JP2001211493A - 遅延時間設定方式 - Google Patents

遅延時間設定方式

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JP2001211493A
JP2001211493A JP2000018086A JP2000018086A JP2001211493A JP 2001211493 A JP2001211493 A JP 2001211493A JP 2000018086 A JP2000018086 A JP 2000018086A JP 2000018086 A JP2000018086 A JP 2000018086A JP 2001211493 A JP2001211493 A JP 2001211493A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のスピーカが用いられている場合に、聴
取位置における音質を向上させることができる遅延時間
設定方式を提供すること。 【解決手段】 遅延時間測定用音源50から出力される
信号がローパスフィルタ30またはハイパスフィルタ3
4に選択的に入力され、マイクロホン46から出力され
る検出信号に基づいてスピーカ40、44のそれぞれに
対応した音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性
が求められる。次に、遅延時間算出・設定部52は、各
スピーカ40、44に対応する音圧レベルの周波数特性
が一致する位置の周波数を特定し、この周波数におい
て、スピーカ40、スピーカ44のそれぞれに対応する
遅延時間の大小関係およびその差を調べ、この結果に基
づいて各スピーカ40、44から放射される音波がマイ
クロホン46に到達するタイミングが一致するように各
遅延器10、14の遅延時間を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のスピーカの
それぞれから異なる周波数のオーディオ音を出力するオ
ーディオシステムにおける遅延時間設定方式に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオシステムに用いられるスピー
カは、可聴帯域のオーディオ音を均一に出力できること
が好ましいが、実際には1つのスピーカで全周波数帯域
の音声を出力することは困難であり、通常は周波数特性
が異なる2つあるいは3つのスピーカが組み合わされて
使用される。例えば、2つのスピーカを用いた場合に
は、高域用のスピーカと低域用のスピーカが組み合わさ
れる。
【0003】ところで、これらの2つあるいは3つのス
ピーカのそれぞれからは、周波数帯域が異なるオーディ
オ信号に対応した音波が別々に放射されるが、聴取者が
違和感なく音楽を聴取するためには、聴取点における音
波の到達時間を一致させる必要がある。特に、車載用の
オーディオシステムでは、スピーカを設置するスペース
の確保が容易ではないため、周波数特性が異なる複数の
スピーカを同一場所に設置することが困難な場合も多
く、それぞれのスピーカを別々の場所に設置することが
ある。このような場合に、各スピーカから聴取点までの
距離が異なると、各スピーカから放射された音波が聴取
点に到達するまでの時間がずれてしまい、再生音にひず
みが生じるため、各スピーカの前段に遅延器を挿入して
各周波数成分の音波の到達時間を一致させる調整を行っ
ていた。
【0004】各周波数成分の音波の到達時間を一致させ
るための従来技術としては、特開平11−262081
号公報に開示されている遅延時間設定方式が知られてい
る。特開平11−262081号公報に開示された遅延
時間設定方式では、音響空間内に設置された複数のスピ
ーカに対して所定の遅延時間測定用信号を入力し、スピ
ーカから放射される音波が、聴取位置に設置されたマイ
クロホンに到達するまでの平均的な遅延時間を測定し、
この平均的な遅延時間が各スピーカ間でほぼ一致するよ
うにして各スピーカの前段に挿入された遅延器の遅延時
間を設定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した特
開平11−262081号公報に開示された従来の遅延
時間設定方式によって設定される遅延時間は、必ずしも
最適な値であるとはいえなかった。その理由を以下に具
体的に説明する。図10は、従来の遅延時間設定方式に
おける遅延時間の設定方法を説明する図である。図10
(A)は、各スピーカから放射される音波の音圧レベル
の周波数特性を示しており、図10(B)は、各スピー
カから放射される音波の群遅延時間特性を示している。
上述した従来の遅延時間設定方式によれば、図10
(B)に示すように、高域用スピーカに対応する遅延時
間の平均値と低域用スピーカに対応する遅延時間の平均
値とが一致するようにそれぞれの遅延時間が設定され
る。したがって、図10(A)に示すように、高域用ス
ピーカに対応する音圧レベル特性曲線と低域用スピーカ
に対応する音圧レベル特性曲線とが交差する位置P0
周波数f0 に注目し、この周波数f0 における群遅延時
間特性を見ると、低音用スピーカに対応する遅延時間t
0 と高音用スピーカに対応する遅延時間t0′ とが一致
せずに、この周波数f 0 近傍の音波が低音用スピーカと
高音用スピーカのそれぞれから放射されたときに、同じ
周波数の音波でありながら聴取位置における到達タイミ
ングがずれることになり、聴感上の違和感が生じ、音質
の悪化を招くという問題があった。
【0006】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的は、複数のスピーカが用いられ
ている場合に、聴取位置における音質を向上させること
ができる遅延時間設定方式を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の遅延時間設定方式では、聴取位置に集
音手段が設置されており、音響空間内に設置された複数
のスピーカのそれぞれの前段に遅延時間が設定可能な複
数の遅延手段が接続されている。また、測定用信号生成
手段によって生成された所定の遅延時間測定用信号を帯
域分割手段によって複数の周波数帯域に分割して複数の
スピーカのそれぞれに入力し、この結果得られる複数の
周波数の音波を切り替え手段により複数のスピーカのそ
れぞれから選択的に出力している。そして、集音手段か
ら出力される複数の周波数帯域の信号を遅延時間算出・
設定手段によって解析することにより、複数のスピーカ
のそれぞれから放射される音波に含まれる周波数の重複
部分が集音手段に到達するタイミングをほぼ一致させる
ように上述した複数の遅延手段のそれぞれの遅延時間を
設定している。複数のスピーカのそれぞれから放射され
る音波に含まれる周波数の重複部分が集音手段に到達す
るタイミングをほぼ一致させるように遅延手段の遅延時
間が設定されるので、同じ周波数の音波でありながら聴
取位置に到達するタイミングがずれることによって聴感
上の違和感が生じることを防ぐことができ、聴取位置に
おける音質を向上させることができる。
【0008】また、上述した遅延時間算出・設定手段
は、集音手段から出力される信号について、周波数毎の
信号レベルを解析することにより、複数のスピーカから
出力される音波のそれぞれに対応する信号レベルがほぼ
一致する特定周波数を算出する特定周波数算出手段と、
この特定周波数算出手段によって算出された特定周波数
の信号成分について、測定用信号生成手段から遅延時間
測定用信号が出力されてから複数のスピーカのそれぞれ
から対応する音波が放射されて集音手段に到達するまで
の時間差を算出し、この時間差がなくなるように複数の
遅延手段のそれぞれの遅延時間を設定する遅延時間設定
手段とを備えていることが望ましい。複数のスピーカか
ら出力される音波のそれぞれに対応する信号レベルがほ
ぼ一致する特定周波数を算出し、この特定周波数の信号
成分に着目して、複数のスピーカのそれぞれから対応す
る音波が放射されて集音手段に到達するまでの時間差が
なくなるように遅延時間を設定しているので、複数のス
ピーカのそれぞれから放射される音波に含まれる周波数
の重複部分が集音手段に到達するタイミングを確実に一
致させることができる。
【0009】また、遅延時間測定用信号としてタイムス
トレッチドパルスを用いるとともに、遅延時間算出・設
定手段によって、集音手段の出力信号に、タイムストレ
ッチドパルスを時間軸上で反転した信号を畳み込み演算
し、この畳み込み演算結果に対してフーリエ変換処理を
行うことにより、各周波数成分に対応する信号レベル特
性と群遅延時間特性を求めることが望ましい。このよう
な畳み込み演算を行うことによりインパルス応答を求め
ることができ、このインパルス応答に基づいて各周波数
成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求め
ることができる。また、タイムストレッチドパルスは、
所定の時間幅を有し、周波数成分が時間軸上で分散され
た信号であり、突発的なノイズによる影響を受けにくい
利点がある。また、タイムストレッチドパルスを用いる
ことにより、スピーカの駆動力が分散されるため、過大
なインパルスを用いて遅延時間を測定する場合のように
スピーカを破損するおそれもない。
【0010】また、遅延時間測定用信号としてホワイト
ノイズ信号を用いるようにしてもよい。この場合には、
遅延時間算出・設定手段は、測定用信号生成手段から出
力される遅延時間測定用信号と集音手段の出力信号とが
入力されて、これら2つの信号の誤差信号のパワーが最
小となるように適応等化処理を行う適応フィルタを備
え、この適応フィルタのフィルタ係数に対してフーリエ
変換処理を行うことにより、各周波数成分に対応する信
号レベル特性と群遅延時間特性を求めることが望まし
い。適応フィルタのフィルタ係数は、集音手段によって
検出されるインパルス応答を再現しているため、このフ
ィルタ係数に基づいて各周波数成分に対応する信号レベ
ル特性と群遅延時間特性を求めることができる。また、
ホワイトノイズ信号には低域から高域までの周波数成分
が含まれており、周波数特性が異なる数種類のスピーカ
を組み合わせて用いる場合に、それぞれのスピーカから
遅延時間測定用信号に対応した音波を放射することがで
き、確実に遅延時間の算出を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の遅延時間設定方式
を適用した一実施形態のオーディオシステムについて、
図面を参照しながら説明する。
【0012】図1は、本発明を適用した一実施形態のオ
ーディオシステムの構成を示す図である。同図に示す車
載用のオーディオシステムは、チューナやCDプレーヤ
等のオーディオ装置100と、オーディオ装置100か
ら出力されるオーディオ信号が入力される2つの遅延器
10、14と、これらの遅延器の後段等に接続される3
つのスイッチ20、24、26と、入力されるオーディ
オ信号の中から低域成分のみを通過させるローパスフィ
ルタ(LPF)30と、高域成分のみを通過させるハイ
パスフィルタ(HPF)34と、周波数特性が異なる2
つのスピーカ40、44と、オーディオ音の聴取位置に
設定されたマイクロホン46と、遅延時間測定用の所定
の信号を発生する遅延時間測定用音源50と、マイクロ
ホン46の出力信号に基づいて、スピーカ40、44の
それぞれから出力された音波の遅延時間を算出するとと
もに遅延器10、14のそれぞれの遅延時間の設定を行
う遅延時間算出・設定部52とを含んで構成されてい
る。
【0013】遅延器10、14は、それぞれの遅延時間
が任意に設定可能であり、各遅延時間が遅延時間算出・
設定部52によって設定される。遅延器10から出力さ
れるオーディオ信号は、スイッチ20を介してローパス
フィルタ30に入力され、その後段に接続された低音用
のスピーカ40から低域成分の音波が車室内音響空間に
放射される。同様に、遅延器14から出力されるオーデ
ィオ信号は、スイッチ24を介してハイパスフィルタ3
4に入力され、その後段に接続された高音用のスピーカ
44から高域成分の音波が車室内音響空間に放射され
る。
【0014】マイクロホン46は、スピーカ40、44
のそれぞれから放射された音波を検出する。遅延時間算
出・設定部52は、遅延時間測定用音源50から遅延時
間測定用の所定の信号が出力され、この信号に対応する
音波がマイクロホン46で検出されると、この検出信号
に基づいて各遅延器10、14に遅延時間を設定する。
遅延時間算出・設定部52による遅延時間の設定動作の
詳細については後述する。
【0015】上述したスピーカ40、44が複数のスピ
ーカに、マイクロホン46が集音手段に、遅延器10、
14が複数の遅延手段に、遅延時間測定用音源50が測
定用信号生成手段に、スイッチ26が切り替え手段に、
遅延時間算出・設定部52が遅延時間算出・設定手段に
それぞれ対応している。
【0016】本実施形態のオーディオシステムはこのよ
うな構成を有しており、次に、遅延時間算出・設定部5
2が各遅延器10、14に遅延時間を設定する際の動作
を説明する。
【0017】まず、スイッチ20、24を切り替えて、
各フィルタ30、34の接続状態を各遅延器10、14
側から遅延時間測定用音源50側に変更する。そして、
スイッチ26を切り替えて、遅延時間測定用音源50か
ら出力される所定の信号がローパスフィルタ30に入力
されるようにする。これらの各スイッチの切り替え動作
は、遅延時間算出・設定部52あるいは図示しない制御
部による切り替え指示に応じて行われる。
【0018】このような各スイッチの接続状態におい
て、遅延時間測定用音源50から遅延時間測定用の所定
の信号が出力され、対応する音波がスピーカ40から車
室内音響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52
は、遅延時間測定用音源50から所定の信号が出力され
て、マイクロホン46から対応する検出信号が出力され
ると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性
および群遅延時間特性(遅延時間の周波数特性)を求め
る。
【0019】次に、スイッチ26が切り替えられ、遅延
時間測定用音源50から出力される所定の信号がハイパ
スフィルタ34に入力される状態に変更される。この状
態において、遅延時間測定用音源50から遅延時間測定
用の所定の信号が出力され、対応する音波がスピーカ4
4から車室内音響空間に放射される。遅延時間算出・設
定部52は、遅延時間測定用音源50から所定の信号が
出力されて、マイクロホン46から対応する検出信号が
出力されると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周
波数特性および群遅延時間特性を求める。
【0020】図2は、遅延時間算出・設定部52によっ
て求められる音圧レベルの周波数特性および群遅延時間
特性の一例を示す図である。図2(A)は、音圧レベル
の周波数特性を示しており、特性曲線a1 がスピーカ4
0から放射された音波に対応して求められた音圧レベル
の周波数特性を示し、特性曲線a2 がスピーカ44から
放射された音波に対応して求められた音圧レベルの周波
数特性を示している。また、図2(B)は、群遅延時間
特性を示しており、特性曲線b1 がスピーカ40から放
射された音波に対応して求められた群遅延時間特性を示
し、特性曲線b 2 がスピーカ44から放射された音波に
対応して求められた群遅延時間特性を示している。
【0021】図2に示すような音圧レベルの周波数特性
および群遅延時間特性が求められると、遅延時間算出・
設定部52は、各スピーカ40、44に対応する音圧レ
ベルの周波数特性が交差する位置(特性曲線a1 および
特性曲線a2 が交差する位置)P1 における周波数f1
を特定する。
【0022】次に、遅延時間算出・設定部52は、各ス
ピーカ40、44に対応して求められた群遅延時間特性
において、上述した周波数f1 における遅延時間をそれ
ぞれ求める。図2(B)に示すように、スピーカ40に
対応する遅延時間t1 とスピーカ44に対応する遅延時
間t1′ が求められると、遅延時間算出・設定部52
は、遅延時間t1 とt1′ の大小関係とその差を調べ、
この結果に基づいて各遅延器10、14に対して遅延時
間を設定する。
【0023】例えば、図2(B)に示すように、遅延時
間の大小関係がt1 >t1′ である場合には、遅延時間
算出・設定部52は、(t1 −t1′) を計算し、この
値を遅延時間としてスピーカ44に対応した遅延器14
に設定する。これにより、遅延時間(t1 −t1′) だ
け遅延された音波がスピーカ44から放射されることと
なるので、上述した周波数f1 において、各スピーカ4
0、44から放射される音波がマイクロホン46に到達
するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0024】また、図2に示した例とは逆に遅延時間の
大小関係がt1 <t1′ である場合には、遅延時間算出
・設定部52は、(t1′−t1)を計算し、この値を遅
延時間としてスピーカ40に対応した遅延器10に設定
する。これにより、遅延時間(t1′−t1)だけ遅延さ
れた音波がスピーカ40から放射されることとなるの
で、上述した周波数f1 において、各スピーカ40、4
4から放射される音波がマイクロホン46に到達するタ
イミングをほぼ一致させることができる。
【0025】また、各スピーカ40、44に対応する音
圧レベルの周波数特性が交差する位置P1 を検出できな
い場合、すなわち、各特性曲線a1 およびa2 が交差し
ない場合には、遅延時間算出・設定部52は、上述した
従来技術で説明した方法にしたがって、各スピーカ4
0、44のそれぞれについて平均的な遅延時間を求め、
この平均的な遅延時間が各スピーカ40、44において
ほぼ一致するように、スピーカ40の前段に挿入された
遅延器10とスピーカ44の前段に挿入された遅延器1
4の各遅延時間を設定する。
【0026】次に、上述した遅延時間算出・設定部52
の詳細について、2つの具体的な構成例を説明する。
【0027】遅延時間算出・設定部52の構成例1 図3は、タイムストレッチドパルス(時間引き延ばしパ
ルス)を用いてインパルス応答を求めて遅延時間を算出
する場合の遅延時間算出・設定部52の構成を示す図で
ある。同図に示す遅延時間算出・設定部52は、アナロ
グ−デジタル(A/D)変換器70、メモリ制御部7
2、メモリ74、平均化処理部76、畳み込み演算部7
8、FFT(高速フーリエ変換)演算部80、周波数特
定部82、遅延時間設定部84を含んで構成されてい
る。また、この遅延時間算出・設定部52と組み合わさ
れる遅延時間測定用音源50からは、タイムストレッチ
ドパルスが出力される。
【0028】タイムストレッチドパルスは、その周波数
特性H(k)が以下のように表される信号である。
【0029】
【数1】
【0030】ここで、mはタイムストレッチドパルス内
で各周波数毎の位相をずらす度合いを示す係数であり、
任意の整数値をとる。Nはタイムストレッチドパルスの
発生時間を規定する係数である。また、kは0からN−
1までの整数であり、aはmとNが決まれば(1)式に
含まれる第3式によって定まる。例えば、m=0の場合
にはa=0となるため、全てのkについてH(k)=e
xp(0)=1となって、各周波数成分が分散せずに集
中したインパルスとなる。
【0031】遅延時間測定用音源50から出力される実
際のタイムストレッチドパルスは、上述した(1)式を
逆フーリエ変換して得られる信号であり、その一例を図
4に示す。図4に示すタイムストレッチドパルスは、N
=256の場合であって、このNの値とmの値に応じた
所定時間の間で各周波数成分が分散した信号となる。し
たがって、Nの値を大きく設定し、かつmの値も大きく
設定することにより、長時間にわたって各周波数成分の
エネルギーを分散させることができるため、ノイズの影
響を受けにくくなるが、タイムストレッチドパルスの発
生時間が長くなればなるほど遅延時間の測定に要する時
間も長くなるため、発生時間があまり長くならない範囲
で適切なNとmの値を設定する必要がある。
【0032】A/D変換器70は、マイクロホン46の
出力信号に対して、所定の時間間隔で標本化および量子
化を行って、所定ビット数のデータを出力する。メモリ
制御部72は、所定の時間間隔でA/D変換器70から
出力されるデータを順次メモリ74に格納する。タイム
ストレッチドパルスが1回出力されると、このタイムス
トレッチドパルスに対する応答としてマイクロホン46
から出力されるアナログ信号波形がA/D変換器70に
よってデジタル波形データ(以後、このデータを「タイ
ムストレッチドパルス応答データ」と称する)に変換さ
れ、メモリ74の所定領域に格納される。メモリ74に
は、このような格納領域がL個分確保されており、遅延
時間測定用音源50からL個のタイムストレッチドパル
スが繰り返し出力されたときに、それぞれに対応するタ
イムストレッチドパルス応答データが上述したL個の格
納領域のそれぞれに格納される。
【0033】平均化処理部76は、メモリ74に格納さ
れているL個のタイムストレッチドパルス応答データの
平均化処理を行う。平均化されたタイムストレッチドパ
ルス応答データをq(n)、i個目の応答データをqi
(n)とすると、
【0034】
【数2】
【0035】となる。この(2)式にしたがって、L個
のタイムストレッチドパルス応答データの平均化処理を
行うことにより、突発的なノイズの影響を除去した応答
データが得られる。
【0036】畳み込み演算部78は、(2)式で計算さ
れた平均化したタイムストレッチドパルス応答データq
(n)に、タイムストレッチドパルスp(n)を時間軸
上で反転させたデータp(−n)を畳み込み演算する。
図5は、タイムストレッチドパルスを時間軸上で反転さ
せた信号を示す図であり、図4に示すN=256に対応
するタイムストレッチドパルスを反転した波形が示され
ている。なお、実際に畳み込み演算部78で用いられる
データp(−n)は、図5に示した信号波形をデジタル
波形データに変換したものであり、その標本化間隔はA
/D変換器70における標本化間隔と同じである。
【0037】畳み込み演算部78による畳み込み演算
は、以下の式に基づいて行われる。
【0038】
【数3】
【0039】この(3)式にしたがって、タイムストレ
ッチドパルス応答信号と、元のタイムストレッチドパル
スを時間軸上で反転した信号とを畳み込み演算すること
によりインパルス応答が得られる。なお、畳み込み演算
部78は、平均化処理部76から出力されるデータを順
次ずらしていってそれぞれのN個のデータを用いて畳み
込み演算を行い、複数の演算結果を出力する。
【0040】FFT演算部80は、畳み込み演算部78
から出力される演算結果に対して、周知のFFT(Fast
Fourier Transform)演算を行い、上述した図2に示し
たような音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性
を求める。音圧レベルの周波数特性の演算結果は、周波
数特定部82に向けて出力され、群遅延時間特性の演算
結果は、遅延時間設定部84に向けて出力される。
【0041】周波数特定部82は、FFT演算部80か
ら入力される音圧レベルの周波数特性の演算結果に基づ
いて、スピーカ40から放射された音波に対応した音圧
レベル特性曲線(図2に示す特性曲線a1 )と、スピー
カ44から放射された音波に対応した音圧レベル特性曲
線(図2に示す特性曲線a2 )とが交わる位置P1 に対
応する周波数f1 を特定する。
【0042】遅延時間設定部84は、FFT演算部80
から入力される群遅延時間特性と周波数特定部82によ
って特定された周波数f1 とに基づいて、上述した方法
により各遅延器10、14の各遅延時間を設定する。
【0043】上述した周波数特定部82が特定周波数算
出手段に、遅延時間設定部84が遅延時間設定手段にそ
れぞれ対応している。
【0044】遅延時間算出・設定部52の構成例2 図6は、適応フィルタを用いてインパルス応答を求めて
遅延時間を算出する場合の遅延時間算出・設定部52の
構成を示す図である。同図に示す遅延時間算出・設定部
52は、FFT演算部80、周波数特定部82、遅延時
間設定部84、適応フィルタ90、LSM(Least Mean
Square )アルゴリズム処理部92、加算器94を含ん
で構成されている。このうち、FFT演算部80、周波
数特定部82、遅延時間設定部84については、上述し
た図3に示したものと基本的に同じ動作を行っているた
め、ここでは詳細な説明を省略する。また、この遅延時
間算出・設定部52と組み合わされる遅延時間測定用音
源50からは、ホワイトノイズ(白色雑音)が出力され
る。
【0045】適応フィルタ90は、FIR(Finite Imp
ulse Response )型のデジタルフィルタ構成を有してお
り、LMSアルゴリズム処理部92によって設定された
フィルタ係数Wを用いて、遅延時間測定用音源50から
入力されるホワイトノイズ信号に対して所定の適応処理
を行う。
【0046】ところで、LMSアルゴリズム処理部92
は、加算器94によってマイクロホン46の出力信号か
ら適応フィルタ90の出力信号を減算して求めた誤差信
号eのパワーが最小となるように適応フィルタ90のフ
ィルタ係数Wを制御する。したがって、マイクロホン4
6の出力信号と適応フィルタ90の出力信号とはほぼ同
じものとなって、適応フィルタ90のフィルタ係数Wが
マイクロホン46で検出するインパルス応答とほぼ同じ
特性を有することになる。
【0047】したがって、FFT演算部80により、適
応フィルタ90のフィルタ係数Wに基づいて、FFT演
算を行うことにより、上述した図2に示したような音圧
レベルの周波数特性および群遅延時間特性が求められ
る。その後、周波数特定部82により、スピーカ40か
ら放射された音波に対応した音圧レベル特性曲線(図2
に示す特性曲線a1 )と、スピーカ44から放射された
音波に対応した音圧レベル特性曲線(図2に示す特性曲
線a2 )とが交わる位置P1 に対応する周波数f 1 を特
定し、FFT演算部80から入力される群遅延特性と周
波数特定部82によって特定された周波数f1 とに基づ
いて、遅延時間設定部84により各遅延器10、14の
各遅延時間を設定する。
【0048】このように、本発明のオーディオシステム
では、スピーカ40、44のそれぞれに対応した音圧レ
ベルの周波数特性および群遅延時間特性を求め、各音圧
レベルの周波数特性が交差する位置P1 の周波数f1
特定し、この周波数f1 において対応する遅延時間の大
小関係およびその差を調べ、この結果に基づいてスピー
カ40、44のそれぞれから放射される音波がマイクロ
ホン46に到達するタイミングが一致するように各遅延
器10、14の遅延時間を設定しているので、スピーカ
40、44のそれぞれから放射される周波数f1 近傍の
音波が聴取位置に到達するタイミングをほぼ一致させる
ことができる。したがって、聴感上の違和感が生じるこ
とを防ぐことができ、聴取位置における音質を向上させ
ることができる。
【0049】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変
形実施が可能である。例えば、上述した実施形態におい
ては、周波数特性が異なる2つのスピーカ40、44を
組み合わせて用いた場合について説明を行っていたが、
スピーカの数は2つに限定されるものではなく、3つあ
るいはそれ以上の数のスピーカを組み合わせるようにし
てもよい。
【0050】図7は、スピーカを3つ組み合わせた場合
のオーディオシステムの構成を示す図である。同図に示
すオーディオシステムは、チューナやCDプレーヤ等の
オーディオ装置100と、オーディオ装置100から出
力されるオーディオ信号が入力される3つの遅延器1
0、12、14と、これらの遅延器の後段等に接続され
る4つのスイッチ20、22、24、26aと、入力さ
れるオーディオ信号の中から低域成分のみを通過させる
ローパスフィルタ(LPF)30と、中域成分のみを通
過させるバンドパスフィルタ(BPF)32と、高域成
分のみを通過させるハイパスフィルタ(LPF)34
と、周波数特性が異なる3つのスピーカ40、42、4
4と、オーディオ音の聴取位置に設定されたマイクロホ
ン46と、遅延時間測定用の所定の信号を発生する遅延
時間測定用音源50と、マイクロホン46の出力信号に
基づいて各スピーカ40等を介した音波の遅延時間の算
出と各遅延器10等の遅延時間の設定を行う遅延時間算
出・設定部52aとを含んで構成されている。
【0051】図7に示すオーディオシステムは、上述し
た図1に示したオーディオシステムに対して、遅延器1
2、スイッチ22、バンドパスフィルタ32、スピーカ
42のそれぞれを追加した点と、図1に示したスイッチ
26を3通りの接続状態を選択的に切り替え可能なスイ
ッチ26aに変更するとともに、2つの遅延器10、1
4のそれぞれの遅延時間の設定を行っていた遅延時間算
出・設定部52を3つの遅延器10、12、14のそれ
ぞれの遅延時間の設定を行う遅延時間算出・設定部52
aに変更した点が異なっている。なお、遅延時間算出・
設定部52aの詳細構成は、図3あるいは図6に示した
構成をそのまま適用することができる。
【0052】次に、図7に示すオーディオシステムにお
いて、遅延時間算出・設定部52aが各遅延器10、1
2、14に遅延時間を設定する際の動作を説明する。ま
ず、スイッチ20、22、24を切り替えて、各フィル
タ30、32、34の接続状態を各遅延器10、12、
14側から遅延時間測定用音源50側に変更する。そし
て、スイッチ26aを切り替えて、遅延時間測定用音源
50から出力される信号がローパスフィルタ30に入力
されるようにする。これらの各スイッチの切り替え動作
は、遅延時間算出・設定部52aあるいは図示しない制
御部による切り替え指示に応じて行われる。
【0053】このような各スイッチの接続状態におい
て、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力
され、対応する音波がスピーカ40から車室内音響空間
に放射される。遅延時間算出・設定部52aは、遅延時
間測定用音源50からホワイトノイズが出力されて、マ
イクロホン46から対応する検出信号が出力されると、
この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性および
群遅延時間特性を求める。
【0054】次に、スイッチ26aが切り替えられ、遅
延時間測定用音源50から出力される信号がバンドパス
フィルタ32に入力される状態に変更される。この状態
において、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズ
が出力され、対応する音波がスピーカ42から車室内音
響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52aは、
遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力され
て、マイクロホン46から対応する検出信号が出力され
ると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性
および群遅延時間特性を求める。
【0055】同様に、スイッチ26aが切り替えられ、
遅延時間測定用音源50から出力される信号がハイパス
フィルタ34に入力される状態に変更される。この状態
において、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズ
が出力され、対応する音波がスピーカ44から車室内音
響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52は、遅
延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力され
て、マイクロホン46から対応する検出信号が出力され
ると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性
および群遅延時間特性を求める。
【0056】図8は、スピーカを3つ組み合わせた変形
例の遅延時間算出・設定部52aによって求められる音
圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性の一例を示
す図である。図8(A)は、音圧レベルの周波数特性を
示しており、特性曲線a3 がスピーカ40から放射され
た音波に対応して求められた音圧レベルの周波数特性を
示し、特性曲線a4 がスピーカ42から放射された音波
に対応して求められた音圧レベルの周波数特性を示し、
特性曲線a5 がスピーカ44から放射された音波に対応
して求められた音圧レベルの周波数特性を示している。
また、図8(B)は、群遅延時間特性を示しており、特
性曲線b3 がスピーカ40から放射された音波に対応し
て求められた群遅延時間特性を示し、特性曲線b4 がス
ピーカ42から放射された音波に対応して求められた群
遅延時間特性を示し、特性曲線b 5 がスピーカ44から
放射された音波に対応して求められた群遅延時間特性を
示している。
【0057】図8に示すような音圧レベルの周波数特性
および群遅延時間特性が求められると、遅延時間算出・
設定部52aは、スピーカ40、42のそれぞれに対応
する音圧レベルの周波数特性が交差する(特性曲線a3
および特性曲線a4 が交差する)位置P2 における周波
数f2 と、各スピーカ42、44に対応する音圧レベル
の周波数特性が交差する(特性曲線a4 および特性曲線
5 が交差する)位置P3 における周波数f3 とを求め
る。
【0058】次に、遅延時間算出・設定部52aは、ス
ピーカ40、42、44のそれぞれに対応して求められ
た群遅延時間特性において、上述した周波数f2 、f3
における遅延時間をそれぞれ求める。具体的には、図8
(B)に示すように、周波数f2 における遅延時間がそ
れぞれt2 、t2′ (遅延時間t2 がスピーカ40に、
遅延時間t2′ がスピーカ42にそれぞれ対応する)と
求められ、周波数f3における遅延時間がそれぞれt
3 、t3′ (遅延時間t3 がスピーカ42に、遅延時間
3′ がスピーカ44にそれぞれ対応する)と求められ
る。この場合に、遅延器10、12、14のそれぞれに
設定する遅延時間は、上述した各遅延時間t2 、t2
の大小関係およびt3 、t3′ の大小関係の組合せに応
じて異なるので、以下に、場合分けをして説明する。
【0059】図9は、それぞれの遅延時間の大小関係に
応じて遅延器10、12、14に設定する遅延時間を求
める方法について説明する図である。なお、図9では、
説明を簡略化するために群遅延時間特性を示す特性曲線
が簡略化して表されている。
【0060】(1)t2 >t2 ′ 、t3 >t3 ′ の場合 図9(A)に示すように、遅延時間算出・設定部52a
は、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時
間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2′ の差T
0 (=t2 −t2′ ) を計算し、この差T0 を遅延時
間として、スピーカ42および44のそれぞれに対応し
た遅延器12および14に設定する。これにより、遅延
時間T0 だけ遅延された音波がスピーカ42および44
から放射されることとなり、周波数f2 において、スピ
ーカ40、42のそれぞれから放射された音波がマイク
ロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させること
ができる。
【0061】次に、遅延時間算出・設定部52aは、周
波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3
とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1 (=
3−t3′) を計算し、このT1 を遅延時間としてス
ピーカ44に対応した遅延器14に設定する。ただし、
上述したように、既に遅延器14には遅延時間として上
述したT0 が設定されており、これを考慮する必要があ
るので、結局、遅延器14に設定される遅延時間は(T
0 +T1 )となる。これにより、遅延時間(T 0 +T
1 )だけ遅延された音波がスピーカ44から放射される
こととなり、周波数f3 において、スピーカ42、44
のそれぞれか放射される音波がマイクロホン46に到達
するタイミングをほぼ一致させることができる。この結
果、2つの周波数f2 、f3 のそれぞれにおいて、3つ
のスピーカ40、42、44のそれぞれから放射された
音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一
致させることができる。
【0062】(2)t2 >t2 ′ 、t3 <t3 ′ の場合 図9(B)に示すように、遅延時間算出・設定部52a
は、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時
間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2′の差T0
(=t2 −t2′ )を計算し、このT0 を遅延時間と
してスピーカ42および44のそれぞれに対応した遅延
器12および14に設定する。これにより、遅延時間T
0 だけ遅延された音波がスピーカ42および44から放
射されることとなり、周波数f2 において、スピーカ4
0、42のそれぞれから放射された音波がマイクロホン
46に到達するタイミングをほぼ一致させることができ
る。
【0063】次に、遅延時間算出・設定部52aは、周
波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3
とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1
(=t3′−t3 )を計算し、このT1′ を遅延時間と
して、スピーカ40および42のそれぞれに対応した遅
延器10および12に設定する。ただし、上述したよう
に、既に遅延器12には遅延時間としてT0 が設定され
ており、これを考慮する必要があるので、結局、遅延器
12に設定される遅延時間は(T0 +T1′) となる。
これにより、遅延時間T1′ だけ遅延された音波がスピ
ーカ40から放射されることとなり、また、遅延時間
(T0 +T1′) だけ遅延された音波がスピーカ42か
ら放射されることとなり、周波数f3 において、スピー
カ42、44のそれぞれから放射された音波がマイクロ
ホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることが
できる。この結果、2つの周波数f2 、f3 のそれぞれ
において、3つのスピーカ40、42、44にのそれぞ
れから放射される音波がマイクロホン46に到達するタ
イミングをほぼ一致させることができる。
【0064】(3)t2 <t2 ′ 、t3 >t3 ′ の場合 図9(C)に示すように、遅延時間算出・設定部52a
は、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時
間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2′の差
0′ (=t2′ −t2 )を計算し、この差T0′ を遅
延時間として、スピーカ40に対応した遅延器10に設
定する。これにより、遅延時間T0′ だけ遅延された音
波がスピーカ40から放射されることとなり、周波数f
2 において、スピーカ40、42のそれぞれから放射さ
れる音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほ
ぼ一致させることができる。
【0065】次に、遅延時間算出・設定部52aは、周
波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3
とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1 (=
3−t3′) を計算し、この差T1 を遅延時間とし
て、スピーカ44に対応した遅延器14に設定する。こ
れにより、遅延時間T1 だけ遅延された音波がスピーカ
44から放射されることとなり、周波数f3 において、
スピーカ42、44のそれぞれから放射される音波がマ
イクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させる
ことができる。この結果、2つの周波数f2 、f3 のそ
れぞれにおいて、3つのスピーカ40、42、44のそ
れぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達す
るタイミングをほぼ一致させることができる。
【0066】(4)t2 <t2 ′ 、t3 <t3 ′ の場合 図9(D)に示すように、遅延時間算出・設定部52a
は、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時
間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2′の差
0′ (=t2′ −t2 )を計算し、この差T0′ を遅
延時間として、スピーカ40に対応した遅延器10に設
定する。これにより、遅延時間T0′ だけ遅延された音
波がスピーカ40から放射されることとなり、周波数f
2 において、スピーカ40、42のそれぞれから放射さ
れる音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほ
ぼ一致させることができる。
【0067】次に、遅延時間算出・設定部52aは、周
波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3
とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1
(=t3′−t3 )を計算し、このT1′ を遅延時間と
して、スピーカ40および42のそれぞれに対応した遅
延器10および12に設定する。ただし、上述したよう
に、既に遅延器10には遅延時間としてT0′ が設定さ
れており、これを考慮する必要があるので、結局、遅延
器10に設定される遅延時間は(T0′+T1′)とな
る。この結果、遅延時間T1′ だけ遅延された音波がス
ピーカ42から放射されることとなり、また、遅延時間
(T0′+T1′)だけ遅延された音波がスピーカ40か
ら放射されることとなり、周波数f3 において、スピー
カ42、44のそれぞれから放射される音波がマイクロ
ホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることが
できる。この結果、2つの周波数f2 、f3 のそれぞれ
において、3つのスピーカ40、42、44のそれぞれ
から放射される音波がマイクロホン46に到達するタイ
ミングをほぼ一致させることができる。
【0068】このように、4種類の遅延時間t2
2′ 、t3 、t3′ のそれぞれの大小関係に応じて場
合分けをすることにより、3つのスピーカ40、42、
44を組み合わせた場合のオーディオシステムにおいて
も、遅延器10、12、14に対して適切な遅延時間を
設定することができる。
【0069】また、上述した実施形態における遅延時間
算出・設定部52の構成例1では、各スピーカに対して
タイムストレッチドパルス(図4参照)を入力し、マイ
クロホン46からの出力信号に対してタイムストレッチ
ドパルスを時間軸上で反転させた信号(図5参照)を畳
み込み演算することによりインパルス応答を得ていた
が、タイムストレッチドパルスを用いずに、単にインパ
ルスを入力することによりインパルス応答を得るように
してもよい。この場合には、畳み込み演算部78を省略
して構成を簡略化することができる。
【0070】また、上述した実施形態では、本発明の遅
延時間設定方式を車載用のオーディオシステムに適用し
た場合について説明を行ったが、これに限定されるもの
ではなく、屋内用あるいは屋外用のオーディオシステム
等に適用することもできる。
【0071】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、複数
のスピーカのそれぞれから放射される音波に含まれる周
波数の重複部分が集音手段に到達するタイミングをほぼ
一致させるように遅延手段の遅延時間が設定されるの
で、聴感上の違和感が生じるのを防止することができ、
聴取位置における音質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のオーディオシステムの構成を示す
図である。
【図2】遅延時間算出・設定部によって求められる音圧
レベルの周波数特性および群遅延時間特性の一例を示す
図である。
【図3】タイムストレッチドパルスを用いてインパルス
応答を求めて遅延時間を算出する場合の遅延時間算出・
設定部の構成を示す図である。
【図4】タイムストレッチドパルスの一例を示す図であ
る。
【図5】タイムストレッチドパルスを時間軸上で反転さ
せた信号を示す図である。
【図6】適応フィルタを用いてインパルス応答を求めて
遅延時間を算出する場合の遅延時間算出・設定部の構成
を示す図である。
【図7】スピーカを3つ組み合わせた場合のオーディオ
システムの構成を示す図である。
【図8】スピーカを3つ組み合わせた変形例の遅延時間
算出・設定部によって求められる音圧レベルの周波数特
性および群遅延時間特性の一例を示す図である。
【図9】各遅延時間の大小関係に応じて各遅延器に設定
する遅延時間を求める方法について説明する図である。
【図10】従来の遅延時間設定方式における遅延時間の
設定方法を説明する図である。
【符号の説明】
10、12、14 遅延器 20、22、24、26、26a スイッチ 30 ローパスフィルタ(LPF) 32 バンドパスフィルタ(BPF) 34 ハイパスフィルタ(HPF) 40、42、44 スピーカ 46 マイクロホン 50 遅延時間測定用音源 52、52a 遅延時間算出・設定部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響空間内に設置された複数のスピーカ
    と、 前記音響空間内の聴取位置に設置された集音手段と、 前記複数のスピーカのそれぞれの前段に接続され、それ
    ぞれの遅延時間が設定可能な複数の遅延手段と、 入力信号を複数の周波数帯域に分割して前記複数のスピ
    ーカのそれぞれに入力する帯域分割手段と、 所定の遅延時間測定用信号を生成する測定用信号生成手
    段と、 前記測定用信号生成手段によって生成された前記遅延時
    間測定用信号を前記帯域分割手段に入力することにより
    得られる複数の周波数帯域の音波を、前記複数のスピー
    カのそれぞれから選択的に出力する切り替え手段と、 前記遅延時間測定用信号に対応して前記集音手段から出
    力される複数の周波数帯域の信号を解析することによ
    り、前記複数のスピーカのそれぞれから放射される音波
    に含まれる周波数の重複部分が前記集音手段に到達する
    タイミングをほぼ一致させるように前記複数の遅延手段
    のそれぞれの遅延時間を設定する遅延時間算出・設定手
    段と、 を備えることを特徴とする遅延時間設定方式。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記遅延時間算出・設定手段は、 前記集音手段から出力される信号について、周波数毎の
    信号レベルを解析することにより、前記複数のスピーカ
    から出力される音波のそれぞれに対応する前記信号レベ
    ルがほぼ一致する特定周波数を算出する特定周波数算出
    手段と、 前記特定周波数算出手段によって算出された前記特定周
    波数の信号成分について、前記測定用信号生成手段から
    前記遅延時間測定用信号が出力されてから前記複数のス
    ピーカのそれぞれから対応する音波が放射されて前記集
    音手段に到達するまでの時間差を算出し、この時間差が
    なくなるように前記複数の遅延手段のそれぞれの遅延時
    間を設定する遅延時間設定手段と、 を備えることを特徴とする遅延時間設定方式。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記測定用信号生成手段によって生成される前記遅延時
    間測定用信号はタイムストレッチドパルスであり、 前記遅延時間算出・設定手段は、前記集音手段の出力信
    号に、前記タイムストレッチドパルスを時間軸上で反転
    した信号を畳み込み演算し、この畳み込み演算結果に対
    してフーリエ変換処理を行うことにより、各周波数成分
    に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求めるこ
    とを特徴とする遅延時間設定方式。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 前記測定用信号生成手段によって生成される前記遅延時
    間測定用信号はホワイトノイズ信号であり、 前記遅延時間算出・設定手段は、前記測定用信号生成手
    段から出力される前記遅延時間測定用信号と前記集音手
    段の出力信号とが入力されて、これら2つの信号の誤差
    信号のパワーが最小となるように適応等化処理を行う適
    応フィルタを有しており、この適応フィルタのフィルタ
    係数に対してフーリエ変換処理を行うことにより、各周
    波数成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を
    求めることを特徴とする遅延時間設定方式。
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