JP2007218125A - 燃料遮断弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料遮断弁10は、ケーシング20と、フロート51と、シート部55aとを有するフロート機構50とを備えている。フロート51の上壁部51aに上部通気孔52aが、側壁部51bに側部連通孔52bがそれぞれ形成されている。側部連通孔52bの通路面積は、フロート室51Sに入った大量の気流を弁室30Sに逃がすように設定されている。上部通気孔52aの通路面積は、車両の傾斜時にフロート室51Sに入った気流を弁室30Sに逃がしつつフロート室51Sに燃料を満たしてフロート51を上昇させ、一方、車両の急旋回時にフロート室51S内に燃料を満たさないでフロート51を上昇させるように設定されている。
【選択図】図4
Description
燃料タンクの上部に装着され、燃料タンク内と外部とを接続する接続通路を開閉することで上記燃料タンクと外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、
上記燃料タンク内と上記接続通路とを連通する弁室を形成するケーシングと、
上記弁室に収納され該弁室内の燃料液位により浮力を増減して昇降するフロートと、該フロートの上部に設けられ上記接続通路を開閉するシート部とを有するフロート機構と、
を備え、
上記フロートは、上記シート部を設けた上壁部と、該上壁部の外周部から下方に形成され上記上壁部とともに下方に開放されたフロート室を形成する側壁部と、上記フロートの上部に形成され上記フロート室と上記弁室とを連通する上部通気孔と、上記上部通気孔より下方の上記側壁部に形成され上記フロート室と上記弁室とを連通する側部連通孔とを備え、
上記上部通気孔は、上記側部連通孔より通気抵抗が大きくなるように形成されていること、を特徴とする。
また、緩やかな燃料液面の上昇によりフロート室内に燃料が入ったときには、フロート室内の気体が上部通気孔から逃がされつつフロート室内に燃料が満たされるから、高い燃料液位までフロートが上昇することがなく、接続通路が閉じられることがない。したがって、閉弁液位を高く設定することが好ましい偏平の燃料タンクを用いたシステムに好適に対応することができる。
さらに、燃料液面が車両の揺動によって大きな速度で上昇したときには、フロート室に入った燃料が側部連通孔を閉じると、上部通気孔から燃料蒸気が抜ける流量が燃料液面の上昇で流入する流量よりも小さいから、フロート室の少なくとも一部を浮力として利用してフロートが速やかに上昇して接続通路が閉じられる。したがって、車両の急旋回時などに、燃料が外部へ流出するのを防止することができる。
図1は本発明の一実施例にかかる自動車の燃料タンクFTの上部に取り付けられる燃料遮断弁10を示す断面図である。燃料遮断弁10は、燃料タンクFT内に装着される、いわゆるインタンク式であり、車両の傾倒時や車両の急旋回時などに燃料タンクFT内の燃料が上昇したときに、外部への燃料の流出を規制する弁である。燃料遮断弁10は、ケーシング20と、フロート機構50と、スプリング70とを主要な構成として備えている。ケーシング20の上部には、弁取付部21が一体に形成されており、燃料タンクFTのタンク上壁FTaの下面に溶接されたブラケットBKを介して燃料タンクFT内に取り付けられている。
図2は燃料遮断弁を分解して示す断面図である。図2において、ケーシング20は、ケーシング本体30と、ケーシング本体30の下部に装着された底板35とを備えている。ケーシング本体30は、天井壁部32と、この天井壁部32から下方へ円筒状に延設された側壁部33とを備え、天井壁部32と側壁部33とに囲まれたカップ状の弁室30Sを形成し、その下部を下開口30aとしている。天井壁部32の中央部には、接続通路32aが貫通しており、接続通路32aの弁室30S側がシール部32bになっている。側壁部33の上部には、燃料タンクFT内と弁室30Sとを接続する通気孔33aが形成され、またその下部には、係合爪33bが形成されている。係合爪33bは、底板35を取り付けるためのものである。底板35は、ケーシング本体30の下開口30aを閉じる部材であり、その外周部に形成された係合穴35aにケーシング本体30の係合爪33bを係合することにより、ケーシング本体30の下開口30aを閉じるように装着される。底板35には、中央の連通孔35cおよび連通孔35cを囲むように連通孔35dが貫通形成されている。これらの底部連通孔35c,35dは、フロート機構50の下面に対向するように形成されている。また、底板35の上面には、スプリング70の下端を支持するためのスプリング支持部35eが形成されている。
(3)−1 大きな上昇気流発生時における燃料遮断弁10の動作
図4は燃料遮断弁10の動作を説明する説明図である。燃料タンクFTが満タン液位に近い状態にありかつ燃料遮断弁10の開弁状態である場合に、燃料タンクが急激に傾くと、燃料タンクFT内の上部に溜まっていた気体が上昇気流となって、側壁部33の通気孔33aを通じてフロート室51Sに入るとともに、底板35の底部連通孔35c,35dを通じてフロート51のフロート室51Sに入り、さらに側部連通孔52bを通じて、フロート51の外周部とケーシング本体30の内壁との間隙を抜け、さらにこの間隙から接続通路32a、管通路37aを通じて、キャニスタ側へ逃がされる。このとき、フロート51のフロート室51S内に入る気流は、側部連通孔52bから逃がされるから、フロート51を上昇させる大きな力とならず、また、接続通路32aの通路面積は、側部連通孔52bの通路面積より小さいから、弁室30Sの上部の圧力上昇により、フロート51の上昇力が抑制される。よって、大きな上昇気流が生じたときに、燃料遮断弁10が燃料タンクFTを閉塞することがなく、外部への通気が確保される。
図5は車両の傾斜状態における燃料遮断弁10の動作を説明する説明図である。車両の片輪が縁石に乗り上げたり、坂道などの傾斜路で傾倒したりすると、燃料タンクFTは緩やかな燃料の液面上昇が起きる。燃料液面が燃料遮断弁10に到達し、さらに上昇すると、燃料は、底板35の底部連通孔35c,35dを通じて弁室30S内に流入する。このとき、燃料液位の上昇速度が速くないので、燃料液面が上昇しても、フロート室51S内の気体は、上部通気孔52aを通じて排出されて、フロート51が上昇しない状態にてフロート室51Sに燃料が浸入する。そして、燃料液位が所定液位を越え、さらにフロート51のフロート室51S内に高さh1まで達すると、フロート51は、その浮力により上昇してシート部材55のシート部55aがシール部32bに着座することで接続通路32aを閉じる。一方、燃料タンクFT内の燃料液面が低下すると、フロート51は、その浮力を減少して下降して、接続通路32aを開ける。
図6は車両の揺動時における燃料遮断弁10の動作を説明する説明図である。燃料液面が満タン液位に近い位置にあり、車両の急旋回により燃料タンクFTが揺動した場合には、燃料タンクFT内の液面が図6の2点鎖線で示すように揺れる。燃料は、底板35の底部連通孔35c,35dを介してフロート51のフロート室51Sに流入する。このとき、燃料液位の上昇速度が大きく、しかもフロート51の上部通気孔52aを通じて抜ける気体の量が少ないので、フロート室51S内に溜まった気体による浮力が大きくなる。そして、フロート室51S内の燃料液位が高さh2に達して浮力とスプリング70による上方への力がフロート51の自重を上回ると、フロート51が浮上する。フロート51の上昇により、シート部材55がシール部32bに着座して接続通路32aを閉じる。よって、車両の急旋回時に燃料タンクFTから外部への燃料の流出を防止することができる。
上記実施例の構成により、以下の作用・効果を奏する。
(4)−1 図4に示すように、満タン液位に近くかつ車両の傾きなどにより燃料タンクFT内の圧力が高くなり大量の燃料蒸気をキャニスタに流出させることが必要な状態になったときに、フロート51の側壁部51bの下部に形成された側部連通孔52bは、フロート室51S内に入った気流を逃がす。よって、フロート室51Sに入った上昇気流は、フロート51を上昇させる大きな力とならない。また、上昇気流は、側壁部51bから弁室30Sの上部スペースに入り、フロート51の上方を通路として圧力を上昇させて、フロート51の上昇力を抑制する。したがって、大きな上昇気流によって燃料遮断弁10が閉じられる閉塞圧を高くすることができる。
上記実施例にかかる燃料遮断弁は、燃料タンクの内側に装着される、いわゆるインタンク式に用いたが、これに限らず、燃料タンクのタンク上壁の上面に溶着されるとともに、その下部が取付穴に挿入される構成にも適用することができる。
また、上部通気孔は、フロートの上壁部に形成するほか、側壁部の上部に径方向に貫通形成する構成であってもよく、フロートの上部からフロート室の気体を逃がす配置および形状であれば特に限定されない。
さらに、上記実施例のシート部は、フロートと別体にゴムで形成したが、これに限らず、フロートと一体または別体により樹脂で形成してもよい。
20...ケーシング
21...弁取付部
30...ケーシング本体
30S...弁室
30a...下開口
32...天井壁部
32a...接続通路
32b...シール部
33...側壁部
33a...通気孔
33b...係合爪
35c,35d...底部連通孔
35...底板
35a...係合穴
35e...スプリング支持部
37...管体部
37a...管通路
50...フロート機構
51...フロート
51S...フロート室
51a...上壁部
51b...側壁部
51c...ガイド突条
52a...上部通気孔
52b...側部連通孔
53...弁支持穴
55...シート部材
55a...シート部
55b...シート支持部
55c...抜止部
70...スプリング
FT...燃料タンク
FTa...タンク上壁
BK...ブラケット
Claims (5)
- 燃料タンク(FT)の上部に装着され、燃料タンク(FT)内と外部とを接続する接続通路(32a)を開閉することで上記燃料タンク(FT)と外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、
上記燃料タンク(FT)内と上記接続通路(32a)とを連通する弁室(30S)を形成するケーシング(20)と、
上記弁室(30S)に収納され該弁室(30S)内の燃料液位により浮力を増減して昇降するフロート(51)と、該フロート(51)の上部に設けられ上記接続通路(32a)を開閉するシート部(55a)とを有するフロート機構(50)と、
を備え、
上記フロート(51)は、上記シート部(55a)を設けた上壁部(51a)と、該上壁部(51a)の外周部から下方に形成され上記上壁部(51a)とともに下方に開放されたフロート室(51S)を形成する側壁部(51b)と、上記フロート(51)の上部に形成され上記フロート室(51S)と上記弁室(30S)とを連通する上部通気孔(52a)と、上記上部通気孔(52a)より下方の上記側壁部(51b)に形成され上記フロート室(51S)と上記弁室(30S)とを連通する側部連通孔(52b)とを備え、
上記上部通気孔(52a)は、上記側部連通孔(52b)より通気抵抗が大きくなるように形成されていること、を特徴とする燃料遮断弁。 - 請求項1に記載の燃料遮断弁において、
上記側部連通孔(52b)の通路面積は、燃料液面が上昇したときに、上記フロート(51)を上昇させないように上記フロート室(51S)に入った気流を弁室(30S)に逃がすように設定し、
上記上部通気孔(52a)の通路面積は、燃料液面が所定液面上昇速度より小さい速度で上昇しかつ上記側部連通孔(52b)が燃料で塞がれたときに、上記フロート室(51S)に入った気流を上記弁室(30S)に逃がしつつ上記フロート室(51S)に燃料を満たして上記フロート(51)を上昇させ、一方、燃料液面が上記所定液面上昇速度を超えて上昇しかつ上記側部連通孔(52b)が燃料で塞がされたときに、上記フロート室(51S)の少なくとも一部を浮力として利用して上記フロート(51)の浮力を増大させることによりフロート(51)を上昇させるように設定した燃料遮断弁。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料遮断弁において、
上記接続通路(32a)の通路面積は、上記側部連通孔(52b)より小さく設定されている燃料遮断弁。 - 請求項1または請求項3に記載の燃料遮断弁において、
上記ケーシング(20)は、上記弁室(30S)の下開口(30a)を塞ぐ底板(35)を備え、該底板(35)は、上記フロート(51)の下部の外形の内側に対向形成され上記燃料タンク(FT)と上記弁室(30S)とを連通する底部連通孔(35c,35d)を備えている燃料遮断弁。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料遮断弁において、
上記フロート機構(50)は、上記フロート(51)の上部に装着されたゴム製のシート部材(55)を備え、該シート部材(55)の上面に上記シート部(55a)を形成した燃料遮断弁。
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