JP5233205B2 - タイヤパンクシール材 - Google Patents
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Description
このタイヤパンクシール材は、天然ゴム粒子と粘着付与樹脂粒子とが、凍結防止剤の水溶液中でイオン斥力によって反発しあって分散浮遊しているラテックスである。
合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率(%)=(V2−V1)/V1×100 (1)(数式中、V1は前記体積膨潤試験前の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積であり、V2は前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積である。)にあてはめることによって求められる、前記合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率が0〜30%である組成物が、貯蔵安定性、ヒートサイクル後のシール性に優れるタイヤパンクシール材となることを知見し、本願発明者らは、この知見に基づき本発明を完成させた。
(1) 合成樹脂エマルジョンと、粘着付与剤と、凍結防止剤とを含有し、
前記合成樹脂エマルジョンを20℃で12時間乾燥させさらに50℃で10時間乾燥させることによって得られる、体積V1の合成樹脂エマルジョンフィルムを、プロピレングリコール100質量部と水100質量部とを含む混合液中に80℃の条件下で7日間浸漬させる、合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤試験を行って、前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積V2を測定し、前記体積V1および前記体積V2を下記数式(1)にあてはめることによって求められる、前記合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率が0〜30%であるタイヤパンクシール材。
合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率(%)=(V2−V1)/V1×100 (1)
(数式中、V1は前記体積膨潤試験前の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積であり、V2は前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積である。)
(2) 前記合成樹脂エマルジョンが、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンである上記(1)に記載のタイヤパンクシール材。
(3) 前記エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンを構成するモノマーとしてのエチレンと酢酸ビニルとの質量比(エチレン/酢酸ビニル)が、20/80〜50/50である上記(2)に記載のタイヤパンクシール材。
(4) 前記エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンに使用される界面活性剤が、ポリビニルアルコールである上記(2)または(3)に記載のタイヤパンクシール材。
(5) 前記ポリビニルアルコールのけん化度が、65〜95モル%である上記(4)に記載のタイヤパンクシール材。
(6) 前記粘着付与剤の固形分が、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、20〜200質量部である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(7) 前記凍結防止剤の量が、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、100〜500質量部である上記(1)〜(6)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
(8) 水素イオン指数が、5.5〜7.0である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
本発明のタイヤパンクシール材は、
合成樹脂エマルジョンと、粘着付与剤と、凍結防止剤とを含有し、
前記合成樹脂エマルジョンを20℃で12時間乾燥させさらに50℃で10時間乾燥させることによって得られる、体積V1の合成樹脂エマルジョンフィルムを、プロピレングリコール100質量部と水100質量部とを含む混合液中に80℃の条件下で7日間浸漬させる、合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤試験を行って、前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積V2を測定し、前記体積V1および前記体積V2を下記数式(1)にあてはめることによって求められる、前記合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率が0〜30%である。
合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率(%)=(V2−V1)/V1×100 (1)
(数式中、V1は前記体積膨潤試験前の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積であり、V2は前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積である。)
合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、アクリルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、ポリ塩化ビニル系エマルジョンが好適に挙げられる。
合成樹脂エマルジョンは、pH5.5〜7.0における安定性が比較的良好である。
合成樹脂エマルジョンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、貯蔵安定性、ヒートサイクル後のシール性により優れるという観点から、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョンが好ましく、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンがより好ましい。
エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(以下、「EVAエマルジョン」ということがある。)は、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンを構成するモノマーとしてエチレンと酢酸ビニルとが使用されるものであれば特に限定されず、例えば、従来公知のものが挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンを製造する際使用することができる、エチレンおよび酢酸ビニル以外のモノマーとしては、例えば、アクリル酸2─エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;塩化ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸のようにカルボキシル基を含有するモノマー;スルホン酸基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、アミノ基、アミド基等の官能基を含有する各種モノマーが挙げられる。
これらの中でも、ヒートサイクル後のシール性により優れるという観点から、保護コロイドとして用いることのできる水溶性高分子が好ましく、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースがより好ましく、ポリビニルアルコールのみであるのがさらに好ましい。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、特に制限されない。例えば、100,000〜500,000のものが挙げられる。
ポリビニルアルコールは、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
なかでも、ポリビニルアルコールのけん化度が、ヒートサイクル後のシール性により優れるという観点から、65〜95モル%であるのが好ましく、65〜88モル%であるのがより好ましい。
乳化分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、EVAエマルジョンは、シール性に優れるという観点から、その固形分が40〜70質量%あるのが好ましく、50〜65質量%であるのがより好ましい。
アクリルエマルジョンは、特に限定されず、従来公知のアクリルエマルジョンを用いることができる。
上記アクリルエマルジョンとしては、例えば、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体、不飽和二トリル、共役ジオレフィン、多官能ビニル単量体、、アミド系単量体、水酸基含有単量体、カプロラクトン付加単量体、アミノ基含有単量体、グリシジル基含有単量体、酸系単量体、ビニル単量体等を、乳化分散剤を用いて重合(乳化重合)して得られる水性エマルジョン等が好適に挙げられる。
上記アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
上記不飽和二トリルとしては、具体的には、例えば、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられる。
上記共役ジオレフィンとしては、具体的には、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
上記多官能ビニル単量体としては、具体的には、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレンジグリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシ基含有単量体としては、具体的には、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシメタクリレート等が挙げられる。
上記カプロラクトン付加単量体としては、具体的には、例えば、ダイセル化学製のFA−1、FA−2、FA−3、FM−1等のβ−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシメタクリレート等が挙げられる。
上記アミノ基含有単量体としては、具体的には、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。
グリシジル基含有単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジグリシジル等が挙げられる。
酸系単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、パラビニル安息香酸等が挙げられる。
ビニル単量体としては、具体的には、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
上記乳化分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記アクリルエマルジョンは、固形分が30〜60質量%であるのが好ましく、40〜55質量%であるのがより好ましい。
上記ウレタンエマルジョンは、ポリウレタン粒子が水中に分散されたものである。上記ウレタンエマルジョンとしては、例えば、イオン性基を有するウレタンプレポリマーと、中和剤または四級化剤とを水中で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオール化合物が好ましい。
これらの中でも、貯蔵安定性により優れる点から、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールがより好ましい。
上記イソシアネート基と反応性を有する基としては、具体的には、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基(−NH2)、イミノ基(−NH−)、メルカプト基等が挙げられる。
アニオン性基とは、塩基で中和することにより負に荷電しうる基をいう。具体的には、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が好適に挙げられる。カチオン性基とは、酸で中和または四級化剤と反応することにより正に荷電しうる基をいい、具体的には、例えば、第三級アミノ基が好適に挙げられる。
このような化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物等が好適に挙げられる。
上記式(1)で表される化合物には、第三級アミノ基を有するジオール化合物、第三級アミノ基を有するトリオール化合物が含まれる。
上記ウレタンプレポリマーの製造の際に、化合物(B)、化合物(C)を添加する順番は、特に限定されず、同時に添加してもよく、いずれかを先に添加してもよい。例えば、通常のウレタンプレポリマーの製造方法に従い、ポリイソシアネート化合物(A)および化合物(B)を反応させてウレタンプレポリマーを製造した後、化合物(C)を添加して付加する方法を用いることができる。
また、ポリイソシアネート化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)の合計質量に対して、ポリイソシアネート化合物(A)を1〜50質量%、化合物(B)を30〜90質量%、化合物(C)を0.1〜20質量%含有させ、これらを不活性ガス雰囲気下、60〜90℃下で2〜8時間程度かくはんして行うのが好ましい。ここで、NCO%とは、ウレタンプレポリマーの全質量に対するNCO基の質量%を表す。
有機スズ化合物としては、具体的には、例えば、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、ラウリン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ等のカルボン酸第一スズ;ジブチルスズアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジ−2−エチルヘキソエート、ジラウリルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート等のカルボン酸のジアルキルスズ塩;水酸化トリメチルスズ、水酸化トリブチルスズ、水酸化トリオクチルスズ等の水酸化トリアルキルスズ:酸化ジブチルスズ、酸化ジオクチルスズ、酸化ジラウリルスズ等の酸化ジアルキルスズ;二塩化ジブチルスズ、二塩化ジオクチルスズ等の塩化ジアルキルスズ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズアセテート、ジブチルスズマレエートが、比較的安価で取り扱いやすい点から好ましい。
また、カチオン性基を有するウレタンプレポリマーを用いる場合は、中和剤として酸を用いることができ、ルイス酸であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの酸の中でも塩酸、酢酸が好ましい。
上記ポリオレフィン系エマルジョンは、特に限定されず、従来公知のポリオレフィン系エマルジョンを用いることができる。
上記ポリオレフィン系エマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリオレフィンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系エマルジョンとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンエマルジョン、ポリプロピレンエマルジョン、エチレン−プロピレン共重合体エマルジョンおよびポリブテンエマルジョンが好適に挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリエチレンエマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリエチレンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
なお、本明細書において、融点とは、JIS K2207に規定される軟化点試験方法(環球法)によって測定された値をいう。
上記ポリプロピレンエマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリプロピレンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
乳化分散剤としては、上述したアクリルエマルジョンに用いられるものと同様である。
上記エチレン−プロピレン共重合体エマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたエチレン−プロピレン共重合体が、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
乳化分散剤としては、上述したアクリルエマルジョンに用いられるものと同様である。
上記ポリブテンエマルジョンとしては、例えば、親水基が導入されたポリブテンが、水中に分散されたもの等が挙げられる。上記親水基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
乳化分散剤としては、上述したアクリルエマルジョンに用いられるものと同様である。
これらの中でも、2−メタクリロイルオキシエチル−2′−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましい。
共重合可能な他のビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエーテル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸アミド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル等の含窒素モノマー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、重合体(D)の親水性と疎水性とのバランスの制御、反応時の共重合性の点から、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、ポリブテンエマルジョンの安定性の点から、アルキル鎖の炭素数が1〜24である(メタ)アクリレートモノマ−が好ましい。
上記重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソビスジメチルバレロニトリル、過硫酸塩および過硫酸塩−亜硫酸水素塩系等が挙げられる。
上記重合開始剤の仕込量は、モノマー成分100質量部に対して0.0001〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。
重合温度は20〜100℃が好ましく、重合時間は0.5〜72時間が好ましい。
上記異性体としては、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等が挙げられる。
ポリブテンを製造する際に、触媒の添加量や反応温度を調整することにより低粘度の軽質ポリブテンから高粘度のポリブテンを製造できる。
ポリブテンは、安全性の高い材料で、生体成分に対しても不活性な油性ポリマーであるとともに、シール性を付与することができる。
上記ポリブテンの数平均分子量は、150〜4000であるのが液状または粘性を示す点から好ましい。
ポリブテンの含有量は、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
水の含有量は、9〜89質量%が好ましい。
上記界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記界面活性剤において、脂肪酸、アルキル基の好ましい炭素鎖長は、炭素数8〜18である。
両性イオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、ジメチルアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等が挙げられる。
上記添加剤としては、具体的には、例えば、植物性油脂、動物性油脂、ロウ、ポリブテン以外のパラフィン、ワセリン、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール等の油性材料、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、シリカ、カオリン、炭酸ナトリウム、ホウ砂等の無機化合物、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の有機溶媒、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルの共重合体等の他の水溶性高分子等が挙げられる。
上記酢酸ビニル系エマルジョンは、特に限定されず、従来公知の酢酸ビニル系エマルジョンを用いることができる。
上記酢酸ビニル系エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビニルを、乳化分散剤を用いて重合(乳化重合)して得られる水性エマルジョン等が好適に挙げられる。
また、上記酢酸ビニル系エマルジョンは、固形分が40〜70質量%あるのが好ましく、50〜65質量%であるのがより好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系エマルジョンは、特に限定されず、従来公知のポリ塩化ビニル系エマルジョンを用いることができる。
上記ポリ塩化ビニル系エマルジョンとしては、例えば、塩化ビニルを、乳化分散剤を用いて重合(乳化重合)して得られる水性エマルジョン等が好適に挙げられる。
また、上記ポリ塩化ビニル系エマルジョンは、固形分が40〜70質量%あるのが好ましく、50〜65質量%であるのがより好ましい。
本発明のタイヤパンクシール材に含有される粘着付与剤は、タイヤパンクシール材に使用することが可能な、粘着性を有する化合物であれば特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
具体的には、例えば、ロジンエステル、重合ロジンエステル、変性ロジン等のロジン系樹脂;テルペンフェノール、芳香族テルペン等のテルペン系樹脂;テルペン系樹脂を水素添加した水添テルペン系樹脂;フェノール樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。
また、これらの樹脂を乳化して得られるエマルジョンが、上記合成樹脂エマルジョンとの相溶性に優れる点から好ましい態様の1つとして挙げられる。
粘着付与剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ここで、合成樹脂エマルジョンの固形分とは、合成樹脂エマルジョンから水および溶剤を除いたものの合計量を意味する。
また、粘着付与剤の固形分とは、粘着付与剤から水および溶剤を除いたものの合計量を意味する。
本発明のタイヤパンクシール材に含有される凍結防止剤は、水が凍結するのを防止することができる化合物であれば特に制限されない。
具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
なかでも、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)において対象とされている化学物質ではないという観点から、プロピレングリコールが好ましい。
凍結防止剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
また、本発明のタイヤパンクシール材は、合成樹脂エマルジョンとして、タイヤパンクシール材の水素イオン指数(pH)が5.5〜7.0であるときに比較的安定な状態を保持することができるものを含有することによって、アンモニア等の添加量を抑制できまたはアンモニア等を添加する必要がなく、刺激臭が少ない。
上記酸としては、特に限定されない。具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記塩基としては、特に限定されず、刺激臭のないものが好ましく、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第三級アミン等が好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、トリエチルアミンが安全性、シール後の耐水性という点から好ましい。
本発明において実施される合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤試験は、合成樹脂エマルジョンを20℃で12時間乾燥させさらに50℃で10時間乾燥させることによって得られる、体積V1の合成樹脂エマルジョンフィルムを、プロピレングリコール100質量部と水100質量部とを含む混合液中に80℃の条件下で7日間浸漬させるものである。
得られる合成樹脂エマルジョンフィルムの大きさは、縦1cm、横2cm、厚さ0.4〜0.6mmである。
合成樹脂エマルジョンの体積は、得られる合成樹脂エマルジョンフィルムの、縦、横および厚さの積(合成樹脂エマルジョンフィルムの縦×合成樹脂エマルジョンフィルムの横×合成樹脂エマルジョンフィルムの厚さ)によって算出することができる。得られた合成樹脂エマルジョンフィルムの体積をV1とする。
混合液に合成樹脂エマルジョンフィルムを浸漬させる際、混合液中に合成樹脂エマルジョンフィルム全体を浸漬させる。
混合液中に浸漬された合成樹脂エマルジョンフィルムは、80℃の条件下で7日間置かれる。合成樹脂エマルジョンフィルムを浸漬させた混合液が入った容器を、例えば、オーブンのような加熱器具に入れておくことができる。
合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率(%)=(V2−V1)/V1×100 (1)
(数式中、V1は前記体積膨潤試験前の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積であり、V2は前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積である。)
また、合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率は、貯蔵安定性、ヒートサイクル後のシール性により優れるという観点から、0〜30%であるのが好ましく、0〜10%であるのがより好ましい。
まず、本発明のタイヤパンクシール材をタイヤの空気充填部からタイヤ内に注入する。本発明のタイヤパンクシール材をタイヤ内に注入する方法は、特に限定されず従来公知の方法を用いることができ、例えば、シリンジ、スプレー缶等を用いる方法が挙げられる。タイヤ内に注入されるタイヤパンクシール材の量は、特に限定されず、パンク孔の大きさ等に応じて適宜選択される。
次に、所定の空気圧まで空気を充填する。
その後、車を走行させる。タイヤが回転接地する際に受ける圧縮力や剪断力によって合成樹脂粒子等の凝集体を形成し、パンク孔をシールすることができる。
そのなかで長期保存を想定したヒートサイクル後のタイヤパンクシール材(より詳細には−40℃と80℃との温度間でのヒートサイクルによって劣化させた後のタイヤパンクシール材)に関して、シール性に改善の余地があることを見出した。
このような、ヒートサイクル後のシール性の低下は、タイヤパンクシール材に含有される凍結防止剤が合成樹脂エマルジョンを膨潤させ、合成樹脂エマルジョンの膨潤によってタイヤのパンク孔をシールする際に合成樹脂エマルジョンが造膜できないまたは造膜しにくくなっていることによって発生すると本願発明者らは推察している。
なお、上記のメカニズムはあくまで本願発明者の推測であり、上記メカニズムとは異なる場合であっても本願発明の範囲内である。
(1)合成樹脂エマルジョンフィルムの製造
第1表に示す合成樹脂エマルジョンを用いて、合成樹脂エマルジョンを20℃で12時間乾燥させさらに50℃で10時間乾燥させ、縦1cm、横2cm、厚さ0.4〜0.6mmのフィルムを得た。
得られた合成樹脂エマルジョンフィルムの、縦、横および厚さの積によって合成樹脂エマルジョンフィルムの体積を算出した。得られた合成樹脂エマルジョンフィルムの体積をV1とする。
次に、合成樹脂エマルジョンフィルムをプロピレングリコール100質量部と水100質量部とを含む混合液に漬けて80℃の条件下で7日間置き、混合液から引き上げてこれを体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムとした。
体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムを用いて、合成樹脂エマルジョンフィルムの体積と同様の方法で体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積を算出した。得られた体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積をV2とする。
合成樹脂エマルジョンフィルムの体積V1および体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積V2を、下記数式(1)にあてはめて、合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率を算出した。結果を第1表に示す。
合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率(%)=(V2−V1)/V1×100 (1)
(数式中、V1は合成樹脂エマルジョンフィルムの体積であり、V2は体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積である。)
・合成樹脂エマルジョン1:スミカフレックス408HQE、住化ケムテックス社製
・合成樹脂エマルジョン2:スミカフレックス401HQ、住化ケムテックス社製
・合成樹脂エマルジョン3:スミカフレックス400HQ、住化ケムテックス社製
・合成樹脂エマルジョン4:スミカフレックス305HQ、住化ケムテックス社製
・合成樹脂エマルジョン5:スミカフレックス7400HQ、住化ケムテックス社製
・合成樹脂エマルジョン6:スミカフレックス470HQ、住化ケムテックス社製
・合成樹脂エマルジョン7:スミカフレックス510HQ、住化ケムテックス社製
下記第2表の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される各タイヤパンクシール材を得た。
得られた各タイヤパンクシール材に、N−エチルジエタノールアミンを加え、pHを5.5〜7.0に調整した。pH(水素イオン指数)の測定にはpHメーター(日立ハイテクノロジー社製)を用いた。pH調整後のタイヤパンクシール材のpHを第2表に示す。
各タイヤパンクシール材について、下記に示す方法により、シール性、冷熱サイクル安定性、冷熱サイクル試験後のシール性、貯蔵安定性の評価を行った。結果を第2表に示す。
タイヤのトレッド溝部にドリルで直径2mmのパンク孔を空け、孔が空いたタイヤをドラム試験機に装着した。
一方各タイヤパンクシール材をそれぞれ別々のポリ容器に詰めておき、タイヤパンクシール材が入ったポリ容器をタイヤのバルブ口に接続して、ポリ容器を手で絞ってタイヤパンクシール材をバルブ口からタイヤ内へ注入した。
次いで、タイヤの内圧が250kPaとなるようにタイヤに空気を充填し、その後得られたタイヤを荷重350kg、時速30kmの条件下で8分間走行させた。
走行後、目視、並びに石鹸水をタイヤのパンク孔およびパンク孔の付近に吹きかけて空気漏れの有無を観察した。
シール性の評価基準は、漏れがなかった場合を「○」、漏れがあった場合を「×」とした。
各タイヤパンクシール材を容器に入れて窒素置換した後密閉し、この容器を−40℃で2時間冷却した後80℃で2時間加熱し、このサイクルを200回繰り返した後、タイヤパンクシール材の分散状態を目視で観察した。
冷熱サイクル安定性の評価基準は、タイヤパンクシール材に沈殿物がなくタイヤパンクシール材が均一に分散していた場合を「○」、タイヤパンクシール材の外観(色)が変化した場合を「△」、タイヤパンクシール材が凝集物やフィルムが形成した場合を「×」とした。
(2)冷熱サイクル安定性の評価後のタイヤパンクシール材を使用して、(1)シール性の評価と同様の試験を行った。
冷熱サイクル試験後のシール性の評価基準は、(1)シール性の評価基準と同様である。
タイヤパンクシール材を容器に入れ窒素置換した後密閉し、この容器を80℃の条件下に30日間置いた。その後、タイヤパンクシール材の状態を観察し、分散状態を目視で観察した。
貯蔵安定性の評価基準は、タイヤパンクシール材に沈殿物がなくタイヤパンクシール材が均一に分散していた場合を「○」、タイヤパンクシール材の外観(色)が変化した場合を「△」、タイヤパンクシール材が凝集物やフィルムが形成した場合を「×」とした。
・合成樹脂エマルジョン1〜7:第1表に示す合成樹脂エマルジョン
・粘着付与剤:ハリエスターSK508H、ハリマ化成社製、固形分55質量%、pH6.5
・凍結防止剤:プロピレングリコール、和光純薬工業社製、固形分100質量%
なお、第2表において記載されている合成樹脂エマルジョン1〜7および粘着付与剤の量は、エマルジョンとしての量である。
これに対して、実施例1〜18は、貯蔵安定性、ヒートサイクル後のシール性に優れていた。
Claims (7)
- 合成樹脂エマルジョンと、粘着付与剤と、凍結防止剤とを含有し、
前記合成樹脂エマルジョンが、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンであり、
前記合成樹脂エマルジョンを20℃で12時間乾燥させさらに50℃で10時間乾燥させることによって得られる、体積V1の合成樹脂エマルジョンフィルムを、プロピレングリコール100質量部と水100質量部とを含む混合液中に80℃の条件下で7日間浸漬させる、合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤試験を行って、前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積V2を測定し、前記体積V1および前記体積V2を下記数式(1)にあてはめることによって求められる、前記合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率が0〜30%であるタイヤパンクシール材。
合成樹脂エマルジョンフィルムの体積膨潤率(%)=(V2−V1)/V1×100 (1)
(数式中、V1は前記体積膨潤試験前の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積であり、V2は前記体積膨潤試験後の合成樹脂エマルジョンフィルムの体積である。) - 前記エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンを構成するモノマーとしてのエチレンと酢酸ビニルとの質量比(エチレン/酢酸ビニル)が、20/80〜50/50である請求項1に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンに使用される界面活性剤が、ポリビニルアルコールである請求項1または2に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記ポリビニルアルコールのけん化度が、65〜95モル%である請求項3に記載のタイヤパンクシール材。
- 前記粘着付与剤の固形分が、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、20〜200質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 前記凍結防止剤の量が、前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、100〜500質量部である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
- 水素イオン指数が、5.5〜7.0である請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール材。
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