JP3556427B2 - オーディオ装置の制御帯域決定方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はオーディオ装置の制御帯域決定方法に係わり、特に制御帯域のオーディオ信号が目標信号と一致するように制御するオーディオ装置の制御帯域決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車室内は、密閉された狭い空間である。従って、短時間で反射が起こり、音波が干渉しあうため、聴取点までの伝達特性は、非常に複雑なものとなる。また、左右非対称な場所で音楽等を聴いているので、左右スピーカからの伝達特性も大きく違ってしまう。かかる車室内の悪影響を取り除き、車室内における音響特性の改善を目的としたオーディオ装置が望まれている。このため、適応等化器を用いて再生空間の複数点(制御点)において、振幅、位相特性を含めて所望の特性となるようにする制御が行われている。
【0003】
図9は適応等化システムの基本構成図であり、1はオーディオ信号x(n)を出力するオーディオソース(チューナ、テープデッキ、CDプレーヤ等)、2は目標応答特性(インパルスレスポンス特性)Hが設定され、オーディオ信号x(n)が入力されて目標信号d(n)を出力する目標応答設定部、4は車室内音響空間の聴取位置(観測点)における音を検出するマイク、5は検出された音楽信号d^(n)とフィルタ2から出力される目標信号d(n)との誤差e(n)を演算する演算部、6は前記誤差e(n)のパワーが最小となるように信号y(n)を発生する適応信号処理装置、7は該信号y(n)に応じた音を車室内音響空間8に放射するスピーカである。
【0004】
目標応答設定部2には、適応フィルタのタップ長の半分程度の長さの信号遅延時間をtとすると、該時間tの遅延特性を有し、全オーディオ周波数帯域でフラットな特性(ゲイン1の特性)が設定される。すなわち、目標応答設定部2には、図10(a)に示すようにゲイン1のフラットな周波数特性を備え、インパルス応答が図10(b)に示すように遅延時間tを有する特性が設定される。この目標応答設定部2は、FIR型デジタルフィルタの前記遅延時間tに対応する係数を1にし、他の係数を0にすることにより実現できる。例えば、1サンプリング時間をτ、遅延時間をtとすればt/τ番目のFIRデジタルフィルタの係数を1にし、その他の係数を0にすることにより実現できる。これは音響系の逆特性を精度よく近似するためである。
【0005】
適応信号処理装置6は、オーディオ信号x(n)を参照信号として入力されると共に、前記演算部5から出力されるエラ−信号e(n)を入力され、該エラ−信号のパワーが最小となるように適応信号処理を行って信号y(n)を出力する。適応信号処理装置6は、適応信号処理部(LMS)6aと、FIR型のデジタルフィルタ構成の適応フィルタ6bと、参照信号x(n)にスピーカ7から聴取位置までの音響伝搬系の伝搬特性(伝達関数)C^を畳み込んで適応信号処理に用いる参照信号(フィルタードリファレンス信号)r(n)を生成するフィルタ6cを有している。
【0006】
適応信号処理部6aは聴取位置におけるエラー信号e(n)と信号処理フィルタ6cを介して入力される適応信号処理用参照信号r(n)が入力され、これらの信号を用いて聴取位置における音楽信号d^(n)が目標信号d(n)と等しくなるように適応信号処理を行って適応フィルタ6bの係数を決定する。例えば、適応信号処理部6aは周知のLMS(Least Mean Square)適応アルゴリズムに従って、エラ−信号e(n)のパワーが最小となるように適応フィルタ6bの係数を決定する。適応フィルタ6bは適応信号処理部6aにより決定された係数に従ってオーディオ信号x(n)にデジタルフィルタ処理を施して信号y(n)を出力する。従って、適応信号処理によりエラー信号e(n)のパワーが最小となるように適応フィルタ6bの係数が収束すれば、聴取位置において、音楽信号d^(n)が目標信号d(n)と等しくなり、目標応答設定部2に設定した伝達特性H(周波数特性がフラット)の理想的な空間で音を聴取したのと同等の音の聴取ができるという効果を得られる。
【0007】
適応等化システムにおいて、以上のように全帯域の制御を行うのは当然のやり方である。しかし、膨大な演算量となり、その処理をリアルタイムで行おうとすれば、DSPが数十個必要になるという問題がある。そこで、特定の周波数帯域のみ、例えば、250Hz以下の低音の再生品質を向上するために低音域のみをターゲットとした適応イコライザが実現されている。
【0008】
図11はかかる適応イコライザの構成図であり、図9と同一部分には同一符号を付している。図9と異なる点は、
▲1▼オーディオソース1の後段に低音域を通過するバンドパスフィルタ(LPF)9を設け、その出力を目標応答設定部2と適応信号処理装置6にそれぞれ入力している点、
▲2▼全帯域のオーディオ信号を入力されてオーディオ音を車室内音響空間8に放射する第2のスピーカ10を設けた点、
▲3▼第2のスピーカ10の前段にオーディオ信号を遅延する遅延器11を設け、オーディオソース1の出力端から第1のスピーカ7を介してマイク4に到る信号遅延時間をt、第2のスピーカ10からマイク4までの信号遅延時間をtdとするとき、Δt(=t−td)の時間を遅延器11に設定して全帯域のオーディオ信号をΔt遅延して第2のスピーカ10に入力する点である。
【0009】
この適応イコライザによれば、適応フィルタ6bはローパスフィルタ9で制限された低音域(制御帯域)のみにおいて再生系(スピーカ7からマイク位置までの伝達特性)の逆フィルタになりつつ、目標信号d(n)となるように動作する。そして、制御帯域のみを制御することにより演算量を図9の適応等化システムに比べて削減することができる。
【0010】
図12は特定の周波数帯域のみ、例えば、250Hz以下の低音の再生品質を向上するために低音域のみをターゲットとした適応イコライザの別の例であり、図11と同一部分には同一符号を付している。図11と異なる点は、遅延器11の後段(前段でも良い)に、250Hz以下の制御帯域のオーディオ信号をカットするハイパスフィルタ12を設けた点である。
図11の適応イコライザでは、第2のスピーカ10から出力する全帯域のオーディオ信号の周波数特性が250Hz以下の制御帯域で上下に大きく振れ、そのレベルが高い場合がある。かかる場合には、250Hz以下の制御帯域に悪影響を与える。そこで、図12の適応イコライザではかかる悪影響を押さえるためにその帯域をカットするハイパスフィルタ12を遅延器11の後段に設けている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、適応イコライザーを用いて一部の周波数帯域のみ制御する場合には、制御帯域と非制御帯域を分けるクロスオーバー周波数fcoを決める必要がある。従来は経験を積んだ技術者がFFTアナライザ等の高価な測定器を用いてクロスオーバー周波数fcoを決定するものであった。
このため、熟練技術者によらず、自動的に、かつ、正確にクロスオーバー周波数fcoを決定する技術が求められている。
従って、本発明の目的は、自動的に、かつ、正確にクロスオーバー周波数fcoを決定することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明によれば、所定周波数fco以下の制御帯域の観測点におけるオーディオ信号が目標信号と一致するように適応イコライザ制御するオーディオ装置の制御帯域決定方法において、前記周波数f co 以上の非制御帯域のオーディオ信号を出力する被制御音源から観測点までの伝達特性を求め、該伝達特性より隣接する2つの周波数におけるゲインの差分を示す差分特性および隣接する2つの周波数における位相角の2階差分を示す差分特性をそれぞれ演算し、前記ゲインの差分が設定値以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該ゲインの差分が設定値以上とならない最小の周波数を求め、前記位相角の2階差分が設定値以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該位相角の2階差分が設定値以上とならない最小の周波数を求め、これら求めた2つの周波数のうち高い方の周波数に基づいて前記周波数f co を決定することにより達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
(a)本発明の原理
非制御音源10(図11または図12参照)からマイクロホン(観測点)4までの伝達特性を求め、該伝達特性より図1に示すように周波数特性FR、位相特性PRを求める。▲1▼周波数特性FR上でレベルが落ちている帯域、▲2▼上下に大きく振れている帯域、もしくは▲3▼位相特性PR上で直線位相LP(点線)から大きくずれている帯域(群遅延特性上で上下に大きく振れている帯域)が、制御する周波数帯域(制御帯域)FCBである。従って、制御帯域の上限周波数をクロスオーバー周波数fcoとして設定する。ただし、制御に用いる音源(制御音源)はサブウーファー等の低域専用ユニットであり、しかも、高い周波数帯域まで制御すると音像が制御音源側に引っ張られるため、クロスオーバー周波数fcoは250Hz程度が上限である。
以上より、まず非制御音源から観測点までの伝達特性を測定する。次に、該伝達特性を用いて周波数特性FRの差分と位相特性PRの差分(位相角θの2階差分)を求める。位相角θの差分は群遅延時間特性であるので、位相角θの2階差分は群遅延時間特性の差分である。
【0014】
各特性の差分は、図2に示すようにある周波数とその1つ右隣りの周波数での差ΔPi(i=1、2、3、・・・)を次々に求めていく事により得られる。図3のDFRは隣接周波数( 隣接する 2 つの周波数 ) におけるゲインの差分特性(周波数特性FRの差分特性)、DGRは隣接周波数の位相角の2階差分特性(群遅延時間特性GRの差分特性)である。差分は関数(周波数特性FR、群遅延時間特性GR)の傾きの大きさを表すものであり、この値の絶対値が小さい程(0に近い程)、周波数特性FR、群遅延時間特性GRは平坦である。従って、差分値の絶対値がある大きさ(設定値VF,VG)を下回るような周波数帯域を平坦な帯域(非制御帯域)FLAとし、設定値以上の大きさをとる周波数帯域を制御帯域CLAとする。すなわち、クロスオーバー周波数fcoは平坦な帯域FLAの下限周波数、あるいは制御帯域の上限周波数である。
【0015】
周波数特性FR、群遅延時間特性GR両方でクロスオーバー周波数fco1, fco2が求られるので、その内の周波数が高い方を選択する(図3参照)。ただし、クロスオーバ周波数fcoの上限周波数は250Hzであり、上限周波数以下でクロスオーバー周波数を求めることができない場合は上限周波数250Hzをクロスオーバー周波数とする。又、周波数特性FR、群遅延時間特性GRの一方の特性よりクロスオーバー周波数を決定することもできる。
【0016】
(b)適応イコライザ制御機能を備えたオーディオ装置
図4は本発明を適用できる適応イコライザ制御機能を備えたオーディオ装置の構成図であり、リアのLチャンネル/Rチャンネルスピーカを制御音源、フロントのLチャンネル/Rチャンネルスピーカを被制御音源とするものである。
20はオーディオソースであり、Lチャンネル及びRチャンネルのオーディオ信号SL,SRを出力する。21〜24はクロスオーバー周波数fco以下の制御帯域の音楽信号を通過するローパスフィルタ(LPF)、25はLチャンネル側の第1の観測点における目標信号d(n)Lを出力する目標応答設定部、26はRチャンネル側の第2の観測点における目標信号d(n)Rを出力する目標応答設定部である。目標応答設定部25は、第1、第2のFIR型フィルタ25a,25bと合成部25cで構成されている。第1のFIR型フィルタ25aはローパスフィルタ21を通過して入力されたLチャンネルのオーディオ信号SL′に伝達特性H11を畳み込んで出力し、第2のFIR型フィルタ25bはローパスフィルタ22を通過して入力されたRチャンネルのオーディオ信号SR′に伝達特性H12を畳み込んで出力し、合成部25cは第1、第2のFIR型フィルタ出力を合成してLチャンネル側の目標信号d(n)Lを出力する。
【0017】
目標応答設定部26は、第1、第2のFIR型フィルタ26a,26bと合成部26cで構成されている。第1のFIR型フィルタ26aはローパスフィルタ22を通過して入力されたRチャンネルのオーディオ信号SR′に伝達特性H22を畳み込んで出力し、第2のFIR型フィルタ26bはローパスフィルタ21を通過して入力されたLチャンネルのオーディオ信号SL′に伝達特性H21を畳み込んで出力し、合成部26cは第1、第2のFIR型フィルタ出力を合成してRチャンネル側の第2の目標信号d(n)Rを出力する。
【0018】
31、32はLチャンネル及びRチャンネルの制御用スピーカ(リアスピーカ)、33,34はLチャンネル及びRチャンネル非制御用スピーカ(フロントスピーカ)、35〜38はアンプ、39はLチャンネル側の第1観測点の音楽信号d^(n)Lを検出、出力するマイク、40はRチャンネル側の第2観測点の音楽信号d^(n)Rを検出、出力するマイクである。尚、リアレフトスピーカ31から各観測点迄の伝達特性はC11、C21、リアライトスピーカ32から各観測点までの伝達特性はC12,C22である。
41はLチャンネル側の目標信号d(n)LとLチャンネル側の第1観測点の音楽信号d^(n)Lの差を演算し、エラー信号e1(n)として出力する演算部、42はRチャンネル側の目標信号d(n)RとRチャンネル側の第2観測点の音楽信号d^(n)Rの差を演算し、エラー信号e2(n)として出力する演算部である。
【0019】
43,44,45,46はLチャンネル側の第1観測点におけるエラー信号e1(n)のパワーとRチャンネル側の第2観測点におけるエラー信号e2(n)のパワーの和が最小となるように適応信号処理する適応信号処理装置、47、48は合成部である。
【0020】
Lチャンネルの第1の適応信号処理装置43は、ローパスフィルタ23を通過したLチャンネルのオーディオ信号SL′(=x1(n))と第1、第2観測点におけるエラー信号e1(n),e2(n)を用いて適応信号処理を行い、第2の適応信号処理装置44は、ローパスフィルタ24を通過したRチャンネルのオーディオ信号SR′(=x2(n))と第1、第2観測点におけるエラー信号e1(n),e2(n)を用いて適応信号処理を行い、合成部47は第1、第2の適応信号処理装置43,44の適応フィルタ出力を合成してLチャンネルの制御用スピーカ31に入力する。 Rチャンネルの第1の適応信号処理装置46は、ローパスフィルタ24を通過したRチャンネルのオーディオ信号SR′(=x2(n))と第1、第2観測点におけるエラー信号e1(n),e2(n)を用いて適応信号処理を行い、第2の適応信号処理装置45は、ローパスフィルタ23を通過したLチャンネルのオーディオ信号SL′(=x1(n))と第1、第2観測点におけるエラー信号e1(n),e2(n)を用いて適応信号処理を行い、合成部48は第1、第2の適応信号処理装置45,46の適応フィルタ出力を合成してRチャンネルの制御用スピーカ32に入力する。
【0021】
適応信号処理装置43〜46はそれぞれ、1サンプリング時刻Ts後の時刻における適応フィルタ(ADF)Aijの係数w0(n+1),w1(n+1),w2(n+1)・・・wN−1(n+1)を、現時刻における係数w0(n),w1(n),w2(n)・・・wN−1(n)とエラー信号e1(n),e2(n)とフィルタードX信号Rijを用いて次式(係数更新式)により決定する。
【0022】
【数1】
【0023】
ただし、
である。
49、50は非制御帯域のオーディオ信号を通過するハイパスフィルタ、51、52はオーディオ信号を所定時間遅延するディレイ回路である。
【0024】
(c)本発明のクロスオーバ周波数の決定
図5は本発明のクロスオーバ周波数決定装置の構成図であり、図4と同一部分には同一符号を付しており、21〜24はローパスフィルタ、49〜50はハイパスフィルタ、31〜32は制御用のリアスピーカ、33〜34はフロントスピーカ、39、40はマイクロホンである。
また、60はフロントスピーカから観測点までの伝達特性Gを測定する適応処理装置、70は伝達特性Gより周波数特性FR、位相特性PR(図1)を求めるFFT処理部、80は周波数特性FR、位相特性PRよりクロスオーバ周波数決定処理を行うコントローラ、90はクロスオーバ周波数fcoに応じたローパスフィルタ、ハイパスフィルタの係数を記憶するフィルタ定数記憶部である。
適応信号処理装置60において、61は適応信号処理部(LMS)、62は適応フィルタ(ADF)、63は全周波数帯域においてレベル一定のノイズnを出力するノイズ発生器、64は適応フィルタ出力と観測音(マイク出力)との差eを出力する演算部である。
【0025】
(d)クロスオーバ周波数決定処理
、図6は本発明のクロスオーバ周波数決定処理フローである。
適応信号処理装置60は、適応フィルタ出力と観測音との差eが零となるように適応信号処理により適応フィルタ62の係数を決定し、該係数をフロントスピーカから観測点までの伝達特性GとしてFFT処理部70に入力する(ステップ101)。
FFT処理部70はFFT処理により伝達特性Gの周波数特性FR、位相特性PR(図1)を算出してコントローラ80に入力する(ステップ102)。
コントローラ80は、入力された周波数特性FR、位相特性PRを用いて、隣接周波数のゲインの差分特性DFR(図3)及び隣接周波数の位相角の2階差分特性DGRをそれぞれ算出する(ステップ103,104)。
【0026】
ついで、コントローラ80は、高い周波数から低い周波数に向かって、最初に周波数特性の差分値DFRの絶対値が設定値VF以上になる周波数を探索し、その1つ上の周波数をクロスオーバ周波数fco1とする(ステップ105)。すなわち、クロスオーバ周波数f co 1 は、ゲインの差分が設定値V F 以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該ゲインの差分が設定値以上とならない最小の周波数である。
また、同様に、高い周波数から低い周波数に向かって、最初に群遅延時間特性の差分値DFRの絶対値が設定値VG以上になる周波数を探索し、その1つ上の周波数をクロスオーバ周波数fco2とする(ステップ106)。すなわち、クロスオーバ周波数f co 2 は、位相角の2階差分が設定値V G 以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該位相角の2階差分が設定値以上とならない最小の周波数である。
クロスオーバ周波数fco1,fco2が求まれば、周波数が高い方をクロスオーバ周波数fcoとして採用し(ステップ107)、該クロスオーバ周波数fcoをカットオフ周波数とするローパスフィルタ係数、ハイパスフィルタ係数をフィルタ定数記憶部90より求め、デジタルフィルタ構成のローパスフィルタ21〜24、ハイパスフィルタ49〜50に設定する(ステップ108)。
【0027】
(e)ハイパスフィルタの特性
ハイパスフィルタ49〜50の特性は次のようにして決定する。
周波数特性の差分DFRが大きい値をとるほど周波数特性FRの上下の振れが大きくなる。このため、差分が大きくなるほどハイパスフィルタの傾斜を急峻に設定する必要がある。すなわち、周波数特性の差分値DFRの最大値を求め、該最大値の大きさによってハイパスフィルタの次数を決定する。具体的には、図7に示すように差分値とフィルタ次数の対応
VF 〜VF1・・・1次のハイパスフィル
VF1〜VF2・・・2次のハイパスフィルタ
.......
を記憶しておき、該対応関係よりハイパスフィルタの次数を決定し、該次数のハイパスフィルタ係数を求めて設定する。
【0028】
図8はハイパスフィルタの周波数特性で、(a)は一次のハイパスフィルタ、(b)は二次のハイパスフィルタである。一次のハイパスフィルタは6dB/octの傾斜を有し、二次のハイパスフィルタは12dB/octの傾斜を有し、一次のハイパスフィルタの2倍になっている。
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明は請求の範囲に記載した本発明の主旨に従い種々の変形が可能であり、本発明はこれらを排除するものではない。
【0029】
【発明の効果】
以上本発明によれば、非制御帯域のオーディオ信号を出力する被制御音源から観測点までの伝達特性を求め、該伝達特性より隣接する2つの周波数におけるゲインの差分を示す差分特性および隣接する2つの周波数における位相角の2階差分を示す差分特性をそれぞれ演算し、前記ゲインの差分が設定値以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該ゲインの差分が設定値以上とならない最小の周波数を求め、前記位相角の2階差分が設定値以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該位相角の2階差分が設定値以上とならない最小の周波数を求め、これら求めた2つの周波数のうち高い方の周波数を制御帯域の上限周波数f co としたから、自動的に、かつ正確に制御帯域の上限周波数f co を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非制御音源からマイクロホンまでの伝達特性の一例である。
【図2】差分算出説明図である。
【図3】制御周波数帯域の決定法説明図である。
【図4】特定帯域をターゲットにした適応イコライザ機能を備えたオーディオ装置の構成図である。
【図5】クロスオーバ周波数決定装置の構成図である。
【図6】クロスオーバ周波数決定処理フローである。
【図7】ハイパスフィルタ次数決定法説明図である。
【図8】ハイパスフィルタの周波数特性である。
【図9】適応等化システム基本構成図である。
【図10】目標応答設定部に設定する特性の説明図である。
【図11】制御帯域のみターゲットにした適応イコライザである。
【図12】制御帯域のみターゲットにした適応イコライザの別の例である。
【符号の説明】
21〜24・・ローパスフィルタ
31〜32・・制御用のリアスピーカ
33〜34・・フロントスピーカ
39、40・・マイクロホン
49〜50・・ハイパスフィルタ
60・・伝達特性を測定する適応処理装置
70・・FFT処理部
80・・コントローラ
90・・フィルタ定数記憶部
Claims (1)
- 所定周波数fco以下の制御帯域の観測点におけるオーディオ信号が目標信号と一致するように適応イコライザ制御するオーディオ装置の制御帯域決定方法において、
前記周波数fco以上の非制御帯域のオーディオ信号を出力する被制御音源から観測点までの伝達特性を求め、
該伝達特性より隣接する2つの周波数におけるゲインの差分を示す差分特性および隣接する2つの周波数における位相角の2階差分を示す差分特性をそれぞれ演算し、
前記ゲインの差分が設定値以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該ゲインの差分が設定値以上とならない最小の周波数を求め、
前記位相角の2階差分が設定値以下の周波数であって、該周波数以上の周波数において該位相角の2階差分が設定値以上とならない最小の周波数を求め、
これら求めた2つの周波数のうち高い方の周波数に基づいて前記周波数f co を決定することを特徴とするオーディオ装置の制御帯域決定方法。
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