JP2007229999A - 反射防止積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に耐擦傷性(耐スチールウール性)に優れる反射防止積層体を提供する。
【解決手段】透明基材上に、ハードコート層、低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止積層体であって、
該ハードコート層が、(A)含フッ素化合物と(B)多官能(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物の塗膜に紫外線を照射することにより硬化させてなり、
該低屈折率層が、(C)含フッ素重合体と(D)架橋剤を含む硬化性組成物の塗膜に紫外線照射又は加熱により硬化させてなることを特徴とする反射防止積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止積層体に関する。より詳細には、耐擦傷性及び耐久性に優れた反射防止積層体に関する。
液晶表示パネル、冷陰極線管パネル、プラズマディスプレー等の各種表示パネルにおいて、外光の映りを防止し、画質を向上させるために、低屈折率性、耐擦傷性、塗工性、及び耐久性に優れた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜が求められている。
これら表示パネルにおいては、付着した指紋、埃等を除去するため表面を、エタノール等を含侵したガーゼで拭くことが多く、耐擦傷性が求められている。
反射防止膜の低屈折率層用材料として、例えば、水酸基含有含フッ素重合体を含むフッ素樹脂系塗料が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
しかし、このようなフッ素樹脂系塗料では、塗膜を硬化させるために、水酸基含有含フッ素重合体と、メラミン樹脂等の硬化剤とを、酸触媒下、加熱して架橋させる必要があり、加熱条件によっては、硬化時間が過度に長くなったり、使用できる基材の種類が限定されてしまうという問題があった。
また、得られた塗膜についても、耐候性には優れているものの、耐擦傷性や耐久性に乏しいという問題があった。
そこで、上記の問題点を解決するため、少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の付加重合性不飽和基とを有するイソシアネート基含有不飽和化合物と水酸基含有含フッ素重合体とを、イソシアネート基の数/水酸基の数の比が0.01〜1.0の割合で反応させて得られる不飽和基含有含フッ素ビニル重合体を含む塗料用組成物が提案されている(例えば、特許文献4)。
しかし、上記公報では、不飽和基含有含フッ素ビニル重合体を調製する際に、水酸基含有含フッ素重合体のすべての水酸基を反応させるのに十分な量のイソシアネート基含有不飽和化合物を用いず、積極的に当該重合体中に未反応の水酸基を残存させるものであった。
このため、このような重合体を含む塗料用組成物は、低温、短時間での硬化を可能とするものの、残存した水酸基を反応させるために、メラミン樹脂等の硬化剤をさらに用いて硬化させる必要があった。さらに、上記公報で得られた塗膜は、塗工性、耐擦傷性についても十分とはいえないという課題があった。
また、反射防止膜の耐擦傷性を改善するために、反射防止膜の最外層である低屈折率膜にシリカ粒子を添加する技術が広く用いられている(例えば、特許文献5,6)。しかし、多くの場合、十分な耐擦傷性が得られるには至っていない。
特開昭57−34107号公報 特開昭59−189108号公報 特開昭60−67518号公報 特開昭61−296073号公報 特開2002−265866号公報 特開平10−316860号公報 特開平10−346706号公報
従って、本発明は、特に耐擦傷性(耐スチールウール性)に優れる反射防止積層体を提供することを目的とする。
従来のフッ素含有重合体からなる低屈折率材料及びハードコート材料からなる反射防止積層体(反射防止膜、反射防止積層体ともいう)においては、低屈折率材料の組成を種々変更するにより耐スチールウール性の向上が図られてきた。しかし、スチールウールによる傷は低屈折率層とハードコート層の界面で生じており、両層間の密着力不足が原因であることを本発明者らは見出した。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行い、含フッ素重合体を含む硬化性組成物を硬化させてなる低屈折率層の下地であるハードコート層用硬化性組成物中に、予め含フッ素化合物を導入しておくことで、それぞれの硬化性組成物を順次硬化させて積層した際に、低屈折率層とハードコート層間の密着力が向上し、結果として耐スチールウール性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の反射防止積層体を提供する。
1.透明基材上に、ハードコート層、低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止積層体であって、
該ハードコート層が、(A)含フッ素化合物と(B)多官能(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物の塗膜に紫外線を照射することにより硬化させてなり、
該低屈折率層が、(C)含フッ素重合体と(D)架橋剤を含む硬化性組成物の塗膜に紫外線照射又は加熱により硬化させてなることを特徴とする反射防止積層体。
2.前記ハードコート層形成用の硬化性組成物中の(A)含フッ素化合物の含有量が、溶剤を除く組成物全量に対して、0.1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする上記1に記載の反射防止積層体。
3.前記ハードコート層形成用の硬化性組成物が、さらに(E)金属酸化物粒子を含有することを特徴とする上記1又は2に記載の反射防止積層体。
4.前記(E)金属酸化物粒子が、重合性不飽和基を含む有機化合物(S)によって表面修飾されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の反射防止積層体。
5.前記ハードコート層形成用の硬化性組成物が、さらに(F)光重合開始剤を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体。
6.前記低屈折率層が、前記(C)含フッ素重合体として(C−1)水酸基含有含フッ素重合体、前記(D)架橋剤として(D−1)熱硬化性化合物、(H)シリカを主成分とする粒子、(I)硬化触媒を含有する硬化性組成物の塗膜を硬化させてなることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の反射防止積層体。
7.前記低屈折率層が、前記(C)含フッ素重合体として(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、前記(D)架橋剤として(D−2)多官能(メタ)アクリレート、(H)シリカを主成分とする粒子、及び(J)光重合開始剤を含有する硬化性組成物の塗膜を硬化させてなることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の反射防止積層体。
本発明によれば、低屈折率層とハードコート層の間の密着性に優れ、ひいては耐擦傷性、特に耐スチールウール性に優れた反射防止積層体が得られる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
I.反射防止積層体
本発明の反射防止積層体は、透明基材上に、ハードコート層、低屈折率層をこの順で積層してなり、これらの層を形成するための硬化性組成物の組み合わせに特徴を有する。図1に、本発明の反射防止積層体の基本的な構造を示す模式図を示す。
即ち、ハードコート層は、(A)含フッ素化合物と(B)多官能(メタ)アクリレートとを含む硬化性組成物(ハードコート層形成用組成物という)の塗膜に紫外線を照射することで硬化させることによって形成され、低屈折率層は、(C)含フッ素重合体と(D)架橋剤を含む硬化性組成物(以下、低屈折率層形成用組成物という)の塗膜に紫外線を照射又は加熱することで硬化させることによって形成される。
本発明の反射防止積層体は、上記組成物から形成されるハードコート層と低屈折率層とが連続して形成されていればよく、必要に応じて、さらに、高屈折率層、上記低屈折率層以外の低低屈折率層、帯電防止層等を設けることができる。以下、各層について説明する。
(1)ハードコート層
ハードコート層は、本発明で用いるハードコート層形成用組成物を硬化して得られる硬化物から構成される。ハードコート層形成用組成物の構成等については、後述するため、ここでの具体的な説明は省略するものとし、以下、ハードコート層の厚さについて説明する。
ハードコート層の厚さについては特に制限されるものではないが、1〜50μmとするのが好ましく、5〜10μmとするのがより好ましい。この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未満となると、反射防止積層体の基材に対する密着力を向上させることができない場合があるためであり、一方、厚さが50μmを超えると、均一に形成するのが困難となる場合があるためである。
(2)低屈折率層
低屈折率層は、本発明で用いる低屈折率層形成用組成物を硬化して得られる硬化物から構成される。低屈折率層形成用組成物の構成等については、後述するため、ここでの具体的な説明は省略するものとし、以下、低屈折率層の屈折率及び厚さについて説明する。
低屈折率層形成用組成物を硬化して得られる硬化物の屈折率(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)、即ち、低屈折率膜の屈折率を1.45以下とすることが好ましい。この理由は、低屈折率膜の屈折率が1.45を超えると、高屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。
従って、低屈折率膜の屈折率を1.44以下とするのがより好ましく、1.43以下とするのがさらに好ましい。
尚、低屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していればよく、従って、その他の低屈折率膜は1.45を超えた値であってもよい。
また、高屈折率層を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、低屈折率層と高屈折率層との間の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。この理由は、低屈折率層と高屈折率層との間の屈折率差が0.05未満の値となると、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する場合があるためである。
従って、低屈折率層と高屈折率層との間の屈折率差を0.1〜0.5の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.5の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
低屈折率層の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、50〜300nmであることが好ましい。この理由は、低屈折率層の厚さが50nm未満となると、下地としての高屈折率膜に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが300nmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合があるためである。
従って、低屈折率層の厚さを50〜250nmとするのがより好ましく、60〜200nmとするのがさらに好ましい。
尚、より高い反射防止性を得るために、低屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜300nmとすればよい。
(3)基材
本発明の反射防止積層体に用いる透明基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等からなる基材を挙げることができる。即ち、眼鏡やカメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいはこれらの基材を含む反射防止積層体とすることによるフラットパネルディスプレイの反射防止積層体等の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
(4)高屈折率層
高屈折率層を形成するための硬化性組成物としては、特に制限されるものでないが、被膜形成成分として、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、高屈折率層として、強固な薄膜を形成することができ、結果として、反射防止膜の耐擦傷性を著しく向上させることができるためである。
しかしながら、通常、これらの樹脂単独での屈折率は1.45〜1.62であり、高い反射防止性能を得るには十分で無い場合がある。そのため、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することがより好ましい。また、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化できる硬化性組成物を用いることができるが、より好適には生産性の良好な紫外線硬化性組成物が用いられる。
高屈折率層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、50〜30,000nmであることが好ましい。この理由は、高屈折率層の厚さが50nm未満となると、低屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが30,000nmを超えると、光干渉が生じて逆に反射防止効果が低下する場合があるためである。尚、本発明の反射防止積層体では、ハードコート層を設けるため、高屈折率層の厚さを50〜300nmとすることが好ましい。
従って、高屈折率層の厚さを50〜1,000nmとするのがより好ましく、60〜500nmとするのがさらに好ましい。
また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜30,000nmとすればよい。
次に、本発明で用いるハードコート層形成用組成物及び低屈折率層形成用組成物について説明する。
II.ハードコート層形成用組成物
本発明の反射防止積層体におけるハードコート層は、下記成分を含有する硬化性組成物を、紫外線照射により硬化させてなる。
(A)含フッ素化合物
(B)多官能(メタ)アクリレート
(E)金属酸化物粒子
(F)光重合開始剤
(G)有機溶剤
これらの成分のうち、(A)及び(B)は必須成分であり、(E)〜(G)は任意添加成分である。以下、各成分について説明する。
(1)ハードコート層形成用組成物の成分
(A)含フッ素化合物
含フッ素化合物をハードコート層形成用組成物に含有させることにより、ハードコート層と低屈折率層との間の密着力を向上させ、耐スチールウール性を改善することができる。
ハードコート層形成用組成物中における(A)成分の含有量は、溶剤を除く組成物全量に対して、0.1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。(A)成分の含有量が0.1質量%未満であると、低屈折率層との密着性が不十分となるおそれがあり、15質量%を超えると、ハードコートの硬度低下のおそれがある。
(B)多官能(メタ)アクリレート
多官能(メタ)アクリレート化合物とは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をいう。多官能(メタ)アクリレートは、ハードコート形成用組成物に、放射線硬化性を付与する成分であり、組成物を硬化して得られる硬化膜及びそれを用いた反射防止膜の耐擦傷性を高めることができる。
多官能(メタ)アクリレート化合物については、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、「U−15HA」(商品名、新中村化学社製)、下記式(10)で示される化合物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、これらのうち、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、下記式(10)で示される化合物が特に好ましい。
Figure 2007229999
[式(10)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
多官能(メタ)アクリレート化合物は、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。このような態様とすることにより、ハードコート層形成用組成物を硬化して得られる硬化膜及びこれを用いた反射防止膜積層体の耐擦傷性を特に改善することができる。
ハードコート層形成用組成物中における、(B)成分の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、1〜80質量%であり、5〜80質量%であることが好ましく、5〜60質量%がより好ましい。1〜80質量%であることにより、組成物を硬化して得られる硬化膜(ハードコート層)の、耐擦傷性が向上する。
任意添加成分
ハードコート層形成用組成物には、上記成分の他、必要に応じて、(E)金属酸化物粒子、(F−1)光重合開始剤、(G−1)有機溶剤、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を配合することができる。
(E)金属酸化物粒子
金属酸化物粒子として、好ましくは、酸化チタン、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、アンチモン含有酸化スズ、酸化スズ含有インジウム、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモン含有酸化亜鉛及びインジウム含有酸化亜鉛選択される一又は二以上の金属酸化物を主成分とする粒子が使用できる。ここで、金属酸化物粒子を当該金属酸化物以外の前記一又は二以上の金属酸化物で被覆した多層構造を有する金属酸化物粒子を用いることもできる。多層構造を有する金属酸化物粒子の具体例としては、シリカ被覆酸化チタン粒子、アルミナ被覆酸化チタン粒子、ジルコニア被覆酸化チタン粒子等を挙げることができる。このような金属酸化物粒子の中で、シリカを主成分とする粒子、酸化チタンを主成分とする粒子又はシリカ被覆酸化チタン粒子が特に好ましい。
多層構造を有する金属酸化物粒子を用いることにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、硬化物の分解を抑止することができる。その結果、高屈折率で、耐光性に優れた硬化膜を得ることができる。
また、アンチモン含有酸化スズ粒子(ATO)等を用いることにより、硬化膜に帯電防止性を付与できる。この場合、後述するように、ATO粒子が偏在化するため、より少量の粒子添加量で有効な帯電防止性と良好な透明性を両立できる。
シリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。動的光散乱法、質量電子顕微鏡観察により求めた数平均粒子径が1〜100nm、固形分が10〜40質量%、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。
尚、ハードコート層の屈折率を高めたい場合には、金属酸化物粒子として、波長589nmにおける屈折率が1.5以上の金属酸化物粒子を用いることが好ましい。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO(動的光散乱法で求めた数平均粒子径7nm、固形分20質量%、pH2.7)、スノーテックスOL(動的光散乱法で求めた数平均粒子径:15nm、固形分:20質量%、pH2.5)等を挙げることができる。
(E)金属酸化物粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物(S)(以下、「特定有機化合物(S)」ということがある。)によって表面処理がなされたものであることが好ましい。かかる表面処理により、後記する成分(B)等のUV硬化系アクリルモノマーと共架橋化することができ、耐擦傷性がより向上する。
特定有機化合物(S)
特定有機化合物(S)は、分子内に重合性不飽和基含む重合性の化合物である。この化合物は、分子内に、さらに下記式(11)に示す基を含む化合物であること及び分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
Figure 2007229999
[式(11)中、XはNH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、YはO又はSを示す。]
(i)重合性不飽和基
特定有機化合物に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
(ii)式(11)に示す基
特定有機化合物は、分子内に前記式(11)に示す基をさらに含むものであることが好ましい。前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1とを併用することが好ましい。
前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
(iii)シラノ−ル基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
特定有機化合物(S)は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する化合物を挙げることができるが、ケイ素原子上にアルコキシ基又はアリールオキシ基を含む化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子と結合する構成単位である。
(iv)好ましい態様
特定有機化合物(S)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(12)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2007229999
19、R20は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、aは1、2又は3の数を示す。
19、R20の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。
[(R19O)a20 3-aSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
21は炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
また、R22は2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記式(11)に示す基を含むこともできる。
23は(b+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。例えば、アクリロイル(オキシ)基、メタアクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等を挙げることができる。これらの中でアクリロイル(オキシ)基及びメタアクリロイル(オキシ)基が好ましい。また、bは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
本発明で用いられる特定有機化合物(S)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。即ち、(イ)メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物と、活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(ロ)分子中にアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物と、活性水素含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(ハ)分子中に重合性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応により直接合成することもできる。
前記式(12)に示す化合物を合成するためには、これらの方法のうち(イ)が好適に用いられる。より詳細には、例えば、
(a)法;まずメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物とを反応させることで、分子中にアルコキシシリル基、[−S−C(=O)−NH−]基及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、次に中間体中に残存するイソシアネートに対して活性水素含有重合性不飽和化合物を反応させて、この不飽和化合物を[−O−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
(b)法;まずポリイソシアネート化合物と活性水素含有重合性不飽和化合物とを反応させることで分子中に重合性不飽和基、[−O−C(=O)−NH−]基、及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、これにメルカプトアルコキシシランを反応させてこのメルカプトアルコキシシランを[−S−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
等を挙げることができる。さらに両者の中では、マイケル付加反応による重合性不飽和基の減少がない点で(a)法が好ましい。
前記式(12)に示す化合物の合成において、イソシアネ−ト基との反応により[−S−C(=O)−NH−]基を形成することができるアルコキシシランの例としては、アルコキシシリル基とメルカプト基を分子中にそれぞれ1個以上有する化合物を挙げることができる。このようなメルカプトアルコキシシランとしては、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、メルカプトプロピルトリフェノキシシシラン、メルカプトプロピルトリブトキシシシラン等を挙げることができる。これらの中では、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。また、アミノ置換アルコキシシランとエポキシ基置換メルカプタンとの付加生成物、エポキシシランとα,ω−ジメルカプト化合物との付加生成物を利用することもできる。
特定有機化合物(S)を合成する際に用いられるポリイソシアネート化合物としては鎖状飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、芳香族炭化水素で構成されるポリイソシアネ−ト化合物の中から選ぶことができる。
このようなポリイソシアネート化合物の例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(又は2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等を挙げることができる。これらの中で、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネアート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、等が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定有機化合物(S)の合成において、前記ポリイソシアネート化合物と付加反応により[−O−C(=O)−NH−]基を介し結合できる活性水素含有重合性不飽和化合物の例としては、分子内にイソシアネート基との付加反応により[−O−C(=O)−NH−]基を形成できる活性水素原子を1個以上有しかつ重合性不飽和基を1個以上含む化合物を挙げることができる。
これらの活性水素含有重合性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を用いることができる。これらの化合物の中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が好ましい。
これらの化合物は1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
特定有機化合物(S)による金属酸化物粒子(以下、単に「(E)粒子」ということもある。)の表面処理方法
特定有機化合物(S)による(E)粒子の表面処理方法としては特に制限はないが、特定有機化合物(S)と(E)粒子とを混合し、加熱、攪拌処理することにより製造することも可能である。尚、特定有機化合物(S)が有するシラノール基生成部位と、(E)粒子とを効率よく結合させるため、反応は水の存在下で行われることが好ましい。ただし、特定有機化合物(S)がシラノール基を有している場合は水はなくてもよい。従って、少なくとも(E)粒子及び特定有機化合物(S)を混合する操作を含む方法により表面処理できる。
(E)粒子と特定有機化合物(S)の反応量(仕込量)は、(E)粒子及び特定有機化合物(S)の合計を100質量%として、好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。0.01質量%未満であると、組成物中における(E)粒子の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。
以下、特定有機化合物(S)として、前記式(12)に示すアルコキシシリル基含有化合物(アルコキシシラン化合物)を例にとり、表面処理方法をさらに詳細に説明する。
表面処理時においてアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量であればよい。好ましくは加水分解の際に添加、又は存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。完全に水分の存在しない条件下でアルコキシシラン化合物と粒子とを混合して得られる生成物は、粒子表面にアルコキシシラン化合物が物理吸着した生成物であり、そのような成分から構成される粒子を含有する組成物の硬化物においては、高硬度及び耐擦傷性の発現の効果は低い。
表面処理時においては、前記アルコキシシラン化合物を別途加水分解操作に付した後、これと粉体粒子又は粒子の溶剤分散ゾルを混合し、加熱、攪拌操作を行う方法;前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法;又は、他の成分、例えば、重合開始剤等の存在下、粒子の表面処理を行う方法等を選ぶことができる。この中では、前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法が好ましい。表面処理時、その温度は、好ましくは0℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは20℃以上100℃以下である。また、処理時間は通常5分から24時間の範囲である。
表面処理時において、粉体状の(E)粒子を用いる場合、前記アルコキシシラン化合物との反応を円滑にかつ均一に行わせることを目的として、有機溶剤を添加してもよい。そのような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
これらの溶剤の添加量は反応を円滑、均一に行わせる目的に合う限り特に制限はない。
(Ea)粒子として溶剤分散ゾルを用いる場合、溶剤分散ゾルと、特定有機化合物(S)とを少なくとも混合することにより製造することができる。ここで、反応初期の均一性を確保し、反応を円滑に進行させる目的で、水と均一に相溶する有機溶剤を添加してもよい。
また、表面処理時において、反応を促進するため、触媒として酸、塩又は塩基を添加してもよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、フタル酸、マロン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の不飽和有機酸を、塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を、また、塩基としては、例えば、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級、2級又は3級脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド類等を挙げることができる。
これらの中で好ましい例は、酸としては、有機酸、不飽和有機酸、塩基としては3級アミン又は4級アンモニウムヒドロキシドである。これらの酸、塩又は塩基の添加量は、アルコキシシラン化合物100質量部に対して、好ましくは0.001質量部から1.0質量部、さらに好ましくは0.01質量部から0.1質量部である。
また、反応を促進するため、脱水剤を添加することも好ましい。
脱水剤としては、ゼオライト、無水シリカ、無水アルミナ等の無機化合物や、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、テトラエトキシメタン、テトラブトキシメタン等の有機化合物を用いることができる。中でも、有機化合物が好ましく、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルトエステル類がさらに好ましい。
尚、粒子に結合したアルコキシシラン化合物の量は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、空気中で110℃から800℃までの熱質量分析により求めることができる。
ハードコート層形成用組成物中における(E)成分の含有量は、特定有機化合物(S)によって表面修飾されていない場合であっても、表面修飾されている場合であっても、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、1〜70質量%配合され、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。尚、(E)成分の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
(F)光重合開始剤
ハードコート層形成用組成物は、UV照射によりそれ自体で重合可能であるが、(F)光重合開始剤を配合することが好ましい。
光重合開始剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等が好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等を挙げることができる。
光重合開始剤(F)の市販品の例としては、KAYACURE DETX−S(日本化薬)、Irgacure651、Irgacure907、Irgacure184、Irgacure369、Darocure1173、NK1300、NK1200(ダイセルUCB)、LucirinTPO(BASF)、EsacureKIP150(ランベルティ)等が挙げられる。
ハードコート層形成用組成物中における(F)光重合開始剤の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、0.1〜10質量%の範囲、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。光重合開始剤の配合割合が過小であると、光重合が開始されず、逆に10質量%を超えると、触媒が硬化膜中で可塑剤として作用してしまい、透明性が損なわれたり、十分な機械的強度が得られなかったりするため好ましくない。
(G)有機溶剤
ハードコート層形成用組成物は、さらに有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤を含有することにより、ハードコート膜を均一に形成することができる。このような有機溶剤としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
ハードコート層形成用組成物中における(G)有機溶剤の含有量は特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量100質量部に対し、100〜100,000質量部とするのが好ましい。この理由は、含有量が100質量部未満となると、ハードコート層形成用組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、含有量が100,000質量部を超えると、組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
その他の添加剤
ハードコート層形成用組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、(E)成分以外の無機充填剤若しくは顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
(2)ハードコート層形成用組成物の調製方法
ハードコート層形成用組成物は、上記(A)含フッ素化合物、及び(B)多官能(メタ)アクリレート、及び、必要に応じて、上記(E)成分、上記(F)成分、(G)有機溶剤、及び添加剤をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
(3)ハードコート層形成用組成物の塗膜形成方法
ハードコート層形成用組成物から塗膜を形成する場合、基材(適用部材)に対してコーティングすることが好ましい。このようなコーティング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等の方法を用いることができる。
(4)ハードコート層形成用組成物からなる塗膜の硬化方法
ハードコート層形成用組成物の硬化条件についても特に制限されるものではないが、例えば、紫外線(UV)を用いた場合、露光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、露光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
また、ハードコート層形成用組成物は、加熱によって硬化させてもよい。この場合には、30〜200℃の範囲内の温度で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材等を損傷することなく、より効率的に耐擦傷性に優れた反射防止膜を得ることができる。
また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、2〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、5〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
尚、硬化膜の硬化程度は、ゲル化率を、ソックスレー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認することができる。
III.低屈折率層形成用組成物
本発明の反射防止積層体における低屈折率層は、下記成分を含有する硬化性組成物を、紫外線照射又は加熱により硬化させてなる。
(C)含フッ素重合体
(D)架橋剤
(H)シリカを主成分とする粒子
(I)硬化触媒
(J)光重合開始剤
(K)有機溶剤
これらの成分のうち、(C)及び(D)は必須成分であり、(H)〜(K)は任意添加成分である。
低屈折率層形成用組成物の好ましい態様(1)
低屈折率層形成用組成物は、(C)含フッ素重合体として(C−1)水酸基含有含フッ素重合体、(D)架橋剤として(D−1)熱硬化性化合物、(H)シリカを主成分とする粒子、(I)硬化触媒を含有することが好ましい。このような組成物は、加熱により硬化させることができる。
低屈折率層形成用組成物の好ましい態様(2)
低屈折率層形成用組成物は、(C)含フッ素重合体として(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、(D)架橋剤として(D−2)多官能(メタ)アクリレート、(H)シリカを主成分とする粒子、及び(J)光重合開始剤を含有することが好ましい。このような組成物は、紫外線照射により硬化させることができる。
(1)低屈折率層形成用組成物の成分
低屈折率層形成用組成物に用いられる上記各成分について説明する。
(C)含フッ素重合体
含フッ素重合体は、分子内に炭素−フッ素結合を有する重合体であり、フッ素含量は30質量%以上である。含フッ素重合体としては、分子内に水酸基を有する含フッ素重合体(以下、「水酸基含有含フッ素重合体」という)であれば、好適に使用することができる。ここで、フッ素含量は、アリザリンコンプレクソン法により測定された値である。
(C−1)水酸基含有含フッ素重合体
(C−1)水酸基含有含フッ素重合体は、好ましい態様(1)で、含フッ素重合体として用いる。
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)、(c)及び必要に応じて(b)を含み、(a)、(b)及び(c)の合計が、水酸基含有フッ素重合体全体の69質量%以上を占めてなる。
(a)下記式(1)で表される構造単位。
(b)下記式(2)で表される構造単位。
(c)下記式(3)で表される構造単位。
Figure 2007229999
[式(1)中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR2で表される基(R2はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
Figure 2007229999
[式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)x−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基又はグリシジル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
Figure 2007229999
[式(3)中、R6は水素原子又はメチル基を、R7は水素原子又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
(i)構造単位(a)
上記式(1)において、R1及びR2のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
尚、構造単位(a)の含有率は、前記構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたときに、20〜70モル%である。この理由は、含有率が20モル%未満になると、本願が意図するところのフッ素含有材料の光学的特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
(ii)構造単位(b)
式(2)において、R4又はR5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
構造単位(b)は、上述の置換基を有するビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、構造単位(b)の含有率は、前記構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたときに、0〜70モル%である。この理由は、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0〜50モル%とするのがより好ましく、0〜30モル%とするのがさらに好ましい。
(iii)構造単位(c)
式(3)において、R7のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
構造単位(c)は、水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
尚、構造単位(c)の含有率を、前記構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたときに、5〜70モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が5モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、5〜65モル%とするのがより好ましく、5〜60モル%とするのがさらに好ましい。
(iv)構造単位(d)及び構造単位(e)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。
(d)下記式(4)で表される構造単位。
Figure 2007229999
[式(4)中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
式(4)において、R8又はR9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基等が、アリール基としてはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等がそれぞれ挙げられる。
構造単位(d)は、前記式(4)で表されるポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用いることにより導入することができる。このようなアゾ基含有ポリシロキサン化合物の例としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007229999
[式(5)中、R10〜R13は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はシアノ基を示し、R14〜R17は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数、zは1〜20の数を示す。]
式(5)で表される化合物を用いた場合には、構造単位(d)は、構造単位(e)の一部として水酸基含有含フッ素重合体に含まれる。
(e)下記式(6)で表される構造単位。
Figure 2007229999
[式(6)中、R10〜R13、R14〜R17、p、q、s、t及びyは、上記式(5)と同じである。]
式(5),(6)において、R10〜R13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R14〜R17のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
本発明において、上記式(5)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、下記式(7)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2007229999
[式(7)中、y及びzは、上記式(5)と同じである。]
尚、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体に対して、1〜15質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が1質量%未満になると、硬化後の塗膜の表面滑り性が低下し、塗膜の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が15質量%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性に劣り、コート材として使用する際に、塗布時にハジキ等が発生し易くなる場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、1〜10質量%とするのがより好ましく、1〜8質量%とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
(v)構造単位(f)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。
(f)下記式(8)で表される構造単位。
Figure 2007229999
[式(8)中、R18は乳化作用を有する基を示す]
式(8)において、R18の乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、かつ、親水性基がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル構造である基が好ましい。
このような乳化作用を有する基の例としては下記式(9)で表される基が挙げられる。
Figure 2007229999
[式(9)中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜50の数を示す]
構造単位(f)は、反応性乳化剤を重合成分として用いることにより導入することができる。このような反応性乳化剤としては、下記式(10)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007229999
[式(10)中、n、m及びuは、上記式(9)と同様である]
尚、構造単位(f)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体に対し、0〜30質量%とすることが好ましい。この理由は、構造単位(f)を重合体に導入することにより、水酸基含有含フッ素重合体の溶剤への溶解性が向上し、一方、含有率が15質量%以内であれば、硬化性樹脂組成物の粘着性が過度に増加せず、取り扱いが容易になり、コート材等に用いても耐湿性が低下しないためである。
また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0〜25質量%とするのがより好ましく、0〜20質量%とするのがさらに好ましい。
(vi)分子量
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
低屈折率層形成用組成物中における(C−1)水酸基含有含フッ素重合体の含有量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、10〜90質量%である。この理由は、含有量が10質量%未満となると、低屈折率層形成用組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためであり、一方、含有量が90質量%を超えると、組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(C−1)成分の添加量を20〜85質量%とするのがより好ましく、30〜80質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、低屈折率層形成用組成物の好ましい態様(2)において、含フッ素重合体として用いる。
(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、フッ素系オレフィンの重合物である。エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を含有することにより低屈折率層形成用組成物は低屈折率、防汚性、耐薬品性、耐水性等の反射防止膜用低屈折率材料としての基本性能を発現する。
好ましくは、(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、側鎖水酸基が(メタ)アクリル系化合物で変性されている。さらに好ましくは、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物によって変性されている。このような変性により、ラジカル重合性(メタ)アクリル化合物と共架橋化することができ、耐擦傷性が向上する。
(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを反応させて得られるものであることが好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体としては、上記(C−1)水酸基含有含フッ素重合体を用いることが好ましい。
(1)1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物
1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。
尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。
また、上記エチレン性不飽和基として、後述する硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、このような化合物は、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて合成することもできる。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等として入手することができる。
(3)反応モル比
(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、上述した、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、(C−1)水酸基含有含フッ素重合体とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.1〜1.9の割合で反応させるのが好ましい。この理由は、モル比が0.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、0.1〜1.5とするのがより好ましく、0.2〜1.5とするのがさらに好ましい。
低屈折率層形成用組成物中における(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の含有量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、10〜95質量%である。この理由は、添加量が10質量%未満となると、低屈折率層形成用組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためであり、一方、添加量が95質量%を超えると、組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(C−2)成分の含有量を20〜85質量%とするのがより好ましく、30〜80質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(D)架橋剤
低屈折率層形成用組成物に用いられる(D)架橋剤は、組成物を、紫外線照射又は加熱することにより、互いに及び/又は他の成分との間で架橋を形成することができる化合物である。(D)架橋剤を含有することにより、低屈折率層形成用組成物を硬化させてなる硬化膜は、高い硬度、耐擦傷性を発現することができる。
(D−1)熱硬化性化合物
熱硬化性化合物は、低屈折率層形成用組成物の好ましい態様(1)において、(D)架橋剤として用いられる。
低屈折率層形成用組成物において、(D−1)熱硬化性化合物は上記(C)含フッ素重合体と単に混合して含めてもよいし、(C)含フッ素重合体と(D−1)熱硬化性化合物との全部を反応させた反応生成物若しくはそれらの一部のみを反応させた状態のものを含めてもよい。
(D−1)熱硬化性化合物としては、例えば、各種アミノ化合物や、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、グリコール等の各種水酸基含有化合物、その他を挙げることができる。
(D−1)熱硬化性化合物として用いられるアミノ化合物は、(C)含フッ素重合体中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に液状硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。熱硬化性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
低屈折率層形成用組成物中における(D−1)熱硬化性化合物の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、5〜80質量%の範囲であり、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%の範囲である。(D−1)熱硬化性化合物の含有量が過少であると、得られる低屈折率層形成用組成物により形成される薄膜の耐久性が不十分となる場合があり、80質量%を超えると、(C)含フッ素重合体との反応においてゲル化を回避することが困難であり、硬化物が脆いものとなる場合がある。
(C)含フッ素重合体と(D−1)熱硬化性化合物との反応は、例えば、(C)含フッ素重合体を溶解させた有機溶剤の溶液に(D−1)熱硬化性化合物を添加し、適宜の時間加熱、攪拌等により反応系を均一化させながら行えばよい。この反応のための加熱温度は、好ましくは30〜150℃の範囲であり、さらに好ましくは50〜120℃の範囲である。この加熱温度が30℃未満では、反応の進行が極めて遅く、150℃を超えると、目的とする反応の他に、熱硬化性化合物中のメチロール基やアルコキシ化メチル基同士の反応による橋掛け反応が生じてゲルが生成するので、好ましくない。反応の進行は、メチロール基又はアルコキシ化メチル基を赤外分光分析等により定量する方法、あるいは溶解している重合体を再沈殿法によって回収して、その増加量を測定することにより、定量的な確認を行うことができる。
また、(C)含フッ素重合体と(D−1)熱硬化性化合物との反応には、有機溶剤、例えば、(C)含フッ素重合体の製造において用いられる有機溶剤と同じもの用いることが好ましい。本発明においては、このようにして得られる、(C)含フッ素重合体と(D−1)熱硬化性化合物による反応溶液を、そのまま低屈折率層形成用組成物の溶液として用いることもできるし、必要に応じて各種の添加剤を配合した上で使用することもできる。
(D−2)多官能(メタ)アクリレート
多官能(メタ)アクリレートは、低屈折率層形成用組成物の好ましい態様(2)において、(D)架橋剤として用いる。
多官能(メタ)アクリレートは、ハードコート層形成用組成物の成分(B)の多官能(メタ)アクリレートと同じものを用いることができるので、ここでは説明を省略する。
尚、低屈折率層形成用組成物中における(D−2)多官能(メタ)アクリレートの含有量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、1〜60質量%の範囲であり、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%の範囲である。(D−2)多官能(メタ)アクリレートの含有量が過少であると、硬化膜が耐擦傷性に劣る場合があり、60質量%を超えると、硬化膜の屈折率が高くなってしまう場合がある。
(H)シリカを主成分とする粒子
低屈折率層形成用組成物には、シリカを主成分とする粒子(B)を配合することができる。シリカを主成分とする粒子(以下、「シリカ粒子」又は「(H)シリカ粒子」ということがある)を配合することにより、低屈折率層の屈折率を低く抑えつつ、耐擦傷性を向上させることができる。シリカ粒子の数平均粒径は、透過型電子顕微鏡による測定で10〜100nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。粒子の数平均粒径が20nmより小さいと、耐擦傷性が劣り、100nmより大きいと、塗膜のヘイズが高くなる。
(H)シリカ粒子は、単一の数平均粒径を有する1種類を単独で用いてもよいし、異なる数平均粒径を有する2種以上のものを混合して用いてもよい。
シリカ粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。固形分が10〜40質量%のコロイダルシリカが好ましい。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、MEK−ST−S、MEK−ST−L、IPA−ZL、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。
また、コロイダルシリカ表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1−トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1−トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
(H)シリカ粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物(以下、「特定有機化合物(S)」ということがある。)によって表面処理がなされたものであることが好ましい。かかる表面処理により、前記成分(D−2)等のUV硬化系アクリルモノマーと共架橋化することができ、耐擦傷性がより向上する。
特定有機化合物(S)については、ハードコート層形成用組成物で用いる(E)金属酸化物を表面処理するために用いるものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
低屈折率層形成用組成物中における(H)成分の含有量は、特定有機化合物(S)によって表面修飾されていない場合であっても、表面修飾されている場合であっても、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、1〜70質量%配合され、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。尚、(H)成分の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
(I)硬化触媒
好ましい態様1で用いられる硬化触媒としては、例えば熱酸発生剤を挙げることができる。熱酸発生剤は、当該組成物の塗膜等を加熱して硬化させる場合に、硬化反応を促進させることができる物質であり、またその加熱条件を、より穏和なものに改善することができる物質である。この熱酸発生剤としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている各種酸類やその塩類を利用することができる。具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
低屈折率層形成用組成物中における(I)成分の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。(I)成分の含有量が0.1質量%未満であると、擦傷性が劣るおそれがあり、10質量%を超えると、可塑化のおそれがある。
(J)光重合開始剤
好ましい態様2で用いる(J)光重合開始剤は、特に限定されず、ハードコート層形成用組成物で用いる(F)光重合開始剤と同様のものを用いることができるため、ここでは説明を省略する。
ハードコート層形成用組成物中における(J)成分の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、0.1〜10質量%配合され、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がさらに好ましい。光重合開始剤の配合割合が過小であると、光重合が開始されず、逆に10質量%を超えると、触媒が硬化膜中で可塑剤として作用してしまい、透明性が損なわれたり、十分な機械的強度が得られなかったりするため好ましくない。
(K)有機溶剤
低屈折率層形成用組成物は、さらに有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤を含有することにより、薄膜の低屈折率層を均一に形成することができる。低屈折率層形成用組成物で用いられる(K)有機溶剤は、ハードコート層形成用組成物で用いられる(G)有機溶剤と同様であるため、ここでは説明を省略する。
低屈折率層形成用組成物中における(K)有機溶剤の含有量は特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量100質量部に対し、100〜100,000質量部とするのが好ましい。この理由は、含有量が100質量部未満となると、低屈折率層形成用組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、含有量が100,000質量部を超えると、組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
その他の添加剤
低屈折率層形成用組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、各種の添加剤をさらに含有させることも好ましい。添加剤の種類については、ハードコート層形成用組成物で用いられる添加剤と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(2)低屈折率層形成用組成物の調製方法
低屈折率層形成用組成物は、上記(C)含フッ素重合体、及び(D)架橋剤、及び、必要に応じて、上記(H)成分、上記(I)成分、上記(J)成分、(K)有機溶剤、及び添加剤をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
(3)低屈折率層形成用組成物の塗膜形成方法
低屈折率層形成用組成物から塗膜を形成する場合、基材(適用部材、即ち、本発明の反射防止積層体においては、ハードコート層を形成した基材フィルム)に対してコーティングすることが好ましい。このようなコーティング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等の方法を用いることができる。
(4)低屈折率層形成用組成物からなる塗膜の硬化方法
前記好ましい態様1の低屈折率層形成用組成物の場合には、その塗膜を加熱することにより硬化させる。加熱条件は特に制限されないが、例えば、30〜200℃で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材や形成される硬化膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に優れた硬化膜を得ることができる。好ましくは、50〜180℃で、2〜120分間、より好ましくは、80〜150℃で、2〜60分間加熱する。
前記好ましい態様2の低屈折率層形成用組成物の場合には、その塗膜に紫外線を照射することにより硬化させる。紫外線照射は、例えば、紫外線照射装置(メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等)を用いて、0.001〜10J/cmの光照射条件のもとで行なうことができるが、照射条件はこれに限定されない。0.01〜5J/cmがより好ましく、0.1〜3J/cmがさらに好ましい。また、紫外線により硬化させる場合には、硬化速度を向上させることができる放射線(光)重合開始剤を添加することが好ましい。
尚、硬化膜の硬化程度は、ゲル化率を、ソックスレー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明がこれらの実施例に制約されるものではない。また、以下の説明において「部」及び「%」は、特にことわらない限り、それぞれ質量部及び質量%を示す。
(製造例1)
特定有機化合物の合成
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン23.0部、ジブチルスズジラウレート0.5部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート60.0部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)202.0部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで特定有機化合物を含む反応性組成物(S−1)285部(反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート80.8部を含む)を得た。
生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザーの吸収ピーク及びイソシアネート基に特徴的な2260カイザーの吸収ピークが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660カイザーのピーク及びアクリロイル基に特徴的な1720カイザーのピークが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有する特定有機化合物が生成していることを示した。
(製造例2)
アクリル変性シリカ粒子の調製
製造例1で合成した反応性組成物S−1 8.7部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST−L(数平均粒子径0.020μm、シリカ濃度30%))91.3部(固形分27.4部)、イオン交換水0.1部、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を用いて粒子分散液E−1を得た。E−1の固形分含量を求めたところ、25質量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、20nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(製造例3)
ハードコート層形成用組成物1の調製
紫外線を遮蔽した容器中において、製造例2で合成したE−1を120部(固形分として30部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート65部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン5部、MIBK10部を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、50質量%であった。
(製造例4)
ハードコート層形成用組成物2の調製
紫外線を遮蔽した容器中において、製造例2で合成したE−1を120部(固形分として30部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート65部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン5部、(A)成分として共栄社製多官能フッ素モノマーB0.1部、MIBK10部を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、50質量%であった。
(製造例5〜15)
ハードコート層形成用組成物3〜13の調製
製造例4において、(A)成分を表4に示す化合物、添加量に変更した以外は同様の操作を行い、ハードコート層形成用組成物3〜13を得た。
(製造例16)
水酸基含有含フッ素重合体(C−1)の合成
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル36.1g、ヒドロキシエチルビニルエーテル44.0g、過酸化ラウロイル1.00g、上記式(7)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)6.0g及びノニオン性反応性乳化剤(NE−30(商品名)、旭電化工業(株)製)20.0gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン120.0gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、固形分濃度26.4%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの水酸基含有含フッ素重合体を得た。これを水酸基含有含フッ素重合体(C−1)とする。使用した単量体と溶剤を表1に示す。
Figure 2007229999
得られた水酸基含有含フッ素重合体(C−1)に付き、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量及びアリザリンコンプレクソン法によるフッ素含量をそれぞれ測定した。また、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果、元素分析結果及びフッ素含量から、水酸基含有含フッ素重合体を構成する各単量体成分の割合を決定した。結果を表2に示す。
Figure 2007229999
尚、VPS1001は、数平均分子量が7〜9万、ポリシロキサン部分の分子量が約10,000の、上記式(7)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサンである。NE−30は、上記式(10)において、nが9、mが1、uが30であるノニオン性反応性乳化剤である。
さらに、単量体と構造単位との対応関係は以下の通りである。
単量体 構造単位
ヘキサフルオロプロピレン (a)
パーフルオロ(プロピルビニルエーテル) (a)
エチルビニルエーテル (b)
ヒドロキシエチルビニルエーテル (c)
NE−30 (f)
ポリジメチルシロキサン骨格 (d)
(製造例17−1)
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(メタクリル変性フッ素重合体)((C−2−1)成分)の合成
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例16で得られた水酸基含有含フッ素重合体(C−1)を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)370gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体(C−1)がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。
次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート15.1gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(C−2−1)のMIBK溶液を得た。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0質量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
(製造例17−2)
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(アクリル変性フッ素重合体)((C−2−2)成分)の合成
製造例17−1と同様に製造例16で得られた水酸基含有含フッ素重合体(C−1)を50.0g、2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK362g、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを13.7g、ジブチルチンジラウレート0.1gを用いて反応を行い、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(C−2−2)のMIBK溶液を得た。固形分含量を求めたところ、15.0質量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
Figure 2007229999
(製造例18)
アクリル変性シリカ粒子の調製
製造例1で合成した特定有機化合物(S−1)8.7部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST―L(数平均粒子径45nm、シリカ濃度30%)91.3部(固形分27.4部)及びイオン交換水0.1部の混合液を、80℃、3時間撹拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで粒子分散液を得た。固形分含量を求めたところ、32重量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、45nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(製造例19)
低屈折率層形成用組成物Aの調製
製造例16で合成した水酸基含有含フッ素重合体を70.0g、架橋性化合物のメトキシ化メチルメラミン「サイメル300」(製品名、三井サイテック製)10g、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST―L(数平均粒子径45nm、シリカ濃度30%)50.0g(固形分として15g)、酸触媒としてキャタリスト4040(芳香族スルホン酸、日本サイテック製) 5g、MIBK1865gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、23℃にて1時間攪拌し均一な硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物の固形含有量を求めたところ5%であった。
(製造例20)
低屈折率層形成用組成物Bの調製
製造例17−1で得たエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(C−2−1)のMIBK溶液を507g((A)成分の固形分として76g)、製造例18で得られたシリカを主成分とする粒子を34g(固形分として11g)、少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物(以下「多官能(メタ)アクリレート化合物」という。)としてジペンタエリスリトールペンタアクリレート(日本化薬製)10g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)3g、及びMIBK1446gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌し均一な硬化性樹脂組成物を得た。また、製造例2の方法により固形分濃度を求めたところ5重量%であった。
(製造例21)
含フッ素重合体(A−1)の合成
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル36.1g、ヒドロキシエチルビニルエーテル44.0g、過酸化ラウロイル1.00g及びノニオン性反応性乳化剤(NE−30(商品名)、旭電化工業(株)製)20.0gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン120.0gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、固形分濃度26.4%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの水酸基含有含フッ素重合体を得た。これを含フッ素重合体(A−1)とする。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0質量%であった。
(実施例1)
反射防止積層体1の製造
(1)ハードコート層の形成
片面易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムA4100(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)の易接着処理面に、製造例3で調製したシリカ含有ハードコート層用組成物を、ワイヤーバーコータ(#7)を用いて塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.9J/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、硬化性樹脂組成物塗工用基材を作製した。この基材上のハードコート層の膜厚を触針式表面形状測定器により測定したところ、3μmであった。
(2)低屈折率層の形成
製造例20で調製した低屈折率層形成用組成物Bをワイヤーバーコータを用いて上記(1)のハードコート上に膜厚0.1μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素気流下、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、反射防止積層体を作製した。
(実施例2〜4、6〜12及び比較例1)
反射防止積層体2〜4及び6〜13の製造
ハードコート層の形成に、表4に示す組成のハードコート層形成用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして反射防止積層体2〜4及び6〜13を製造した。
(実施例5)
反射防止積層体5の製造
(1)ハードコート層の形成
表4に示す組成のハードコート層形成用組成物を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にハードコートを形成した。
(2)低屈折率層の形成
製造例19で調製した低屈折率層形成用組成物Aをワイヤーバーコータを用いて上記(1)のハードコート上に膜厚0.1μmとなるように塗工し、140℃で1分間加熱し、塗膜を形成した。
(比較例2)
反射防止積層体14の製造
表4に示す組成のハードコート層形成用組成物を用いてハードコート層を形成した以外は実施例5と同様にして反射防止積層体14を製造した。
(反射防止膜特性の評価)
上記実施例及び比較例で得られた反射防止積層体の反射防止膜特性を、下記項目について評価した。
(1)外観の評価
得られた反射防止積層体の外観を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表4に示す。
○:塗布ムラなし
△:若干塗布ムラあり
×:全面に塗布ムラあり
(2)反射率
得られた反射防止積層体の裏面を黒色スプレーで塗装し、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を基材側から測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止積層体(反射防止フィルム)の反射率を測定し、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
◎:反射率が2.3%以下である。
○:反射率が2.3%を超え2.5%以下である。
△:反射率が2.5%を超え2.7%以下である。
×:反射率が2.7%を超える。
(3)耐擦傷性テスト(耐スチールウール性)
得られた反射防止積層体の表面(低屈折率層表面)を、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該表面における傷の発生の有無を、以下の基準により目視で確認した。結果を表4に示す。
◎:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
○:硬化膜にわずかな細い傷が認められる。
△:硬化膜全面に筋状の傷が認められる。
×:硬化膜の剥離が生じる。
Figure 2007229999
表4に記載の製品は下記のものを示す。
Irg.907:化合物名:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光重合開始剤
多官能フッ素モノマーB:試作品、共栄社製フッ素アクリレート
多官能フッ素モノマーA:試作品、共栄社製フッ素アクリレート
LINC−1001:商品名、共栄社製フッ素アクリレート
CN4000:商品名、サートマー社製フッ素アクリレート
メガファックF−470:商品名、大日本インキ社製パーフルオロアルキル基含有オリゴマー
メガファックF−1405:商品名、大日本インキ社製パーフルオロアルキル基含有オリゴマー
含フッ素ポリマー(A−1):製造例21
表4の結果から、ハードコート層に(A)含フッ素化合物を含有する実施例1〜12では、低屈折率層が、UV硬化性組成物から形成された場合も、熱硬化性組成物から形成された場合も、外観及び反射率を維持したまま耐スチールウール性に優れた反射防止積層体が得られることがわかる。
本発明の反射防止積層体は、耐擦傷性、特に耐スチールウール性に優れ、特に反射防止膜として有用である。
本発明の一実施形態による反射防止膜の断面図である。
符号の説明
10 反射防止膜
12 基材
16 ハードコート層
18 低屈折率層

Claims (7)

  1. 透明基材上に、ハードコート層、低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止積層体であって、
    該ハードコート層が、(A)含フッ素化合物と(B)多官能(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物の塗膜に紫外線を照射することにより硬化させてなり、
    該低屈折率層が、(C)含フッ素重合体と(D)架橋剤を含む硬化性組成物の塗膜に紫外線照射又は加熱により硬化させてなることを特徴とする反射防止積層体。
  2. 前記ハードコート層形成用の硬化性組成物中の(A)含フッ素化合物の含有量が、溶剤を除く組成物全量に対して、0.1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体。
  3. 前記ハードコート層形成用の硬化性組成物が、さらに(E)金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止積層体。
  4. 前記(E)金属酸化物粒子が、重合性不飽和基を含む有機化合物(S)によって表面修飾されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
  5. 前記ハードコート層形成用の硬化性組成物が、さらに(F)光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
  6. 前記低屈折率層が、前記(C)含フッ素重合体として(C−1)水酸基含有含フッ素重合体、前記(D)架橋剤として(D−1)熱硬化性化合物、(H)シリカを主成分とする粒子、(I)硬化触媒を含有する硬化性組成物の塗膜を硬化させてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
  7. 前記低屈折率層が、前記(C)含フッ素重合体として(C−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、前記(D)架橋剤として(D−2)多官能(メタ)アクリレート、(H)シリカを主成分とする粒子、及び(J)光重合開始剤を含有する硬化性組成物の塗膜を硬化させてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
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