JP2007236781A - 医療用チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤が吸着しにくく、さらには、軟質ポリ塩化ビニル製チューブに近い破断強度を有し、かつ輸液ポンプへの適合性、すなわち耐キンク性が良好な、非ハロゲン系素材から形成される医療用チューブを提供する。
【解決手段】オレフィン系重合体から形成される第1層、および前記第1層の外側に設けられジエン系重合体から形成される第2層を備える医療用チューブであって、前記第1層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して5〜30%であり、前記第2層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して70〜95%である、医療用チューブである。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用チューブに関し、さらに詳細には、チューブを潰して薬液等を輸送する際に使用する医療用途に好適な医療用チューブに関する。
透明性、機械的強度、柔軟性に優れるため、軟質ポリ塩化ビニル製の医療用チューブが多用されるが、ニトログリセリンやジアゼパムなどの薬剤を輸液すると、これらがチューブへ吸着されるという問題がある。また、軟質ポリ塩化ビニルの中にはDEHP(ジエチルヘキシルフタレート)などの可塑剤を含有させて柔軟性を付与するものがあり、薬剤の可溶化剤として界面活性剤を含有する薬剤、例えば抗癌剤のペプシドやタキソール、脂肪乳剤、麻酔剤のプロポフォールなどを輸液する場合には、チューブから可塑剤が溶出され、可塑剤の生体への影響や経時的なチューブの硬化が問題となる。また、ポリ塩化ビニルや塩素化ポリエチレンといったハロゲン系重合体を含む材料は、焼却時にダイオキシンの発生が危惧されるなど、昨今の環境問題を勘案すると、非ハロゲン系の代替材料の出現が望まれている。
最近、これらの問題に対処するため、薬剤が吸着しにくいポリブタジエンを含有するチューブ素材(特許文献1参照)や、可塑剤を含まないスチレン系エラストマーを含有するチューブ素材(特許文献2および3参照)が開発され使用されている。
特開平6−184360号公報 特開2001−30425号公報 特開2003−205033号公報
しかし、特許文献1で開示された素材から形成されるチューブは、従来の軟質ポリ塩化ビニル製チューブと比べて破断強度が劣る。このような破断強度が低下したチューブは、通常使用下においては問題とならないが、例えば、手術後の患者によるチューブの引張りや噛み切りに起因するチューブの破断、さらには、チューブの外表面が傷つくことに起因するチューブの破断や破れが発生する虞がある。また、輸液中にチューブが破断することにより、患者へ薬剤が投与されなかったり、患者の血液がチューブに逆流するなどの現象が起こり、健康被害が起こる可能性もある。こうした状況下において、高い破断強度を有し、使用中に破断などが起きないチューブが求められている。
また、特許文献2または3で開示された素材から形成されるチューブには、破断強度に優れたものも存在するが、耐キンク性が従来の軟質ポリ塩化ビニル製チューブと比較して劣るため、輸液ポンプへの適合性が低い。
輸液ポンプは、輸液ポンプに接続したチューブの圧力などを検知し、異常値に対して輸液を停止する機構によって安全性を確保している。従来、ポリ塩化ビニル系樹脂を基準に圧力の上限値および下限値を設定しているが、チューブが柔軟過ぎては検知感度が無用に高くなり、逆にチューブが硬すぎると上記検知機構により検知されず、安全性を確保することができない。通常輸液ポンプは5〜40℃で使用されるため、この温度範囲において、適切な柔軟性や耐キンク性を有することが求められる。
一般的に、チューブ素材の破断強度を上げると、ヤング率が上がり、輸液ポンプの安全機構が適正に働かなくなる。また、耐キンク性も低下してしまう。
そこで本発明は、薬剤が吸着しにくく、さらには、軟質ポリ塩化ビニル製チューブに近い破断強度を有し、かつ輸液ポンプへの適合性、すなわち耐キンク性が良好な、非ハロゲン系素材から形成される医療用チューブを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような状況を鑑みて鋭意研究を積み重ねた結果、内層にジエン系重合体を使用すると、ニトログリセリンなどの薬剤の吸収を抑制できること、チューブが3層構造の場合は中間層に、チューブが2層構造の場合は内層にオレフィン系重合体を使用すると、引張破断強度が向上することを見出した。さらに、チューブの総断面積に対する各層の断面積の比率を制御することで、チューブが輸液ポンプの圧力検知機構に適する耐キンク性を有しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、オレフィン系重合体から形成される第1層、および前記第1層の外側に設けられジエン系重合体から形成される第2層を備える医療用チューブであって、前記第1層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して5〜30%であり、前記第2層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して70〜95%である、医療用チューブを提供する。
本発明によれば、薬剤が吸着しにくく、さらには、軟質ポリ塩化ビニル製チューブに近い破断強度を有し、かつ輸液ポンプへの適合性、すなわち耐キンク性が良好な、非ハロゲン系素材から形成される医療用チューブが提供されうる
以下、本発明を詳細に説明する。
(第1実施態様)
本発明の第1実施態様は、図1に示すように、オレフィン系重合体から形成される第1層、および前記第1層の外側に設けられジエン系重合体から形成される第2層を備える医療用チューブであって、前記第1層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して5〜30%であり、前記第2層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して70〜95%である、医療用チューブである。
本実施態様に用いられるオレフィン系重合体は、α−オレフィンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体およびこれらの混合物、またはα−オレフィンと他の不飽和単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、およびこれら重合体を酸化またはスルホン化したもの等を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超超低密度ポリエチレン(ULDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体などのエチレン系共重合体、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン系重合体、ポリシクロペンテン、ポリシクロヘキセンなどの環状オレフィンの重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン等が例示できる。これらの中でコスト、物性バランスの点から、ポリエチレン、エチレン系共重合体、ポリプロピレン系重合体、またはこれらの混合物が好ましく使用できる。この中でも、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリブテンなどがより好ましく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンがさらに好ましい。特に本発明の医療用チューブとしたときの引張破断強度、ヤング率、ポリプロピレン製コネクタとの加熱融着性やレーザー融着性を考慮すると、直鎖状低密度ポリエチレンが最も好ましい。
オレフィン系重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜選択して採用することができる。例えば、チーグラー−ナッタ触媒やメタロセン触媒を用いた配位重合、ラジカル重合、アニオン重合などにより、オレフィン系重合体が製造されうる。
前記オレフィン系重合体の分子量について特に制限はないが、本発明の医療用チューブとしたときの成形性や強度の観点から、重量平均分子量が10,000〜400,000であることが好ましい。なお、前記重量平均分子量は、GPC法により測定したポリスチレン換算の値を採用するものとする。
前記オレフィン系重合体には、上記のような特性とするために、輸液の際の薬剤の吸収が行われない範囲で、プロセスオイルなどを配合してもよい。本発明で使用されるプロセスオイルとしては特に限定されないが、通常、25℃などの室温で液体または液状の材料が好適に用いられる。具体的には、鉱物油系、植物油系、動物系、合成系等のゴム用または樹脂用のプロセスオイルが挙げられる。鉱物油系としては、ナフテン系鉱油、流動パラフィンなどのパラフィン系鉱油等が、植物油系としては、ひまし油、綿実油、あまみ油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が、動物系としてはスクワレン等が、合成系としてはポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が例示できる。これらの中でも、相溶性と物性バランスの点から、流動パラフィンやスクワレンが好ましく用いられる。これらは所望の物性を得るために2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
本実施態様に用いられるジエン系重合体には、炭素数4〜18のジエン系単量体を構成単位として含む重合体、共重合体、またはこれらの水素添加物が含まれる。
ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
前記ジエン系重合体において、上記のジエン系単量体とともに、他の重合性単量体を構成単位として含むことができる。
前記他の重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの炭素数8〜20の芳香族ビニル化合物、エチレン、プロピレンなどの炭素数2〜8のオレフィン類、アクリロニトリルなどの炭素数3〜20の不飽和ニトリル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの炭素数4〜20の(メタ)アクリル酸エステル類、無水マレイン酸などの炭素数4〜20の不飽和ポリカルボン酸無水物、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
ジエン系重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜選択して採用することができる。例えば、前記ジエン系単量体を、必要に応じて他の重合性単量体とともに、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤、またはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウムなどのアニオン重合開始剤の存在下、必要に応じて溶媒を用いて、好ましくは−100〜150℃、より好ましくは−10〜130℃で重合させることにより、ジエン系重合体が製造されうる。
2種以上の単量体に由来する構造単位を有するジエン系重合体の場合、その結合形態は特に制限されず、ランダム、テーパー、ブロック、またはこれらの2種以上の組み合わせのいずれであってもよい。ブロック共重合体の場合、その結合様式にも特に制限はなく、ジブロック型、トリブロック型、マルチブロック型などのいずれであってもよい。
さらに、前記ジエン系重合体として、ジエン系重合体中に残存する二重結合の一部または全部に対して水素添加した水素添加物を使用することができる。この水素添加には公知の水添触媒および水添方法が使用可能であり、例えば特開平5−222115号公報に記載されているような水添触媒および水添方法を採用することができる。
上記のような構成であるジエン系重合体の具体例としては、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエンなどのポリブタジエン、水素添加1,4−ポリブタジエン、水素添加1,2−ポリブタジエンなどの水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンランダム共重合体などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して使用することができる。前述のジエン系重合体の中で、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエンなどのポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が好ましく、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエンがより好ましい。特に本発明の医療用チューブとしたときの耐キンク性や柔軟性を考慮すると、1,2−ポリブタジエンが最も好ましい。
前記ジエン系重合体の分子量について特に制限はないが、重量平均分子量が10,000〜100,000であることが好ましい。なお、前記重量平均分子量は、GPC法により測定したポリスチレン換算の値を採用するものとする。
前記オレフィン系重合体および前記ジエン系重合体は、本発明の医療用チューブとしたときの引張破断強度、耐キンク性、透明性などの特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の各種添加剤、または他の樹脂を含むことができる。具体的には、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、染料、顔料、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤などの各種添加剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカなどの無機フィラー類、スチレン系ブロック共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルなどの樹脂を含むことができる。前記の各種添加剤または無機フィラーの添加量は、前記オレフィン系重合体または前記ジエン系重合体を100質量%としたとき、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。
本発明による医療用チューブは、第1層および第2層の断面積がチューブの総断面積に対して、特定の比率であることに特徴がある。
前記第1層の断面積の比率は、チューブの総断面積に対して5〜30%であり、チューブの耐キンク性、柔軟性、強度などの観点から5〜20%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。第1層の断面積の比率が5%未満であると、チューブの破断強度が低下し、30%を超えるとチューブの耐キンク性が低下するため好ましくない。
前記第2層の断面積の比率はチューブの総断面積に対して70〜95%であり、チューブの耐キンク性、柔軟性、強度などの観点から80〜95%であることが好ましく、85〜95%であることがより好ましい。第2層の断面積の比率が70%未満であるとチューブのヤング率が高くなり、95%を超えるとチューブの引張破断強度が低下するため好ましくない。
本実施態様における各層の断面積の比率は、下記数式1〜2により算出する。
Figure 2007236781
本実施形態の医療用チューブが優れた引張破断強度および耐キンク性を有するためには、前記オレフィン系重合体の25℃での引張破断強度が、好ましくは20〜50MPa、より好ましくは30〜50MPaであり、かつ25℃でのヤング率が好ましくは10〜50MPa、より好ましくは10〜45MPaである。前記オレフィン系重合体の引張破断強度が20MPa未満であると、本発明の医療用チューブの引張破断強度が低下する場合があり、50MPaを超えると、本発明の医療用チューブのヤング率が高くなる場合がある。また、前記オレフィン系重合体のヤング率が10MPa未満であると、本発明の医療用チューブの耐キンク性が低下する場合があり、50MPaを超えると、輸液ポンプへの適合性が低下する場合がある。
さらに、本実施形態の医療用チューブが優れた引張破断強度および耐キンク性を有するためには、前記ジエン系重合体の25℃での引張破断強度が、好ましくは10〜30MPa、より好ましくは12〜30MPaであり、かつ25℃でのヤング率が好ましくは3〜20MPa、より好ましくは5〜15MPaである。ジエン系重合体の引張破断強度が10MPa未満であると、本発明の医療用チューブの引張破断強度が低下する場合があり、30MPaを超えるとヤング率も高くなり、輸液ポンプへの適合性が低下する場合がある。また、ヤング率が3MPa未満であると柔らかすぎて、輸液ポンプへの適合性およびチューブ表面の耐傷付性が低下する場合があり、20MPaを超えると、本発明の医療用チューブが硬くなるため輸液ポンプへの適合性が低下する場合がある。特に本発明の医療用チューブの耐キンク性を考慮すると、前記ジエン系重合体の25℃でのヤング率は、前記オレフィン系重合体の25℃でのヤング率より小さい値であることがさらに好ましい。
前記オレフィン系重合体および前記ジエン系重合体の引張破断強度およびヤング率が上記の範囲であれば、輸液ポンプの圧力検知に適切に対応できる耐キンク性を確保することができる。
(第2実施態様)
本発明の第2実施態様は、図2に示すように、前記第1層の内側に設けられたジエン系重合体から形成される第3層をさらに備え、チューブの総断面積に対する前記第1層の断面積の比率が5〜30%であり、チューブの総断面積に対する前記第2層の断面積の比率が50〜92%であり、チューブの総断面積に対する前記第3層の断面積の比率が3〜20%である、医療用チューブである。
前記第1層の断面積の比率はチューブの総断面積に対して5〜30%であり、チューブの耐キンク性を考慮すると、5〜20%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。第1層の断面積の比率が5%未満であると、チューブの引張破断強度が低下し、30%を超えるとチューブの耐キンク性が低下するため好ましくない。
前記第2層の断面積の比率はチューブの総断面積に対して50〜92%であり、チューブの耐キンク性や柔軟性を考慮すると、60〜90%であることが好ましく、70〜90%であることがより好ましい。
前記第3層の断面積の比率はチューブの総断面積に対して3〜20%であり、5〜20%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。第3層の断面積の比率が3%未満であるとチューブの層間剥離が発生する可能性があり、20%を超えるとチューブの耐キンク性が低下するため好ましくない。
上記の各層の断面積の比率は、下記数式3〜5により算出する。
Figure 2007236781
本発明の医療用チューブは、押出成形、射出成形、ブロー成形、回転成形など、公知の成形方法に従って成形することができる。医療用チューブの内径、外径、長さなどに制限はなく、用途に応じて適宜選択すればよい。なお、一般的な医療用チューブの外径は1〜10mmであり、内径は0.5〜7mmである。
また、本発明の医療用チューブは、25℃における引張破断強度が好ましくは60N以上、より好ましくは60〜100Nであり、5〜40℃でのヤング率が好ましくは3〜20MPa、より好ましくは5〜15MPaである。引張破断強度が60N未満であると、手術後の患者によるチューブの引張りや噛み切りに起因するチューブの破断、さらには、チューブの外表面が傷つくことに起因するチューブの破断や破れが発生する場合がある。また、ヤング率が20MPaを超えるとチューブが硬くなり、市販の輸液ポンプの圧力センサーに適合しなくなる場合があり、ヤング率が3MPa未満であるとチューブが柔らかすぎて、輸液ポンプに使用したとき過度に圧力が高まり、輸液ポンプの検知機構に敏感に反応し過ぎて実際の使用が困難となる場合がある。
さらに、本発明の医療用チューブの耐キンク性は、ポリブタジエン製チューブと同等以上であることが好ましい。具体的には、図3に示したように、長さ120mmに切断したチューブの両端を固定し、引張試験機を用いて20mm/minの速度で圧縮して、下記数式6で算出されるキンク距離が15mm以下であることが好ましく、14mm以下であることがより好ましい。キンク距離が15mm以下であれば、本発明の医療用チューブが、従来のポリブタジエン製チューブに近い耐キンク性を有することを意味する。
Figure 2007236781
加えて、本発明の医療用チューブは、チューブ内を移動する液体や気泡が確認できるように実質的に透明であることが好ましい。ここで、「実質的に透明」という語句は、チューブ内の液体、または液体に混入する気泡が視認できるレベルの透明性であることを意味する。具体的には、JIS規格 K7105 「プラスチックの光学的特性試験方法」により測定したチューブの全光線透過率が、好ましくは75〜100%、より好ましくは80〜100%である。
本発明の医療用チューブは、従来の塩化ビニル製チューブの用途に加えて、薬剤投与用のカテーテルチューブ、輸液チューブ、特に輸液ポンプ用チューブ、延長チューブ、血液回路チューブ、翼付静脈針用チューブなどに好適に使用することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
なお、実施例および比較例に用いた、オレフィン系重合体およびジエン系重合体は下記表1の通りであった。
Figure 2007236781
(実施例1)
第1層にオレフィン系重合体として、直鎖状低密度ポリエチレン(ニポロンZ1P53A:東ソー株式会社製)を用い、第2層および第3層にジエン系重合体として、1,2−ポリブタジエンであるRB810(JSR株式会社製)70重量部とRB820(JSR株式会社製)30重量部とをブレンドしたものを用い、3層押出機にて、第3層の厚みが50μm、第1層の厚みが110μm、第2層の厚みが460μmであり、内径が2.08mm、外径が3.32mmである3層チューブを作製した。
(実施例2〜4)
第1層として下記表2に示したオレフィン系重合体を使用し、第1層、第2層、および第3層の厚み、ならびにチューブの外径および内径を表2の通りにした以外は、実施例1と同様にして3層チューブを作製した。
(実施例5)
第1層にオレフィン系重合体として、直鎖状低密度ポリエチレン(ニポロンZ1P53A:東ソー株式会社製)を用い、第2層にジエン系重合体として、1,2−ポリブタジエンであるRB810(JSR株式会社製)70重量部とRB820(JSR株式会社製)30重量部とをブレンドしたものを用い、2層押出機にて、内層の厚みが50μm、外層の厚みが595μmであり、内径が2.08mm、外径が3.37mmである2層チューブを作製した。
(比較例1)
実施例1の第2層および第3層で使用したRB810(JSR株式会社製)70重量部とRB820(JSR株式会社製)30重量部とをブレンドしたものを用いて、内径2.10mm、外径3.40mmの単層のチューブを作製した。
(比較例2〜4)
第1層として下記表2に示した熱可塑性ポリオレフィンを使用し、第1層、第2層、および第3層の厚み、ならびにチューブの外径および内径を表2の通りにした以外は、実施例1と同様にして3層チューブを作製した。
(比較例5)
第1層および第2層の厚みを下記表2のようにした以外は、実施例5と同様にしてチューブを作製した。
Figure 2007236781
(評価)
実施例1〜5、および比較例1〜5で得たチューブを使用して、以下に従い、引張破断強度、引張破断伸度、ヤング率、耐キンク性、および輸液ポンプの圧力検出を評価した。結果を表3に示す。
(1)引張破断強度および引張破断伸度の測定
引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフ AG−IS)を用い、25℃にて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/minの条件で引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
(2)ヤング率の測定
上記(1)と同じ引張試験機を用い、25℃にて、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minの条件でヤング率を測定した。
(3)耐キンク性の測定
長さ120mmに切断したチューブの両端を図2のように固定し、前記(1)と同じ引張試験機を用い、20mm/minの速度で圧縮し、キンクの生じる距離を測定した。キンク距離は、下記数式6に従って算出し、キンク距離が15mm以下の場合を良好とした。
Figure 2007236781
(4)輸液ポンプの圧力検出の測定
輸液ポンプ(テルモ株式会社製、TE−131)に水を満たしたチューブを設置し、該チューブの吐出側の先端に圧力計を接続した。ポンプを流量100ml/minにて動作させ、閉塞警報によりポンプが停止した時の圧力を測定し、規格値内(30〜140kPa)であるかを確認した。
Figure 2007236781
(結果)
実施例1〜5に示す本発明の医療用チューブは、比較例のチューブと比べて、引張破断強度および耐キンク性に優れることが分かった。また、輸液ポンプの圧力検出にも良好な感度を示し、医療用として好適に使用できることが判明した。
本発明の医療用チューブは、輸液用チューブ等の医療用途に好適に用いられうる。
本発明の第1実施形態による医療用チューブを示す断面図である。 本発明の第2実施形態による医療用チューブを示す断面図である。 耐キンク性の測定方法を示した概略図である。
符号の説明
1 第1層、
2 第2層、
3 第3層。

Claims (9)

  1. オレフィン系重合体から形成される第1層、および前記第1層の外側に設けられジエン系重合体から形成される第2層を備える医療用チューブであって、
    前記第1層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して5〜30%であり、
    前記第2層の断面積の比率がチューブ総断面積に対して70〜95%である、
    医療用チューブ。
  2. 前記第1層の内側に設けられたジエン系重合体から形成される第3層をさらに備え、
    チューブの総断面積に対する前記第1層の断面積の比率が5〜30%であり、
    チューブの総断面積に対する前記第2層の断面積の比率が50〜92%であり、
    チューブの総断面積に対する前記第3層の断面積の比率が3〜20%である、
    請求項1に記載の医療用チューブ。
  3. 前記オレフィン系重合体の25℃での引張破断強度が20〜50MPaであり、25℃でのヤング率が10〜50MPaである、請求項1または2に記載の医療用チューブ。
  4. 前記ジエン系重合体の25℃での引張破断強度が10〜30MPaであり、25℃でのヤング率が3〜20MPaであって、かつ前記ジエン系重合体の25℃でのヤング率が前記オレフィン系重合体の25℃でのヤング率より小さい値である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用チューブ。
  5. 前記オレフィン系重合体はポリエチレンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用チューブ。
  6. 前記ポリエチレンは直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項5に記載の医療用チューブ。
  7. 前記ジエン系重合体は1,4−ポリブタジエンまたは1,2−ポリブタジエンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用チューブ。
  8. 前記ジエン系重合体は1,2−ポリブタジエンである、請求項7に記載の医療用チューブ。
  9. 25℃における引張破断強度が60N以上であり、かつ5〜40℃でのヤング率が3〜20MPaである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療用チューブ。
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