JP2007232662A - 傾斜角測定センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定するための第1のセンサ部と、角速度成分を測定するための第2のセンサ部と、演算処理部と、を備えた傾斜角測定センサにおいて、下記(1)〜(5)のデータ処理を行なう。(1)被測定物における加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定する第1のデータ処理、(2)加速度成分(Gx,Gy,Gz)からノイズを除去する第2のデータ処理、(3)ノイズを除去した加速度成分(Gx,Gy,Gz)から所定方向の加速度成分(G0)を算出する第3のデータ処理、(4)加速度成分(G0)と、重力加速度の絶対値が実質的に等しいことを検証する第4のデータ処理、(5)加速度成分(G0)を基準として、第2のセンサ部において測定される被測定物の角速度成分から、被測定物の傾斜角を算出する第5のデータ処理。
【選択図】図1
Description
より具体的には、図11に示すように、互いの検出軸が直角になるように加速度センサ102a〜102cと、角速度センサ103a〜103cを同一基板上に実装した3枚のセンサ基板111a〜111cのそれぞれについて、定盤上で外部試験装置による所定の試験を行い、加速度センサの検出軸に対する角速度センサの検出軸の傾きを求めて、角速度センサの出力補正量を求める構成の慣性センサユニット100である。
また、車両の横転、転覆を車両のロール方向の挙動に基づいて正確に検出する車両傾斜角測検出装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
より具体的には、図12に示すように、車両202のロール方向の静的な傾斜角度φは、第1の加速度センサ204及び第2の加速度センサ205により検出され、車両202のロール方向の動的な傾斜角度θは、角速度センサ207の出力を積分することにより検出する構成である。そして、静的な傾斜角度φと、動的な傾斜角度Θとの加算値が、現実に車両202が傾斜している傾斜角度とし、その値をもとにエアバッグ等を動作させる構成である。
さらに、車両に加速度センサと、角速度センサと、重力方向検出センサとを設け、車両の静止時に重力加速度を測定するとともに、車両の走行中に、角速度センサにより測定した加速度の値から傾斜角を、重力加速度をもとに補正する構成の駆動力補助装置が知られている(特許文献3参照)。
したがって、仮に被測定物が非慣性運動をしていたとすると、運動加速度が計測系に付加されるために、正確な重力方向を検出できなかった。
また、回転運動のみを検出する角速度センサ(ジャイロセンサ)を用いて、角速度を積分して傾斜角を検出する方法も考案されている。しかしながら、安価な角速度センサには、通常、出力オフセットがあるため、これを積分するとオフセット誤差が累積されて角度誤差も大きくなるという問題が見られた。したがって、回転運動のみを検出する角速度センサでは、非慣性運動を行う被測定物における傾斜角を、正確に計測することができないという問題があった。
さらに、非慣性運動を行う被測定物における傾斜角を、将来的に予想することについても困難であった。
また、所定の補正を行うことにより、非慣性運動を行う被測定物の将来的な傾斜角や転倒予想ができることを見出したものである。
すなわち、本発明は、非慣性運動中であっても、被測定物の傾斜角を正確に検出することができるとともに、将来的な傾斜角や転倒予想ができる簡易構成の傾斜角センサを提供することを目的としたものである。
(1)被測定物における加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定する第1のデータ処理。
(2)演算処理部において、加速度成分(Gx,Gy,Gz)からノイズ、例えば、高周波ノイズやノイズ的な運動成分を除去する第2のデータ処理。
(3)演算処理部において、ノイズ除去した加速度成分(Gx,Gy,Gz)から所定方向の加速度成分(G0)を算出する第3のデータ処理。
(4)加速度成分(G0)と、重力加速度の絶対値が実質的に等しいことを検証する第4のデータ処理。
(5)加速度成分(G0)を基準として、第2のセンサ部において測定される被測定物の角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を算出する第5のデータ処理。
すなわち、非慣性運動中であっても、ノイズとして、例えば、高周波ノイズやノイズ的な運動成分を除去することにより、被測定物の傾斜角を正確に検出することができるとともに、近未来の将来的な被測定物の傾斜角や転倒予想ができる簡易構成の傾斜角センサを提供することができる。
このように構成することにより、非慣性運動に関する運動加速度を効率的に除去することができる。したがって、三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)から、重力方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)を正確かつ短時間に定めることができる。
このように構成することにより、非慣性運動に関する高周波ノイズやノイズ的運動成分を効率的に除去することができる。したがって、角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を精度良く測定することができる。
このように構成することにより、フィルタ処理を行なうことなく、非慣性運動に関する高周波ノイズや動的ノイズを効率的に除去することができる。したがって、角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を精度良く測定することができる。
(運動方程式中、dωx/dt及びdωy/dtは、それぞれ被測定物の角速度成分(ωx,ωy)を時間微分して得た角加速度であり、tは時間変数である。)
このように構成することにより、近未来の被測定物の傾斜角(Θx,Θy)を精度良く推定することができ、それを利用して、被測定物の将来的な転倒等を有効に防止することができる。
このように構成することにより、これら被測定物が非慣性運動中であっても、その傾斜角(Θx,Θy)を推定することができる。また、本発明の傾斜角測定センサは、小型化や軽量化が可能であるため、これら被測定物への取り付けもまた、容易となる。
本発明の第1の実施形態によれば、図1にその回路図を示すように、基準面に対する非慣性運動中の被測定物の傾斜角を測定するための傾斜角測定センサであって、被測定物における三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定するための第1のセンサ部と、一軸〜三軸の測定軸を有し、被測定物の角速度成分を測定するための第2のセンサ部と、演算処理部と、を備えた傾斜角測定センサにおいて、下記(1)〜(5)のデータ処理を行なうことを特徴とする傾斜角測定センサである。
(1)被測定物における加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定する第1のデータ処理。
(2)演算処理部において、加速度成分(Gx,Gy,Gz)からノイズを除去する第2のデータ処理。
(3)演算処理部において、ノイズ除去した加速度成分(Gx,Gy,Gz)から所定方向の加速度成分(G0)を算出する第3のデータ処理。
(4)加速度成分(G0)と、重力加速度の絶対値が実質的に等しいことを検証する第4のデータ処理。
(5)加速度成分(G0)を基準として、第2のセンサ部において測定される被測定物の角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を算出する第5のデータ処理。
(1)被測定物における加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定する第1のデータ処理
第1のデータ処理は、第1のセンサ部によって、被測定物における三次元方向の加速度をモニタするとともに、当該三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)をフィルタ処理しながら、重力方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値を定めることを意味する。したがって、三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)から、所定方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値を正確に定めることができる。
また、このように構成することにより、簡易構成の第1のセンサ部を提供することができ、結果として、傾斜角測定センサの小型化や軽量化を効率的に図ることができる。
この第2のデータ処理を行なうのは、例えば、10kHz以上の高周波ノイズや、周波数が10kHz以上のノイズ的な運動成分を除去することにより、被測定物の傾斜角を正確に検出するためである。
ここで、図2は、第1のセンサ部により検出された加速度Gの時間変化を示す特性図である。
かかる特性図から理解できるように、検出された加速度Gは、DC成分とAC成分とからなる領域(A)と、DC成分を主とする領域(B)と、に大別することができる。すなわち、検出信号が領域(A)に属する信号であれば、フィルタリング処理することで、高周波ノイズやノイズ的運動成分を除去して、合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)を得ることができる。また、検出信号が領域(B)に属する信号であれば、フィルタリング処理することなく、合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)を得ることができる。
より具体的には、被測定物における三次元方向の動的加速度成分(Gx´,Gy´,Gz´)を測定するための第3のセンサ部を設け、当該第3のセンサ部により測定された動的加速度成分(Gx´,Gy´,Gz´)と、加速度成分(Gx,Gy,Gz)との差を算出することによって、加速度成分(Gx,Gy,Gz)からノイズを除去することができる。
すなわち、このように構成することにより、フィルタ処理を行なうことなく、非慣性運動に関する高周波ノイズや動的ノイズを効率的に除去することができる。したがって、LPフィルタを用いることなく、あるいはLPフィルタの補助として、角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を精度良く測定することができる。
この理由は、このように構成することにより、非慣性運動に関する運動加速度を効率的に除去することができるためである。したがって、三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)から、所定方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)を正確かつ短時間に定めることができる。
第3のデータ処理によれば、合成成分としてのベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値(以下、|G0|と省略することがある。)を算出し、かかるベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の大きさと、重力加速度Ge(=9.8m/sec2)とを比較することになる。
したがって、かかるベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値である|G0|が、重力加速度の値と略等しい場合は、このベクトルが鉛直方向を示すと判断して、かかるベクトルG0(G0x,G0y,G0z)を使用し、第4のデータ処理及び第5のデータ処理において、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を算出することになる。
以下、算出した|G0|が重力加速度と等しい場合、|G0|がそれよりも大きい場合、及び|G0|がそれよりも小さい場合に分けて、第4のデータ処理を説明する。
次いで、第3のデータ処理における比較の結果、合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値である|G0|が、重力加速度の値に略等しい場合は、このベクトルが鉛直方向を示すと判断して、かかる|G0|を使用して、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を第4のデータ処理及び第5のデータ処理において、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を算出することになる。すなわち、|G0|が重力加速度の大きさGe(=9.8m/sec2)と一致している場合、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を左右前後の傾斜角とすることができる
一方、第3のデータ処理における比較の結果、重力方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値である|G0|が、重力加速度より大きい場合には、第2のセンサ部によって測定される角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、被測定物が等角速度運動状態であることを確認する。
すなわち、上述した(1)の状態から、重力とは異なる加速度を受けて、|G0|が重力加速度よりも大きくなった場合には、被測定物の等加速運動か、回転運動による遠心力によって引き起こされたものと解釈することができる。
そこで、まず、角速度成分ω(ωx,ωy,ωz)を参照して、回転運動による遠心力を補正することが好ましい。
より具体的には、被測定物の回転運動は複数の回転の合成であり、回転成分毎に回転半径を割り出すべきであるが、ひとつの回転軸(回転径も1つ)から発生する単純な回転の場合は、合成角速度ベクトルω(ωx,ωy,ωz)の廻りに、下式(1)を満足するような角速度で回転しているとして、遠心力を補正すれば良い。
例えば、車両においてXを前後、Yを左右、Zを上下方向になるようにジャイロセンサを取り付けた場合、ωx、ωy、ωzをロール(横揺れ)、ピッチ(前後揺れ)、ヨー(蛇行・スピン)のように独立の運動としてとらえることは可能である。
したがって、被測定物としての自動車が大きく傾いていない路面で長いカーブに差し掛かっている時、変化していないω成分(直流成分)は、(0,0,ωz)のように検出される。すなわち、ωzの回転による遠心力は、XY平面上のベクトルになり、また遠心力は車の横方向(y方向)に働くので、補正はG0yのみで良いことになる。よって、この自動車の場合、加速度の時間積分または別のスピードセンサから車の走行スピード(ν)がわかると回転による遠心加速度Gcyは、Gcy=ν・ωzで求められることになる。
すなわち、下式(3)及び式(4)に示すように、補正係数k(k<1)を導入して、重力加速度の大きさGe(=9.8m/sec2)と一致するように補正すればよい。
そこで、誤った補正をするリスクを避けるため、むしろΘ1x、Θ1yを用いたキャリブレーションを行わないことが好ましいことになる。そして、Θ1x、Θ1yとΘ2x、Θ2yが異なる場合は、Θ2x、Θ2yを優先して採用し、これを左右前後の傾斜角とすることが好ましい。
さらに、第3のデータ処理における比較の結果、|G0|が重力加速度Ge(=9.8m/sec2)より小さくなった場合には、(1)の状態から、重力と同じ方向の加速度を受けて、|G0|が重力加速度Ge(=9.8m/sec2)より小さくなった場合には、被測定物が落下、または高速エレベータなどで重力方向(上下)に大きな加速度を受け続けた場合と判断し、落下信号を出力することができる。
したがって、重力方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値が、重力加速度より小さい場合には、第2のセンサ部によって測定される被測定物の角速度成分(ωx,ωy)を時間積分して得た角速度(Θ2x,Θ2y)を、第5のデータ処理において、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)とする。
そして、重力方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)の絶対値が、重力加速度と一致する場合、下式(1)より被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を算出することになる。
すなわち、重力方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)が、重力加速度と一致する場合、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)をsin-1(G0y/G0)及び−sin-1(G0x/G0)として算出する。
この理由は、周波数が10kHz以上のノイズをLPフィルタ処理することにより、第2のセンサ部によって測定される被測定物の角速度成分(ωx,ωy)について時間積分して得た角度(Θ2x,Θ2y)を、精度良く傾斜角とすることができるためである。すなわち、このようにLPフィルタ処理することにより、非慣性運動に関する高周波のノイズを効率的に除去することができるためである。したがって、角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、被測定物の傾斜角(Θ2x,Θ2y)を精度良く測定することができる。
次いで、LPフィルタ処理した角速度(ωx,ωy)について時間微分して、角加速度(dωx/dt,dωy/dt)を算出する。
この理由は、一定条件下、このように算出した角加速度(dωx/dt,dωy/dt)は、被測定物に与えられた回転トルクに比例する物理量であり、この値によって、今後、回転速度及び傾斜角が急激に大きくなって転倒に至るか否かを予測し判別することができるためである。
この理由は、このように補正係数kの概念を導入することにより、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を精度良くかつ迅速に測定することができるためである。したがって、それを利用して、被測定物の将来的な転倒等を有効に防止することができる。
従って、このような誤差積分を除いた状態のデータをもとに、第2のセンサ部によって測定される被測定物の角速度成分(ωx,ωy)について時間積分して得た被測定物の傾斜角(Θ2x,Θ2y)に対して、積分常数の補正を実行することが好ましい。
実際には、式(7)で計測した被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)が一定時間、例えば、0.01〜10秒間安定している場合には、下式(9)に準じて、初期化(キャリブレーション)することによって、簡易的に補正することができる。
Θ2x=Θ0x、Θ2y=Θ0y (9)
したがって、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)の校正だけでなく、角速度のオフセット校正も可能である。ただし、角速度の補正は一度に行うと発振現象を誘発するので、徐々に行うことが好ましい。
なお、初期化直前での差分|Θ2x−Θ0x|/T及び|Θ2y−Θ0y|/Tが、大きすぎる場合、例えば、これらの値が1°/sec以上となる場合には、センサ出力が異常と判断してエラー処理を行うことが好ましい。
すなわち、傾斜や転倒の原因は不明であっても、計測時の回転モーメントは、角速度ωの微分(dω/dt)によって推測することができる。すなわち、近未来の傾斜角Θx、Θyを、以下の運動方程式(10)から算出することができる。
但し、路面が左右に傾斜した急カーブを高速走行するジェットコースタなどの場合のように、物体の転倒が重力方向に左右されず、支持方向と荷重方向の相対角で転倒角を議論しなければならない場合は、傾斜角Θ2x、Θ2yの代わりに、加速度を基準にしたΘ0x、Θ0yを用いて第6式を適用すべきである。なぜなら、転倒を議論する基準が重力方向ではなく、物体の荷重方向(例えばZ方向)に変わり、カーブで受ける遠心力を含んだ物体に作用する全合成力の作用方向(加速度ベクトル)との角度が転倒の如何を決定するからである。
すなわち、上式(11)の第1項が主であるゆっくりした傾斜変化の場合、例えば、定盤やトラックの荷台の傾斜検出に用いる場合には、第2項及び第3項を無視して、近似的に第1項のみを用いることができる。
上式(11)の第2項、または第3項が主であるような傾斜変化が急激に発生しうる場合、例えば、設置物が突風を受けて転倒したり、人が癲癇などで病的に転倒したりするときの傾斜検出に用いる場合には、第1項を無視して、近似的に第2項及び第3項のみを用いることができる。
本発明の第2の実施形態として、基準面に対する非慣性運動中の被測定物の傾斜角を測定するためフローチャートを図4及び図5に示す。
まず、非慣性運動中の被測定物の加速度及び角速度について、定期的センサ読み込み処理を行う。
したがって、ステップS1において、第1のセンサ部により、加速度センサからの信号(Gx,Gy,Gz)をA/D変換しながら入力する。
また、ステップS1において、第2のセンサ部により、角速度センサからの信号(ωx,ωy,ωz)をA/D変換しながら入力する。
また、ステップS2において、第2のセンサ部からの角速度成分(ωx,ωy)について時間積分を行い、(Θx,Θy)を算出する。
さらに、ステップS2において、第2のセンサ部からの角速度成分(ωx,ωy)について時間微分して、dωx/dt及びdωy/dtを算出する。
次いで、ステップS4を経たステップS5において、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)が、Θx、Θyと異なると判断された場合、より具体的には、|Θx−Θ0x|/Tあるいは|Θy−Θ0y|/Tが1°/sec以上となる場合には、エラー処理したり、キャリブレーションのために、Θ2x及びΘ2yをそれぞれΘ0x及びΘ0yによって置き換えたりすることになる。
一方、ステップS5において、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)において、例えば、|Θx−Θ0x|/Tあるいは|Θy−Θ0y|/Tが0.5°/sec以下と小さく、Θx、Θyと一致すると判断された場合、次のS6のステップに進むことになる。
最後に、ステップS6において、被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)が、Θx、Θyと一致すると判断された場合、Θx、Θyが、それぞれ被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)と判断される。
すなわち、ステップS10において、被測定物の速度が既知か否かを判断し、既知であれば、ステップS11に進み、遠心力補正及び回転半径の算出を行なう。
次いで、ステップS12に進み、補正されて|G0|が重力加速度の大きさGe(=9.8m/sec2)と一致した場合には、図4に示すフローチャートのステップS4に進むことになる。
一方、被測定物の速度が既知でない場合には、ステップS10´に進んで、遠心力・回転半径の推定を行った後、ステップS11に進み、別の遠心力補正及び回転半径の算出を行なう。
そして、ステップS12に進み、補正されて|G0|が重力加速度の大きさGe(=9.8m/sec2)と一致した場合には、図4に示すフローチャートのステップS4に進むことになる。
したがって、本発明のフローチャートによれば、静加速度(重力場などの直流成分)も検出できる3軸加速度センサと、低域フィルタリング処理によって、被測定物が非等速・非直線運動をしている間も、被測定物が受ける加速度ベクトルを、重力成分と運動成分に分離してモニタすることが可能となった。
一方、本発明のフローチャートによれば、被測定物に複雑な運動が加わった場合でも、角速度の積分を補完的に用いることによって、如何なる運動をしている場合も安定した重力方向と、傾斜角を計測することができるようになった。
本発明の第3の実施形態として、傾斜角測定センサの基本的構成を、図6〜図10を参照しながら、説明する。
基準面に対する非慣性運動中の被測定物の傾斜角を測定するための傾斜角測定センサであって、被測定物における三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定するための第1のセンサ部と、二軸以上の測定軸を有し、被測定物の角速度成分(ωx,ωy,ωz)を測定するための第2のセンサ部と、を備えていることを特徴としている。
そして、フィルタ処理を組合せることにより、重力方向成分と、水平方向の加速度成分に精度良く分離し、重力方向成分を正確に特定し、それをもとにして、被測定物の傾斜角を精度算出することができる。
なお、このような基本構成に傾斜角測定センサは、二輪車両、四輪車両、車椅子、シニアカー、電動カート、及び列車等に容易に取り付けることができる。
したがって、これら被測定物が非慣性運動中であっても、その傾斜角(Θx,Θy)をさらに推定することができる。
また、図6及び図7に示すように、第1のセンサ部10が、内部に埋込SiO2層を有するとともに平面形状が矩形状である質量体3と、この質量体3と枠部2とを四箇所で連結するビーム部5〜8と、このビーム部5〜8の所定箇所に複数設けてある抵抗素子9と、からなるピエゾ抵抗型の三次元加速度センサであることが好ましい。
また、図示した構造以外でも、ピエゾ抵抗型や静電容量型に代表されるような、重力などの静加速度を検出できる三軸加速度センサであれば、本発明の第1のセンサ部に適用することができる。
このように構成することにより、かかる第1のセンサ部によって、被測定物における三次元方向の加速度をモニタするとともに、当該三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)をフィルタ処理しながら、所定方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)を定めることができる。したがって、三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)から、重力方向成分の合成ベクトルG0(G0x,G0y,G0z)を正確に定めることができる。
また、このように構成することにより、簡易構成の第1のセンサ部を提供することができ、結果として、傾斜角測定センサの小型化や軽量化を効率的に図ることができる。
また、図8及び図9に示すように、第2のセンサ部20が、錘14が設けてある振動子12に、圧電素子11がさらに積層してあり、角速度が変化した場合に発生するコリオリ力を検知する構成であることが好ましい。
このように構成することにより、第2のセンサ部20によってモニタした角速度成分(ωx,ωy,ωz)をフィルタ処理して、被測定物が等角速度運動状態に近似できるように効果的に補正することができる。また、このように構成することにより、簡易構成の第2のセンサ部を提供することができ、結果として、傾斜角測定センサの小型化や軽量化を効率的に図ることができる。
静加速度(重力などの直流成分)も検出できる三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定するための第1のセンサ部(3軸加速度センサ機能)によって、常時加速度をベクトルとして監視することによって、重力場の方向(g)を水平方向(H)(前後、左右)の加速、減速、遠心力、と分離して、モニタすることが可能となる。もちろん、急速に変化するノイズに対しては、フィルタ処理することによって除去することができ、図10(a)に示すように、基準軸(S)とセンサ検出値(D)との傾斜角(θ1)を、安定して検出することができる。
しかしながら、フィルタ処理を行なうと、時間的な検出遅れを生じることになる。そのため、これを補完すべく、図10(b)に示すように、前後、左右の回転速度を検出する二軸以上の測定軸を有し、被測定物の角速度成分(ωx,ωy,ωz)を測定するための第2のセンサ部(ジャイロセンサ機能)を用いる。
かかる第2のセンサ部は、正確な回転速度、つまり傾斜角(θ2)の変化(R)を検出するので、現在の傾斜角(θ2)がより大きくなる方向(L)に向かって回転しているか、傾斜を復元するように動いていることになる。したがって、被測定物の傾斜角(θ2)はもちろんのこと、転倒状態にあるか否かまで、判断することが可能となる。
また、物体に複雑な運動が加わった場合でも、角速度の積分を補完的に用いることによって、如何なる運動をしている場合も安定した重力方向と、傾斜角を計測することができるようになった。
したがって、従来、定式化されていなかった、運動中の正確な傾斜角、および傾斜角の増減予測によって、精度の高い転倒検出、または転倒予測が可能となった。
よって、低速から高速にいたるまで地上を走行する移動物体(車両、鉄道車両、ロボット等)の移動走行制御に使用することが期待できる。
Claims (6)
- 基準面に対する被測定物の傾斜角を測定するための傾斜角測定センサであって、前記被測定物における三次元方向の加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定するための第1のセンサ部と、一軸〜三軸の測定軸を有し、前記被測定物の角速度成分を測定するための第2のセンサ部と、演算処理部と、を備えた傾斜角測定センサにおいて、下記(1)〜(5)のデータ処理を行なうことを特徴とする傾斜角測定センサ。
(1)前記被測定物における加速度成分(Gx,Gy,Gz)を測定する第1のデータ処理。
(2)前記演算処理部において、前記加速度成分(Gx,Gy,Gz)からノイズを除去する第2のデータ処理。
(3)前記演算処理部において、ノイズを除去した加速度成分(Gx,Gy,Gz)から所定方向の加速度成分(G0)を算出する第3のデータ処理。
(4)前記加速度成分(G0)と、重力加速度の絶対値が実質的に等しいことを検証する第4のデータ処理。
(5)前記加速度成分(G0)を基準として、前記第2のセンサ部において測定される被測定物の角速度成分(ωx,ωy,ωz)から、前記被測定物の傾斜角(Θ0x,Θ0y)を算出する第5のデータ処理。 - 前記第1のデータ処理において、被測定物が停止または慣性運動をしていると判断された場合には、前記第2のデータ処理を省略して、第3〜第5のデータ処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の傾斜角測定センサ。
- 前記第2のデータ処理において、フィルタ処理または移動平均算出処理をして、前記ノイズを除去することを特徴とする請求項1または2に記載の傾斜角測定センサ。
- 被測定物における三次元方向の動的加速度成分(Gx´,Gy´,Gz´)を測定するための第3のセンサ部を設けてあり、当該第3のセンサ部により測定された動的加速度成分(Gx´,Gy´,Gz´)と、前記加速度成分(Gx,Gy,Gz)との差を算出することによって、前記加速度成分(Gx,Gy,Gz)からノイズを除去することを特徴とする請求項1または2に記載の傾斜角測定センサ。
- 前記被測定物が、二輪車両、四輪車両、車椅子、シニアカー、電動カート、及び列車の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の傾斜角測定センサ。
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