JP2007238060A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 接地幅が大きい場合であっても、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 回転方向Rが指定された空気入りタイヤにおいて、トレッド部1に、トレッドセンター位置TCでタイヤ周方向に延びる主溝2と、トレッドセンター側から両ショルダー側に向かって回転方法Rとは反対方向に傾斜して主溝2に連通する複数本のスラント溝3と、少なくとも3本のスラント溝3を横断しながらスラント溝3と同方向に傾斜して主溝2とは非連通となる複数本のスラント溝4とを設け、接地幅TCWの50%に相当するセンター領域Cでのスラント溝3の平均傾斜角度αを25°〜40°とし、センター領域Cでのスラント溝4の平均傾斜角度βを5°〜25°とし、かつ任意のタイヤ子午線Mが少なくとも2本のスラント溝3と少なくとも5本のスラント溝4とを同時に横断するような溝配置とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、回転方向が指定された空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、接地幅が大きい場合であっても、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立することを可能にした空気入りタイヤに関する。
レーシング用タイヤのように接地幅が大きいタイヤでは、ウェット条件下でサーキット走行を行う場合、ハイドロプレーニング現象の発生をより確実に防止し、しかも優れた操縦安定性を発揮することが望まれている。ハイドロプレーニング現象の発生を防止するにはトレッド部の溝面積比率を大きくすれば良いが、溝面積比率を大きくすると操縦安定性が悪化することになる。そのため、接地幅が大きいタイヤではウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立することが常に課題になっている。
ところで、空気入りタイヤにおいて、回転方向を指定する一方で、トレッド部に、トレッドセンター位置でタイヤ周方向に延びる主溝と、トレッドセンター側から両ショルダー側に向かって回転方法とは反対方向に傾斜する複数本のスラント溝とを設けたものがある。このような空気入りタイヤは、直進時及び旋回時において良好な排水性を発揮することができる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のようなトレッドパターンを有する空気入りタイヤであっても、接地幅が大きい場合にはウェット条件下での排水性と操縦安定性を高い次元で両立することは難しく、更なる改善が望まれている。
特開2003−175705号公報
本発明の目的は、接地幅が大きい場合であっても、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、回転方向が指定された空気入りタイヤにおいて、トレッド部に、トレッドセンター位置でタイヤ周方向に延びる主溝と、トレッドセンター側から両ショルダー側に向かって前記回転方法とは反対方向に傾斜して前記主溝に連通する複数本の第1スラント溝と、少なくとも3本の第1スラント溝を横断しながら前記第1スラント溝と同方向に傾斜して前記主溝とは非連通となる複数本の第2スラント溝とを設けると共に、接地幅の50%に相当するセンター領域での前記第1スラント溝のタイヤ周方向に対する平均傾斜角度を25°〜40°とし、前記センター領域での前記第2スラント溝のタイヤ周方向に対する平均傾斜角度を5°〜25°とし、かつ任意のタイヤ子午線が少なくとも2本の第1スラント溝と少なくとも5本の第2スラント溝とを同時に横断するような溝配置としたことを特徴とするものである。
本発明では、トレッド部にタイヤ周方向に延びる主溝とタイヤに対する傾斜角度が異なる2種類のスラント溝を設けているので、これら主溝及び2種類のスラント溝の排水能力に基づいてウェット条件下での排水性を改善し、直進時及び旋回時におけるハイドロプレーニング現象の発生を防止することができる。また、第1スラント溝及び第2スラント溝のセンター領域での平均傾斜角度をそれぞれ上記範囲に規定すると共に、任意のタイヤ子午線が少なくとも2本の第1スラント溝と少なくとも5本の第2スラント溝とを同時に横断するような溝配置としたことにより、トレッド部において均一な接地性を確保し、その結果として、高い操縦安定性と均一な摩耗特性を維持することができる。これにより、接地幅が大きい場合であっても、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立することが可能になる。
本発明において、第1スラント溝及び第2スラント溝の少なくとも一方をトレッドセンター位置から離れるにしたがってタイヤ周方向に対する傾斜角度が大きくなるように湾曲させても良い。この場合、ショルダー側のブロック剛性を高めて操縦安定性を向上することができる。また、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立するために、接地幅内の溝面積比率は25%〜45%にすることが好ましい。上記トレッドパターンは接地幅が200mm以上である空気入りタイヤにおいて特に有効である。
本発明において、接地幅とはJATMA、TRA又はETRTO等の規格によって定められた静的負荷半径の測定条件にてタイヤのトレッド部を平面に接地させたとき、タイヤが平面に接地する部分のタイヤ軸方向の幅である。但し、レース用タイヤの場合は、タイヤをリムに装着し、空気圧180kPa、荷重4kNの条件で接地したときの接地幅とする。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図2はそのトレッドパターンを拡大して示すものである。本実施形態の空気入りタイヤは、前進時の回転方向Rが指定されたものである。
図1及び図2に示すように、トレッド部1には、1本のストレート状の主溝2と、タイヤ周方向に所定のピッチで配置された複数本のスラント溝3(第1スラント溝)と、タイヤ周方向に所定のピッチで配置された複数本のスラント溝4(第2スラント溝)とが形成され、これら主溝1及びスラント溝3,4により多数のブロック5が区分されている。ブロック5には必要に応じてカーフ等の切り込みを入れるようにしても良い。
主溝2は、トレッドセンター位置TCでタイヤ周方向に連続的に延在している。主溝2は一定幅を維持しながらタイヤ周方向に延在していても良いが、主溝2に隣接するブロック4の配置に基づいて図示のように屈折していても良い。但し、直進時の排水性を確保するために、主溝2をタイヤ周方向に投影したとき幅1mm以上の溝空間がタイヤ周方向に連続するようなシースルー構造を形成することが望ましい。主溝2の溝幅は8mm〜18mmとし、その溝深さは4.5mm〜6.5mmとする。
スラント溝3は、トレッドセンター側から両ショルダー側に向かって回転方法Rとは反対方向に傾斜し、トレッドセンター側の端部が主溝2に連通し、ショルダー側の端部が非接地領域まで延長している。スラント溝3は直線形状でも曲線形状でも良い。トレッドセンター位置TCを中心とする接地幅TCWの50%相当の領域をセンター領域Cとしたとき、センター領域Cでのスラント溝3のタイヤ周方向に対する平均傾斜角度αは25°〜40°の範囲、より好ましくは30°〜35°の範囲に設定されている。平均傾斜角度αは、スラント溝3のトレッドセンター側の端部の溝幅中心位置と、センター領域Cの外縁におけるスラント溝3の溝幅中心位置とを結んだ直線がタイヤ周方向に対してなす角度である。この平均傾斜角度αが小さ過ぎるとブロック剛性が不足して操縦安定性が低下し、逆に大き過ぎると排水性が低下する。スラント溝3の溝幅は4mm〜10mmとし、その溝深さは4.5mm〜6.5mmとする。
スラント溝4は、少なくとも3本(より好ましくは、少なくとも6本)のスラント溝3を横断しながらトレッドセンター側から両ショルダー側に向かって回転方法Rとは反対方向に傾斜し、トレッドセンター側の端部が主溝2とは非連通となるように最もトレッドセンター側に位置するブロック5内で終端し、ショルダー側の端部が最もショルダー側に位置するブロック5内で終端している。スラント溝4は直線形状でも曲線形状でも良い。センター領域Cでのスラント溝4のタイヤ周方向に対する平均傾斜角度βは5°〜25°の範囲、より好ましくは10°〜20°の範囲に設定されている。平均傾斜角度βは、スラント溝4のトレッドセンター側の端部の溝幅中心位置と、センター領域Cの外縁におけるスラント溝4の溝幅中心位置とを結んだ直線がタイヤ周方向に対してなす角度である。この平均傾斜角度βが小さ過ぎるとブロック剛性が不足して操縦安定性が低下し、逆に大き過ぎると排水性が低下する。スラント溝4の溝幅は4mm〜10mmとし、その溝深さは4.5mm〜6.5mmとする。
トレッド部1に任意のタイヤ子午線M(タイヤをラジアル方向に切断したときの切断線)を描いたとき、そのタイヤ子午線Mが少なくとも2本(より好ましくは、少なくとも4本)のスラント溝3と少なくとも5本(より好ましくは、少なくとも7本)のスラント溝4とを同時に横切るような溝配置になっている。即ち、スラント溝3,4はトレッド部1を適度な大きさを持つ多数のブロック5に細分化し、均一な接地性に寄与している。
上記空気入りタイヤでは、トレッド部1にタイヤ周方向に延びる主溝2とタイヤに対する傾斜角度が異なる2種類のスラント溝3,4を設けているので、ウェット条件下での排水性を改善し、直進時及び旋回時におけるハイドロプレーニング現象の発生を防止することができる。しかも、スラント溝3,4のセンター領域Cでの平均傾斜角度α,βを規定すると共に、任意のタイヤ子午線Mが多数本のスラント溝3,4を同時に横切るような溝配置としているので、トレッド部1の少なくともセンター領域Cにおいて均一な接地性を確保し、その結果として、高い操縦安定性と均一な摩耗特性を維持することができる。これにより、接地幅が200mm以上、或いは、300mm以上であっても、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立することが可能になる。更に、上述したトレッドパターンでは雨量が少ない状態で走行した場合であってもブロックの傷みを少なくすることが可能になる。
スラント溝3,4はトレッドセンター位置TCから離れるにしたがってタイヤ周方向に対する傾斜角度が大きくなるように湾曲させても良い。この場合、ショルダー側のブロック剛性を高めて操縦安定性を向上することができる。
また、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とを両立するために、接地幅TCW内の溝面積比率は25%〜45%にすると良い。溝面積比率とは、接地幅内の陸部面積と溝面積との総和に対する溝面積の比率である。この溝面積比率が25%未満であると排水性が低下し、45%を超えると操縦安定性が低下する。
タイヤサイズ330/710R18のレーシング用タイヤにおいて、図1のトレッドパターンを形成し、その寸法要件だけを表1のように種々異ならせた実施例1〜13のタイヤをそれぞれ製作した。比較のため、従来例として、図3に示すように、特開2003−175705号公報に記載されるトレッドパターンを採用したタイヤを用意した。
これら試験タイヤについて、サーキット走行試験を実施した。即ち、各試験タイヤをリムサイズ18×13JJのホイールに組付け、空気圧を180kPaとして排気量3800ccの後輪駆動車に装着し、周回距離が5.6kmのサーキットにおいてウェット条件下でテストドライバーによる10周の試験走行を実施し、その平均ラップタイムを測定した。その結果を表1に示した。
Figure 2007238060
この表1から判るように、実施例1〜13のタイヤは、従来例に比べて平均ラップタイムが短く、ウェット条件下での排水性と操縦安定性とが優れていた。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す斜視図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを拡大して示す展開図である。 従来の空気入りタイヤのトレッドパターンの一例を示す展開図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 主溝
3 スラント溝(第1スラント溝)
4 スラント溝(第2スラント溝)
5 ブロック
C センター領域
M タイヤ子午線
R 回転方向
TC トレッドセンター位置
TCW 接地幅

Claims (4)

  1. 回転方向が指定された空気入りタイヤにおいて、トレッド部に、トレッドセンター位置でタイヤ周方向に延びる主溝と、トレッドセンター側から両ショルダー側に向かって前記回転方法とは反対方向に傾斜して前記主溝に連通する複数本の第1スラント溝と、少なくとも3本の第1スラント溝を横断しながら前記第1スラント溝と同方向に傾斜して前記主溝とは非連通となる複数本の第2スラント溝とを設けると共に、接地幅の50%に相当するセンター領域での前記第1スラント溝のタイヤ周方向に対する平均傾斜角度を25°〜40°とし、前記センター領域での前記第2スラント溝のタイヤ周方向に対する平均傾斜角度を5°〜25°とし、かつ任意のタイヤ子午線が少なくとも2本の第1スラント溝と少なくとも5本の第2スラント溝とを同時に横断するような溝配置とした空気入りタイヤ。
  2. 前記第1スラント溝及び前記第2スラント溝の少なくとも一方をトレッドセンター位置から離れるにしたがってタイヤ周方向に対する傾斜角度が大きくなるように湾曲させた請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 接地幅内の溝面積比率が25%〜45%である請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 接地幅が200mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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