JP2013202133A - 医療用チューブ - Google Patents
医療用チューブ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013202133A JP2013202133A JP2012072611A JP2012072611A JP2013202133A JP 2013202133 A JP2013202133 A JP 2013202133A JP 2012072611 A JP2012072611 A JP 2012072611A JP 2012072611 A JP2012072611 A JP 2012072611A JP 2013202133 A JP2013202133 A JP 2013202133A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copolymer
- cross
- tube
- ethylene
- vinyl compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
- Materials For Medical Uses (AREA)
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明は、特定のクロス共重合体からなる単層チューブ、または特定のクロス共重合体からなる層を含む多層構造でその厚さはチューブの肉厚の50%以上を占める多層チューブで、かつ本チューブは成形後、エネルギー線(電子線)照射により架橋されていることを特徴とする医療用チューブである。
【選択図】 なし
Description
一方、高い耐熱性と耐高圧蒸気滅菌性を特徴とした、ポリプロピレンと水素化したスチレン−ブタジエンブロック共重合体またはスチレン−イソプレンブロック共重合体の樹脂組成物からなる医療用多層チューブが提案されている(特許文献3)。中心層(支持層)はポリプロピレン含量を下げ軟質化し、内層及び外層は耐熱性を付与させるためポリプロピレン含量を上げた構成を有する。中心層は軟質であるが、内層、外層は比較的固く、チューブ全体としての軟質性、フレキシブル性には改善の余地があると考えられる。これら公知文献から、医療用チューブにおいて、軟質性と耐キンク性、耐鉗子性、そして耐熱性の両立は困難な課題である。
ここでクロス共重合体は、25℃における貯蔵弾性率が1MPa以上30MPa未満の範囲であり、かつ1mm厚さのシートで測定した全光線透過率が75%以上、好ましくは80%以上であり、さらに以下の(1)から(4)の条件をすべて満足するクロス共重合体であることを特徴とする医療用多層チューブである。
(1)配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程からなる製造方法により得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行い、芳香族ビニル化合物ユニット含量15モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量であるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を合成する。次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することで得られる。
(2)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が3万以上20万以下、好ましくは3万以上15万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上4以下である。
(3)クロス共重合体の0℃〜150℃までに観測される結晶融解熱(ΔH)が25J/g以下である。
(4)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が70質量%以上95質量%以下の範囲にある。
用いられるクロス共重合体の25℃における貯蔵弾性率が1MPa未満の場合、チューブの力学的強度が不足し、チューブが外力あるいは自身の重さによりにより潰れ閉塞しやすくなる恐れがある。30MPa以上の場合はチューブ自体の軟質性が不足し、ハンドリング性が低下し、耐折り曲げ性が悪化してしまう可能性がある。1mm厚さのシートで測定した全光線透過率が上記未満では、チューブ内部の液面や泡の視認性が低下する可能性がある。
本内層に用いられる樹脂は、好ましくはポリオレフィン、水素化スチレン-ジエンブロック共重合体、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、ウレタン、またはクロス共重合体から選ばれる樹脂であり、これらの樹脂組成物であってもよく、その25℃における貯蔵弾性率が30MPaより高く300MPa以下の範囲であり、かつ1mm厚さのシートで測定した全光線透過率が75%以上、好ましくは80%以上であることを特徴とする医療用多層チューブである。また、本内層は少なくともチューブの全層の厚さに対し1%以上50%未満、チューブ全体の軟質性の観点からはより薄いことが好ましく、好ましくはチューブの全層の厚さに対し1%以上30%未満、特に好ましくは1%以上10%未満である。である。本内層を設けることで、チューブ内面の自己粘着性を抑制し、折り曲げ時(キンク発生時)や鉗子などでクランプした場合の内壁同士の密着を低下させ、閉塞や流量低下を防ぐことが可能となる。さらに、この機能を向上させるために、内層の接液面にはシボ、すじ等任意の構造の凹凸をつけることが好ましい。
(A)配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程からなる製造方法により得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行い、芳香族ビニル化合物ユニット含量8モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量であるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を合成する。次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することで得られる。
(B)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が3万以上20万以下、分子量分布((Mw/Mn)が1.8以上4以下である。
(C)クロス共重合体の0℃〜150℃までに観測される結晶融解熱(ΔH)が25J/gより大きい、好ましくは30J/gより大きい。
(D)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上70質量%未満である。
クロス共重合体の0℃〜150℃までに観測される結晶融解熱(ΔH)が80J/gより高い場合は、樹脂の貯蔵弾性率が上記範囲よりも高くなりすぎてしまう恐れがある。また、クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%未満の場合も同様である。
本発明の医療用多層チューブには必要に応じて任意の外層を有することができる。また、本外層はチューブの全層の厚さに対し1%以上、50%以下、チューブ全体の軟質性の観点からはより薄いことが好ましく、好ましくはチューブの全層の厚さに対し1%以上20%以下、特に好ましくは1%以上10%以下である。さらにその外層が内層と同じ樹脂成分からなる2種3層構造が構成の上では単純で好ましい。本外層を設けることは、チューブ同士の粘着性が抑制される点で好ましい。
本外層、または支持層が最外部にある場合は該層には、チューブ同士の粘着を防ぐため、あるいはハンドリングした際の滑りを防ぐために適当なシボや凹凸を付けることができる。
本発明の医療用チューブは、多層押出し成形やコーティング法等の公知の手法により得ることができる。チューブの形状、直径、長さならびに他の形状については、使用目的に応じて選択されるものであって、特に制限されない。
本発明の医療用チューブは、単層、多層にかかわらず、チューブ形状に成形後、各種エネルギ−線を用いて架橋する。ここで用いられるエネルギー線としては、粒子線、電磁波、およびこれらの組み合わせが挙げられる。粒子線としては電子線(EB)、α線、電磁波としては紫外線(UV)、可視光線、赤外線、γ線、X線などが挙げられる。これらの中でも、電子線(EB)がその経済性において工業的に好ましい。本明細書における架橋の定義は下記に示すゲル分である。すなわち、本発明のクロス共重合体からなる医療用チューブのエネルギー線架橋物は25質量%〜80質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%の範囲のゲル分を有する。本発明の医療用チューブが多層チューブの場合には、主要な層である支持層に用いられるクロス共重合体のエネルギー線架橋物が25質量%〜80質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%の範囲のゲル分を有する。この下限以上のゲル分ではより効果的に耐熱性を示すことができ、上限以下のゲル分は、架橋体の伸びの低下を抑え、他の部材との接着性を保つことができる。
実施例、比較例に用いた原料樹脂は以下の通りである。
下記クロス共重合体は、出典明示により全内容をここに援用するWO2000/37517またはWO2007/139116号公報記載の製造方法で製造したもので、下記組成は、同様にこれら公報記載の方法で求めた。これらのクロス共重合体は、配位重合により得られるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体とスチレンモノマーの共存下でアニオン重合を行うことにより得られる、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖を有する共重合体である。
以下、クロス共重合体を規定するために、用いられるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量、ジビニルベンゼン含量、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、クロス共重合体中のエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量、ポリスチレン鎖の分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を示す。
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量17モル%、
ジビニルベンゼン含量0.04モル%、
Mw(重量平均分子量)=91000、Mw/Mn=2.2、
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量88質量%、
ポリスチレン鎖のMw=30000、Mw/Mn=1.2
・クロス共重合体2:
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量24モル%、
ジビニルベンゼン含量0.03モル%、
Mw=115000、Mw/Mn=2.2
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量77質量%、
ポリスチレン鎖のMw=26000、Mw/Mn=1.2
・クロス共重合体3
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量28モル%、
ジビニルベンゼン含量0.07モル%、
Mw=95000、Mw/Mn=2.2
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量70質量%、
ポリスチレン鎖のMw=29000、Mw/Mn=1.2
・クロス共重合体4:
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量24モル%、
ジビニルベンゼン含量0.03モル%、
Mw=103000、Mw/Mn=2.2
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量52質量%、
ポリスチレン鎖のMw=35000、Mw/Mn=1.2
・クロス共重合体5:
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量10モル%、
ジビニルベンゼン含量0.03モル%、
Mw=95000、Mw/Mn=2.3
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量90質量%、
ポリスチレン鎖のMw=25000、Mw/Mn=1.1
・クロス共重合体6:
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量29モル%、
ジビニルベンゼン含量0.05モル%、
Mw=240000、Mw/Mn=2.6
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量78質量%、
ポリスチレン鎖のMw=30000、Mw/Mn=1.1
・エチレン-スチレン共重合体
特開平11−130808号公報記載の製造方法で製造したスチレン−エチレン共重合体スチレン含量25モル%、Mw=197000、分子量分布2.2
これら樹脂のMFR、透明性(全光線透過率)、A硬度、力学物性(引張試験結果)、結晶融解熱の総和、貯蔵弾性率は表1にまとめて示した。
共重合体中のスチレンユニット含量の決定は、1H−NMRで行い、機器は日本電子社製α−500及びBRUCKER社製AC−250を用いた。重1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、測定は、80〜100℃で行った。TMSを基準としてフェニル基プロトン由来のピーク(6.5〜7.5ppm)とアルキル基由来のプロトンピーク(0.8〜3ppm)の面積強度比較で行った。
分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
DSC測定により求めた。測定は、窒素気流下で行った。すなわち樹脂組成物10mgを用い、昇温速度10℃/分で−50℃から240℃まで測定を行い、融点、結晶融解熱及びガラス転移点を求めた。
物性測定用のサンプルシートは、加熱プレス法(温度180℃、時間3分間、圧力50kg/cm2)により成形した所定の厚さのシートを用いた。
二軸押出機(PCM30mm池貝社製)を用い、配合に従い混練を行い、得られたストランドを切断してコンパウンドペレットを得た。
硬度はJIS K−7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に準じてタイプAのデュロメーター硬度を求めた。この硬度は瞬間値である。
<引張試験>
JISK−6251に準拠し、得られた厚さ1mmのシートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて初期引張弾性率、破断点伸び、破断強度を測定した。
<シートへの電子線照射>
得られた0.5mm厚さのシートに対し、750kVの加速電圧で75kGyの電子線照射を1回実施した。
<貯蔵弾性率>
上記加熱プレス法により得た厚み約0.5mmのフィルムから測定用サンプル(3mm×40mm)を切り出し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社RSA−III)を使用し、周波数1Hz、温度領域−50℃〜+150℃の範囲で測定し、25℃または121℃における貯蔵弾性率
(E’)を求めた。その他測定パラメ−タ−は以下の通り
測定周波数1Hz
昇温速度4℃/分
測定長さ部分10mm
25℃の貯蔵弾性率は、チューブの軟質性の指標であり、1MPa以上30MPa未満の範囲である必要がある。121℃の貯蔵弾性率は、チューブの耐熱性の指標であり、0.1MPa以上3MPa未満の範囲であることが好ましい。
<シボ保持性>
シボ型を用い熱プレス法により0.5mm厚さのシートを作成し、エネルギー線架橋を行い、そのシートの光沢をJISK7105に従い、受光角60°で測定し評価する。その後、オートクレーブ(スチームクッカー)で121℃、30分間加熱処理した後で、同様にして光沢を測定し、加熱処理前(初期値)と比較する。オートクレーブ処理後の光沢値が初期値+5%以下、好ましくは初期値+3%以下に保持されることがシボ保持性という観点からは好ましい。
<チューブの軟質性>
20cmの長さに切断した試作チューブと比較用の軟質塩ビ製医療用単層チューブを、目隠しをした被験者に触らせ、触感が柔らかい方を選ぶ。試作チューブが軟質塩ビ製医療用単層チューブより軟質であれば◎、略同等であれば○、試作チューブが明らかに固ければ×とした。
<透明性>
チューブに生理食塩液を流し、液面、泡等が肉眼で視認できるかどうかを観察した。容易に観察できる場合を○とし、観察が困難な場合を×とした。
<電子線照射耐性>
電子線照射後のチューブを肉眼で観察し、着色、変形、割れ等の有無を調べた。
チューブを長さ3mmに細断し、約1gを精秤し、100メッシュ金属網で作製した袋に入れ封じさらに質量を精秤する。袋を沸騰キシレン中で8時間処理したのちに取り出し、充分乾燥させたのちに質量を精秤する。ゲル分の質量%=袋残留物の質量/最初の質量×100として求めた。
<チューブ熱変形>
チューブを長さ100mmに切断し、オートクレーブにて121℃、30分間高圧水蒸気滅菌を行った。その後チューブを取出し、室温に戻ったところで、外観を観察し、長さを測った。
チューブの閉塞がなくかつ長さ方向の変形量が10%以下の場合は合格で、○と記載した。
<ブロッキング性>
長さ10cmの2本のチューブを5cm平行に重ねて紙テープで縛り、高圧水蒸気滅菌(121℃、30分)を行なった。その後縛った紙テープを除き、チューブ間のせん断剥離強度を測定した。
指標とした。せん断剥離強度は、引張試験機にてテストスピード100mm/分の条件で最大値を採用した。10N未満を合格とした。
<pH>
試験液および空試験液をそれぞれ20mlとり、これらに塩化カリウム1.0gを水に溶かして1000mlとした液1.0mlずつを加え、日本薬局方一般試験法のpH測定法により、pH変化を測定した。pHの差は2.0以下であれば合格とした。
試験液10mlをとり、日本薬局方の重金属試験法の第1法によって試験を実施。空試験液には鉛標準液2.0mlを加え、同様に試験を行った。空試験液と比較して、色が濃くなければ合格とした。
試験液10mlを共栓三角フラスコにとり、0.002mol/l過マンガン酸カリウム液20.0mlおよび希硫酸1mlを添加し密栓、ふり混ぜて10分間放置した後に、0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する(指示薬デンプン試液5滴)。別に空試験液10mlを用い同様に操作する。試験液および空試験液の0.002mol/l過マンガン酸カリウム液消費量の差は2.0ml以下であれば合格とした。
試験液10mlを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥するとき、その質量が1.0mg以下であれば合格とした。
20cmのチューブを各曲率半径に曲げ、1分後にチューブの折れ曲がりの発生が確認された曲率半径を求めた。キンク開始半径は、10mm以下が好ましい。
40℃において、生理食塩液を満たしたチューブを医療用チューブ鉗子で15時間閉止後、鉗子を外しチューブ内側が形状を回復し貫通する時間を測定し、チューブの耐鉗子性の指標とした。
ニトログリセリン収着性:ニトログリセリン注射液(有効成分50mg/100ml、ミリスロール注、日本化薬株式会社製)60mlを日本薬局方生理食塩水1Lに注入し、静かに攪拌した。ただちに注射針付注射筒でサンプリングし、ブランクとした。輸液セットのチューブを流量調節用クランプで閉塞し、点滴筒をゴム栓に刺通した。点滴筒をポンピングすることで点滴筒の下半分を当該溶液で満たした。流量調節用クランプを徐々にゆるめ、チューブの中を当該溶液で満たした後に輸液ポンプにセットした。流量を36ml/hに設定し、流量調節用クランプを開放、スイッチをONにし、輸液を開始した。先端より流出する溶液を経時的にサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーで濃度を測定した。輸液は180分行い、最初の60分は5分おき、それ以後は15分おきにサンプリングした。ブランクの濃度と比較して、濃度低下が10%以内であれば合格とした。
流量調節用クランプでチューブを閉塞し、点滴筒を日本薬局方生理食塩水のゴム栓に刺通した。点滴筒をポンピングすることで点滴筒の下半分を当該食塩水で満たした。流量調節用クランプを徐々にゆるめ、チューブの中を当該食塩水で満たした後に、輸液ポンプにセットした。流量を250ml/時に設定し、流量調節用クランプを開放、スイッチONにし輸液を開始した。この直後に先端より流出する一分間あたりの生理食塩水量を測定し、初期流量とした。24時間経過後、再び同様に1分間当たりの流量を測定した。24時間後の流量変化率が10%以内であれば合格とした。
ポンプ輸液終了後のチューブ状態:上記ポンプ流量安定性終了後に、チューブのしごき部分について、表面状態、チューブ径の変化、亀裂の有無を観察した。
実施例1〜4
まず、プレス成型で得た各クロス共重合体の0.5mm厚さシートに対し、加速電圧750kV、線量75kGyの条件で電子線照射を行った。照射後のサンプルの力学物性(引っ張り試験)結果、貯蔵弾性率、しぼ保持性を表2に示す。
電子線照射による架橋では力学物性に大きな変化は認められず、医療用チューブ材料としての基準をクリアしている。照射後は架橋の進行により耐熱性が向上しており、オートクレーブ処理後のしぼ保持性についても基準を満足した。
次に実施例1〜3ではクロス共重合体1〜3を用い、押出成形により単層チューブを作成した。単層チューブのサイズはいずれも外径φ3.6mm、内径2.4mm、チューブ厚さ0.6mmであった。実施例4では、多層押出成形により支持層にクロス共重合体2を、内層にクロス共重合体5を用い、それぞれ0.5mm、0.1mmの厚さの多層チューブを作成した。得られたチューブに対し、750kVの加速電圧で75kGyの電子線照射を照射し、さらにチューブを断面から見て180度回転し同条件で照射した。すなわちチューブに対し、上下面から75kGyで計2回照射を実施した。チューブの一部を細断し、ゲル分を測定した。さらに医療用チューブとしての各種の評価を実施した。またチューブを、オートクレーブで、121℃、30分間滅菌処理を行った。初期長さ10cmのチューブの、オートクレーブ処理後の長さ方向の変形率を求め、さらにブロッキング性を評価した。結果を表3に示す。
クロス共重合体2を用い、実施例と同様に単層チューブを試作し、電子線照射を行わずに各種評価を実施した。
比較例2、3、4
クロス共重合体4、5およびエチレン-スチレン共重合体を用い、実施例と同様に単層チューブを試作し、電子線照射を行った。クロス共重合体4および5のチューブは軟質性の評価で×評価であったので以降の評価は行わなかった。エチレン-スチレン共重合体のチューブは、ゲル分およびチューブ熱変形が基準を満たさなかったので以降の評価は行わなかった。
比較例5として軟質塩ビ製の単層チューブの結果も示す。軟質塩ビ製チューブは、電子線照射を行わずに各種評価を行った。実施例1〜3のチューブは、軟質性、透明性に優れ、電子線照射耐性を示しながら十分な電子線架橋が進行し、照射後のチューブは高いゲル分、耐熱性を示し、ブロッキング性が改善された。pH、重金属、過マンガン酸カリウム還元性物質、蒸発残留物の基準を満たし、性能試験では、良好なキンク開始半径(折り曲げ)性、耐鉗子性、低薬剤吸着性、輸液ポンプ適性を示し、医療用チューブへの要求を満たしている。
Claims (5)
- クロス共重合体からなる単層チューブ、またはクロス共重合体からなる支持層を含みその厚さはチューブの全層の50%以上を占める多層チューブで、かつ本チューブは成形後、エネルギー線照射により架橋されていることを特徴とする医療用チューブであり、ここで用いられるクロス共重合体は、25℃における貯蔵弾性率が1MPa以上30MPa未満の範囲であり、かつ1mm厚さのシートで測定した全光線透過率が75%以上であり、さらに以下の(1)から(4)の条件をすべて満足する。
(1)配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程からなる製造方法により得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行い、芳香族ビニル化合物ユニット含量15モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量であるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を合成する。次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することで得られる。
(2)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が3万以上20万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上4以下である。
(3)クロス共重合体の0℃〜150℃までに観測される結晶融解熱(ΔH)が25J/g以下である。
(4)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が70質量%以上95質量%以下の範囲にある。 - エネルギー線照射されたクロス共重合体のゲル分が25質量%〜80質量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の医療用チューブ。
- エネルギー線照射が電子線照射であることを特徴とする請求項1記載の医療用チューブ。
- さらに内層を有し、本内層に用いられる樹脂は、ポリオレフィン、水素化スチレン-ジエンブロック共重合体、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、ウレタン、またはクロス共重合体か
ら選ばれる樹脂または、これらの樹脂組成物であり、これら樹脂または樹脂組成物の25℃における貯蔵弾性率が30MPaより高く300MPa以下の範囲であり、かつ1mm厚さのシートで測定した全光線透過率が75%以上であることを特徴とする請求項1記載の医療用チューブ。 - 内層に用いられるクロス共重合体が以下の(A)と(B)の条件を共に満足し、かつ(C)または(D)の条件の少なくともいずれか一方の条件を満たすことを特徴とする請求項4記載の医療用チューブ。
(A)配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程からなる製造方法により得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行い、芳香族ビニル化合物ユニット含量8モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量であるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を合成する。次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することで得られる。
(B)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が3万以上20万以下、分子量分布((Mw/Mn)が1.8以上4以下である。
(C)クロス共重合体の0℃〜150℃までに観測される結晶融解熱(ΔH)が25J/gより大きい、好ましくは30J/gより大きい。
(D)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上70質量%未満である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012072611A JP5908771B2 (ja) | 2012-03-27 | 2012-03-27 | 医療用チューブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012072611A JP5908771B2 (ja) | 2012-03-27 | 2012-03-27 | 医療用チューブ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013202133A true JP2013202133A (ja) | 2013-10-07 |
JP5908771B2 JP5908771B2 (ja) | 2016-04-26 |
Family
ID=49521891
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012072611A Expired - Fee Related JP5908771B2 (ja) | 2012-03-27 | 2012-03-27 | 医療用チューブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5908771B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101532933B1 (ko) * | 2015-01-26 | 2015-07-01 | 주식회사 폴리사이언텍 | 안티-블로킹성 폴리올레핀 의료용 튜브 및 이로부터 제조되는 의료용품 |
WO2015174485A1 (ja) * | 2014-05-15 | 2015-11-19 | 電気化学工業株式会社 | クロス共重合体とその製造方法 |
WO2017056946A1 (ja) * | 2015-09-28 | 2017-04-06 | デンカ株式会社 | クロス共重合体及びその製造方法 |
KR20180098371A (ko) | 2015-12-25 | 2018-09-03 | 덴카 주식회사 | 크로스 공중합체 및 그것을 사용한 의료용 단층 튜브 |
WO2018230614A1 (ja) * | 2017-06-13 | 2018-12-20 | デンカ株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11124420A (ja) * | 1997-10-24 | 1999-05-11 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | 芳香族ビニルグラフト共重合体及びその製造方法 |
WO2000037517A1 (fr) * | 1998-12-22 | 2000-06-29 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Copolymere olefine/styrene/diene reticule, procede de production dudit copolymere et ses utilisations |
WO2001019881A1 (fr) * | 1999-09-13 | 2001-03-22 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Copolymere vinyle/diene olefinique/aromatique copolymerise par reticulation, et procede de production associe |
JP2001316431A (ja) * | 2000-05-08 | 2001-11-13 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 医療用成形体 |
JP2002272834A (ja) * | 2001-03-15 | 2002-09-24 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 医療用成形体 |
JP2006176708A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 樹脂組成物 |
WO2007139116A1 (ja) * | 2006-05-29 | 2007-12-06 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | クロス共重合体の製造方法、得られるクロス共重合体、及びその用途 |
JP2009102515A (ja) * | 2007-10-23 | 2009-05-14 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 耐傷つき摩耗性エラストマ− |
JP2009120792A (ja) * | 2007-10-23 | 2009-06-04 | Denki Kagaku Kogyo Kk | クロス共重合体の製造方法及び得られるクロス共重合体、その用途 |
-
2012
- 2012-03-27 JP JP2012072611A patent/JP5908771B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11124420A (ja) * | 1997-10-24 | 1999-05-11 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | 芳香族ビニルグラフト共重合体及びその製造方法 |
WO2000037517A1 (fr) * | 1998-12-22 | 2000-06-29 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Copolymere olefine/styrene/diene reticule, procede de production dudit copolymere et ses utilisations |
WO2001019881A1 (fr) * | 1999-09-13 | 2001-03-22 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Copolymere vinyle/diene olefinique/aromatique copolymerise par reticulation, et procede de production associe |
JP2001316431A (ja) * | 2000-05-08 | 2001-11-13 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 医療用成形体 |
JP2002272834A (ja) * | 2001-03-15 | 2002-09-24 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 医療用成形体 |
JP2006176708A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 樹脂組成物 |
WO2007139116A1 (ja) * | 2006-05-29 | 2007-12-06 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | クロス共重合体の製造方法、得られるクロス共重合体、及びその用途 |
JP2009102515A (ja) * | 2007-10-23 | 2009-05-14 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 耐傷つき摩耗性エラストマ− |
JP2009120792A (ja) * | 2007-10-23 | 2009-06-04 | Denki Kagaku Kogyo Kk | クロス共重合体の製造方法及び得られるクロス共重合体、その用途 |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015174485A1 (ja) * | 2014-05-15 | 2015-11-19 | 電気化学工業株式会社 | クロス共重合体とその製造方法 |
JPWO2015174485A1 (ja) * | 2014-05-15 | 2017-04-20 | デンカ株式会社 | クロス共重合体とその製造方法 |
KR101532933B1 (ko) * | 2015-01-26 | 2015-07-01 | 주식회사 폴리사이언텍 | 안티-블로킹성 폴리올레핀 의료용 튜브 및 이로부터 제조되는 의료용품 |
WO2017056946A1 (ja) * | 2015-09-28 | 2017-04-06 | デンカ株式会社 | クロス共重合体及びその製造方法 |
CN108137764A (zh) * | 2015-09-28 | 2018-06-08 | 电化株式会社 | 交联共聚物及其制造方法 |
KR20180098371A (ko) | 2015-12-25 | 2018-09-03 | 덴카 주식회사 | 크로스 공중합체 및 그것을 사용한 의료용 단층 튜브 |
CN108699185A (zh) * | 2015-12-25 | 2018-10-23 | 电化株式会社 | 交叉共聚物及使用其的医疗用单层管 |
DE112016006045T5 (de) | 2015-12-25 | 2018-10-25 | Denka Company Limited | Crosscopolymer und medizinischer einschichtiger schlauch, für den dieses verwendet wird |
WO2018230614A1 (ja) * | 2017-06-13 | 2018-12-20 | デンカ株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5908771B2 (ja) | 2016-04-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5908771B2 (ja) | 医療用チューブ | |
ES2795838T3 (es) | Copolímero de bloques hidrogenado, composición de resina, adhesivo sensible a la presión, adhesivo, objeto moldeado, recipiente de envase para líquidos, instrumento médico, tubo médico, miembro de esquina para sellante de intemperie y sellante de intemperie | |
EP2186859B1 (en) | Tube and medical device comprising the same | |
JP5576383B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物、成形体および医療用シーリング材 | |
US8592018B2 (en) | Tube and medical device using same | |
JP4435934B2 (ja) | 多層チューブ及び多層チューブからなる医療用具 | |
JP5148878B2 (ja) | 医療用チューブ | |
JP7238934B2 (ja) | 押出成形用熱可塑性エラストマー組成物、押出成形体及び医療用チューブ | |
JPH11505188A (ja) | 医療用チューブおよびアセンブリー | |
JP6106156B2 (ja) | 医療用多層チューブの製造方法 | |
JP4995471B2 (ja) | 医療用チューブ | |
KR20190064279A (ko) | 연질성 및 투명성이 우수한 의료용 튜브 | |
EP1449644A1 (en) | Layered product and medical supply comprising the layered product | |
WO2018225744A1 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP4119920B2 (ja) | 医療用複室容器 | |
WO2018230614A1 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2018080248A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物、それを用いた成形体及び医療用チューブ | |
JPH04158868A (ja) | 医療容器用基材 | |
TW201023849A (en) | Environment-protective type fluid infusion soft bag |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20141224 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20151020 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151221 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160324 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5908771 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |