JP4531811B2 - 凹凸加工用布帛 - Google Patents
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Description
X(%)=(3.1×10−5×D×c×w)/ρ (1)
但し、Dはパイル糸の平均デシテックス数
cは長手方向のパイルの株数/吋
wは幅方向のパイルの株数/吋
ρはパイル糸の平均比重
Y(%)=A/B×100 (2)
但し、Aは断面写真の布帛のパイル糸上部50%部分におけるパイル糸部分の面積
Bは断面写真の布帛のパイル糸上部50%部分の面積
本発明の凹凸加工用布帛は、好ましい態様において、有毛パイル布帛のパイル部が、ポリエステル系繊維からなる。
本発明は、第2に、上記の凹凸加工布帛を繊維分解剤を含有するインクを用いてインクジェット印写することを特徴とする凹凸加工布帛の製造方法である。
図2はパイル糸断面の外周を示す説明図である。
図3はインクジェット捺染による凹凸加工柄の1例を示す説明図である。
図4はインクジェット捺染による凹凸加工柄の1例を示す説明図である。
図中、1は凹凸加工用布帛、2はパイル糸、3はパイル糸を構成する単繊維、4は単繊維の外周、5は凹部、6は凸部、Aは布帛のパイル糸上部50%部分におけるパイル糸部分、そしてBは布帛のパイル糸上部50%部分を示す。
本発明者らは、分解によりパイル糸を構成する繊維を減量や収縮させる薬剤を付与することによる凹凸加工方法、特にインクジェット捺染による凹凸加工において、布帛に鮮明な幅1mm以下の極細線状凹部や段階的に凹部の深さを変化させることによって得られる曲線状の凹部を形成するためには、布帛の凹部を形成したい部分のみに、パイル糸を除去するのに十分な量の薬剤を保持させることが重要であることに着目し、パイル部を構成するパイル糸の単糸繊度が0.05〜3.5dtexであって、パイル糸がパイル面側に単位面積当たり2〜25%で均一に分布し、且つ、有毛パイル布帛の垂直方向断面において、パイル面側表面から平均パイル高さ全体の50%の部分の断面積に対して、パイル糸の面積の占める割合が40〜60%とすることによって、布帛の薬剤保持量を向上させ、凹凸加工特にインクジェット捺染による凹凸加工において鮮明な凹凸表現を可能にすることを見出した。
また、パイル糸の単位面積当たりの割合X%は下記の式(1)により算出される。
X=(3.1×10−5×D×c×w)/ρ (1)
D パイル糸の平均デシテックス数
c 長手方向のパイルの株数/吋
w 幅方向のパイルの株数/吋
ρ パイル糸の平均比重
図1に示すように布帛の垂直方向断面の電子顕微鏡写真を撮影する。撮影した断面写真のパイル糸先端から、即ちパイル面側表面から、平均パイル高さの50%の部分Bまでをスキャナーでパソコンに読みとり、パイル糸部分Aとそれ以外の部分を2値化した。単位面積あたりのパイル糸の占める部分の割合Yを下記の式(2)で求めた。
Y(%)=A/B×100 (2)
A 上記の断面写真の布帛のパイル糸上部50%部分におけるパイル糸部分の面積
B 上記の断面写真の布帛のパイル糸上部50%部分の面積
これらの条件を同時に満たすことにより、曲線状の凹部を形成した場合に滑らかな曲線が得られる。本発明における滑らかな曲線による凹部とは、段階的に繊維分解剤の付与量を変化させることにより、布帛断面における凹凸部の深さを変化させたものをいう。このように凹凸部の深さが一定でなく変化していることにより、明暗のグラデーションがランダムに生じるため、どの角度から見ても立体感が得られる。
この単位面積当たりのパイル糸を構成する単糸の総外周長が長いほど単位面積当たりのパイル糸の表面積は大きくなり、従ってインクジェット捺染によって吐出された繊維分解剤を含有したインクを受け止める面積が大きくなり、布帛の薬剤保持量が向上する。これにより薬剤が裏抜けすることなく、パイル糸を除去したい部分に薬剤を必要量保持することが可能になり鮮明な凹凸形成が可能となる。
本発明の凹凸加工用布帛にインクジェット捺染にて繊維分解剤を含有するインクを付与することにより繊維を分解し凹凸を形成する。
上述の方法によって得られた凹凸加工の施された布帛は、鮮明な幅1mm以下の極細線状凹部や、滑らかな曲線状の凹部を有する外観品位に優れたものとなる。
次に本発明を実施例によって説明する。
作成したそれぞれの凹凸加工布帛について、下記の項目の評価を行った。
<凹凸感>
○・・・凹部と凸部で高低差が明瞭
△・・・凹部と凸部の高低差が不明瞭
×・・・凹部と凸部の高低差がない
○・・・曲線状凹部に高低差による段差がない
△・・・曲線状凹部に高低差による段差がわずかに見られる
×・・・曲線状凹部に高低差による段差がはっきりと見られる
○・・・幅が1.0mmの細線が明瞭に表現されている
△・・・幅が1.0mmの細線が不連続な線に表現されている
×・・・幅が1.0mmの細線が全く表現できない
(実施例1〜3および比較例1〜4)
得られた布帛にカルボキシメチルセルロースを付与量2g/m2となるよう付与してインク受容層を設け下記条件にて繊維分解剤を付与した。
炭酸グアニジン 25部
水 73部
プロピレングリコール 2部
印写装置 : オンデマンド方式シリアル走査線型インクジェット印写装置
ノズル径 : 50μm
駆動電圧 : 100V
周波数 : 5KHz
解像度 : 360dpi
図3、図4および幅が1.0mmの細線の各凹凸模様を作成。
印写した布帛を乾燥した後、175℃で10分間湿熱処理した。その後、洗浄および乾燥し、整毛工程を施した。得られた凹凸加工布帛の評価を表1に示す。
得られた布帛に実施例1と同様にインク受容層を設け凹凸加工を施した。得られた凹凸加工布帛の評価を表1に示す。
得られた布帛に実施例1と同様にインク受容層を設け凹凸加工を施した。得られた凹凸加工布帛の評価を表1に示す。
28G ダブルラッセル編機を使用して、パイル糸に84dtex/36f(単糸繊度 2.3dtex)のポリエステル ストレート糸を使用してダブルラッセル編地を得た。得られた布帛をセンターカットし整毛処理後190℃で1分間セットし、130℃で染色後乾燥後、190℃で1分間セットして仕上がり時のパイル糸がパイル面側の単位面積当たり3.4%で均一に分布した、平均パイル高さが1.4mm、編密度が53コース/吋、34ウエル/吋、表面パイル糸を構成する単糸断面の総外周長が6.0m/吋2、断面のパイル占有面積が35%である凹凸加工用布帛を得た。
得られた布帛に実施例1と同様にインク受容層を設け凹凸加工を施した。得られた凹凸加工布帛の評価を表1に示す。
3Bar 28Gのトリコット編機を使用して、パイル糸に167dtex/24f(単糸繊度 7.0dtex)のポリエステル ストレート糸とウーリー加工糸の複合糸を使用してトリコット編地を得た。得られた布帛を190℃で1分間セットし、130℃で染色乾燥後、針布起毛機にてフルカット起毛を施した後、整毛処理し190℃で1分間セットし、仕上がり時のパイル糸がパイル面側の単位面積当たり8.1%で均一に分布した、平均パイル高さが0.3mm、編密度が55コース/吋、37ウエル/吋、表面パイル糸を構成する単糸断面の総外周長が7.8m/吋2、断面のパイル占有面積が55%である凹凸加工用布帛を得た。
得られた布帛に実施例1と同様にインク受容層を設け凹凸加工を施した。得られた凹凸加工布帛の評価を表1に示す。
28G ダブルラッセル編機を使用して、パイル糸に56dtex/24f海島型割繊糸(島成分:海成分=60:40、36分割)を6本合撚した(単糸繊度 0.04dtex)のポリエステルウーリー加工糸を使用してダブルラッセル編地を得た。得られた布帛をセンターカットし整毛処理後、得られた布帛を190℃で1分間セットした。次に90℃で減量後、130℃で染色乾燥し、190℃で1分間セットして仕上がり時のパイル糸がパイル面側の単位面積当たり7.4%で均一に分布した、平均パイル高さが0.6mm、編密度が52コース/吋、32ウエル/吋、表面パイル糸を構成する単糸断面の総外周長が43.8m/吋2、断面のパイル占有面積が53%である凹凸加工用布帛を得た。
得られた布帛に実施例1と同様にインク受容層を設け凹凸加工を施した。得られた凹凸加工布帛の評価を表1に示す。
22G ダブルラッセル編機を使用して、パイル糸に84dtex/36f(単糸繊度 2.3dtex)のポリエステル高捲縮加工糸を使用してダブルラッセル編地を得た。得られた布帛をセンターカットし整毛処理後、得られた布帛を190℃で1分間セットし、130℃で染色乾燥後、190℃で1分間セットして仕上がり時のパイル糸がパイル面側の単位面積当たり1.7%で均一に分布した、平均パイル高さが1.2mm、編密度が40コース/吋、23ウエル/吋、表面パイル糸を構成する単糸断面の総外周長が3.2m/吋2、断面のパイル占有面積が41%である凹凸加工用布帛を得た。
得られた布帛に実施例1と同様にインク受容層を設け凹凸加工を施した。得られた凹凸加工布帛の評価を表1に示す。
Claims (6)
- パイル部と地組織部からなる有毛パイル布帛であって、パイル部を構成するパイル糸の単糸が0.05〜3.5dtexの範囲の同一単糸繊度をもち、パイル糸が均一に分布しており、パイル面側の単位面積当たりに占めるパイル糸の割合(即ち式(1)で示されるX)が2〜25%であり、且つ、有毛パイル布帛の地組織部に対する垂直方向断面の電子顕微鏡写真を撮影して求めた断面写真のパイル面側表面から平均パイル高さ全体の50%の部分の単位面積当たりに占めるパイル糸の割合(即ち式(2)で示されるY)が40〜60%であることを特徴とする凹凸加工用布帛。
X(%)=(3.1×10−5×D×c×w)/ρ (1)
但し、Dはパイル糸の平均デシテックス数
cは長手方向のパイルの株数/吋
wは幅方向のパイルの株数/吋
ρはパイル糸の平均比重
Y(%)=A/B×100 (2)
但し、Aは断面写真の布帛のパイル糸上部50%部分におけるパイル糸部分の面積
Bは断面写真の布帛のパイル糸上部50%部分の面積 - パイル面側の表面において1平方吋当たりのパイル糸を構成する単糸断面の総外周長が、6.3〜22.5m/吋2である請求項1記載の凹凸加工用布帛。
- 有毛パイル布帛の平均パイル高さが、0.5〜3.0mmである請求項1または2記載の凹凸加工用布帛。
- 有毛パイル布帛のパイル部が、ポリエステル系繊維からなる請求項1〜3のいずれか1項記載の凹凸加工用布帛。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の凹凸加工用布帛を繊維分解剤を含有するインクを用いてインクジェット印写することを特徴とする凹凸加工布帛の製造方法。
- 凹凸加工布のパイル部がポリエステル系繊維からなり、繊維分解剤がグアニジン塩、フェノール類、アルコール類およびアルカリ性化合物類からなる群から選ばれる請求項5記載の凹凸加工布帛の製造方法。
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