JP4862428B2 - タイヤパンクシール材 - Google Patents
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Description
このタイヤパンクシール材は、天然ゴム粒子と粘着付与樹脂粒子とが、凍結防止剤の水溶液中でイオン斥力によって反発しあって分散浮遊しているラテックスである。
この種のタイヤパンクシール材としては、例えば、「天然ゴムラテックスと粘着付与樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを少なくとも含むタイヤのパンクシーリング剤であって、前記天然ゴムラテックスの固形分Aと粘着付与樹脂エマルジョンの固形分Bと凍結防止剤Cとの和A+B+Cである総固形分100重量部に対し、前記天然ゴムラテックスの固形分Aの含有量を30〜60重量部、前記粘着付与樹脂エマルジョンの固形分Bの含有量を10〜30重量部、かつ前記凍結防止剤Cの含有量を20〜50重量部とするとともに、前記粘着付与樹脂エマルジョンの粘着付与樹脂として芳香族変性テルペン樹脂を用いたことを特徴とするタイヤのパンクシーリング剤」が知られている(特許文献1参照。)。
一方、タイヤ内に液体が少量存在する場合はあまり問題にならないが、液体が大量に存在する場合は、走行時に騒音を生じたり、走行安定性が低下する等の問題があった。
(1)カチオン性樹脂を含有する液状の第1剤と、アニオン性樹脂を含有する液状の第2剤とを有するタイヤパンクシール材。
(2)前記第1剤が、カチオン性ウレタンエマルジョンである上記(1)に記載のタイヤパンクシール材。
(3)前記第1剤の水素イオン指数が、4.0〜6.0である上記(1)または(2)に記載のタイヤパンクシール材。
(4)前記第2剤が、アニオン性クロロプレン系エマルジョンである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(5)前記第2剤の水素イオン指数が、7.0〜9.0である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(6)前記第1剤および/または前記第2剤が、更に、粘着付与剤を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(7)前記粘着付与剤が、樹脂を乳化して得られるエマルジョンである上記(6)に記載のタイヤパンクシール材。
(8)前記粘着付与剤が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および水添テルペン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む上記(6)または(7)に記載のタイヤパンクシール材。
(9)前記第1剤および/または前記第2剤が、更に、凍結防止剤を含有する上記(1)〜(8)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(10)前記凍結防止剤が、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールである上記(9)に記載のタイヤパンクシール材。
本発明のタイヤパンクシール材は、カチオン性樹脂を含有する液状の第1剤と、アニオン性樹脂を含有する液状の第2剤とを有するタイヤパンクシール材である。
上記第1剤としては、具体的には、カチオン性ウレタンエマルジョンが好適に例示される。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオール化合物が好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、イソシアネート基と反応性を有する基としては、具体的には、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基(−NH2)、イミノ基(−NH−)、メルカプト基等が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物には、第三級アミノ基を有するジオール化合物、第三級アミノ基を有するトリオール化合物が含まれる。
上記ウレタンプレポリマーの製造の際に、化合物(B)、化合物(C)を添加する順番は、特に限定されず、同時に添加してもよく、いずれかを先に添加してもよい。例えば、通常のウレタンプレポリマーの製造方法に従い、ポリイソシアネート化合物(A)および化合物(B)を反応させてウレタンプレポリマーを製造した後、化合物(C)を添加して付加する方法を用いることができる。
また、ポリイソシアネート化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)の合計質量に対して、ポリイソシアネート化合物(A)を1〜50質量%、化合物(B)を30〜90質量%、化合物(C)を0.1〜20質量%含有させ、これらを不活性ガス雰囲気下、60〜90℃下で2〜8時間程度かくはんして行うのが好ましい。ここで、NCO%とは、ウレタンプレポリマーの全質量に対するNCO基の質量%を表す。
有機スズ化合物としては、具体的には、例えば、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、ラウリン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ等のカルボン酸第一スズ;ジブチルスズアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジ−2−エチルヘキソエート、ジラウリルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート等のカルボン酸のジアルキルスズ塩;水酸化トリメチルスズ、水酸化トリブチルスズ、水酸化トリオクチルスズ等の水酸化トリアルキルスズ:酸化ジブチルスズ、酸化ジオクチルスズ、酸化ジラウリルスズ等の酸化ジアルキルスズ;二塩化ジブチルスズ、二塩化ジオクチルスズ等の塩化ジアルキルスズ等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズアセテート、ジブチルスズマレエートが、比較的安価で取り扱いやすい点から好ましい。
これらの中和剤の中でも、安価で容易に入手できる点から塩酸が好ましい。
水素イオン指数の調整は、中和剤の量を調整したり、pH調整剤として塩基を添加する等により行うことができる。
pH調整剤に用いられる塩基としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第三級アミン等が挙げられる。
上記第2剤は、負に荷電した樹脂を含有し、使用時に液状のものであれば特に限定されず、1気圧下、−40〜80℃で液状であるものが使用環境を選ばない点から好ましい。例えば、負に荷電した樹脂が水および/または溶媒中に分散されたもの(アニオン性樹脂エマルジョン)や、負に荷電した液状の樹脂等が挙げられる。
上記第2剤としては、具体的には、アニオン性クロロプレン系エマルジョンが好適に例示される。
アニオン性クロロプレン系エマルジョンとしては、例えば、アニオン性基を有するクロロプレン系ゴムと、中和剤(塩基)とを水中で反応させて得られるクロロプレン系エマルジョンが好適に挙げられる。
ここで、「アニオン性基」とは、塩基で中和することにより負に荷電しうる基をいう。具体的には、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が好適に挙げられる。
上記共重合可能なエチレン性不飽和単量体の使用量は、上記クロロプレン単量体100質量部に対して、30質量部以下であるのが好ましい。
乳化重合は、公知の方法により行うことができ、具体的には、例えば、水、上記各単量体、中和剤(塩基)、重合開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤等を混合して重合する方法が挙げられる。重合温度は、通常、0〜80℃の範囲で行うことができ、好ましくは5〜50℃の範囲である。
連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、アルキルメルカプタン、ハロゲン化炭化水素、アルキルキサントゲンジスルフィド、イオウ等が挙げられる。
重合停止剤としては、具体的には、例えば、フェノチアジン、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシルアミン等が挙げられる。
水素イオン指数の調整は、中和剤の量を調整したり、pH調整剤として酸を添加する等により行うことができる。
pH調整剤に用いられる酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記粘着付与剤としては、具体的には、例えば、ロジンエステル、重合ロジンエステル、変性ロジン等のロジン系樹脂;テルペンフェノール、芳香族テルペン等のテルペン系樹脂;テルペン系樹脂を水素添加した水添テルペン系樹脂;フェノール樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を乳化して得られるエマルジョンが、上記ウレタンエマルジョンおよびクロロプレン系エマルジョンとの相溶性に優れる点から好ましい態様の1つである。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および水添テルペン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む粘着付与剤が、シール性に優れる点から好ましい。
ここで、粘着付与剤の固形分とは、粘着付与剤に含有される各成分から水および溶剤を除いたものの合計を意味する。また、第1剤および第2剤の固形分とは、第1剤および第2剤に含有される各成分から粘着付与剤、水および溶剤を除いたものの合計を意味する。
凍結防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールが好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1剤および第2剤の固形分とは、第1剤および第2剤に含有される各成分から凍結防止剤、水および溶剤を除いたものの合計を意味する。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール材は、上述した、第1剤および第2剤からなる2液型として用いることができる。
注入方法は、特に限定されないが、例えば、シリンジ等を用いる方法が挙げられる。
その後、必要に応じて、所定の圧力までタイヤ内に空気を充填することにより、通常どおり走行が可能となる。
この方法によれば、上述した方法に比べてより確実にパンク穴部分で第1剤および第2剤が接触できるので、更にタイヤ内に注入する液体の量を低減でき、走行時の騒音が少なく、走行安定性を維持できる。
<第1剤の調製(合成例1〜2)>
トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製)と、3−メチルペンタンジオールアジペート(クラレポリオールP2010、クラレ社製)と、N−メチルジエタノールアミン(和光純薬工業社製)とを下記第1表に示す量(g)混合し、ウレタンプレポリマーを合成した(NCO%=4.6%)。
次に、得られたウレタンプレポリマーに、塩酸(和光純薬工業社製)と、テルペン系粘着付与剤(YSレジンTO115、ヤスハラケミカル社製、合成例1のみ)と、鎖延長剤としてピペラジン6水和物(日本乳化剤社製)と、蒸留水と、エチレングリコール(和光純薬工業社製)とを第1表に示す量(g)加えて、十分にかくはんして乳化させ、合成例1および合成例2のカチオン性ウレタンエマルジョンを得た。
得られた各合成例を第1剤として後述する実施例および比較例に用いた。
得られたカチオン性ウレタンエマルジョンの水素イオン指数を、pHメーター(日立ハイテクノロジー社製、以下同じ)で測定した。結果を第1表に示す。
アニオン性クロロプレン系エマルジョン(C−84、住化バイエルウレタン社製)と、pH調整剤として塩酸(和光純薬工業社製)とを下記第2表に示す量(質量部)で混合して、各第2剤を得た。
得られた各第2剤の水素イオン指数をpHメーターで測定した。結果を第2表に示す。
また、得られた各第2剤について、下記の方法により、配合安定性、凍結融解安定性および長期安定性を評価した。
結果を第2表に示す。
各第2剤を20℃で24時間放置した後の分散状態を目視で観察し、沈殿がなく、均一に分散していたものを「○」、樹脂分がわずかに分離したものを「△」とした。
各第2剤を、−20℃で8時間冷却した後80℃で16時間加熱し、このサイクルを10回繰り返した後、分散状態を目視で観察し、沈殿がなく、均一に分散していたものを「○」、凝集物やフィルムが存在したものを「×」とした。
各第2剤を、80℃で90日間加熱した後、分散状態を目視で観察し、沈殿がなく、均一に分散していたものを「○」、凝集物やフィルムが存在したものを「×」とした。
1.常温シール性
タイヤトレッド部を長さ15cm、幅22cmに切断した部材のトレッドに、直径5mmの釘を貫通させて穴を形成した。
20℃、65%RH環境下で、トレッド側(外側)から、その穴に第3表に示す量(g)の配合例1〜6のいずれかの第2剤をシリンジで注入した(比較例1〜2は除く)。
次に、タイヤ内部に第1剤を注入したことを想定して、トレッドの裏側(内側)から、穴部分に、第3表に示す量(g)の合成例1〜2の第1剤と、ロジンエステル系粘着付与剤(ロジンエステル系粘着付与エマルジョン、ハリエスターSK−508、ハリマ化成社製)とを垂らした。
そして、造膜を促すため、穴部分の周辺をトレッド側から木槌で5回叩いた。
20℃、65%RH環境下で5分放置した後、トレッド側から穴部分に散水し、裏面(内側)への水漏れの有無を観察した。
水漏れがなかったものを「○」、水漏れがあったものを「×」とした。
結果を第3表に示す。
タイヤトレッド部を長さ15cm、幅22cmに切断した部材のトレッドに、直径5mmの釘を貫通させて穴を形成し、トレッド部を十分に濡らした後、上述した常温シール性と同様にシール性を評価した。
結果を第3表に示す。
部材および各タイヤパンクシール材(第1剤および第2剤)を−20℃に冷却して、上述した常温シール性と同様にシール性を評価した。
結果を第3表に示す。
実施例1〜12については、上述した常温シール性試験において第1剤と第2剤とが接触してから、凝集がおこりフィルムが観察されるまでに要した時間(秒)を測定した。
比較例1〜8については、穴部分の周辺をトレッド側から木槌で5回叩いてから、凝集がおこりフィルムが観察されるまでに要した時間(秒)を測定した。
結果を第3表に示す。
天然ゴムラテックス(HA、フェルフェックス社製)100質量部と、ロジンエステル系粘着付与エマルジョン(ハリエスターSK70D、ハリマ化成社製)90質量部と、エチレングリコール(和光純薬工業社製)100質量部とを混合して、天然ゴム系従来品を得た(pH10.0)。配合例と同様の方法により、配合安定性、凍結融解安定性および長期安定性を評価した結果、いずれの評価も良好だった。
得られた天然ゴム系従来品について、比較例1〜8と同様の方法により、常温シール性、耐水シール性、耐寒シール性および硬化性の評価を行った。
結果を第3表に示す。
また、第1剤を用いなかった場合(比較例3〜8)は、水の存在下では十分に膜が形成されなかったため、耐水シール性が低かった。特に、比較例3および4は、常温シール性、耐寒シール性も低かった。
また、天然ゴム系従来品を用いた場合(比較例9)は、水の存在下では十分に膜が形成されなかったため、耐水シール性が低かった。
一方、実施例1〜12のタイヤパンクシール材は、常温シール性に優れていた。また、第2剤として配合例3〜5のいずれかを用いた場合は、耐水シール性および耐寒シール性にも優れていた。この結果から、第2剤の水素イオン指数が7.0〜9.0であると、耐水シール性および耐寒シール性にも優れることが分かった。
Claims (10)
- カチオン性樹脂を含有する液状の第1剤と、アニオン性樹脂を含有する液状の第2剤とを有するタイヤパンクシール材。
- 前記第1剤が、カチオン性ウレタンエマルジョンである請求項1に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記第1剤の水素イオン指数が、4.0〜6.0である請求項1または2に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記第2剤が、アニオン性クロロプレン系エマルジョンである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 前記第2剤の水素イオン指数が、7.0〜9.0である請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 前記第1剤および/または前記第2剤が、更に、粘着付与剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 前記粘着付与剤が、樹脂を乳化して得られるエマルジョンである請求項6に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記粘着付与剤が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および水添テルペン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項6または7に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記第1剤および/または前記第2剤が、更に、凍結防止剤を含有する請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 前記凍結防止剤が、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールである請求項9に記載のタイヤパンクシール材。
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