JP2007227973A - 光遅延素子、照明光学装置、露光装置及び方法、並びに半導体素子製造方法 - Google Patents

光遅延素子、照明光学装置、露光装置及び方法、並びに半導体素子製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】角度ずれがあったとしても性能に大きな影響を与えない。
【解決手段】 コヒーレント光源からの光束を分割し、分割された一方の光束を遅延光路に廻し、再び分割した光路に戻す光遅延素子であって、前記光遅延素子の入り口と出口とを共役にする凹面鏡を有する光遅延素子を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体素子を製造する露光装置に関し、特に露光装置に用いられる照明光学装置に用いられる光遅延素子に関する。
従来の照明光学装置は、例えば、特開平1−198759号公報(特許文献1)に開示されたものがある。
一般に、レーザー光源の半値幅をΔλ、波長をλとすると、時間的可干渉長(コヒーレンス長)tcは、
tc=λ2 /Δλ
で与えられる。波長λ=248nmで半値幅Δλ=0.8pmの場合は時間的コヒーレンス長tc=77mmとなり、波長λ=248nmで半値幅Δλ=0.6pmの場合は時間的コヒーレンス長tc=103mmになる。そこで、従来では、図10に示されるように、光路中に、ハーフミラー及び反射部材からなる光遅延素子を挿入することで、コヒーレンス長以上の光路差を設け、可干渉性(コヒーレンシー)の低減をはかっていた。光遅延素子は、原理的には遅延光路中を無限回廻って光が出てくるが、ハーフミラーの反射率や反射部材の反射率等から、ハーフミラー反射率をを33%から50%程度に設定することが一般的である。この様な反射率に設定することで、1パーセント程度の光エネルギーまで取ると、光遅延素子をおおむね2回から3回廻って出てくる光まで使用することが出来る。
特開平1−198759号公報
従来の光遅延素子では、角度ずれがあったときの影響について何ら考慮されていなかった。
そこで、本発明は、角度ずれがあったとしても性能に大きな影響を与えないことを目的とする。
本発明では、コヒーレント光源からの光束を分割し、分割された一方の光束を遅延光路に廻し、再び分割した光路に戻す光遅延素子であって、前記光遅延素子の入り口と出口とを共役にする凹面鏡を有する光遅延素子を提供する。
また、本発明では、上記の光遅延素子を備え、前記コヒーレント光源からの光に基づいて被照射面を照明することを特徴とする照明光学装置を提供する。
また、本発明では、上記の照明光学装置と、前記照明光学装置によって照明されたパターンを基板に投影する投影光学系とを有することを特徴とする露光装置を提供する。
また、本発明では、上記の照明光学装置によりパターンを照明し、前記パターンを投影光学系を用いてウエハ上に投影露光することを特徴とする露光方法を提供する。
また、本発明では、上記の照明光学装置によりパターンを照明し、前記パターンを投影光学系を用いてウエハ上に投影露光することを特徴とする半導体素子製造方法を提供する。
以上のように、本発明により、角度ずれがあったとしても性能に大きな影響を与えないことができる。
エキシマレーザーは、スペクトル分布の半値幅を狭くする為に、回折格子(グレーティング)Gを用いている。この様に、グレーティングGを内部に有しているレーザー光源の場合には、図9に示すように、分光部分の射出スリットS上(例えば、図9(a)の+p/2、0、−p/2位置)に、波長分布が生じる。つまり、分光部分の射出スリット上に形成された微小な光源のスペクトル分布が多数集まって、光源全体のスペクトル分布が形成されている。
この様に、微小な素光源が多数集まって形成されていると考えられる光源の場合で、隣合う微小な光源が分離して観察できる空間分解能p(これはエキシマレーザーの発散角ωからおおよそ推定でき、p〜λ/ωである)がスリット幅Pよりも細かい(小さい)ときには、可干渉長を、この空間分解能内での波長分布Δλpから求まる可干渉長tcp
tcp=λ2 /Δλp
で考える必要がある。(ここで、tc<tcpである。)その理由は、遅延素子によって、このスリットの像が多数生成されると、遅延の光路長がスリットの全波長分布から決まる可干渉長tcでしかない場合、各スリット像の任意の空間分解能サイズからの光は互いに干渉するからである。そしてこの干渉に因って被照射面上に干渉縞やスペックルを発生する事になる。
例えば、従来の技術のところで述べたエキシマレーザーの場合、半値幅Δλ=0.8pmの場合はtcp=154mmとなり、半値幅Δλ=0.6pmの場合はtcp=206mmになる。
本発明では、光遅延素子の遅延光路の光路長を、コヒーレント光源のスリットの空間分解能内の光の波長分布で決まる可干渉長tcpより長くする事により、または被照射面であるレチクルと共役な光源近傍の位置での空間分解能内の光の波長分布で決まる可干渉長tcpより長くする事により、照明むらを無くすことが出来る。
尚、上記説明では、分光部分の射出スリット上に波長分布が生じる、と説明したが、射出光束が波長分布を生じるような特性となっいればよい。また、上記説明では、エキシマレーザーを例に採ったが、エキシマレーザーのみならず、微視的にコヒーレント素光源が多数集まって形成された特性のコヒーレント光源であれば、本発明を適用することが有効であり、コヒーレンスの低減を行うことができる。
以下に、本発明による照明光学装置の基本的配置の実施例を、図1を参照しながら説明する。ここに示す実施例の照明光学装置は、光路順に、エキシマレーザー1、デポラライザー3、第1の光遅延素子4、第2の光遅延素子5及びフライアイオプティカルインテグレータ7を配置している。尚、これらの素子の間には、照明光学装置のチャンバー内の空間を有効に活用するため、幾つかミラーが配置されており、光路は折り曲げられている。
デポラライザー3は、図2に示すように、偏光ビームスプリッタ31、34及び反射ミラー32、33からなっている。偏光ビームスプリッタ31は入射光線を、P偏光及びS偏光に分離して射出する。そして、P偏光は、偏光ビームスプリッタ31、偏光ビームスプリッタ34の順に進行し、S偏光は、偏光ビームスプリッタ31、反射ミラー32、反射ミラー33、偏光ビームスプリッタ31の順に進行する。ここで、偏光ビームスプリッタ31及び34は、石英基板等に薄膜を施し、入射角がほぼブリュースターアングル56.5度から、薄膜の設計によっては65度近傍までなるように傾けて使用し、主にS偏光を反射させP偏光を透過させる。さらに、反射したS偏光を、反射ミラー31で光路を光路長が前記のスリットの空間分解能内の波長分布できまるコヒーレンス長tcp=154mm以上になる距離分だけ離してある。そして、S及びPの両偏光は、ビームスプリッタ34で再び同一光路に戻る。
このデポラライザー3の働きでP偏光とS偏光とは振幅の干渉作用が無くなるが、P偏光、S偏光からそれぞれ派生した円偏光同士、楕円偏光同士も振幅の干渉が無くなる。そのため、不図示のウエハ上でもデポラライズされた状態が達成できる。
デポラライザー3の調整は、一般には、単体ではオートコリメータを使用して、角度を合わせている。そのため反射ミラーの表面にはエキシマ光を反射する反射膜を蒸着し、裏面には可視光を反射する反射膜を蒸着する。この様な反射膜を蒸着した反射ミラーを用いることで、従来のように、デポラライザー部分を抜き出して調整し、再び光路中へ戻すといった工程を無くすことができる。この様に、本実施例中のデポラライザー3の調整は、光路に配置したままオートコリメータによる調整を行うことができる。偏光度の調整は全体を光軸回りに回転させることで調整する。
光遅延素子4は、図3(a)に示すように、ハーフミラー41及び3枚の反射ミラー41、42、43で構成され、ハーフミラー40を反射した光と透過した光とで2dの光路差が生じるように配置されている。このようにすれば、分割された波連において偏光を除去でき、コヒーレンシーを低減できるようになるからである。また、本実施例では、ハーフミラー41を最初に透過する光線を基本光線としている。ここで、ハーフミラー41の反射率は、平均で33%から50%程度である。
さらに、第2の光遅延素子5は、図3(b)に示すように、ハーフミラー51及び3枚の反射ミラー52、53、53で構成され、6dの光路差が生じるように設定してある。また、第1の光遅延素子4同様に、ハーフミラー51を最初に透過する光線を基本光線としている。このように、第1の光遅延素子4の遅延光路長と第2の光遅延素子5の遅延光路長とを設定すれば、表2に示すように、9つの分割光において光路差が同一とならないように出来る。このように、ほぼ光を時間的に、1パーセント以上の光なら、9分割することでコヒーレンシーの低減がはかれる。0.1パーセント以上の光なら、18分割することが好ましい。
Figure 2007227973
さらに、図4に示すように、両光遅延素子の光入射方位を第1と第2とで直交させ、しかも、一回中を通るたびに角度θが付く様に設定すると、フライアイ6に入射する光束は、ほぼ1パーセント以上で9つの光に分割される。これによりエネルギーが低減されるだけでなく、ウエハ上でのスペックルをシフトさせる効果がある。
また、ハーフミラーの反射率はP偏光入射とS偏光入射とでは異なるため、図5に示す様に、方位を直交させることで、第1と第2の合成の反射率はP偏光とS偏光とでほぼ同じになる。従って、フライアイに入射する光束の偏光状態はあまり変化しないという効果もある。さらに、図6に示す様に、直接光bと反射光c及びdとで光のプロファイルが反転するようにしてあるので、レーザー光のプロファイルを平均化する効果もある。
第1の光遅延素子4及び第2の光遅延素子5の反射ミラーは、表面に主波長であるエキシマ光を反射し、裏面には例えば緑色などの可視光を主に反射する薄膜が蒸着されている。これは、偏角を調整する時にオートコリメーターを使用して調整するようにするためで、調整時におのおののミラーを振って調整するが、調整用の工具ミラーなどを用いると、交換する時にずれが生じ、偏角が狂う恐れがある。エキシマ光と可視光を反射するミラーを用いることで、交換する必要が無くなる。
また、KrFエキシマレーザーの場合は、本願出願時点で、反射ミラーを使用できるが、ArFレーザーやそれ以下の波長の光源の場合、反射率があまり高くないので、ミラーを使用できない可能性がある。その場合は、図7に示すように、ミラーの代わりに、蛍石などの45度プリズム45、46、47、48、55、56、57及び、58を用いて、全反射を利用して光路を曲げてやればよい。
ここで、図7(b)に示すように、光遅延素子の中にリレーレンズ61及び62を配置すると、角度ずれが生じても性能に大きな影響を与えない光学系を構成することができる。また、リレーレンズの代わりに、ミラー自身を凹面鏡にして、入り口、出口を共役にしてやれば、同様に、角度ずれが生じても性能に大きな影響を与えない光学系を構成することができる。
更に、詳細な、半導体素子を製造する露光光装置全体の実施例を以下に示す。図9に示すように、投影露光装置に配置された照明光学装置の基本配置は前述の実施例の通りであるが、さらに詳しくは、デポラライーザー3と第1の光遅延素子4との間にリレーレンズ2を設け、第2の光遅延素子6とフライアイオプティカルインテグレータ7との間にエキスパンダー光学系6を有し、フライアイオプティカルインテグレータ7の射出側にはコンデンサーレンズ8が配置されている。
ここで、エキスパンダー光学系6は、シリンドリカルエキスパンダー及びエキスパンダーから構成されており、エキシマレーザー1の矩形形状を正方形形状にしている。また、フライアイオプティカルインテグレータ7は、第1フライアイ71と第2フライアイ72とから構成されている。第1フライアイ71は長方形形状のフライアイレンズ素子が規則的に配置されたもので、第2フライアイ72は、長方形形状のフライアイレンズ素子が不規則的に配置されたものである。フライアイオプティカルインテグレータ7を射出した光束は、コンデンサーレンズ8によって、被照射面であるレチクル9を均一にケーラー照明することになる。
そして、投影対物レンズ10を介して、露光面であるウエハ11がレチクル9と共役になっており、レチクル9のパターンがウエハ11面上に転写される。そのときの、倍率は、1/4または1/5が好ましく、実際の露光は、レチクル9及びウエハ11を走査して行う。
ここで、理想的には、スリットの空間分解能内の光の波長分布で決まる可干渉長tcpより長くする事が望ましいが、被照射面と共役な光源近傍の位置での空間分解能内の光の波長分布で決まる可干渉長tcpより長くする事でも良い。というのは、この共役面での光源像が遅延素子によって重畳されるので、ここでの可干渉距離tcpより長ければ、不要な干渉縞やスペックルは発生しないからである。また、ここでの可干渉距離は、一般にはスリット上での可干渉距離よりも短いと考えられ、より実際的な構成が達成できる。
図1は、本発明による照明光学装置を示す図である。 図2は、本発明によるデポーラライザーを説明した図である。 図3は、本発明による光遅延素子を説明した図である。 図4は、本発明による光遅延素子の作用を説明した図である。 図5は、本発明によるハーフミラーを示した図である。 図6は、本発明による光遅延素子の作用を説明した図である。 図7は、45度プリズムを用いた実施例を示した図である。 図8は、本発明による露光装置を示した図である。 図9は、エキシマレーザーの射出光分布を示した図である。 図10は、従来例の図である。
符号の説明
1 エキシマレーザー
2 リレーレンズ
3 デポラライザ
4 第1の光遅延素子
5 第2の光遅延素子
6 エキスパンダー光学系
7 フライアイオプティカルインテグレータ
8 コンデンサーレンズ
9 レチクル
10 投影対物レンズ
11 ウエハ

Claims (7)

  1. コヒーレント光源からの光束を分割し、分割された一方の光束を遅延光路に廻し、再び分割した光路に戻す光遅延素子において、
    前記光遅延素子の入り口と出口とを共役にする凹面鏡を有することを特徴とする光遅延素子。
  2. 前記凹面鏡は、角度ずれが生じても性能に大きな影響を与えない光学系を構成することを特徴とする請求項1に記載の光遅延素子。
  3. 前記遅延光路を経由した前記分割された一方の光束と、分割された他方の光束とは、所定の角度をなして射出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光遅延素子。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の光遅延素子を備え、前記コヒーレント光源からの光に基づいて被照射面を照明することを特徴とする照明光学装置。
  5. 請求項4に記載の照明光学装置と、前記照明光学装置によって照明されたパターンを基板に投影する投影光学系と、を有することを特徴とする露光装置。
  6. 請求項4に記載の照明光学装置によりパターンを照明し、前記パターンを投影光学系を用いてウエハ上に投影露光することを特徴とする露光方法。
  7. 請求項4に記載の照明光学装置によりパターンを照明し、前記パターンを投影光学系を用いてウエハ上に投影露光することを特徴とする半導体素子製造方法。
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