JP2007222609A - ワイピングクロス - Google Patents

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憲一 田畑
Toshihiko Yagi
俊彦 八木
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Abstract

【課題】拭き残りが少なく、拭き取りの際に被拭き取り面を傷付けることなく微小粉末含有ペーストを除去でき、微小粉末を布帛内に確実に保持して系外に散逸させない、ワイピングクロスを提供する。
【解決手段】最大粒子径40μm以下の粉末を含有し、ペースト粘度0.5〜50Pa・sである実質的に非含水のペーストを拭き取るための布帛であって、少なくとも単繊維繊度1.0デシテックス以下の極細繊維を含んで構成され、布帛の嵩高度が2.2cm/g以上、布帛厚さ0.25mm以上であるワイピングクロス。
【選択図】図1

Description

本発明は、ペースト拭き取り用のワイピングクロスに関するものである。
不要物の除去を目的として、種々の拭き取り部材が用いられている。
例えば、カラーフィルターの製造において、インクジェットヘッドからインクを吐出してパターンを形成する際に、液体インクの液滴吐出ヘッドの液滴吐出部およびその周囲をクリーニングする目的でワイピングクロスを使用することが開示されている(特許文献1)。
また、極細繊維と太繊度繊維からなる複合糸で構成された高密度編物が、メガネレンズの油膜・汚れの拭き取り性に優れていることが開示されている(特許文献2)。
さらに、プラズマディスプレイ製造において、スクリーン印刷法により蛍光体ペーストを塗布して蛍光体層を形成する際に、スクリーン版の版洗浄のために、付着したスクリーン印刷版上の蛍光体ペーストを紙ワイパーで拭き取り、ペーストを除去することが開示されている(特許文献3)。
加えて、プラズマディスプレイ製造において、蛍光体ペーストを除去する方法として、ニードルの吐出口を有する口金から蛍光体ペースト吐出して蛍光体層を形成する際に、吐出口面に付着した蛍光体ペーストを、拭き取り部材として樹脂やゴムなどの板状部材で掻き取って除去する方法が開示されている(特許文献4)。
特開2004−337709号公報 特開平9−19393号公報 特開2000−104053号公報 特開平10−233163号公報
しかしながら、このような板状部材で、蛍光体ペーストのような粉末を含有するペーストを除去する方法では、ペーストの拭き残しが見られ、拭き取り性が十分でないという問題点があった。また、口金の吐出口面とワイピングクロスの間にペースト中の蛍光体粉末を挟み、蛍光体粉末が擦り付けられ、吐出口や吐出口面に傷が付き易く、口金交換の頻度が増えて、製造コストがかさむという問題点があった。さらに、拭き取った蛍光体粉末がペースト塗布装置周辺に飛散し、クリーンルームのクリーン度低下を生じるという問題点があった。
したがって、本発明の目的は、蛍光体ペーストのような微小粉末を含有するペーストの拭き取り性に優れるとともに、拭き取りの際に口金の吐出口や吐出口面のような被拭き取り面を傷付けることなくペーストを除去でき、拭き取ったペーストおよび粉末を確実に保持して系外に散逸させない拭き取り材料を提供することにある。
(1) 最大粒子径40μm以下の粉末を含有し、ペースト粘度0.5〜50Pa・sである実質的に非含水のペーストを拭き取るための布帛であって、少なくとも単繊維繊度1デシテックス以下の極細繊維を含んで構成され、該布帛の嵩高度が2.2cm/g以上、該布帛厚さ0.25mm以上であるワイピングクロス。
(2) 該布帛が、ペースト塗布装置に付着したペーストを拭き取るためのものである上記(1)記載のワイピングクロス。
(3) ペースト塗布装置のニードルの吐出口を有する口金に付着したペーストを拭き取るための布帛であって、少なくとも単繊維繊度1デシテックス以下の極細繊維を含んで構成され、布帛の嵩高度が2.2cm/g以上、布帛厚さ0.25mm以上であるワイピングクロス。
(4) 該ペーストが、プラズマディスプレイ基板の蛍光体層形成用である上記(3)に記載のワイピングクロス。
(5) 少なくとも拭き取り面側の布帛表面において、該極細繊維の表面被覆率が70%以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(6) 該布帛において、布帛の厚み方向における表面近傍に、極細繊維が偏在していることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(7) 該極細繊維が、布帛の両表面において、偏在していることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(8) 該極細繊維が、仮撚り加工されたものである上記(1)〜(7)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(9) 該布帛の溶媒吸収速度が、100mm/10分以上である上記(1)〜(8)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(10) 該布帛の0.5μm以上の微粒子発塵量が、100個/CF以下である上記(1)〜(9)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(11) 該布帛の圧縮エネルギーが0.08gf・cm/cm以上であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(12) 該布帛の圧縮回復エネルギーが0.04gf・cm/cm以上であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(13) 該布帛が、2.5デシテックス以上の太繊度繊維を含んで構成され、太繊度繊維の沸騰水収縮率が10〜25%であることを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(14) 該布帛が、編物である上記(1)〜(13)のいずれかに記載のワイピングクロス。
(15) 該編物が、丸編みであることを特徴とする上記(14)に記載のワイピングクロス。
本発明のワイピングクロスを用いて拭き取りを行うことにより、拭き残りが少なく、拭き取りの際に被拭き取り面を傷付けることなく微小粉末含有ペーストを除去できる。さらに、微小粉末を布帛内に確実に保持して系外に散逸させない。本発明のワイピングクロスは、プラズマディスプレイ基板の蛍光体層形成用の蛍光体ペーストの拭き取りに適している。特に、蛍光体ペースト塗布装置の口金の吐出口や吐出口面に付着した蛍光体ペーストの拭き取りに適している。
まず、本発明のワイピングクロスが優れた特性を発現するメカニズムについて説明する。
本発明のワイピングクロスは、極細繊維を含んで構成され、嵩高く、厚さのある布帛からなる。本発明のワイピングクロスが、微小粉末を含有するペーストの拭き取り性に優れ、拭き取る際にペースト付着面の金属や樹脂を傷付けることなくペーストを除去でき、さらに拭き取った粉末を確実に保持して系外に散逸させないという優れた特性を有する理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推察される。すなわち、布帛表面の極細繊維が粉末を含有する比較的高粘度のペーストをほぼ拭き残しなく拭き取り、布帛内部に取り込む。嵩高く、連通した隙間が多い布帛構造が、特にペースト中の粉末成分を効率的に布帛の内部へと取り込むことを可能とし、粉末成分を順次、布帛内部に取り込み、保持して、布帛外に散逸させない。また、厚さのある布帛が、多量のペーストであっても、布帛の内部に取り込む十分広い隙間スペースを提供する。
特に、プラズマディスプレイ基板に用いられる蛍光体粉末は、通常、平均粒子径が0.5〜6μmの範囲にあり、布帛表面に設けた極細繊維が、蛍光体粉末の平均粒子径と同程度の径を有しているため、布帛表面の極細繊維で拭き取られて、ほとんどすべての粒子が極細繊維の隙間に入り込み、ワイピングクロスを強い圧力で押し付けながら拭き取っても、蛍光体粒子が極細繊維の間に逃げ込んで布帛の表面に残らないため、拭き取りの際に吐出口や吐出口面のような被拭き取り面を傷付けることなく蛍光体ペーストを除去することができる。布帛の表面に太径繊維が存在する場合、拭き取りの際の圧力が太径繊維を介して直接蛍光体粒子にかかり、蛍光体粒子が強い圧力で被拭き取り面に押し付けられ、口金の吐出口または吐出口周辺を傷付け易い。
ワイピングクロスに同じ押し付け圧力を加えて拭き取りした場合であっても、実際に各繊維にかかる圧力は、拭き取り面に対する布帛の接触面積が関係する。極細繊維の場合、単位面積当たりの繊維数が圧倒的に多く、したがって接触点の数も多くなるので、各単繊維が受ける力は小さくなる。ワイピングクロスを拭き取り面に押し付けた時に、蛍光体粒子が極細繊維の間に逃げ込み易く、拭き取り面に強く押し付けられない。また、逃げ込む際に、押し付けられる圧力の大きさが比較的小さくなる。一方、太径繊維の場合、各単繊維が受ける力が大きく、その力で硬い蛍光体粒子を拭き取り面に押し付けるため、被拭き取り面を傷付け易い。また、繊維自体の太さから、粒子が繊維間に逃げ込み難く、逃げ込む間にも拭き取り面を傷付ける。
一般に、極細繊維が油膜などの拭き取り性に優れるのは、その表面積の広さが強く寄与するものと推定されるが、本発明において布帛表面に存在する極細繊維が特定のペーストの拭き取り性に特に優れる理由は、前述の如く、油膜の拭き取り場合とは全く異なる。また、粉末による傷付きを激減させる効果も得られる。さらに、後述の如く、布帛の裏面側(拭き取り面と反対側の面)も極細繊維で被覆することにより、粉末が裏面側から布帛系外に散逸することを防止、抑制できる。
布帛強度付与および押し付け時の布帛の圧縮回復力付与の目的から、表層に極細繊維を配するのに対して、布帛内部に太繊度繊維を設けた布帛構造が好ましい。したがって、布帛表面の極細繊維被覆率が高いことが好ましく、布帛の厚み方向における表面近傍に、極細繊維が偏在していることが特に好ましい。嵩高く、連通した隙間が多い布帛構造が、特にペースト中の粉末成分を効率的に布帛の内部へと取り込むために、拭き取り時の押し付け圧力に対して隙間がつぶれて失われないことが好ましく、その意味で圧縮エネルギーが大きく、かつ圧縮回復力の高い布帛が好ましい。また、布帛裏面にも極細繊維を配することは、取り込んだ粉末が布帛外に散逸することを防止、抑制する。したがって、布帛裏面についても極細繊維被覆率が高いことが好ましく、布帛の厚み方向における裏面近傍に、極細繊維が偏在していることが特に好ましい。粉末が布帛外に飛散すると、ペースト塗布装置周辺のクリーン度を低下させる。通常、プラズマディスプレイ基板の製造時には、蛍光体層形成のための蛍光体ペースト塗布工程もクリーンルーム内で行われるため、クリーン度の低下は粉末による基板の汚染につながるため好ましくない。
以上のようなメカニズムにより、本発明のワイピングクロスの優れた特性が発現するものと推察される。
次に、本発明のワイピングクロスの属性について、個別に説明する。
本発明のワイピングクロスは、最大粒子径40μm以下の粉末を含有し、ペースト粘度0.5〜50Pa・sである実質的に非含水のペーストを拭き取る用途に使用される。
ここで、非含水とは、ペースト中に水を含有しないことを言い、ペースト成分として水が用いられていないことが必須である。
本発明の粉末としては、蛍光体、無機着色材、磁性体、顔料などが挙げられるがこれに限定されるものではない。特に、無機蛍光体が好ましく用いられる。粉末の最大粒子径は40μm以下であることが必須である。粉末の最大粒子径が40μmを越えると、ワイピングクロスでの拭き取り性が低下するとともに、拭き取り時に被拭き取り面を傷付け易くなる。また、粉末の粒子径の範囲は0.5〜30μmが好ましい。
また、ペーストは、粉末以外の成分として、有機バインダー、有機溶媒を含有し、必要に応じて分散剤、可塑剤、レベリング剤などを含有してもよい。ペースト粘度は0.5〜50Pa・sが必須であり、5〜50Pa・sが好ましい。ペースト粘度が50Pa・sを越えると、ペーストが布帛表面に残り、粉末が布帛内部に取り込まれ難くなり、被拭き取り面を傷付け易くなる。また、0.5Pa・s未満の場合、拭き取り時にペーストが垂れ落ち、ペーストがワイピングクロス外に散逸することがある。
本発明の極細繊維は、高い拭き取り効果が得られる点、またペーストに含有する粉末成分による被拭き取り面の傷付けを極小化する点で、少なくとも単繊維繊度が1デシテックス以下であることが必須である。極細繊維は、単繊維繊度が0.001〜1デシテックスの範囲内であることが好ましく、0.01〜0.5デシテックスの範囲内であることがさらに好ましく、0.01〜0.1デシテックスであることが特に好ましい。
本発明のワイピングクロスは、布帛の嵩高さが2.2cm/g以上であることが必須である。ペースト中の粉末成分を効率的に布帛の内部へと取り込むためである。一方、布帛の嵩高さは、取り込んだペーストを確実に布帛内に保持するという点から、10cm/g以下であることが好ましい。
また、本発明のワイピングクロスは、布帛の厚さが0.25mm以上であることが必須である。ペースト中の粉末成分を効率的に布帛の内部へと取り込むためである。一方、布帛の厚さが厚いと送り出しロール1本当たりの布帛長さが短くなるのでロールの交換頻度が増えて好ましくないという生産性への影響も考慮し、布帛の厚さは10mm以下であることが好ましい。
布帛の嵩高さおよび布帛の厚さは、JIS L1096(一般織物試験方法)およびJIS L1018(ニット生地試験方法)を参考にして、以下の方法で算出した値を言う。
[布帛の厚さの測定]
20cm×20cmの試験片1枚を準備し、厚さ測定機にてプレッサーフートで所定の圧力をかけて測定した。プレッサーフートは、織物では2cm、編物では10cmのものを用いた。また、圧力は、織物では240gf/cm、編物では7gf/cmとした。圧力をかけて10秒後の厚さをダイヤルゲージ(ピーコックメーター)で読みとって布帛厚さt(mm)とした。
[布帛の嵩高度の測定]
20cm×20cmの布帛1枚の重量(g/m)を測定し、上記布帛厚さt(mm)と布帛重量W(g/m)から、以下の式に従って嵩高度(cm/g)を算出した。
嵩高度(cm/g)= t/W × 1000
本発明の布帛は、ペースト塗布装置に付着したペーストを拭き取るためのワイピングクロスとして好適に用いられる。
本発明のワイピングクロスを用いた拭き取り方法としては、ワイピングクロスを含む拭き取り手段が運動する方法として、(1)吐出口近傍の口金面にワイピングクロスを押し付ける方法、(2)吐出口近傍の口金面に対してワイピングクロスを押し付けながら移動させる方法、一方、吐出口を有する口金、すなわち拭き取られる側が運動する方法として、(3)吐出口近傍の口金面をワイピングクロスに押し付ける方法、(4)吐出口近傍の口金面をワイピングクロスに対して押し付けながら移動させる方法、などを挙げることができるが、拭き取りの方法としてはこれらの方法に限定されない。
また、拭き取りの回数も、ワイピングクロスの同じ箇所で複数回拭き取り操作を行ってもよいし、一度拭き取り操作を行った口金面に対してワイピングクロスの未使用面を用いて拭き取り操作を追加してもよい。
本発明のワイピングクロスは、拭き取り操作の前に、溶媒を含浸し、溶媒を保持した状態でペーストを拭き取ることが好ましい。使用する溶媒は特に限定されないが、ペーストを溶解させる溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒として、例えばアセトンを挙げることができる。溶媒がワイピングクロスに浸透して広がる速度は、拭き取り時に使用する溶媒でテストすることも可能であるが、水の浸透性すなわち吸水速度から浸透速度の良し悪しを推定することも可能である。
さらに、吐出口を有する口金面からのペーストの除去にあたっては、本発明のワイピングクロスを用いる拭き取り方法に加えて、別のペースト除去方法を併用してもよい。別のペースト除去方法として、例えば、粘着テープによりペーストを除去する方法を挙げることができる。より具体的に例示すれば、吐出口近傍の残存ペーストを、(1)まず粘着テープを用いて除去し、取りきれなかったペーストを本発明のワイピングクロスを用いて拭き取り・除去する方法、(2)まず本発明のワイピングクロスを用いて拭き取り・除去した後に、取りきれなかったペーストを粘着テープにより除去する方法、などを挙げることができる。
本発明のペースト塗布装置は、スクリーン版を用いるスクリーン印刷法、インクジェット法、エア圧力を制御してノズルからペーストを吐出するディスペンサー法、ニードルの吐出口を有する口金を用いる口金法など特に限定されるものではないが、粉末成分を高い濃度で含有するペーストであっても精度が良く、歩留まりが高く生産効率に優れる口金法により塗布を行う塗布装置が好ましい。したがって、本発明のペースト塗布装置は、これらペースト塗布装置を選択することが好ましい。
本発明のワイピングクロスは、プラズマディスプレイ基板の蛍光体層形成用の蛍光体ペーストを拭き取る目的に使用されることが好ましい。ここで蛍光体ペーストとは、有機バインダー、有機溶媒、蛍光体粉末を含有するペースト状組成物を言う。これら成分以外の成分として、必要に応じて分散剤、可塑剤、レベリング剤などを含有してもよい。
蛍光体粉末としては、例えば、赤色では、(Y,Eu) 、Y:Eu、YVO:Eu、(Y,Gd,Eu)BO 、Y S:Eu、γ−Zn (PO:Mn、(ZnCd)S:Ag+Inなどが、緑色では、ZnGeO:Mn、BaAl1219:Mn、(Ba,Sr,Mg)O・aAl:Mn、(Zn,Mn)SiO、ZnSiO:Mn、LaPO:Tb、ZnS:Cu,Al、ZnS:Au,Cu,Al、(ZnCd)S:Cu,Al、ZnSiO:Mn,As、YAl12:Ce、CeMgAl1119:Tb、GdS:Tb、YAl12:Tb、ZnO:Znなど、青色では、Sr (PO Cl:Eu、(Ba,Eu)MgAl1017、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1424:Eu、ZnS:Ag+赤色顔料、YSiO:Ceなどが挙げられる。特に[(Y,Gd,Eu)BO]、[(Y,Eu)]、[(Zn,Mn)SiO]、[(Ba,Eu)MgAl1017]、[(Ba,Sr,Mg)O・aAl:Mn]および[BaAl1219:Mn]のいずれかの1種または2種以上が好ましく用いられる。
さらに、ツリウム(Tm)、テルビウム(Tb)およびユーロピウム(Eu)からなる群より選ばれた少なくとも1つの元素で、イットリウム(Y)、ガドリウム(Gd)およびルテチウム(Lu)から選ばれた少なくとも1つの母体構成稀土類元素を置換したタンタル酸稀土類蛍光体が挙げられる。
タンタル酸稀土類蛍光体としては、組成式Y1−x Eu TaO(式中、Xはおよそ0.005〜0.1である)で表されるユーロピウム付活タンタル酸イットリウム蛍光体が好ましく挙げられる。赤色蛍光体には、ユーロピウム付活タンタル酸イットリウムが好ましく、緑色蛍光体には、タンタル酸稀土類蛍光体が組成式Y1−xTb TaO(式中、Xはおよそ0.001〜0.2である)で表されるテルビウム付活タンタル酸イットリウムが好ましい。青色蛍光体には、タンタル酸稀土類蛍光体がY1−x TmTaO (式中、Xはおよそ0.001〜0.2である)で表されるツリウム付活タンタル酸イットリウムが好ましい。
また、緑色蛍光体として、Mnがケイ酸亜鉛(ZnSiO)母体量に対して0.2重量%以上、0.1重量%未満付活された平均粒子径2μm以上8μm以下のマンガン付活亜鉛蛍光体(ZnSiO:Mn)および一般式が(Zn1−xMn )O・αSiO (式中、Xおよびαは、0.01≦X≦0.2、0.5<α≦1.5の範囲の値である)で表されるマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体も好ましく用いられる。
本発明の蛍光体ペーストに含有される有機バインダーの具体的な例としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、シリコンポリマー(例えば、ポリメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン)、ポリスチレン、ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリエーテル、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのコポリマー、ポリアクリルアミドおよび種々のアクリルポリマー(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ低級アルキルアクリレート、ポリ低級アルキルメタクリレートおよび低級アルキルアクリレートおよびメタクリレートの種々のコポリマーおよびマルチポリマー)などの樹脂が挙げられる。また、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、メチルヒドロキシセルロース等のセルロース化合物は、焼成後のバインダー残りが少ない蛍光体層を形成できるため、好ましく用いることができる。
本発明の蛍光体ペーストに含有される有機溶媒は、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テルピネオール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフラン、γ−ブチルラクトンなどやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
本発明において、布帛を構成する極細繊維の重合体としては特に限定されないが、ポリエチレンエレフタレート(以下PETと言う)、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと言う)、ポリエステルエラストマーなどのポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリルニトリル系などの繊維形成性を有する重合体が好適である。この中でも、好ましくはPET、PBT、更に好ましくはナイロン6,ナイロン66等が好ましい。また、一種類の重合体である必要はなく、複数の重合体を混用して用いることも可能である。
本発明のワイピングクロスにおいて、極細繊維は粉末含有ペーストの拭き取り性を向上させるので、布帛のペースト拭き取り面の極細繊維表面被覆率はより高いことが好ましい。布帛のペースト拭き取り面の極細繊維表面被覆率は70%以上が好ましく、90%以上、95%以上がさらに好ましい。
極細繊維の表面被覆率とは、布帛の表面写真をSEM(走査型電子顕微鏡)観察し、極細繊維部分が布帛表面(極細繊維部分+太繊度繊維部分の和)に締める面積の割合を言う。布帛表面の任意の場所で、2mm×2mmの面積以上の写真を3枚撮影し、その画像から極細繊維の表面被覆率を算出した。
本発明のワイピングクロスにおいて、極細繊維としては仮撚り加工による捲縮が付与されているものが好ましく使用される。この仮撚り捲縮により、1本1本の単繊維配列を乱し、布帛表面における拭き取り性、粉末取り込み性を大きくすることができる。仮撚り加工は通常のウーリー加工などを用いることができる。
本発明においては、前述の如く、布帛強度付与および押し付け時の布帛の圧縮回復力付与の目的から、布帛厚み方向における表面近傍に、極細繊維が偏在していることが好ましく、特に、両表面において偏在している事が好ましい。さらには、表層に極細繊維を配し、布帛内部に太繊度繊維を設けた布帛構造とすることが好ましい。布帛を構成する太繊度繊維の重合体としては特に限定されないが、PET、PBT)、ポリエステルエラストマーなどのポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリルニトリル系などの繊維形成性を有する重合体が好適である。この中でも、好ましくはPET、PBT、更に好ましくはナイロン6,ナイロン66等が好ましい。また、一種類の重合体である必要はなく、複数の重合体を混用して用いることも可能である。
本発明において、太繊度繊維とは、2.5デシテックス以上の繊度を有するものを言う。
本発明においては、極細繊維と太繊度繊維とをそれぞれ単独で用いた糸や、極細繊維と太繊度繊維からなる複合糸が用いられる。布帛全体において、極細繊維は少なくとも太繊度繊維よりも重量割合で多く含まれていることが好ましい。布帛の嵩高度、拭き取り性の観点から、極細繊維が50〜80重量%含まれていることが好ましい。
一方、2.5デシテックス以上の太繊度繊維は残りの部分を占める。かかる太繊度繊維は、仮ヨリ加工などされていない生糸であることが好ましい。また、かかる太繊度繊維は、熱処理前の状態において、極細繊維よりも熱に対する高い収縮特性を有するものであるものが好ましい。具体的には、極細繊維の沸騰水収縮率としては4〜8%であることが好ましく、太繊度繊維は10〜25%の収縮率を有するものが好ましく使用される。特に、太繊度繊維としては、極細繊維の沸騰水収縮率より、さらに4〜8%大きい収縮率を有するものが好ましく使用される。すなわち、熱処理により、太繊度繊維が、極細繊維より大きな収縮を発現すると、その収縮差により、熱処理後、太繊度繊維の周りに極細繊維が弛緩した状態で配置されることとなり、結果として太繊度繊維が比較的に布帛の内層部を形成し、極細繊維が比較的に布帛の表層部を形成する。したがって、大きな嵩高度の布帛が得られる。かかる両者の糸長差は、極細繊維が太繊度繊維よりも3%以上長いものが好ましく用いられる。
本発明のワイピングクロスは、織物、編物、不織布など特に限定されるものではなく、また織編物と不織布の複合体であってもよい。これら布帛の中で、編物は、構成する単繊維の配列乱れが拭き取り性に方向性を持たないワイピングクロスとなり得る点で好ましい。このような配列乱れは、編物表面をウォータジェット加工することにより得ることができ、表面の極細繊維の一部が太繊度繊維と絡み合うとともに、編目の方向性がランダムになり、編物の表面がセーム調に変化する。編物の中でも、特に、高い生産性が得られるという点で、丸編みの編物が好ましく用いられる。
本発明の布帛は、溶媒吸収速度が100mm/10分以上であることが好ましい。
ここで本発明でいう溶媒吸収速度とは、以下に示す測定方法により測定されるものをいう。
すなわち、溶媒としてイオン交換水を使用し、JIS L1907 バイレック法にしたがって測定する。20cm×2.5cmの試料布帛をタテ・ヨコ方向それぞれ5枚採取し、各試料を20±2℃の水で満たした水槽上の一定の高さに支えた水平棒にピンで固定し、試料の下端を一線に並べて水平棒を降ろし、下端がちょうど水に浸かるように配置する。10分間で吸い上げた高さを計測し、N=5の平均値を採用する。
溶媒吸収速度には方向性が見られることが多いが、タテ(ウェール)またはヨコ(コース)いずれかの方向で測定した溶媒吸収速度の値が100mm/10分以上であることが好ましい。ペースト拭き取りの際に、布帛に予め溶媒を付与し、溶媒の湿潤下に拭き取り操作を行うことが好ましい。したがって、特定の値以上の溶媒吸収速度を有する布帛が好ましい。溶媒吸収速度が100mm/10分未満の場合、溶媒を付与しても布帛がペーストを十分に拭き取れないことがある。
本発明の布帛は、0.5μm以上の微粒子発塵量が、100個/CF以下であることが好ましい。0.5μm以上の微粒子発塵量が、100個/CFを越えるとゴミが基板に乗り不都合が生じる。
ここで微粒子発塵量の測定方法は、以下のとおりである。
パーティクルカウンターKC−25(リオン社製)を用いて測定する。米国IES−RP−CC−003−87−T基準記載のタンブラー法にしたがって、10枚の試料を各々1回ずつ測定し、最大値と最小値を除いたN=8のデータから平均値を算出し、試料1枚あたりの発生粒子数とする。試料は、240mm×240mmのものを使用する。測定は、気流垂直型クリーンベンチ内に設置のタンブラーに試料1枚を入れて、エアーを1分間に1CF(Cubic Feet)の吸引量で1分間吸引し、パーティクルカウンターKC−25によって計測する。
本発明の布帛は、圧縮エネルギーが0.08gf・cm/cm以上であることが好ましく、また、布帛の圧縮回復エネルギーが0.04gf・cm/cm以上であることが好ましい。また、圧縮エネルギーが0.12gf・cm/cm以上であることがさらに好ましく、また、布帛の圧縮回復エネルギーが0.06gf・cm/cm以上であることがさらに好ましい。ここで、圧縮エネルギーおよび圧縮回復エネルギーは、カトーテック(株)製自動化圧縮試験機KESFB3により測定した1cm当たりの布帛の圧縮エネルギーおよび圧縮回復エネルギーを言う。布帛にかける圧縮圧力Pを0gf/cmから50gf/cmまで増大させ、続けて50gf/cmから0gf/cmまで圧縮力を減少させ、その間の布帛の厚さの変化を測定する。圧縮圧力増大時の圧縮圧力P=0.5gf/cmにおける厚さをT、圧縮圧力P=50gf/cmにおける厚さをTとすると、圧縮エネルギーWCは圧縮力増大時の圧縮圧力P=P(T)の値をT=TからTまで積分した値であり、TからTの区間における曲線P=P(T)の下側の面積に相当する。一方、圧縮回復エネルギーWC’は圧縮力減少時の圧縮圧力P=P‘(T)の値をT=TからTまで積分した値であり、TからTの区間における曲線P=P’(T)の下側の面積に相当する。また、圧縮回復エネルギーと圧縮エネルギーの比の値WC’/WCは圧縮レジリエンスRCと呼ばれ、圧縮力増大・圧縮力減少の1回の圧縮サイクルにおける圧縮回復率を意味する。圧縮回復率が高い方が好ましいが、圧縮回復率の高さよりも、圧縮エネルギーの値が大きいこと、および圧縮回復エネルギーの値が大きいことの方が、拭き取ったペースト粉末を確実に保持するという観点からより好ましい。
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(布帛特性の測定)
布帛厚さ、布帛の嵩高度、布帛の圧縮エネルギー、布帛の圧縮回復エネルギー、圧縮レジリエンスを測定した。
カトーテック(株)製自動化圧縮試験機KESFB3により圧縮エネルギーおよび圧縮回復エネルギーを算出する際に使用する圧縮サイクル(圧縮増大時および圧縮減少時)における圧力と厚さの関係の一例を図1に示した。
(微粒子発塵量の測定)
パーティクルカウンターKC−25(リオン社製)を用いて測定した。米国IES−RP−CC−003−87−T基準記載のタンブラー法にしたがって、10枚の試料を各々1回ずつ測定し、最大値と最小値を除いたN=8のデータから平均値を算出し、試料1枚あたりの発生粒子数とした。試料は、240mm×240mmのものを使用した。測定は、気流垂直型クリーンベンチ内に設置のタンブラーに試料1枚を入れて、エアーを1分間に1CF(Cubic Feet)の吸引量で1分間吸引し、パーティクルカウンターKC−25によって計測した。
(溶媒吸収速度の測定)
溶媒としてイオン交換水を使用した。JIS L1907 バイレック法にしたがって測定した。20cm×2.5cmの試料をタテ・ヨコ方向それぞれ5枚採取し、各試料を20±2℃の水で満たした水槽上の一定の高さに支えた水平棒にピンで固定し、試料の下端を一線に並べて水平棒を降ろし、下端がちょうど水に浸かるように配置する。10分間で吸い上げた高さを計測し、N=5の平均値を採用した。
(沸騰水収縮率の測定)
ポリエステル繊維をカセ取り機で10回巻き取り、0.09g/dtexの荷重を掛けて試長aを測定し、100℃の沸騰水中で15分間熱処理し、8時間以上自然乾燥した後0.9g/dtexの荷重を掛け、試長bを測定し、次の式より沸騰水収縮率 を算出した。
沸騰水収縮率 (%)=〔(a−b)/a〕×100
(蛍光体の粒子径の測定)
粒度分布測定装置マイクロトラック9320HRA(X−100)を用いて、レーザー回折散乱法により測定した。
(蛍光体ペーストの調製)
累積平均粒子径3.5μm、最大粒子径28μmの緑色蛍光体(Zn,Mn)SiOの蛍光体粉末39g、有機バインダー(エチルセルロース)8g、およびバインダー溶媒(テルピネオール)53gからなる蛍光体ペーストを作製した。まず、有機バインダーとバインダー溶媒を混合し、加熱しながら溶解した。次に、蛍光体粉末を添加し、混練機で混連することによって蛍光体ペーストを得た。蛍光体ペーストの粘度は、25Pa・sであった。
(ワイピングクロスによる蛍光体ペーストの連続拭き取りテスト)
ストライプ状隔壁(隔壁高さ130μm、線幅30μm、ピッチ220μm)を1921本形成したガラス基板(幅340mm×奥行き440mm×厚さ2.8mm)に蛍光体ペーストを塗布した。塗布に用いたニードルの吐出口を有する口金は、ニードル孔径150μm、孔数640個である。
塗布開始位置において、ニードルに圧力0.35MPaを加え、隔壁とのクリアランスを100μmに保持した状態で、テーブルを50mm/分の速度で塗布した。塗布終了位置で塗布を停止した。この時、口金の吐出口および吐出口面に付着した蛍光体ペーストを、図2に示すクリーニングユニットに備え付けたワイピングクロスにより拭き取った。
ワイピングクロスは、640個の吐出口の並ぶ方向と垂直方向に10mm送って拭き取りを行った。
以降、ペースト塗布、クリーニングユニットによる拭き取りを繰り返し行った。拭き取り回数3000回、および15000回において、ペーストの拭き残り、口金の吐出口面の傷状態、ワイピングクロス裏面の蛍光体粉末付着の程度をそれぞれ顕微鏡観察した。
(比較例1)
タテ糸として84デシテックス、36フィラメントのポリエステル長繊維(単繊維繊度:2.3デシテックス)、ヨコ糸として仮撚り加工された135デシテックス、18フィラメントのポリエステル/ポリアミドの海島型複合繊維糸(海成分溶出後の単糸繊度:0.07デシテックス)を用いて、2/2のツイルを製織し生機とした。この生機をアルカリの存在下で熱処理し、海成分を完全に除去することで、ヨコ糸を極細繊維に分解した。さらに130℃の熱水で処理することにより、糸の収縮による高密度化と洗浄を同時に実施した。次に、この織物を180℃で40秒間乾熱処理することで仕上げ加工した。
得られた布帛を用いて、布帛特性の測定およびワイピングクロスによる蛍光体ペーストの連続拭き取りテストを行った。結果を表1、表2に示した。
また、拭き取り回数3000回における布帛の拭き取り面、断面および裏面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った。結果を図3〜8に示した。
(実施例1)
タテ糸として56デシテックス、18フィラメントのポリアミド長繊維(単繊維繊度:3.1デシテックス)、ヨコ糸として仮撚り加工された135デシテックス、18フィラメントのポリエステル/ポリアミド海島型複合繊維糸(海成分溶出後の単繊維繊度:0.07デシテックス)を用いて、5枚サテンを製織し生機とした。得られた生機をアルカリの存在下で熱処理し、海成分を完全に除去することで、ヨコ糸を極細繊維に分解した。さらに130℃の熱水で処理することにより、糸の収縮による高密度化と洗浄を同時に実施した。次に、この織物を180℃で40秒間乾熱処理することで仕上げ加工した。
得られた布帛を用いて、布帛特性の測定およびワイピングクロスによる蛍光体ペーストの連続拭き取りテストを行った。結果を表1〜3に示した。
(実施例2)
極細繊維は66デシテックス9フィラメント、[70島/フィラメント:東レ(株)製]の海島型ポリエステルで島成分がポリエチレンテレフタレートで海成分がポリエステルの酸成分としてテレフタル酸と5ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合体からなるアルカリ熱水可溶型ポリエステルからなる繊維(海島の比率は20/80)を用いた。太繊度繊維としては、33デシテックス6フィラメントのポリエステル糸[東レ(株)製]を用いた。この糸の収縮率は21.2%であった。一方、極細繊維は脱海することなく仮撚り加工(仮撚り数:3000T/M、温度:180℃)し、太繊度繊維と引き揃えてエアー交絡(極細糸のオーバフィード率:2%、空気圧:3kg/cm)し、複合糸を得た。さらに丸編機32G、15cmを用いてインターロック方式で編成し生機とした。この生機を一旦130℃×20分の熱処理後さらに80℃で30分間水酸化ナトリウム1%存在下、処理することにより完全に海成分を除去した。次に、表面から100kg/cmの圧力でウォータージェット加工した。その後135℃でヒートセットして、編物を得た。
得られた布帛を用いて、布帛特性の測定およびワイピングクロスによる蛍光体ペーストの連続拭き取りテストを行った。結果を表1〜3に示した。
また、拭き取り回数3000回における布帛の拭き取り面、断面および裏面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った。結果を図9〜14に示した。
(実施例3)
ループ糸、挿入糸とも、ウーリー仮撚り加工した56dTex、18フィラメントの剥離分割型マルチフィラメント糸条(単糸繊維の断面形状は、中心がポリアミド成分の8葉形で、それを取り巻く形でポリエステル成分が配された剥離分割型の繊維であって、ポリエステル溶出・除去後の単繊維繊度が0.9デシテックスの剥離分割型繊維)を用い、ループパイル長2mmのパイル編み物を製編した。
得られた布帛を用いて、布帛特性の測定およびワイピングクロスによる蛍光体ペーストの連続拭き取りテストを行った。結果を表1〜3に示した。
以上から、極細繊維を含んで構成され、特定の布帛嵩高度および布帛厚さを有するワイピングクロスを用いることにより、拭き残りが極めて少なく、拭き取りの際に被拭き取り面を傷付けることなく微小粉末含有ペーストを除去できる。さらに、微小粉末を布帛内に確実に保持して系外に散逸させない。
また、図3〜8および図9〜14を比較すると、布帛表面の太繊度繊維上の粉末は、拭き取りの際の押し付けにより、繊維間に逃れるなどの逃げ場がないこと、(したがって被拭き取り面を傷付け易いこと)、また布帛内部の太繊度繊維の周囲に粉末が多数保持されていること(図11〜12)、さらに図13〜14では布帛裏面(拭き取り面と反対の面)にほとんど粉末が観察されないこと、(したがって粉末の布帛内での保持が確実であること)、が分かる。
以上のように、本発明のワイピングクロスを用いて拭き取りを行うと、拭き残りが少なく、拭き取りの際に被拭き取り面を傷付けることなく微小粉末含有ペーストを除去できる。さらに、微小粉末を布帛内に確実に保持して系外に散逸させない。本発明のワイピングクロスは、プラズマディスプレイ基板の蛍光体層形成用の蛍光体ペーストの拭き取りに適している。
特に、蛍光体ペースト塗布装置の口金の吐出口や吐出口面に付着した蛍光体ペーストの拭き取りに適している。
圧縮試験における圧縮サイクルでの印加圧力と布帛厚さの関係図の一例である。 本発明の実施例で使用した、ワイピングクロスによる蛍光体ペーストの連続拭き取りテストにおけるワイピングクロスを備え付けたクリーニングユニットの装置図である。 比較例1において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの拭き取り面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの拭き取り面の走査型電子顕微鏡写真(拡大)である。 比較例1において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの断面の走査型電子顕微鏡写真(拡大)である。 比較例1において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの裏面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの裏面の走査型電子顕微鏡写真(拡大)である。 実施例2において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの拭き取り面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの拭き取り面の走査型電子顕微鏡写真(拡大)である。 実施例2において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの断面の走査型電子顕微鏡写真(拡大)である。 実施例2において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの裏面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2において、拭き取り回数3000回でのワイピングクロスの裏面の走査型電子顕微鏡写真(拡大)である。
符号の説明
1 口金
2 吐出口面
3 ワイピングクロス
4 ワイピングクロスの送り出しロール
5 ワイピングクロスの巻き取りロール
6 ガイドロール
7 押し付けロール
8 押し付けロール
9 ガイドロール

Claims (15)

  1. 最大粒子径40μm以下の粉末を含有し、ペースト粘度0.5〜50Pa・sである実質的に非含水のペーストを拭き取るための布帛であって、少なくとも単繊維繊度1デシテックス以下の極細繊維を含んで構成され、該布帛の嵩高度が2.2cm/g以上、該布帛厚さ0.25mm以上であるワイピングクロス。
  2. 該布帛が、ペースト塗布装置に付着したペーストを拭き取るためのものである請求項1記載のワイピングクロス。
  3. ペースト塗布装置のニードルの吐出口を有する口金に付着したペーストを拭き取るための布帛であって、少なくとも単繊維繊度1デシテックス以下の極細繊維を含んで構成され、布帛の嵩高度が2.2cm/g以上、布帛厚さ0.25mm以上であるワイピングクロス。
  4. 該ペーストが、プラズマディスプレイ基板の蛍光体層形成用である請求項3に記載のワイピングクロス。
  5. 少なくとも拭き取り面側の布帛表面において、該極細繊維の表面被覆率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のワイピングクロス。
  6. 該布帛において、布帛の厚み方向における表面近傍に、極細繊維が偏在していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のワイピングクロス。
  7. 該極細繊維が、布帛の両表面において、偏在していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のワイピングクロス。
  8. 該極細繊維が、仮撚り加工されたものである請求項1〜7のいずれかに記載のワイピングクロス。
  9. 該布帛の溶媒吸収速度が、100mm/10分以上である請求項1〜8のいずれかに記載のワイピングクロス。
  10. 該布帛の0.5μm以上の微粒子発塵量が、100個/CF以下である請求項1〜9のいずれかに記載のワイピングクロス。
  11. 該布帛の圧縮エネルギーが0.08gf・cm/cm以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のワイピングクロス。
  12. 該布帛の圧縮回復エネルギーが0.04gf・cm/cm以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のワイピングクロス。
  13. 該布帛が、2.5デシテックス以上の太繊度繊維を含んで構成され、太繊度繊維の沸騰水収縮率が10〜25%であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のワイピングクロス。
  14. 該布帛が、編物である請求項1〜13のいずれかに記載のワイピングクロス。
  15. 該編物が、丸編みであることを特徴とする請求項14に記載のワイピングクロス。
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