JP2015030639A - セメント混和剤、及び、セメント組成物 - Google Patents

セメント混和剤、及び、セメント組成物 Download PDF

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高史 冨田
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Abstract

【課題】セメントの分散性に優れるとともに、乾燥収縮を抑制することのできるセメント混和剤を提供する。【解決手段】(ポリ)アルキレングリコール鎖の少なくとも1つの末端にビニル系単量体単位による高分子鎖の主鎖末端が結合部位を介して結合した構造を必須とする(ポリ)アルキレングリコール系重合体と、収縮低減剤とを含むことを特徴とするセメント混和剤。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント混和剤に関する。
(ポリ)アルキレングリコール鎖を含有する重合体(以下、(ポリ)アルキレングリコール系重合体ともいう。)は、その鎖長や構成するアルキレンオキシドを適宜調整することによって親水性や疎水性、立体反発等の特性が付与され、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に添加されるセメント混和剤用途が検討されている。このようなセメント混和剤は、通常、減水剤等として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を発揮させることを目的として使用される。減水剤としては、従来、ナフタレン系等の減水剤が使用されていたが、ポリアルキレングリコール鎖がその立体反発によりセメント粒子を分散させる分散基として作用することができるため、ポリアルキレングリコール鎖を含有するポリカルボン酸系減水剤が高い減水作用を発揮するものとして新たに提案され、最近では高性能AE減水剤として多くの使用実績を有するに至っている。
従来のポリアルキレングリコール鎖を含有する重合体に関し、例えば、ポリアルキレングリコール鎖の両末端/片末端にメタクリル酸をブロック重合した共重合体(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。
また、原子移動ラジカル重合(ATRP重合)により製造された、ポリ(アルキレンオキシド)化合物とエチレン系不飽和モノマー化合物が共重合された形の共重合体(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
また、洗剤ビルダーに用いる生分解性水溶性重合体として、メルカプト基を有する化合物をポリエーテル化合物にエステル反応で導入した変性ポリエーテル化合物に対し、モノエチレン性不飽和単量体成分をブロック又はグラフト重合させて得られる重合体が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、ポリアルキレングリコール鎖と、上記鎖の少なくとも一端に結合した不飽和単量体由来の構成単位とを含むポリマー単位を有する新規な重合体が、特にセメント混和剤として有用である旨が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
米国特許6248839号明細書 米国特許7425596号明細書 特開平7−109487号公報 特開2007−119736号公報
上記のようにポリアルキレングリコール鎖を含有する重合体として種々の構造のものが開示されているが、未だ、昨今要望される極めて高い性能(セメント分散性(減水性)、スランプフロー)を充分に発揮できる程度には至っていない。セメントの分散性は、セメントを扱う現場での作業性やセメントの硬化後の強度に関係する極めて重要な要素であり、性能がより優れたセメント組成物を実現するセメント混和剤が求められている。
また、セメントが硬化した後に乾燥収縮が進行し、硬化物中にひび割れが生じることも問題となっており、乾燥収縮を抑制することができるセメント混和剤が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、セメントの分散性に優れるとともに、乾燥収縮を抑制することのできるセメント混和剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために種々検討したところ、特定構造を有する重合体と、収縮低減剤を含むセメント混和剤が、セメントの分散性に優れるとともに、乾燥収縮を抑制することのできるセメント混和剤として好適に用いることができることを見出した。
すなわち、本発明のセメント混和剤は、(ポリ)アルキレングリコール鎖の少なくとも1つの末端にビニル系単量体単位による高分子鎖の主鎖末端が結合部位を介して結合した構造を必須とする(ポリ)アルキレングリコール系重合体と、収縮低減剤とを含むことを特徴とする。
<(ポリ)アルキレングリコール系重合体>
本発明のセメント混和剤に含まれる(ポリ)アルキレングリコール系重合体は、(ポリ)アルキレングリコール鎖の少なくとも1つの末端にビニル系単量体単位による高分子鎖の主鎖末端が結合部位を介して結合した構造を必須とする。
(ポリ)アルキレングリコール系重合体の構造としては、直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体と多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体が挙げられる。
まず、直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体について説明する。
<直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体>
直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体は、模式的には、下記式(1)〜(4)のいずれかで示される。
下記式において、構造単位(A)、構造単位(B)、構造単位(X)として同種の構造単位を複数箇所に含む場合は、複数個含まれる各構造単位の構造は同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2015030639
[式中、(A)はビニル系単量体単位による高分子鎖を表し、(X)は結合部位を表し、(B)は(ポリ)アルキレングリコール鎖を表す。]
Figure 2015030639
[式中、(A)はビニル系単量体単位による高分子鎖を表し、(X)は結合部位を表し、(B)は(ポリ)アルキレングリコール鎖を表す。]
Figure 2015030639
[式中、(A)はビニル系単量体単位による高分子鎖を表し、(X)は結合部位を表し、(B)は(ポリ)アルキレングリコール鎖を表す。pは[(B)−(X)−(A)]で示される繰り返し単位の繰り返し数を示す。]
Figure 2015030639
[式中、(A)はビニル系単量体単位による高分子鎖を表し、(X)は結合部位を表し、(B)は(ポリ)アルキレングリコール鎖を表す。]
以下、上記式(1)〜(4)において(A)で表されるビニル系単量体単位による高分子鎖を高分子鎖(A)といい、(B)で表される(ポリ)アルキレングリコール鎖を(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)ということがある。
ポリアルキレングリコール鎖(B)は、好ましくは、実質的に直鎖状である。
<ビニル系単量体単位による高分子鎖(A)>
本発明において、ビニル系単量体単位による高分子鎖(A)は、ビニル系単量体に由来する構成単位である。
ビニル系単量体単位としては、重合反応によって単量体の重合性二重結合が開いた構造(二重結合(C=C)が、単結合(−C−C−)となった構造)であれば特に限定されるものではないが、不飽和カルボン酸系単量体単位に由来する単量体単位であることが好ましい。
より好ましくは、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含む単量体成分から得られたものであることが好ましい。
不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、下記一般式(5):
Figure 2015030639
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、メチル基または−(CH)xCOOM(ここで、−(CH)xCOOMは、−COOMまたは他の−(CH)xCOOMと無水物を形成していてもよい。)であり、xは0〜2の整数であり、MおよびMは、互いに独立して、水素原子、一価金属、二価金属、三価金属、第4級アンモニウム塩基または有機アミン塩基である。]
で示される化合物が挙げられる。
上記一般式(5)で示される不飽和カルボン酸系単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸系単量体;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体;これらのカルボン酸の無水物または塩(例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、三価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩);などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、重合性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびこれらの塩が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの塩がより好ましい。
不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能な他の単量体としては、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体が挙げられる。
不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体としては、例えば、下記一般式(6):
Figure 2015030639
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、AOは、互いに独立して、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上を表し(ここで、2種以上のオキシアルキレン基は、ブロック状に導入されていてもランダム状に導入されていてもよい。)、yは0〜2の整数であり、zは0または1であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の整数である。]
で示される化合物が挙げられる。
上記一般式(6)において、Rで表される炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、炭素数3〜20の脂環式アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基などが挙げられる。
上記一般式(6)において、Rで表される置換基はセメント粒子の分散性の観点から親水性基が好ましく、具体的には、好ましくは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、さらに好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
上記一般式(6)において、−(AO)n−で表される部分がポリアルキレングリコール鎖となる。ここで、AOで表されるオキシアルキレン基は、セメント混和剤に配合した場合に、セメント粒子を効果的に分散させる観点から、より高い親水性を有することが必要であり、主として炭素数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることが好ましい。n個のオキシアルキレン基からなるオキシアルキレン鎖中における炭素数2のオキシアルキレン基の割合は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上である。
また、セメント混和剤に配合してコンクリート組成物を製造した場合に、コンクリートの粘性やこわばり感を低減できるなどの観点から、オキシアルキレン鎖中に炭素数3以上のオキシアルキレン基を導入し、ある程度の疎水性を付与することにより、セメント粒子に若干の構造(ネットワーク)をもたらすことが好ましい。しかし、炭素数3以上のオキシアルキレン基を導入しすぎると、得られた重合体の疎水性が高くなりすぎることから、セメント粒子を分散させる性能が低下することがある。そこで、オキシアルキレン鎖中における炭素数3以上のオキシアルキレン基の割合は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上、特に好ましくは7モル%以上であり、また、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。また、オキシアルキレン鎖中において、炭素数3以上のオキシアルキレン基は、ブロック状に導入されていてもランダム状に導入されてもよいが、炭素数3以上のオキシアルキレン基からなるオキシアルキレン鎖−炭素数2のオキシアルキレン基からなるオキシアルキレン鎖−炭素数3以上のオキシアルキレン基からなるオキシアルキレン鎖のようにブロック状に導入されていることが好ましい。
炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、導入の容易さ、セメント粒子との親和性などの観点から、炭素数3〜8のオキシアルキレン基が挙げられる。これらのオキシアルキレン基のうち、炭素数3のオキシプロピレン基や炭素数4のオキシブチレン基が特に好適である。
上記一般式(6)において、nで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数は、通常は1モル以上、好ましくは4モル以上、より好ましくは10モル以上、さらに好ましくは15モル以上、さらに好ましくは20モル以上、さらに好ましくは25モル以上、特に好ましくは30モル以上であり、また、通常は300モル以下、好ましくは280モル以下、より好ましくは250モル以下、さらに好ましくは220モル以下、さらに好ましくは200モル以下、さらに好ましくは180モル以下、特に好ましくは150モル以下である。
上記一般式(6)で示される単量体の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの炭素数1〜20の飽和脂肪族アルコール類、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数3〜20の不飽和脂肪族アルコール類、シクロヘキサノールなどの炭素数3〜20の脂環式アルコール類、フェノール、フェニルメタノール(ベンジルアルコール)、メチルフェノール(クレゾール)、p−エチルフェノール、ジメチルフェノール(キシレノール)、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、フェニルフェノール、ナフトールなどの炭素数6〜20の芳香族アルコール類のいずれかに、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類;炭素数2〜18のアルキレンオキシドを重合したポリアルキレングリコール類と(メタ)アクリル酸、クロトン酸とのエステル化物;などを挙げることができる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、(メタ)アクリル酸のアルコキシポリアルキレングリコール類のエステルが好ましい。
さらに、ビニルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどの不飽和アルコールに、アルキレンオキシドを1〜300モル付加した化合物を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの化合物のうち、特に(メタ)アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オールを用いた化合物が好ましい。なお、上記の不飽和エステル類および不飽和エーテル類は、アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどの炭素数2〜18のアルキレンオキシドから選択される1種または2種以上のアルキレンオキシドを付加させてもよい。2種以上のアルキレンオキシドを付加させる場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加などのいずれであってもよい。
上記の重合反応には、不飽和カルボン酸系単量体や不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体以外に、共重合可能な単量体を使用してもよい。
上記共重合可能な単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類と、炭素数1〜20のアルキルアルコール、炭素数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコール、および、炭素数1〜20のアルキルアルコールに炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加した、アルキレンオキシドの付加モル数2〜300のアルコキシポリアルキレンオキシドとのモノエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と、炭素数1〜20のアルキルアミンおよび炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、又は、これらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのモノアミド、ジアミド類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸類と、炭素数1〜20のアルキルアルコール、炭素数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコール、又は、炭素数1〜20のアルキルアルコールに炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加してなるアルキレンオキシドの付加モル数2〜300のアルコキシポリアルキレングリコールとのエステル類;上記不飽和モノカルボン酸と、炭素数1〜20のアルキルアミン及び炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、又は、これらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのアミド類;スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、2−メチルプロパンスルホン酸アクリルアミド、2−メチルプロパンスルホン酸メタクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアルキルアミドメタクリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の不飽和アミノ化合物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどの炭素数3〜20のアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;スチレンなどの芳香族ビニル類;などを挙げることができる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記の重合反応における不飽和カルボン酸系単量体、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体および共重合可能な単量体の使用量は、不飽和カルボン酸系単量体/不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体/共重合可能な単量体の比率(単位は質量%)で、不飽和カルボン酸系単量体が主成分である場合には、好ましくは100〜50/0〜50/0〜40、より好ましくは100〜55/0〜45/0〜40、さらに好ましくは100〜60/0〜40/0〜40、特に好ましくは100〜65/0〜35/0〜40であり、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体が主成分である場合には、好ましくは2〜50/98〜50/0〜40、より好ましくは5〜45/95〜55/0〜40、さらに好ましくは7.5〜40/92.5〜60/0〜40である。
<(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)>
(ポリ)アルキレングリコール(以下、ポリアルキレングリコールをPAGともいう)鎖の構造としては、炭素数2〜18のアルキレンオキシドから構成される高分子鎖(ポリアルキレンオキシド)であればよい。
より好ましくは、炭素数2〜8のアルキレンオキシドであり、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド等が挙げられる。また、ジペンタンエチレンオキシド、ジヘキサンエチレンオキシド等の脂肪族エポキシド;トリメチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オクチレンオキシド等の脂環エポキシド;スチレンオキシド、1,1−ジフェニルエチレンオキシド等の芳香族エポキシド等を用いることもできる。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキシドとしては、セメント粒子との親和性の観点から、炭素数2〜8程度の比較的短鎖のアルキレンオキシド(オキシアルキレン基)が主体であることが好適である。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが主体であることであり、更に好ましくは、エチレンオキシドが主体であることである。
ここでいう「主体」とは、ポリアルキレングリコール鎖が2種以上のアルキレンオキシドにより構成されるときに、全アルキレンオキシドの存在数において、大半を占めるものであることを意味する。「大半を占める」ことを全アルキレンオキシド100モル%中のエチレンオキシドのモル%で表すとき、50〜100モル%が好ましい。これにより、ポリアルキレングリコール系重合体がより高い親水性を有することとなる。より好ましくは60モル%以上であり、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上である。
ポリアルキレングリコール鎖が2種以上のアルキレンオキシドにより構成される場合は、2種以上のアルキレンオキシドがランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態で付加したものであってもよい。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖としてはまた、炭素数3以上のアルキレンオキシドを含む場合には、(ポリ)アルキレングリコール系重合体にある程度の疎水性を付与することが可能となるため、上記(ポリ)アルキレングリコール系重合体をセメント混和剤に使用した場合には、セメント粒子に若干の構造(ネットワーク)をもたらし、セメント組成物の粘性やこわばり感を低減することができる。その一方で、炭素数3以上のアルキレンオキシドを導入し過ぎると、上記(ポリ)アルキレングリコール系重合体の疎水性が高くなり過ぎることから、かえってセメント粒子を分散させる性能が充分とはならないおそれがある。このため、(ポリ)アルキレングリコール鎖に含まれる全アルキレンオキシド100質量%に対する炭素数3以上のアルキレンオキシドの含有量は、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
ここで、ポリアルキレングリコール鎖と、ビニル系単量体単位による高分子鎖は、結合部位(X)の構造によっては加水分解により切断されることがある。耐加水分解性の向上が必要な場合、ポリアルキレングリコール鎖の末端に炭素数3以上のオキシアルキレン基を導入することが好ましい。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基、アルキルグリシジルエーテル残基等が挙げられる。中でも、製造の容易さからオキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基の導入量としては、求められる耐加水分解性の程度によるが、ポリアルキレングリコール鎖の両末端に対して、導入量が50モル%以上であることが好ましくい。より好ましくは100モル%以上であり、更に好ましくは150モル%以上であり、特に好ましくは200モル%以上である。
ポリアルキレングリコール鎖の好ましい鎖長は、使用する高分子開始剤や高分子連鎖移動剤の種類に依存するので、特に限定されるものではないが、セメント粒子を効果的に分散させる観点から、それぞれ、アルキレンオキシドの平均付加モル数で、好ましくは10モル以上、より好ましくは20モル以上、さらに好ましくは30モル以上、さらに好ましくは40モル以上、さらに好ましくは50モル以上、さらに好ましくは80モル以上、さらに好ましくは100モル以上、特に好ましくは130モル以上であり、また、好ましくは500モル以下、より好ましくは400モル以下、さらに好ましくは350モル以下、さらに好ましくは300モル以下、さらに好ましくは280モル以下、さらに好ましくは250モル以下、さらに好ましくは220モル以下、特に好ましくは200モル以下である。
なお、上記アルキレンオキシドの平均付加モル数とは、本発明の(ポリ)アルキレングリコール系重合体が有する(ポリ)アルキレングリコール鎖1モル中において付加しているアルキレンオキシドのモル数の平均値を意味する。
上記式(2)又は(4)のように、(ポリ)アルキレングリコール鎖の一方の末端が結合部位と結合しており、他方の末端が他の部位と結合していない場合は、(ポリ)アルキレングリコール鎖はモノアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール鎖であることが好ましい。
モノアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール鎖の末端のうち、結合部位と結合していない末端は、モノアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール鎖の「モノアルコキシ」部分に相当する基である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の基であることが好ましく、より好ましくはメトキシ基である。
<結合部位(X)>
本発明の(ポリ)アルキレングリコール系重合体における結合部位(X)としては、ビニル系単量体単位による高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)とを化学的に安定に結合し得る構造を有する部位であればその構造は特に限定されるものではない。
上記結合部位(X)の好ましい構造としては、重合反応に用いられる連鎖移動剤となる構造に由来する有機残基が挙げられる。
結合部位(X)の例としては、(i)硫黄原子を含む結合部位、(ii)アゾ開始剤由来の結合部位、(iii)リン原子を含む残基由来の結合部位、(iv)その他の構造由来の結合部位等が挙げられる。
(i)硫黄原子を含む結合部位
硫黄原子を含む結合部位としては、例えば、下記一般式(7):
Figure 2015030639
[式中、Rは有機残基であり、好ましくは、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキレン基、フェニル基、アルキルフェニル基、ピリジニル基、チオフェン、ピロール、フラン、チアゾールなどの芳香族基、またはメルカプトカルボン酸残基(ただし、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホニル基、ニトロ基、ホルミル基などで一部置換されていてもよい。)]で示される構造が挙げられる。
上記硫黄原子を含む結合部位の中でも、特に下記一般式(8):
Figure 2015030639
[式中、Rはメルカプトカルボン酸残基であり、好ましくは、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキレン基、フェニル基、アルキルフェニル基、ピリジニル基、チオフェン、ピロール、フラン、チアゾールなどの芳香族基(ただし、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホニル基、ニトロ基、ホルミル基などで一部置換されていてもよい。)]で示される構造が好ましい。
上記一般式(7)で示される構造のRは(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)と結合する部位であり、硫黄原子(S)はビニル系単量体単位による高分子鎖(A)と結合する部位である。
上記一般式(8)で示される結合部位の一端の構造(一般式(8)の左側の結合)は、メルカプトカルボン酸のカルボキシル基と(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)の末端のヒドロキシル基との間で脱水エステル化反応を起すことによって得られる。
上記エステル化反応により得られたチオールエステルを連鎖移動剤として、ラジカル重合開始剤を用いてビニル系単量体をブロック重合させることができ、その結果として上記一般式(8)に示す構造の結合部位となる。
上記チオールエステルとしては、例えば、下記一般式(9)で表されるジエステル化合物、下記一般式(10)で表されるモノエステル化合物、下記一般式(11)で表されるジエステル化合物のh量体、下記一般式(12)で表されるモノエステルの二量体等を用いることが好適である。中でも、下記一般式(9)若しくは(10)で表される化合物、又は、それを含む混合物を用いることが好ましい。
Figure 2015030639
Figure 2015030639
Figure 2015030639
Figure 2015030639
上記一般式(9)〜(12)中、Rは、同一若しくは異なって、メルカプトカルボン酸残基であり、好ましくは、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキレン基、フェニル基、アルキルフェニル基、ピリジニル基、チオフェン、ピロール、フラン、チアゾールなどの芳香族基(ただし、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホニル基、ニトロ基、ホルミル基などで一部置換されていてもよい。)R10は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。AOは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表す(ここで、2種以上のオキシアルキレン基は、ブロック状に導入されていてもランダム状に導入されていてもよい。)。qは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。hは、2以上の整数を表す。
上記一般式(9)〜(12)において、−(AO)q−で表される(ポリ)オキシアルキレングリコール鎖は、上述した(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)に相当する。
上記式(9)〜(12)において、qで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは10モル以上、より好ましくは20モル以上、さらに好ましくは30モル以上、さらに好ましくは40モル以上、さらに好ましくは50モル以上、さらに好ましくは80モル以上、さらに好ましくは100モル以上、特に好ましくは130モル以上であり、また、好ましくは500モル以下、より好ましくは400モル以下、さらに好ましくは350モル以下、さらに好ましくは300モル以下、さらに好ましくは280モル以下、さらに好ましくは250モル以下、さらに好ましくは220モル以下、特に好ましくは200モル以下である。
は、反応性の観点からは、炭素数1〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6であり、更に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキレン基である。また、耐加水分解性の観点からは、炭素数2以上であることが好ましい。最も好ましくは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐アルキレン基であり、例えば、3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)、メルカプトイソ酪酸(MiBA)由来の2価の有機残基である。
(ii)アゾ開始剤由来の結合部位
アゾ開始剤由来の結合部位としては、アゾ基を含む重合開始剤(アゾ開始剤)に由来する部位であり、例えば、下記一般式(13)に示すような繰り返し単位を有するアゾ開始剤に由来する構造が挙げられる。
Figure 2015030639
[式中、R11は、互いに独立して、有機残基であり、AOは、互いに独立して、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上を表し(ここで、2種以上のオキシアルキレン基は、ブロック状に導入されていてもランダム状に導入されていてもよい。)、qはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。]
アゾ基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを含む繰り返し単位を有する高分子アゾ開始剤を使用することにより、アゾ基部分が結合部位として導入され、(ポリ)アルキレングリコール鎖部分が(ポリ)アルキレングリコール鎖として導入される。これらの高分子アゾ開始剤は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
上記のような高分子アゾ開始剤を使用すれば、アゾ基が熱で分解して、ラジカルが発生し、そこから重合が開始する。それゆえ、オキシアルキレン基からなるポリアルキレンオキシド部分の両末端または一端に単量体が次々に付加して、重合体を形成する。
上記一般式(13)で示される繰り返し単位を有する高分子アゾ開始剤の使用量と、ビニル系単量体の使用量との関係は、高分子アゾ開始剤/ビニル系単量体の比率(単位は質量%)で、ビニル系単量体として不飽和カルボン酸系単量体が主成分である場合には、好ましくは40/60〜99/1、より好ましくは45/55〜97/3、さらに好ましくは50/50〜95/5、特に好ましくは55/45〜92.5/7.5であり、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体が主成分である場合には、好ましくは2/98〜95/5、より好ましくは4/96〜90/10、さらに好ましくは8/92〜80/20、さらに好ましくは、10/90〜75/25、さらに好ましくは15/85〜70/30、さらに好ましくは17.5/82.5〜65/35、特に好ましくは20/80〜60/40である。
上記一般式(13)で示されるアゾ開始剤由来の結合部位としての有機残基の構造の例としては、下記一般式(14)〜(16)で示す構造が挙げられる。
Figure 2015030639
[式中、R11は一般式(13)におけるR11と同様である]
Figure 2015030639
[式中、R12は、互いに独立して、炭素数1〜20のアルキレン基(該アルキレン基は、アルキル基、アルケニル基、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基などで一部置換されていてもよい。)、カルボニル基またはカルボキシル基であるか、あるいは、炭素数1〜20のアルキレン基(該アルキレン基は、アルキル基、アルケニル基、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基などで一部置換されていてもよい。)がカルボニル基またはカルボキシル基に結合した基であり、R13は、互いに独立して、炭素数1〜20のアルキル基、カルボキシ置換(炭素数1〜10の)アルキル基、フェニル基または置換フェニル基であり、R14は、互いに独立して、シアノ基、アセトキシ基、カルバモイル基または(炭素数1〜10のアルコキシ)カルボニル基である。]
Figure 2015030639
一般式(14)〜(16)で示す結合部位としての有機残基において、各式の左側に(ポリ)アルキレングリコール鎖の末端が結合し、各式の右側にビニル系単量体単位による高分子鎖の末端が結合することとなる。
(iii)リン原子を含む残基由来の結合部位
リン原子を含む結合部位としては、例えば、下記一般式(17):
Figure 2015030639
[式中、Yは有機残基を表す。Mは金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す]で示される構造が挙げられる。
Yは(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)と結合する部位であり、Yと結合する次亜リン酸(塩)のリン原子は、ビニル系単量体単位による高分子鎖(A)と結合する部位である。
上記有機残基としては、炭素数2〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基や、炭素数6〜30の2価の芳香族基(フェニレン基、アルキルフェニレン基、及び、ピリジン、チオフェン、ピロール、フラン、チアゾール由来の2価の基等)等が挙げられ、例えば、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホニル基、ニトロ基、ホルミル基等の置換基で一部置換されていてもよい基が好ましい。
これらの中でも、より好ましくは、炭素数2〜18の2価の有機残基及びそれらの一部が水酸基で置換されたものであり、更に好ましくは、炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状アルキレン基及びそれらの一部が水酸基で置換されたものである。
次亜リン酸塩は、次亜リン酸と、金属、アンモニア又は有機アミンのいずれかとによって形成される塩が好ましい。金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が好ましい。有機アミンとしては、炭素数1〜18のアルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、ポリアルキレンポリアミン等が挙げられる。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、アンモニア、トリエタノールアミンによって形成される塩が好ましい。
リン原子を含む結合部位を導入する方法としては、下記一般式(18)に示すリン原子含有(ポリ)アルキレングリコール系化合物を用いる方法が挙げられる。
Figure 2015030639
[式中、Zは、活性水素を有する化合物の残基又は水素原子を表す。AOは、同一又は異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。Yは、同一又は異なって、有機残基を表す。Mは、同一又は異なって、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。qは、同一又は異なって、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。sは、1〜50の整数である。]
上記一般式(18)中、Y及びMは、上述した一般式(17)におけるものと同様である。
以下では、上記リン原子含有(ポリ)アルキレングリコール系化合物を、リンPAG化合物ともいう。
上記一般式(18)において、qで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは10モル以上、より好ましくは20モル以上、さらに好ましくは30モル以上、さらに好ましくは40モル以上、さらに好ましくは50モル以上、さらに好ましくは80モル以上、さらに好ましくは100モル以上、特に好ましくは130モル以上であり、また、好ましくは500モル以下、より好ましくは400モル以下、さらに好ましくは350モル以下、さらに好ましくは300モル以下、さらに好ましくは280モル以下、さらに好ましくは250モル以下、さらに好ましくは220モル以下、特に好ましくは200モル以下である。
上記リン原子含有(ポリ)アルキレングリコール系化合物は、次亜リン酸(塩)由来の構造部位を有することに起因して、ラジカル重合反応の連鎖移動剤として作用するものであり、ラジカル重合反応を用いた種々の重合体の製造に好適に用いることができる。
特に、上記リン原子含有(ポリ)アルキレングリコール系化合物を連鎖移動剤として用いて、ビニル系単量体成分をラジカル重合することにより、リン原子を含む結合部位を有する(ポリ)アルキレングリコール系重合体を得ることができる。
(iv)その他の構造由来の結合部位
その他の構造由来の結合部位の具体例としては、以下のような連鎖移動剤由来の結合部位が挙げられる。これらのうち、硫黄原子を有するものは、上記(i)硫黄原子を含む結合部位にも含まれる。
例えば、ポリアルキレングリコールの末端の−OH基に、ハロゲン化亜鉛を用いて、チオ酢酸、チオ安息香酸などのチオカルボン酸を反応させた後、アルカリ加水分解を行うことにより、−OH基を−SH基に変換した化合物;ポリアルキレングリコールとチオ酢酸との存在下、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)とトリフェニルホスフィンとを反応させた後、アルカリ加水分解を行うことにより、ポリアルキレングリコールの末端の−OH基を−SH基に変換した化合物;ポリアルキレングリコールの末端の−OH基に、臭化アリルなどのハロゲン化アリルをSN2反応させてポリアルキレングリコールの末端をアリル化した化合物;ポリアルキレングリコールの末端にアリル基などの二重結合を有する化合物に、チオ酢酸、チオ安息香酸などのチオカルボン酸を付加させた後、アルカリ加水分解を行うことにより、−SH基に変換した化合物;
これらの化合物(連鎖移動剤)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<ポリアルキレングリコール系重合体>
上記ビニル系単量体単位による高分子鎖(A)、ポリアルキレングリコール鎖(B)及び結合部位(X)を含む直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体のうち、好ましい構造は下記一般式(19)又は(20)で示す構造である。
Figure 2015030639
[式中、R15は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R16は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、AOは、互いに独立して、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上を表し(ここで、2種以上のオキシアルキレン基は、ブロック状に導入されていてもランダム状に導入されていてもよい。)、nは同一又は異なって、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の整数である。a及びaは同一又は異なって、それぞれ不飽和カルボン酸系単量体の平均付加モル数を表し、0〜500の整数である。b及びbは同一又は異なって、それぞれ不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体の平均付加モル数を表し、0〜500の整数である。qはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、10〜400の整数である。R17は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。]
Figure 2015030639
[式中、R15は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R16は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、AOは、互いに独立して、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上を表し(ここで、2種以上のオキシアルキレン基は、ブロック状に導入されていてもランダム状に導入されていてもよい。)、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の整数である。aは不飽和カルボン酸系単量体の平均付加モル数を表し、0〜500の整数である。bは不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体の平均付加モル数を表し、0〜500の整数である。qはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、10〜400の整数である。R17は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R18は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルケニル基を表す。]
一般式(19)に示す構造は、上記式(1)で示す構造の直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体であり、ビニル系単量体単位(A)は、不飽和カルボン酸系単量体としての(メタ)アクリル酸及び/又はこれらの塩に由来する単量体単位、並びに、不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能な他の単量体としての不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体単位である。結合部位(X)は、3−メルカプトプロピオン酸又はメルカプトイソ酪酸に由来する硫黄原子を含む結合部位である。(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)は、ポリエチレングリコール鎖である。
一般式(20)に示す構造は、上記式(2)で示す構造の直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体であり、ビニル系単量体単位(A)は、不飽和カルボン酸系単量体としてのアクリル酸、メタクリル酸及び/又はこれらの塩に由来する単量体単位、並びに、不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能な他の単量体としての不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体である。結合部位(X)は、3−メルカプトプロピオン酸又はメルカプトイソ酪酸に由来する硫黄原子を含む結合部位である。(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)は、モノアルコキシポリエチレングリコール鎖である。
なお、上記一般式(19)及び(20)において、(メタ)アクリル酸及び/又はこれらの塩に由来する単量体単位、並びに、不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能な他の単量体としての不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体単位は、ブロック状に導入されていてもランダム状に導入されていてもよい。上記一般式(19)及び(20)では不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体単位が結合部位に隣接しているが、(メタ)アクリル酸及び/又はこれらの塩に由来する単量体単位が結合部位に隣接していてもよい。
また、不飽和カルボン酸系単量体単位のR15及びCOOH基の位置は末端の水素原子側に描いているが、各単量体単位ごとにおけるR15及びCOOH基の位置は硫黄原子側に位置していてもよい。上記一般式(19)及び(20)で示す構造では、単量体単位ごとにR15及びCOOH基の位置が水素原子側であるか硫黄原子側であるかがランダムに決定される。
直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体としては、その取り扱い性や、上記重合体をセメント混和剤用途に使用した場合のセメント組成物の保持性等を考慮すると、重量平均分子量(Mw)が100万以下であることが好適である。より好ましくは50万以下、更に好ましくは30万以下、さらに好ましくは20万以下、さらに好ましくは15万以下、さらに好ましくは10万以下、さらに好ましくは5万以下である。また、ある程度セメント粒子に吸着した方が性能を発揮しやすく、Mwが大きいほど吸着力が大きくなるという観点から、Mwは1000以上であることが好ましい。より好ましくは5000以上であり、更に好ましくは1万以上であり、特に好ましくは2万以上、最も好ましくは、3万以上である。
また、数平均分子量(Mn)が、50万以下であることが好ましい。より好ましくは25万以下、更に好ましくは15万以下、さらに好ましくは10万以下、さらに好ましくは75000以下、さらに好ましくは35000以下である。また、1000以上であることが好ましい。より好ましくは2500以上であり、更に好ましくは5000以上であり、特に好ましくは10000以上であり、最も好ましくは、15000以上である。
なお、化合物の重量平均分子量、数平均分子量は、後述するゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)分析法により求めることができる。
<直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体の製造方法>
直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体の製造方法の一例として、メルカプトカルボン酸に由来する硫黄原子を含む結合部位を有する重合体を製造する場合、例えば、(ポリ)アルキレングリコール系重合体は、少なくとも1つの末端にヒドロキシル基末端を有する(ポリ)アルキレングリコール鎖を準備し、上記ヒドロキシル基末端に対してメルカプトカルボン酸のカルボキシル基を反応させてエステル化反応を行う工程(エステル化反応工程)によりチオールエステルを得て、上記チオールエステルを連鎖移動剤として、ラジカル重合開始剤を用いて不飽和カルボン酸系単量体をブロック重合させる工程(ブロック重合工程)を行うことにより製造することができる。
アゾ開始剤由来の結合部位を有する(ポリ)アルキレングリコール系重合体を製造する場合、出発物質として、アゾ開始剤の末端が(ポリ)アルキレングリコール鎖とエステル結合により予め結合した構造を有するものを使用することができる。
アゾ開始剤の末端が(ポリ)アルキレングリコール鎖とエステル結合により予め結合した構造を有するものは、例えば、アゾ基の両末端にカルボキシル基を有するアゾ開始剤(V−501など、和光純薬工業株式会社製)と、(ポリ)アルキレングリコールとをエステル化することにより得ることもできる。エステル化の方法としては、加熱工程を行うとアゾ開始剤が分解するので、加熱工程を含まない製法が必要である。そのような製法としては、(1)アゾ開始剤に塩化チオニルを反応させて酸塩化物を合成した後、(ポリ)アルキレングリコールを反応させてアゾ開始剤を得る方法;(2)アゾ開始剤と(ポリ)アルキレングリコールとを、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および必要に応じて4−ジメチルアミノピリジンを用いて、脱水縮合することによりアゾ開始剤を得る方法;などが挙げられる。
上記アゾ開始剤を使用すれば、アゾ基が熱で分解して、ラジカルが発生し、そこから重合が開始する。それゆえ、オキシアルキレン基からなるポリアルキレンオキシド部分の一端にビニル系単量体が次々に付加して、(ポリ)アルキレングリコール系重合体が形成される。
なお、(ポリ)アルキレングリコールとして、モノアルコキシポリアルキレングリコールを用いることにより、(ポリ)アルキレングリコール鎖の1つの末端に結合部位が結合した(ポリ)アルキレングリコール系重合体を製造することができる。
リン原子を含む残基由来の結合部位を有する(ポリ)アルキレングリコール系重合体を製造する場合、(ポリ)アルキレングリコール鎖の末端酸素原子に炭素−炭素二重結合を有する有機残基が結合した構造を有する化合物Aに、次亜リン酸(塩)を付加させて、リン原子含有ポリアルキレングリコール系化合物を製造することができる。
なお、上記化合物Aは、公知の方法で合成することができる。
<多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体>
続いて、多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体について説明する。
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体は、(ポリ)アルキレングリコール鎖の1つの末端が活性水素を3個以上有する化合物の残基に結合し、かつ上記(ポリ)アルキレングリコール鎖の他の末端にビニル系単量体単位による高分子鎖の主鎖末端が結合部位を介して結合した構造を有するものである。
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体の一例として、下記一般式(21)の構造を有する重合体が挙げられる。
Figure 2015030639
[式中、(Z)は、活性水素を3個以上有する化合物の残基を表す。(B)は、同一又は異なって、ポリアルキレングリコール鎖を表す。(X)は、同一又は異なって、結合部位を表す。(A)は、ビニル系単量体単位による高分子鎖を表す。l、kは、l+k≧3となる整数であり、lは1以上の整数であり、kは0以上の整数である。
上記一般式(21)において、一部の上記ポリアルキレングリコール鎖(B)の隣に位置する(X)は結合部位であり、結合部位を介してビニル系単量体単位による高分子鎖(A)の主鎖末端がポリアルキレングリコール鎖(B)に結合している。
また、一部の上記ポリアルキレングリコール鎖(B)には、水素原子が結合している。
lは、上記高分子鎖(A)と上記ポリアルキレングリコール鎖(B)とが結合部位(X)を介して結合した枝状部の数を表し、kは、水素原子と上記ポリアルキレングリコール鎖(B)とが結合した枝状部の数を表す。l及びkの合計は3以上の数である。]
以下、本明細書において、単に「枝状部」という場合には、上記高分子鎖(A)と上記ポリアルキレングリコール鎖(B)とが結合部位(X)を介して結合した枝状部、及び、水素原子と上記ポリアルキレングリコール鎖(B)とが結合した枝状部の両方をいうものとする。
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体は、上記枝状部を3つ以上有する。
上記枝状部の数の好ましい下限値としては5である。好ましい上限値としては20であり、より好ましくは13であり、さらに好ましくは7である。
また、上記枝状部の数は、活性水素を3個以上有する化合物中の活性水素数に等しいことが好ましい。これによって、更に優れた分散性能を発揮し得るセメント混和剤を与えることが可能となる。
一般式(21)で示される多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体において、k=0である場合、下記一般式(22)の構造を有する重合体となる。
Figure 2015030639
[式中、(Z)は、活性水素を3個以上有する化合物の残基を表す。(B)は、同一又は異なって、(ポリ)アルキレングリコール鎖を表す。(X)は、同一又は異なって、結合部位を表す。(A)は、ビニル系単量体単位による高分子鎖を表す。lは、3以上の数である。]
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体を構成する、ビニル系単量体単位による高分子鎖(A)、(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)及び結合部位(X)としては、上述した直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体におけるビニル系単量体単位による高分子鎖(A)、(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)及び結合部位(X)と同様の構成が挙げられるためその詳細な説明は省略する。
また、ビニル系単量体単位による高分子鎖(A)、(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)及び結合部位(X)の結合の形態としても直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体における結合の形態と同様の形態が挙げられるためその詳細な説明は省略する。
<活性水素を有する化合物の残基(Z)>
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体において、活性水素を有する化合物の残基とは、活性水素を有する化合物から活性水素を除いた構造を有する基を意味し、該活性水素とは、アルキレンオキシドが付加できる水素を意味する。このような活性水素を有する化合物の残基は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記活性水素を有する化合物の残基としては、具体的には、例えば、多価アルコールの水酸基から活性水素を除いた構造を有する多価アルコール残基、多価アミンのアミノ基から活性水素を除いた構造を有する多価アミン残基、多価イミンのイミノ基から活性水素を除いた構造を有する多価イミン残基、多価アミド化合物のアミド基から活性水素を除いた構造を有する多価アミド残基等が好適である。中でも、多価アミン残基、多価アルコール残基、及び、多価イミン残基のうちポリアルキレンイミン残基が好ましい。すなわち、上記活性水素を3個以上有する化合物の残基は、多価アミン残基、ポリアルキレンイミン残基及び多価アルコール残基からなる群より選択される少なくとも1種の多価化合物残基であることが好適である。
なお、活性水素を有する化合物残基の構造としては、鎖状、分岐状、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。
上記活性水素を有する化合物の残基の好ましい具体例のうち、多価アミン(ポリアミン)としては、1分子中に平均2個以上のアミノ基を有する化合物であればよく、例えば、メチルアミン等のアルキルアミン;アリルアミン等のアルキレンアミン;アニリン等の芳香族アミン;アンモニア等のモノアミン化合物の1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体等が好適である。このような化合物により、上記多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体が有する多価アミン残基が形成されることになる。
更に、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の2価以上のアミン化合物や、それらの1種又は2種以上を重合して得られるポリアミンであってもよい。このようなポリアミンは、通常、構造中に第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有することになる。
また上記ポリアルキレンイミンとしては、1分子中に平均3個以上のイミノ基を有する化合物であればよく、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミン等の炭素数2〜8のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体等が好適である。このような化合物により、上記多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体が有するポリアルキレンイミン残基が形成されることになる。なお、ポリアルキレンイミンは重合により三次元に架橋され、通常、構造中に第3級アミノ基の他、活性水素原子を持つ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有することになる。
これらの中でも、上記多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体が奏する性能の観点から、エチレンイミンを重合して得られるポリエチレンイミンがより好適である。
上記多価アミン及びポリアルキレンイミンの数平均分子量としては、100〜100000が好ましく、より好ましくは300〜50000、さらに好ましくは600〜10000であり、特に好ましくは800〜5000である。
上記多価アルコールとしては、1分子中に平均3個以上の水酸基を含有する化合物であればよいが、炭素、水素及び酸素の3つの元素から構成される化合物であることが好適である。具体的には、例えば、ポリグリシドール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、グルコースなどの糖類、グルシット等の糖アルコール類、グルコン酸などの糖酸類等が好適である。このような化合物により、上記多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体が有する多価アルコール残基が形成されることになる。
これらの中でも、工業的な生産効率の観点から、より好ましくは、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンである。
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体としては、その取り扱い性や、上記重合体をセメント混和剤用途に使用した場合のセメント組成物の保持性等を考慮すると、重量平均分子量(Mw)が100万以下であることが好適である。より好ましくは50万以下、さらに好ましくは30万以下、さらにより好ましくは20万以下、特に好ましくは15万以下、特により好ましくは10万以下、最も好ましくは5万以下である。また、セメント混和剤用途に用いる場合、ある程度セメント粒子に吸着した方が性能を発揮しやすく、Mwが大きいほど吸着力が大きくなるという観点から、Mwは1000以上であることが好ましい。より好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは1万以上であり、特に好ましくは2万以上、最も好ましくは、3万以上である。
また、数平均分子量(Mn)が、50万以下であることが好ましい。より好ましくは25万以下、さらに好ましくは15万以下、さらにより好ましくは10万以下、特に好ましくは75000以下、最も好ましくは35000以下である。また、1000以上であることが好ましい。より好ましくは2500以上であり、さらに好ましくは5000以上であり、特に好ましくは10000以上であり、最も好ましくは、15000以上である。
なお、化合物の重量平均分子量、数平均分子量は、後述するゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)分析法により求めることができる。
<多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体の製造方法>
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体の製造方法は、直鎖型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体の製造方法において、出発物質として用いる物質が異なる他はほぼ同様の方法を用いることができる。
多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール系重合体を製造する場合、活性水素を3個以上有する化合物に(ポリ)アルキレングリコール鎖を付加させた多分岐型の(ポリ)アルキレングリコールを準備して出発物質とする。
メルカプトカルボン酸に由来する硫黄原子を含む結合部位を有する重合体を製造する場合、上記多分岐型の(ポリ)アルキレングリコールの末端のヒドロキシル基に対してメルカプトカルボン酸のカルボキシル基を反応させてエステル化反応を行う工程(エステル化反応工程)によりチオールエステルを得て、上記チオールエステルを連鎖移動剤として、ラジカル重合開始剤を用いて不飽和アニオン系単量体をブロック重合させる工程(ブロック重合工程)を行うことにより製造することができる。
アゾ開始剤由来の結合部位を有する重合体を製造する場合、出発物質として、アゾ開始剤の末端が上記多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール鎖とエステル結合により予め結合した構造を有するものを使用することができる。
また、リン原子を含む残基由来の結合部位を有する重合体を製造する場合、出発物質として、上記多分岐型の(ポリ)アルキレングリコール鎖の末端酸素原子に炭素−炭素二重結合を有する有機残基が結合した構造を有する化合物Aに、次亜リン酸(塩)を付加させて、リン原子含有ポリアルキレングリコール系化合物を製造し、連鎖移動剤として使用することができる。
<収縮低減剤>
本発明のセメント混和剤に含まれる収縮低減剤としては、(ポリ)オキシアルキレン系化合物を用いることが好ましい。
(ポリ)オキシアルキレン系化合物としては、オキシアルキレン基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(23):
Figure 2015030639
[但し、式中、R19及びR21は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R20Oは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表し、同一でも異なっていてもよい。rは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜250の数である。]
で表される化合物を好適に用いることができる。
上記一般式(23)において、R19及びR21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。ここで、炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、イソオクチル、2,3,5−トリメチルヘキシル、4−エチル−5−メチルオクチル及び2−エチルヘキシル、テトラデシル、オクタデシル、イコシル等の炭素数4〜30の直鎖及び分岐鎖のアルキル基;シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル、ベンジル、フェネチル、o−,m−若しくはp−トリル、2,3−若しくは2,4−キシリル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニリル、ベンズヒドリル、トリチル及びピレニル等のアリール基及びアルキル基を有するこれらのアリール基((アルキル)アリール基);上記アリール基の少なくとも一部を水添させた水添アリール基及びアルキル基を有するこれらの水添アリール基((アルキル)水添アリール基);およびベンジル、メチルベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等の(アルキル)アラルキル基、などが挙げられる。これらのうち、R19及びR21は、水素原子または炭素数2〜15の炭化水素基が好ましく、水素原子、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、i−オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシルがより好ましい。R20Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、好ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基、より好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基である。このようなオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシ1−ブテン基、オキシ2−ブテン基、オキシスチレン基等が好ましく挙げられるが、より好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、さらにより好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基である。これらのオキシアルキレン基は、一の一般式(23)の化合物中に1種のみが存在してもあるいは2種以上の混合物の形態で存在してもよい。オキシアルキレン基が2種以上存在する場合には、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれに付加形態であってもよい。さらに、rは、オキシアルキレン基(R20O)の平均付加モル数を表し、1〜250の数であり、好ましくは2〜225、より好ましくは2〜140である。
また、収縮低減剤として使用可能な(ポリ)オキシアルキレン系化合物として、(ポリ)アルキレングリコール系重合体において(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)として用いられる化合物を使用することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、アルコキシ(ポリ)アルキレングリコール等を用いることができる。
また、(ポリ)アルキレングリコール系重合体において結合部位の形成に用いられる、(ポリ)アルキレングリコール鎖が結合した化合物を用いることができる。例えば、PAGチオール化合物、アゾ開始剤の末端が(ポリ)アルキレングリコール鎖とエステル結合により予め結合した構造を有する化合物、リンPAG化合物等を用いることができる。
なお、上述した収縮低減剤は、上記したような重合体1種のみから構成されてもあるいは上記した2種以上の重合体から構成されるものであってもよい。
上記収縮低減剤(上記一般式(23)で表される化合物)を製造する方法は、特に制限されず、公知の製造方法が使用できる。例えば、所望のアルキレンオキシドを、活性水素原子を有する化合物である水やメタノール中で公知の手法により重合する手法が例示される。この際、重合方法は特に制限されず、従来公知の重合方法が用いられる。このような重合方法では、酸触媒またはアルカリ触媒を用いることが好ましい。酸触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素等のルイス酸触媒である金属や半金属のハロゲン化物;塩化水素、臭化水素、硫酸等の鉱酸等が挙げられる。また、アルカリ触媒としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
このようにして得られた重合体は、そのままで収縮低減剤として用いられてもよいし、適当な溶媒で置換して用いられてもよい。
また、収縮低減剤として、下記一般式(24)で表される化合物を用いることも好ましい。
Figure 2015030639
[一般式(24)中、R22はR22−[OH]で表される多価アルコール由来のR22を表し、R23Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、R24は水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、tはオキシアルキレン基R23Oの平均付加モル数を表し、uは2以上の整数を表す。]
一般式(24)中、uは2以上の整数である。例えば、u=2のとき、R22−[OH]で表される多価アルコールは2価の多価アルコール(2価アルコール)であり、u=3のとき、R22−[OH]で表される多価アルコールは3価の多価アルコール(3価アルコール)であり、u=4のとき、R22−[OH]で表される多価アルコールは4価の多価アルコール(4価アルコール)である。
上記2価アルコールとしては、具体的には、例えば、以下の構造式(25)で表されるヘキシレングリコールが挙げられる。
Figure 2015030639
上記3価アルコールとしては、具体的には、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等のトリメチロールアルカン、1,3,5−ペンタトリオールが挙げられる。好ましくはトリメチロールアルカン、より好ましくはトリメチロールプロパンである。
上記4価アルコールとしては、具体的には、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
一般式(24)中、R23Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。R23Oは、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基が好ましい。具体的には、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。R23Oの炭素原子数が大きすぎると、収縮低減剤の水への溶解性が低下するおそれがある。
一般式(24)中、R23Oは1種のみのオキシアルキレン基からなっていても良いし、2種以上のオキシアルキレン基からなっていても良い。R23Oが2種以上のオキシアルキレン基からなっている場合には、それらはランダム付加体となっていても良いし、ブロック付加体となっていても良いし、交互付加体となっていても良い。
一般式(24)中、R23Oの50モル%以上がオキシエチレン基であることが好ましく、R23Oの60〜100モル%がオキシエチレン基であることがより好ましく、R23Oの80〜100モル%がオキシエチレン基であることがさらに好ましく、R23Oの90〜100モル%がオキシエチレン基であることが特に好ましい。
一般式(24)中、R24は水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。R24は、より好ましくは水素原子または炭素原子数1〜15の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子または炭素原子数1〜6の炭化水素基である。
<セメント混和剤>
本発明のセメント混和剤は、上述した(ポリ)アルキレングリコール系重合体と、収縮低減剤とを必須の成分として含むことを特徴とする。
上記(ポリ)アルキレングリコール系重合体及び収縮低減剤の組成は、所望の乾燥収縮低減性、及び分散性/流動性が達成できるものであれば特に制限されず、これらの所望の性能を勘案して適宜選択される。本発明のセメント混和剤における(ポリ)アルキレングリコール系重合体と収縮低減剤の質量比は、好ましくは45:55〜0.1:99.9、より好ましくは40:60〜0.5:99.5、最も好ましくは30:70〜1:99である。
本発明のセメント混和剤は、水溶液の形態で使用してもよいし、又は、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用してもよい。
本発明のセメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわち、セメントや、石膏等のセメント以外の水硬性材料に用いることができる。そして、水硬性材料と水と本発明の水硬性材料用混和剤組成物とを含有し、更に必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスターが好適である。
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、そのようなセメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含んでなることになる。このようなセメント組成物もまた、本発明の1つである。
上記セメント組成物としては、セメント、水、細骨材、粗骨材等を含むものが好適であり、セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩、及びそれぞれの低アルカリ形);各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント);白色ポルトランドセメント;アルミナセメント;超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント);グラウト用セメント;油井セメント;低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント);超高強度セメント;セメント系固化材;エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)等の他、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加したもの等が挙げられる。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
上記セメント組成物の1mあたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比(質量比)としては、例えば、単位水量100〜185kg/m、使用セメント量200〜800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7とすることが好適であり、より好ましくは、単位水量120〜175kg/m、使用セメント量250〜800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.2〜0.65とすることである。このように、本発明のセメント混和剤は、貧配合から富配合に至るまでの幅広い範囲で使用可能であり、高減水率領域、すなわち、水/セメント比(質量比)=0.15〜0.5(好ましくは0.15〜0.4)といった水/セメント比の低い領域でも使用可能であり、更に、単位セメント量が多く水/セメント比が小さい高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
本発明のセメント混和剤としては、高減水率領域においても流動性、保持性及び作業性をバランスよく高性能で発揮でき、優れた作業性を有することから、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等にも有効に使用することが可能であり、更に、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
上記セメント混和剤をセメント組成物に使用する場合、その配合割合としては、本発明の必須成分である(ポリ)アルキレングリコール系重合体が、固形分換算で、セメント質量の全量100質量%に対して、0.01〜10質量%となるように設定することが好ましい。0.01質量%未満では性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に10質量%を超えると、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。より好ましくは0.02〜8質量%であり、更に好ましくは0.05〜6質量%である。
上記セメント混和剤としてはまた、他のセメント添加剤と組み合わせて用いることもできる。他のセメント添加剤としては、例えば、以下に示すようなセメント添加剤(材)等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、オキシアルキレン系消泡剤や、AE剤を併用することが特に好ましい。
なお、セメント添加剤の添加割合としては、上記(ポリ)アルキレングリコール系重合体の固形分100質量部に対し、0.0001〜10質量部とすることが好適である。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシエチレンあるいはポリオキシプロピレンの重合体又はそれらの共重合体;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸の共重合体及びその四級化合物等。
(2)高分子エマルジョン。
(3)遅延剤:グルコン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸並びにその塩;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン−2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシル基を置換基として有しても良い、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル類;2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルカンジオール類等。
(20)膨張材:エトリンガイト系、石炭系等。
その他のセメント添加剤(材)として、例えば、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石膏等が挙げられる。
また、セメント混和剤として好ましい特性を示す他の態様として、本発明のセメント混和剤における(ポリ)アルキレングリコール系重合体と、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤とを含むセメント混和剤が挙げられる。
上記セメント混和剤においては、本発明のセメント混和剤における収縮低減剤は含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤は、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発によりセメントに対する分散性を発現する分散剤である。
上記スルホン酸系分散剤としては、公知の各種スルホン酸系分散剤を用いることができ、中でも、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等の各種スルホン酸系分散剤が挙げられ、これらのスルホン酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩等が挙げられる。なお、水/セメント比が高〜中程度のコンクリート(水/セメント比(質量比)=0.4〜0.7)の場合及び単位セメント量が300kg/m以下(好ましくは200〜300kg/m、より好ましくは250〜300kg/m)の貧配合コンクリートの場合には、リグニンスルホン酸塩系の分散剤が好適に用いられ、一方、より高い分散性能が要求される水/セメント比が低〜中程度のコンクリート(水/セメント比(質量比)=0.15〜0.6)の場合には、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系、芳香族アミノスルホン酸塩系、ポリスチレンスルホン酸塩系等の分散剤が好適に用いられる。
上記(ポリ)アルキレングリコール系重合体と分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との比率、すなわち、固形分(不揮発分)換算での分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤の(ポリ)アルキレングリコール系重合体に対する質量割合(質量%)としては、1〜10000質量%の範囲であることが適当である。1質量%未満であると、安定した分散性能を発揮することができなくなるおそれがあり、10000質量%を超えると、分散保持性能が充分とはならないおそれがある。併用する重合体と分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との性能バランスによって最適な比率は異なるが、5〜2000質量%であることが好ましく、より好ましくは、10〜1000質量%、更に好ましくは、25〜400質量%である。
本発明のセメント混和剤は、(ポリ)アルキレングリコール鎖の少なくとも1つの末端にビニル系単量体単位による高分子鎖の主鎖末端が結合部位を介して結合した構造を必須とする(ポリ)アルキレングリコール系重合体と、収縮低減剤とを含むことを特徴とし、セメントの分散性に優れるとともに、乾燥収縮を抑制することのできるセメント混和剤として好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例における各種測定は、以下のようにして行った。
<GPC測定条件>
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXLを各1本づつ連結。
使用溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に酢酸でpH6.0に調整した溶液を使用する。
検出器:日本ウォーターズ社製、2414 示差屈折検出器
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール[ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、107000、50000、24000、12600、7100、4250、1470]
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成する。
重合体水溶液を上記溶離液で重合体濃度が0.5質量%となるように溶解させたものをサンプルとする。
サンプル打ち込み量:100μL
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
<GPC解析条件1(PAGの分析)>
RIクロマトグラムにおいて、溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ピークを検出・解析した。多量体や不純物が目的物ピークに一部重なって測定された場合は、ピークの重なり部分の最凹部において垂直分割し、目的物の分子量を測定した。アルキレンオキシド(AO)の平均付加モル数(繰り返し単位数)は、Mnの値から計算した。
<GPC解析条件2(PAGチオールの分析)>
RIクロマトグラムにおいて、溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ピークを検出・解析した。多量体や不純物が目的物ピークに一部重なって検出された場合は、ピークの重なり部分の最凹部において垂直分割し、目的物の分子量を測定した。
単量体純分量及び多量化物量の計算;
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
単量体純分量=(PAGチオール面積)/(多量化物ピーク面積+PAGチオール面積)
多量化物量=(多量化物ピーク面積)/(多量化物ピーク面積+PAGチオール面積)
<GPC解析条件3(重合体の分析)>
得られたRIクロマトグラムにおいて、ポリマー溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ポリマーを検出・解析した。ただし、単量体、単量体由来の不純物、PAGチオール由来と思われる低分子量体ピーク等がポリマーピークに一部重なって測定された場合、それらとポリマーの重なり部分の最凹部において垂直分割して重合体部と単量体部とを分離し、重合体部のみの分子量・分子量分布を測定した。重合体部とそれ以外が完全に重なり分離できない場合はまとめて計算した。
重合体純分の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
重合体純分=(重合体ピーク面積)/(重合体ピーク面積+重合体以外のピーク面積)
<製造例1−4:PAG(ポリアルキレングリコール)の製造>
原料PAG(PAG−1〜4)について、表1に示す。また、表1中の「(EO)/(AO)wt」とは、PAGを構成する全アルキレンオキシド100質量%中のエチレンオキシドの質量割合を意味する。
表1に記載のPAGは、特開2002−173593号公報に記載の方法によって合成した。
すなわち、以下のようにして合成した。なお、原料アルコールの沸点が低く減圧脱水できない場合は、別途アルコールの一部をナトリウムアルコキシドに調整して反応を行った。また、AO(アルキレンオキシド)付加数が多く反応が1段で終了できないポリアルキレングリコールについては、所定のAO付加数になるまで同様の手順を繰り返して合成した。
(1)PAG−1、PAG−3の合成
原料アルコールとして、PEG(ポリエチレングリコール、Aldrich社製、型番373001、Mw4770、Mn4656、純度98.36%)を用い、さらに仕上がり重量に対して500ppmの水酸化ナトリウム(30%水溶液)を加えて、撹拌器を備えた耐圧反応容器に仕込んだ。オイルバスを用いて反応系内を100℃に加温し、系内に窒素をゆっくりとバブリングしながら、真空ポンプで2時間100Torrに減圧し、水分を留去した。反応器内を150℃に加温し、窒素を導入して内圧を0.2MPaに調整した。反応器内温を150±2℃に保ちながら、所定量のエチレンオキシドを添加した。但し、反応器内圧は0.8MPaを超えないように、反応器内のエチレンオキシド分圧は50%を超えないようにした。エチレンオキシドの添加終了後、反応器内を1時間150℃に保ち、反応を完結させた。
PAG−1はエチレンオキシドの付加数が100モル、PAG−3はエチレンオキシドの付加数が200モルとなるように調製した。
(2)PAG−2の合成
原料アルコールとして、PEG(ポリエチレングリコール、Aldrich社製、型番373001、Mw4770、Mn4656、純度98.36%)を用い、PAG−1に対し、反応温度を120℃とし、エチレンオキシドに代えてプロピレンオキシドを添加する以外は上記(1)の手順と同様にして反応を行い、PAG−1にプロピレンオキシドが6モル付加したPAGを合成した。EO/AO比は92.7wt%であった。
(3)PAG−4の合成
原料アルコールとして、ソルビトール(100g、和光純薬社製、以下では「SB」ともいう。)を用い、30%水酸化ナトリウム水溶液(1.38g)を、撹拌器を備えた耐圧反応容器に仕込んだ。オイルバスを用いて反応系内を100℃に加温し、系内に窒素をゆっくりとバブリングしながら、真空ポンプで2時間100Torrに減圧し、水分を留去した。反応器内を125℃に加温し、窒素を導入して内圧を0.1MPaに調整した。反応器内温を125±5℃に保ちながら、エチレンオキシド(725.45g、SBに対して30モル倍)を添加した。ただし反応器内圧は0.8MPaを越えないようにした。エチレンオキシドの添加終了後、反応器内を1時間125℃に保ち、反応を完結させ、ソルビトールのエチレンオキシド30モル付加物(以下では「SB−30」ともいう。)が得られた。
得られたSB−30に上記操作を繰り返してさらにエチレンオキシドを付加させ、ソルビトールのエチレンオキシド450モル付加物としてのPAG−4(以下では「SB−450」ともいう。)を合成した。
Figure 2015030639
<製造例5−8:PAGチオール1〜4の製造>
表2−1及び表2−2に示すように、原料PAG1〜4、チオール基含有化合物(1分子中にカルボキシル基又は水酸基とメルカプト基とを有する化合物)、酸触媒(和光純薬社製:p−トルエンスルホン酸1水和物:PTS・HO)及び酸化防止剤(和光純薬社製:フェノチアジン:PTZ)を原料として、所定の仕込み量を仕込み、所定の反応温度・反応時間で、下記(1)エステル化工程及び(2)脱溶媒化工程を行い、チオール変性単量体(PAGチオール)を調製した。以下、調製したPAGチオールをSH−1〜4と表記する。
(1)エステル化工程
ジムロート冷却管付の水分定量受器、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に原料を仕込んだ。水分定量受器をシクロヘキサン(溶媒)で満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。反応系内が所定の温度となるように途中でシクロヘキサンを加えながら所定時間加温し、脱水エステル化反応を行った。
なお、反応時間は、理論脱水量への到達及びLCとGPCの分析結果により決定した。
(2)脱溶媒工程
エステル化工程後、固化しないように撹拌しながら反応溶液を60℃以下に放冷した後、所定量の30%NaOH水溶液と水の混合物を速やかに反応器内に投入した。次に、この反応溶液を約70℃まで昇温し、還流が落ち着いてから徐々に約100℃まで加温してシクロヘキサンを留去した。溶媒留去後、加温を停止し、放冷しながら窒素を30mL/分で90分バブリングして残存シクロヘキサンを除去し、チオール変性単量体(PAGチオール)の水溶液を得た。
製造例5〜8について、脱溶媒工程後に得られたチオール変性単量体(PAGチオール)のチオール変性単量体純分、及び、多量化物量をそれぞれ分析した。その結果を表2−3に示す。
Figure 2015030639
Figure 2015030639
Figure 2015030639
<製造例9−12:PEG−BP(PEGブロックポリマー)(1)〜(4)の製造>
製造例5〜8で得られたチオール変性単量体(PAGチオール1〜4)を用いて、不飽和カルボン酸系単量体としてメタクリル酸(以下、MAAと表記)と不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体としてのポリアルキレンエチレングリコール系モノマー(以下、「PEGモノマー」と表記)とを重合してPEGブロックポリマー(以下、PEG−BPと表記)を製造した。
PEGモノマーとしては、EO付加数が23モルのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(以下、PGM23Eと表記)を用いた。重合開始剤としてV−50(和光純薬社製2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩)を用いた。
単量体溶液として、所定量の単量体、PAGチオール、水酸化ナトリウムの水溶液を調製した。開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の水を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度(80℃)まで加温した。続いて、所定量の単量体溶液を4時間、開始剤溶液を5時間かけて反応器内に滴下し、滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、重合体の水溶液を得た。
上記手順により、表3−1に記載する重合条件で、重合体を合成した。表3−2において重合体の組成は、SMAA換算(不飽和カルボン酸系単量体をNaOHで完全中和した場合)の質量比で表しており、PAGチオールは外割で考慮しているので、合計は100%になっていない。
Figure 2015030639
Figure 2015030639
<収縮低減剤の準備>
収縮低減剤として下記を準備した。
ヒビダン:竹本油脂社製 ポリエーテル誘導体系乾燥収縮低減剤
テトラガード:太平洋マテリアル社製 低級アルコールアルキレンオキシド付加物系収縮低減剤
PEG(1):重量平均分子量4000のポリエチレングリコール
SH−1:製造例5で得たPAGチオール
<性能評価>
上記製造例9〜12で得られた重合体(PEGブロックポリマー)と、収縮低減剤とを組み合わせて用いて、モルタルの乾燥収縮低減率を測定した。なお、「wt%/C」とはセメントの質量に対する剤の添加質量百分率を示す。
(モルタル、供試体作成および長さ変化の測定方法)
(モルタルW/C=50%条件での測定方法)
モルタルの混練はJIS R 5201−1997附属書2の方法に従いホバート型モルタルミキサー:型番N−50(商品名、ホバート社製)を用い、以下のとおり実施した。表4に示す所定量の重合体、収縮低減剤及び消泡剤(マイクロエア404(MA404)、BASFジャパン株式会社製:ポリアルキレングリコール誘導体)を秤量して水で希釈したもの225gを練鉢に仕込み、これに普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)450gを入れ、直ちに低速(自転速度140±5rpm、公転速度62±10rpm)で始動させた。始動させてから30秒後にセメント強さ試験用標準砂(JIS R 5201−1997附属書2の5.1.3に規定)1350gを30秒間かけて入れた。砂投入後、高速(自転速度285±10rpm、公転速度125±10rpm)にてさらに30秒間混練し、90秒間混練を休止した。休止の最初の15秒間に練鉢に付着したモルタルを掻落し、底に付着したモルタルを中央に集めた。休止後、再度高速で60秒間混練し、混練を終了した。
混練終了後、練鉢からモルタルを取り出し、空気量およびモルタルフロー値の測定をそれぞれJIS1174−1978およびJIS R 5201−1997の方法に従い行った。
(供試体の作成)
乾燥収縮低減性評価用のモルタル供試体(4×4×16cm)の作成をJIS R 5201附属書2の方法に従い実施した。
型枠には予めシリコングリースを塗布して止水すると共に容易に脱型できるようにした。また、供試体の両端にはゲージプラグを装着した。混練して得られたモルタルを流し込んだ型枠を容器に入れ、密閉し20℃で保管し、初期養生(封緘養生)を行なった。1日後に脱型し、供試体に付着したシリコングリースをたわしを用いて水で洗浄し、続いて20℃の静水中で6日間養生(水中養生)した。
(長さ変化の測定)
JIS A 1129−3(ダイヤルゲージ方法)に従い、ダイヤルゲージ((株)西日本試験機製)を使用した。静水中で6日間養生した供試体の表面の水を紙タオルでふき取った後、直ちに測長し、この時点の長さを基準とした。その後、温度20±1℃、湿度60±5%に設定した恒温恒湿室内に保存し、適時測長した。基準長と材齢4週での長さ測定の結果から乾燥収縮ひずみ(長さ変化率:単位×10−6)を算出した。また、上記の評価用配合モルタル組成において、収縮低減剤を添加していない供試体を用いて、これらを比較例1〜4とした。各実施例及び比較例の結果を表4に示した。
収縮ひずみの値が小さいほど、乾燥収縮が抑制されているといえる。
Figure 2015030639
<参考例1〜5>
また、PEG−BP1〜4について、収縮低減剤を加えることなく、W/C=30%となるようにモルタル供試体を調製してモルタル物性及び収縮ひずみを各実施例と同様に評価した。この結果を、ポリカルボン酸系減水剤アクアロックFC−900(日本触媒社製)を用いた場合の結果と合わせて示す。
なお、モルタルW/C=30%条件での測定方法は下記の通りである。
(モルタルW/C=30%条件での測定方法)
モルタルの混練は、ホバート型モルタルミキサー:型番N−50(商品名、ホバート社製)を用い以下のとおり実施した。普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)736.8gを練鉢に仕込み、直ちに低速で始動させた。始動させてから5秒後に表5に示す所定量の重合体及び消泡剤(マイクロエア404(MA404)、BASFジャパン株式会社製:ポリアルキレングリコール誘導体)を秤量して水で希釈したもの221gを15秒間かけて入れ、さらに10秒間混練したのち、30秒間休止した。休止中にセメント強さ試験用標準砂1350gを投入した。休止後、低速で60秒間混練し再度20秒間休止した。休止中に練鉢に付着したモルタルを掻落し、底に付着したモルタルを中央に集めた。休止後、再度低速で120秒間混練し、混練を終了した。
混練終了後、練鉢からモルタルを取り出し、空気量の測定をJIS1174−1978に従い行った。また、モルタルフロー値は、JIS R 5201−1997の方法に準拠して0打フローの値を測定した。
供試体の作成、長さ変化の測定の方法はモルタルW/C=50%条件の場合と同様である。
Figure 2015030639

Claims (6)

  1. (ポリ)アルキレングリコール鎖の少なくとも1つの末端にビニル系単量体単位による高分子鎖の主鎖末端が結合部位を介して結合した構造を必須とする(ポリ)アルキレングリコール系重合体と、
    収縮低減剤とを含むことを特徴とするセメント混和剤。
  2. 前記ビニル系単量体単位による高分子鎖は、不飽和カルボン酸系単量体に由来する単量体単位を含むことを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤。
  3. 前記ビニル系単量体単位による高分子鎖は、不飽和カルボン酸系単量体に由来する単量体単位と不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体に由来する単量体単位とを含むことを特徴とする請求項2に記載のセメント混和剤。
  4. 前記収縮低減剤は、(ポリ)オキシアルキレン系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセメント混和剤。
  5. 前記収縮低減剤が下記一般式(23):
    Figure 2015030639
    (但し、式中、R19及びR21は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R20Oは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表し、同一でも異なっていてもよい。rは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜250の数である。)
    で表される構造を有することを特徴とする請求項4に記載のセメント混和剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のセメント混和剤、セメント及び水を含むことを特徴とするセメント組成物。
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