメント質量比が、80〜10000%とすることが好ましい。80%未満であると、極超微粒子セメント系スラリーの濃度が高すぎて、注入に高い圧力を要するおそれがあり、10000%を超えると、スラリーの濃度が低すぎて、充分な強度が発現しないおそれがある。より好ましくは、90〜5000%であり、更に好ましくは、100〜2000%である。また、上記スラリーを地盤などへ注入する際の極超微粒子セメントの含有量は、極超微粒子注入材組成物(極超微粒子セメント系スラリー)を100質量%とすると、0.9〜56質量%とすることが好ましい。0.9質量%未満であると、極超微粒子セメント系スラリーの濃度が低すぎて、充分な強度が発現しないおそれがあり、56質量%を超えると、スラリーの濃度が高すぎて、注入に高い圧力を要するおそれがある。より好ましくは、1.9〜53質量%であり、更に好ましくは、4〜50質量%である。
本発明の極超微粒子注入材組成物には、本発明の作用効果を奏する限り、上記のもの以外にも、ポリカルボン酸系以外のセメント分散剤、AE剤、消泡剤、硬化(凝結)遅延剤、硬化(凝結)促進剤、セメント湿潤剤、膨張剤、防水剤、急結剤、増粘剤、凝集剤、速硬材、収縮低減剤、分離低減剤、中性化防止剤、防錆剤等の他のコンクリート混和剤、その他の水溶性高分子化合物、ポゾラン物質、粘土鉱物、起泡剤、発泡剤、防凍剤などの1種又は2種以上を用いることができ、セメント及びコンクリート分野で公知の混和剤や混和材等を併用してもよい。
上記ポリカルボン酸系以外のセメント分散剤の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系;等の各種スルホン酸系セメント分散剤が挙げられる。
上記AE剤の具体例としては、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等が挙げられる。
本発明の極超微粒子注入材組成物においては、また、アルキルエーテル型陰イオン界面活性剤タイプ、変性ロジン酸化合物系陰イオン界面活性剤タイプ、アルキルスルホン酸化合物系陰イオン界面活性剤タイプ、高アルキルカルボン酸塩系陰イオン界面活性剤タイプ、変性アルキルカルボン酸化合物系陰イオン界面活性剤タイプ等の種々のAE剤、ヴィンソル(商品名、山宗化学社製)又は、マイクロ−エアー(Micro−Air,商品名、マスタービルダーズ社製)等を併用してもよい。
上記消泡剤としては、具体的には、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールへプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−へキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンステアリルリン酸エステル等のポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂アミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;等が挙げられる。これらの消泡剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。消泡剤の添加時期は、重合開始前・重合中・重合後のいずれであってもよい。また添加割合は、極超微粒子注入材組成物用ポリマーの全質量に対して、0.0001〜10質量%とすることが好ましい。すなわち、ポリカルボン酸系分散剤に対して、0.0001〜10質量%とし、分散剤に予め添加しておくことができる。
上記オキシアルキレン系以外の消泡剤の具体例としては、燈油、流動パラフィン等の鉱油系消泡剤;動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等の油脂系消泡剤;オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等の脂肪酸系消泡剤;グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡剤;オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコ−ル、アセチレンアルコール、グリコール類等のアルコール系消泡剤;アクリレートポリアミン等のアミド系消泡剤;リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等の金属石鹸系消泡剤;ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等のシリコーン系消泡剤等が挙げられる。
上記硬化促進剤の具体例としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等が挙げられる。
上記水溶性高分子化合物の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化又はヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素原子数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等が挙げられる。
本発明の極超微粒子注入材組成物において、(a)3CaO・Alの含有量が5質量%以下であるセメントクリンカー2〜25質量%、(b)高炉スラグ74〜97質量%、(c)石膏1〜5質量%を含有する高微粉の粉体であり、粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60〜80体積%である極超微粒子セメント、ポリカルボン酸系分散剤及び水からなるスラリーもまた、本発明の好ましい形態の一つである。このように、水和活性の高い鉱物であるC3Aを低減したセメントクリンカー、高炉スラグ及び石膏の配合割合を特定し、ポリカルボン酸系分散剤と水とを含むことにより、従来の超微粒子セメントの粒度を凌ぐ極超微粒子化にしても、スラリー中の粒子の凝集を極力低減でき、従来の超微粒子セメントを凌ぐ高注入性を得ることができる。
本発明はまた、上述した本発明の極超微粒子注入材組成物を製造する方法であって、該製造方法は、周速314m/min以上で混合攪拌する高速攪拌工程を有する極超微粒子注入材組成物の製造方法でもある。2500rpm以上で混合攪拌する高速攪拌工程を有することもまた、本発明の超微粒子注入材組成物の製造方法の好ましい形態である。上記製造方法においては、上記高速攪拌工程を有することにより、注入材等種々の用途に好適な極超微粒子注入材組成物を製造することができる。
また、本発明の極超微粒子注入材組成物の製造方法の好ましい形態としては、極超微粒子セメント、ポリカルボン酸系分散剤及び水を必須成分として混合してなる極超微粒子注入材組成物を製造する方法であって、該製造方法は、周速314m/min以上で混合攪拌する高速攪拌工程を有する形態が挙げられる。2500rpm以上で混合攪拌する高速攪拌工程を有する形態もまた好ましい形態である。
上記周速とは、攪拌羽根の先端周速度を意味する。
上記周速は、下記式;
周速(m/min)=羽根直径(m)×π×攪拌軸回転数(rpm)
により求めることができる。
なお、上記製造方法において、極超微粒子注入材組成物に含まれる成分(極超微粒子セメント、ポリカルボン酸系分散剤、水等)としては、上述したものを用いることが好ましい。以降、高速攪拌工程有する極超微粒子注入材組成物の製造方法を、高速攪拌法ともいう。
本発明においては、上記条件で高速攪拌することにより、ミキサーの高速回転による剪断作用が充分に極超微粒子セメントの凝集1、2次粒子を解きほぐし、新たに現れた粒子表面に分散剤が迅速に吸着することで、高分散性及び高分散保持性を有する極超微粒子注入材組成物を得ることができる。一方、通常の製造方法により極超微粒子セメントとポリカルボン酸系分散剤と水とを混合すると、粒子の凝集速度が分散剤の吸着速度を凌駕する場合が多いため、上述したような優れた分散性、分散保持性を有する極超微粒子注入材組成物(極超微粒子セメント系グラウト用スラリー)を得ることができないおそれがある。例えば、製造方法によっては、得られたスラリーは、従来の超微粒子セメントより注入性が劣る場合もある。
上記高速攪拌工程において、周速314m/min未満であると、極超微粒子セメント粒子の分散が不充分となり、極超微粒子注入材組成物の注入性が低下するおそれがある。2500rpm未満であっても、同様のおそれがある。より好ましくは、周速376.8m/min以上である。3000rpm以上もまた好ましい。高速攪拌工程における攪拌速度の上限としては、特に制限されないが、実用的には、周速1884m/min以下であることが好ましい。12000rpm以下もまた好ましい。周速1884m/minを超えても注入性に顕著な改善効果が見られず、設備面等においてコストが高くなるおそれがある。12000rpmを超えても同様のおそれがある。より好ましくは、周速1570m/min以下である。10000rpm以下もまた好ましい。範囲としては、周速314〜1884m/minであることが好ましい。2500〜12000rpmもまた好ましい。なお、上記高速攪拌工程においては、高速ミキサーの攪拌軸回転数により混合攪拌速度を設定することができる。
上記高速攪拌工程で使用する高速ミキサーとしては、特に限定されないが、攪拌軸及び攪拌羽根を有する高速ミキサーが好ましい。具体的には、多目的デジタル攪拌機(井内盛栄堂社製、攪拌軸最大回転数5000rpm、攪拌羽根径40mm)、ブレンダー(オスター社製、攪拌軸最大回転数15700rpm、攪拌羽根径50mm)等の1種又は2種以上を用いることができる。なお、上記例示の高速ミキサーは、少量攪拌に好適な試験用途のミキサーであり、極超微粒子注入材組成物を、例えば、地盤や岩盤に注入して用いる場合は、用いる規模に応じて適当な高速ミキサーを用いることができる。
上記高速攪拌工程における攪拌時間としては、製造する極超微粒子注入材組成物の用途、原材料の種類、量、用いるミキサー、攪拌時の温度等、種々の条件により適宜設定することができる。例えば、極超微粒子注入材組成物を注入材として用い、その原料としてセメントクリンカー、高炉スラグ及び石膏を含有する高微粉の粉体であり極超微粒子セメントを用いる場合、1〜10分間攪拌することが好ましい。
上記高速攪拌工程においては、極超微粒子セメントとポリカルボン酸系分散剤と水を必須とする極超微粒子注入材組成物を製造する方法であるが、上記攪拌速度で攪拌することが好ましい。これらの成分は、上記攪拌速度で高速攪拌するときに存在していればよく、その添加順序や添加方法は特に限定されないが、(1)液体の分散剤を使用する場合は、分散剤溶液(水+分散剤)にセメントを入れる形態が好ましい。粉末の分散剤を使用する場合は、(2)分散剤粉末を水に添加した溶液にセメントを入れる形態、(3)セメントと分散剤の混合物に水を添加する形態が好ましい。このように、上記ポリカルボン酸系分散剤は、液体、粉末のどちらでも使用可能であり、種々の条件に応じて適宜選択することができる。
上記成分の添加・混合形態としては、上述の中でも、均一なスラリーを、凝集させることなく容易に得ることができるため、(1)の形態が好ましい。
本発明は更に、上述した本発明の極超微粒子注入材組成物を製造する方法であって、該製造方法は、極超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌後、更に加水して再攪拌する工程を有する極超微粒子注入材組成物の製造方法でもある。
上記製造方法においては、極超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌(以下、初期加水攪拌工程ともいう。)後、更に加水して再攪拌する(以下、第2加水攪拌工程ともいう。)ことになるが、水の添加回数及び混合物の攪拌回数としては、初期加水攪拌工程及び第2加水攪拌工程においてそれぞれ加水・攪拌する回数が少なくとも2回以上であることが好ましい。このように2回以上加水及び攪拌することにより、極超微粒子注入材組成物の濃度を容易に調整することができ、高分散性及び高分散保持性を有するスラリーを得ることができる。なお、上記製造方法において、極超微粒子注入材組成物に含まれる成分(極超微粒子セメント、ポリカルボン酸系分散剤、水等)としては、上述したものを用いることが好ましい。
上記加水及び攪拌回数としては、2回以上であれば特に限定されない。加水及び攪拌回数が2回以上である場合、加水回数と攪拌回数は、互いに異なっていてもよく、初期加水攪拌工程と第2加水攪拌工程とを有するものであればよい。上記加水及び攪拌が2回以上である極超微粒子注入材組成物を製造する方法を「2段加水攪拌法」ともいう。上記加水及び攪拌回数としては、加水及び攪拌回数を増すと、工程が複雑になることから、2回であることが好ましい。
以降、初期加水攪拌工程と、第2加水攪拌工程について説明する。なお、加水が2回を超える場合、初期加水攪拌工程と、第2加水攪拌工程以外の加水(その他の加水ともいう。)としては、第2加水攪拌工程の前に加水される限り特に限定されない。その他の加水において、それぞれの加水量としては、第2加水攪拌工程において後述する水/極超微粒子セメント質量比となればよく、特に限定されない。また、攪拌が2回を超える場合は、どの段階で攪拌されてもよく、初期加水攪拌工程の前や、初期加水攪拌工程と第2加水攪拌工程との間や、第2加水攪拌工程の後に攪拌することができ、連続的に攪拌が行われていてもよい。
上記初期加水攪拌工程と第2加水攪拌工程における水の添加量としては、初期加水攪拌工程において所定の水/極超微粒子セメント質量比より小さくし、第2加水攪拌工程において所定の水/極超微粒子セメント質量比とすることであることが好ましい。上記2段加水攪拌法においては、分散剤のセメント粒子への吸着が、液層吸着であることから、初期の水/極超微粒子セメント質量比を小さくすることで、セメント粒子表面に速やかに水膜を形成させることができる。また、水/極超微粒子セメント質量比を小さくすることで、液中の分散剤濃度を高く維持することができ、粒子への吸着速度が速くなり粒子表面に均一な吸着層を形成することができる。また、第2加水攪拌工程において、後述する水/極超微粒子セメント質量比まで加水後に再攪拌したスラリーは、高分散性及び高分散保持性が得られ、グラウト用として好適に用いることができる。
上記水/極超微粒子セメント質量比としては、初期加水攪拌工程(初期攪拌時)において、30〜90%であることが好ましい。30%未満であると、水量が少なく均一な混合攪拌ができないおそれがある。また、90%を超えると初期の分散剤吸着量が少なく、2段加水攪拌法による分散効果が得られないおそれがある。より好ましくは、40〜70%である。
上記第2加水攪拌工程における水/極超微粒子セメント質量比としては、上記極超微粒子注入材組成物の水/極超微粒子セメント質量比において記載した範囲であることが好ましく、100〜10000%とすることが好ましい。上記範囲とすることにより、得られた極超微粒子注入材組成物を注入用途にそのまま用いることができる。このように、本発明の2段加水攪拌法においては、初期加水攪拌工程において、少量の水を添加・攪拌し、第2加水攪拌工程おいて水/極超微粒子セメント質量比を上記範囲として、地盤などへ注入する際に好適な水/極超微粒子セメント質量比とし、攪拌することにより均一なスラリーとし、注入材として好適に用いることができる。
上記2段加水攪拌法の攪拌速度は特に限定されないが、初期加水攪拌工程及び第2加水攪拌工程において、周速37.7m/min以上が好ましい。300rpm以上もまた好ましい。周速37.7m/min未満であると、攪拌が充分でなく、均一なスラリーとならないおそれがある。300rpm未満であっても同様のおそれがある。より好ましくは、周速75.4m/min以上であり、更に好ましくは、周速125.6m/min以上である。600rpm以上もまたより好ましく、1000rpm以上もまた更に好ましい。攪拌速度の上限は、特に限定されない。なお、攪拌が2回を超えて行われる場合は、初期加水攪拌工程及び第2加水攪拌工程以外の攪拌速度等については、上記のとおりであることが好適である。
上記2段加水攪拌法においては、極超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌後、更に加水して再攪拌する工程を有するものである限り特に限定されず、上記極超微粒子注入材組成物に必須成分として含まれるポリカルボン酸系分散剤は、どの段階で添加されてもよい。極超微粒子セメントを凝集させることなく均一なスラリーを得るためには、上記ポリカルボン酸系分散剤は、初期加水攪拌工程でポリカルボン酸系分散剤が含まれる形態が好ましい。このようなポリカルボン酸系分散剤の混合形態としては、上記高速攪拌工程において、極超微粒子セメントとポリカルボン酸系分散剤と水とを添加する方法として述べたものと同様であることが好ましい。すなわち、上記(1)〜(3)の形態((1)分散剤溶液(水+分散剤)にセメントを入れる形態、(2)分散剤粉末を水に添加した溶液にセメントを入れる形態、(3)セメントと分散剤の混合物に水を添加する形態)が好ましく、中でも、(1)液体の分散剤を使用する場合は、分散剤溶液(水+分散剤)にセメントを入れる形態が好ましい。
上記2段加水攪拌法は、上述のように、初期攪拌時に水/極超微粒子セメント質量比が30〜70%で混合攪拌することが好ましく、第2加水攪拌工程においては、水/極超微粒子セメント質量比が100〜10000%で混合攪拌することが好ましい。このように、混合攪拌方法が初期攪拌時の水極超微粒子セメント質量比が30〜70%で混合攪拌後、所定の水/極超微粒子セメント質量比まで加水後に、再攪拌する2段加水攪拌法である極超微粒子セメント系グラウト用スラリーもまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の高速攪拌法及び2段加水攪拌法は、独立して用いることができるが、高速攪拌法及び2段加水攪拌法を併用することが好ましい。これらを併用することにより、高分散性及び高分散保持性を有する極超微粒子注入材組成物を製造することができる。併用方法としては、周速314m/min以上で混合攪拌する高速攪拌工程及び極超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌後、更に加水して再攪拌する工程を含む限り特に限定されないが、2段加水攪拌法の初期加水攪拌工程と第2加水攪拌工程の少なくとも一方において、周速314m/min以上で混合攪拌する高速攪拌工程であることが好ましい。また、併用方法としては、2500rpm以上で混合攪拌する高速攪拌工程及び超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌後、更に加水して再攪拌する工程を含むことが好ましく、2段加水攪拌法の初期加水攪拌工程と第2加水攪拌工程の少なくとも一方において、2500rpm以上で混合攪拌する高速攪拌工程であることがより好ましい。より好ましくは、初期加水攪拌工程において、高速攪拌されることであり、更に好ましくは、初期加水攪拌工程及び第2加水攪拌工程の両方で高速攪拌されることである。
上記高速攪拌法及び/又は2段加水攪拌法は、従来の超微粒子セメントを用いたグラウト用スラリーの攪拌法としても適用可能で、凝集粒子の生成数を低減でき、優れた注入性を有する極超微粒子注入材組成物を得ることができる。
以下に、本発明のポリカルボン酸系分散剤に含まれるポリカルボン酸系共重合体について詳述する。
上記ポリカルボン酸系共重合体としては、極超微粒子注入材組成物に含まれる粒子に対して分散性能及び分散保持性能を発揮することができるものであれば特に限定されないが、側鎖にポリアルキレングリコールを有するポリカルボン酸系共重合体を用いることが好ましい。このようなポリカルボン酸系共重合体は、極超微粒子注入材組成物の必須成分とすることができるものである。
上記側鎖にポリアルキレングリコールを有するポリカルボン酸系共重合体としては、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体に由来する繰り返し単位と不飽和カルボン酸系単量体に由来する繰り返し単位とを有するものであることが好ましい。
上記ポリカルボン酸系共重合体としては、下記一般式(1);
Figure 2007238428
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。aは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜300の数である。Rは、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。)で表されるポリオキシアルキレンエステル系構成単位(I)と、下記一般式(2);
Figure 2007238428
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表されるカルボン酸系構成単位(II)を有するポリカルボン酸系共重合体(P−1)が好ましい。また上記ポリカルボン酸系共重合体としては、下記一般式(3);
Figure 2007238428
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。R10は、炭素原子数1〜5の炭化水素基を表す。R11Oは、同一若しくは異なって、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。bは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜300の数である。R12は、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。)で表されるポリオキシアルキレンエーテル系構成単位(III)と、下記一般式(4);
Figure 2007238428
(式中、R13及びR14は、同一若しくは異なって、水素原子、メチル基又は−COOMを表す。ただしR13及びR14は、同時に−COOMを表さない。R15は、水素原子、メチル基又は−CHCOOMを表す。R15が−CHCOOMのときR13及びR14は、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。M、M及びMは、水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表されるカルボン酸系構成単位(IV)を有するポリカルボン酸系共重合体(P−2)が好ましい。
すなわち、上記ポリカルボン酸系分散剤は、上記ポリカルボン酸系共重合体(P−1)及び/又は上記ポリカルボン酸系共重合体(P−2)を含むことが好ましい。このようなポリカルボン酸系分散剤は、上記ポリカルボン酸系共重合体のみにより構成されていてもよく、その他のものを含んでいてもよいが、ポリカルボン酸系共重合体を主成分とすることが好ましい。上記ポリカルボン酸系共重合体(P−1)及び(P−2)は、上記必須の構成単位(繰り返し単位)を有することを特徴とし、後述の単量体(e)に由来する構成単位(V)を更に有するものであってもよい。これらの構成単位はそれぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記ポリカルボン酸系共重合体(P−1)は、構成単位(I)を与える単量体(例えば、後述の単量体(a))、構成単位(II)を与える単量体(例えば、後述の単量体(b))を必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができる。このような単量体成分は、構成単位(V)を与える単量体(例えば、後述の単量体(e))を更に含むものでもよい。なお、各構成単位がそれぞれ1種の場合には、各構成単位を与える単量体をそれぞれ1種用いればよく、各構成単位がそれぞれ2種以上の場合には、各構成単位を与える単量体をそれぞれ2種以上用いればよい。
上記ポリカルボン酸系共重合体(P−1)を構成する各構成単位の比率としては、質量比で、構成単位(I)/構成単位(II)/構成単位(V)=1〜99/99〜1/0〜50であることが好ましい。より好ましくは構成単位(I)/構成単位(II)/構成単位(V)=50〜99/50〜1/0〜49、更に好ましくは構成単位(I)/構成単位(II)/構成単位(V)=60〜95/40〜5/0〜30、最も好ましくは構成単位(I)/構成単位(II)/構成単位(V)=65〜90/35〜10/0〜10である。ただし、構成単位(I)、構成単位(II)及び構成単位(V)の合計は、100質量%である。
また、上記ポリカルボン酸系共重合体(P−1)は、構成単位(II)を与える単量体(例えば、後述の単量体(b))を必須成分として含む単量体成分を重合して得られるポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部に対して、アルコキシポリアルキレングリコールを直接エステル化して製造してもよい。上記一般式(1)において、Rにおける炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のフェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、(アルキル)フェニル基で置換されたフェニル基、ナフチル基等のベンゼン環を有する芳香族基、炭素原子数2〜30のアルケニル基等が挙げられる。また、オキシアルキレン基の平均付加モル数aは、2〜300の数であるが、5〜300の数が好ましい。より好ましくは10〜250、更に好ましくは20〜200、最も好ましくは50〜100の数である。更に、Rの炭素原子数としては、1〜22が好ましい。より好ましくは1〜18、更に好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜6、更に特に好ましくは1〜5、最も好ましくは1〜3である。
上記一般式(1)におけるオキシアルキレン基ROの炭素原子数としては、2〜18が適当であるが、2〜8が好ましい。より好ましくは2〜4である。また、構成単位(I)として1種類となる場合には、親水性と疎水性のバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須として有することが好ましく、より好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上がオキシエチレン基であることである。一方、構成単位(I)として2種類以上となる場合には、何れか1種類の構成単位(I)のオキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須として有することが好ましい。
上記構成単位(I)を与える単量体(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸又は脂肪酸の脱水素(酸化)反応物への炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドの付加物、又は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素原子数1〜30の飽和脂肪族アルコール類、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、オレイルアルコール等の炭素原子数3〜30の不飽和脂肪族アルコール類、シクロヘキサノール等の炭素原子数3〜30の脂環族アルコール類、フェノール、フェニルメタノール(ベンジルアルコール)、メチルフェノール(クレゾール)、p−エチルフェノール、ジメチルフェノール(キシレノール)、p−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、フェニルフェノール、ナフトール等の炭素原子数6〜30の芳香族アルコール類のいずれかに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸又はクロトン酸とのエステル化合物等が挙げられるが、一般式(1)において、Rが炭化水素基となる場合に相当する、アルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸又はクロトン酸とのエステル化合物が好ましい。
上記単量体(a)の具体的な化学名としては、例えば、下記のもの等が挙げられる。メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メチル−1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メチル−2−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ペンチルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−オクチルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−エチル−1−ヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、セチルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェニルメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、p−エチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、p−t−ブチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ドデシルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ナフトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを付加させた(メタ)アリルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、エチレンオキシドを付加させたクロチルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の各種アルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート類。
メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシドを付加させた(メタ)アリルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、プロピレンオキシドを付加させたクロチルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の各種アルコキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート類。
メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドとブチレンオキシドを付加させた(メタ)アリルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドとブチレンオキシドを付加させたクロチルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の2種類以上のアルキレンオキシドを付加させたアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の各種アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類。
上記一般式(2)で表される構成単位(II)を与える単量体(b)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。特に(メタ)アクリル酸及びこれらの塩が好ましい。上記ポリカルボン酸系共重合体(P−2)は、構成単位(III)を与える単量体(例えば、後述の単量体(c))、構成単位(IV)を与える単量体(例えば、後述の単量体(d))を必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができる。このような単量体成分は、構成単位(V)を与える単量体(例えば、後述の単量体(e))を更に含むものでもよい。
上記ポリカルボン酸系共重合体(P−2)を構成する各構成単位の比率としては、質量比で、構成単位(III)/構成単位(IV)/構成単位(V)=1〜99/99〜1/0〜50であることが好ましい。より好ましくは構成単位(III)/構成単位(IV)/構成単位(V)=50〜99/50〜1/0〜49、更に好ましくは構成単位(III)/構成単位(IV)/構成単位(V)=60〜95/40〜5/0〜30、最も好ましくは構成単位(III)/構成単位(IV)/構成単位(V)=65〜90/35〜10/0〜10である。ただし、構成単位(III)、構成単位(IV)及び構成単位(V)の合計は、100質量%である。
また上記ポリカルボン酸系共重合体(P−2)は、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール等の不飽和アルコールと構成単位(IV)を与える単量体(例えば、後述の単量体(d))とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られるポリマーに、共重合に用いられる該不飽和アルコール1モル当たり、言い換えれば、ポリマー中の不飽和アルコール構成単位1モル当たりアルキレンオキシドを平均2〜300モル付加するか、又は、平均付加モル数2〜300のアルコキシポリアルキレングリコールを反応させる方法によっても得ることができる。上記一般式(3)において、オキシアルキレン基の平均付加モル数bは、2〜300の数であるが、5〜300の数が好ましい。より好ましくは10〜250、更に好ましくは20〜200、特に好ましくは50〜100の数である。また、R12は水素原子が好ましく、また炭化水素基の場合の炭素原子数としては、1〜22が好ましい。より好ましくは1〜18、更に好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜6、更に特に好ましくは1〜5、最も好ましくは1〜3である。更に、R10の炭素原子数としては、1〜5であるが、1〜4が好ましい。より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは−CH−、−(CH−、又は−C(CH−の構造である。
上記一般式(3)におけるオキシアルキレン基R11Oの炭素原子数としては、2〜18が適当であるが、2〜8が好ましい。より好ましくは2〜4である。また、構成単位(III)として1種類となる場合には、親水性と疎水性のバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須として有することが好ましく、より好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上がオキシエチレン基であることである。上記一般式(4)で表される構成単位(IV)を与える単量体(d)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、又は、これらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等の不飽和ジカルボン酸系単量体が挙げられる。更に、これらの無水物も用いることができ、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。特に(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの塩を用いることが好ましい。
本発明で用いることができる構成単位(V)を与える単量体(e)としては、他の単量体の少なくとも1つと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、下記のもの等が挙げられる。マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル;前記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド;前記アルコールやアミン1モル当たりに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと前記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル;前記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル。
マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフアミド;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類。
ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びにそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩(有機アンモニウム塩ともいう。);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸類、並びにそれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート等の不飽和モノカルボン酸と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル;メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類。
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレートなどのシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類。
ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体;2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート等の不飽和リン酸エステル類。
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミンなどのポリアルキレンポリアミンとマロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバチン酸、又はこれらと炭素原子数1〜20のアルコールとのエステル化物等の二塩基酸又は二塩基酸と炭素原子数1〜20のアルコールとのエステルとの縮合物に更に(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸と炭素原子数1〜20のアルコールとのエステル化物、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物などとを特定の割合で縮合させたポリアマイドポリアミンにアルキレンオキシドを特定量付加させた化合物;ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミンの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸と炭素原子数1〜20のアルコールとのエステル化物又は(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化物との縮合物等の窒素原子を有するカチオン性単量体。
本発明の極超微粒子注入材組成物は、上述の構成よりなり、分散性及び分散保持性に優れ、従来の超微粒子セメント系注入材では粒子径の大きさから注入が不可能であった極微小な地盤の粒子間隙、岩盤の亀裂などに容易に注入することができるものであり、また、本発明の極超微粒子注入材組成物の製造方法は、このような極超微粒子注入材組成物を特殊な設備や製造ラインを必要とすることなく製造することができる方法である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
使用材料を以下に示す。
<使用材料>
極超微粒子セメント:極超微粒子セメントは表1に示す材料を、表2に表す割合で混合粉砕し、分級機で所定の粒度となるよう試製した。
表2に記載の1〜5μmの粒子の含有量(体積%)(粒子量)は、分散媒にエタノールを用いて、超音波洗浄器(出力40W、周波数40kHz)で3分間処理後に測定した。
上記1〜5μmの粒子の含有量(体積%)(粒子量)は、極超微粒子セメントに含まれる粒径1〜5μmの範囲の粒子量を表し、レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所社製SALD−2000J、屈折率1.70±0.20i)により、粉体状極超微粒子セメントの粒子量を測定した。
Figure 2007238428
Figure 2007238428
分散剤:分散剤は表3に示すポリカルボン酸系分散剤とナフタレンスルホン酸系分散剤を使用した。
分散剤c(ポリカルボン酸系共重合体(1)又は共重合体(1)ともいう。)及び分散剤d(ポリカルボン酸系共重合体(2)又は共重合体(2)ともいう。)は、下記方法により製造し、重量平均分子量を測定した。測定条件は、以下のとおりである。
(重量平均分子量測定条件)
機種:Waters LCM1、検出器:Waters 410示差屈折検出器
解析ソフト:Waters Millenium Ver.2.18、溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30質量%水酸化ナトリウムでpH6に調整した溶離液を用いる。溶離液流速:0.8ml/min、カラム温度35℃、カラム:東ソー製 TSKgel Guard Column SWXL+G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
共重合体1(分散剤c)の製造方法
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応器に、水99.8gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換して窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。内温が80℃で安定したところで、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25個)106.68g、メタクリル酸28.32g、水33.75g、3−メルカプトプロピオン酸1.46gを混合したモノマー水溶液170.21gを4時間、並びに過硫酸アンモニウム1.62gを溶かした水溶液30gを5時間で反応器に滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させた。反応終了後、水酸化ナトリウムで中和し本発明のポリカルボン酸系共重合体(1)を得た。本発明で得られたポリカルボン酸系共重合体(1)の重量平均分子量は22000であった。
共重合体2(分散剤d)の製造方法
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応器に、水149.5gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換して窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。内温が80℃で安定したところで、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数75個)47.41g、メタクリル酸12.58g、水60.05g、3−メルカプトプロピオン酸0.51gを混合したモノマー水溶液120.51gを4時間、並びに過硫酸アンモニウム0.69gを溶かした水溶液30gを5時間で反応器に滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させた。反応終了後、水酸化ナトリウムで中和し本発明のポリカルボン酸系共重合体(2)を得た。本発明で得られたポリカルボン酸系共重合体(2)の重量平均分子量は30500であった。
Figure 2007238428
実施例1〜12及び比較例1〜8
高速攪拌工程による実施例を以下に示す。
<評価方法>
注入層:注入層はφ5.5cmのアクリルパイプにガラスビーズ(ポッターズバロティーニ社製J−150、平均粒径90μm)を534g入れ、高さ15cmで間隙比40体積%となるように水締めした。なお、ガラスビーズ層の最密充填時の計算値による最小空隙径は14μm、ヘーゼンの近似式から求めた透水係数は6.2×10−3cm/secである。
スラリーの調整方法:スラリーの調整は水に分散剤を添加した溶液に極超微粒子セメントを投入し、3分間所定の回転速度で攪拌した。なお、攪拌は周速628m/min(撹拌軸回転数5000rpm)までは多目的デジタル攪拌機(井内盛栄堂社製、攪拌軸最大回転数5000rpm、攪拌羽根径40mm)、周速1570m/min(10000rpm)はブレンダー(オスター社製、攪拌軸最大回転数15700rpm、攪拌羽根径50mm)を使用した。
スラリーの注入:スラリーの注入は注入層上部からスラリーを500ml注ぎ、自然浸透で行った。
評価:評価はスラリーの浸透長さ及びスラリーが注入層を通過するまでに要した時間で評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2007238428
実施例13〜19及び比較例9〜12
2段加水攪拌法による実施例を以下に示す。
<評価方法>
スラリーの調整方法:スラリーの調整は水に分散剤を添加した溶液に超微粒子セメントを投入し、多目的デジタル攪拌機(井内盛栄堂社製)を使用して初期攪拌を3分間周速75.4m/min(600rpm)で攪拌後、水/極超微粒子セメント質量比が1000%となるよう加水後に、1分間周速75.4m/min(600rpm)で攪拌した。また、注入層、スラリーの注入及び評価は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
Figure 2007238428
上述した実施例では、極超微粒子セメントとして極超微粒子セメント1、2、5〜8を用い、ポリカルボン酸系分散剤として表3に示す分散剤a、c及びdを用いているが、本発明における特定の極超微粒子セメントと、ポリカルボン酸系分散剤とを必須成分として混合してなる形態である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、極超微粒子注入材組成物において少なくとも上記2成分を必須とするところに本発明の本質的特徴があり、それら2成分が同様の化学的特徴を有するものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになる。したがって、本発明における必須成分によって構成される極超微粒子注入材組成物とすれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、更に水を含有する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (4)

  1. (a)3CaO・Alの含有量が5質量%以下であるセメントクリンカー2〜25質量%、(b)高炉スラグ74〜97質量%、(c)石膏1〜5質量%を含み、粉体中の粒径1〜5μmの粒子量が60〜80体積%である極超微粒子セメント及びポリカルボン酸系分散剤を必須成分として混合してなることを特徴とする極超微粒子注入材組成物。
  2. 前記ポリカルボン酸系分散剤は、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体に由来する繰り返し単位と不飽和カルボン酸系単量体に由来する繰り返し単位とを有するポリカルボン酸系共重合体を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の極超微粒子注入材組成物。
  3. 請求項1記載の極超微粒子注入材組成物を製造する方法であって、
    該製造方法は、周速314m/min以上で混合攪拌する高速攪拌工程を有する
    ことを特徴とする極超微粒子注入材組成物の製造方法。
  4. 請求項1記載の極超微粒子注入材組成物を製造する方法であって、
    該製造方法は、極超微粒子セメント及び水を必須成分として混合攪拌後、更に加水して再攪拌する工程を有する
    ことを特徴とする極超微粒子注入材組成物の製造方法。
JP2007024402A 2006-02-07 2007-02-02 極超微粒子注入材組成物 Active JP4848293B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007024402A JP4848293B2 (ja) 2006-02-07 2007-02-02 極超微粒子注入材組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006030178 2006-02-07
JP2006030178 2006-02-07
JP2007024402A JP4848293B2 (ja) 2006-02-07 2007-02-02 極超微粒子注入材組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007238428A true JP2007238428A (ja) 2007-09-20
JP4848293B2 JP4848293B2 (ja) 2011-12-28

Family

ID=38584321

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007024402A Active JP4848293B2 (ja) 2006-02-07 2007-02-02 極超微粒子注入材組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4848293B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010215865A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Denki Kagaku Kogyo Kk 注入材及び注入工法
JP2010285465A (ja) * 2009-06-09 2010-12-24 Takenaka Komuten Co Ltd 高炉セメント組成物を用いた地盤改良用スラリー組成物及びこれを用いたソイルセメントスラリーの調製方法
JP2010285466A (ja) * 2009-06-09 2010-12-24 Takenaka Komuten Co Ltd 高炉スラグ組成物を用いた地盤改良用スラリー組成物及びこれを用いたソイルセメントスラリーの調製方法
WO2011027891A1 (ja) * 2009-09-07 2011-03-10 電気化学工業株式会社 地盤注入用水硬性セメント組成物およびそれを用いた地盤改良工法
JP2012172468A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Kajima Corp セメント系注入材の注入方法
JP2015124503A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 太平洋マテリアル株式会社 注入方法
CN109354469A (zh) * 2018-08-28 2019-02-19 北京瑞威世纪铁道工程有限公司 水泥灌浆材料

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0633057A (ja) * 1992-07-14 1994-02-08 Ube Ind Ltd 地盤改良用注入材
JPH0841455A (ja) * 1994-07-29 1996-02-13 Japan Found Eng Co Ltd 高分散化低粘性超微粒子スラリーの製造方法および高分散化低粘性超微粒子スラリーを用いた地盤注入方法
JPH09286645A (ja) * 1996-02-22 1997-11-04 Nippon Shokubai Co Ltd セメント混和剤およびセメント組成物
JP2003119464A (ja) * 2001-10-16 2003-04-23 Denki Kagaku Kogyo Kk スラグ系注入材
JP2005021882A (ja) * 2003-06-10 2005-01-27 Toda Kogyo Corp 土壌・地下水の浄化処理用鉄複合粒子粉末、その製造法、当該鉄複合粒子粉末を含む浄化剤、その製造法及び土壌・地下水の浄化処理方法
JP2005097413A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Mitsui Kagaku Sanshi Kk 懸濁型地盤改良材の調製法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0633057A (ja) * 1992-07-14 1994-02-08 Ube Ind Ltd 地盤改良用注入材
JPH0841455A (ja) * 1994-07-29 1996-02-13 Japan Found Eng Co Ltd 高分散化低粘性超微粒子スラリーの製造方法および高分散化低粘性超微粒子スラリーを用いた地盤注入方法
JPH09286645A (ja) * 1996-02-22 1997-11-04 Nippon Shokubai Co Ltd セメント混和剤およびセメント組成物
JP2003119464A (ja) * 2001-10-16 2003-04-23 Denki Kagaku Kogyo Kk スラグ系注入材
JP2005021882A (ja) * 2003-06-10 2005-01-27 Toda Kogyo Corp 土壌・地下水の浄化処理用鉄複合粒子粉末、その製造法、当該鉄複合粒子粉末を含む浄化剤、その製造法及び土壌・地下水の浄化処理方法
JP2005097413A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Mitsui Kagaku Sanshi Kk 懸濁型地盤改良材の調製法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010215865A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Denki Kagaku Kogyo Kk 注入材及び注入工法
JP2010285465A (ja) * 2009-06-09 2010-12-24 Takenaka Komuten Co Ltd 高炉セメント組成物を用いた地盤改良用スラリー組成物及びこれを用いたソイルセメントスラリーの調製方法
JP2010285466A (ja) * 2009-06-09 2010-12-24 Takenaka Komuten Co Ltd 高炉スラグ組成物を用いた地盤改良用スラリー組成物及びこれを用いたソイルセメントスラリーの調製方法
WO2011027891A1 (ja) * 2009-09-07 2011-03-10 電気化学工業株式会社 地盤注入用水硬性セメント組成物およびそれを用いた地盤改良工法
JPWO2011027891A1 (ja) * 2009-09-07 2013-02-04 電気化学工業株式会社 地盤注入用水硬性セメント組成物およびそれを用いた地盤改良工法
JP5769198B2 (ja) * 2009-09-07 2015-08-26 電気化学工業株式会社 地盤注入用水硬性セメント組成物およびそれを用いた地盤改良工法
JP2012172468A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Kajima Corp セメント系注入材の注入方法
JP2015124503A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 太平洋マテリアル株式会社 注入方法
CN109354469A (zh) * 2018-08-28 2019-02-19 北京瑞威世纪铁道工程有限公司 水泥灌浆材料
CN109354469B (zh) * 2018-08-28 2022-10-28 北京瑞威世纪铁道工程有限公司 水泥灌浆材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP4848293B2 (ja) 2011-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7717998B2 (en) Ultrafine particle grouting composition
JP5134256B2 (ja) 超微粒子注入材組成物
JP5408830B2 (ja) セメント混和剤及びセメント組成物
JP4848293B2 (ja) 極超微粒子注入材組成物
JP5113988B2 (ja) セメント混和剤用ポリカルボン酸系ポリマー
CN100436360C (zh) 混凝土组合物、混凝土组合物的制造方法及水泥外加剂
TWI508930B (zh) Polycarboxylic acid based polymers for hydraulic materials
JP4987533B2 (ja) セメント混和剤
JP2008230865A (ja) 水硬性材料用添加剤およびそれを用いた水硬性材料組成物
JP5485494B2 (ja) 重合体、その重合体の製造方法およびその重合体を用いたセメント混和剤
JP2018520083A (ja) 水硬性組成物用添加剤
JP2012166978A (ja) セメント混和剤及びセメント組成物
JP5707165B2 (ja) セメント混和剤及びこれを含むセメント組成物
JP2023545408A (ja) 早強スラグ系セメント質結合剤
JP5473997B2 (ja) セメント混和剤
JP2008291078A (ja) 重合体の製造方法
JP6339819B2 (ja) 水硬性組成物に用いる添加剤
JP3995948B2 (ja) コンクリート組成物
JP2015157761A (ja) セメント混和剤及びセメント組成物
JP2003226565A (ja) コンクリート組成物
JP6223750B2 (ja) 水硬性材料用添加剤
JP2003327644A (ja) 不飽和アルコールアルキレンオキシド付加物系重合体
JPWO2020115790A1 (ja) 水硬性組成物用添加剤及び水硬性組成物
JP5427685B2 (ja) 親水性重合体の製造方法
JP2015030639A (ja) セメント混和剤、及び、セメント組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20070618

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070618

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080425

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110602

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110920

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111017

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4848293

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250