JP2007224246A - タイヤパンクシール材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂エマルジョンと、凍結防止剤とを含有し、水素イオン指数が5.5〜8.5であるタイヤパンクシール材。合成樹脂エマルジョンが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョンおよびポリ塩化ビニルエマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種のエマルジョンである。
【選択図】なし
Description
このタイヤパンクシール材は、天然ゴム粒子と粘着付与樹脂粒子とが、凍結防止剤の水溶液中でイオン斥力によって反発しあって分散浮遊しているラテックスである。
この種のタイヤパンクシール材としては、例えば、「天然ゴムラテックスと粘着付与樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを少なくとも含むタイヤのパンクシーリング剤であって、前記天然ゴムラテックスの固形分Aと粘着付与樹脂エマルジョンの固形分Bと凍結防止剤Cとの和A+B+Cである総固形分100重量部に対し、前記天然ゴムラテックスの固形分Aの含有量を30〜60重量部、前記粘着付与樹脂エマルジョンの固形分Bの含有量を10〜30重量部、かつ前記凍結防止剤Cの含有量を20〜50重量部とするとともに、前記粘着付与樹脂エマルジョンの粘着付与樹脂として芳香族変性テルペン樹脂を用いたことを特徴とするタイヤのパンクシーリング剤」が知られている(特許文献1参照。)。
また、天然ゴムラテックス系タイヤパンクシール材は、通常、天然ゴムラテックスの安定化のためにアンモニアを用いるため、刺激臭がある。更に、pH9.0〜12.0程度に調整されるので、タイヤ内のスチールコードに錆を発生させて腐食する問題があり、皮膚に触れた場合に炎症を起こすことがある。
一方、特許文献1には、いわゆる脱タンパク天然ゴムラテックスを用いれば、より少ないアンモニアで天然ゴムラテックスの腐敗を抑えられる旨記載されている。しかしながら、脱タンパク天然ゴムラテックスを用いた場合でも臭気とスチールコードの腐食の問題は残る。また、脱タンパク処理等の煩雑な製造工程が要求されることとなる。
また、SBRラテックス系タイヤパンクシール材も、安定化のためにアンモニアを用いてpH9.0〜11.0程度に調整されるので、NBRラテックス系タイヤパンクシール材と同様の問題がある。
更に、本発明者は、上記合成樹脂エマルジョンが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョンおよびポリ塩化ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種のエマルジョンであると、従来のタイヤパンクシール材と同等のシール性を有し、比較的低粘度で、貯蔵安定性に優れるタイヤパンクシール材となることを知見した。
本発明者は、これらの知見に基づき本発明を完成させた。
(1)合成樹脂エマルジョンと、凍結防止剤とを含有し、水素イオン指数が5.5〜8.5であるタイヤパンクシール材。
(2)前記合成樹脂エマルジョンが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョンおよびポリ塩化ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種のエマルジョンである上記(1)に記載のタイヤパンクシール材。
(3)前記凍結防止剤を、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して100〜500質量部含有する上記(1)または(2)に記載のタイヤパンクシール材。
(4)更に、粘着付与剤を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(5)前記粘着付与剤が、樹脂を乳化して得られるエマルジョンである上記(4)に記載のタイヤパンクシール材。
(6)前記粘着付与剤が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および水添テルペン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む上記(4)または(5)に記載のタイヤパンクシール材。
(7)前記粘着付与剤の固形分を、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、50〜200質量部含有する上記(4)〜(6)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(8)水素イオン指数が、6.0〜8.0である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
本発明のタイヤパンクシール材は、合成樹脂エマルジョンと、凍結防止剤とを含有し、水素イオン指数(pH)が5.5〜8.5であるタイヤパンクシール材である。
上記合成樹脂エマルジョンとしては、具体的には、例えば、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、ポリ塩化ビニル系エマルジョンが好適に挙げられる。これらは、pH5.5〜8.5における安定性が比較的良好である。
上記合成樹脂エマルジョンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エチレン酢酸ビニル系エマルジョンがより好ましい。
上記ウレタンエマルジョンは、ポリウレタン粒子が水中に分散されたものである。上記ウレタンエマルジョンとしては、例えば、イオン性基を有するウレタンプレポリマーと、中和剤または四級化剤とを水中で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオール化合物が好ましい。
これらの中でも、貯蔵安定性に優れる点から、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールがより好ましい。
上記イソシアネート基と反応性を有する基としては、具体的には、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基(−NH2)、イミノ基(−NH−)、メルカプト基等が挙げられる。
アニオン性基とは、塩基で中和することにより負に荷電しうる基をいう。具体的には、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が好適に挙げられる。カチオン性基とは、酸で中和または四級化剤と反応することにより正に荷電しうる基をいい、具体的には、例えば、第三級アミノ基が好適に挙げられる。
このような化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物等が好適に挙げられる。
上記式(1)で表される化合物には、第三級アミノ基を有するジオール化合物、第三級アミノ基を有するトリオール化合物が含まれる。
上記ウレタンプレポリマーの製造の際に、化合物(B)、化合物(C)を添加する順番は、特に限定されず、同時に添加してもよく、いずれかを先に添加してもよい。例えば、通常のウレタンプレポリマーの製造方法に従い、ポリイソシアネート化合物(A)および化合物(B)を反応させてウレタンプレポリマーを製造した後、化合物(C)を添加して付加する方法を用いることができる。
また、ポリイソシアネート化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)の合計質量に対して、ポリイソシアネート化合物(A)を1〜50質量%、化合物(B)を30〜90質量%、化合物(C)を0.1〜20質量%含有させ、これらを不活性ガス雰囲気下、60〜90℃下で2〜8時間程度かくはんして行うのが好ましい。ここで、NCO%とは、ウレタンプレポリマーの全質量に対するNCO基の質量%を表す。
有機スズ化合物としては、具体的には、例えば、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、ラウリン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ等のカルボン酸第一スズ;ジブチルスズアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジ−2−エチルヘキソエート、ジラウリルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート等のカルボン酸のジアルキルスズ塩;水酸化トリメチルスズ、水酸化トリブチルスズ、水酸化トリオクチルスズ等の水酸化トリアルキルスズ:酸化ジブチルスズ、酸化ジオクチルスズ、酸化ジラウリルスズ等の酸化ジアルキルスズ;二塩化ジブチルスズ、二塩化ジオクチルスズ等の塩化ジアルキルスズ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズアセテート、ジブチルスズマレエートが、比較的安価で取り扱いやすい点から好ましい。
また、カチオン性基を有するウレタンプレポリマーを用いる場合は、中和剤として酸を用いることができ、ルイス酸であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの酸の中でも塩酸、酢酸が好ましい。
上記アクリルエマルジョンは、特に限定されず、従来公知のアクリルエマルジョンを用いることができる。
上記アクリルエマルジョンとしては、例えば、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体、不飽和二トリル、共役ジオレフィン、多官能ビニル単量体、、アミド系単量体、水酸基含有単量体、カプロラクトン付加単量体、アミノ基含有単量体、グリシジル基含有単量体、酸系単量体、ビニル単量体等を、乳化分散剤を用いて重合(乳化重合)して得られる水性エマルジョン等が好適に挙げられる。
上記アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
上記不飽和二トリルとしては、具体的には、例えば、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられる。
上記共役ジオレフィンとしては、具体的には、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
上記多官能ビニル単量体としては、具体的には、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレンジグリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシ基含有単量体としては、具体的には、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシメタクリレート等が挙げられる。
上記カプロラクトン付加単量体としては、具体的には、例えば、ダイセル化学製のFA−1、FA−2、FA−3、FM−1等のβ−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシメタクリレート等が挙げられる。
上記アミノ基含有単量体としては、具体的には、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。
グリシジル基含有単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジグリシジル等が挙げられる。
酸系単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、パラビニル安息香酸等が挙げられる。
ビニル単量体としては、具体的には、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
上記乳化分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記アクリルエマルジョンは、固形分が30〜60質量%であるのが好ましく、40〜55質量%であるのがより好ましい。
上記ポリオレフィン系エマルジョンは、特に限定されず、従来公知のポリオレフィン系エマルジョンを用いることができる。
上記ポリオレフィン系エマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリオレフィンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系エマルジョンとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンエマルジョン、ポリプロピレンエマルジョン、エチレン−プロピレン共重合体エマルジョンおよびポリブテンエマルジョンが好適に挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリエチレンエマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリエチレンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
なお、本明細書において、融点とは、JIS K2207に規定される軟化点試験方法(環球法)によって測定された値をいう。
上記ポリプロピレンエマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリプロピレンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
乳化分散剤としては、上述したアクリルエマルジョンに用いられるものと同様である。
上記エチレン−プロピレン共重合体エマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたエチレン−プロピレン共重合体が、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
乳化分散剤としては、上述したアクリルエマルジョンに用いられるものと同様である。
上記ポリブテンエマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリブテンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
乳化分散剤としては、上述したアクリルエマルジョンに用いられるものと同様である。
これらの中でも、2−メタクリロイルオキシエチル−2′−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましい。
共重合可能な他のビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエーテル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸アミド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル等の含窒素モノマー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、重合体(D)の親水性と疎水性とのバランスの制御、反応時の共重合性の点から、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、ポリブテンエマルジョンの安定性の点から、アルキル鎖の炭素数が1〜24である(メタ)アクリレートモノマ−が好ましい。
上記重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソビスジメチルバレロニトリル、過硫酸塩および過硫酸塩−亜硫酸水素塩系等が挙げられる。
上記重合開始剤の仕込量は、モノマー成分100質量部に対して0.0001〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。
重合温度は20〜100℃が好ましく、重合時間は0.5〜72時間が好ましい。
上記異性体としては、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等が挙げられる。
ポリブテンを製造する際に、触媒の添加量や反応温度を調整することにより低粘度の軽質ポリブテンから高粘度のポリブテンを製造できる。
ポリブテンは、安全性の高い材料で、生体成分に対しても不活性な油性ポリマーであるとともに、シール性を付与することができる。
上記ポリブテンの数平均分子量は、150〜4000であるのが液状または粘性を示す点から好ましい。
ポリブテンの含有量は、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
水の含有量は、9〜89質量%が好ましい。
上記界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記界面活性剤において、脂肪酸、アルキル基の好ましい炭素鎖長は、炭素数8〜18である。
両性イオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、ジメチルアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等が挙げられる。
上記添加剤としては、具体的には、例えば、植物性油脂、動物性油脂、ロウ、ポリブテン以外のパラフィン、ワセリン、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール等の油性材料、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、シリカ、カオリン、炭酸ナトリウム、ホウ砂等の無機化合物、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の有機溶媒、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルの共重合体等の他の水溶性高分子等が挙げられる。
上記エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン(以下、「EVAエマルジョン」という。)は、特に限定されず、従来公知のEVAエマルジョンを用いることができる。
上記EVAエマルジョンとしては、エチレンと酢酸ビニルモノマーを、乳化分散剤を用いて共重合(乳化重合)して得られる水性エマルジョン等が好適に挙げられる。
共重合する際に配合されるエチレンと酢酸ビニルモノマーとのモル比は、10/90〜30/70が好ましい。
また、上記EVAエマルジョンは、固形分が40〜70質量%あるのが好ましく、50〜65質量%であるのがより好ましい。
上記酢酸ビニル系エマルジョンは、特に限定されず、従来公知の酢酸ビニル系エマルジョンを用いることができる。
上記酢酸ビニル系エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビニルを、乳化分散剤を用いて重合(乳化重合)して得られる水性エマルジョン等が好適に挙げられる。
また、上記酢酸ビニル系エマルジョンは、固形分が40〜70質量%あるのが好ましく、50〜65質量%であるのがより好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系エマルジョンは、特に限定されず、従来公知のポリ塩化ビニル系エマルジョンを用いることができる。
上記ポリ塩化ビニル系エマルジョンとしては、例えば、塩化ビニルを、乳化分散剤を用いて重合(乳化重合)して得られる水性エマルジョン等が好適に挙げられる。
また、上記ポリ塩化ビニル系エマルジョンは、固形分が40〜70質量%あるのが好ましく、50〜65質量%であるのがより好ましい。
ここで、合成樹脂エマルジョンの固形分とは、合成樹脂エマルジョンに含有される各成分から水および溶剤を除いたものの合計を意味する。
上記粘着付与剤としては、具体的には、例えば、ロジンエステル、重合ロジンエステル、変性ロジン等のロジン系樹脂;テルペンフェノール、芳香族テルペン等のテルペン系樹脂;テルペン系樹脂を水素添加した水添テルペン系樹脂;フェノール樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を乳化して得られるエマルジョンが、上記合成樹脂エマルジョンとの相溶性に優れる点から好ましい態様の1つである。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および水添テルペン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む粘着付与剤が、シール性に優れる点から好ましい。
ここで、粘着付与剤の固形分とは、粘着付与剤に含有される各成分から水および溶剤を除いたものの合計を意味する。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
これらの特性により優れる点から、本発明のタイヤパンクシール材のpHは6.0〜8.0であるのがより好ましく、6.5〜8.0であるのが更に好ましい。
上記酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記塩基としては、特に限定されないが、刺激臭のないものが好ましく、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第三級アミン等が好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、トリエチルアミンが安全性、シール後の耐水性という点から好ましい。
まず、本発明のタイヤパンクシール材をタイヤの空気充填部からタイヤ内に注入する。本発明のタイヤパンクシール材をタイヤ内に注入する方法は、特に限定されず従来公知の方法を用いることができ、例えば、シリンジ、スプレー缶等を用いる方法が挙げられる。タイヤ内に注入されるタイヤパンクシール材の量は、特に限定されず、パンク穴の大きさ等に応じて適宜選択される。
次に、所定の空気圧まで空気を充填する。
その後、車を走行させる。タイヤが回転接地する際に受ける圧縮力や剪断力によって合成樹脂粒子等の凝集体を形成し、パンク穴をシールすることができる。
<ウレタンエマルジョンの調製(合成例1〜2)>
(合成例1)
トリレンジイソシアネート(コスモネートT−80、三井武田ケミカル社製)62g、ポリカーボネートジオール(プラクセルCD220、ダイセル化学工業社製、数平均分子量2000)251g、ジメチロールブタン酸(ニッカマー BA、日本化成社製)10.5gおよび酢酸エチル(和光純薬工業社製)400gを混合し、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマーを合成した。
次に、トリエチルアミン(和光純薬工業社製)7.7g、ピペラジン6水和物(日本乳化剤社製)4.0gおよび蒸留水400gを加えて、十分にかくはんして乳化させ、ウレタンエマルジョン1(固形分45.6質量%、pH7.5)を得た。
トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製)12.4g、3−メチルペンタンジオールアジペート(クラレポリオールP2010、クラレ社製)57.0gおよびN−メチルジエタノールアミン(和光純薬工業社製)2.1gを混合し、第三級アミノ基を有するウレタンプレポリマーを合成した(NCO%=4.6%)。
次に、得られたウレタンプレポリマーに、塩酸(和光純薬工業社製)1.8g、テルペン系粘着付与剤(YSレジンTO115、ヤスハラケミカル社製)15.0g、ピペラジン6水和物(日本乳化剤社製)2.8g、蒸留水136.7gおよびエチレングリコール(和光純薬工業社製)150gを加えて、十分にかくはんして乳化させ、ウレタンエマルジョンを得た(pH4.5)。このウレタンエマルジョンにトリエチルアミン(和光純薬工業社製)0.8gを加えて、pH5.5に調整し、ウレタンエマルジョン2を得た(固形分40.0質量%、pH5.5)。
特開2005−170973号公報に記載された実施例1の方法に準じて、NBRラテックス系タイヤパンクシール材を調製した。
具体的には、下記(1)〜(5)の材料をかくはん機を用いて混合して、配合例1のNBRラテックス系タイヤパンクシール材(pH9.5)を得た。
(1)ゴムラテックス:NBRラテックス(Nipol、日本ゼオン社製)、パンクシーリング剤中の含有量65質量%
(2)ナイロン繊維:パンクシーリング剤中の含有量2質量%、繊維の長さ2〜7mm、繊維の太さ5〜30μm
(3)凍結防止剤:エチレングリコール、パンクシーリング剤中の含有量25質量%
(4)増粘剤:スメクタイトクレイ、パンクシーリング剤中の含有量:2質量%
(5)その他:残部として水
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第1表に示される各タイヤパンクシール材を得た。
得られた各タイヤパンクシール材の水素イオン指数をpHメーター(日立ハイテクノロジー社製)で測定した。また、各タイヤパンクシール材について、下記に示す方法により、防錆性、臭気、凝固点、シール性、冷熱サイクル安定性、振套試験、貯蔵安定性、送液性、送気性の評価を行った。
結果を第1表に示す。
各タイヤパンクシール材をメチルエチルケトンで脱脂した鋼板の表面に塗布し、20℃で24時間放置乾燥させた後、50℃温水に7日放置した。その後、シール材を鋼板から剥がして鋼板の表面を目視で観察して錆の有無を評価した。
錆が発生しなかったものを「○」、錆が発生したものを「×」とした。
各タイヤパンクシール材の臭気の有無を確認した。
臭気がないものを「○」、臭気が強いものを「×」とした。
示差走査熱量測定装置(DSC、TAインスツルメンツ社製)を用いて凝固点を測定した。
タイヤトレッド部を長さ15cm、幅22cmに切断した部材のトレッドに、直径5mmの釘を貫通させて穴を形成した。
20℃、65%RH環境下で、タイヤ内部にを注入したことを想定して、トレッドの裏側(内側)から穴部分に、各タイヤパンクシール材50gを垂らした。
そして、造膜を促すため、穴部分の周辺をトレッド側から木槌で5回叩いた。
20℃、65%RH環境下で20分放置した後、トレッド側から穴部分に散水し、裏面(内側)への水漏れの有無を観察した。
水漏れがなかったものを「○」、水漏れがあったものを「×」とした。
各タイヤパンクシール材を、−20℃で8時間冷却した後80℃で16時間加熱し、このサイクルを10回繰り返した後、分散状態を目視で観察し、沈殿がなく、均一に分散していたものを「○」、凝集物やフィルムが存在したものを「△」とした。
70℃雰囲気下で、シール材200gを入れたガラス瓶を密閉し、これを1〜5Hzで60時間振套させた。
その後、分散状態を目視で観察し、沈殿・分離がないものを「○」、凝集物やフィルムが存在したものを「△」とした。
得られたタイヤパンクシール材を容器に入れ、窒素置換した後密閉し、80℃で100日間放置した。その後、タイヤパンクシール材の状態を観察し、分散状態を目視で観察し、沈殿・分離がないものを「○」、凝集物やフィルムが存在したものを「△」とした。
得られたタイヤパンクシール材500mlを入れたポリ容器に、シガーライターから電源(12V)を得たコンプレッサを取り付け、ノズルをタイヤのバルブに取り付けた。次に、0.5MPa圧、常温下でシール材をタイヤ内に送液し、ポリ容器内のシール材全てをタイヤ内に送液するまでに要した時間(秒)を測定した。
上記送液性試験後、連続して常温下で空気を入れ続け、コンプレッサの圧力計が0.3MPaになるまでに要した時間(秒)を測定した。
・EVAエマルジョン1:スミカフレックス510HQ、住化ケムテックス社製、固形分55質量%、pH7.0
・EVAエマルジョン2:スミカフレックス1010、住化ケムテックス社製、固形分50質量%、pH7.0
・天然ゴムラテックス:HA、フェルフェックス社製、固形分60質量%、pH11.5
・凍結防止剤(エチレングリコール):和光純薬工業社製、固形分100質量%
・粘着付与剤1:ハリエスターSK508、ハリマ化成社製、固形分54質量%、pH6.5
・粘着付与剤2:ハリエスターSK70D、ハリマ化成社製、固形分50質量%、pH6.5
・粘着付与剤3:ナノレットR1050、ヤスハラケミカル社製、固形分50質量%、pH6.5
・アクリルエマルジョン:アクロナールA378、BASF社製、固形分50質量%、pH8.0
・ポリブテンエマルジョン:エマウエット200E、日本油脂社製、固形分53質量%、pH7.0
・ポリエチレンエマルジョン:PE401、成瀬化学社製、固形分60質量%、pH7.0
・ポリプロピレンエマルジョン:PPエマルジョン、丸芳化成品社製、固形分50質量%、pH7.0
・ウレタンエマルジョン1:合成例1のウレタンエマルジョン
・ウレタンエマルジョン2:合成例2のウレタンエマルジョン
・塩酸:和光純薬工業社製
・トリエチルアミン:和光純薬工業社製
一方、実施例1〜52は、比較例1〜4と同等のシール性を有し、貯蔵安定性、送液性、送気性に優れていた。更に、錆の発生がなく、無臭だった。
Claims (8)
- 合成樹脂エマルジョンと、凍結防止剤とを含有し、水素イオン指数が5.5〜8.5であるタイヤパンクシール材。
- 前記合成樹脂エマルジョンが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョンおよびポリ塩化ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種のエマルジョンである請求項1に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記凍結防止剤を、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して100〜500質量部含有する請求項1または2に記載のタイヤパンクシール材。
- 更に、粘着付与剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 前記粘着付与剤が、樹脂を乳化して得られるエマルジョンである請求項4に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記粘着付与剤が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および水添テルペン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項4または5に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記粘着付与剤の固形分を、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、50〜200質量部含有する請求項4〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 水素イオン指数が、6.0〜8.0である請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
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