JP2007219402A - 画像形成装置 - Google Patents

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良恵 岩倉
Ryuta Takechi
隆太 武市
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知哉 足立
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Abstract

【課題】鉛直方向及び水平方向の両方向における省スペース化を図りながら、上述の転写チリやスジ画像による画質の劣化を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】レジストニップの出口(P1)を2次転写ニップの入口(P2)における記録紙受入方向の延長線よりも2次転写ローラ20側に位置させ、レジストニップの出口(P1)と2次転写ニップの入口(P2)との距離を40[mm]以下にし、レジストニップの出口における記録紙送出方向の延長線Lbを、駆動ローラ18に対する掛け回しによるベルト湾曲箇所における2次転写ニップの入口(P2)よりもベルト移動方向上流側の領域に交差させ、その交差点P3におけるベルト湾曲箇所に対する接線Lcと、上記延長線Lbとが接線Lcよりもレジストニップの側でなす2つの角のうち、より小さい方の角である突き当たり角θを60[°]以下にするレイアウトを採用した。
【選択図】図5

Description

本発明は、記録部材を中間転写ベルトと転写ニップ形成ローラとの当接による2次転写ニップに送り込むレジストローラ対と、中間転写ベルトの上方又は下方でレジストローラ対に供給するための記録部材を収容する記録部材収容手段とを備える画像形成装置に関するものである。
従来、この種の画像形成装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の姿勢で張架されながら無端移動せしめられる中間転写ベルトを備えている。また、中間転写ベルトの上方において、ベルト上部張架面に沿って並ぶイエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)用の4つの感光体を備えている。像担持体たるこれら感光体には、周知の電子写真プロセスによってY,C,M,Kトナー像が個別に形成される。そして、これらY,C,M,Kトナー像は、中間転写ベルトのおもて面に重ね合わせて1次転写された後、中間転写ベルトと転写ニップ形成ローラたる2次転写ローラとの当接による2次転写ニップに挟み込まれた記録紙に一括2次転写される。中間転写ベルトの下方には、記録紙を収容する記録部材収容手段たる給紙カセットが配設されており、内部の記録紙をレジストローラ対に向けて供給する。これによってレジストローラ対のレジストニップに挟み込まれた記録紙は、中間転写ベルト上の4色重ね合わせトナー像に密着させ得るタイミングで2次転写ニップに向けて送り込まれる。
給紙カセットは、操作性や紙搬送性などの観点から、記録紙を横に寝かせる姿勢で配設されるのが一般的であるため、水平方向に大きなスペースをとってしまう。また、横長の姿勢で張架される中間転写ベルトも、水平方向に大きなスペースをとってしまう。画像形成装置の小型化が進められる近年においては、給紙カセットや中間転写ベルトが必要とする水平方向のスペースが小型化の妨げになることが多くなってきた。
上述した特許文献1の画像形成装置では、中間転写ベルトと給紙カセットとを鉛直方向に並べて、両者の大部分を互いに鉛直方向に重ねるレイアウトになっている。このように、水平方向に大きなスペースをとる中間転写ベルトと給紙カセットとを鉛直方向に重ねることで、装置全体の水平方向へのスペース拡大を抑えることができる。
一方、レジストローラ対から2次転写ニップに向けての紙送り方向については、記録紙を中間転写ベルトに密着させてから2次転写ニップに進入させ得る方向に設定することが望ましい。このようにすることで、2次転写ニップの入口付近で発生する放電に起因する画像の乱れを抑えることができるからである。具体的には、2次転写ニップの入口付近では、張架ローラに対する掛け回しによってローラ曲率に沿った湾曲形状になっているベルト湾曲箇所と、2次転写ローラ表面との間に微小間隙が形成されている。そして、ベルト湾曲箇所と2次転写ローラ表面との間で、微小間隙を介した放電が発生する。このような2次転写ニップの入口付近において、ベルト湾曲箇所に記録紙が十分に密着していないことにより、ベルト湾曲箇所と記録紙との間に空隙が形成されたとする。すると、放電により、ベルト湾曲箇所に担持されているトナー像中のトナーが前述の空隙中を自由に移動してトナー像の周囲に飛び散ってしまう。これに対し、記録紙がベルト湾曲箇所に十分に密着している場合には、放電によるトナーの飛び散りがトナー像に密着している記録紙によって阻害されるため、転写チリと呼ばれる画像の乱れが発生し難くなる。そこで、レジストローラ対から排出された記録紙をベルト湾曲箇所に密着させてから2次転写ニップに進入させるようにするのである。
特開2005−301216号公報
本発明者らは、水平方向だけではなく、鉛直方向へのスペース拡大も抑える目的で、中間転写ベルトと給紙カセットとの鉛直方向における距離を従来よりも小さくした画像形成装置を試作した。すると、この試作機では、プリントアウト紙における副走査方向(紙送り方向)の所定箇所に、主走査方向(紙面における紙送り方向と直交する方向)に延びるスジ画像を発生させてしまった。
そこで、かかるスジ画像を発生させる原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかった。即ち、給紙カセットを中間転写ベルトの真下に配設するレイアウトでは、中間転写ベルトの水平方向の張架サイズを、給紙カセットの水平方向のサイズと大きく異ならせないようにするのが一般的である。中間転写ベルトの水平方向の張架サイズが給紙カセットよりも遙かに大きいと、水平方向においてカセット端部から中間転写ベルトが大きくはみ出して、水平方向への省スペース化を妨げてしまうからである。そこで、中間転写ベルトの水平方向の張架サイズを給紙カセットの水平方向のサイズに近い値にするのである。そして、鉛直方向における中間転写ベルトと給紙カセットとの重ね合わせ領域をできるだけ大きくするために、水平方向において、カセット端部と、中間転写ベルトを張架しているベルトユニットの端部とをできるだけ揃えるようにする。すると、図1に示すように、2次転写ニップを形成する2次転写ローラ20を中間転写ベルト16の側方に配設するとともに、レジストローラ対32を給紙カセット30の斜め上方で且つ2次転写ローラ20の直下付近に配設するレイアウトになる。このようなレイアウトにおいて、上述の転写チリを抑える目的で記録紙Pをベルト湾曲箇所に密着させてから2次転写ニップに進入させるようにすると、図示のように、ベルト湾曲箇所に対して記録紙Pの先端を突き当てるようにしなければならない。この突き当たりの衝撃により、一瞬ではあるがベルトの移動速度が低下して、図示しない複数の感光体からベルトに各色トナー像を1次転写するための1次転写位置でスジ画像を発生させていることがわかった。
なお、試作機では、鉛直方向の省スペース化を図る目的で、レジストニップ出口から2次転写ニップ入口までの距離を40[mm]以下という短い値に設定していた。かかる設定では、ベルト湾曲箇所に突き当たった際の記録紙Pの撓みによる衝撃吸収が起こり難いため、上述のスジ画像が発生し易くなる。
これまで、給紙カセットを中間転写ベルトの鉛直方向下方に配設した場合に発生する問題について説明してきたが、上方に配設した場合にも同様の問題が生じ得る。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、鉛直方向及び水平方向の両方向における省スペース化を図りながら、上述の転写チリやスジ画像による画質の劣化を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面に可視像を担持する像担持体と、該表面に可視像を形成する可視像形成手段と、複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられながら、該表面上の可視像が自らのおもて面に転写せしめられる中間転写ベルトと、該複数の張架ローラの何れか1つである転写裏打ちローラに対する掛け回しによって該転写裏打ちローラの曲率に沿って湾曲する中間転写ベルト箇所であるベルト湾曲箇所に対してベルトおもて面側から当接して転写ニップを形成する転写ニップ形成ローラと、互いの周面を当接させてレジストニップを形成し且つ該レジストニップ内に挟み込んだ記録部材を所定のタイミングで該転写ニップに向けて送り出すレジストローラ対と、該中間転写ベルトの鉛直方向下方又は上方にて該レジストローラ対に供給するための記録部材を収容する記録部材収容手段とを備え、該像担持体から該中間転写ベルトのおもて面に転写した可視像を該転写ニップ内で該記録部材の表面に転写する画像形成装置において、上記レジストニップの出口を上記転写ニップの入口における記録部材受入方向の延長線よりも上記転写ニップ形成ローラの側に位置させ、該出口と該入口との距離を40[mm]以下にし、該出口における記録部材送出方向の延長線を上記ベルト湾曲箇所における該入口よりもベルト移動方向上流側の領域に交差させ、且つ、その交差点における該ベルト湾曲箇所に対する接線と、該記録部材送出方向の延長線とが該接線よりも該レジストニップの側でなす2つの角のうち、より小さい方の角である突き当たり角θを60[°]以下にする、レイアウトを採用したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記転写ニップ形成ローラとして、直径が18[mm]以上、20[mm]以下であるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記交差点を、該交差点と上記転写ニップ形成ローラの周面との間における電位差がパッシェンの放電開始電圧よりも小さくなる位置に設定したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの画像形成装置において、上記レジストニップの出口から上記転写ニップの入口に至るまでの記録部材における転写ニップ形成ローラ側の面に自らの先端を接触させることで、該出口から該入口に至るまでの記録部材の搬送をガイドする搬送ガイド部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記先端を、上記レジストニップの出口と上記転写ニップの入口とを結ぶ線分よりも上記転写ニップ形成ローラ側に近づけて位置させたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記先端と、上記ベルト湾曲箇所との距離を1[mm]以上、1.5[mm]以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れかの画像形成装置において、上記搬送ガイド部材として、金属材料からなるものを用いるとともに、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介して該搬送ガイド部材を接地したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかの画像形成装置において、上記レジストローラ対における一方のローラとして、周面がゴムからなるものを用いるとともに、他方のローラとして、周面が金属からなるものを用い、且つ、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介して該他方のローラを接地したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかの画像形成装置において、上記像担持体を複数設けて、ぞれぞれの像担持体に担持された可視像を上記中間転写ベルトのおもて面に重ね合わせて転写する方式を採用するとともに、上記複数の張架ローラのうち、自らの回転駆動に伴って該中間転写ベルトを無端移動せしめる駆動ローラを上記転写裏打ちローラとして用い、且つ、該駆動ローラの周長を複数の像担持体の配設ピッチと同じ値にしたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかの画像形成装置において、上記中間転写ベルトとして、21〜26[℃]且つ40〜60[%RH]の環境下で500[V]の電圧を印加した時点から10秒経過後の電流値に基づいて求められる体積抵抗率が10〜1010[Ω・cm]であるものを用いたことを特徴とするものである。
これらの発明においては、レジストニップの出口を転写ニップの入口における記録部材受入方向の延長線よりも転写ニップ形成ローラの側に位置させたことで、レジストローラ対を構成する2本のローラのうち、記録部材収容手段(例えば給紙カセット)からより離れた位置にある方のローラを、転写ニップ形成ローラ(例えば2次転写ローラ)のほぼ直下又は真上に位置させる。すると、レジストローラ対に向けて記録部材を排出する記録部材収容手段の水平方向の一端部を、これの上方又は下方に配設される中間転写ベルトユニットにおける水平方向の一端部の真下付近に位置させることが可能になる。そして、これにより、水平方向に大きなスペースをとる中間転写ベルトと記録部材収容手段との鉛直方向における互いの重ね合わせ領域をできるだけ大きくして、水平方向へのスペース拡大を抑えることが可能になる。更に、レジストニップの出口と2次転写ニップの入口との距離を従来では設定されていなかった40[mm]以下という短い値に設定することで、中間転写ベルトと、これの上方又は下方に配設される記録部材収容手段との鉛直方向への距離を従来よりも近づけて、鉛直方向へのスペース拡大を抑えることが可能になる。これらの結果、鉛直方向、水平方向の両方向において省スペース化を図ることができる。
また、レジストニップの出口における記録部材送出方向の延長線をベルト湾曲箇所における2次転写ニップの入口よりもベルト移動方向上流側の領域に交差させたことで、レジストニップから送り出された記録部材の先端を、2次転写ニップに進入させるのに先立ってベルト湾曲箇所に突き当てる。これにより、記録部材をベルト湾曲箇所に密着させてから2次転写ニップに進入させるようにして、転写チリの発生を抑えることができる。
また、後述する実験によって明かなように、記録部材のベルト湾曲箇所に対する突き当たり角θを60[°]以下にすることで、レジストニップの出口から2次転写ニップの入口に至るまでの距離が40[mm]以下であるというスジ画像を発生させ易い条件下においても、スジ画像の発生を抑えることができる。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図2は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット1Kを例にすると、これは図3に示すように、潜像担持体であり且つ像担持体であるドラム状の感光体2Kを備えている。また、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置4K、現像装置5K等も備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット1Kは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
上記帯電装置4Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置5KによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト16上に1次転写される。ドラムクリーニング装置3Kは、1次転写工程を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(1Y,M,C)においても、同様にして感光体(2Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。
上記現像装置5Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有している。ホッパ部6K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ8K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル9K、これの鉛直方向で図示しない駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ10Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。トナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
現像装置5Kの現像部7K内には、感光体2Kやトナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する現像ローラ11Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード12Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとの当接部で現像ローラ11Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード12Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部である現像領域において、感光体2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
図3を用いてK用のプロセスユニットについて説明したが、Y,M,C用のプロセスユニット1Y,M,Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体2Y,M,C表面にY,M,Cトナー像が形成される。
先に示した図2において、プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向上方には、光書込ユニット70が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット70は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザ光Lにより、プロセスユニット1Y,M,C,Kにおける感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット70は、光源から発したレーザ光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、従動ローラ17、駆動ローラ18、4つの1次転写ローラ19Y,M,C,K、2次転写ローラ20、ベルトクリーニング装置21、クリーニングバックアップローラ22などを備えている。
従動ローラ17、駆動ローラ18、クリーニングバックアップローラ22及び4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kは、中間転写ベルト16のループ内側に配設されている。これらのうち、クリーニングバックアップローラ22や、4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kは、中間転写ベルト16の裏面に当接しているものの、その周面に対するベルトの巻き付き角度はごく僅かである。このため、実質的に中間転写ベルト16を張架していない。これに対し、従動ローラ17及び駆動ローラ18は、それぞれ周面に中間転写ベルト16を約180[°]の巻き付き角度で巻き付けながら、中間転写ベルト16を張架している。即ち、本プリンタでは、従動ローラ17及び駆動ローラ18が、それぞれ中間転写ベルト16を張架する張架ローラとして機能している。なお、駆動ローラ18は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されることで、中間転写ベルト16を同方向に無端移動せしめる。
4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト16を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
1次転写ローラ19Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像と、1次転写ローラ19Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ19Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
中間転写ベルト16としては、そのベルト基体が、TPE(サーモプラスチックエラストマーアロイ)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PAA(ポリアミドアロイ)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の高分子材料からなるものを用いることが可能である。ここで、ベルト基体とは、中間転写ベルト16が単層構造である場合には、ベルトそのものである。また、多層構造の場合には、最も厚い層がベルト基体となる。
Y用のプロセスユニット1Yの感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト16上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト16は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト16上には4色トナー像が形成される。
上述の駆動ローラ18は、中間転写ベルト16における周方向の全領域のうち、後述する2次転写ニップを形成する箇所を自らの周面に掛け回してベルト湾曲箇所を形成する転写裏打ちローラとして機能している。転写ユニット15の2次転写ローラ20は、転写裏打ちローラたる駆動ローラ18の曲率に沿って湾曲する前記ベルト湾曲箇所にベルトおもて面側から当接して2次転写ニップを形成している。かかる構成の2次転写ローラ20には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ20と、アース接続されている従動ローラとの間に、2次転写電界が形成される。
2次転写ローラ20としては、金属製のローラ芯金上に、導電性且つ弾性を発揮する材料からなる導電弾性層を被覆したものを用いている。かかる導電弾性層の材料としては、イオン導電性材料(ウレタン+カーボン分散、NBR、ヒドリン)や電子導電性材料(EPDM)等が挙げられる。
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録部材たる記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している記録部材収容手段としての給紙カセット30が、プリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路31に向けて送り出す。
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30における紙排出側の端部の斜め上方に配設されている。給紙カセット30内からカセット側方に向けてほぼ水平方向に排出された記録紙Pは、排出後直ちに約90[°]の角度で大きく方向転換せしめられて、レジストローラ対32のレジストニップに向けて送られる。レジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
2次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト16上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、2次転写ニップの上方に配設された定着装置34に送り込まれる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト16のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング装置21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
定着装置34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着装置34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が図中実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜けると、切替爪42が図中一点鎖線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
図2は、本プリンタを正面側から示している。図紙面に直交する方向の手前側がプリンタの前面であり、奥側が後面である。また、本プリンタの図中右側が右側面、左側が左側面である。本プリンタの右端部は、回動軸40aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路31内を経て、2次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括2次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
上述の反転ユニット40は、外部カバー45と揺動体46とを有している。具体的には、反転ユニット40の外部カバー45は、プリンタ本体の筺体に設けられた回動軸40aを中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー45は、その内部に保持している揺動体46とともに筺体に対して開閉する。図中点線で示すように、外部カバー45がその内部の揺動体46とともに開かれると、反転ユニット40とプリンタ本体側との間に形成されていた給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36が縦に2分されて、外部に露出する。これにより、給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
また、揺動体46は、外部カバー45が開かれた状態で、外部カバー45に設けられた図示しない揺動軸を中心にして回動するように外部カバー45に支持されている。この回動により、揺動体46が外部カバー45に対して開かれると、反転前搬送路41や反転搬送路44が縦に2分されて外部に露出する。これにより、反転前搬送路41内や反転搬送路44内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
プリンタの筺体の上カバー50は、図中矢印で示すように、回動軸51を中心にして回動自在に支持されており、図中反時計回り方向に回転することで、筺体に対して開いた状態になって、筺体の上部開口を外部に向けて大きく露出させる。これにより、光書込ユニット71が露出する。
なお、本プリンタでは、転写ユニット15の構成の簡素化をできるだけ図るために、中間転写ベルト16を2本の張架ローラ(17、18)だけで張架している。かかる構成では、何れか一方(17、18)を駆動ローラとして機能させることになるが、本プリンタでは、転写裏打ちローラとして機能する方の張架ローラを駆動ローラとして機能させている。これにより、転写裏打ちローラに多機能をもたせているが、転写裏打ちローラと駆動ローラとを別々にしてもよい。
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。図4は、本プリンタにおける2次転写ニップとその周囲構成とを示す拡大構成図である。同図において、P1で示される点は、レジストローラ対32において互いに当接する2つのローラがその回転に伴ってレジストニップを形成した後に互いに離間を開始する点であるレジストニップ出口を示している。また、P2で示される点は、2次転写ニップにおいて互いに当接するベルト湾曲箇所と2次転写ローラ20とがその回転に伴って互いに接触を開始する点である2次転写ニップ入口を示している。
中間転写ベルト16を駆動する駆動ローラ18としては、ローラ状の芯金の表面にゴム材料が被覆されたものを用いているが、このゴム材料の硬度は、2次転写ローラ20表面の導電弾性層よりも大きくなっている。このため、2次転写ニップにおいては、図示のように、駆動ローラ18表面が中間転写ベルト16を介して2次転写ローラ20の導電弾性層に食い込むようになっている。かかる構成において、2次転写ニップの入口(P2)に挟み込まれた記録紙Pは、2次転写ニップ入口(P2)におけるベルト湾曲箇所に対する接線の方向に搬送されながら、2次転写ニップ内に受け入れられる。よって、本プリンタでは、図中Laで示した仮想線の延在方向が、2次転写ニップ入口(P2)における記録部材受入方向の延長線となる。プリンタ内においては、この仮想線Laを境にして、2次転写ローラ20側の領域と、中間転写ベルト16側との領域があるが、本プリンタでは、レジストニップの出口(P1)を前者の領域に位置させるように、レジストローラ対32を配設している。このようなレイアウトでは、図示のように、レジストローラ対32を構成する2つのローラのうち、給紙カセット30からより離れた方のローラを2次転写ローラ20のほぼ直下に位置させる。そして、これにより、給紙カセット30の紙排出側端部を、中間転写ベルト20の端部であるベルト湾曲箇所の直下付近に位置させて、カセットとベルトの端部をできるだけ水平方向に揃える。これにより、ベルトとカセットとの鉛直方向における互いの重ね合わせ領域をできるだけ大きくして、水平方向におけるスペース拡大を抑えることができる。
また、本プリンタでは、レジストニップの出口(P1)と2次転写ニップの入口(P2)との距離L1を40[mm]以下に設定している。かかる設定により、中間転写ベルト16と給紙カセット30とを従来よりも鉛直方向に近づけたレイアウトにして、鉛直方向におけるスペース拡大も抑えている。
なお、駆動ローラ18が2次転写ローラ20に食い込んでいるのではなく、この逆に、2次転写ローラ20が駆動ローラ18にくい込んでいる場合には、2次転写ニップの入口(P2)における記録紙の受入方向は次のようになる。即ち、2次転写ニップの入口(P2)における2次転写ローラ20表面に対する接線の方向である。
また、本プリンタでは、レジストニップの出口(P1)と2次転写ニップの入口(P2)との鉛直方向における高低差については35[mm]以下とし、且つ水平方向の位置ズレ量については15[mm]以下に設定している。このようにすることで、距離L1を40[mm]以下にしつつ、縦搬送方式であるにもかかわらずレジスト〜2次転写間で記録紙に対して過剰なまでに水平方向に近い姿勢をとらせることによる搬送路の湾曲を抑えることができる。
図5は、2次転写ニップとその周囲構成とを図4よりも拡大して示す拡大構成図である。同図において、レジストローラ対32を構成する2つのローラのうち、図示しない給紙カセットに近い方のローラ(図中左側のローラ)は、その表面が金属からなっている。これに対し、2次転写ローラ20に近い方のローラ(図中右側のローラ)は、金属製のローラ芯金の表面に、ゴム材料が被覆されたものである。これらローラの当接によって形成されるレジストニップでは、前者のローラが後者のローラに対して食い込んでいる。そして、レジストニップの出口(P1)では、前者のローラ表面に対する接線の延長線である図中の仮想線Lbの方向に記録紙が送り出される。この仮想線Lbは、図示のように、中間転写ベルト16のベルト湾曲箇所における2次転写ニップ入口(P2)よりもベルト移動方向上流側の領域に交差している(以下、交差している箇所を交差点P3という)。即ち、本プリンタでは、レジストニップの出口(P1)における記録部材送出方向の延長線である仮想線Lbを、ベルト湾曲箇所における2次転写ニップ入口P2よりもベルト移動方向上流側の領域に交差させている。かかる構成では、レジストニップから送り出された記録紙の先端を、2次転写ニップに進入させるのに先立ってベルト湾曲箇所に突き当てる。これにより、記録紙をベルト湾曲箇所に密着させてから2次転写ニップに進入させるようにして、転写チリの発生を抑えることができる。
レジストニップから送り出された記録紙の先端は、レジストニップの出口(P1)における記録部材送出方向の延長線である仮想線Lbと、上記交差点P3におけるベルト湾曲箇所に対する接線の延長線である仮想線Lcとのなす突き当たり角θでベルト湾曲箇所に突き当たる。この突き当たり角θが90[°]に近づくほど、記録紙の突き当たりによる中間転写ベルト16への衝撃が強くなる。本プリンタのように、レジストニップの出口(P1)から2次転写ニップの入口(P2)までの距離L1を40[mm]以下に設定したものでは、突き当たりに伴う記録紙の撓みが殆ど無くなるため、前述の衝撃によってスジ画像を発生させ易くなる。このスジ画像は、複数の記録紙に対して連続的にプリントを行う連続プリントモードで発生する。具体的には、先行する記録紙がベルト湾曲箇所に突き当たった際の衝撃によってベルト移動速度が一瞬だけ低下し、そのときに各1次転写ニップで1次転写中である後続の記録紙に対応するトナー像にスジが発生することによるものである。
本発明者らは、レジストローラ対32の配設位置を水平方向に移動させたり、レジストニップの出口における記録紙送り出し方向を変化させたりして、突き当たり角度θを0、10、20、30、40、50、60、65[°]の8段階に順次変化させた。そして、それぞれの突き当たり角度θにおいて、テスト画像をプリントアウトして、テスト画像中におけるスジ画像の発生度合いを評価した。このとき、視認によってスジ画像が殆ど認められない状態を○、スジ画像が僅かに認められる状態を△、一見してスジ画像が判別できる状態を×として評価した。なお、記録紙としては、55、70、90、135、170、210[g/m]という各種厚みの坪量紙を用いた。この結果を次の表1に示す。
Figure 2007219402
表1に示すように、突き当たり角度θを60[°]以下に設定すれば、スジ画像を殆ど視認できないレベルまで抑えることができることがわかる。これに対し、突き当たり角度θが60[°]を超えると、スジ画像が急激に目立ち始める(評価△を経ずに一気に×になる)ことがわかる。
そこで、本プリンタにおいては、突き当たり角度θを60[°]以下に設定している。よって、スジ画像の発生による画質劣化を抑えることができる。
転写ニップ形成ローラたる2次転写ローラ20としては、直径が18[mm]以上、20[mm]以下であるものを用いることが望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、2次転写ローラ20の直径を小さくするほど、2次転写ニップの入口(P2)よりも上流側で放電が発生する領域は、2次転写ニップの入口(P2)に近づく。同じ転写条件(転写バイアス等)では、ベルト湾曲箇所と2次転写ローラ20表面との間で放電が開始され始める両者間の距離が一定となり、2次転写ローラ20の直径が小さくなるほど、その距離になる位置が2次転写ニップの入口に近づくからである。本プリンタでは、既に述べたように転写チリの発生を抑える目的で、記録紙を2次転写ニップの入口(P2)よりも手前側でベルト湾曲箇所に突き当てている。この突き当ての位置は、2次転写ニップの入口(P2)よりも手前であればどこでもよいというものではなく、厳密には手前であって且つ放電が発生しない距離まで入口(P2)から離れている必要がある。このため、入口(P2)の手前で放電が発生し始める位置が入口(P2)に近づくほど、記録紙を入口(P2)に近いところでベルト湾曲箇所に突き当てることが可能になり、レイアウト自由度が向上する。よって、レイアウト自由度という観点だけからすれば、2次転写ローラ20の直径は小さいほどよい。特に、直径を20[mm]以下にすると、放電が発生し始める位置を2次転写ニップの入口(P2)に対して1〜1.5[mm]と非常に近づけることが可能になる。但し、直径を小さくし過ぎると、ローラ表面の導電弾性層の厚みを小さくしなければならず、安定した2次転写ニップを形成することが困難になる。一般的に必要となる2次転写ニップ圧や2次転写ローラ20の長さの条件下では、導電弾性層の厚みが少なくとも5[mm](直径換算すると10mm)は必要である。また、2次転写ローラ20の金属ローラ芯金の径を少なくとも8[mm]は確保しないと、ローラの撓みによる転写不良が発生してしまう(例えば中央部の白抜け画像など)。すると、2次転写ローラ20の直径は、最低でも18[mm](10+8)必要となる。
そこで、本プリンタでは、2次転写ローラ20として、直径が19[mm]であるものを用いている。また、ベルト湾曲箇所を裏打ちする駆動ローラ18についても、直径が19[mm]であるものを用いている。
本発明者らは、上記交差点P3と2次転写ニップの入口との距離(以下、距離L2という)を変化させながらテスト画像をプリントして、各テスト画像における転写チリの発生度合いを評価する実験を行った。転写チリの発生度合いについては、プリントアウトされたテスト画像を視認し、転写チリが殆ど認められない場合を○、僅かに認められた場合を△、一見してすぐに認められる場合を×として評価した。この結果を次の表2に示す。
Figure 2007219402
表2に示すように、距離L2が1.5[mm]未満である場合には、許容範囲を超える転写チリが発生してしまうのに対し、距離L2が1.5[mm]以上である場合には、転写チリが殆ど発生していないことがわかる。距離L2が1.5[mm]では、2次転写ニップの入口(P2)よりも手前側で放電が発生してしまう領域になるのに対し、距離L2が1.5[mm]以上だと、放電が発生する領域よりも外側になるからである。このことは、パッシェンの放電開始電圧から理解することができる。即ち、放電は、ベルト湾曲箇所と2次転写ローラ20との間の電位差がパッシェンの放電開始電圧以上になる領域で発生する。本プリンタでは、距離L2=1[mm]がパッシェン放電領域内に属し、且つ距離L2>1.5[mm]がパッシェン放電領域外に属する。
そこで、本プリンタでは、そして、ベルト湾曲箇所上で記録紙が突き当たる位置である上記交差点P3と、2次転写ローラ20の周面との間における電位差をパッシェンの放電開始電圧よりも小さくし得る距離(1.5mm以上)を、上記交差点P3と2次転写転写ニップの入口(P2)との間に設けている。これにより、記録紙を、2次転写ニップの手前であって且つ放電が発生する領域よりも手前側でベルト湾曲箇所に密着させることができる。
先に示した図4や図5では、便宜上、図示を省略していたが、2次転写ローラ20の下方で、且つレジストローラ対32における図中右側のローラよりも上方には、図6に示すように、搬送ガイド部材80が配設されている。この搬送ガイド部材80は、レジストニップの出口(P1)から2次転写ニップの入口(P2)に至るまでの記録紙における2次転写ローラ側の面に自らの先端を接触させることで、出口(P1)から入口(P2)に至るまでの記録紙の搬送をガイドする。かかる構成では、静電気などの突発的な要因によって記録紙を2次転写ローラ20の周面における2次転写ニップとは反対側の領域に向けて撓ませることによるジャムを回避することができる。
搬送ガイド部材80の先端については、図示のように、レジストニップの出口(P1)と2次転写ニップの入口(P2)を結ぶ線分Ldよりも2次転写ローラ20側に近づけて位置させている。これにより、後端側がレジストニップに挟み込まれ且つ先端側が2次転写ニップに挟み込まれた状態の記録紙における両ニップ間の展張箇所を搬送ガイド部材80に突き当てることによる搬送負荷の発生を抑えることができる。
搬送ガイド部材80の先端と、ベルト湾曲箇所との距離L3については、1[mm]以上、1.5[mm]以下に設定している。これは次に説明する理由による。即ち、距離L3が1[mm]未満である場合には、上述の搬送負荷によって記録紙にシワを発生させるおそれがでてくる。一方、距離L3が1.5[mm]を超えると、記録紙が2次転写ニップとレジストニップとの間で弛んだり張られたりした際に、搬送ガイド部材80に突き当たった記録紙がスキュー(搬送方向から傾く)を起こしたり、記録紙の動きによる2次転写不良が起こったりすることがある。例えば、記録紙が両ニップ間で張られた場合に距離L3が大きすぎると、記録紙が上記線分Ldよりも2次転写ローラ20側に寄る姿勢をとるのに対し、両ニップ間で弛んだ場合にはベルト湾曲箇所側に寄る姿勢をとる。そして、記録紙が活発に姿勢を変化させると、スキューを起こしたり、振動による2次転写不良を起こしたりする。そこで、距離L3を1[mm]以上、1.5[mm]以下にするのである。
搬送ガイド部材80としては、ステンレスや鉄などの金属材料からなるものを用いている。そして、かかる搬送ガイド部材80を、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介して接地している。また、レジストローラ対32における2つのローラのうち、金属ローラである図中左側のローラも、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介して接地している。これは次に説明する理由による。即ち、給紙路においては、記録紙がレジストローラ対32に接触する。また、搬送ガイド部材80に接触することもある。低温低湿環境下では、レジストローラ対32や搬送ガイド部材80が記録紙との摩擦によってチャージアップしていく。そして、過剰にチャージアップすると、微小放電によって記録紙を帯電させて、2次転写ニップ内で画像劣化を起こしてしまう。これを防ぐために、レジストローラ対32における一方のローラと、搬送ガイド部材80とをそれぞれ接地して、レジストローラ32や搬送ガイド部材80から電荷を逃がしている。但し、アース回線における電気抵抗が低すぎると、2次転写ニップにおける転写電流が、記録紙と、レジストローラ対32や搬送ガイド部材80とを介してアースにリークして、転写電流不足による画像欠陥が発生してしまう。このリークは高温高湿環境で顕著に出現する。本発明者らの実験によれば、20[MΩ]以上の電気抵抗をアース回線内に介在させることで、かかるリークを良好に抑え得ることを見出した。一方、アース回線における電気抵抗が高すぎると、レジストローラ対32や搬送ガイド部材80に蓄積された電荷を良好にアースに逃がすことができなくなる。本発明者らの実験によれば、アース回線内に介在させる電気抵抗を200[MΩ]以下にすることで、レジストローラ対32や搬送ガイド部材80に蓄積された電荷を良好にアースに逃がすことができた。
先に示した図2において、駆動ローラ18には成形精度の限界によってどうしても微妙な偏心が発生してしまう。この偏心は、中間転写ベルト16の移動速度を変動させる。駆動ローラ18の一周あたりに1周期分のサインカーブを描くような速度変動である。そこで、本プリンタでは、駆動ローラ18の周長を、各感光体3Y,M,C,Kの配設ピッチと同じにしている。かかる構成では、各1次転写ニップで、ベルト速度の周期変動によるドットの微妙な位置ズレを同期させて、周期変動によるドット位置ズレや色ずれの発生を抑えることができる。
中間転写ベルト16としては、21〜26[℃]且つ40〜60[%RH]の環境下で500[V]の電圧を印加した時点から10秒経過後の電流値に基づいて求められる体積抵抗率が10〜1010[Ω・cm]であるものを用いている。10[Ω・cm]では、高温高湿時に適切な転写電圧を得るために多くの電流を流す必要があることにより、2次転写電源として高負荷対応の高価なものを用いなければならなくなるからである。また、1010[Ω・cm]では、ベルトのチャージアップによって各1次転写ニップのそれぞれや、2次転写ニップにおける最適転写電圧が大きく異なってしまうことにより、ベルトを除電するベルト除電手段が必要になってしまうからである。なお、2次転写ローラ20としては、駆動ローラ18や中間転写ベルト16よりも遙かに電気抵抗の小さなものを用いている。
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、転写ニップ形成ローラたる2次転写ローラ20として、直径が18[mm]以上、20[mm]以下であるものを用いている。かかる構成では、既に述べたように、2次転写ニップよりも手前で放電が発生し始める位置を2次転写ニップの入口(P2)に対して非常に近づけることができる。更には、2次転写ローラ20の表面における導電弾性層に必要な厚みを確保して良好な2次転写ニップを形成しつつ、2次転写ローラ20の芯金の径を細くし過ぎることによる転写不良の発生を回避することもできる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、上記交差点P3と、2次転写ローラ20の周面との間における電位差をパッシェンの放電開始電圧よりも小さくし得る距離を、交差点P3と2次転写転写ニップの入口(P2)との間に設けている。かかる構成では、2次転写ニップの入口(P2)よりも手前側で、且つ、ベルト湾曲箇所と2次転写ローラ20との間における放電が発生する領域よりも停前側で、記録紙をベルト湾曲箇所に密着せしめて、転写チリの発生を確実に抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、レジストニップの出口(P1)から2次転写ニップの入口P2に至るまでの記録紙における2次転写ローラ20側の面に自らの先端を接触させることで、出口(P1)から入口(P2)に至るまでの記録紙の搬送をガイドする搬送ガイド部材80を設けている。かかる構成では、静電気などの突発的な要因によって記録紙を2次転写ローラ20の周面における2次転写ニップとは反対側の領域に向けて撓ませることによるジャムを回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、搬送ガイド部材80の先端をレジストニップの出口(P1)と2次転写ニップの入口(P2)とを結ぶ線分Ldよりも2次転写ローラ20側に近づけて位置させている。かかる構成では、後端側がレジストニップに挟み込まれ且つ先端側が2次転写ニップに挟み込まれた状態の記録紙における両ニップ間の展張箇所を搬送ガイド部材80に突き当てることによる搬送負荷の発生を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、搬送ガイド部材80の先端と、上記ベルト湾曲箇所との距離を1[mm]以上、15[mm]にしているので、既に述べたように、搬送負荷による記録紙のシワ、記録紙のスキュー及び2次転写不良の発生を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、搬送ガイド部材80として、金属材料からなるものを用いるとともに、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介して搬送ガイド部材80を接地している。かかる構成では、既に述べたように、搬送ガイド部材80から記録紙への放電による2次転写不良を抑えつつ、2次転写電流のアースへのリークを抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、レジストローラ対32における一方のローラとして、周面がゴムからなるものを用いるとともに、他方のローラとして、周面が金属からなるものを用い、且つ、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介してその他方のローラを接地している。かかる構成では、一方のローラの表面ゴムによって、記録紙に対して良好な摩擦力を発揮して、搬送性を向上させることができる。また、既に述べたように、レジストローラ対32から記録紙への放電による2次転写不良を抑えつつ、2次転写電流のアースへのリークを抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、感光体を複数設けて(3Y,M,C,K)、ぞれぞれの感光体に担持された可視像たるトナー像を中間転写ベルト16のおもて面に重ね合わせて転写する方式を採用している。また、複数の張架ローラのうち、自らの回転駆動に伴って中間転写ベルト16を無端移動せしめる駆動ローラ18を転写裏打ちローラとして用いている。そして、駆動ローラ18の周長を各感光体の配設ピッチと同じ値にしている。かかる構成では、既に述べたように、各1次転写ニップで、ベルト速度の周期変動によるドットの微妙な位置ズレを同期させて、周期変動によるドット位置ズレや色ずれの発生を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、中間転写ベルト16として、21〜26[℃]且つ40〜60[%RH]の環境下で500[V]の電圧を印加した時点から10秒経過後の電流値に基づいて求められる体積抵抗率が10〜1010[Ω・cm]であるものを用いている。かかる構成では、既に述べたように、2次転写電源として高負荷対応の高価なものを用いることによるコストアップや、ベルト除電手段を設けることによるコストアップを回避することができる。
2次転写ニップとその周囲構成との一例を示す拡大構成図。 実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタにおけるK用のプロセスユニットを示す拡大構成図。 同プリンタにおける2次転写ニップとその周囲構成とを示す拡大構成図。 同2次転写ニップとその周囲構成とを図4よりも拡大して示す拡大構成図。 搬送ガイド部材とその周囲構成とを示す拡大構成図。
符号の説明
1Y,M,C,K:プロセスユニット(可視像形成手段の一部)
3Y,M,C,K:感光体(像担持体)
16:中間転写ベルト
17:従動ローラ(張架ローラ)
18:駆動ローラ(転写裏打ちローラ)
20:2次転写ローラ(転写ニップ形成ローラ)
30:給紙カセット(記録部材収容手段)
32:レジストローラ対
70:光書込ユニット(可視像形成手段の一部)
80:搬送ガイド部材
P:記録紙(記録部材)
P1:レジストニップの出口
P2:2次転写ニップの入口
P3:交差点
La:2次転写ニップの入口における記録部材受入方向の延長線
Lb:レジストニップの出口における記録部材送出方向の延長線
Lc:線分
L1:出口と入口との距離
L3:搬送ガイド部材の先端とベルト湾曲箇所との距離

Claims (10)

  1. 表面に可視像を担持する像担持体と、該表面に可視像を形成する可視像形成手段と、複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられながら、該表面上の可視像が自らのおもて面に転写せしめられる中間転写ベルトと、該複数の張架ローラの何れか1つである転写裏打ちローラに対する掛け回しによって該転写裏打ちローラの曲率に沿って湾曲する中間転写ベルト箇所であるベルト湾曲箇所に対してベルトおもて面側から当接して転写ニップを形成する転写ニップ形成ローラと、互いの周面を当接させてレジストニップを形成し且つ該レジストニップ内に挟み込んだ記録部材を所定のタイミングで該転写ニップに向けて送り出すレジストローラ対と、該中間転写ベルトの鉛直方向下方又は上方にて該レジストローラ対に供給するための記録部材を収容する記録部材収容手段とを備え、該像担持体から該中間転写ベルトのおもて面に転写した可視像を該転写ニップ内で該記録部材の表面に転写する画像形成装置において、
    上記レジストニップの出口を上記転写ニップの入口における記録部材受入方向の延長線よりも上記転写ニップ形成ローラの側に位置させ、
    該出口と該入口との距離を40[mm]以下にし、
    該出口における記録部材送出方向の延長線を上記ベルト湾曲箇所における該入口よりもベルト移動方向上流側の領域に交差させ、
    且つ、その交差点における該ベルト湾曲箇所に対する接線と、該記録部材送出方向の延長線とが該接線よりも該レジストニップの側でなす2つの角のうち、より小さい方の角である突き当たり角θを60[°]以下にする、
    レイアウトを採用したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記転写ニップ形成ローラとして、直径が18[mm]以上、20[mm]以下であるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2の画像形成装置において、
    上記交差点を、該交差点と上記転写ニップ形成ローラの周面との間における電位差がパッシェンの放電開始電圧よりも小さくなる位置に設定したことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかの画像形成装置において、
    上記レジストニップの出口から上記転写ニップの入口に至るまでの記録部材における転写ニップ形成ローラ側の面に自らの先端を接触させることで、該出口から該入口に至るまでの記録部材の搬送をガイドする搬送ガイド部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4の画像形成装置において、
    上記先端を、上記レジストニップの出口と上記転写ニップの入口とを結ぶ線分よりも上記転写ニップ形成ローラ側に近づけて位置させたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5の画像形成装置において、
    上記先端と、上記ベルト湾曲箇所との距離を1[mm]以上、1.5[mm]以下にしたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項4乃至6の何れかの画像形成装置において、
    上記搬送ガイド部材として、金属材料からなるものを用いるとともに、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介して該搬送ガイド部材を接地したことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかの画像形成装置において、
    上記レジストローラ対における一方のローラとして、周面がゴムからなるものを用いるとともに、他方のローラとして、周面が金属からなるものを用い、且つ、20〜200[MΩ]の電気抵抗を介して該他方のローラを接地したことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1乃至8の何れかの画像形成装置において、
    上記像担持体を複数設けて、ぞれぞれの像担持体に担持された可視像を上記中間転写ベルトのおもて面に重ね合わせて転写する方式を採用するとともに、上記複数の張架ローラのうち、自らの回転駆動に伴って該中間転写ベルトを無端移動せしめる駆動ローラを上記転写裏打ちローラとして用い、且つ、該駆動ローラの周長を複数の像担持体の配設ピッチと同じ値にしたことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至9の何れかの画像形成装置において、
    上記中間転写ベルトとして、21〜26[℃]且つ40〜60[%RH]の環境下で500[V]の電圧を印加した時点から10秒経過後の電流値に基づいて求められる体積抵抗率が10〜1010[Ω・cm]であるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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