JP4176938B2 - 遅延時間設定方式 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のスピーカのそれぞれから異なる周波数のオーディオ音を出力するオーディオシステムにおける遅延時間設定方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオシステムに用いられるスピーカは、可聴帯域のオーディオ音を均一に出力できることが好ましいが、実際には1つのスピーカで全周波数帯域の音声を出力することは困難であり、通常は周波数特性が異なる2つあるいは3つのスピーカが組み合わされて使用される。例えば、2つのスピーカを用いた場合には、高域用のスピーカと低域用のスピーカが組み合わされる。
【0003】
ところで、これらの2つあるいは3つのスピーカのそれぞれからは、周波数帯域が異なるオーディオ信号に対応した音波が別々に放射されるが、聴取者が違和感なく音楽を聴取するためには、聴取点における音波の到達時間を一致させる必要がある。特に、車載用のオーディオシステムでは、スピーカを設置するスペースの確保が容易ではないため、周波数特性が異なる複数のスピーカを同一場所に設置することが困難な場合も多く、それぞれのスピーカを別々の場所に設置することがある。このような場合に、各スピーカから聴取点までの距離が異なると、各スピーカから放射された音波が聴取点に到達するまでの時間がずれてしまい、再生音にひずみが生じるため、各スピーカの前段に遅延器を挿入して各周波数成分の音波の到達時間を一致させる調整を行っていた。
【0004】
各周波数成分の音波の到達時間を一致させるための従来技術としては、特開平11−262081号公報に開示されている遅延時間設定方式が知られている。特開平11−262081号公報に開示された遅延時間設定方式では、音響空間内に設置された複数のスピーカに対して所定の遅延時間測定用信号を入力し、スピーカから放射される音波が、聴取位置に設置されたマイクロホンに到達するまでの平均的な遅延時間を測定し、この平均的な遅延時間が各スピーカ間でほぼ一致するようにして各スピーカの前段に挿入された遅延器の遅延時間を設定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特開平11−262081号公報に開示された従来の遅延時間設定方式によって設定される遅延時間は、必ずしも最適な値であるとはいえなかった。その理由を以下に具体的に説明する。図10は、従来の遅延時間設定方式における遅延時間の設定方法を説明する図である。図10(A)は、各スピーカから放射される音波の音圧レベルの周波数特性を示しており、図10(B)は、各スピーカから放射される音波の群遅延時間特性を示している。上述した従来の遅延時間設定方式によれば、図10(B)に示すように、高域用スピーカに対応する遅延時間の平均値と低域用スピーカに対応する遅延時間の平均値とが一致するようにそれぞれの遅延時間が設定される。したがって、図10(A)に示すように、高域用スピーカに対応する音圧レベル特性曲線と低域用スピーカに対応する音圧レベル特性曲線とが交差する位置P0 の周波数f0 に注目し、この周波数f0 における群遅延時間特性を見ると、低音用スピーカに対応する遅延時間t0 と高音用スピーカに対応する遅延時間t0′ とが一致せずに、この周波数f0 近傍の音波が低音用スピーカと高音用スピーカのそれぞれから放射されたときに、同じ周波数の音波でありながら聴取位置における到達タイミングがずれることになり、聴感上の違和感が生じ、音質の悪化を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、複数のスピーカが用いられている場合に、聴取位置における音質を向上させることができる遅延時間設定方式を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の遅延時間設定方式では、聴取位置に集音手段が設置されており、音響空間内に設置された複数のスピーカのそれぞれの前段に遅延時間が設定可能な複数の遅延手段が接続されている。また、測定用信号生成手段によって生成された所定の遅延時間測定用信号を帯域分割手段によって複数の周波数帯域に分割して複数のスピーカのそれぞれに入力し、この結果得られる複数の周波数の音波を切り替え手段により複数のスピーカのそれぞれから選択的に出力している。そして、集音手段から出力される複数の周波数帯域の信号を遅延時間算出・設定手段によって解析することにより、複数のスピーカのそれぞれから放射される音波に含まれる周波数の重複部分が集音手段に到達するタイミングをほぼ一致させるように上述した複数の遅延手段のそれぞれの遅延時間を設定している。複数のスピーカのそれぞれから放射される音波に含まれる周波数の重複部分が集音手段に到達するタイミングをほぼ一致させるように遅延手段の遅延時間が設定されるので、同じ周波数の音波でありながら聴取位置に到達するタイミングがずれることによって聴感上の違和感が生じることを防ぐことができ、聴取位置における音質を向上させることができる。
【0008】
また、上述した遅延時間算出・設定手段は、集音手段から出力される信号について、周波数毎の信号レベルを解析することにより、複数のスピーカから出力される音波のそれぞれに対応する信号レベルがほぼ一致する特定周波数を算出する特定周波数算出手段と、この特定周波数算出手段によって算出された特定周波数の信号成分について、測定用信号生成手段から遅延時間測定用信号が出力されてから複数のスピーカのそれぞれから対応する音波が放射されて集音手段に到達するまでの時間差を算出し、この時間差がなくなるように複数の遅延手段のそれぞれの遅延時間を設定する遅延時間設定手段とを備えていることが望ましい。複数のスピーカから出力される音波のそれぞれに対応する信号レベルがほぼ一致する特定周波数を算出し、この特定周波数の信号成分に着目して、複数のスピーカのそれぞれから対応する音波が放射されて集音手段に到達するまでの時間差がなくなるように遅延時間を設定しているので、複数のスピーカのそれぞれから放射される音波に含まれる周波数の重複部分が集音手段に到達するタイミングを確実に一致させることができる。
【0009】
また、遅延時間測定用信号としてタイムストレッチドパルスを用いるとともに、遅延時間算出・設定手段によって、集音手段の出力信号に、タイムストレッチドパルスを時間軸上で反転した信号を畳み込み演算し、この畳み込み演算結果に対してフーリエ変換処理を行うことにより、各周波数成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求めることが望ましい。このような畳み込み演算を行うことによりインパルス応答を求めることができ、このインパルス応答に基づいて各周波数成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求めることができる。また、タイムストレッチドパルスは、所定の時間幅を有し、周波数成分が時間軸上で分散された信号であり、突発的なノイズによる影響を受けにくい利点がある。また、タイムストレッチドパルスを用いることにより、スピーカの駆動力が分散されるため、過大なインパルスを用いて遅延時間を測定する場合のようにスピーカを破損するおそれもない。
【0010】
また、遅延時間測定用信号としてホワイトノイズ信号を用いるようにしてもよい。この場合には、遅延時間算出・設定手段は、測定用信号生成手段から出力される遅延時間測定用信号と集音手段の出力信号とが入力されて、これら2つの信号の誤差信号のパワーが最小となるように適応等化処理を行う適応フィルタを備え、この適応フィルタのフィルタ係数に対してフーリエ変換処理を行うことにより、各周波数成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求めることが望ましい。適応フィルタのフィルタ係数は、集音手段によって検出されるインパルス応答を再現しているため、このフィルタ係数に基づいて各周波数成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求めることができる。また、ホワイトノイズ信号には低域から高域までの周波数成分が含まれており、周波数特性が異なる数種類のスピーカを組み合わせて用いる場合に、それぞれのスピーカから遅延時間測定用信号に対応した音波を放射することができ、確実に遅延時間の算出を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の遅延時間設定方式を適用した一実施形態のオーディオシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明を適用した一実施形態のオーディオシステムの構成を示す図である。同図に示す車載用のオーディオシステムは、チューナやCDプレーヤ等のオーディオ装置100と、オーディオ装置100から出力されるオーディオ信号が入力される2つの遅延器10、14と、これらの遅延器の後段等に接続される3つのスイッチ20、24、26と、入力されるオーディオ信号の中から低域成分のみを通過させるローパスフィルタ(LPF)30と、高域成分のみを通過させるハイパスフィルタ(HPF)34と、周波数特性が異なる2つのスピーカ40、44と、オーディオ音の聴取位置に設定されたマイクロホン46と、遅延時間測定用の所定の信号を発生する遅延時間測定用音源50と、マイクロホン46の出力信号に基づいて、スピーカ40、44のそれぞれから出力された音波の遅延時間を算出するとともに遅延器10、14のそれぞれの遅延時間の設定を行う遅延時間算出・設定部52とを含んで構成されている。
【0013】
遅延器10、14は、それぞれの遅延時間が任意に設定可能であり、各遅延時間が遅延時間算出・設定部52によって設定される。遅延器10から出力されるオーディオ信号は、スイッチ20を介してローパスフィルタ30に入力され、その後段に接続された低音用のスピーカ40から低域成分の音波が車室内音響空間に放射される。同様に、遅延器14から出力されるオーディオ信号は、スイッチ24を介してハイパスフィルタ34に入力され、その後段に接続された高音用のスピーカ44から高域成分の音波が車室内音響空間に放射される。
【0014】
マイクロホン46は、スピーカ40、44のそれぞれから放射された音波を検出する。遅延時間算出・設定部52は、遅延時間測定用音源50から遅延時間測定用の所定の信号が出力され、この信号に対応する音波がマイクロホン46で検出されると、この検出信号に基づいて各遅延器10、14に遅延時間を設定する。遅延時間算出・設定部52による遅延時間の設定動作の詳細については後述する。
【0015】
上述したスピーカ40、44が複数のスピーカに、マイクロホン46が集音手段に、遅延器10、14が複数の遅延手段に、遅延時間測定用音源50が測定用信号生成手段に、スイッチ26が切り替え手段に、遅延時間算出・設定部52が遅延時間算出・設定手段にそれぞれ対応している。
【0016】
本実施形態のオーディオシステムはこのような構成を有しており、次に、遅延時間算出・設定部52が各遅延器10、14に遅延時間を設定する際の動作を説明する。
【0017】
まず、スイッチ20、24を切り替えて、各フィルタ30、34の接続状態を各遅延器10、14側から遅延時間測定用音源50側に変更する。そして、スイッチ26を切り替えて、遅延時間測定用音源50から出力される所定の信号がローパスフィルタ30に入力されるようにする。これらの各スイッチの切り替え動作は、遅延時間算出・設定部52あるいは図示しない制御部による切り替え指示に応じて行われる。
【0018】
このような各スイッチの接続状態において、遅延時間測定用音源50から遅延時間測定用の所定の信号が出力され、対応する音波がスピーカ40から車室内音響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52は、遅延時間測定用音源50から所定の信号が出力されて、マイクロホン46から対応する検出信号が出力されると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性(遅延時間の周波数特性)を求める。
【0019】
次に、スイッチ26が切り替えられ、遅延時間測定用音源50から出力される所定の信号がハイパスフィルタ34に入力される状態に変更される。この状態において、遅延時間測定用音源50から遅延時間測定用の所定の信号が出力され、対応する音波がスピーカ44から車室内音響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52は、遅延時間測定用音源50から所定の信号が出力されて、マイクロホン46から対応する検出信号が出力されると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性を求める。
【0020】
図2は、遅延時間算出・設定部52によって求められる音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性の一例を示す図である。図2(A)は、音圧レベルの周波数特性を示しており、特性曲線a1 がスピーカ40から放射された音波に対応して求められた音圧レベルの周波数特性を示し、特性曲線a2 がスピーカ44から放射された音波に対応して求められた音圧レベルの周波数特性を示している。また、図2(B)は、群遅延時間特性を示しており、特性曲線b1 がスピーカ40から放射された音波に対応して求められた群遅延時間特性を示し、特性曲線b2 がスピーカ44から放射された音波に対応して求められた群遅延時間特性を示している。
【0021】
図2に示すような音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性が求められると、遅延時間算出・設定部52は、各スピーカ40、44に対応する音圧レベルの周波数特性が交差する位置(特性曲線a1 および特性曲線a2 が交差する位置)P1 における周波数f1 を特定する。
【0022】
次に、遅延時間算出・設定部52は、各スピーカ40、44に対応して求められた群遅延時間特性において、上述した周波数f1 における遅延時間をそれぞれ求める。図2(B)に示すように、スピーカ40に対応する遅延時間t1 とスピーカ44に対応する遅延時間t1′ が求められると、遅延時間算出・設定部52は、遅延時間t1 とt1′ の大小関係とその差を調べ、この結果に基づいて各遅延器10、14に対して遅延時間を設定する。
【0023】
例えば、図2(B)に示すように、遅延時間の大小関係がt1 >t1′ である場合には、遅延時間算出・設定部52は、(t1 −t1′) を計算し、この値を遅延時間としてスピーカ44に対応した遅延器14に設定する。これにより、遅延時間(t1 −t1′) だけ遅延された音波がスピーカ44から放射されることとなるので、上述した周波数f1 において、各スピーカ40、44から放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0024】
また、図2に示した例とは逆に遅延時間の大小関係がt1 <t1′ である場合には、遅延時間算出・設定部52は、(t1′−t1)を計算し、この値を遅延時間としてスピーカ40に対応した遅延器10に設定する。これにより、遅延時間(t1′−t1)だけ遅延された音波がスピーカ40から放射されることとなるので、上述した周波数f1 において、各スピーカ40、44から放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0025】
また、各スピーカ40、44に対応する音圧レベルの周波数特性が交差する位置P1 を検出できない場合、すなわち、各特性曲線a1 およびa2 が交差しない場合には、遅延時間算出・設定部52は、上述した従来技術で説明した方法にしたがって、各スピーカ40、44のそれぞれについて平均的な遅延時間を求め、この平均的な遅延時間が各スピーカ40、44においてほぼ一致するように、スピーカ40の前段に挿入された遅延器10とスピーカ44の前段に挿入された遅延器14の各遅延時間を設定する。
【0026】
次に、上述した遅延時間算出・設定部52の詳細について、2つの具体的な構成例を説明する。
【0027】
遅延時間算出・設定部52の構成例1
図3は、タイムストレッチドパルス(時間引き延ばしパルス)を用いてインパルス応答を求めて遅延時間を算出する場合の遅延時間算出・設定部52の構成を示す図である。同図に示す遅延時間算出・設定部52は、アナログ−デジタル(A/D)変換器70、メモリ制御部72、メモリ74、平均化処理部76、畳み込み演算部78、FFT(高速フーリエ変換)演算部80、周波数特定部82、遅延時間設定部84を含んで構成されている。また、この遅延時間算出・設定部52と組み合わされる遅延時間測定用音源50からは、タイムストレッチドパルスが出力される。
【0028】
タイムストレッチドパルスは、その周波数特性H(k)が以下のように表される信号である。
【0029】
【数1】
Figure 0004176938
【0030】
ここで、mはタイムストレッチドパルス内で各周波数毎の位相をずらす度合いを示す係数であり、任意の整数値をとる。Nはタイムストレッチドパルスの発生時間を規定する係数である。また、kは0からN−1までの整数であり、aはmとNが決まれば(1)式に含まれる第3式によって定まる。例えば、m=0の場合にはa=0となるため、全てのkについてH(k)=exp(0)=1となって、各周波数成分が分散せずに集中したインパルスとなる。
【0031】
遅延時間測定用音源50から出力される実際のタイムストレッチドパルスは、上述した(1)式を逆フーリエ変換して得られる信号であり、その一例を図4に示す。図4に示すタイムストレッチドパルスは、N=256の場合であって、このNの値とmの値に応じた所定時間の間で各周波数成分が分散した信号となる。したがって、Nの値を大きく設定し、かつmの値も大きく設定することにより、長時間にわたって各周波数成分のエネルギーを分散させることができるため、ノイズの影響を受けにくくなるが、タイムストレッチドパルスの発生時間が長くなればなるほど遅延時間の測定に要する時間も長くなるため、発生時間があまり長くならない範囲で適切なNとmの値を設定する必要がある。
【0032】
A/D変換器70は、マイクロホン46の出力信号に対して、所定の時間間隔で標本化および量子化を行って、所定ビット数のデータを出力する。メモリ制御部72は、所定の時間間隔でA/D変換器70から出力されるデータを順次メモリ74に格納する。タイムストレッチドパルスが1回出力されると、このタイムストレッチドパルスに対する応答としてマイクロホン46から出力されるアナログ信号波形がA/D変換器70によってデジタル波形データ(以後、このデータを「タイムストレッチドパルス応答データ」と称する)に変換され、メモリ74の所定領域に格納される。メモリ74には、このような格納領域がL個分確保されており、遅延時間測定用音源50からL個のタイムストレッチドパルスが繰り返し出力されたときに、それぞれに対応するタイムストレッチドパルス応答データが上述したL個の格納領域のそれぞれに格納される。
【0033】
平均化処理部76は、メモリ74に格納されているL個のタイムストレッチドパルス応答データの平均化処理を行う。平均化されたタイムストレッチドパルス応答データをq(n)、i個目の応答データをqi (n)とすると、
【0034】
【数2】
Figure 0004176938
【0035】
となる。この(2)式にしたがって、L個のタイムストレッチドパルス応答データの平均化処理を行うことにより、突発的なノイズの影響を除去した応答データが得られる。
【0036】
畳み込み演算部78は、(2)式で計算された平均化したタイムストレッチドパルス応答データq(n)に、タイムストレッチドパルスp(n)を時間軸上で反転させたデータp(−n)を畳み込み演算する。図5は、タイムストレッチドパルスを時間軸上で反転させた信号を示す図であり、図4に示すN=256に対応するタイムストレッチドパルスを反転した波形が示されている。なお、実際に畳み込み演算部78で用いられるデータp(−n)は、図5に示した信号波形をデジタル波形データに変換したものであり、その標本化間隔はA/D変換器70における標本化間隔と同じである。
【0037】
畳み込み演算部78による畳み込み演算は、以下の式に基づいて行われる。
【0038】
【数3】
Figure 0004176938
【0039】
この(3)式にしたがって、タイムストレッチドパルス応答信号と、元のタイムストレッチドパルスを時間軸上で反転した信号とを畳み込み演算することによりインパルス応答が得られる。なお、畳み込み演算部78は、平均化処理部76から出力されるデータを順次ずらしていってそれぞれのN個のデータを用いて畳み込み演算を行い、複数の演算結果を出力する。
【0040】
FFT演算部80は、畳み込み演算部78から出力される演算結果に対して、周知のFFT(Fast Fourier Transform)演算を行い、上述した図2に示したような音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性を求める。音圧レベルの周波数特性の演算結果は、周波数特定部82に向けて出力され、群遅延時間特性の演算結果は、遅延時間設定部84に向けて出力される。
【0041】
周波数特定部82は、FFT演算部80から入力される音圧レベルの周波数特性の演算結果に基づいて、スピーカ40から放射された音波に対応した音圧レベル特性曲線(図2に示す特性曲線a1 )と、スピーカ44から放射された音波に対応した音圧レベル特性曲線(図2に示す特性曲線a2 )とが交わる位置P1 に対応する周波数f1 を特定する。
【0042】
遅延時間設定部84は、FFT演算部80から入力される群遅延時間特性と周波数特定部82によって特定された周波数f1 とに基づいて、上述した方法により各遅延器10、14の各遅延時間を設定する。
【0043】
上述した周波数特定部82が特定周波数算出手段に、遅延時間設定部84が遅延時間設定手段にそれぞれ対応している。
【0044】
遅延時間算出・設定部52の構成例2
図6は、適応フィルタを用いてインパルス応答を求めて遅延時間を算出する場合の遅延時間算出・設定部52の構成を示す図である。同図に示す遅延時間算出・設定部52は、FFT演算部80、周波数特定部82、遅延時間設定部84、適応フィルタ90、LSM(Least Mean Square )アルゴリズム処理部92、加算器94を含んで構成されている。このうち、FFT演算部80、周波数特定部82、遅延時間設定部84については、上述した図3に示したものと基本的に同じ動作を行っているため、ここでは詳細な説明を省略する。また、この遅延時間算出・設定部52と組み合わされる遅延時間測定用音源50からは、ホワイトノイズ(白色雑音)が出力される。
【0045】
適応フィルタ90は、FIR(Finite Impulse Response )型のデジタルフィルタ構成を有しており、LMSアルゴリズム処理部92によって設定されたフィルタ係数Wを用いて、遅延時間測定用音源50から入力されるホワイトノイズ信号に対して所定の適応処理を行う。
【0046】
ところで、LMSアルゴリズム処理部92は、加算器94によってマイクロホン46の出力信号から適応フィルタ90の出力信号を減算して求めた誤差信号eのパワーが最小となるように適応フィルタ90のフィルタ係数Wを制御する。したがって、マイクロホン46の出力信号と適応フィルタ90の出力信号とはほぼ同じものとなって、適応フィルタ90のフィルタ係数Wがマイクロホン46で検出するインパルス応答とほぼ同じ特性を有することになる。
【0047】
したがって、FFT演算部80により、適応フィルタ90のフィルタ係数Wに基づいて、FFT演算を行うことにより、上述した図2に示したような音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性が求められる。その後、周波数特定部82により、スピーカ40から放射された音波に対応した音圧レベル特性曲線(図2に示す特性曲線a1 )と、スピーカ44から放射された音波に対応した音圧レベル特性曲線(図2に示す特性曲線a2 )とが交わる位置P1 に対応する周波数f1 を特定し、FFT演算部80から入力される群遅延特性と周波数特定部82によって特定された周波数f1 とに基づいて、遅延時間設定部84により各遅延器10、14の各遅延時間を設定する。
【0048】
このように、本発明のオーディオシステムでは、スピーカ40、44のそれぞれに対応した音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性を求め、各音圧レベルの周波数特性が交差する位置P1 の周波数f1 を特定し、この周波数f1 において対応する遅延時間の大小関係およびその差を調べ、この結果に基づいてスピーカ40、44のそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングが一致するように各遅延器10、14の遅延時間を設定しているので、スピーカ40、44のそれぞれから放射される周波数f1 近傍の音波が聴取位置に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。したがって、聴感上の違和感が生じることを防ぐことができ、聴取位置における音質を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態においては、周波数特性が異なる2つのスピーカ40、44を組み合わせて用いた場合について説明を行っていたが、スピーカの数は2つに限定されるものではなく、3つあるいはそれ以上の数のスピーカを組み合わせるようにしてもよい。
【0050】
図7は、スピーカを3つ組み合わせた場合のオーディオシステムの構成を示す図である。同図に示すオーディオシステムは、チューナやCDプレーヤ等のオーディオ装置100と、オーディオ装置100から出力されるオーディオ信号が入力される3つの遅延器10、12、14と、これらの遅延器の後段等に接続される4つのスイッチ20、22、24、26aと、入力されるオーディオ信号の中から低域成分のみを通過させるローパスフィルタ(LPF)30と、中域成分のみを通過させるバンドパスフィルタ(BPF)32と、高域成分のみを通過させるハイパスフィルタ(LPF)34と、周波数特性が異なる3つのスピーカ40、42、44と、オーディオ音の聴取位置に設定されたマイクロホン46と、遅延時間測定用の所定の信号を発生する遅延時間測定用音源50と、マイクロホン46の出力信号に基づいて各スピーカ40等を介した音波の遅延時間の算出と各遅延器10等の遅延時間の設定を行う遅延時間算出・設定部52aとを含んで構成されている。
【0051】
図7に示すオーディオシステムは、上述した図1に示したオーディオシステムに対して、遅延器12、スイッチ22、バンドパスフィルタ32、スピーカ42のそれぞれを追加した点と、図1に示したスイッチ26を3通りの接続状態を選択的に切り替え可能なスイッチ26aに変更するとともに、2つの遅延器10、14のそれぞれの遅延時間の設定を行っていた遅延時間算出・設定部52を3つの遅延器10、12、14のそれぞれの遅延時間の設定を行う遅延時間算出・設定部52aに変更した点が異なっている。なお、遅延時間算出・設定部52aの詳細構成は、図3あるいは図6に示した構成をそのまま適用することができる。
【0052】
次に、図7に示すオーディオシステムにおいて、遅延時間算出・設定部52aが各遅延器10、12、14に遅延時間を設定する際の動作を説明する。まず、スイッチ20、22、24を切り替えて、各フィルタ30、32、34の接続状態を各遅延器10、12、14側から遅延時間測定用音源50側に変更する。そして、スイッチ26aを切り替えて、遅延時間測定用音源50から出力される信号がローパスフィルタ30に入力されるようにする。これらの各スイッチの切り替え動作は、遅延時間算出・設定部52aあるいは図示しない制御部による切り替え指示に応じて行われる。
【0053】
このような各スイッチの接続状態において、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力され、対応する音波がスピーカ40から車室内音響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52aは、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力されて、マイクロホン46から対応する検出信号が出力されると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性を求める。
【0054】
次に、スイッチ26aが切り替えられ、遅延時間測定用音源50から出力される信号がバンドパスフィルタ32に入力される状態に変更される。この状態において、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力され、対応する音波がスピーカ42から車室内音響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52aは、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力されて、マイクロホン46から対応する検出信号が出力されると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性を求める。
【0055】
同様に、スイッチ26aが切り替えられ、遅延時間測定用音源50から出力される信号がハイパスフィルタ34に入力される状態に変更される。この状態において、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力され、対応する音波がスピーカ44から車室内音響空間に放射される。遅延時間算出・設定部52は、遅延時間測定用音源50からホワイトノイズが出力されて、マイクロホン46から対応する検出信号が出力されると、この検出信号に基づいて音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性を求める。
【0056】
図8は、スピーカを3つ組み合わせた変形例の遅延時間算出・設定部52aによって求められる音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性の一例を示す図である。図8(A)は、音圧レベルの周波数特性を示しており、特性曲線a3 がスピーカ40から放射された音波に対応して求められた音圧レベルの周波数特性を示し、特性曲線a4 がスピーカ42から放射された音波に対応して求められた音圧レベルの周波数特性を示し、特性曲線a5 がスピーカ44から放射された音波に対応して求められた音圧レベルの周波数特性を示している。また、図8(B)は、群遅延時間特性を示しており、特性曲線b3 がスピーカ40から放射された音波に対応して求められた群遅延時間特性を示し、特性曲線b4 がスピーカ42から放射された音波に対応して求められた群遅延時間特性を示し、特性曲線b5 がスピーカ44から放射された音波に対応して求められた群遅延時間特性を示している。
【0057】
図8に示すような音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性が求められると、遅延時間算出・設定部52aは、スピーカ40、42のそれぞれに対応する音圧レベルの周波数特性が交差する(特性曲線a3 および特性曲線a4 が交差する)位置P2 における周波数f2 と、各スピーカ42、44に対応する音圧レベルの周波数特性が交差する(特性曲線a4 および特性曲線a5 が交差する)位置P3 における周波数f3 とを求める。
【0058】
次に、遅延時間算出・設定部52aは、スピーカ40、42、44のそれぞれに対応して求められた群遅延時間特性において、上述した周波数f2 、f3 における遅延時間をそれぞれ求める。具体的には、図8(B)に示すように、周波数f2 における遅延時間がそれぞれt2 、t2′ (遅延時間t2 がスピーカ40に、遅延時間t2′ がスピーカ42にそれぞれ対応する)と求められ、周波数f3 における遅延時間がそれぞれt3 、t3′ (遅延時間t3 がスピーカ42に、遅延時間t3′ がスピーカ44にそれぞれ対応する)と求められる。この場合に、遅延器10、12、14のそれぞれに設定する遅延時間は、上述した各遅延時間t2 、t2′ の大小関係およびt3 、t3′ の大小関係の組合せに応じて異なるので、以下に、場合分けをして説明する。
【0059】
図9は、それぞれの遅延時間の大小関係に応じて遅延器10、12、14に設定する遅延時間を求める方法について説明する図である。なお、図9では、説明を簡略化するために群遅延時間特性を示す特性曲線が簡略化して表されている。
【0060】
(1)t 2 >t 2 、t 3 >t 3 の場合
図9(A)に示すように、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2′ の差T0 (=t2 −t2′ ) を計算し、この差T0 を遅延時間として、スピーカ42および44のそれぞれに対応した遅延器12および14に設定する。これにより、遅延時間T0 だけ遅延された音波がスピーカ42および44から放射されることとなり、周波数f2 において、スピーカ40、42のそれぞれから放射された音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0061】
次に、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3 とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1 (=t3 −t3′) を計算し、このT1 を遅延時間としてスピーカ44に対応した遅延器14に設定する。ただし、上述したように、既に遅延器14には遅延時間として上述したT0 が設定されており、これを考慮する必要があるので、結局、遅延器14に設定される遅延時間は(T0 +T1 )となる。これにより、遅延時間(T0 +T1 )だけ遅延された音波がスピーカ44から放射されることとなり、周波数f3 において、スピーカ42、44のそれぞれか放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。この結果、2つの周波数f2 、f3 のそれぞれにおいて、3つのスピーカ40、42、44のそれぞれから放射された音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0062】
(2)t 2 >t 2 、t 3 <t 3 の場合
図9(B)に示すように、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2 ′の差T0 (=t2 −t2′ )を計算し、このT0 を遅延時間としてスピーカ42および44のそれぞれに対応した遅延器12および14に設定する。これにより、遅延時間T0 だけ遅延された音波がスピーカ42および44から放射されることとなり、周波数f2 において、スピーカ40、42のそれぞれから放射された音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0063】
次に、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3 とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1′(=t3′−t3 )を計算し、このT1′ を遅延時間として、スピーカ40および42のそれぞれに対応した遅延器10および12に設定する。ただし、上述したように、既に遅延器12には遅延時間としてT0 が設定されており、これを考慮する必要があるので、結局、遅延器12に設定される遅延時間は(T0 +T1′) となる。これにより、遅延時間T1′ だけ遅延された音波がスピーカ40から放射されることとなり、また、遅延時間(T0 +T1′) だけ遅延された音波がスピーカ42から放射されることとなり、周波数f3 において、スピーカ42、44のそれぞれから放射された音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。この結果、2つの周波数f2 、f3 のそれぞれにおいて、3つのスピーカ40、42、44にのそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0064】
(3)t 2 <t 2 、t 3 >t 3 の場合
図9(C)に示すように、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2′の差T0′ (=t2′ −t2 )を計算し、この差T0′ を遅延時間として、スピーカ40に対応した遅延器10に設定する。これにより、遅延時間T0′ だけ遅延された音波がスピーカ40から放射されることとなり、周波数f2 において、スピーカ40、42のそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0065】
次に、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3 とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1 (=t3 −t3′) を計算し、この差T1 を遅延時間として、スピーカ44に対応した遅延器14に設定する。これにより、遅延時間T1 だけ遅延された音波がスピーカ44から放射されることとなり、周波数f3 において、スピーカ42、44のそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。この結果、2つの周波数f2 、f3 のそれぞれにおいて、3つのスピーカ40、42、44のそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0066】
(4)t 2 <t 2 、t 3 <t 3 の場合
図9(D)に示すように、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f2 におけるスピーカ40に対応する遅延時間t2 とスピーカ42に対応する遅延時間t2′の差T0′ (=t2′ −t2 )を計算し、この差T0′ を遅延時間として、スピーカ40に対応した遅延器10に設定する。これにより、遅延時間T0′ だけ遅延された音波がスピーカ40から放射されることとなり、周波数f2 において、スピーカ40、42のそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0067】
次に、遅延時間算出・設定部52aは、周波数f3 におけるスピーカ42に対応する遅延時間t3 とスピーカ44に対応する遅延時間t3′ の差T1′(=t3′−t3 )を計算し、このT1′ を遅延時間として、スピーカ40および42のそれぞれに対応した遅延器10および12に設定する。ただし、上述したように、既に遅延器10には遅延時間としてT0′ が設定されており、これを考慮する必要があるので、結局、遅延器10に設定される遅延時間は(T0′+T1′)となる。この結果、遅延時間T1′ だけ遅延された音波がスピーカ42から放射されることとなり、また、遅延時間(T0′+T1′)だけ遅延された音波がスピーカ40から放射されることとなり、周波数f3 において、スピーカ42、44のそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。この結果、2つの周波数f2 、f3 のそれぞれにおいて、3つのスピーカ40、42、44のそれぞれから放射される音波がマイクロホン46に到達するタイミングをほぼ一致させることができる。
【0068】
このように、4種類の遅延時間t2 、t2′ 、t3 、t3′ のそれぞれの大小関係に応じて場合分けをすることにより、3つのスピーカ40、42、44を組み合わせた場合のオーディオシステムにおいても、遅延器10、12、14に対して適切な遅延時間を設定することができる。
【0069】
また、上述した実施形態における遅延時間算出・設定部52の構成例1では、各スピーカに対してタイムストレッチドパルス(図4参照)を入力し、マイクロホン46からの出力信号に対してタイムストレッチドパルスを時間軸上で反転させた信号(図5参照)を畳み込み演算することによりインパルス応答を得ていたが、タイムストレッチドパルスを用いずに、単にインパルスを入力することによりインパルス応答を得るようにしてもよい。この場合には、畳み込み演算部78を省略して構成を簡略化することができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、本発明の遅延時間設定方式を車載用のオーディオシステムに適用した場合について説明を行ったが、これに限定されるものではなく、屋内用あるいは屋外用のオーディオシステム等に適用することもできる。
【0071】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、複数のスピーカのそれぞれから放射される音波に含まれる周波数の重複部分が集音手段に到達するタイミングをほぼ一致させるように遅延手段の遅延時間が設定されるので、聴感上の違和感が生じるのを防止することができ、聴取位置における音質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のオーディオシステムの構成を示す図である。
【図2】遅延時間算出・設定部によって求められる音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性の一例を示す図である。
【図3】タイムストレッチドパルスを用いてインパルス応答を求めて遅延時間を算出する場合の遅延時間算出・設定部の構成を示す図である。
【図4】タイムストレッチドパルスの一例を示す図である。
【図5】タイムストレッチドパルスを時間軸上で反転させた信号を示す図である。
【図6】適応フィルタを用いてインパルス応答を求めて遅延時間を算出する場合の遅延時間算出・設定部の構成を示す図である。
【図7】スピーカを3つ組み合わせた場合のオーディオシステムの構成を示す図である。
【図8】スピーカを3つ組み合わせた変形例の遅延時間算出・設定部によって求められる音圧レベルの周波数特性および群遅延時間特性の一例を示す図である。
【図9】各遅延時間の大小関係に応じて各遅延器に設定する遅延時間を求める方法について説明する図である。
【図10】従来の遅延時間設定方式における遅延時間の設定方法を説明する図である。
【符号の説明】
10、12、14 遅延器
20、22、24、26、26a スイッチ
30 ローパスフィルタ(LPF)
32 バンドパスフィルタ(BPF)
34 ハイパスフィルタ(HPF)
40、42、44 スピーカ
46 マイクロホン
50 遅延時間測定用音源
52、52a 遅延時間算出・設定部

Claims (4)

  1. 音響空間内に設置された複数のスピーカと、
    前記音響空間内の聴取位置に設置された集音手段と、
    前記複数のスピーカのそれぞれの前段に接続され、それぞれの遅延時間が設定可能な複数の遅延手段と、
    入力信号を複数の周波数帯域に分割して前記複数のスピーカのそれぞれに入力する帯域分割手段と、
    所定の遅延時間測定用信号を生成する測定用信号生成手段と、
    前記測定用信号生成手段によって生成された前記遅延時間測定用信号を前記帯域分割手段に入力することにより得られる複数の周波数帯域の音波を、前記複数のスピーカのそれぞれから選択的に出力する切り替え手段と、
    前記遅延時間測定用信号に対応して前記集音手段から出力される複数の周波数帯域の信号を解析することにより、前記複数のスピーカのそれぞれから放射される音波に含まれる周波数の重複部分が前記集音手段に到達するタイミングをほぼ一致させるように前記複数の遅延手段のそれぞれの遅延時間を設定する遅延時間算出・設定手段と、
    を備え、前記遅延時間算出・設定手段は、周波数が隣接する2つの周波数帯域について音圧レベルが同じになる周波数を特定し、この周波数における遅延時間がこれら2つの周波数帯域において一致するようにこれら2つの周波数帯域のそれぞれに対応する前記遅延手段の遅延時間を設定することを特徴とする遅延時間設定方式。
  2. 請求項1において、
    前記遅延時間算出・設定手段は、
    前記集音手段から出力される信号について、周波数毎の信号レベルを解析することにより、前記複数のスピーカから出力される音波のそれぞれに対応する前記信号レベルがほぼ一致する特定周波数を算出する特定周波数算出手段と、
    前記特定周波数算出手段によって算出された前記特定周波数の信号成分について、前記測定用信号生成手段から前記遅延時間測定用信号が出力されてから前記複数のスピーカのそれぞれから対応する音波が放射されて前記集音手段に到達するまでの時間差を算出し、この時間差がなくなるように前記複数の遅延手段のそれぞれの遅延時間を設定する遅延時間設定手段と、
    を備えることを特徴とする遅延時間設定方式。
  3. 請求項1において、
    前記測定用信号生成手段によって生成される前記遅延時間測定用信号はタイムストレッチドパルスであり、
    前記遅延時間算出・設定手段は、前記集音手段の出力信号に、前記タイムストレッチドパルスを時間軸上で反転した信号を畳み込み演算し、この畳み込み演算結果に対してフーリエ変換処理を行うことにより、各周波数成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求めることを特徴とする遅延時間設定方式。
  4. 請求項1において、
    前記測定用信号生成手段によって生成される前記遅延時間測定用信号はホワイトノイズ信号であり、
    前記遅延時間算出・設定手段は、前記測定用信号生成手段から出力される前記遅延時間測定用信号と前記集音手段の出力信号とが入力されて、これら2つの信号の誤差信号のパワーが最小となるように適応等化処理を行う適応フィルタを有しており、この適応フィルタのフィルタ係数に対してフーリエ変換処理を行うことにより、各周波数成分に対応する信号レベル特性と群遅延時間特性を求めることを特徴とする遅延時間設定方式。
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