JP2007231432A - 合成系繊維材料用抜染剤、印捺糊、抜染加工方法及び抜染加工合成系繊維材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来抜染剤として採用されていた還元性物質やアルカリ性物質の使用をやめることにより糊剤の制限や印捺糊中の染料の変色という問題を解決し、同時に、鮮明な色相を有し且つ色ムラもなく印捺模様の型際が極めてシャープな模様を提供することができ、さらに抜染加工合成系繊維材料を極めて安全に且つ環境や装置への負荷を少なく製造することを可能とする合成系繊維材料用抜染剤を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1):
−O(AO)nCOR (1)
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭化水素基を表し、nは繰り返し単位を表す。)
で表される基を分子内に少なくとも1つ有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、
鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末と、
を抜染成分として含有していることを特徴とする合成系繊維材料用抜染剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 下記一般式(1):
−O(AO)nCOR (1)
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭化水素基を表し、nは繰り返し単位を表す。)
で表される基を分子内に少なくとも1つ有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、
鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末と、
を抜染成分として含有していることを特徴とする合成系繊維材料用抜染剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、合成系繊維材料用抜染剤、それを含む印捺糊、それを用いた合成系繊維材料の抜染加工方法、及びそれを用いて抜染加工された合成系繊維材料に関する。
ポリエステル系繊維の抜染加工においては、塩化第一錫等の強い還元力を有する物質を抜染剤として印捺付着させた後、熱処理して抜染模様を形成させる方法や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のアルカリ性物質を抜染剤として印捺付着させた後、熱処理して抜染模様を形成させる方法が知られている。
しかしながら、塩化第一錫等の強い還元力を有する物質を利用する方法では、耐光堅牢度等の諸堅牢度に問題が生じていた。また、アルカリ性物質を用いる方法では、使用できる糊剤が耐アルカリ性のあるものに限られ、また所望の効果を得るためにはアルカリ剤を多量に使用することもあって、印捺糊の安定性や流動性に影響が生じ、型際のシャープさに欠ける等の問題が起こり、満足な印捺柄が得られなかった。
また、印捺糊に染料を含有させ、印捺部のポリエステル系繊維を抜染と同時に染色する際には、従来のアルカリ性物質を抜染剤として用いた印捺糊に染料を含有させると、染料が変色するため、満足する色相が得られないという問題があった。
さらに、このような従来の方法では、作業環境や設備に対する負荷が大きいという問題もあった。例えば、塩化第一錫等を使用する場合は、塩素ガスが発生するため装置の金属部分が腐食するといった問題や、洗浄した排水による環境への負荷が大きかった。また、アルカリ性物質を含有する印捺糊は比較的危険なものが多く、特にアルカリ金属水酸化物を含有する印捺糊を使用するにあたっては、作業の際に特段の注意を要していた。
このような強い還元力を有する物質やアルカリ性物質を用いない抜染剤や抜染方法も提案されており、例えば、特表2002−519523号公報(特許文献1)には、処理される繊維材料が強アルカリの作用によって攻撃を受け損傷することのない、繊維に対してやさしい捺染ペーストとして、カチオン性助剤を1〜50質量%、ポリエチレングリコールを1〜50質量%及び非イオノゲン性洗浄剤1〜50質量%を含む捺染ペースト配合物が開示されている。また、特開平2−127580号公報(特許文献2)には、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、アンヒドロソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の界面活性剤を主とする抜色剤を使用することが提案されている。しかしながら、これらの特許文献に開示された組成では、抜染ムラが生じて模様の色調が不均一となったり、型際のシャープさが不十分となって品質の高い製品が得られにくいという問題があった。
特表2002−519523号公報
特開平2−127580号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、従来抜染剤として採用されていた還元性物質やアルカリ性物質の使用をやめることにより糊剤の制限や印捺糊中の染料の変色という問題を解決し、同時に、鮮明な色相を有し且つ色ムラもなく印捺模様の型際が極めてシャープな模様を提供することができ、さらに抜染加工合成系繊維材料を極めて安全に且つ環境や装置への負荷を少なく製造することを可能とする合成系繊維材料用抜染剤及び印捺糊、並びにそれを用いた合成系繊維材料の抜染方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、抜染成分として特定の構造を有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と特定の無機粉末とを用いることにより、上記従来の課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の合成系繊維材料用抜染剤は、下記一般式(1):
−O(AO)nCOR (1)
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭化水素基を表し、nは繰り返し単位を表す。)
で表される基を分子内に少なくとも1つ有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、
鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末と、
を抜染成分として含有していることを特徴とするものである。
−O(AO)nCOR (1)
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭化水素基を表し、nは繰り返し単位を表す。)
で表される基を分子内に少なくとも1つ有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、
鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末と、
を抜染成分として含有していることを特徴とするものである。
本発明の合成系繊維材料用抜染剤においては、前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤が、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、及び脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つの非イオン界面活性剤であることが好ましい。
本発明の印捺糊は、前記本発明の合成系繊維材料用抜染剤と元糊とを含有していることを特徴とするものである。本発明の前記印捺糊においては、前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤の配合量が0.1〜50質量%であり、且つ、前記無機材料の粉末の配合量が0.1〜50質量%であることが好ましい。
本発明の抜染加工方法は、前記本発明の合成系繊維材料用抜染剤を用いて合成系繊維材料に対して抜染加工を施すことを特徴とする方法である。本発明の抜染加工方法においては、前記合成系繊維材料用抜染剤と元糊とを含有する印捺糊を用いることが好ましい。また、前記印捺糊における前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤の配合量が0.1〜50質量%であり、且つ、前記無機材料の粉末の配合量が0.1〜50質量%であることが好ましい。さらに、前記合成系繊維材料が、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維と他の繊維との複合繊維からなる群から選択される少なくとも一つの繊維からなる繊維材料であることが好ましい。
本発明の合成系繊維材料は、前記本発明の合成系繊維材料用抜染剤を用いて抜染加工を施されたものであることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来抜染剤として採用されていた還元性物質やアルカリ性物質の使用をやめることにより糊剤の制限や印捺糊中の染料の変色という問題が解決され、同時に、鮮明な色相を有し且つ色ムラもなく印捺模様の型際が極めてシャープな模様を提供することができ、さらに抜染加工合成系繊維材料を極めて安全に且つ環境や装置への負荷を少なく製造することを可能とする合成系繊維材料用抜染剤及び印捺糊、並びにそれを用いた合成系繊維材料の抜染方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。先ず、本発明の合成系繊維材料用抜染剤について説明する。
本発明の合成系繊維材料用抜染剤は、下記一般式(1):
−O(AO)nCOR (1)
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭化水素基を表し、nは繰り返し単位を表す。)
で表される基を分子内に少なくとも1つ有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、
鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末と、
を抜染成分として含有していることを特徴とするものである。
−O(AO)nCOR (1)
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭化水素基を表し、nは繰り返し単位を表す。)
で表される基を分子内に少なくとも1つ有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、
鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末と、
を抜染成分として含有していることを特徴とするものである。
本発明に用いられる脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤は、前記一般式(1)で表される基を分子内に少なくとも1つ有するものである。このような基を有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤は各種染料との親和性が高いことから、それを用いることにより抜染性が良好となる。
前記一般式(1)において、Aは炭素数2〜4のアルキレン基である。Aが炭素数2〜4のアルキレン基であると、抜染性及び元糊との混合性が良好となるのに対して、Aが炭素数5以上のアルキレン基では、抜染性が劣り、さらに元糊との混合性が悪くなる。
また、前記一般式(1)において、nはアルキレンオキシ基(AO)の繰り返し単位数であって、好ましくは2〜500の整数であり、より好ましくは4〜200の整数であり、さらに好ましくは5〜100の整数である。nが上記下限未満では抜染性が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限を超えると抜染性が不十分となったり、粘度が高くなることから使用が困難になる傾向にある。
さらに、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基であって、好ましくは炭素数8〜21の飽和又は不飽和の炭化水素基である。かかる炭化水素基の炭素数が上記下限未満では染料との親和性が低下し、抜染性が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限を超えると抜染性が不十分となったり、粘度が高くなることから使用が困難になる傾向にある。
前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を得る方法には特に制限はないが、例えば、活性水素を有する化合物にアルキレンオキサイドを付加させた後、末端ヒドロキシル基の一部又は全部を脂肪酸でエステル化することにより本発明にかかる脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を得ることができる。また、ポリアルキレングリコールの一端又は両端のヒドロキシル基を脂肪酸でエステル化することにより本発明にかかる脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を得ることもできる。
このような活性水素を有する化合物としては、モノアミン、ポリアミン、脂肪酸アミド、一価又は多価のアルコール、多環フェノール類を挙げることができる。
モノアミンとしては、例えば、炭素数8〜22の飽和又は不飽和炭化水素基を有する脂肪族アミンを挙げることができ、これら炭化水素基は直鎖状であっても分岐を有していてもよい。このようなモノアミンとしては、例えば、オクチルアミン、イソオクチルアミン、カプリルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミン等の第1級脂肪族アミン;N,N−ジオクチルアミン、N,N−ジカプリルアミン、N,N−ジラウリルアミン、N,N−ジミリスチルアミン等の第2級脂肪族アミンを挙げることができる。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン類;ジメチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のアルキルアミノアルキルアミン類を挙げることができる。
脂肪酸アミドとしては、例えば、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のアミドを挙げることができ、このようなアミドとして、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、リノレイン酸アミド等を挙げることができる。
一価のアルコールとしては、炭素数8〜22の飽和又は不飽和の高級アルコールを挙げることができ、例えば、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の飽和脂肪族アルコール;オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールを挙げることができる。
多価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビタン等の4価のアルコール;ソルビトール、ショ糖等の5価以上のアルコール等が挙げられる。これらの中でもエチレングリコール、プロピレングリコール等の2価のアルコールが好ましい。
多環フェノール類としては、環数が2〜20のものが好ましく、単環フェノール(例えば、フェノール、アルキルフェノール、ベンゼンジオール、ベンゼントリオール等)にスチレン類(例えば、スチレン、α−メチルスチレン等)を1〜19モル付加させたもの;多環フェノール(例えば、フェニルフェノール、クミルフェノール、ナフトール等)にスチレン類(スチレン、α−メチルスチレン等)を1〜18モル付加させたものが挙げられる。このような多環フェノール類の中でも、スチレン化フェノール、スチレン化クレゾール、α−メチルスチレン化フェノール、スチレン化フェニルフェノール、スチレン化クミルフェノール、スチレン化ナフトール、α−メチルスチレン化フェニルフェノール等が好ましく、スチレン化(1〜10モル)フェノール、スチレン化(1〜10モル)クミルフェノール、α−メチルスチレン化(1〜10モル)フェノールを用いることがより好ましい。
前記活性水素を有する化合物に付加させるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。付加の形態は、1種のアルキレンオキサイドの単独付加、2種以上のアルキレンオキサイドのランダム又はブロック付加のいずれであってもよいが、エチレンオキサイドの単独付加、又は、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム若しくはブロック付加であることがより好ましい。アルキレンオキサイドの付加数は、一個の活性水素に対して4〜500であることが好ましく、4〜200であることがより好ましく、5〜100であることが特に好ましい。アルキレンオキサイドの付加数が前記範囲を外れると、抜染性が低下する傾向にある。
なお、前記活性水素を有する化合物がエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールの場合、それにアルキレンオキサイドを付加させたものの代わりに、一般式:HO(AO)nH(式中、A及びnは前記一般式(1)中のA及びnとそれぞれ同義である。)で表されるポリアルキレングリコールをそのまま用いてもよい。
前記活性水素を有する化合物にアルキレンオキサイドを付加させた後に末端ヒドロキシル基をエステル化するのに用いられる脂肪酸としては、炭素数9〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、エルシン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノレン酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、大豆油脂肪酸等を挙げることができる。これらの中でも、染料との親和性が良好となるという観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸又はリノール酸がより好ましい。
本発明においては、前記のようにして得られる脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤の中でも、抜染性が良好であるという観点から、
(i)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、
(ii)多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、
(iii)モノアミンのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、及び
(iv)脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、
からなる群から選択される少なくとも一つの非イオン界面活性剤が好ましい。
(i)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、
(ii)多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、
(iii)モノアミンのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、及び
(iv)脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、
からなる群から選択される少なくとも一つの非イオン界面活性剤が好ましい。
このような(i)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールのラウリン酸モノエステル、ステアリン酸モノエステル又はオレイン酸モノエステル;ポリエチレングリコールのラウリン酸ジエステル、ステアリン酸ジエステル又はオレイン酸ジエステル;グリセリンアルキレンオキサイド付加物のラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル又はオレイン酸エステルがより好ましい。
また、(ii)多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルとしては、ジスチリルフェノールエチレンオキサイド付加物のラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル又はオレイン酸エステル;トリスチリルフェノールエチレンオキサイド付加物のラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル又はオレイン酸エステルがより好ましい。
さらに、(iii)モノアミンのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルとしては、ステアリルアミンエチレンオキサイド付加物のラウリン酸ジエステル、ステアリン酸ジエステル又はオレイン酸ジエステル;ベヘニルアミンエチレンオキサイド付加物のラウリン酸ジエステル、ステアリン酸ジエステル又はオレイン酸ジエステルがより好ましい。
また、(iv)脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸アミドエチレンオキサイド付加物のラウリン酸ジエステル、ステアリン酸ジエステル又はオレイン酸ジエステル;ベヘニン酸アミドエチレンオキサイド付加物のラウリン酸ジエステル、ステアリン酸ジエステル又はオレイン酸ジエステルがより好ましい。
本発明の合成系繊維材料用抜染剤は、前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末とを抜染成分として含有するものである。
脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤は一般的に起泡性に優れるため、脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を用いると、従来は、抜染加工中に泡が発生することによって作業性が低下したり、印捺糊の塗布工程において泡の発生により印捺糊が均一に塗布されないという弊害が生じて抜染性が不十分となるという問題があった。それに対して、本発明においては、前記非イオン界面活性剤と前記無機粉末とを併用することにより、起泡が抑制され、作業性並びに抜染の均一性が良好となる。
本発明において用いられる鉱物材料としてはタルク、カオリン、珪藻土、活性白土、モンモリロナイト、ベントナイト等が挙げられ、炭素材料としては活性炭、黒鉛、カーボンブラック等が挙げられ、セラミックス材料としては金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、二酸化ケイ素等)、金属炭化物(炭化ケイ素等)、金属窒化物(窒化アルミニウム等)、金属ホウ化物(ホウ酸亜鉛等)等が挙げられる。
このような無機材料の中でも、印捺性が良好であるという観点から、タルク、活性炭、カオリン、珪藻土が特に好ましい。
また、前記無機材料は、その粉末として本発明の合成系繊維材料用抜染剤中に含有される。かかる無機粉末の粒径、形状等は特に限定されないが、平均粒径が0.1〜50μm程度であることが一般的に好ましい。
本発明の合成系繊維用抜染剤は前記の脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と無機粉末とを抜染成分として含有するものであり、それぞれの含有量は特に限定されないが、非イオン界面活性剤100質量部に対して無機粉末の量が5〜200質量部であることが好ましい。無機粉末の量が上記下限未満では起泡が十分に抑制されず、作業性及び抜染の均一性が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると印捺性が低下し抜染性が不十分となる傾向にある。
また、本発明の合成系繊維用抜染剤は、前記抜染成分のみからなるものであってもよいが、前記抜染成分を溶剤(例えば、水、有機溶剤、又はそれらの混合溶剤)に分散させて用いてもよい。さらに、本発明の合成系繊維用抜染剤においては、前記抜染成分及び溶剤以外に、必要に応じて染料、顔料、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、還元防止剤、金属イオン封鎖剤、増量剤、吸湿剤、浸透剤、電解質、油脂、蛍光増白剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。このような本発明の合成系繊維用抜染剤における前記非イオン界面活性剤の含有量は好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは3〜50質量%であり、前記無機粉末の含有量は好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは3〜50質量%である。
前記本発明の合成系繊維用抜染剤は、そのまま合成系繊維材料の抜染に用いることができるが、かかる合成系繊維用抜染剤を元糊に配合した本発明の印捺糊として使用することが好ましい。本発明の印捺糊は、前記本発明の合成系繊維材料用抜染剤と元糊とを含有していることを特徴とするものである。
このような印捺糊を調製するための元糊としては、通常の各種印捺糊に用いられる元糊を適宜選択して用いることができる。例えば、デンプン、アラビアゴム、クリスタルゴム、タマリンド、アルギン酸ソーダ等の天然糊料;カルボキシメチルセルロースソーダ、プロピオキシセルロース、アルギン酸エステル、グアガムエチレンオキサイド付加物、エチルセルロース、メチルセルロース、ブリティッシュガム等の加工糊料;ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸誘導体、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリマレイン酸共重合体塩、非イオン界面活性剤等の合成糊料や合成樹脂エマルジョン;ケイ酸コロイド等の無機系糊料等の各種糊料を、各々単独で或いは2種以上を混合して糊料として用いることができる。そして、このような糊料を、溶剤(例えば、水、有機溶剤、又はそれらの混合溶剤)に加えて溶液又は分散液としたもの、水と石油系溶剤との混合溶剤に加えて粘液エマルジョンとしたもの、前記2者の混合物等を、本発明にかかる元糊として使用することができる。
また、本発明の印捺糊においては、前記合成系繊維用抜染剤及び元糊以外に、必要に応じて染料、顔料、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、還元防止剤、金属イオン封鎖剤、増量剤、吸湿剤、浸透剤、電解質、油脂、蛍光増白剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の公知の染色用薬剤を適宜配合することができる。なお、配合できる染料としては、任意の染料を用いることができる。
このような本発明の印捺糊における前記合成系繊維用抜染剤の配合量は、抜染の対象となる合成系繊維材料の種類及び目標とする抜染の程度によって適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、印捺糊における前記非イオン界面活性剤の含有量は好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜40質量%であり、前記無機粉末の含有量は好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜40質量%である。非イオン界面活性剤の含有量が上記下限未満では抜染効果が不十分となって型際がシャープな模様が形成されにくくなる傾向にあり、他方、上記上限を超えると印捺性が低下し、抜染性が不十分となる傾向にある。また、無機粉末の含有量が上記下限未満では起泡が十分に抑制されず、作業性及び抜染の均一性が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると印捺性が低下し、抜染性が不十分となる傾向にある。
次に、本発明の抜染加工方法及び本発明の合成系繊維材料について説明する。本発明の抜染加工方法は、前記本発明の合成系繊維材料用抜染剤を用いて合成系繊維材料に対して抜染加工を施すことを特徴とする方法である。また、本発明の合成系繊維材料は、前記本発明の合成系繊維材料用抜染剤を用いて抜染加工を施されたものであることを特徴とするものである。
本発明に用いられる合成系繊維材料としては、特に限定されないが、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維と他の繊維(例えば、綿、レーヨン、絹、アセテート)との複合繊維からなる群から選択される少なくとも一つの繊維材料が好ましいものとして挙げられる。また、本発明に用いられる合成系繊維材料の形態も特に限定されず、前記繊維材料を素材とした、織物、編物、起毛布、不織布等が挙げられる。
このような合成系繊維材料に対して前記本発明の合成系繊維材料用抜染剤(好ましくは、前記本発明の印捺糊)を用いて抜染加工を施す具体的な方法は特に限定されず、従来行われている公知の方法を適宜採用することができる。
すなわち、例えば、印捺糊の印捺方法としては、従来行われている任意の方法が適用でき、模様等の部分印捺からほぼ全面の印捺まで任意に印捺することができる。また、他の印捺部と一部を重ねて印捺してもよい。次に、必要に応じて予備乾燥した後、乾熱処理又は湿熱処理を施すことが好ましい。これらの熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、乾熱処理法としてはオーブンや乾燥機を用いてベーキングを施す方法や熱プレス機を用いてベーキングを施す方法等を採用することができる。また、湿熱処理法としてはHTスチーマー等を用いてスチーミングを施す方法等を採用することができる。このような熱処理の処理条件については、対象となる合成系繊維材料の種類によっても異なり、一概には言えないが、いずれの方法においても90〜200℃程度の温度で30秒〜30分程度の処理を行えば好ましい効果を得ることができる。その後、必要に応じて、処理された繊維材料に水洗、ソーピング等の後処理を施し、乾燥することによって、本発明の合成系繊維材料が得られる。
本発明において前記合成系繊維材料用抜染剤を用いて抜染加工を施された合成系繊維材料には、当然ながら、抜染加工後に通常の染色又は捺染加工を施すこともでき、抜染加工での柄、色相と、さらなる染色又は捺染加工での柄、色相との組み合わせによって多種多様の高度の意匠効果を付与することも可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で用いる試験布としては、以下の方法で作製した青色に染色された試験布を用いた。
すなわち、供試布としてポリエステルジャージ布(白布、精練上がり)を用い、下記組成の染色浴にて、浴比を1:20として昇温速度2℃/分で30℃から130℃まで昇温した後、130℃で30分間の染色を行った。次いで、染色されたポリエステルジャージ布を水洗し、下記組成のソーピング浴を用いて、浴比1:20として80℃で20分間ソーピングを行った後、乾燥して試験布を得た。
<染色浴の組成>
染料(C.I.Disperse Blue73):1.0%o.w.f.
RM−EX(分散均染剤、日華化学(株)製):0.5g/L
90%酢酸:0.1g/L
<ソーピング浴の組成>
ハイドロサルファイト:2g/L
水酸化ナトリウム:1g/L
サンモールRC−700E(ソーピング剤、日華化学(株)製):2g/L。
染料(C.I.Disperse Blue73):1.0%o.w.f.
RM−EX(分散均染剤、日華化学(株)製):0.5g/L
90%酢酸:0.1g/L
<ソーピング浴の組成>
ハイドロサルファイト:2g/L
水酸化ナトリウム:1g/L
サンモールRC−700E(ソーピング剤、日華化学(株)製):2g/L。
(実施例1)
タルク(林化成(株)製、平均粒径:0.1μm)10g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステル20g及び水10gを混合して抜染剤を調製した。次に、ニッカガムC−66R(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、日華化学(株)製)4g及び水56gからなる元糊60gに、前記で得られた抜染剤40gを混合して印捺糊を調製した。
タルク(林化成(株)製、平均粒径:0.1μm)10g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステル20g及び水10gを混合して抜染剤を調製した。次に、ニッカガムC−66R(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、日華化学(株)製)4g及び水56gからなる元糊60gに、前記で得られた抜染剤40gを混合して印捺糊を調製した。
次に、前記の試験布に、前記で得られた印捺糊を柄状に印捺(印捺部における印捺糊の塗布量:170g/m2)して、乾燥した。次いで、HTスチーマー(HT−3−550型:辻井染機工業(株)製)を用いて、印捺された試験布に180℃で7分間の湿熱処理を施し、その後水洗し、さらに下記組成のソーピング浴を用いて浴比1:20としてソーピングを行った後、乾燥して抜染布帛を得た。
得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
<ソーピング浴の組成>
ハイドロサルファイト:2g/L
水酸化ナトリウム:1g/L
サンモールFLconc(ソーピング剤、日華化学(株)製):2g/L。
ハイドロサルファイト:2g/L
水酸化ナトリウム:1g/L
サンモールFLconc(ソーピング剤、日華化学(株)製):2g/L。
(実施例2)
タルク10gに代えて活性炭(クラレケミカル(株)製、平均粒径:50μm)10gを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
タルク10gに代えて活性炭(クラレケミカル(株)製、平均粒径:50μm)10gを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(実施例3)
印捺糊に分散染料(C.I.Disperse Red92)2gを添加した以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に赤く着色されており且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
印捺糊に分散染料(C.I.Disperse Red92)2gを添加した以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に赤く着色されており且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(実施例4)
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてポリエチレングリコール(平均分子量3000)のオレイン酸ジエステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてポリエチレングリコール(平均分子量3000)のオレイン酸ジエステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(実施例5)
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてジスチリルフェノールエチレンオキサイド7モル付加物のオレイン酸エステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてジスチリルフェノールエチレンオキサイド7モル付加物のオレイン酸エステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(実施例6)
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてジスチリルフェノールエチレンオキサイド50モル付加物のオレイン酸エステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてジスチリルフェノールエチレンオキサイド50モル付加物のオレイン酸エステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(実施例7)
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてジスチリルフェノールエチレンオキサイド100モル付加物のオレイン酸エステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてジスチリルフェノールエチレンオキサイド100モル付加物のオレイン酸エステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(実施例8)
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてステアリルアミンエチレンオキサイド100モル付加物のオレイン酸ジエステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてステアリルアミンエチレンオキサイド100モル付加物のオレイン酸ジエステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(実施例9)
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてステアリン酸アミドエチレンオキサイド100モル付加物のオレイン酸ジエステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステルに代えてステアリン酸アミドエチレンオキサイド100モル付加物のオレイン酸ジエステルを用いた以外は、実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部が均一に白く抜染され且つ型際のシャープな模様が形成されており、意匠性が高いものであった。
(比較例1)
ニッカガムC−66R(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、日華化学(株)製)1g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステル20g及び水19gを混合して抜染剤を調製した。次に、ニッカガムC−66R(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、日華化学(株)製)4g及び水56gからなる元糊60gに、前記で得られた抜染剤40gを混合して印捺糊を調製した。
ニッカガムC−66R(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、日華化学(株)製)1g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸ジエステル20g及び水19gを混合して抜染剤を調製した。次に、ニッカガムC−66R(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、日華化学(株)製)4g及び水56gからなる元糊60gに、前記で得られた抜染剤40gを混合して印捺糊を調製した。
この印捺糊を用いた以外は実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部の型際が不鮮明であり、さらに印捺部が白くならず水色となっていて抜染性が不十分なものであった。
(比較例2)
印捺糊に分散染料(C.I.Disperse Red92)2gを添加した以外は、比較例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部の型際が不鮮明であり、さらに印捺部が赤くならず紫色となっていて抜染性が不十分なものであった。
印捺糊に分散染料(C.I.Disperse Red92)2gを添加した以外は、比較例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部の型際が不鮮明であり、さらに印捺部が赤くならず紫色となっていて抜染性が不十分なものであった。
(比較例3)
ひまし油のエチレンオキシド36モル付加物6g、ドデシルアミンのエチレンオキサイド17モル付加物の塩化メチル4級化物4g、ポリエチレングリコール12g、ポリプロピレングリコール6g、リン酸二水素一ナトリウム0.2g、塩素酸ナトリウム0.4g及び水11.4gを混合して抜染剤を調製した。
ひまし油のエチレンオキシド36モル付加物6g、ドデシルアミンのエチレンオキサイド17モル付加物の塩化メチル4級化物4g、ポリエチレングリコール12g、ポリプロピレングリコール6g、リン酸二水素一ナトリウム0.2g、塩素酸ナトリウム0.4g及び水11.4gを混合して抜染剤を調製した。
この抜染剤を用いた以外は実施例1と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部の型際が不鮮明であり、さらに印捺部が白くならず水色となっていて抜染性が不十分なものであった。
(比較例4)
抜染剤に分散染料(C.I.Disperse Red92)2gを添加した以外は、比較例3と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部の型際が不鮮明であり、さらに印捺部が赤くならず紫色となっていて抜染性が不十分なものであった。
抜染剤に分散染料(C.I.Disperse Red92)2gを添加した以外は、比較例3と同様にして抜染布帛を得た。得られた抜染布帛は、印捺部の型際が不鮮明であり、さらに印捺部が赤くならず紫色となっていて抜染性が不十分なものであった。
以上説明したように、本発明によれば、従来抜染剤として採用されていた還元性物質やアルカリ性物質の使用をやめることにより糊剤の制限や印捺糊中の染料の変色という問題が解決され、同時に、鮮明な色相を有し且つ色ムラもなく印捺模様の型際が極めてシャープな模様を提供することができ、さらに抜染加工合成系繊維材料を極めて安全に且つ環境や装置への負荷を少なく製造することを可能とする合成系繊維材料用抜染剤及び印捺糊、並びにそれを用いた合成系繊維材料の抜染方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明によれば、印捺糊中の染料の変色が十分に防止され、鮮明な且つ均一な色相を有する柄部が形成された意匠性に優れた抜染加工合成系繊維材料を簡易に且つ安全に提供することが可能となる。
Claims (9)
- 下記一般式(1):
−O(AO)nCOR (1)
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭化水素基を表し、nは繰り返し単位を表す。)
で表される基を分子内に少なくとも1つ有する脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤と、
鉱物材料、炭素材料及びセラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料の粉末と、
を抜染成分として含有していることを特徴とする合成系繊維材料用抜染剤。 - 前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤が、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、及び脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つの非イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の合成系繊維材料用抜染剤。
- 請求項1又は2に記載の合成系繊維材料用抜染剤と、元糊とを含有していることを特徴とする印捺糊。
- 前記印捺糊における前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤の配合量が0.1〜50質量%であり、且つ、前記無機材料の粉末の配合量が0.1〜50質量%であることを特徴とする請求項3に記載の印捺糊。
- 請求項1又は2に記載の合成系繊維材料用抜染剤を用いて合成系繊維材料に対して抜染加工を施すことを特徴とする抜染加工方法。
- 前記合成系繊維材料用抜染剤と元糊とを含有する印捺糊を用いることを特徴とする請求項5に記載の抜染加工方法。
- 前記印捺糊における前記脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤の配合量が0.1〜50質量%であり、且つ、前記無機材料の粉末の配合量が0.1〜50質量%であることを特徴とする請求項5又は6に記載の抜染加工方法。
- 前記合成系繊維材料がポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維と他の繊維との複合繊維からなる群から選択される少なくとも一つの繊維からなる繊維材料であることを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の抜染加工方法。
- 請求項1又は2に記載の合成系繊維材料用抜染剤を用いて抜染加工を施されたものであることを特徴とする合成系繊維材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006052415A JP2007231432A (ja) | 2006-02-28 | 2006-02-28 | 合成系繊維材料用抜染剤、印捺糊、抜染加工方法及び抜染加工合成系繊維材料 |
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Publications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022176930A1 (ja) | 2021-02-18 | 2022-08-25 | 日華化学株式会社 | 暈しもしくは脱色加工剤及び布製品の製造方法 |
-
2006
- 2006-02-28 JP JP2006052415A patent/JP2007231432A/ja active Pending
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WO2022176930A1 (ja) | 2021-02-18 | 2022-08-25 | 日華化学株式会社 | 暈しもしくは脱色加工剤及び布製品の製造方法 |
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