JP2007233309A - 車両騒音音質制御装置 - Google Patents

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【課題】参照信号を用いることなく、安定した音質制御を行うことを目的とする。
【解決手段】車両の室内及び室外の少なくとも一方の音をマイク12によって検出し、帯域フィルタリング手段14によって所定の周波数帯域の検出信号を抽出し、抱絡線抽出手段16によって検出信号の変動状況を表す抱絡線を抽出し、周波数分析手段18によって抱絡線の周波数を分析することで周期−振幅特性を求める。また、変調信号生成手段20によって、求めた抱絡線の時間−振幅特性から特定周期成分の位相を所定位相(180度)シフトして逆FFT変換して変調信号を生成する。そして、生成した変調信号を用いてスピーカ24から発音するための発音信号を生成してスピーカ24から発音する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両騒音音質制御装置にかかり、特に、自動車の走行時に発生する騒音の音質を制御する車両騒音音質制御装置に関する。
車両走行時に発生する騒音は、エンジン音、風切り音、ロードノイズなど様々な要因があるが、特許文献1に記載の技術では、エンジン音と車室内構造とに起因する共振現象による車室内のこもり音を低減する技術が提案されている。
詳細には、特許文献1に記載の技術では、エンジン音をその爆発周期の1/2、すなわち、180度だけ遅延されて車室内あるいは車室構造体上で合成する。これにより、エンジンの爆発周波数に起因する低周波基本周波数を2倍にすることができ、車室の持つ共振周波数からずらすことができる。この結果、共振現象が回避でき、車室内のこもり音を低減することができる。
特開平11−141350号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、エンジン音の爆発周期を参照信号として、相関のある音の成分に対して制御を行うようにしているため、参照信号が必要となり、参照信号がない場合には、音質制御が困難となる。
また、高周波音では、波長が短いので、位相をずらす際には誤差が発生しやすく、安定した制御が難しい。
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、参照信号を用いることなく、安定した音質制御を行うことを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、車内及び車外の少なくとも一方の音を検出する検出手段によって検出された検出信号の時間軸に対する変動状況を表す抱絡線を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記抱絡線の周波数を分析し、分析結果から特定周期成分の位相を所定位相シフトした変調信号を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された前記変調信号に基づいて、車内及び車外の少なくとも一方に発音する前記発音手段から発音するための発音信号を生成する発音信号生成手段と、を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、車内及び車外の少なくとも一方の音が検出手段によって検出される。例えば、検出手段としては、マイクロフォン等によって車内及び車外の少なくとも一方の音を検出することができ、検出する音としては、音圧を検出することができる。
抽出手段では、検出手段によって検出された検出信号の時間軸に対する音圧の変動状況を表す抱絡線が抽出される。すなわち、抽出手段によって抱絡線が抽出されることによって、検出信号の変動レベルが抱絡線に近似される。
また、生成手段では、抽出手段によって抽出された抱絡線の周波数が分析され、分析結果から特定周期成分の位相を所定位相シフトした変調信号が生成される。
そして、発音信号生成手段では、生成手段によって生成された変調信号に基づいて、車内及び車外の少なくとも一方に発音する発音手段から発音するための発音信号が生成される。
例えば、生成手段によって抱絡線を周波数分析して、時間−振幅特性から周期−振幅特性を求めて、抱絡線の特定周期成分の位相を所定位相(例えば180度)シフトした変調信号を生成手段によって生成する。このように生成した変調信号は、抱絡線の特性周期成分の位相が所定位相ずれているので、元の検出信号に合成すれば、変動レベルを相殺または重畳することができ、音質を制御することができる。例えば、所定位相として180度特定周期成分の位相をシフトすることで、変動レベルが相殺されて音圧の変動量を低減することが可能となる。
従って、発音信号生成手段によって、変調信号に基づいて発音信号を生成することによって、車室内及び車室外の少なくとも一方の騒音の音質を制御することができる。すなわち、参照信号を用いることなく、音質制御を行うことができる。
また、制御対象となる音の周波数が高周波であっても、検出信号を近似した抱絡線の特定周期成分の位相をシフトするので、検出信号の特定周期の位相をそのままシフトするのに対して、シフトする対象の位相の波長を長い波長として扱うことができ、位相シフト時の誤差の発生を抑制して安定した制御を行うことができる。
なお、発音信号生成手段は、請求項2に記載の発明のように、検出信号を変調信号で変調することによって発音信号を生成するようにしてもよいし、請求項3に記載の発明のように、変調信号を発音するための信号に変換することによって発音信号を生成するようにしてもよい。このように発音信号を生成することで、音質を改善するための発音信号を生成することが可能となる。
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、フィルタリング手段を更に備えて、抽出手段がフィルタリング手段によって抽出された所定周波数帯域の検出信号を用いて抱絡線を抽出するようにしてもよい。このようにフィルタリング手段を更に設けることによって、制御対象となる音質改善に適切な周波数帯域(例えば、乗員に対して不快な音になる周波数帯域)を抽出することによって、制御対象以外の周波数帯域をノイズとして除去することができる。また、必要な周波数帯域を抽出するので、計算負荷も軽減することができる。
以上説明したように本発明によれば、車室内及び車外の少なくとも一方の音の検出信号の抱絡線を抽出して周波数分析し、特定周期の位相を所定位相シフトした変調信号を生成して変調信号に基づいて発音するための発音信号を生成することにより、参照信号を用いることなく、安定した音質制御を行うことができる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わる車両騒音音質制御装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態に係わる車両騒音音質制御装置10は、マイクロフォン12、帯域フィルタリング手段14、抱絡線抽出手段16、周波数分析手段18、変調信号生成手段20、発音信号生成手段22、及びスピーカ24を備えて構成されている。
マイクロフォン12は、車両の室内及び室外の少なくとも一方の音を検出して、検出信号を帯域フィルタリング手段14に出力する。
帯域フィルタリング手段14は、所定の周波数帯域の検出信号を抽出して、抱絡線抽出手段16に検出信号を出力する。帯域フィルタリング手段14で抽出する帯域は、制御対象の音源(例えば、エンジンやサスペンション振動等)の周波数に応じた周波数帯域を抽出する。なお、本実施の形態では、帯域フィルタを用いて所定周波数帯域の検出信号を抽出するものとして説明するが、制御対象の音源によってはハイパスフィルタやローパスフィルタを適用するようにしてもよい。
抱絡線抽出手段16は、検出信号の変動状況を表す抱絡線を抽出して、周波数分析手段18に出力する。すなわち、図3(A)に示すように、振幅変動している検出信号の振幅ピークを結ぶ外形形状を表すエンベロープを抽出する。検出信号の抱絡線は、例えば、検出信号をヒルベルト変換等を行うことによって抽出することができる。
周波数分析手段18は、抱絡線の周波数を分析して、周期−振幅特性を求めて変調信号生成手段20へ出力する。例えば、周波数分析手段18は、図3(B)に示すように、抱絡線の時間−振幅特性を求めてFFT変換(高速フーリエ変換)によって、図3(C)に示すように、周期−振幅特性を求める。
変調信号生成手段20は、周波数分析手段18で求めた抱絡線の時間−振幅特性から特定周期成分の位相を所定位相(本実施の形態では180度)シフトして、逆FFT変換によって変調信号を生成して、生成した変調信号を発音信号生成手段22へ出力する。ここで、変調信号生成手段20において180度シフトする特定周期成分は、制御対象の音源の測定結果等に応じて予め定めた周期を設定する。なお、複数の周期成分を設定して重み付けを行って選択可能なようにしてもよい。例えば、制御対象の音源をエンジンとした場合には、回転数等によって制御対象とする特定周期が異なるので、回転数毎の特定周期を設定するようにしてもよい。また、本実施の形態では、特定周期成分の位相を180度すなわち半位相シフトするが、これに限るものではなく、適宜シフトする位相量を設定するようにしてもよい。
発音信号生成手段22は、変調信号生成手段20によって生成された変調信号を用いてスピーカ24から発音するための発音信号を生成する。例えば、発音信号生成手段22は、マイクロフォン12で検出した元の検出信号を変調信号生成手段20で生成した変調信号で変調して発音信号を生成してもよいし、変調信号生成手段20で生成した変調信号を発音するための発音信号に変換することで発音信号を生成するようにしてもよい。
また、発音信号生成手段22は、発音信号に応じた音をスピーカ24から出力する制御を行う。例えば、発音信号生成手段22は、スピーカ24から発音信号に応じた音を出力する際に、周波数分析手段18によって分析した結果や変調信号生成手段20によって位相をシフトした特定周期等に基づいて、発音信号に応じた音をスピーカ24から出力するタイミングを求めて、求めたタイミングに応じてスピーカ24から発音信号に応じた音を出力する。
スピーカ24は、本実施の形態では、車室内に設けられ、発音信号生成手段22によって発音が制御されて車室内に発音信号に応じた音を出力し、車室内の音質を変更する。
続いて、上述のように構成された車両騒音音質制御装置10の作用について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係わる車両騒音音質制御装置10で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
始めにステップ100では、マイクロフォン12によって車室内及び車外の少なくとも一方の音が検出されてステップ102へ移行する。すなわち、マイクロフォン12によって車室内外の音が検出されて、検出された音の音圧が検出信号として帯域フィルタリング手段14へ出力される。
ステップ102では、帯域フィルタリング手段14によって検出信号の所定周波数帯域が抽出されてステップ104へ移行する。これによって、制御対象とする周波数帯を抽出して制御対象以外の周波数をノイズとして除去することができる。また、必要な周波数帯域のみが抽出されるので、以降の処理の計算負荷を軽減することができる。
ステップ104では、抱絡線抽出手段16によって音圧の検出信号の抱絡線が抽出されてステップ106へ移行する。例えば、図3(A)に示すように、検出信号の抱絡線が抱絡線抽出手段16によって抽出される。このように検出信号の抱絡線を抽出することで、検出信号の変動状況が抱絡線で近似されたことになる。
ステップ106では、周波数分析手段18によって抱絡線の時間−振幅特性がFFT変換されて周期−振幅特性が求められてステップ108へ移行する。例えば、図3(B)に示す抱絡線の時間−振幅特性がFFT変換されることによって図3(C)に示す周期−振幅特性が求められる。
ステップ108では、変調信号生成手段20によって特定周期成分の位相が180度シフトされてステップ110へ移行する。
ステップ110では、変調信号生成手段20によって逆FFT変換が行われて特性周期成分の位相を180度シフトした変調信号が生成される。これによって、例えば、図3(D)に示すように、抱絡線に対して特定周期成分の位相をシフトした変調信号を生成することができる。
そして、ステップ112では、変調信号を用いてスピーカから出力するための発音信号が発音信号生成手段22によって生成されて、ステップ114へ移行し、スピーカ24から発音される。すなわち、発音信号生成手段22が、マイクロフォン12で検出した元の検出信号を変調信号生成手段20で生成した変調信号で変調して発音信号を生成する場合には、マイクロフォン12で検出した元の検出信号を変調信号生成手段20で生成した変調信号で変調することにより、例えば、図4(A)に示すような発音信号が生成され、発音タイミングが考慮されて発音信号に応じた音がスピーカ24から発音される。これにより、図4(B)に示すような現在の音(源信号)と、図4(A)に示すスピーカ24から出力された音(発音信号)が合成されので、現在の音質に対して音質が変更されて、音質を制御することができる。或いは、発音信号生成手段22が、変調信号生成手段20で生成した変調信号を発音するための発音信号に変換することで発音信号を生成する場合には、図5(A)に示すような発音信号(検出信号の抱絡線に対して位相が180度ずれた抱絡線となる発音信号)が生成される。そして、該発音信号に応じた音が発音タイミングが考慮されてスピーカ24より出力されて、図5(B)に示すような現在の音(図5(B)の源信号)にスピーカ24から出力された音(図5(A)の発音信号)が合成される。これにより、図5(C)に示すように、スピーカ24から出力された音と現在の音とが合成された音(図5(C)の合成信号)となるので、音質を制御することができる。
従って、本実施形態では、発音信号生成手段22によって生成された発音信号に応じた音をスピーカ24から出力することにより、元のマイクロフォン12で検出した検出信号に対して、音圧の変動量を低減することができ、車室内の音質を制御することができる。
このように、本実施形態では、マイクロフォン12によって検出した音圧の検出信号の抱絡線を抽出することによって、検出信号の変動状況が抱絡線によって近似され、抱絡線の制御対象となる特定周期成分の位相をシフトすることによって変調信号を生成して、該変調信号を用いて発音信号を生成するので、参照信号を用いることなく、源信号に対して制御対象となる周波数の音圧を任意に制御することができる。
また、制御対象となる音圧の周波数が高周波であっても、検出信号の変動状況を近似した抱絡線の特定周期成分の位相をシフトすることにより音質を制御するので、検出信号の特定周期の位相をそのままシフトして音質を制御するのに対して、シフトする対象の位相の波長を長い波長として扱うことができ、位相シフト時の誤差を抑制して安定した制御を行うことができる。例えば、検出信号の3KHzの位相をシフトした信号を生成して音質を制御しようとすると、高周波の短い波長をシフトすることになり、位相シフト時に誤差が発生してしまうが、本実施の形態では、上述のように抱絡線を抽出して抱絡線の特定周期の位相をシフトした変調信号を生成、すなわち、元の検出信号の位相はそのままで検出信号の変動状況のみを変化させた変調信号を生成して音質を改善するので、検出信号の周波数よりも低周波である抱絡線の10〜100Hzの位相をシフトして音質を改善することになる。従って検出信号における波長よりも長い波長として扱って位相をシフトして音質を改善するので、誤差の発生を抑制して安定した音質制御を行うことができる。
なお、本実施の形態では、音圧の変動量を低減する場合を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、音圧の周期によって不快に感じる場合と快適に感じる場合があるので、変調信号生成手段20で特定周期成分の位相をシフトする際に、特性周期成分や位相をシフトする位相量を適宜設定することによって、音質改善や音色作り等も効果的に行うことができる。
また、本実施の形態では、車室内にスピーカ24から音を出力して車室内の音質を制御する場合を例に挙げて説明したが、車室外にスピーカ24から音を出力して車室外の音質を制御するようにしてもよいし、車室内及び車室内の両方にスピーカ24から音を出力して車室内及び車室外の音質を共に制御するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態では、帯域フィルタリング手段14を設けるようにしたが、帯域フィルタリング手段14を省略した構成としてもよい。
本発明の実施の形態に係わる車両騒音音質制御装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係わる車両騒音音質制御装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。 (A)は検出信号から抽出する抱絡線を示す図であり、(B)は抱絡線の時間−振幅特性を示す図であり、(C)は抱絡線の周期−振幅特性を示す図であり、(D)は特定周期成分の位相を180度シフトした抱絡線を示す図である。 元の検出信号を変調信号で変調して発音信号を生成した場合の音質制御を説明するための図である。 変調信号を発音するための発音信号に変換して発音信号を生成した場合の音質制御を説明するための図である。
符号の説明
10 車両騒音音質制御装置
12 マイクロフォン
14 帯域フィルタリング手段
16 抱絡線抽出手段
18 周波数分析手段
20 変調信号生成手段
22 発音信号生成手段
24 スピーカ

Claims (4)

  1. 車内及び車外の少なくとも一方の音を検出する検出手段によって検出された検出信号の時間軸に対する変動状況を表す抱絡線を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段によって抽出された前記抱絡線の周波数を分析し、分析結果から特定周期成分の位相を所定位相シフトした変調信号を生成する生成手段と、
    前記生成手段によって生成された前記変調信号に基づいて、車内及び車外の少なくとも一方に発音する前記発音手段から発音するための発音信号を生成する発音信号生成手段と、
    を備えた車両騒音音質制御装置。
  2. 前記発音信号生成手段は、前記検出信号を前記変調信号で変調することによって前記発音信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の車両騒音音質制御装置。
  3. 前記発音信号生成手段は、前記変調信号を発音するための信号に変換することによって前記発音信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の車両騒音音質制御装置。
  4. 前記検出信号の所定周波数帯域を抽出するフィルタリング手段を更に備え、前記抽出手段が前記フィルタリング手段によって抽出された所定周波数帯域の前記検出信号を用いて前記抱絡線を抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両騒音音質制御装置。
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