JP2007227403A - 携帯情報端末装置用キーシート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、多方向操作による複数入力が可能な多方向入力キーについて、操作面を深く押込ませるように力を加える入力操作ではない新規な多方向操作による複数入力を実現することにある。
【解決手段】外環キートップ7の挿通孔7fから突出する上部キートップ9と下向きに突起する押し子部10bを形成した下部キートップ10とを有する中央キートップ8を備える。この中央キートップ8は挿通孔7fの孔内面方向へスライド可能としてキーシート11に支持されている。そして、中央キートップ7をスライドさせると押し子部10bの押圧を受けてメンブレンスイッチ13の上部接点16bと下部接点14cが接触して入力が成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、携帯電話機、PDAなどの携帯用情報端末装置や、カーオーディオ、遠隔操作を行うリモコン等の電気機器の入力操作装置に備える入力キーに関し、特に単一の入力キーで多方向操作による複数入力が可能な多方向入力キーに関する。
前記のような電気機器の入力操作装置には、最近の電気機器の多機能化などの要請を受けて、単一の入力キーで多方向操作による複数入力が可能な多方向入力キーを装備する例が多い。このような多方向入力キーとしては、例えば携帯電話機などに見られるように、環形状の入力キーにおける環状操作面の上位置・下位置・右位置・左位置を押込んで複数入力を行うようにし、この各入力によって表示画面のスクロール操作や各種の項目の選択、カーソルの移動などを実行するものが知られている。また、特に携帯電話機ではゲームアプリケーションが大いに利用されているが、こうしたゲームアプリケーションで遊ぶ場合にも、そのような環状操作面を有する入力キーで複数入力を行うのが実情である。
しかしながら、前記のような多方向入力キーでは、環状操作面の上下左右の各位置をその上方から深く押込むように力を加える押圧操作を行わなければならず、操作者に比較的早く疲労感を生じさせることが多い、という問題がある。そのため、この多方向入力キーの使用頻度が高いことが想定されるような電気機器、例えば電子メールやゲームアプリケーションを利用できる携帯電話機やPDAなどの携帯用情報端末装置の入力操作装置としては、キーの小ささも相俟って使い勝手が良くなく、その改善を要望する声が特に強い。
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明であって、その目的は、深く押込ませるように力を加える入力操作ではなく、携帯用情報端末装置の入力操作装置として新規な多方向操作による複数入力が可能な多方向入力キーに用いるキーシートを提供することにある。
この目的を達成すべく本発明は外装部材に貫通形成した挿通孔から突出する上部を有すると共に下向きに突起する押し子部を形成した下部を有し、該挿通孔の孔内面方向へスライド可能なキートップと、キートップをスライドさせると押し子部の押圧を受けて入力される複数の接点入力部と、を備えるスライド式多方向入力キーを提供するものである。
本発明では、外装部材に貫通形成した挿通孔から突出する上部を有すると共に下向きに突起する押し子部を形成した下部を有し、該挿通孔の孔内面方向へスライド可能なキートップを備えている。そして、キートップをスライドさせると押し子部の押圧を受けて入力される複数の接点入力部を備えている。したがって、従来の多方向入力キーのような力を込めて深く押込む入力操作ではなく、大きな力が不要なキートップをスライドさせる入力操作により各接点入力部の入力が可能であるから、この入力操作を連続して行っても疲労感を大変少なくすることができ使い勝手も向上することができる。また、大きな力が不要なキートップのスライドによる入力操作であるため、携帯用情報端末装置などのように省スペース化の要請が特に強い電気機器の多方向入力キーとしても好適である。更に押込む入力操作ではないため、片手で入力操作をすることの多い携帯用情報端末装置の多方向入力キーとして本発明を適用すると、入力操作を安定して行うことができる。
このように本発明のスライド式多方向入力キーは、キートップのスライドにより押し子部の押圧を受けて接点入力部が入力されるものであるが、キートップをスライドさせる際にごく僅かの押込みもなくそのまま水平方向だけにスライドさせることは事実上不可能であって、実際に操作者が指でキートップをスライドをさせる際には、スライドさせるのに必要な操作抵抗を操作者が指で触感的に感じながらスライドさせることになる。このため本発明のスライド式多方向入力キーでは、スライドさせるのに必要な操作抵抗を得る限りにおいてキートップが若干押し込まれながら接点入力部が入力されるような場合もある。したがって、本発明においてキートップをスライドさせるために必要な押込む操作と、前述した従来例でいうところの多方向入力キーを入力するために力を込めて深く押込む操作とは、互いに区別される異質の操作である。
このようなキートップのスライドは、外装部材の挿通孔から突出するキートップをその挿通孔の孔内面(孔軸方向に沿う孔の内周面)と接触させて停止させることができる。ところが、キートップの外側面を挿通孔の孔内面と接触させると、接触部分に傷が付いてキートップの美観を損ねてしまうことがある。例えばキートップの表面が塗装されているような場合がその典型例であるが、このような問題を解決するために本発明のスライド式多方向入力キーについては、外装部材の裏面に、挿通孔と接触する前にキートップのスライドを停止させる止め突起を形成したものとして構成できる。
また、キートップは、その初期位置から挿通孔の孔内面方向への入力スライドと、入力スライドから初期位置に向かう戻り方向への復帰スライドとを行うが、この入力スライドと復帰スライドが可能となるようにキートップを支持する手段として、本発明では、初期位置にあるキートップを挿通孔の孔内面方向と初期位置への戻り方向とへスライド可能に支持するゴム状弾性体でなるキーシートを更に備えるものとした。そして、このキーシートをキートップと外装部材とに固着した。したがって、キーシートのゴム弾性を利用してキートップの入力スライドと復帰スライドの双方を確実に行うことが可能であり、またキートップと外装部材との間から塵や埃や水分が侵入しようとしても、キートップと外装部材とに固着したキーシートでシールすることができる。
このようなキートップとキーシートとの具体的な固着構造の一態様として、本発明では、キートップを上下で二分割した上部キートップと下部キートップとで構成し、上部キートップと下部キートップとでキーシートを挟み込ませて固着したものとすることができる。これによれば、上部キートップと下部キートップによりキーシートを挟み込んで固着したため、スライドを繰返しても脱離しない両部材の強固な固着を得ることができ、しかもシール性も更に向上できる。
キートップをスライド可能に支持するキーシートは、キートップに対する固着部分から裾広がりに形成した傾斜部と、この傾斜部の下端から上方へ曲折形成したアーチ状の湾曲部と、をキーシートに形成し、該湾曲部の外周側の立壁部を、内周側の立壁部と傾斜部よりも厚肉に形成したものとして構成できる。これによれば、キートップをスライドさせた際に、スライド方向側にある薄肉の内周側の立壁部と傾斜部との連続部分(傾斜部の下端)を、厚肉とした湾曲部における外周側の立壁部を支点として回動させて、厚肉の立壁部の下方に潜り込ませるように纏まりよく弾性変形させることができる。したがって、スライド時に弾性変形するキーシートが邪魔にならない。また、キートップが復帰スライドする際には、スライド方向側とそれとは反対側との両方で、この厚肉の外周側の立壁部が弾発的な復帰用の付勢力を発揮するので、キートップを確実に初期位置に戻すことができる。
以上のようなキートップのスライドにより入力される複数の接点入力部は、下部接点部を複数形成したベースフィルムと、該下部接点部に対応する上部接点部を複数形成した可撓フィルムと、ベースフィルムと可撓フィルムとの間に所定の間隙を形成するスペーサフィルムと、からなるメンブレンスイッチにて構成することができる。
そして、本発明については、初期位置にあるキートップの押し子部の下方に中央接点部を更に設けるようにして、このスライド式多方向入力キーを装備する電気機器の更なる多機能化に応じた複数操作の幅を拡大することができる。また、この場合には、キートップのスライド位置で中央接点部の上方に押し子部の底面が位置するようになっており、該押し子部で接点入力部の入力と中央接点部の双方を入力可能としてあると好ましい。これによれば、接点入力部の入力と共に中央接点部も入力できるため、複数操作の幅を更に拡大できる。なお、本明細書でいう「スライド位置」とは、キートップが初期位置すなわち何も操作を加えない状態にある位置からキートップをスライドさせた位置を意味し、スライドが完全に停止したキートップの位置であっても、スライドの途中におけるキートップの位置であっても何れでもよい。
また、本発明のスライド式多方向入力キーについては、更に従来型(押込み操作型)の入力キーを備えるようにすることで、複数操作の幅を更に拡大できるようにしてもよい。この場合には、キートップの挿通孔を貫通形成した「外装部材」として多方向入力可能な環形状の外環キートップを設けるようにする。その一方で「外装部材」は、本発明のスライド式多方向入力キーを装備する電子機器の筐体やブラケットその他の構造部材などによって構成してもよい。つまり本明細書でいう「外装部材」とは、キートップの上部(上部キートップ)を挿通させて突出させる挿通孔を形成した部材を意味するものである。
また、上記目的を達成すべく本発明は、挿通孔を有する外装部材に対する環状の固着部分と、挿通孔から突出する上部及び下向きに押し子部が突出する下部を有するキートップに対する固着部分と、これらの固着部分どうしの間に環状に形成されており、多方向で挿通孔の孔内面に向かう側方移動にてスライドするキートップをその側方移動方向に沿って弾性変形しつつ支持する非固着部分と、を有するシート状のゴム状弾性体にて形成されており、前記外装部材に対する環状の固着部分がキートップに対する固着部分を基点とするキートップの前記側方移動方向の延長上位置に形成されている携帯情報端末装置用キーシートを提供する。
さらに本発明は、挿通孔を有する外環キートップに対する環状の固着部分と、挿通孔から突出する上部及び下向きに押し子部が突出する下部を有するキートップに対する固着部分と、これらの固着部分どうしの間に環状に形成されており、多方向で挿通孔の孔内面に向かう側方移動にてスライドするキートップをその側方移動方向に沿って弾性変形しつつ支持する非固着部分と、を有するシート状のゴム状弾性体にて形成されており、前記外環キートップに対する環状の固着部分がキートップに対する固着部分を基点とするキートップの前記側方移動方向の延長上位置に形成されている携帯情報端末装置用キーシートを提供する。
これらのキーシートは、シート状のゴム状弾性体で形成された環状の固着部分を介してキートップと外装部材(外環キートップ)に固着される。このためキートップと外装部材(外環キートップ)との間から塵や埃や水分が侵入しようとしても、キートップと外装部材(外環キートップ)とに固着したキーシートでシールすることができる。
またそれらの固着部分どうしを繋ぐように環状に形成されており、多方向で該挿通孔の孔内面に向かう側方移動にてスライドするキートップをその側方移動方向に沿って弾性変形しつつ支持する非固着部分を有しており、前記外装部材(外環キートップ)に対する固着部分がキートップに対する固着部分を基点とするキートップの前記側方移動方向の延長上位置に形成されている。したがって、キートップの側方移動方向に沿って弾性変形するキーシートのゴム弾性を利用してキートップの入力スライドと復帰スライドの双方を確実に行うことが可能である。そして、このキーシートを備えるスライド式多方向入力キーは、従来の多方向入力キーのような力を込めて深く押込む入力操作ではなく、大きな力が不要なキートップをスライドさせる入力操作により接点入力部の入力が可能であるから、この入力操作を連続して行っても疲労感を大変少なくすることができ使い勝手も向上することができる。また、大きな力が不要なキートップのスライドによる入力操作であるため、携帯情報端末装置などのように省スペース化の要請が特に強い電気機器の多方向入力キーとしても好適である。更に押込む入力操作ではないため、片手で入力操作をすることの多い携帯情報端末装置の多方向入力キーとして本発明を適用すると、入力操作を安定して行うことができる。
本発明によれば、押込みによる入力操作ではなく、電気機器の入力操作装置として新規な多方向操作による複数入力が可能なスライド式多方向入力キーが得られる。即ち、外装部材に貫通形成した挿通孔から突出する上部を有すると共に下向きに突起する押し子部を形成した下部を有し、該挿通孔の孔内面方向へスライド可能なキートップと、初期位置にあるキートップをスライドさせると押し子部の押圧を受けて入力される複数の接点入力部と、を備える本発明によれば、大きな力が不要なキートップのスライド操作により接点入力部を入力可能であり、スライド操作を続けて行っても疲労感を少なくできる。
初期位置にあるキートップを挿通孔の孔内面方向と初期位置への戻り方向とへスライド可能に支持するゴム状弾性体でなるキーシートを更に備え、このキーシートをキートップと外装部材とに固着した本発明によれば、キーシートのゴム弾性を利用してキートップの入力スライドと復帰スライドを行うことが可能で、またキーシートでキートップと外装部材との間がシールされるため、塵や埃や水分などの異物を侵入を阻止できる。
外装部材の裏面に、挿通孔と接触する前にキートップのスライドを停止させる止め突起を形成した本発明によれば、キートップの美観を保持できる。
キートップを上下で二分割した上部キートップと下部キートップとで構成し、上部キートップと下部キートップとでキーシートを挟み込ませて固着した本発明によれば、スライドを繰り返しても脱離しない両部材の強固な固着を得ることができ、キーシートのシール性も更に向上できる。
キートップに対する固着部分から裾広がりに形成した傾斜部と、この傾斜部の下端から上方へ曲折形成したアーチ状の湾曲部と、をキーシートに形成し、該湾曲部の外周側の立壁部を、内周側の立壁部と傾斜部よりも厚肉に形成した本発明によれば、キートップの入力スライド時には、キーシートを纏まりよく弾性変形させることができる。また、復帰スライド時には、スライド方向側とそれとは反対側との両方で、厚肉とした外周側の立壁部が戻り方向への弾発的な復帰用の付勢力を発生するから、キートップを確実に初期位置に戻すことができる。
キートップのスライド位置で中央接点部の上方に押し子部の底面が位置するようになっており、該押し子部で接点入力部の入力と中央接点部の双方を入力可能とした本発明、また外装部材として多方向入力可能な環形状の外環キートップを設ける本発明によれば、複数操作の幅を更に拡大できる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態では、スライド式多方向入力キーを携帯電話機の入力操作装置に適用した例を説明するが、PDAなどの他の携帯用情報端末機や、車載用カーオーディオや、各種のリモコンなどのような他の電気機器の入力操作装置として適用できることは勿論である。
図1で示す1は折畳み式の携帯電話機で、スピーカと表示画面とを有する出力部2と、マイクと入力操作装置を有する入力部3とを備えている。このうち入力部3の筐体3aには入力操作装置としてのキーパッド4が内蔵されている。キーパッド4は、図示せぬ文字、数字、記号、図柄などを外観から見て取れる複数の押釦5と、この実施形態によるスライド式多方向入力キー6と、を設けたものである。
スライド式多方向入力キー6には、携帯電話機1の外観に現れる「外装部材」としての外環キートップ7と「キートップ」としての中央キートップ8が備わっている。外環キートップ7は硬質樹脂で形成されており、環状操作面7aを上から押込んで行う多方向操作により複数入力を行うものである。環状操作面7aには、図1で示す上、下、右、左の各位置に押込み操作を行う位置の視覚的、触感的な目安を操作者に与える半球状の窪み部7bが形成されている。また外環キートップ7の環状操作面7aは、図2で示すように、その窪み部7bを形成した外周部7cが最も高く、湾曲傾斜部7dを介して内周部7eを最も低くした形状となっていて、内周部7eの内側末端には平面視(図1)で円形の挿通孔7fが貫通形成されている。そして、湾曲傾斜部7dのちょうど反対面(裏面)には、下向きに突起する止め突起7gが、外環キートップ7の裏面から見て円環状に形成されている。この止め突起7gの外側部分には、外周部7cの中でも最も薄肉とされた逆さ溝7hが、外環キートップ7の裏面視で円環状に形成されている。
中央キートップ8は、スライドさせて行う多方向操作によって複数入力を行うものであり、別体として二分割した上部キートップ9と下部キートップ10で構成されている。上部キートップ9は、中実な断面ハット形形状として硬質樹脂で形成されている。その上面にはゆるやかな湾曲窪み面を呈する操作面9aが形成されており、スライドさせて行う多方向操作を良好に行うことができる。この操作面9aの外縁からは、裾広がり状に傾斜する外周面9bが形成されている。また、外周面9bの下端には外向きフランジ9cが形成されている。一方、下部キートップ10は、略円盤形状として硬質樹脂で形成したものである。この下部キートップ10の底面10aには下向きに台形状に突起する押し子部10bが、該底面10a側から見て円形に形成されている。
以上のような構成の外環キートップ7と中央キートップ8は、キーシート11に固着されている。即ち、外環キートップ7は、外周部7cにおける底面7iの全周がキーシート11に対して接合により固着している。また、中央キートップ8は、キーシート11に形成した円形の貫通孔11aとその孔縁周辺部11bの全周を、上部キートップ9と下部キートップ10とで上下から挟み込ませてキーシート11に対して接合により固着している。したがって、中央キートップ8と外環キートップ7との間から塵や埃や水分などの異物が侵入したとしても、外環キートップ7と中央キートップ8に固着したキーシート11でシールされた格好となるため、動作不良を引き起こす携帯電話機1の内部への侵入を防止できるようになっている。以上の固着を得るそれぞれの接合、および上部キートップ9と下部キートップ10との接合は、接着剤を用いた接合、溶着や熱融着による接合などのような化学的手段により成されている。なお、前述のキーシート11によるシール性をそれほど考慮しなくてもよければ、外環キートップ7の外周部7cの底面7iを部分的にキーシート11に固着してもよいし、クリップ止めネジ止めなどの機械的手段で固着してもよい。中央キートップ8は、このようなキーシート11に対する固着によってスライド可能に支持されている。
キーシート11は、シリコーンゴムや熱可塑性エラストマーなどのゴム弾性を有するゴム状弾性体で形成したものである。なお、キーシート11には図1で示すように他の押釦5も固着されており、図2ではそのスライド式多方向入力キー6の対応部分だけを部分的に表している。キーシート11は、前述の貫通孔11aと孔縁周辺部11bの他に、孔縁周辺部11bの外側末端から裾広がりに傾斜する傾斜部11cが形成されている。そして、傾斜部11c下端の外側には、曲折部11dを介して、内周側の立壁部11eと上壁部11fと外周側の立壁部11gからなる断面逆U字状(アーチ状)の湾曲部11hが、平面視で環状に形成されている。この湾曲部11hにおける外周側の立壁部11gは、傾斜部11c、内周側の立壁部11e、上壁部11fの何れの肉厚よりも厚肉に形成されている。また、こうした構成の湾曲部11hは、外環キートップ7の外周部7cの逆さ溝7hの空間内に収納されている。そして、外周側の立壁部11gの下端の外側には、前述したように外環キートップ7を固着させるキーシート11のベース部11iが形成されていて、その底面には下向き台形状に突起する4つの押し子部11j(図2で2つのみ図示)が形成されている。
キーシート11の下方にはプリント基板12が備わっている。プリント基板12には、キーシート11の押し子部11jの下方位置に、金属皿ばね12aとプリント基板12に形成した回路配線上に設けた接点12bによる接点入力部12cが形成されている。
また、中央キートップ8の下方にはメンブレンスイッチ13が備わっている。メンブレンスイッチ13は、何れも軟質樹脂で形成したベースフィルム14、スペーサフィルム15、可撓フィルム16の積層構造で構成されている。
ベースフィルム14には、図3の部分拡大図で示すように、中央に配置した金属皿ばね14a、回路配線上に設けた接点14b、金属皿ばね14aを中心とする放射状位置に設けた4つの下部接点14c、そしてそれらの配線14dが設けられている。
一方、可撓フィルム16には、金属皿ばね14aの上方を開放する平面視円形の露出孔16aが形成されており、その孔内(可撓フィルム16の厚み内)には下部キートップ10の押し子部10bの下端が入り込んだ状態とされている。また、露出孔16aの周囲には4つの下部接点14cにそれぞれ対応する上部接点16b(図2参照)と、その上部接点16bの配線(図示略)が形成されている。
また、スペーサフィルム15には、図3で示すような十字形状のフィルム除去孔15aが形成されている。このフィルム除去孔15aは、下部接点14cと上部接点16bが接触できるようにするためと、中央キートップ8のスライドによって下部キートップ10の押し子部10bの押圧を受ける可撓フィルム16を撓ませ易くするために設けたものである。
そして、このメンブレンスイッチ13における「中央接点部」としての金属皿ばね14aと接点14bとの導通によるオン/オフ信号、また「接点入力部」としての下部接点14cと上部接点16bとの導通によるオン/オフ信号は、それぞれの配線14dを介してプリント基板12に備える携帯電話機1のCPUで検知されて、中央キートップ8による入力/非入力がなされることになる。
次に、本実施形態のスライド式多方向入力キー6の動作を説明する。
中央キートップ8の入力スライド: 中央キートップ8の多方向操作による複数入力は、図4で示すように、中央キートップ8を上方向D1、下方向D3、右方向D2、左方向D4へ入力スライドさせることにより行う。ここでは左方向D4への入力スライドを説明するが、他の方向における入力スライドと復帰スライドの動作も同じである。中央キートップ8を左方向D4へ滑らせるようにスライドさせる操作を与えると、下部キートップ10の押し子部10bが、まずメンブレンスイッチ13の可撓フィルム16の露出孔16aの孔内面(孔軸方向に沿う孔の内周面)と接触する。このとき、押し子部10bは、滑り性が良い硬質樹脂で形成されており、しかもその外周面は傾斜面となっているため、露出孔16aに対して引っ掛からない。したがって、この接触があっても中央キートップ8はスムーズにスライドし続ける。
そして、この接触に続く入力スライドの過程では、押し子部10bが可撓フィルム16と滑り性良く摺動しながら、可撓フィルム16をベースフィルム14の近接方向へ押圧しつつ撓ませる。このとき可撓フィルム16の下にはスペーサフィルム15が存在しない。すなわちフィルム除去孔15aが位置している。したがって、可撓フィルム16は押し子部10bの押圧により容易に撓み変形する。この可撓フィルム16の撓み変形につられて上部接点16bも下方に変位し、ついには対応するベースフィルム14の下部接点14cと接触する。そして、図5で示すように、上部キートップ9の外向きフランジ9cが外環キートップ7の止め突起7gに対して突き当たると、中央キートップ8の入力スライドは停止して、完全に上部接点16bと下部接点14cとが接触する。
なお、上部キートップ9の外向きフランジ9cが止め突起7gと突き当たった状態では、上部キートップ9の外周面9bが外環キートップ7の挿通孔7fとは非接触のままである。したがって、携帯電話機1の外観に現れる上部キートップ9の外周面9bや外環キートップの挿通孔7fに傷が付着したり、塗装が剥げたりして美観が損なわれてしまうような不都合はない。
図5で示すように、入力スライドが停止した状態では、上部キートップ9の外向きフランジ9cの上面と外環キートップ7の内周部7eの裏面が重なり合ったままである。したがって、中央キートップ8が挿通孔7fから外れることがなく、しかもその部分からの異物の侵入を防ぐことができる。仮に侵入したとしても、外環キートップ7と中央キートップ8に固着したキーシート11でシールされた格好となるため、携帯電話機1の内部にまでは侵入できない。
中央キートップ8が図2で示す初期位置からスライドする過程とスライドが停止した図5で示す状態では、金属皿ばね14aの上方に押し子部10bの底面が位置している。したがって、「接点入力部」としての上部接点16bと下部接点14cとの接触による入力だけでなく、更に「中央接点部」としての金属皿ばね14aと接点14bとの接触による入力も可能である。この入力を行うには、中央キートップ8を押込む操作を行えばよい。すると、金属皿ばね14aが座屈によるクリック感を伴って接点14bと接触して入力が成される。
入力スライドの過程におけるキーシート11の挙動に着目すると、スライド方向側(図5の左側)におけるキーシート11の湾曲部11hの外周側の立壁部11gが厚肉とされているために、薄肉の上壁部11f、内周側の立壁部11e、傾斜部11cは、その厚肉の立壁部11gと薄肉の上壁部11fとの連続部分を回動支点として、曲折部11dが厚肉の立壁部11gの下方に潜り込むようにして全体的に回動する。したがって、スライド時に弾性変形するキーシート11は邪魔にならず纏まりよく弾性変形できる。
中央キートップ8の復帰スライド: 中央キートップ8を初期位置に復帰スライドさせるには、中央キートップ8に加えている操作力を開放する。すると、スライド方向側(図5の左側)とそれとは反対側(図5の右側)との両方で、厚肉の外周側の立壁部11gが戻り方向への弾発的な復帰用の付勢力を発生する。これにより中央キートップ8は自動して初期位置に復帰する。
以上、一例を挙げて説明した本実施形態のスライド式多方向入力キー6については、様々な細部の変更実施が可能である。
上記実施形態では、「外装部材」として外環キートップ7を設けて、携帯電話機1に適したより多くの複数入力を実現しているが省略してもよい。そして、外環キートップ7の換わりに筐体3aを「外装部材」として適用し、キーシート11のベース部11iを筐体3aに固着し、筐体3aの裏面に止め突起を設けるようにすればよい。
上記実施形態では、メンブレンスイッチ13を図3で示すような配線形態としたが、マトリックス状の配線形態としてもよい。「接点入力部」の数も4点ではなく配線形態を変更することでそれ以上としてもそれ以下としてもよい。また、メンブレンスイッチ13のベースフィルム14には「中央接点部」として金属皿ばね14aと接点14bを設けたが省略してもよい。
上記実施形態では、上部キートップ9と下部キートップ10とを別体として構成したが、一体として構成してもよい。この場合のキーシート11との固着方法としては、例えば一体構成の中央キートップの外周面にキーシート11の貫通孔11aの孔縁周辺部11bを差込ませる取付溝を設け、ここに孔縁周辺部11bを嵌合させて固着したり、また接着剤などの化学的手段や機械的手段を使って固着するようにしてもよい。また、上記実施形態では、上部キートップ9と下部キートップ10を熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬質樹脂で形成したが、例えば上部キートップ9を硬質樹脂で、下部キートップ10を合成ゴムや熱可塑性エラストマーなどの樹脂材料で形成したり、また上部キートップ9と下部キートップ10を共にそのような樹脂材料で形成してもよい。なお、下部キートップ10を前記樹脂材料で形成する場合には、高硬度であることなどといったスライド時の滑り性を良好に発揮できる特性を有する材料を利用するのが好ましい。スライド時の滑り性を良好にできない樹脂材料の場合には樹脂コーティングなどで滑り性を付与してもよい。
上記実施形態では、キーシート11の湾曲部11hの形状を断面逆U字状としたアーチ状に形成したが、断面逆V字状や断面円弧状など他のアーチ状として形成してもよい。
上記実施形態では、外環キートップ7の裏面に止め突起7gを設けたが、これを省略して中央キートップ8の外周面9bを外環キートップ7の挿通孔7fと突き当ててそのスライドを停止させるようにしてもよい。
上記実施形態では、中央キートップ8や外環キートップ7の色彩や文字、数字、記号、図柄などを表示する表示部については説明していないが、当然、着色部や表示部をそれらに設けるようにしてもよい。また照光式とする場合には、プリント基板12に内部光源を設けてもよい。
一実施形態によるスライド式多方向入力キーを備える携帯電話機の外観図。 図1で示すスライド式多方向入力キーのSA−SA線断面図。 図2で示すスライド式多方向入力キーのメンブレンスイッチの配線形態を示す平面図。 中央キートップのスライド状態を模式的に示す説明図。 図2で示すスライド式多方向入力キーの動作説明図。
符号の説明
1 携帯電話機
6 スライド式多方向入力キー
7 外環キートップ(外装部材)
7f 挿通孔
7g 止め突起
8 中央キートップ(キートップ)
9 上部キートップ(上部)
10 下部キートップ(下部)
10b 押し子部
11 キーシート
11c 傾斜部
11e 内周側の立壁部
11g 外周側の立壁部
11h 湾曲部
13 メンブレンスイッチ
14 ベースフィルム
14a 金属皿ばね(中央接点部)
14b 接点(中央接点部)
14c 下部接点(接点入力部)
15 スペーサフィルム
15a フィルム除去孔
16 可撓フィルム
16a 露出孔
16b 上部接点(接点入力部)

Claims (7)

  1. 挿通孔を有する外装部材に対する環状の固着部分と、挿通孔から突出する上部及び下向きに押し子部が突出する下部を有するキートップに対する固着部分と、これらの固着部分どうしの間に環状に形成されており、多方向で挿通孔の孔内面に向かう側方移動にてスライドするキートップをその側方移動方向に沿って弾性変形しつつ支持する非固着部分と、を有するシート状のゴム状弾性体にて形成されており、前記外装部材に対する環状の固着部分がキートップに対する固着部分を基点とするキートップの前記側方移動方向の延長上位置に形成されている携帯情報端末装置用キーシート。
  2. 挿通孔を有する外環キートップに対する環状の固着部分と、挿通孔から突出する上部及び下向きに押し子部が突出する下部を有するキートップに対する固着部分と、これらの固着部分どうしの間に環状に形成されており、多方向で挿通孔の孔内面に向かう側方移動にてスライドするキートップをその側方移動方向に沿って弾性変形しつつ支持する非固着部分と、を有するシート状のゴム状弾性体にて形成されており、前記外環キートップに対する環状の固着部分がキートップに対する固着部分を基点とするキートップの前記側方移動方向の延長上位置に形成されている携帯情報端末装置用キーシート。
  3. キートップに対する固着部分に、上下で二分割した上部キートップと下部キートップとで構成されるキートップを、上部キートップと下部キートップとで挟み込ませて固着して備える請求項1又は請求項2記載の携帯情報端末装置用キーシート。
  4. 外装部材に対する固着部分に外装部材を固着して備える請求項1〜請求項3何れか1項記載の携帯情報端末装置用キーシート。
  5. 外環キートップに対する固着部分に外環キートップを固着して備える請求項1〜請求項3何れか1項記載の携帯情報端末装置用キーシート。
  6. キートップに対する固着部分から裾広がりに形成した傾斜部と、この傾斜部の下端から上方へ曲折形成したアーチ状の湾曲部とを有し、該湾曲部の外周側の立壁部を内周側の立壁部及び傾斜部よりも厚肉に形成した請求項1〜請求項5何れか1項記載の携帯情報端末装置用キーシート。
  7. 外装部材又は外環キートップの裏面に、挿通孔と接触する前にキートップのスライドを停止させる止め突起を形成した請求項1〜請求項6何れか1項記載の携帯情報端末装置用キーシート。
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