JP2007232406A - ガス検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温環境下で使用された場合でもセンサ容器の内部で成長した氷により燃焼体が冷却されることで感度が低下するのを防止できるガス検出装置を提供する。
【解決手段】水素ガスセンサ1は、表面に付着した可燃性ガス(例えば水素ガス)を触媒作用により燃焼させる燃焼体としての機能と、燃焼体の表面で可燃性ガスが燃焼していない状態で、通電によるジュール熱により燃焼体を80℃以上且つ450℃以下の温度に加熱する発熱体としての機能と、燃焼体の表面で可燃性ガスが接触燃焼すると、燃焼熱による温度上昇に応じて抵抗値が変化する検出抵抗体としての機能を有する発熱抵抗体2を備える。センサ容器4はベース5とキャップ8とで構成され、外気を導入するガス導入口10を有し、リード端子3a,3bを含む他の電気部品に発熱抵抗体2を近接させない状態で、発熱抵抗体2を内部に収納している。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素ガスなどの可燃性ガスを検出するガス検出装置に関するものである。
従来より、ビーズ状の多孔質燃焼体に白金やパラジウムなどの触媒を分散させ、触媒を用いて水素ガスを燃焼させた時に発生する反応熱を検出することで、水素ガスを検出するようにした接触燃焼式の水素ガスセンサを備えるガス検出装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、近年、石油に代わるエネルギー源として水素が注目されており、燃料電池を搭載した自動車の開発が進められている。このような燃料電池車では、燃料電池や水素タンクからの水素漏洩を検出するために水素ガスセンサを設置する必要があり、水素ガスセンサとして接触燃焼式のガスセンサを用いることが検討されている。
このような水素ガスセンサは、水素ガスを導入するガス導入口が形成されたセンサ容器の内部に、水素ガスを燃焼させる燃焼体と、通電により発熱して燃焼体を加熱する発熱部と、燃焼熱による温度上昇から水素ガスを検出する検出部とを収納しているのであるが、ガス検出時には水素ガスを燃焼させるため、センサ容器の内部に水蒸気が発生することになる。センサ容器には水素ガスを導入するためのガス導入口が設けられているものの、被毒ガスを吸着するための活性炭フィルタをガス導入口に設けたり、防爆構造や防滴構造のセンサ容器を採用した水素ガスセンサでは、通気抵抗が大きくなってセンサ容器内部の水蒸気が外部に逃げにくくなるから、水素濃度が0.5〜2%程度になると、接触燃焼によりセンサ容器の内部に多量の水蒸気が発生し、容器内部に水蒸気がこもって、高湿度になっていた。
特開平10−90210号公報
しかしながら、上述のような接触燃焼式の水素ガスセンサを自動車に搭載して使用する場合、寒冷地では−40℃程度の低温環境下で水素ガスセンサが使用される可能性がある。また接触燃焼式のガスセンサでは燃焼体で水素ガスを接触燃焼させるために、発熱部に通電して発熱させることで、燃焼体を加熱しているのであるが、消費電力を低減するために発熱部の発熱量を低減したいという要求がある。また発熱部の発熱量を大きくして、燃焼体を高温に加熱した場合は、燃焼体に担持した触媒がシリコーンガスにより被毒されやすくなり、触媒能の被毒を抑制するために発熱部の発熱量を低減することが望まれている。このような低温駆動の水素ガスセンサを0℃以下の環境下に曝した場合、センサ容器の内部にある金属部品(例えばリード端子など)の温度も0℃以下に下がるため、このような金属部品にセンサ容器の内部に籠もった水蒸気が付着すると氷結することになる。そして、0℃以下の環境が継続すると、金属部品に付着した氷が成長して燃焼体に接近し、ついには燃焼体に氷が接触して冷却される可能性があり、燃焼体の冷却により感度が急激に低下する可能性があった。
本発明は、上記問題点を解決するために為されたものであって、低温環境下で使用された場合でもセンサ容器の内部で成長した氷により燃焼体が冷却されることで感度が低下するのを防止できるガス検出装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面に付着した可燃性ガスを触媒作用により燃焼させる燃焼体と、燃焼体の表面で可燃性ガスが燃焼していない状態で、通電によるジュール熱により燃焼体を80℃以上且つ450℃以下の温度に加熱する発熱体と、燃焼体の表面で可燃性ガスが接触燃焼すると、燃焼熱による温度上昇に応じて抵抗値が変化する検出抵抗体と、外部回路を発熱体および検出抵抗体に電気的に接続するリード端子と、外気を内部に導入するガス導入口を具備して燃焼体と発熱体と検出抵抗体とを内部に収納するセンサ容器とを備え、当該センサ容器は、リード端子を含む他の金属部品に燃焼体と発熱体と検出抵抗体とを近接させない状態で燃焼体と発熱体と検出抵抗体とを収納することを特徴とする。ここに、他の金属部品に燃焼体と発熱体と検出抵抗体とを近接させない状態とは、低温環境下において他の金属部品に氷が付着した場合でも、他の金属部品に付着した氷と、燃焼体、発熱体および検出抵抗体との間に空隙が存在する程度の距離に両者を離間して配置することを言う。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、リード端子の表面に断熱層を形成したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、検出抵抗体の平均温度が200℃以上且つ450℃以下となるように予め設定された一定電圧を発熱体に印加する定電圧駆動回路を備えることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、検出抵抗体の平均温度が300℃以上且つ450℃以下の所定温度となるように、発熱体に印加する電圧を制御する定温駆動回路を備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、センサ容器の内部において、リード端子を含む他の金属部品に近接させない状態で燃焼体と発熱体と検出抵抗体とを収納してあるので、低温環境下で使用する場合に、接触燃焼により発生した水蒸気がセンサ容器内の他の金属部品に接触して氷結したとしても、金属部品に付着した氷が燃焼体や発熱体や検出抵抗体に接触することはなく、燃焼体や発熱体や検出抵抗体が冷却されて感度が低下するのを防止することができる。
請求項2の発明によれば、リード端子の表面に形成した断熱層により、リード端子の表面に接触した水蒸気が氷結するのを抑制することができる。
請求項3の発明によれば、定電圧駆動回路により、検出抵抗体の平均温度が200℃以上且つ450℃以下となるように予め設定された一定電圧を発熱体に印加することも好ましい。定電圧駆動回路により印加される一定電圧は、検出抵抗体の平均温度が200℃以上且つ450℃以下となるような電圧値に設定されているので、検出抵抗体の熱がリード端子に伝導して、リード端子を加温するため、リード端子に氷が付着しにくくできる。また、シリコーンガスが存在する雰囲気中で、検出抵抗体を450℃を超える高温に加熱すると、シリコーンガスによる被毒が発生するが、検出抵抗体の平均温度が200℃以上且つ450℃以下となるような一定電圧を発熱体に印加すれば、シリコーンガスによる被毒を抑制することができる。
また請求項4の発明によれば、定温駆動回路により、検出抵抗体の平均温度が300℃以上且つ450℃以下の所定温度となるように、発熱体に印加する電圧を制御することも好ましい。シリコーンガスの存在下で使用する場合にはシリコーンガスによる被毒を抑制するために、検出抵抗体の温度を450℃以下に制限することが好ましいが、検出抵抗体の熱によりリード端子を暖めるためには、発熱体の発熱温度をできるだけ高くすることが望ましい。ここで、シリコーンガスによる被毒を抑制可能な温度範囲であって、できるだけ高い温度で検出抵抗体を使用した場合に、可燃性ガスの接触燃焼による燃焼熱で検出抵抗体の温度が上昇すると、シリコーンガスによる被毒が起こりやすくなるが、定温駆動回路により、検出抵抗体の平均温度が300℃以上且つ450℃以下の所定温度となるよう、発熱体に印加する電圧を制御しているので、検出抵抗体の熱によりリード端子を加温して、リード端子に氷が付着するのを防止することができ、且つ、接触燃焼による燃焼熱が発生したとしても、検出抵抗体の温度が450℃以上に上昇して、シリコーンガスにより被毒されやすくなるのを防止できる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1について添付図面を参照して説明する。尚、以下の説明では特に断りがない限り、図1に示す向きにおいて上下左右の方向を規定する。
図1は本実施形態のガス検出装置に用いるガスセンサ1の断面図、図2は外観斜視図であり、このガスセンサ1は、発熱抵抗体2と、リード端子3a,3bと、ベース5および保護キャップ8からなるセンサ容器4とを備える。
発熱抵抗体2は、表面に付着した可燃性ガス(本実施形態では例えば水素ガス)を触媒作用により燃焼させる燃焼体と、燃焼体の表面で可燃性ガスが燃焼していない状態(つまり、接触燃焼による温度上昇が無い状態)で、通電によるジュール熱により燃焼体を80℃以上且つ450℃以下の温度に加熱する発熱体と、燃焼体の表面で可燃性ガスが接触燃焼すると、燃焼熱による温度上昇に応じて抵抗値が変化する検出抵抗体の全ての機能を備えている。
発熱抵抗体2は線径が例えば約10〜50μmの白金線をコイル状に巻回して形成され、その両端が左右両側のリード端子3a,3bに電気的且つ機械的に接続されている。なおコイル径を約100〜500μm、線間を約20μmとして5〜15ターン巻回している。この発熱抵抗体2のコイル部分には、アルミナやシリカの微粉末をアルミナゾル、シリカゾルをバインダーとして塗布、焼成することによりビーズ形状の無機多孔質断熱体25を形成してある。また無機多孔質断熱体25の表面を覆うようにして、活性炭、白金を担持させた活性炭或いは白金よりなるシリコーントラップ層26が形成されている。なお本実施形態では断熱体25を介してシリコーントラップ層26を形成しているが、断熱体25を無くし、発熱抵抗体2のコイル部分に直接シリコーントラップ層26を形成するようにしても良い。
而してシリコーントラップ層26でシリコーンを吸着することによりシリコーン被毒を抑制することができ、またシリコーントラップ層26と発熱抵抗体2の間には断熱体25が介在するので、発熱抵抗体2の発熱でシリコーントラップ層26が劣化するのを防止するとともに、接触燃焼が発生する程度の温度までシリコーントラップ層26で加熱されることはなく、シリコーントラップ層26を通過して発熱抵抗体2の表面で可燃性ガス(水素ガス)の接触燃焼が発生するようになっている。なお本実施形態では発熱抵抗体2が燃焼体と発熱体と検出抵抗体の全ての機能を備えているが、白金などの貴金属触媒をビーズ形状の無機多孔質体に担持させて形成された燃焼体(図示せず)の内部に、コイル状に形成された発熱抵抗体2を埋設して、発熱抵抗体2には発熱体および検出抵抗体としての機能のみを持たせるようにしても良く、さらに燃焼体の表面に無機多孔質断熱層を介してシリコーントラップ層を形成すれば、シリコーンによる被毒を抑制することもできる。
ベース5は合成樹脂により円盤状に形成されている。2本のリード端子3a,3bはベース5を上下方向に貫通するようにベース5にインサート成形されており、各リード端子3a,3bにおいてべース5の上面から突出する部位に発熱抵抗体2の両端部2a,2bが溶接などの方法で固着されている。
保護キャップ8は下面側の端部が開口した略円筒状であって、開口部から発熱抵抗体2を内部に納めるようにしてベース5が圧入固定されている。保護キャップ8の天井面には丸孔状の通気孔6が中央に貫設され、通気孔6には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網7が装着されている。なお保護キャップ8は金属製のものでも、樹脂製のものでも良い。
ここで、本実施形態のガスセンサ1では、リード端子3a,3bを含む他の金属部品に発熱抵抗体2(本実施形態では発熱抵抗体2のコイル部分に断熱体25を介して形成されたシリコーントラップ層26の表面)を近接させない状態で発熱抵抗体2をセンサ容器4の内部に収納してある。ここに、他の金属部品に発熱抵抗体2(シリコーントラップ層26)を近接させない状態とは、低温環境下において他の金属部品に氷が付着した場合でも、他の金属部品に付着した氷と、発熱抵抗体2(シリコーントラップ層26の表面)との間に空隙が存在する程度の距離に両者を離間して配置することを言い、低温環境下で使用する場合に、接触燃焼により発生した水蒸気がセンサ容器4内の他の金属部品に接触して氷結したとしても、金属部品に付着した氷がシリコーントラップ層26の表面に接触することはない。シリコーントラップ層26の表面に氷が接触すると、シリコーントラップ層26が冷却される。シリコーントラップ層26と発熱抵抗体2との間には断熱体25が介在し、断熱体25により熱伝導が抑制されるのであるが、シリコーントラップ層26が氷によって冷却されると、それに応じて発熱抵抗体2の温度も低下するため、感度の低下が低下する虞があるが、本実施形態では他の金属部品を発熱抵抗体2に近接させない状態で配置しているため、他の金属部品2に付着した氷により発熱抵抗体2が冷却され、感度が低下するのを防止することができる。なお発熱抵抗体2に熱的に結合された金属部品(例えばリード端子3a,3b)の場合は発熱抵抗体2(シリコーントラップ層26の表面)から0.5mm以上、好ましくは1mm以上離して配置すれば良く、発熱抵抗体2に熱的に結合されていない金属部品(例えば金網7)の場合は発熱抵抗体2(シリコーントラップ層26の表面)から2mm以上、好ましくは5mm以上離して配置すれば良い。
図5は上述のガスセンサ1を用いたガス検出装置Aの回路図であり、ガスセンサ1と、このガスセンサ1と同一の構造を有し、シリコーンなどの被毒物質により発熱抵抗体2を被毒することによって可燃性ガス(水素ガス)に対する活性を失活させたリファレンス抵抗20と、固定抵抗14及び可変抵抗RV4の直列回路と、固定抵抗16とでブリッジ回路Bを構成している。また、基準電圧IC15、抵抗R21,R22、可変抵抗RV3、コンデンサC1などからなる定電圧回路17と、オペアンプOP4およびトランジスタTR3などからなる駆動回路18と、オペアンプOP5を用いた差動増幅回路19とを備えており、定電圧回路17では基準電圧IC15により基準電圧を生成し、可変抵抗RV3の抵抗値を調整することでブリッジ回路Bに印加する電圧を調整する。駆動回路18はオペアンプOP4の出力をトランジスタTR3で増幅することにより、ガスセンサ1およびリファレンス抵抗20に一定のヒータ駆動電圧を供給する。そして、差動増幅回路19では、ガスセンサ1およびリファレンス抵抗20の接続点の電圧と、可変抵抗RV4および固定抵抗16の接続点の電圧との差電圧を増幅して出力しており、可燃性ガスの接触燃焼によりガスセンサ1の抵抗値が変化すると、ガスセンサ1およびリファレンス抵抗20の接続点の電圧が変化するので、この電圧変化を増幅して出力することができる。なおリファレンス抵抗20は、可燃性ガスに対する活性を失活させているので、可燃性ガスの存在下でもリファレンス抵抗20の表面で可燃性ガスが燃焼することはなく、燃焼による水蒸気の発生は無く、氷結も生じない。
ここに、本回路では定電圧回路17と駆動回路18とで、発熱抵抗体2に予め設定された一定電圧を印加する定電圧駆動回路が構成されており、可変抵抗RV3の抵抗値を調整することによって、ブリッジ回路Bに印加する電圧、すなわち発熱抵抗体2に印加する電圧が調整される。なお接触燃焼により発熱抵抗体2の抵抗値が変化すると、発熱抵抗体2に印加される電圧は変化するが、定電圧駆動回路から供給される電圧は一定電圧に設定されている。すなわち本実施形態では可変抵抗RV3を調整することで、発熱抵抗体2の平均温度が200℃以上且つ450℃以下となるように予め設定された一定電圧を発熱抵抗体2とリファレンス抵抗20とに印加してある。発熱抵抗体2の熱はリード端子3a,3bに伝導して、リード端子3a,3bが加温されるから、リード端子3a,3bでの氷結を抑制するためには発熱抵抗体2の平均温度を200℃以上、好ましくは350℃以上に設定する。また、シリコーンガスが存在する雰囲気中で、450℃を超える高温に発熱抵抗体2を加熱すると、発熱抵抗体2がシリコーンガスにより被毒されやすくなるので、発熱抵抗体2の平均温度は450℃以下、望ましくは400℃以下に設定している。而して、定電圧駆動回路(定電圧回路17および駆動回路18からなる)により発熱抵抗体2の平均温度が200℃以上且つ450℃以下となるような一定電圧を発熱抵抗体2に印加しており、シリコーンガスによる発熱抵抗体2の被毒を抑制することができる。
ところで本実施形態のガスセンサ1において、雰囲気中のシリコーンによる被毒をさらに低減するため、図3及び図4に示すように、保護キャップ8の上側にフィルタ12を保持したフィルタキャップ9を被せても良い。
フィルタキャップ9は合成樹脂製であって、上面側の端部が閉塞された略円筒状に形成されている。フィルタキャップ9の上面には丸孔状のガス導入口10が貫設されており、このガス導入口10には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網11が装着されている。またフィルタキャップ9の筒内には、ガス導入口10を通って内部に侵入するガス中の被毒物質を吸着するフィルタ12が装着されている。このフィルタ12は、活性炭、シリカゲル、又はゼオライトのような吸着性多孔質体、或いは、有機または無機の多孔質体に化学物質捕捉性液体成分を含浸させた吸着剤からなり、ガス中の被毒物質(例えばシリコンなど)を吸着することで発熱抵抗体2の被毒を抑制し、感度の劣化を低減している。なお上記の化学物質捕捉液体成分としては、例えば酸化性ガスを取り除くために担持されるKOHやアンモニア、アミン等を取り除くために担持される燐酸等があり、特定の被毒物質を吸着するために適宜の成分の液体を有機無機多孔質体に含浸させて使用すれば良い。
(実施形態2)
本実施形態のガス検出装置の回路図を図6に示す。本実施形態のガス検出装置では、第1の実施形態で説明したガスセンサ1と共に、このガスセンサ1と同一の構造を有し、シリコーンなどの被毒物質により発熱抵抗体2を被毒することによって可燃性ガス(水素ガス)に対する活性を失活させたリファレンス抵抗20を用い、ガスセンサ1およびリファレンス抵抗20は外乱となる温度や風の影響を等しく受けるように配置してある。尚、ガスセンサ1の構成は実施形態1で説明したのと同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ガス検出装置は、ガスセンサ1の定温駆動回路21と、リファレンス抵抗20の定温駆動回路22と、抵抗R7〜R10およびオペアンプOP3からなる差動増幅回路23とで構成される。
定温駆動回路21は、後述するトランジスタTR1のエミッタと直流電源のマイナス極(回路のグランド)との間に接続された抵抗R1、可変抵抗RV1および抵抗R2の直列回路と、この直列回路の両端間に接続された抵抗R3およびガスセンサ1の直列回路と、可変抵抗RV1および抵抗R2の接続点の電圧が非反転入力端子に入力されると共に、抵抗R3およびガスセンサ1の接続点の電圧が反転入力端子に入力されるオペアンプOP1と、オペアンプOP1の出力端に抵抗R11を介してベースが接続されるとともに、ベース・エミッタ間に抵抗R12が接続されたNPN形のトランジスタTR1とで構成され、トランジスタTR1のコレクタを直流電源のプラス極に接続してある。
この定温駆動回路21では、オペアンプOP1の出力を負帰還しているので、オペアンプOP1の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧と略同じ電圧になる。したがって、可変抵抗RV1の抵抗値を変化させると、抵抗R3およびガスセンサ1の接続点の電圧が変化し、発熱抵抗体2による発熱量を調整することができる。ここで、本回路では水素ガスが雰囲気中に存在しない状態、つまりガスセンサ1の発熱抵抗体2で接触燃焼が発生していない状態で、発熱抵抗体2の両端電圧が、発熱抵抗体2の発熱温度を所定の目標温度とした場合の両端電圧Vs0に一致するように、可変抵抗RV1の抵抗値を調整している(この場合のガスセンサ1の抵抗値をrs0とする)。この時、オペアンプOP1の動作により、ガスセンサ1の抵抗値rsは次式に従うように変化する。但し、r1,r2,r3はそれぞれ抵抗R1,R2,R3の抵抗値、rv1は可変抵抗RV1の抵抗値である。
(r1+rv1):r2=r3:rs …(1)
また定温駆動回路22は、後述するトランジスタTR2のエミッタと直流電源のマイナス極(回路のグランド)との間に接続された抵抗R4、可変抵抗RV2および抵抗R5の直列回路と、この直列回路の両端間に接続された抵抗R6およびリファレンス抵抗20の直列回路と、可変抵抗RV2および抵抗R5の接続点の電圧が非反転入力端子に入力されると共に、抵抗R6およびリファレンス抵抗20の接続点の電圧が反転入力端子に入力されるオペアンプOP2と、オペアンプOP2の出力端に抵抗R13を介してベースが接続されるとともに、ベース・エミッタ間に抵抗R14が接続されたNPN形のトランジスタTR2とで構成され、トランジスタTR2のコレクタを直流電源のプラス極に接続してある。
定温駆動回路22においても、定温駆動回路21と同様、オペアンプOP2の出力を負帰還しているので、オペアンプOP2の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧と略同じ電圧になる。したがって、可変抵抗RV2の抵抗値を変化させると、抵抗R6およびリファレンス抵抗20の接続点の電圧が変化し、発熱抵抗体2による発熱量を調整することができる。ここで、発熱抵抗体2の両端電圧が、発熱抵抗体2の発熱温度を所定の目標温度とした場合の両端電圧Vr0に一致するように、可変抵抗RV2の抵抗値を調整している(この場合のリファレンス抵抗20の抵抗値をrr0とする)。この時、オペアンプOP2の動作により、リファレンス抵抗20の抵抗値rrは次式に従うように変化する。但し、r4,r5,r6はそれぞれ抵抗R4,R5,R6の抵抗値、rv2は可変抵抗RV2の抵抗値である。
(r4+rv2):r5=r6:rr …(2)
次にガスセンサ1の定温駆動回路21による定温動作について以下に説明する。雰囲気温度や風、或いは、可燃性ガスの存在による接触燃焼によって、ガスセンサ1の抵抗値がrs0からrsに変化した場合、オペアンプOP1とトランジスタTR1によって負帰還がかかっているため、ガスセンサ1の抵抗値rsが初期設定値rs0に一致するように、トランジスタTR1の出力電圧Vout1が変化し、それによってガスセンサ1に流れる電流Isが変化する。例えば水素ガスの存在によりガスセンサ1の抵抗値rsが増加すると、トランジスタTR1の出力電圧Vout1が低下し、回路に流れる電流により発熱抵抗体2が発生するジュール熱と、水素の接触燃焼による燃焼熱との和が、水素が存在しない雰囲気下で(すなわちセンサ電流がIs0、センサ抵抗がrs0の時に)発熱抵抗体2が発生するジュール熱に一致するように変化して平衡する。ここで、可燃性ガスが存在しない雰囲気中のセンサ消費電力をW0、水素の燃焼熱電力換算値をW(H2)、発熱抵抗体2の両端電圧をVs、トランジスタTR1の出力電圧をVout1とすると、以下の関係式が成立する。
W0−W(H2)=(Is)×rs …(3)
式(3)より、
Figure 2007232406
となり、水素濃度をC、燃焼熱や消費電力を濃度に変換する場合に用いる定数をKとすると、水素濃度Cは次式で表される。
Figure 2007232406
またリファレンス抵抗20の定温駆動回路22においても、雰囲気温度や風などによるリファレンス抵抗20の抵抗値変化に対して、リファレンス抵抗20の抵抗値rrが略一定となるように、トランジスタTR2の出力電圧Vout2を変化させている。
以上のように定温駆動回路21,22は、ガスセンサ1およびリファレンス抵抗20の抵抗値rs,rrが、所定の発熱温度の時の抵抗値と略同一となるように、出力を変化させており、抵抗値rs,rrを一定にすることで、ガスセンサ1およびリファレンス抵抗20の温度(つまりジュール発熱と燃焼熱との和による温度)を略一定に制御できる。そして、定温駆動回路21の出力電圧Vout1と、定温駆動回路22の出力電圧Vout2の差電圧が差動増幅回路23により増幅されて出力されており、ガスセンサ1の発熱抵抗体2による接触燃焼により発生した出力電圧Vout1の変化分を最終段のオペアンプOP3から取り出すことができる。
ここで、定温駆動回路21,22では、可変抵抗RV1,RV2の抵抗値を調整することによって、発熱抵抗体2の平均温度が300℃以上且つ450℃以下の所定温度となるように、発熱体抵抗体2に印加する電圧を調整している。シリコーンガスの存在下で使用する場合にはシリコーンガスによる被毒を抑制するために、発熱抵抗体2(検出抵抗体)の温度を450℃以下に制限することが好ましいが、発熱抵抗体2の熱によりリード端子3a,3bを暖めるためには、発熱抵抗体2の発熱温度をできるだけ高くすることが望ましい。ここで、シリコーンガスによる被毒を抑制可能な温度範囲であって、できるだけ高い温度で発熱抵抗体2を駆動した場合に、可燃性ガスの接触燃焼による燃焼熱で発熱抵抗体2の温度が上昇すると、シリコーンガスによる被毒が起こりやすくなるが、定温駆動回路21により、発熱抵抗体2の平均温度が300℃以上且つ450℃以下の所定温度となるよう、発熱抵抗体2に印加する電圧を制御しているので、発熱抵抗体2の熱によりリード端子3a,3bを加温して、リード端子3a,3bに氷が付着するのを防止することができ、且つ、接触燃焼による燃焼熱が発生したとしても、発熱抵抗体2の温度が450℃以上に上昇して、シリコーンガスにより被毒されやすくなるのを防止できる。
ところで、上述した各実施形態においてリード端子3a,3bの表面に、例えばエポキシ樹脂や発泡ウレタンなどの樹脂を塗布することで、断熱層を形成するようにしても良く、リード端子3a,3b表面の断熱層により、リード端子3a,3bの表面に接触した水蒸気が氷結するのをさらに抑制することができる。
なお本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は、添付クレームにおいて限定した以外は、その特定の実施形態に制約されるものではない。
実施形態1のガス検出装置に用いるガスセンサの断面図である。 同上のガスセンサの外観斜視図である。 同上のガスセンサにフィルタキャップを装着した状態の断面図である。 同上のガスセンサにフィルタキャップを装着した状態の外観斜視図である。 同上のブロック回路図である。 実施形態2のガス検出装置のブロック回路図である。
符号の説明
1 水素ガスセンサ
2 発熱抵抗体
3a,3b リード端子
4 センサ容器
5 ベース
8 キャップ
10 ガス導入口

Claims (4)

  1. 表面に付着した可燃性ガスを触媒作用により燃焼させる燃焼体と、前記燃焼体の表面で可燃性ガスが燃焼していない状態で、通電によるジュール熱により前記燃焼体を80℃以上且つ450℃以下の温度に加熱する発熱体と、前記燃焼体の表面で可燃性ガスが接触燃焼すると、燃焼熱による温度上昇に応じて抵抗値が変化する検出抵抗体と、外部回路を前記発熱体および前記検出抵抗体に電気的に接続するリード端子と、外気を内部に導入するガス導入口を具備して前記燃焼体と前記発熱体と前記検出抵抗体とを内部に収納するセンサ容器とを備え、当該センサ容器は、前記リード端子を含む他の金属部品に前記燃焼体と前記発熱体と前記検出抵抗体とを近接させない状態で前記燃焼体と前記発熱体と前記検出抵抗体とを収納することを特徴とするガス検出装置。
  2. 前記リード端子の表面に断熱層を形成したことを特徴とする請求項1記載のガス検出装置。
  3. 検出抵抗体の平均温度が200℃以上且つ450℃以下となるように予め設定された一定電圧を発熱体に印加する定電圧駆動回路を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のガス検出装置。
  4. 検出抵抗体の平均温度が300℃以上且つ450℃以下の所定温度となるように、発熱体に印加する電圧を制御する定温駆動回路を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のガス検出装置。
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