JP2007237468A - 型内発泡成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】型内発泡成形時の使用蒸気量を従来技術よりも削減でき、同等の品質を備えた熱可塑性樹脂発泡成形体を低コストで製造可能な方法の提供。
【解決手段】(a)成形型加熱工程、(b)一方加熱工程、(c)逆一方加熱工程、(d)両面加熱工程、(e)保持された蒸気で成形型内を保熱する保熱工程を行い、次いで成形型を冷却し、発泡樹脂成形体を成形型から取り出す型内発泡成形方法において、前記(b)一方加熱工程が7秒以上であり、(b)一方加熱工程終了時の成形型内の圧力が0.03MPa以上であり、且つ(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間の比率が0.8〜1.2の範囲内であることを特徴とする型内発泡成形方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡成形体などの熱可塑性樹脂発泡成形体を型内発泡成形によって製造する型内発泡成形方法に関し、特に、加熱媒体として使用する蒸気の使用量を従来方法よりも低減可能な型内発泡成形方法に関する。
従来、ポリスチレン系樹脂発泡成形体などの熱可塑性樹脂発泡成形体を型内発泡成形によって製造する型内発泡成形方法としては、例えば、特許文献1〜5に開示された技術が提案されている。
特許文献1には、固定側金型、移動側金型及び側面側金型により画成される型窩内に熱可塑性合成樹脂予備発泡粒子を充填し、加熱して発泡成形した後、冷却して成形体を取り出すブロック用発泡成形方法において、全金型蒸気室内の真空排気を行いながら熱可塑性合成樹脂予備発泡粒子を充填する真空充填と、真空排気を止めて充填する普通充填とからなる1組の充填を1回または複数回繰り返して充填工程を完了し、次いで加熱工程を、一方加熱、逆一方加熱及び側面加熱の第1段階と、全面加熱の第2段階とに分け、第2段階は第1段階より供給蒸気圧を高くして発泡成形を行い、しかる後に冷却して成形体を取り出すことを特徴とする熱可塑性合成樹脂ブロック用発泡成形方法が開示されている。この特許文献1の第12欄40〜46行には、蒸気圧力の自然低下と加熱保持による融着度の向上のため、30秒間保熱を行うことが記載されている。
特許文献2には、型内発泡成形による熱可塑性合成樹脂発泡成形体の製造方法において、発泡工程における熱可塑性合成樹脂粒子の発泡圧力の上限設定値及び下限設定値に対応させて、前記型内への蒸気供給を停止および開始させる操作を繰り返すことにより、該圧力を適正範囲に保つようにしたことを特徴とする熱可塑性合成樹脂発泡成形体の製造方法が開示されている。この特許文献2の段落番号0006には、蒸気による加熱工程後にドレン弁を閉じた状態で放置する保熱工程を行うことがある旨の記載があるが、その詳細については記載されていない。
特許文献3には、ビーズ法型内成形法によって得られ、かつ、密度が0.018g/cm以上0.3g/cm以下であるポリプロピレン系樹脂発泡体からなることを特徴とする野菜栽培用容器が開示されている。この特許文献3の段落番号0022等には、ビーズ法型内成形法の蒸気加熱を一方加熱工程、逆一方加熱工程、本加熱工程、保熱工程の各工程により行うことが記載され、さらに段落番号0023には、保熱工程を通常(0〜30秒)より長く、例えば、10〜40秒程度とることが記載されている。
特許文献4には、コア金型とキャビティ金型とにより形成される成形空間内に予備発泡粒子を充填し、該予備発泡粒子を加熱媒体により加熱して発泡成形体を製造するための金型であって、その表面に金網又はパンチングメタル等の凹凸模様が転写されており、前記凹凸模様の適所に模様の凸部と同様の高さの凸状部が設けられてなり、該凸状部に蒸気通過孔が穿設された型内発泡成形用金型が開示されている。この特許文献4の実施例1,2には、一方加熱、逆一方加熱、両面加熱及び保熱(5秒)からなる加熱を行う事が記載されている。
特許文献5には、芳香族ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を成形型に充填し、加熱、冷却等を行い、所定の形状の型内発泡成形体を製造する方法において、本加熱の前に先ず90〜105℃の加熱媒体によって加熱し、その後0.03〜0.1MPaの蒸気により本加熱を行うことを特徴とする芳香族ポリエステル系樹脂による型内発泡成形体の製造方法が開示されている。この特許文献5の表1、実施例1等には、金型加熱、一方加熱、逆一方加熱、両面加熱及び保熱の各加熱工程を備える製造方法が記載されている。
特公平6−98696号公報 特開2000−43152号公報 特開2005−151873号公報 実用新案登録第3045015号公報 特開2001−269960号公報
ポリスチレン系樹脂発泡成形体などの熱可塑性樹脂発泡成形体を型内発泡成形によって製造する型内発泡成形方法においては、省エネルギー及び製造コスト削減を図るために、型内発泡成形で使用する加熱媒体(蒸気)の使用量を現状よりも低減可能な方法の提供が求められている。
しかしながら、前述した特許文献1〜5に開示されている型内発泡成形方法の従来技術では、加熱工程中の保熱の効用は、発泡樹脂粒子同士の融着率の向上や発泡成形体の表面延びの向上を目的としており、保熱を用いて型内発泡成形時の使用蒸気量の削減を意図するものではない。また、その他にも、保熱を用いて型内発泡成形時の使用蒸気量の削減を図ることは提案されていない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、型内発泡成形時の使用蒸気量を従来技術よりも削減でき、同等の品質を備えた熱可塑性樹脂発泡成形体を低コストで製造可能な方法の提供を目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために、型内発泡成形時の加熱工程を詳細に検討した。その結果、加熱工程のうち、一方加熱工程と保熱工程の時間割合をある一定の範囲とすることで、加熱に用いる蒸気量を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、蒸気が流通可能な第1の型と第2の型とを合わせ、それぞれの型間に所望形状のキャビティを有するとともに、それぞれの型に、蒸気弁を開いた時に該型に蒸気が供給される蒸気供給管路とドレン弁を開いた時に該型内から流体を排出するドレン管路とが設けられた成形型の該キャビティ内に、熱可塑性樹脂予備発泡粒子を充填した後、次の各加熱工程(a)〜(e)、
(a)第1の型と第2の型との蒸気弁及びドレン弁を開き、成形型に蒸気を流す成形型加熱工程、
(b)次いで、第1の型の蒸気弁と第2の型のドレン弁とを開き、第1の型のドレン弁と第2の型の蒸気弁とを閉じ、第1の型側から第2の型側に蒸気を流す一方加熱工程、
(c)次いで、第2の型の蒸気弁と第1の型のドレン弁とを開き、第2の型のドレン弁と第1の型の蒸気弁とを閉じ、第2の型側から第1の型側に蒸気を流す逆一方加熱工程、
(d)次いで、第1の型と第2の型のそれぞれの蒸気弁を開き、第1の型と第2の型のそれぞれのドレン弁を閉じて成形型を加熱する両面加熱工程、
(e)次いで、第1の型と第2の型のそれぞれの蒸気及びドレン弁を閉じ、保持された蒸気で成形型内を保熱する保熱工程を行い、次いで成形型を冷却し、発泡樹脂成形体を成形型から取り出す型内発泡成形方法において、
前記(b)一方加熱工程が7秒以上であり、(b)一方加熱工程終了時の成形型内の圧力が0.03MPa以上であり、且つ(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間の比率が0.8〜1.2の範囲内であることを特徴とする型内発泡成形方法を提供する。
本発明の型内発泡成形方法は、前記(a)〜(e)の各加熱工程を備える型内発泡成形方法において、(b)一方加熱工程が7秒以上であり、(b)一方加熱工程終了時の成形型内の圧力が0.03MPa以上である場合に、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間の比率を0.8〜1.2の範囲内としたことによって、最も使用蒸気量が多い一方加熱工程を短縮しても、発泡粒子同士の融着率が高い良好な品質の発泡成形体を得ることができ、一方加熱工程を短縮できる分、使用蒸気量が削減でき、同等の品質を備えた熱可塑性樹脂発泡成形体を低コストで製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の型内発泡成形方法の実施形態を説明する。
図1及び図2は、本発明の型内発泡成形方法を実施するために好適な成形装置の一例を示す図であり、図1は成形装置の構成図、図2は該成形装置の蒸気供給管路を例示する構成図である。
この成形装置1は、第1の型であるキャビティ型2と、第2の型であるコア型3とを備え、これらの型が接近・離間することで型閉め・型開きが可能な成形型4を有している。キャビティ型2は、多数の蒸気孔が設けられたキャビティ型本体5とそれを支持しているフレーム6とを備え、またコア型3も多数の蒸気孔が設けられたコア型本体7とそれを支持しているフレーム8とを備えている。図1に示す型閉め状態において、キャビティ型本体5とコア型本体7との間には、魚箱など、製造しようとする発泡成形体の外径に合致したキャビティ9が形成される。キャビティ型本体5とフレーム6との間には、蒸気室10が設けられ、またコア型本体7とフレーム8との間にも蒸気室11が設けられている。
キャビティ型2側の蒸気室10には、キャビティ側蒸気弁12を介して蒸気供給管路が接続され、その対向位置にはキャビティ側ドレン弁13を介してドレン管路が接続され、このドレン管路には、真空弁14を介して真空排気管路が接続されている。またキャビティ型2側の蒸気室10には、冷却水弁15を介して冷却水供給管路が挿入され、さらに適所には圧力計16が接続されている。
同様に、コア型3側の蒸気室11には、コア側蒸気弁17を介して蒸気供給管路が接続され、その対向位置にはコア側ドレン弁18を介してドレン管路が接続され、このドレン管路には、真空弁19を介して真空排気管路が接続されている。またコア型3側の蒸気室11には、冷却水弁20を介して冷却水供給管路が挿入され、さらに適所には圧力計21が接続されている。なお、図示していないが、この成形型4の適所には、キャビティ9内に予備発泡粒子を充填するための供給管路が接続した予備発泡粒子供給口が設けられている。
それぞれの蒸気室10,11に蒸気を供給するための蒸気供給管路22は、図2に示すように、高圧の蒸気が通る蒸気主管23に接続され、その管路内には、蒸気減圧弁24とオリフィス型蒸気流量計25とが設けられている。前記蒸気減圧弁24は、供給蒸気圧力を通常0.20〜0.55MPa程度に設定している。オリフィス型蒸気流量計25は、流量計に接続された表示部26により、蒸気供給管路22を経て供給される蒸気流量を表示可能になっている。
前述したように構成された成形装置を用い、ポリスチレン系樹脂発泡成形体などの熱可塑性樹脂発泡成形体を製造するには、キャビティ型2とコア型3とを接近させて成形型4を閉じ、そのキャビティ9内に予備発泡粒子を充填し、次いで成形型4を蒸気加熱して発泡させながら予備発泡粒子同士を融着させて型内発泡成形し、次いで成形型4を冷却し、次いで成形型4を開き、発泡成形体を離型して取り出すことにより行われる。
本発明の型内発泡成形方法において用いる予備発泡粒子は、発泡剤を含有させた合成樹脂粒子を予備発泡させて得られるものであり、この合成樹脂粒子を構成する合成樹脂としては、従来から発泡樹脂成形品製造のために用いられている樹脂材料の中から適宜選択して用いることができ、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等を挙げることができ、強度と成形性の良さからポリスチレン系樹脂が好ましい。
また、前記発泡剤としては、沸点が合成樹脂の軟化点以下であって、常圧でガス状もしくは液状の有機化合物が適しており、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、炭酸ガス、窒素等の無機ガス等が用いられる。これらの発泡剤は、一種のみを使用してもよく、また、二種以上を併用してもよい。発泡剤の含有率としては、合成樹脂粒子質量に対して1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%である。発泡剤の含有量が前記範囲を下回ると、発泡成形品の発泡倍率が不十分で軽量発泡体が得られない。一方、発泡剤の含有量が前記範囲を超えても、発泡倍率の更なる上昇は実質的に見込めず、また発泡が不安定になり好ましくない。
本発明の型内発泡成形方法では、成形型4のキャビティ9内に予備発泡粒子を充填した後、次の各加熱工程(a)〜(e)、
(a)キャビティ側蒸気弁12、コア側蒸気弁17、キャビティ側ドレン弁13及びコア側ドレン弁18を開き、成形型4に蒸気を流す成形型加熱工程、
(b)次いで、キャビティ側蒸気弁12とコア側ドレン弁18を開き、キャビティ側ドレン弁13とコア側蒸気弁17とを閉じ、キャビティ型2側からコア型3側に蒸気を流す一方加熱工程、
(c)次いで、コア側蒸気弁17とキャビティ側ドレン弁13とを開き、キャビティ側蒸気弁12とコア側ドレン弁18を閉じ、コア型3側からキャビティ型2側に蒸気を流す逆一方加熱工程、
(d)次いで、キャビティ側蒸気弁12とコア側蒸気弁17を開き、キャビティ側ドレン弁13とコア側ドレン弁18を閉じて成形型4を加熱する両面加熱工程、
(e)次いで、キャビティ側蒸気弁12、コア側蒸気弁17、キャビティ側ドレン弁13及びコア側ドレン弁18を閉じ、保持された蒸気で成形型4内を保熱する保熱工程、
とを行う。その一例を表1に示す。表1中、○は弁が開の状態、×は弁が閉の状態を示している。
Figure 2007237468
一例であるが、成形装置1として、積水工機製作所社製ACE30QSを用い、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形する場合、表1に記したように、加熱工程内の各工程によって単位時間当たりの蒸気流量は異なるが、単位流量が最も多い一方加熱工程の時間を短縮することが、省蒸気に有効であることがわかる。
これまで、保熱工程は発泡成形体の内部融着の改善や表面仕上げの安定化の目的のために使用されることは有ったが、本発明では、使用蒸気量の削減の観点から保熱工程を長くし、一方加熱工程を短縮化した。
成形テストによれば、従来通りの加熱時間後に保熱を長くすれば表面状態、内部融着は過剰品質となり、冷却サイクルが延びることにより、成形サイクルが長くなった。そのため、まず両面加熱工程を短縮することにより、同等の発泡成形体を得た。
次に、一方加熱工程を短縮し、同等品質に調整した結果、逆一方加熱工程又は両面加熱工程を延長することが必要な成形型もあったが、いずれも1サイクル当たりの使用蒸気量を削減できることが分かった。
つまり、一方加熱工程は、他の加熱工程よりも単位時間当たりの蒸気流量が大きく、他の加熱工程が同じ時間だけ長くなっても全体の流量は少なくて済む。
従来の各加熱工程の機能は、表1中に記載したように考えられていた。つまり、両面加熱工程で融着、表面のびを完了し、保熱は予備的に考えられてきた。
しかし、保熱を適当に延長することにより、一方加熱工程を短縮することができ、それらの工程の時間比率:(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=0.8〜1.2の範囲内とすることで、成形1サイクル中で使用する蒸気の6〜8%が削減可能となった。この範囲内であれば、冷却工程も長くなることはなく、生産性を落とすことなく省エネルギー化を達成できる。
本発明の型内発泡成形方法は、前記(a)〜(e)の各加熱工程を備える型内発泡成形方法において、(b)一方加熱工程が7秒以上であり、(b)一方加熱工程終了時の成形型内の圧力が0.03MPa以上である場合に、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間の比率を0.8〜1.2の範囲内としたことによって、最も使用蒸気量が多い一方加熱工程を短縮しても、発泡粒子同士の融着率が高い良好な品質の発泡成形体を得ることができ、一方加熱工程を短縮できる分、使用蒸気量が削減でき、同等の品質を備えた熱可塑性樹脂発泡成形体を低コストで製造することができる。
以下、実施例により本発明の効果を実証する。
[実施例1]
成形装置は、積水工機製作所社製ACE−30QSを使用した。この成形装置に、表2中のAで示す外寸と内寸を持った魚箱を成形可能なキャビティ型とコア型を取り付けた。
型閉め後、キャビティ内にポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を充填した。予備発泡粒子としては、積水化成品工業社製HDMF(嵩発泡倍数60倍)を用いた。
次に、0.20MPa〜0.55MPaの蒸気(蒸気減圧弁24の設定値)を導入し、(a)〜(e)の各加熱工程を連続して実施した。
(a)キャビティ側蒸気弁12、コア側蒸気弁17、キャビティ側ドレン弁13及びコア側ドレン弁18を開き、成形型4に蒸気を流す成形型加熱工程(2秒)、
(b)次いで、キャビティ側蒸気弁12とコア側ドレン弁18を開き、キャビティ側ドレン弁13とコア側蒸気弁17とを閉じ、キャビティ型2側からコア型3側に蒸気を流す一方加熱工程(15.0秒)、
(c)次いで、コア側蒸気弁17とキャビティ側ドレン弁13とを開き、キャビティ側蒸気弁12とコア側ドレン弁18を閉じ、コア型3側からキャビティ型2側に蒸気を流す逆一方加熱工程(4秒)、
(d)次いで、キャビティ側蒸気弁12とコア側蒸気弁17を開き、キャビティ側ドレン弁13とコア側ドレン弁18を閉じて成形型4を加熱する両面加熱工程(4秒)、
(e)次いで、キャビティ側蒸気弁12、コア側蒸気弁17、キャビティ側ドレン弁13及びコア側ドレン弁18を閉じ、保持された蒸気で成形型4内を保熱する保熱工程(12秒)。
本実施例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.04MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=0.80であった。
次に、成形型を冷却(冷却水冷却及び真空排気)し、その後成形型を開き、表2中のAで示す外寸と内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
[比較例1−1:従来条件]
(b)一方加熱工程を17.5秒、(c)逆一方加熱工程を3秒、(e)保熱工程を3秒とした以外は、実施例1と同様にして、表2中のAで示す外寸と内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
本比較例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.045MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=0.17(本発明範囲外)であった。
[比較例1−2:比較条件]
(b)一方加熱工程を12.0秒、(c)逆一方加熱工程を6秒、(d)両面加熱工程を9秒、(e)保熱工程を15秒とした以外は、実施例1と同様にして、表2中のAで示す外寸と内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
本比較例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.032MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=1.25(本発明範囲外)であった。
[比較例1−3:比較条件]
(b)一方加熱工程を15.5秒、(c)逆一方加熱工程を5秒、(e)保熱工程を10秒とした以外は、実施例1と同様にして、表2中のAで示す外寸、内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
本比較例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.042MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=0.71(本発明範囲外)であった。
[実施例2]
実施例1で使用した成形装置に、表2中のBで示す外寸と内寸を持った魚箱を成形可能なキャビティ型とコア型を取り付けた。
(a)成形型加熱工程を2秒、(b)一方加熱工程を11.0秒、(c)逆一方加熱工程を4.5秒、(d)両面加熱工程を4秒、(e)保熱工程を12秒とした。
本実施例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.03MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=1.09であった。
次に、成形型を冷却(冷却水冷却及び真空排気)し、その後成形型を開き、表2中のBで示す外寸と内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
[比較例2:従来条件]
(b)一方加熱工程を13.0秒、(c)逆一方加熱工程を3秒、(e)保熱工程を3秒とした以外は、実施例2と同様にして、表2中のBで示す外寸、内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
本比較例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.45MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=0.23(本発明範囲外)であった。
[実施例3]
実施例1で使用した成形装置に、表2中のCで示す外寸と内寸を持った魚箱を成形可能なキャビティ型とコア型を取り付けた。
(a)成形型加熱工程を2秒、(b)一方加熱工程を8.1秒、(c)逆一方加熱工程を5秒、(d)両面加熱工程を6秒、(e)保熱工程を7秒とした。
本実施例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.04MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=1.02であった。
次に、成形型を冷却(冷却水冷却及び真空排気)し、その後成形型を開き、表2中のCで示す外寸と内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
[比較例3−1:従来条件]
(b)一方加熱工程を10.2秒、(c)逆一方加熱工程を4秒、(e)保熱工程を3秒とした以外は、実施例3と同様にして、表2中のCで示す外寸、内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
本比較例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.045MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=0.29(本発明範囲外)であった。
[比較例3−2:従来条件]
(b)一方加熱工程を6.0秒(本発明の範囲外)、(c)逆一方加熱工程を7秒、(d)両面加熱工程を12秒とした以外は、実施例3と同様にして、表2中のCで示す外寸、内寸、及び発泡倍数を持った魚箱を得た。
本比較例において、(b)一方加熱工程後のキャビティ側蒸気室圧力は0.032MPaであり、(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間=1.2であった。
Figure 2007237468
実施例1と比較例1−1,1−2,1−3は、同じ成形型を使用して比較試験を行った。比較例1−1は従来、通常に魚箱を生産している条件であり、実施例1と比較例1−2,1−3は保熱時間と一方加熱時間の比率を変えてデストを行った。
実施例2と比較例2は、同じ成形型を使用して比較テストを行った。
実施例3と比較例3−1,3−2は、同じ成形型を使用してテストを行った。比較例3−1は従来、通常に魚箱を生産している条件であり、比較例3−2は一方加熱工程の最短時間を見極めるテストである。
表2中に記した魚箱の「発泡倍数」は、次の通り測定した。
また、実施例1〜3及び比較例1−1〜3−2でそれぞれ作製した魚箱について、「融着率」を次のように測定した。そして、試験結果を表3にまとめて示す。
<発泡倍数>
発泡倍数は、試験片(例えば、50mm×50mm×20mm)の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。
発泡倍数(倍)=試験片体積(cm)/試験片質量(g)×樹脂比重(1.0)
<融着率>
各成形品(魚箱)の底部分と側面部分の表面に、各部分の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を二分割し、その破断面における発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について粒子内で破断している粒子の数(a)と粒子同士の界面で破断している粒子の数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b))]×100に代入して得られた値を融着率(%)とした。
Figure 2007237468
なお、表3中の「蒸気量」とは、オリフィス型流量計を成形装置の蒸気供給管路の入口部分に取り付け(図2参照)、データ収集機(キーエンス社製NR−1000)を用いて加熱各工程の瞬間蒸気流量と合計蒸気量とを測定し、その合計蒸気量を「蒸気量」とした。表4は、実施例1の場合の蒸気流量の測定値を示す。
Figure 2007237468
また、表3中の「判定」の基準は次の通りとした。
○ :製品(魚箱)の品質(表面のび状態及び融着状態)が従来条件と同等で良好、及び使用蒸気量が従来条件より少ない場合。
△ :従来の成形条件の場合。
× :従来条件より製品の品質が悪いか、又は従来条件より使用蒸気量が多い場合。
表3の結果より、実施例1は、従来条件である比較例1−1と比べ、少ない使用蒸気量で同等の品質の製品を製造でき、省エネルギー(省蒸気)を達成できた。
一方、実施例1よりも一方加熱時間を短縮し、逆一方加熱と両面加熱と保熱時間を延長した比較例1−2((e)/(b)=1.25)は、製品の融着率が低いなど、製品の品質が悪化し、また比較例1と同程度の蒸気量であり、評価×であった。
また、実施例1よりも保熱時間を短縮した比較例1−3((e)/(b)=0.71)は、比較例1と同程度の蒸気量であり、評価×であった。
実施例2は、従来条件である比較例2と比べ、少ない使用蒸気量で同等の品質の製品を製造でき、省エネルギー(省蒸気)を達成できた。
実施例3は、従来条件である比較例3−1と比べ、少ない使用蒸気量で同等の品質の製品を製造でき、省エネルギー(省蒸気)を達成できた。
比較例3−2は、一方加熱時間を本発明の範囲(7秒以上)より少ない6秒としたが、この場合には、逆一方加熱時間と両面加熱時間を実施例3よりも延長し、比較例3−1よりも蒸気量を多くしたにもかかわらず、製品の融着率が低いなど、製品の品質が悪化し、評価×であった。
本発明の型内発泡成形方法を実施するために好適な成形装置の一例を示す構成図である。 前記成形装置の蒸気供給管路を例示する構成図である。
符号の説明
1…成形装置、2…キャビティ型、3…コア型、4…成形型、5…キャビティ型本体、6…フレーム、7…コア型本体、8…フレーム、9…キャビティ、10,11…蒸気室、12…キャビティ側蒸気弁、13…キャビティ側ドレン弁、14,19…真空弁、15,20…冷却水弁、16,21…圧力計、17…コア側蒸気弁、18…コア側ドレン弁、22…蒸気供給管路、23…蒸気主管、24…蒸気減圧弁、25…オリフィス型蒸気流量計、26…表示部。

Claims (1)

  1. 蒸気が流通可能な第1の型と第2の型とを合わせ、それぞれの型間に所望形状のキャビティを有するとともに、それぞれの型に、蒸気弁を開いた時に該型に蒸気が供給される蒸気供給管路とドレン弁を開いた時に該型内から流体を排出するドレン管路とが設けられた成形型の該キャビティ内に、熱可塑性樹脂予備発泡粒子を充填した後、次の各加熱工程(a)〜(e)、
    (a)第1の型と第2の型との蒸気弁及びドレン弁を開き、成形型に蒸気を流す成形型加熱工程、
    (b)次いで、第1の型の蒸気弁と第2の型のドレン弁とを開き、第1の型のドレン弁と第2の型の蒸気弁とを閉じ、第1の型側から第2の型側に蒸気を流す一方加熱工程、
    (c)次いで、第2の型の蒸気弁と第1の型のドレン弁とを開き、第2の型のドレン弁と第1の型の蒸気弁とを閉じ、第2の型側から第1の型側に蒸気を流す逆一方加熱工程、
    (d)次いで、第1の型と第2の型のそれぞれの蒸気弁を開き、第1の型と第2の型のそれぞれのドレン弁を閉じて成形型を加熱する両面加熱工程、
    (e)次いで、第1の型と第2の型のそれぞれの蒸気及びドレン弁を閉じ、保持された蒸気で成形型内を保熱する保熱工程を行い、次いで成形型を冷却し、発泡樹脂成形体を成形型から取り出す型内発泡成形方法において、
    前記(b)一方加熱工程が7秒以上であり、(b)一方加熱工程終了時の成形型内の圧力が0.03MPa以上であり、且つ(e)保熱工程時間/(b)一方加熱工程時間の比率が0.8〜1.2の範囲内であることを特徴とする型内発泡成形方法。

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