JP2007217696A - 素材製造システム及びガス供給方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガス利用装置に用いるのに十分な高発熱量のガスを被処理物から得ることができるガス供給装置及び方法、セメント焼成装置及び方法を提供する。
【解決手段】 被処理物aを熱分解して可燃性ガスbとチャーh、fを生成するガス化室1と、ガス化室1で生成したチャー分hを燃焼して燃焼ガスeを生成するチャー燃焼室2と、ガス化室1で生成した可燃性ガスbをガス利用装置201に供給する第1のガス経路301と、チャー燃焼室2で生成した燃焼ガスeを、可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する第2のガス経路302とを備えるガス供給装置。組成や温度が異なる可燃性ガスと燃焼ガスとを、ガス利用装置のそれぞれのガスに適した部分に別々に供給することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、素材製造システム及びガス供給方法に関し、特に、各種廃棄物や固体燃料等を熱分解して得られる可燃性ガス、チャー及び灰分等の固体粒子を、セメント焼成工程、高炉、ガラス製造工程等のガス利用装置における加熱燃料あるいは原料に利用するガス供給装置を備える素材製造システム及びガス供給方法に関する。
従来から、各種廃棄物を加熱された流動媒体で熱分解させ、熱分解で得られた可燃性ガス、灰分及びチャーを、例えば高炉、セメント焼成炉等に供給する、ガス化炉があった。ここで、流動媒体は廃棄物を部分燃焼して加熱される。そのようなガス化炉では、廃棄物に含まれる金属類等の不適物を、加熱流動媒体が形成する流動床により効率的に除去し、なおかつ部分燃焼で発生した燃焼ガスと熱分解で得られた可燃性ガス分を高炉やセメント焼成炉の燃料として、また、灰分はセメント原材料の一部して利用したり、高炉中でスラグ化していた。
しかし、このような従来のガス化炉で得られるガスは、廃棄物の性状にもよるが、一般の化石燃料にくらべて単位質量あたりの発熱量が低いため、セメントキルン窯前における化石燃料バーナの代替としてこれを燃焼させようとしても、セメント焼成の最終工程として必要な1400〜1500℃の高温状態を得ることが困難なことがあり、また高炉でも発熱量が低い燃料は使用しにくく、そのような場合は、得られたガスの利用先が限られるという問題があった。
また、塩素分が含まれる廃棄物をガス化した場合、塩素分は主として塩化水素ガスとしてガスに同伴される。これをそのまま例えばセメントキルン窯前において燃焼させた場合はセメント製品の塩素濃度に影響を及ぼすという問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、被処理物中にガス利用にとって不適な物があっても、それに影響されず、ガス利用装置に用いるのに十分な高熱量を被処理物から得ることができ、従来以上の量の被処理物を燃料として使用できるガス供給装置及びガス供給方法を提供することを目的とする。
また、被処理物が塩素を含む場合であっても、塩素含有量の少ない可燃性ガスを得ることができるガス供給装置及びガス供給方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によるガス供給装置は、例えば図1に示すように、被処理物aを熱分解して可燃性ガスbとチャーh、fを生成するガス化室1と;ガス化室1で生成したチャー分hを燃焼して燃焼ガスeを生成するチャー燃焼室2と;ガス化室1で生成した可燃性ガスbをガス利用装置201に供給する第1のガス経路301と;チャー燃焼室2で生成した燃焼ガスeを、可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する第2のガス経路302とを備える。
ガス化室1とチャー燃焼室2とは、例えば図2に示すように、1枚の壁を隔てて隣接するようにして一体に形成されていてもよいし、例えば図7に示すように、それぞれガス化炉1’、チャー燃焼炉2’として、独立した炉として形成されていてもよい。被処理物は典型的には廃棄物(特に都市ごみや木材等のバイオマスのように低発熱量の廃棄物や塩素を含有する廃棄物)または石炭(特に泥炭等の低品位の石炭)等の固形燃料である。ガス化室(炉)では、典型的にはチャーの他に灰分も生成される。ガス利用装置は典型的には高温の熱源を必要とする工業装置である。この工業装置は、典型的には素材製造装置であり、2000℃以上の高温を必要とする銑鉄の製造装置(高炉)、あるいは1300〜1600℃の高温中で製造を行なうガラス製造装置、あるいは陶磁器、タイル、セラミックス、セメントなどの1200〜1500℃の温度を製造に要する焼成装置である。セメント焼成装置は、例えば図1のフローチャートに示すようなものである。
以下「燃料」の用語は、「廃棄物又は燃料」のように、廃棄物と区別して石炭等について用いる場合と、可燃物としての廃棄物も含めて燃料と呼ぶ場合がある。
このように構成すると、ガス化室で生成した可燃性ガスをガス利用装置に供給する第1のガス経路と、燃焼室で生成した燃焼ガスを可燃性ガスとは別々にガス利用装置に供給する第2のガス経路とを備えるので、組成や温度が異なる可燃性ガスと燃焼ガスとを、ガス利用装置の、それぞれのガスに適した部分に別々に供給することができる。燃焼室で生成した燃焼ガスは、典型的には高温である。
また上記目的を達成するために、本発明によるガス供給装置は、例えば図2、図1に示すように、高温の流動媒体c1を内部で流動させ、第1の界面を有するガス化室流動床を形成し、前記ガス化室流動床内で被処理物aをガス化するガス化室1と;高温の流動媒体c2を内部で流動させ、第2の界面を有するチャー燃焼室流動床を形成し、ガス化室1でのガス化に伴い発生するチャーhをチャー燃焼室2流動床内で燃焼させ流動媒体c2を加熱するチャー燃焼室2と;ガス化室1で生成した可燃性ガスbをガス利用装置201に供給する第1のガス経路301と;チャー燃焼室2で生成した燃焼ガスeを、可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する第2のガス経路302とを備え;ガス化室1とチャー燃焼室2とは、前記それぞれの流動床の界面より鉛直方向上方においてはガスの流通がないように第1の仕切壁15により仕切られ、第1の仕切壁15の下部にはガス化室1とチャー燃焼室2とを連通する連通口であって、該連通口の上端の高さは前記第1の界面および第2の界面以下である連通口25が形成され、連通口25を通じて、チャー燃焼室2側からガス化室1側へチャー燃焼室2で加熱された流動媒体c2を移動させるように構成される。
このように構成すると、流動媒体は典型的には循環するものであり、その循環によりチャー燃焼室で得られる高温の熱を熱分解ガス化の必要反応熱としてガス化室に供給する熱媒体として作用する。また、ガス化室で発生する未燃炭素(チャー)を燃焼室に供給するチャーの搬送媒体となるため、被処理物の処理が容易に行なえる。
また本発明によるガス供給装置では、チャー燃焼室2に接して設けられた熱回収室3を備え;チャー燃焼室2と熱回収室3との間にはチャー燃焼室2流動床の流動層部を仕切る第2の仕切壁12が設けられ、第2の仕切壁12の下部には開口部22が形成され、チャー燃焼室2の流動媒体は第2の仕切壁12の上部から熱回収室3に流入し、開口部22を通じてチャー燃焼室2に戻る循環流が形成されてもよい。仕切壁の下部は典型的には炉床面近傍である。
このように構成すると、熱回収室を備えるので、チャー燃焼室で発生する熱を回収することができ、またガス化室で必要な熱量とチャー燃焼室で発生する熱量との差分をここで回収することにより、チャー燃焼室あるいはガス化室の層温を一定に保つ、即ち熱バランスをとるのに資することもできる。
また例えば図3に示すように、本発明によるガス供給装置では、ガス化室1において生成した可燃性ガスbと、可燃性ガスb中に同伴される固体粒子fとを分離する分離装置401を有し;分離装置401で分離された固体粒子fを、可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する第3の経路321とを備えてもよい。固体粒子は典型的には灰分及び微粒チャー分である。
このように構成すると、分離装置で分離された固体粒子を、可燃性ガスとは別々に、ガス利用装置に供給する第3の経路を備えるので、分離された固体粒子を、可燃性ガスとは別々に、固体粒子を供給するのに適した箇所に供給することができる。
また本発明によるガス供給装置では、被処理物aを高塩素含有物と低塩素含有物とに分離する選別機501(図8参照)と;選別機501で選別された高塩素含有物をチャー燃焼室2に供給する供給路331と;選別機501で選別された低塩素含有物をガス化室1に供給する供給路332とを備えてもよい。ここで、選別機501の前段に被処理物aの破砕機502を備えるのが好ましい。
このように構成すると、選別機を備えるので高塩素含有物と低塩素含有物とに分離することができ、供給路331と供給路332とを備えるので、分離選別された高塩素含有物をチャー燃焼室に、また低塩素含有物をガス化室に供給することができる。これにより、可燃性ガスbの塩素濃度を低く抑えることができる。
また本発明によるガス供給装置では、可燃性ガスbを脱塩素処理する、脱塩素処理装置404を備えるようにしてもよい(図6参照)。脱塩素処理は、特に分離装置で固体粒子を分離された後の前記可燃性ガスに施すのが好ましい。
このように構成すると、脱塩素処理装置404を備えるので、ガス利用装置に供給する可燃性ガスから塩素を除去することができる。
また本発明によるガス供給装置では、ガス化室1またはチャー燃焼室2に脱塩剤を供給する脱塩剤供給装置503を備えてもよい(図8参照)。このように構成すると、廃棄物または固体燃料に含まれる塩素分を、ガス化室またはチャー燃焼室内で脱塩することができるので、可燃性ガスbの塩素濃度を低く抑えることができる。
また上記目的を達成するために、本発明によるガス供給方法は、被処理物aを熱分解して可燃性ガスbとチャーhを生成するガス化工程と;前記ガス化工程で生成されたチャー分hを燃焼して、前記ガス化工程における熱分解反応で必要となる熱量を得るとともに、燃焼ガスeを生成するチャー燃焼工程と;前記ガス化工程で生成した可燃性ガスbをガス利用装置201に供給する第1のガス供給工程と;前記チャー燃焼工程で生成した燃焼ガスeを、前記可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する第2のガス供給工程とを備える。
また本発明によるガス供給方法では、前記ガス化工程中の熱分解は、高温の流動媒体で形成される流動床で行なわれ、前記チャー燃焼工程は、前記得た熱量で前記流動媒体を前記ガス化工程で用いるために加熱する工程を含むようにするのが好ましい。
ここで本発明によるガス供給方法では、前記チャー燃焼工程で加熱された流動媒体から熱を回収する熱回収工程を備えるようにしてもよい。
また本発明によるガス供給方法は、前記ガス化工程で生成した可燃性ガスbと、可燃性ガスb中に同伴される固体粒子fとを、前記第1のガス供給工程の前に分離する分離工程と;前記分離工程で分離された前記固体粒子fを、前記可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する固体粒子供給工程とを備えてもよい。
また、前記分離工程で固体粒子fを分離された後の可燃性ガスbを、前記第1のガス供給工程の前に脱塩素処理する、脱塩素処理工程を備えるようにしてもよい。
また本発明によるガス供給方法では、被処理物aを高塩素含有物と低塩素含有物とに分離する分離工程を備え;前記分離工程で分離された高塩素含有物を前記ガス化工程に供し、前記分離工程で分離された低塩素含有物を前記チャー燃焼工程に供し、前記チャー分と共に燃焼させるようにしてもよい。このガス供給方法では、さらに前記ガス化供給工程または前記チャー燃焼工程が、脱塩剤を供給する脱塩剤供給工程を含むようにするとよい。
また本発明によるガス供給方法では、前記ガス化工程又は前記チャー燃焼工程は、前記流動媒体中に脱塩剤を供給する工程を含むようにしてもよい。
上記目的を達成するために、本発明によるガス供給装置は、好ましくは、例えば図1に示すように、第1の被処理物aを熱分解して可燃性ガスbを生成するガス化室1と;第2の被処理物hを燃焼して燃焼ガスeを生成する燃焼室2と;ガス化室1で生成した可燃性ガスbをガス利用装置201に供給する第1のガス経路301と;燃焼室2で生成した燃焼ガスeを、可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する第2のガス経路302とを備える。
ここで、図1に示すような場合に限らず、燃焼室2で燃焼する第2の被処理物はチャーhではなく、第1の処理物aとは無関係の被処理物a’(不図示)や可燃性ガスbの一部であってもよい。
ガス化室1と燃焼室2とは、図2に示すように一体に形成されていてもよいし、図7に示すようにそれぞれ独立した炉として形成されていてもよいが、ガス化室(ガス化装置)と燃焼室(燃焼装置)の関連が、ガス化装置で得た可燃性ガスの一部を燃焼装置に用い、残りの可燃性ガスをガス利用装置に供給し、一方燃焼装置から得られる燃焼ガスを、前記可燃性ガスとは別途ガス利用装置に供給するようなものであってもよい。このように、ガス化装置と燃焼装置との間で、熱的、物質的な相互の関連を持つ構成が好ましいが、可燃性ガスを得るガス化装置と高温の燃焼ガスを得る燃焼装置は、相互の関連がなく、別々に独立している構成であってもよい。
また、第1の被処理物及び/又は第2の処理物は典型的には廃棄物または石炭等の固形燃料である。ここで廃棄物は、都市ごみやバイオマス廃棄物、廃プラスチック、都市ごみの固型化燃料、廃タイヤ、カーシュレッダーダスト、塩素を含有する廃棄物等の有機性廃棄物の他、低品位炭等の炭化廃棄物、あるいは石炭である。
また、ガス利用装置は典型的には、既に説明したような高温の熱源を必要とする工業装置であり、例えば図1に示すようにセメント焼成装置であるが、高炉、ガラス製造装置、陶磁器・タイル・セラミックス焼成装置であってもよい。
上記目的を達成するために、本発明によるガス供給方法は、第1の被処理物aを熱分解して可燃性ガスbを生成するガス化工程と;第2の被処理物hを燃焼して、燃焼ガスeを生成する燃焼工程と;前記ガス化工程で生成した可燃性ガスbをガス利用装置201に供給する第1のガス供給工程と;前記燃焼工程で生成した燃焼ガスeを、可燃性ガスbとは別々に、ガス利用装置201に供給する第2のガス供給工程とを備える。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号または類似記号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明によるガス供給装置としての統合型ガス化炉101と、このガス化炉101で発生したガスを供給されるセメント焼成装置としてのキルン式セメント焼成炉201とを組み合わせた第1の実施の形態のシステムを示すフロー図である。このフロー図には、本実施の形態の特にガス化炉部分の基本的な構成を模式的に表現してある。
図1に示した実施の形態は、廃棄物または固体燃料aを統合型ガス化炉101において熱分解して得られる可燃性ガスb及びチャー及び灰分fを使用することを特徴とするセメント焼成システムである。このシステムでは、統合型ガス化炉101は、廃棄物または固体燃料aを熱分解ガス化するガス化室1と、ガス化室1において生成したチャー分hを燃焼するチャー燃焼室2とを含んで構成され、ガス化室1において生成した可燃性ガス分bと、チャー燃焼室2において生成した燃焼ガス分eとを分離してセメント焼成炉201に供給することを特徴とする。
ここで、ガス化室1とチャー燃焼室2とは、互いの雰囲気が混合しないように仕切壁等により分離されているが、ガス化室1で得られる未燃炭素(チャー)をガス化室1より分離する機構と、ガス化室1で得られるチャー又は前記燃料とは別の燃料をチャー燃焼室2で燃焼したときに得られる燃焼熱をガス化室1に伝達する熱伝達手段があり、好ましくはガス化室1より分離したチャーを燃焼室2に搬送する搬送手段を有する。さらに好ましくは、前記ガス化室1からチャーを分離する機構と、前記チャー搬送機構と、前記燃焼熱の伝達手段は、流動媒体を用いて行なうものであり、さらに好ましくは、各室が一体に統合されている。
なお、図1に示した実施の形態では、ガス化炉として統合型の流動床ガス化炉101を用いた場合を示してある。これは、本発明の目的を達成する上では、ガス化炉の形態としてこの統合型ガス化炉101が最も適しているからである。したがって、以下特にことわらない限り、ガス化炉としては統合型ガス化炉101を用いた場合に限定して説明を行う。
また、本システムは廃棄物または固体燃料aを流動床ガス化室1において熱分解して得られる可燃性ガスb及びチャー及び灰分fを使用するセメント焼成システムである。このガス化炉101は、統合型の流動床ガス化炉であり、室内がガス化室1とチャー燃焼室2に分割されており、ガス化室1とチャー燃焼室2は互いに流動層の炉床面近傍に設けられた連通口25(図2参照)を除いて完全に仕切り壁で仕切られており、その連通口25の上端の高さは流動層高以下である。このシステムでは、ガス化室1において生成した可燃性ガス分bと、チャー燃焼室2において生成した燃焼ガス分eとを分離して別々にセメント焼成炉201に供給することを特徴とする。この場合、燃料aとして好ましいのは、塩素の含有が少なく、カロリーの高いものである。したがって、廃タイヤや比較的品位の高い石炭や塩素を含有しないプラスチック等が好ましい。
セメント焼成炉には、キルン式、流動床式などいくつかの形式があるが、現状ではキルン式が最も多く用いられており、ロータリーキルン内に供給された原料はゆっくりと加熱焼成され、最終的には約1400〜1500℃の高温に達する。こうした高温プロセスはいずれもその高温がゆえに多量の化石燃料を使用するプロセスであると言える。したがって、廃棄物を燃料として用いることで化石燃料使用量を削減することが、プロセスの経済性改善、地球環境の保全に大きな効果をもたらす。
セメントキルンには、仮焼炉、窯尻部(キルン後部)、窯前部(キルン前部)などの複数の燃料吹き込み口があり、その燃料の一部として廃棄物を用いる場合、使用する廃棄物の種類や性状、サイズに応じて投入位置を選択することができる。
仮焼炉及び窯尻部に投入された燃料は、セメント原料の乾燥及び昇温に用いられるため、燃焼温度や燃焼後ガスの性状等の制約が緩い。従って、仮焼炉及び窯尻部は多種多様の廃棄物を燃料として投入することができるポテンシャルを有している。実際、各地のセメントキルンにおいて、各種の可燃性廃棄物が化石燃料の代替として投入されている。
一方、窯前部はプロセス中の最高温度(約1400〜1500℃)に達し、セメント焼成の最終段階としてその品質が最終的に決定する部位であるため、燃焼温度、火炎形状等の制約が大きい。このため、現在でも微粉炭バーナ、重油バーナ等、化石燃料の使用がこれまでは一般的であった。したがって、廃棄物使用にあたって制約の大きい窯前部へ、効率的に廃棄物の供給を行うことのできるプロセスが開発されれば、セメントキルンにおける廃棄物使用量を大幅に増大することができる。本発明はこのような要請に応えるものである。
図1に示されるような、本発明の実施の形態のシステムに含まれるセメントキルン201は、内壁に耐火煉瓦を張り付けた円筒構造の窯を有する。この円筒構造の窯が、ゆっくりと回転しながらセメント原料mを一方向に搬送する。セメント原料は搬送されながら加熱されクリンカとなる。円筒構造の窯のクリンカ出口側は、窯前部202であり、窯前部202には、出てきたクリンカnを冷却するクリンカ冷却装置211が接続されている。クリンカ冷却装置211からは冷却されたクリンカnが経路304を通して取り出される。
円筒構造の窯のセメント原料mの入口側は、窯後部203であり、窯後部203には、セメント原料を予熱する仮焼炉204が設けられている。仮焼炉204には、不図示の原料サイロから原料供給路303を通してセメント原料mが供給される。
ここで図2の概念的断面図を参照して統合型ガス化炉101を説明する。本統合型ガス化炉101は、熱分解即ちガス化、チャー燃焼、熱回収の3つの機能をそれぞれ担当するガス化室1、チャー燃焼室2、熱回収室3を備え、例えば全体が円筒形又は矩形を成した炉体内に収納されている。ガス化室1、チャー燃焼室2、熱回収室3は仕切壁11、12、13、14、15で分割されており、それぞれの底部に流動媒体を含む濃厚層である流動床が形成される。各室の流動床、即ちガス化室流動床、チャー燃焼室流動床、熱回収室流動床の流動媒体を流動させるために、各室1、2、3の底である炉底には、流動媒体中に流動化ガスを吹き込む散気装置が設けられている。散気装置は炉底部に敷かれた例えば多孔板を含んで構成され、該多孔板を広さ方向に区分して複数の部屋に分割されており、各室内の各部の空塔速度を変えるために、散気装置の各部屋から多孔板を通して吹き出す流動化ガスの流速を変化させるように構成している。空塔速度が室の各部で相対的に異なるので各室内の流動媒体も室の各部で流動状態が異なり、そのため内部旋回流が形成される。また室の各部で流動状態が異なるところから、内部旋回流は、炉内の各室を循環する。図中、散気装置に示す白抜き矢印の大きさは、吹き出される流動化ガスの流速を示している。例えば2bで示す箇所の太い矢印は、2aで示す箇所の細い矢印よりも流速が大きい。
ガス化室1とチャー燃焼室2の間は仕切壁11及び仕切壁15で仕切られ、チャー燃焼室2と熱回収室3の間は仕切壁12で仕切られ、ガス化室1と熱回収室3の間は仕切壁13で仕切られている(なお本図は、炉を平面的に展開して図示しているため、仕切壁11はガス化室1とチャー燃焼室2の間にはないかのように、また仕切壁13はガス化室1と熱回収室3の間にはないかのように示されている)。即ち、統合型ガス化炉101は、各室が別々の炉として構成されておらず、一つの炉として一体に構成されている。更に、チャー燃焼室2のガス化室1と接する面の近傍には、流動媒体が下降するべく沈降チャー燃焼室4を設ける。即ち、チャー燃焼室2は沈降チャー燃焼室4と沈降チャー燃焼室4以外のチャー燃焼室本体部とに分かれる。このため、沈降チャー燃焼室4をチャー燃焼室の他の部分(チャー燃焼室本体部)と仕切るための仕切壁14が設けられている。また沈降チャー燃焼室4とガス化室1は、仕切壁15で仕切られている。
ここで、流動床と界面について説明する。流動床は、その鉛直方向下方部にある、流動化ガスにより流動状態に置かれている流動媒体(例えば珪砂)を濃厚に含む濃厚層と、その濃厚層の鉛直方向上方部にある流動媒体と多量のガスが共存し、流動媒体が勢いよくはねあがっているスプラッシュゾーンとからなる。流動床の上方即ちスプラッシュゾーンの上方には流動媒体をほとんど含まずガスを主体とするフリーボード部がある。界面は、ある厚さをもった前記スプラッシュゾーンをいうが、またスプラッシュゾーンの上面と下面(濃厚層の上面)との中間にある仮想的な面ととらえてもよい。
また「流動床の界面より鉛直方向上方においてはガスの流通がないように仕切壁により仕切られ」というとき、さらに界面より下方の濃厚層の上面より上方においてガスの流通がないようにするのが好ましい。
ガス化室1とチャー燃焼室2の間の仕切壁11は、炉の天井19から炉底(散気装置の多孔板)に向かってほぼ全面的に仕切っているが、下端は炉底に接することはなく、炉底近傍に第2の開口部21がある。但しこの開口部21の上端が、ガス化室流動床界面、チャー燃焼室流動床界面のいずれの界面よりも上部にまで達することはない。さらに好ましくは、開口部21の上端が、ガス化室流動床の濃厚層の上面、チャー燃焼室流動床の濃厚層の上面のいずれよりも上部にまで達することはないようにする。言い換えれば、開口部21は、常に濃厚層に潜っているように構成するのが好ましい。即ち、ガス化室1とチャー燃焼室2とは、少なくともフリーボード部においては、さらに言えば界面より上方においては、さらに好ましくは濃厚層の上面より上方ではガスの流通がないように仕切壁により仕切られていることになる。
またチャー燃焼室2と熱回収室3の間の仕切壁12はその上端が界面近傍、即ち濃厚層の上面よりは上方であるが、スプラッシュゾーンの上面よりは下方に位置しており、仕切壁12の下端は炉底近傍までであり、仕切壁11と同様に下端が炉底に接することはなく、炉底近傍に濃厚層の上面より上方に達することのない開口22がある。言い換えれば、チャー燃焼室2と熱回収室3の間は流動層部のみ仕切り壁12で仕切られており、その仕切り壁12の炉床面近傍には開口部22を有し、チャー燃焼室2の流動媒体は仕切り壁12の上部から熱回収室3に流入し、仕切り壁12の炉床面近傍の開口部22を通じて再びチャー燃焼室2に戻る循環流を有するように構成されている。
ガス化室1と熱回収室3の間の仕切壁13は炉底から炉の天井にわたって完全に仕切っている。沈降チャー燃焼室4を設けるべくチャー燃焼室2内を仕切る仕切壁14の上端は流動床の界面近傍で、下端は炉底に接している。仕切壁14の上端と流動床との関係は、仕切壁12と流動床との関係と同様である。沈降チャー燃焼室4とガス化室1を仕切る仕切壁15は、仕切壁11と同様であり、炉の天井から炉底に向かってほぼ全面的に仕切っており、下端は炉底に接することはなく、炉底近傍に第1の開口部25があり、この開口の上端が濃厚層の上面より下にある。即ち、第1の開口部25と流動床の関係は、開口部21と流動床の関係と同様である。
ガス化室に投入された廃棄物または固体燃料aは流動媒体c1から熱を受け、熱分解、ガス化される。典型的には、廃棄物または燃料aはガス化室1では燃焼せず、いわゆる乾留される。残った乾溜チャーhは流動媒体c1と共に仕切壁11の下部にある開口部21からチャー燃焼室2に流入する。このようにしてガス化室1から導入されたチャーhはチャー燃焼室2で燃焼して流動媒体c2を加熱する。チャー燃焼室2でチャーhの燃焼熱によって加熱された流動媒体c2は仕切壁12の上端を越えて熱回収室3に流入し、熱回収室3内で界面よりも下方にあるように配設された層内伝熱管41で収熱され、冷却された後、再び仕切壁12の下部開口22を通ってチャー燃焼室2に流入する。
ここで、熱回収室3は本発明の実施の形態であるガス供給装置において必須ではない。即ち、ガス化室1で主として揮発成分がガス化した後に残る主としてカーボンからなるチャーhの量と、チャー燃焼室2で流動媒体c2を加熱するのに必要とされるチャーの量がほぼ等しければ、流動媒体から熱を奪うことになる熱回収室3は不要である。また前記チャーの量の差が小さければ、例えば、ガス化室1でのガス化温度が高目になり、ガス化室1で発生するCOガスの量が増えるという形で、バランス状態が保たれる。
しかしながら図2に示すように熱回収室3を備える場合は、チャーの発生量の大きい石炭から、ほとんどチャーを発生させない都市ゴミまで、幅広く多種類の廃棄物または燃料に対応することができる。即ち、どのような廃棄物または燃料であっても、熱回収室3における熱回収量を加減することにより、チャー燃焼室2の燃焼温度を適切に調節し、流動媒体の温度を適切に保つことができる。
一方チャー燃焼室2で加熱された流動媒体c2は仕切壁14の上端を越えて沈降チャー燃焼室4に流入し、次いで仕切壁15の下部にある開口部25からガス化室1に流入する。
ここで、各室間の流動媒体の流動状態及び移動について説明する。
ガス化室1の内部で沈降チャー燃焼室4との間の仕切壁15に接する面の近傍は、沈降チャー燃焼室4の流動化と比べて強い流動化状態が維持される強流動化域1bになっている。全体としては投入された燃料と流動媒体の混合拡散が促進される様に、場所によって流動化ガスの空塔速度を変化させるのが良く、一例として図2に示したように強流動化域1bの他に弱流動化域1aを設けて旋回流を形成させるようにする。
チャー燃焼室2は中央部に弱流動化域2a、周辺部に強流動化域2bを有し、流動媒体およびチャーが内部旋回流を形成している。ガス化室1、チャー燃焼室2内の強流動化域の流動化速度は5Umf以上、弱流動化域の流動化速度は5Umf以下とするのが好適であるが、弱流動化域と強流動化域に相対的な明確な差を設ければ、この範囲を超えても特に差し支えはない。チャー燃焼室2内の熱回収室3、および沈降チャー燃焼室4に接する部分には強流動化域2bを配するようにするのがよい。また必要に応じて炉底には弱流動化域側から強流動化域側に下るような勾配を設けるのが良い(不図示)。ここで、Umfとは最低流動化速度(流動化が開始される速度)を1Umfとした単位である。即ち、5Umfは最低流動化速度の5倍の速度である。
このように、チャー燃焼室2と熱回収室3との仕切壁12近傍のチャー燃焼室側の流動化状態を熱回収室3側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保つことによって、流動媒体は仕切壁12の流動床の界面近傍にある上端を越えてチャー燃焼室2側から熱回収室3の側に流入し、流入した流動媒体は熱回収室3内の相対的に弱い流動化状態即ち高密度状態のために下方(炉底方向)に移動し、仕切壁12の炉底近傍にある下端(の開口22)をくぐって熱回収室3側からチャー燃焼室2の側に移動する。
同様に、チャー燃焼室2の本体部と沈降チャー燃焼室4との仕切壁14近傍のチャー燃焼室本体部側の流動化状態を沈降チャー燃焼室4側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保つことによって、流動媒体は仕切壁14の流動床の界面近傍にある上端を越えてチャー燃焼室2本体部の側から沈降チャー燃焼室4の側に移動流入する。沈降チャー燃焼室4の側に流入した流動媒体は、沈降チャー燃焼室4内の相対的に弱い流動化状態即ち高密度状態のために下方(炉底方向)に移動し、仕切壁15の炉底近傍にある下端(の開口25)をくぐって沈降チャー燃焼室4側からガス化室1側に移動する。なおここで、ガス化室1と沈降チャー燃焼室4との仕切壁15近傍のガス化室1側の流動化状態は沈降チャー燃焼室4側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保たれている。これにより流動媒体の沈降チャー燃焼室4からガス化室1への移動を誘引作用により助ける。
同様に、ガス化室1とチャー燃焼室2との間の仕切壁11近傍のチャー燃焼室2側の流動化状態はガス化室1側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保たれている。したがって、流動媒体は仕切壁11の流動床の界面より下方、好ましくは濃厚層の上面よりも下方にある(濃厚層に潜った)開口21を通してチャー燃焼室2の側に流入する。
熱回収室3は全体が均等に流動化され、通常は最大でも熱回収室に接したチャー燃焼室2の流動化状態より弱い流動化状態となるように維持される。従って、熱回収室3の流動化ガスの空塔速度は0〜3Umfの間で制御され、流動媒体は緩やかに流動しながら沈降流動層を形成する。なおここで0Umfとは、流動化ガスが止まった状態である。このような状態にすれば、熱回収室3での熱回収を最小にすることができる。すなわち、熱回収室3は流動媒体の流動化状態を変化させることによって回収熱量を最大から最小の範囲で任意に調節することができる。また、熱回収室3では、流動化を室全体で一様に発停あるいは強弱を調節してもよいが、その一部の領域の流動化を停止し他を流動化状態に置くこともできるし、その一部の領域の流動化状態の強弱を調節してもよい。
廃棄物または燃料中に含まれる比較的大きな不燃物はガス化室1の炉底に設けた不燃物排出口33から排出する。また、各室の炉底面は水平でも良いが、流動媒体の流れの滞留部を作らないようにするために、炉底近傍の流動媒体の流れに従って、炉底を傾斜させても良い。なお、不燃物排出口33は、ガス化室1の炉底だけでなく、チャー燃焼室2あるいは熱回収室3の炉底に設けてもよい。
ガス化室1の流動化ガスとして最も好ましいのは生成ガスを昇圧してリサイクル使用することである。このようにすればガス化室から出るガスは純粋に燃料から発生したガスのみとなり、非常に高品質のガスを得ることができる。それが不可能な場合は水蒸気、炭酸ガス(CO)あるいはチャー燃焼室から得られる燃焼排ガス等、できるだけ酸素を含まないガス(無酸素ガス)を用いるのが良い。ガス化の際の吸熱反応によって流動媒体の層温が低下する場合は、必要に応じて熱分解温度より温度の高い燃焼排ガスを供給するか、あるいは無酸素ガスに加えて、酸素もしくは酸素を含むガス、例えば空気を供給して生成ガスの一部を燃焼させるようにしても良い。チャー燃焼室2に供給する流動化ガスは、チャー燃焼に必要な酸素を含むガス、例えば空気、酸素と蒸気の混合ガスを供給する。燃料aの発熱量(カロリー)が低い場合は、酸素量を多くする方が好ましく、酸素をそのまま供給する。また熱回収室3に供給する流動化ガスは、空気、水蒸気、燃焼排ガス等を用いる。
ガス化室1とチャー燃焼室2の流動床の上面(スプラッシュゾーンの上面)より上方の部分すなわちフリーボード部は完全に仕切壁11、15で仕切られている。さらに言えば、流動床の濃厚層の上面より上方の部分すなわちスプラッシュゾーン及びフリーボード部は完全に仕切壁で仕切られているので、チャー燃焼室2とガス化室1のそれぞれのフリーボード部の圧力のバランスが多少乱れても、双方の流動層の界面の位置の差、あるいは濃厚層の上面の位置の差、即ち層高差が多少変化するだけで乱れを吸収することができる。即ち、ガス化室1とチャー燃焼室2とは、仕切壁11、15で仕切られているので、それぞれの室の圧力が変動しても、この圧力差は層高差で吸収でき、どちらかの層が開口21、25の上端に下降するまで吸収可能である。従って、層高差で吸収できるチャー燃焼室2とガス化室1のフリーボードの圧力差の上限値は、互いを仕切る仕切壁11、15の下部の開口21、25の上端からの、ガス化室流動床のヘッドと、チャー燃焼室流動床のヘッドとのヘッド差にほぼ等しい。
以上説明した統合型ガス化炉101では、一つの流動床炉の内部に、ガス化室、チャー燃焼室、熱回収室の3つを、それぞれ隔壁を介して設け、更にチャー燃焼室とガス化室、チャー燃焼室と熱回収室はそれぞれ隣接して設けられている。この統合型ガス化炉101は、チャー燃焼室とガス化室間に大量の流動媒体循環を可能にしているので、流動媒体の顕熱だけでガス化のための熱量を充分に供給できる。
さらに以上の統合型ガス化炉では、チャー燃焼ガスと生成ガスの間のシールが完全にされるので、ガス化室とチャー燃焼室の圧力バランス制御がうまくなされ、燃焼ガスと生成ガスが混ざることがなく、生成ガスの性状を低下させることもない。
また、熱媒体としての流動媒体c1とチャーhはガス化室1側からチャー燃焼室2側に流入するようになっており、さらに同量の流動媒体c2がチャー燃焼室2側からガス化室1側に戻るように構成されているので、自然にマスバランスがとれ、流動媒体をチャー燃焼室2側からガス化室1側に戻すために、コンベヤ等を用いて機械的に搬送する必要もなく、高温粒子のハンドリングの困難さ、顕熱ロスが多いといった問題もない。
図1のフロー図に戻ってシステムの作用を説明する。統合型ガス化炉101のガス化室1に供給された廃棄物または固体燃料aは、熱分解により可燃性ガスb、チャー、灰分f、またはチャーhに分解される。ここで、廃棄物または固体燃料aとしては、セメント焼成炉201での熱利用を考慮すると、廃プラスチック、廃タイヤ、カーシュレッダーダスト、木質系廃棄物、一般廃棄物RDF、石炭等、ある程度の高発熱量を有する有機性廃棄物または固体燃料であることが望ましい。
可燃性ガスbの性状はガス化室1の流動化ガスg1の種類によって大きく異なる。流動化ガスg1として、空気等の酸素を含むガスを用いた場合は、前記可燃性ガスの一部が燃焼するため可燃性ガスbの発熱量が低下してしまう。可燃性ガスをできるだけ燃焼させず、高い発熱量を有する可燃性ガスとして取り出すためには、流動化ガスg1は酸素を含まないガスであることが望ましく、例えば蒸気を用いるのが好ましい。なお、可燃性ガスbには、固体状であるチャー及び灰分のうち粒子径の小さいものfが同伴される。
一方、熱分解によって生成したチャーのうち、粒子径が大きく可燃性ガスbに同伴されないものhは、流動媒体c1とともにチャー燃焼室2に移送される。チャー燃焼室2では、流動化ガスg2として空気や、酸素富化空気または酸素等の有酸素ガスを用い、チャーを完全燃焼させる。チャーの燃焼によって発生した熱量の一部は、ガス化室1へ循環して戻される流動媒体c2の顕熱として、ガス化室1に供給され、ガス化室1における熱分解に必要な熱量として用いられる。
前記の有機性廃棄物または固体燃料aの熱分解に適当な温度は、300〜900℃程度であり、またチャーの燃焼に適当な温度は、800〜900℃程度である。チャーの燃焼によって発生した熱量によりガス化室1の熱分解に必要な熱量を賄うためには、ガス化室1の層温はチャー燃焼室2の層温より低い温度に保つ必要があり、具体的には用いる廃棄物または固体燃料aの性状、特にチャー生成量に応じて決めることができる。
例えば、廃プラスチックや都市ゴミRDFの様に、炭素分あるいはチャー生成量の少ないものを用いる場合は、層温を400℃〜700℃程度の比較的低温とすることにより、チャーの生成量を増やし、ガス化に必要な熱量を確保することができる。また、廃タイヤや石炭の様に、炭素分あるいはチャー生成量の多いものを用いる場合には、層温を600〜900℃程度の比較的高温とすることにより、チャー生成量が過大となりチャー燃焼室で発生する熱量が過大となることを抑えることができる。ただし、層温をあまり低くすると、生成ガス中のタール分・重質分が増えるため、後段でガス温度が低下した場合に、付着トラブルを発生する危険性があることには留意する必要がある。
廃棄物または固体燃料aに含まれる灰分のうち、粒子径が大きく可燃性ガスbに同伴されないもの、即ち不燃物については、ガス化炉101の下部から流動媒体c3とともに抜き出される。
抜き出された流動媒体c3と不燃物dは、不燃物排出口33に経路311で接続された分級装置102によって分離された後、流動媒体c3は経路312を通して再びガス化室1に戻されて使用される。
分級装置で分離された不燃物dは、経路313を通して外部に排出され、不図示の粉砕機で粉砕してセメント原料mの一部として用いてもよいし、金属分が多くセメント原料としてふさわしくない場合等には系外に排出して、リサイクルあるいは埋立処理等を行ってもよい。
なお、このような流動床式ガス化炉の場合、不燃物dは流動媒体c3によりタール・カーボン等がクリーニングされた状態で排出されることが特徴である。また、ガス化室は還元雰囲気のため、アルミ・鉄等の金属分は未酸化状態で排出されることから、リサイクルに適している。
なお、図1にはこの不燃物dの抜き出しはガス化室1において行われる場合が示されているが、対象とする廃棄物または固体燃料a中の不燃物の量が多い場合には、チャー燃焼室2においても不燃物dの抜き出しを行うようにしてもよい。
さらに図2を参照して説明したように、チャー燃焼室2に接して熱回収室3を設けることにより、チャーの燃焼によって発生した熱量の一部を回収することができる。すなわち、処理する廃棄物または固体燃料aの種類によっては、ガス化室1で発生するチャーの量とチャー燃焼室2で流動媒体の加熱に必要とされるチャーの量のバランスが崩れることがあるが、その差は、熱回収室3での熱回収量を加減することにより調整することができる。
もちろん、処理する廃棄物または固体燃料aの種類によっては、熱回収室3がなくても統合型ガス化炉101全体としての熱バランスに支障がない場合もあるので、そのような場合には熱回収室3を設置しなくてもよい。
さて、統合型ガス化炉101に供給された廃棄物または固体燃料aからは、セメント焼成で利用可能なガス状物として、ガス化室1からは可燃性ガスbが、チャー燃焼室2からは燃焼ガスeが得られる。前記のように、チャー燃焼室2の層温を800〜900℃とすると、チャー燃焼室2からの燃焼ガスeは、完全燃焼により発生した二酸化炭素を主体とする800〜900℃のガスであるため、その利用方法としては高々800〜900℃の熱利用のみに留められる。
一方、ガス化室1からの可燃性ガスbは、発熱量即ち化学的エネルギーを有しているので、その性状にもよるが、より高温を生み出すポテンシャルを有していると言える。本実施の形態では、セメント焼成炉はキルン式であり、ガス化室1とセメントキルン201の窯前部202とは、ガス経路301で接続されている。またチャー燃焼室2とセメントキルン201の窯尻部203とは、ガス経路302で接続されている。ガス経路302は、途中で2股に分かれて、一方はそのまま窯尻部203に他方は仮焼炉204に接続されている。ここでガス経路301とガス経路302とは別々の経路である。
このような構成において、可燃性ガスbは経路301を通して窯前部202に、燃焼ガスeは経路302を通して窯尻部203または仮焼炉204に投入される。このように、ガス化室1からの可燃性ガスbをセメントキルン201の窯前部202に導き、ここにおいて完全燃焼させることで、セメント焼成に必要な1400〜1500℃の高温を得ることができる。
この場合、廃棄物を直接固体状のまま窯前部202に供給する場合と比較すると、可燃性ガスbはガス体であるため、取り扱い並びに火炎形状の制御が楽である他、吹き込みのための破砕や不適物の除去が不要であるという利点を有している。
一方、チャー燃焼室2からの燃焼ガスeは高々800〜900℃の顕熱しか有していないため、これを1400〜1500℃に達する窯前部202で利用することは困難である。従って、燃焼ガスeは仮焼炉204または窯尻部203に供給することにより、セメント原料mの乾燥・予熱を主な目的として利用することができる。
以上説明したように、本発明における特に好ましい実施の形態は、図1に示すように、ガス供給装置としての統合型ガス化炉101によって、熱分解ガスと燃焼ガスとを別々に発生させ、それら各々のガスを別々にガス利用装置に供給するものである。しかしながら、これに限らず、本発明のさらに原型的な実施の形態として、燃料をガス化炉で熱分解して得られる熱分解ガスをガス利用装置(特にセメント焼成装置)に供給すると共に、前記燃料とは別の燃料を燃焼させるか、あるいは前記ガス化炉で得られた熱分解ガス又はチャーを燃焼させるか、いずれかの燃焼によって得られる高温の燃焼ガスを前記熱分解ガスとは別々に、前記ガス利用装置に供給するようにしてもよい。
図3のフロー図を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態ではガス経路301によりガス化室1と窯前部202とが直接接続されていたのに対して、本実施の形態では、ガス経路301−1がガス化室1と分離装置であるサイクロン401とを接続している。サイクロン401のガス出口は、窯前部202に経路301−2により接続されている。またサイクロン401の固形分出口は、経路321によりセメント原料m供給経路303に接続されている。その他の構成は、第1の実施の形態と基本的に同じである。ここで経路321は経路301−1、301−2、ガス経路302とは別々の経路である。
本実施の形態は、ガス化室1において生成した可燃性ガスbと、可燃性ガスb中に同伴される灰分及び微粒チャー分fとを分離する装置401を有し、分離後の可燃性ガスbと、灰分及び微粒チャー分fとを別々にセメント焼成炉201に供給するシステムである。ここで、セメント焼成炉201はキルン式であり、可燃性ガスbを窯前部202に、燃焼ガスbを窯尻部203または仮焼炉204に投入するとともに、可燃性ガスbから分離した灰分及び微粒チャー分fを該キルン式セメント焼成炉201におけるセメント原料mの一部として用いるように構成されている。
ガス化室1からの可燃性ガスbには、灰分や微粒チャーなどの固体粒子fが同伴されている。可燃性ガスbにこれらを同伴したままセメントキルン201にて用いる場合、可燃性ガスbを利用する不図示のバーナ部においてこれらの固体粒子が固着したり、バーナノズルや配管が摩耗する等のトラブルが生じる可能性がある。このような問題は、第2の実施の形態のように、分離装置401を設けることにより、可燃性ガスbに同伴される灰分及び微粒チャーfを分離することで解決することができる。経路321中には、高温仕様のシール機構例えば二重排出弁(不図示)等を介して可燃性ガスbの雰囲気から灰分及び微粒チャーfをシールしつつ排出して図示のようにセメント原料mに混入させるか、不図示の経路を通して燃焼室に戻すようにしてもよい。特に灰分が多い場合は、燃焼室に戻すのが好適である。これにより、分離後の灰分及び微粒チャーfは、セメント原料mの一部として用いることができる。
図4のフロー図を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。第2の実施の形態では、サイクロン401の固形分出口が、経路321によりセメント原料m供給経路303に接続されていたのに対して、本実施の形態では、サイクロン401の固形分出口が、経路322により窯前部202に接続されている。その他の構成は、第2の実施の形態と基本的に同じである。
分離装置401で分離された灰分及び微粒チャーfは、第2の実施の形態のようにセメント原料mの一部として用いてもよいが、灰分が少なく微粒チャーが多い場合には良質の微粉燃料となるため、本第3の実施の形態のように、セメントキルン201の窯前部202の燃料代替として吹き込んでもよい。可燃性ガスbを導く経路301−1と微粒チャーを導く経路322とは、同じ窯前部202に燃料を導くものではあるが、別々の経路とする。
このように構成すると、特に、微粒チャー即ち炭素粒子は、燃焼により輝炎を発生し、周囲に強い輻射熱を与えるため、窯前部202の雰囲気温度を高温にするとともに、焼成されるセメントに対して均質で効率的な輻射熱伝達を行うことができ、製品セメントの品質を良くすることに対して効果があるという利点がある。
また、第2の実施の形態及び第3の実施の形態の構成とする場合、窯前部202における可燃性ガスbには固体粒子が混入しないため、バーナノズルや配管における固体粒子の固着対策や摩耗対策を省略することができるとともに、点検補修の頻度が少なくなるという利点がある。
なお、第2、第3の実施の形態では、固体粒子の分離装置401としてサイクロンを用いた場合が示されているが、もちろん高温ガスフィルタ等の他の形式の分離装置を用いてもよい。また、第2、第3の実施の形態では、燃料aとしては、塩素の含有が少なく、カロリーの高いものが好ましく、廃タイヤや比較的品位の高い石炭、塩素を含有しないプラスチック等が好ましい。但し、統合型ガス化炉以前に十分な脱塩処理が行なわれている場合は、どの燃料でも使用可能である。
図5を参照して第4の実施の形態を説明する。第3の実施の形態では、サイクロン401で固形分を分離された可燃性ガスbの出口を経路310−2で窯前部202に導くように構成していたのに対して、本実施の形態では、経路310−2をガス減温装置403に接続し、ガス減温装置403の出口を経路310−3でスクラバ404に接続している。スクラバ404で洗浄されたガスの出口は、経路310−4により窯前部202に接続されている。
スクラバ404は、タンク状の容器と該容器中に溜めた水を循環するポンプを備える循環配管404cとを含んで構成される。循環配管404cには、補給水を供給する供給ライン404bが接続されている。また容器の下部には、ドレン水抜き出し配管404dが接続されている。循環配管404cによって循環される水は、容器の内部の上方部でスプレーされ、ガスに水が十分に接触するように構成されている。供給ライン404bから新しいきれいな水が補給されると共に、ガス中の塩素等の物質を吸収して汚染された水は、ドレン水抜き出し配管404dから排出される。
このように構成すると、灰分及び微粒チャーfを除去した後の可燃性ガスbをスクラバ404にて洗浄することにより脱塩素処理することができる。可燃性ガスbは、しかる後にセメント焼成炉201に導かれる。
廃棄物として廃プラスチックや、カーシュレッダーダスト、都市ごみRDF等の、塩素分を含有する廃棄物を用いる場合、ガス化室1からの可燃性ガスbには熱分解によって発生した塩化水素ガス等の塩素分が含まれるため、このようなガスをそのままセメント焼成プロセスにおいて使用すると、製品セメントの塩素含有濃度が高くなり、品質上問題となる恐れがある。
特に、本発明のように統合型ガス化炉101を用いて塩素分を含む廃棄物または固体燃料aのガス化を行う場合、塩素分はガス化室1においてガス化し、ガス化室1からの可燃性ガスbに同伴されるため、第1〜第3の実施の形態のシステムの様に、ガス化室1からの可燃性ガスbを直接セメントキルン201窯前部202に導いて利用する場合、可燃性ガスb中の塩素濃度が最終的なセメント品質に大きな影響を与えることとなる。
第4の実施の形態によれば、ガス化室1からの可燃性ガスbを脱塩素処理した後にセメントキルン201へ供給するので、セメントの品質を高く維持することができる。
図5では、脱塩素処理装置としてスクラバ404を使用し、湿式法にて脱塩素処理を行う場合として示しているが、可燃性ガスbに塩素分がさほど多く含まれない場合や、製品セメントの品質に対して許容される可燃性ガスb中の塩素濃度が比較的高い場合は、バグフィルタ等を用いた乾式法によって処理してもよい。
なお、可燃性ガスbは高温の顕熱を有しているため、これをスクラバ404において直接減温する前に、図5に示すようにガス減温装置403において顕熱の回収を行うことで、熱の有効利用を行うこともできる。減温装置403としては、蒸気ボイラを用いてもよいし、または空気加熱器を用いてもよい。可燃性ガスbとの熱交換により発生した蒸気や予熱空気は、ガス化炉の流動化ガスg1、g2として用いたり、その他工場内での他用途に用いることができる。
また、このような脱塩素処理装置を設置する場合は、図5に示すように前段に灰分・微粒チャーfの分離装置401を設置することが望ましい。即ち、スクラバまたはバグフィルタにおいては、可燃性ガスb中に含まれる固形分が除去されてしまうため、予めセメント焼成に利用可能な灰分・微粒チャーfを分離しておくのがよいからである。
図6のフロー図を参照して、第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は、第4の実施の形態における、サイクロン401の固体粒子出口と減温装置403とを接続する経路310−2に改質装置402を挿入設置したものである。改質装置は、灰分及び微粒チャー分fを分離した後の可燃性ガスbを、部分燃焼または外部より加熱することにより高温化してガス成分の改質を行う装置である。このようにすることにより、可燃性ガスb中の重質分・タール分を改質により除去した後に脱塩素処理し、その後にセメント焼成炉に供給することができる。
第1〜第4の実施の形態では、脱塩素処理装置404の温度は、一般に200℃以下の低温にとられる。脱塩素処理装置としてスクラバを用いる場合は、ガス中の塩素分(主として塩化水素ガス)を効率的に除去するためには、80℃以下、望ましくは40℃前後にとる必要がある。また、脱塩素処理装置としてバグフィルタを用いる場合は、ろ布の耐久性及び中和剤(消石灰など)と塩化水素ガスの反応性から、200℃以下、望ましくは150〜180℃程度にとる必要がある。
処理される廃棄物の性状と、ガス化室1の層温によっては、可燃性ガスb中にタール分あるいは重質分が含まれる可能性がある。タール分あるいは重質分の沸点は、一般には200℃前後にあることが多いため、脱塩素処理のために可燃性ガスbの温度を前記のような低温まで下げた場合、配管や装置内にタール分及び重質分が凝縮し、付着するトラブルが生じる恐れがある。
第5の実施の形態によれば、脱塩素処理装置404の前に改質装置402を設け、可燃性ガスbの温度を一度タール分・重質分の改質に十分な高温まで高めておくことにより、前記問題に対応することができる。改質器の形式としては、図6に示すように、可燃性ガスb中に空気等の有酸素ガスkを供給し、可燃性ガスbを部分燃焼させる形式を用いるのが簡便である。しかしながら、部分燃焼による可燃性ガスbの発熱量低下と、ガス量の増加が好ましくない場合には、外部加熱式の改質器とすることで可燃性ガスbの発熱量を保ったまま改質を行ってもよい。
改質装置402の温度としては、タール分あるいは重質分の十分な改質が可能である温度であればよく、一般には800℃以上、好ましくは1000〜1200℃がよい。なお、このような温度域まで可燃性ガスbの温度を上昇させた場合、前段に固形分の分離装置401を有していないと、灰分の溶融によるトラブルが生じる可能性があるので、改質装置402を設置する場合は、図6に示したフローのように、分離装置401を設置することにより、前段で灰分及びチャーfを分離しておくことが望ましい。
また、改質後のガスは高温の顕熱を有しているため、図示のように脱塩素処理装置404の前にガス減温装置403を設置することが望ましい。
図7の概念図を参照して本発明の他の実施の形態で用いることのできるガス化炉の例を説明する。以上、第1〜第5の実施の形態として、ガス化室とチャー燃焼室とが統合された統合型ガス化炉101を利用する場合を説明したが、これに限らず、ガス化室はガス化炉として、またチャー燃焼室はチャー燃焼炉として、互いに独立した構成としてもよい。
本実施の形態で用いるガス化炉111は、2塔循環式ガス化炉である。2塔循環式ガス化炉は、ガス化室としてのガス化炉1’とチャー燃焼室としてのチャー燃焼炉2’の2炉から構成され、ガス化炉1’とチャー燃焼炉2’の間で流動媒体c1やチャーhを循環し、ガス化に必要な熱量を、チャー燃焼炉2’でチャーの燃焼熱によって加熱された流動媒体c1の顕熱でガス化炉1’に供給しようとするものである。
統合型ガス化炉101と同様に、ガス化炉1’で発生した可燃性ガスbを燃焼させる必要がないことから、可燃性ガスbの発熱量を高く維持できるという特徴がある。2塔循環方式はガス化炉1’、チャー燃焼炉2’間の充分な粒子循環量の確保、粒子循環量制御、安定運転といった、高温粒子の取り扱いが、統合型ガス化炉101よりも難しいという点があり、また、チャー燃焼炉2’の温度制御が他操作と独立してできないという運用面の難しさはあるが、可燃性ガスbの発熱量を高く維持できるという特徴を活かしたガス供給装置として利用することができる。ガス供給装置の構成としては、第1〜第5の実施の形態の統合型ガス化炉101を2塔循環式ガス化炉111に置きかえればよい。基本的作用、効果は、他の実施の形態と同様であるので、重複した説明は省略する。
図8のフロー図を参照して、本発明の第6及び第7の実施の形態を説明する。この実施の形態は、第1〜第5の実施の形態で用いるガス化炉に脱塩素性能を向上させるための装置を付加したものである。その他の部分は、他の実施の形態と同様であるので、共通部分は図示を省略してある。また重複した説明は省略する。
第6の実施の形態のガス供給装置は、廃棄物または固体燃料aを統合型ガス化炉101に供給する前に、高塩素含有物と低塩素含有物に分け、高塩素含有物を燃焼室(燃焼炉)2に、低塩素含有物をガス化室(ガス化炉)1に供給することにより、生成ガス(可燃性ガス)中の塩素濃度を低減することを特徴とする。
このように、廃棄物または固体燃料aに塩素を多く含有する物質と、塩素をあまり含有しない物質とが含まれる場合、これらを分別して取り扱うことにより、ガス化室1からの可燃性ガス中の塩素濃度を低減することができる。
高塩素含有物としては、塩素を含有する塩化ビニル等の廃プラスチックや自動車のシュレッダーダスト等が利用できる。一方低塩素含有物としては、非塩素含有のプラスチック類、木材チップ等のバイオマス廃棄物、廃タイヤ等が利用できる。廃棄物または固体燃料aが、このような異種類の複数の廃棄物から構成されている場合は、受入時に種類毎に分けておくことにより、別個に扱うことができる。
また、処理する廃棄物aが種々雑多な廃プラスチック類の混合物である場合には、図8のフロー図に示されるような形態とすることにより、塩素分を含有する廃プラスチックを選別してから、炉に供給することができる。
本実施の形態では、統合型ガス化炉101に高塩素含有物・低塩素含有物選別機501を設置し、選別機501と燃焼室2とを高塩素含有物を導く経路331で接続する。同様に、選別機501とガス化室1とを低塩素含有物を導く経路332で接続する。また選別機501の、処理対象物aの供給側に破砕機502を設置する。選別機501としては例えば遠心分離機を用いる。
このように構成すると、廃プラスチック中に含まれる塩化ビニル樹脂を501で選別し、塩化ビニル樹脂除去後の廃プラスチックを経路332を通してガス化室1へ、塩化ビニル樹脂を経路331を通して燃焼室2へ供給する。このようにして、ガス化室1からの可燃性ガス中の塩素濃度を低減することができる。
選別の手法としては、廃プラスチック類を破砕機502で破砕し、被破砕物を遠心分離式の選別機501で選別することにより、ポリエチレン、ポリスチレン等の非塩素含有樹脂より比重の大きい塩化ビニル樹脂を選択的に取り除くことができる。
また本発明の第7の実施の形態の統合型ガス化炉は、図8に示すように、ガス化室1に脱塩剤を供給する脱塩剤供給機503を設置することにより、廃棄物または固体燃料aに含有される塩素分の脱塩処理を流動床内で行うことを図ったものである。
一般に、石炭燃焼用の流動層炉等では、炉内に脱硫剤として石灰石を投入し、炉内で石炭中の硫黄分と反応させる炉内脱硫の例が見られるが、第7の実施の形態は、これと同様な手法で、炉内に脱塩剤を投入して脱塩処理を行うものである。
前記脱塩剤は、石灰石、生石灰、消石灰、ドロマイトのいずれか1つまたはそれらの混合物であることを特徴とするとよい。このような脱塩剤を投入することにより、統合型ガス化炉101のガス化室1の流動層内で廃棄物中の塩素分あるいはその放出による塩化水素ガス等と反応させ、ガス化室1内で脱塩を行うことができる。
また、上記のような石灰を含有する脱塩剤は、タール分解触媒としての機能を有するので、ガス化室1で生成した可燃性ガス中のタール分含有量を低減させる効果も期待できる。
さらに、前記脱塩剤は粒子状の固体であり、その粒径は、該粒子の終端速度が前記ガス化室及びチャー燃焼室のフリーボード部におけるガス流速よりも大きいようにするのが好ましい。このように、脱塩剤の粒径をその終端速度がガス化室のフリーボード流速よりも大きくなるように決定すると、層内で効果的に脱塩反応を行い、後段に脱塩剤を飛散させないようにすることができる。
このとき、廃棄物または固体燃料aに含有される低塩素含有物中の塩素分とガス化室1において反応した後の脱塩剤は、ガス化室1から燃焼室2に移送されるチャーh及び流動媒体c1と共に、燃焼室2に移送される(図2参照)。この脱塩剤は燃焼室2内にて高温に晒されることにより塩素分を放出して再生し、再度脱塩剤としてガス化室1に供給して使用することが可能である。このように、反応後の脱塩剤を装置内で再生し、再度脱塩剤として利用することにより、ガス供給装置としてのランニングコストを軽減することができる。
図9の線図を参照して、第7の実施の形態の作用を説明する。ガス化室1に塩素を含有した廃棄物が供給されている場合、ガス化室1内は廃棄物の熱分解によって発生した塩化水素等の塩素含有ガスが多量に存在する状況下にある。廃棄物の性状やガス化条件にもよるが、数%程度の塩素を含有する廃棄物をガス化し、その塩素分の全量が塩化水素ガスとなったと仮定すると、生成ガス中の塩化水素ガス濃度は数100〜数1000ppmに及ぶ高濃度となる。
脱塩剤の脱塩性能は塩化水素ガスとの平衡関係によって決まる。脱塩剤として生石灰、消石灰、炭酸カルシウム等を用いた場合、炉内ではいずれも仮焼により生石灰CaOが生じ、これが以下の平衡反応により塩化水素ガスHClと反応して塩化カルシウムCaClを生じる。
CaO+2HCl ←→ CaCl+H
図9は上式における塩化水素ガスの平衡濃度を温度に対して示したものである。横軸はガス温度(℃)、縦軸はHCl平衡濃度(ppm)である。本図は、一般的な例として、ガス中の水蒸気分圧を0.2気圧とした場合を示している。
塩化水素ガスの平衡濃度は、ガス温度700℃では約5000ppm、600℃では約900ppmであるが、低温になるほど急激に低下し、500℃では約100ppm、400℃では実に10ppm以下となる。前記の通り、ガス化室1における熱分解反応熱を確保するために、本発明の実施の形態で用いる統合型ガス化炉101ではチャー燃焼室2の層温はガス化室1の層温より高くとられる。その温度は、前記したようにガス化室1では400〜700℃、チャー燃焼室2では600〜900℃といった温度域に設定する。図9から分かるように、この温度域において両室の温度差を利用し、ガス化室1における塩素分の固定と、燃焼室2における塩素分の放出を効果的に行うことができる。
例えば、ガス化室1の層温を500℃とすると、500℃における塩化水素ガスの平衡濃度は約100ppmであるため、前記数100〜数1000ppmの塩化水素ガスの大半を塩化カルシウムとして固定できる。さらに、反応後の塩化カルシウムを流動媒体とともに燃焼室2に移送した場合、燃焼室2の層温が700℃であれば、塩化水素ガスの平衡濃度は約5000ppmとなるため、塩化カルシウムの大半は塩素を放出することができる。即ち、塩化カルシウムは生石灰に再生されるため、これをガス化室1に循環することにより脱塩剤として再使用することができる。なお、燃焼室2の流動媒体中には、水蒸気を含んだガスを供給する方が、塩素を放出し、CaOに再生する上で好ましい。
上記の目的からは、ガス化室1の層温を600℃以下、燃焼室2の層温を600℃以上とするのがよい。特にガス化室1の層温を500℃以下、燃焼室2の層温を700℃以上とするのが好ましく、さらに好ましくはガス化室1の層温を450℃以下、燃焼室2の層温を800℃以上とする。
なお、脱塩剤として石灰石(炭酸カルシウム)を用いる場合は、炭酸カルシウムを900℃以上の高温に晒して仮焼を行い、生石灰を生成する必要があるため、燃焼室2の層温を900℃以上とすることが望ましい。また、消石灰を用いる場合は約580℃以上で生石灰への仮焼が行えるため、燃焼室2の温度は600℃以上であれば十分である。
なお、ガス化室1内で塩素分と反応した脱塩剤は、流動媒体と共に炉下から抜き出し、分級装置102(図1他参照)によって流動媒体と分級して排出したり、流動媒体ごと湿式洗浄することにより洗浄水に溶解させて分離排出することもできる。特に、燃焼ガスe中に塩素分を混入させたくないときは、反応後の脱塩剤はチャー燃焼室へは還流させず、上記のように炉下から抜き出すのがよい。
従来、ガス中の塩素分を除去する場合、脱塩プロセスの制約から、ガス化炉で生成した高温の可燃性ガスを冷却する必要があり、その冷却による顕熱ロスが無視できないという問題があった。本実施の形態によれば、可燃性ガスを冷却する必要がなく、効率の高い運転が可能となる。
なお、セメントキルンに微粉炭バーナの代替として、廃プラスチックを微粉砕したものを吹き込む方法もあり得る。しかし、廃プラスチック中に塩素分が含まれる場合、セメント製品の塩素濃度に影響を及ぼすため、吹き込み可能な廃プラスチックの種類が塩素分を含まないものに限られること、廃プラスチックの微粉砕には多大な動力を必要とすること、廃プラスチックに混入した金属類等の不適物を事前に除去する工程が必要となることなどの問題点がある。本発明の実施の形態によれば、このような問題を効果的に解決することができる。
また、第1〜第7の実施の形態では、セメント焼成炉の形態としてキルン式を対象として示しているが、もちろん流動床式等、他の形式のセメント焼成炉であってもよい。このような本発明の実施の形態のセメント焼成装置及びセメント焼成方法によれば、処理対象の廃棄物中に含まれる不適物に影響されず、セメント焼成炉に用いるのに十分な高発熱量のガスを廃棄物から得ることにより、従来以上の量の廃棄物を燃料として使用でき、しかも塩素含有量の少ない高品質なセメント製造が可能となる。
以上のように、本発明の実施の形態であるガス供給装置の応用例であるセメント焼成システムは、例えば図1、3、4、5、6、7、8に示すように、これまでに説明したガス供給装置101または111と、ガス利用装置としてセメント焼成炉201を備える。
このように構成すると、前記のようなガス供給装置101、111を備えるので、可燃性ガスを例えば発熱量の高い燃料を必要とする部分例えばセメントキルンの窯前部に、発熱量は低いがある程度の温度を有する燃焼ガスを例えば窯尻部にといったように用途に従って別々に供給することができる。
以上のように、本発明の実施の形態であるガス供給方法の応用例であるセメント焼成方法は、これまでに説明したガス供給方法によってガスbを供給し、前記ガスbを供給されたガス利用装置としてのセメント焼成炉201でセメント焼成を行なう。
このように構成すると、可燃性ガスを供給する第1のガス化工程を備えるので、ガス化工程で生成した可燃性ガスbをセメント焼成炉201に供給することができ、燃焼ガスを供給する第2のガス供給工程を備えるので、チャー燃焼工程で生成した燃焼ガスeを可燃性ガスbとは別々にセメント焼成炉201に供給することができる。したがって、セメント焼成炉の例えば窯前部に可燃性ガス、窯尻部に燃焼ガスといったように使い分けることができる。このようにして、エネルギーの有効利用を図りつつ、高品質のセメントを焼成することができる。
これまでは、第1に、セメント焼成炉のような工業プロセスでは、製品の品質を保つために、種々雑多な成分が含まれる廃棄物の利用にはなじみにくいため、廃棄物の燃料利用が十分に行われていなかった。品質に関して特に影響を与える代表的な成分は塩素分である。製鉄プロセスやセメント焼成プロセスで廃プラスチックを燃料として利用しようとしても、廃プラスチック中に塩化ビニル樹脂等の塩素含有プラスチックが含まれていると、廃プラスチックの燃焼あるいは熱分解の過程で塩素分が放出され、これが製品である銑鉄やセメントの塩素濃度に影響を及ぼす。鉄やセメントなどは、機械的性能面の要求から製品の塩素濃度の基準は特に厳しく、これが廃棄物による燃料代替を困難にしていた。以上説明した本発明の実施の形態の適用例では、廃棄物に対して複雑な前処理を行なうことなく、したがってコストの増大を招くことなく、廃プラスチック等の利用を図ることができる。
第2に、前記のような工業プロセスでは、大量の製品を均質に製造するため、廃棄物のように性状が変動する燃料の使用には向かない。このため、廃棄物を燃料として活用するためには、廃棄物の性状の変動を吸収して安定に熱供給ができるようなプロセスが求められる。廃プラスチック、廃タイヤ、カーシュレッダーダスト等の固体廃棄物は、その高い発熱量から燃料としての利用が期待されているが、固体であるがゆえに安定した熱供給を行うことが難しいという一面もあった。
以上説明した本発明の実施の形態の適用例では、多大な動力と費用を必要とする廃棄物の微粉砕、スラリー化による性状の均質化等の前処理をすることなく、廃棄物を燃料として利用して、工業的に大量かつ安価にセメント等の生産を行うことが可能となる。
廃棄物を燃料として利用する場合、第3に、1000〜2000℃を超える様な高温を安定的に得ることが困難であるという問題があった。前記、第1、第2の理由を満足させるために、廃棄物を一度熱分解・ガス化させることで、ガス体という扱い易い形で安定的に燃料として利用することが考えられる。特に、ガス化速度をある程度緩慢にすることにより、原料の成分変動を吸収することができる他、塩素分の除去についてもガス体からの塩素分吸収は比較的簡便に行なうことができるというメリットがある。しかし、このようなガス化炉で得られるガスは、廃棄物の性状にもよるが、一般に化石燃料にくらべて発熱量が低いため、最高到達温度が低く、プロセスが要求する十分な高温が得られないという問題があった。前記の通り、各種の高温プロセスはいずれも製品の品質上、その「高温」という条件を確保することが重要であり、安定して高温が得られないと品質が低下する。
以上説明した本発明の実施の形態では、高発熱量の可燃性ガスが得られるので、安定して高温を得ることが可能となる。このようにして、廃棄物を用いて発生したガスを高温プロセスで用いることが可能となる。
一般に、セメント焼成工程は、大量の化石燃料を消費するプロセスであるが、本発明の実施の形態によれば、化石燃料の代替として廃プラスチックや廃タイヤ等の各種廃棄物を積極的に利用することが可能となり、廃棄物の有効利用と化石燃料使用量の大幅な削減を図ることができる。
以上の実施の形態では、本発明の実施の形態であるガス供給装置をガス利用装置としてのセメントの焼成装置に使用するものとして説明したが、これに限らず他のガス利用装置にも使用することができる。またガス利用装置では、本発明のガス供給装置からの可燃性ガスb、または燃焼ガスeだけを熱源として利用する必要はなく、従来の化石燃料を併用してもよい。
以上の実施の形態では、ガス供給装置で用いる炉が流動床式ガス化炉の場合を説明したが、これに限らず、例えばキルン式ガス化炉を用いてもよい。この場合は、キルンの中に廃棄物または燃料を収納し回転しながら加熱することにより、廃棄物または燃料をガス化する。そしてガス化残査として発生したチャーを、他のチャー燃焼炉において燃焼する。その結果発生した熱量を、前記キルンの加熱源として用いる。
近年、地球環境問題から化石燃料の使用量削減と廃棄物の有効利用が重視され、各種の工業プロセスにおいて廃棄物の熱利用が試みられ始めている。こうした熱利用は一般的に廃棄物ボイラーなどのように、工場等において発生した廃棄物をボイラーで燃焼させ、蒸気として熱回収を行い、発電利用や比較的低温な熱利用の形で用いるのが一般的であった。エネルギー有効利用の観点からは、今後はより高温のプロセスの熱源として廃棄物の熱利用を行っていくことが期待されている。
工業的な高温プロセスの代表例が製鉄業における高炉である。高炉では鉄鉱石をコークスと2000℃以上にも及ぶ高温で反応させることにより還元し銑鉄を製造する。コークスは高温を得る熱源および還元剤としての役割を有している。本発明の実施の形態によるガス供給装置で発生した可燃性ガスを高炉のコークスに対する補助燃料として、また燃焼ガスを鉄鉱石、石灰、コークスの予熱に利用することにより、化石燃料の使用量を削減した高炉を実現できる。
他の例としては、ガラス製造プロセスがある。ガラスは珪砂・ソーダ灰・石灰石等を主原料とし、これらを調合後に約1300〜1600℃の高温で完全に溶解して不純物を除去して製造される。加熱源としては化石燃料バーナが用いられており、熱効率を高めるために蓄熱式の窯炉を用いるなどの工夫が行われている。
また、陶磁器やタイルなど、セラミックス類の焼成プロセスも、高温を必要とするプロセスの一例である。製品の種類にもよるが、これらの焼成は一般に予熱、乾燥から焼成、冷却に至るまで、トンネル炉と呼ばれる長尺の炉でゆっくり時間をかけて行われる。製品の品質は焼成工程でほぼ決まり、その温度は約1200℃以上である。
本発明の実施の形態であるガス供給装置は、以上のような種々の工業的な高温プロセスに使用することができる。
以上、いくつかの図を用いて、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態は本発明の一例を示したものであり、この発明の範囲を限定するものではない。
以上のように本発明によれば、ガス化室で生成した可燃性ガスをガス利用装置に供給する第1のガス経路と、チャー燃焼室で生成した燃焼ガスを可燃性ガスとは別々にガス利用装置に供給する第2のガス経路とを備えるので、組成や温度が異なる可燃性ガスと燃焼ガスとを、ガス利用装置のそれぞれのガスに適した部分に別々に供給することのできるガス供給装置を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態である、統合型ガス化炉を用いたセメント焼成システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態に用いる統合型ガス化炉の原理を示した図である。 本発明の第2の実施の形態である、統合型ガス化炉を用いたセメント焼成システムを示すフロー図である。 本発明の第3の実施の形態である、統合型ガス化炉を用いたセメント焼成システムを示すフロー図である。 本発明の第4の実施の形態である、統合型ガス化炉を用いたセメント焼成システムを示すフロー図である。 本発明の第5の実施の形態である、統合型ガス化炉を用いたセメント焼成システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態に用いる別のガス化炉(2塔循環型ガス化炉)の原理を示した図である。 本発明の第6及び第7の実施の形態である、セメント焼成システムに用いる統合型ガス化炉回りの装置を示すフロー図である。 ガス温度とHCl平衡濃度の関係を示す線図である。
符号の説明
1 ガス化室
2 チャー燃焼室
3 熱回収室
4 沈降チャー燃焼室
11、12、13、14、15 仕切壁
21、22、25 開口
101 統合型ガス化炉
102 不燃物分級装置
201 セメントキルン
202 窯前部
203 窯尻部
204 仮焼炉
211 キルン冷却装置
401 分離装置
402 改質装置
403 熱回収装置
404 脱塩素処理装置
a 廃棄物または固体燃料
b 可燃性ガス
c 流動媒体
c1 ガス化室からチャー燃焼室に移送される流動媒体
c2 チャー燃焼室からガス化室に移送される流動媒体
c3 不燃物に同伴して排出される流動媒体
d 不燃物
e 燃焼ガス
f 灰分及び微粒チャー
g 流動化ガス
h ガス化室からチャー燃焼室に移送されるチャー
k 酸化剤
l スクラバ洗浄水
m セメント原料
n セメントクリンカ

Claims (8)

  1. 高温の流動媒体を内部で流動させ、第1の界面を有するガス化室流動床を形成し、前記ガス化室流動床内で被処理物をガス化するガス化室と、
    高温の流動媒体を内部で流動させ、第2の界面を有するチャー燃焼室流動床を形成し、前記ガス化室でのガス化に伴い発生するチャーを前記チャー燃焼室流動床内で燃焼させ前記流動媒体を加熱するチャー燃焼室と、
    前記ガス化室で生成した可燃性ガスを1200℃以上の高温の熱源を必要とする素材製造装置に供給する第1のガス経路と、
    前記第1のガス経路に配置された、前記可燃性ガスを部分燃焼することにより800℃以上に高温化して前記可燃性ガス中の重質分及びタール分の少なくとも一方を除去する改質装置とを有し、
    前記ガス化室と前記チャー燃焼室とは、前記それぞれの流動床の界面より鉛直方向上方においてはガスの流通がないように第1の仕切壁により仕切られ、前記第1の仕切壁の下部には前記ガス化室と前記チャー燃焼室とを連通する連通口であって、該連通口の上端の高さは前記第1の界面および第2の界面以下である連通口が形成され、該連通口を通じて、前記チャー燃焼室側から前記ガス化室側へ前記チャー燃焼室で加熱された流動媒体を移動させるように構成されたガス供給装置と;
    前記改質装置で重質分及びタール分の少なくとも一方を除去した可燃性ガスを導入する、1200℃以上の高温の熱源を必要とする素材製造装置とを備える;
    素材製造システム。
  2. 前記第1のガス経路に配置された、前記改質装置で重質分及びタール分の少なくとも一方を除去した可燃性ガスを脱塩素処理する脱塩素処理装置を有し;
    前記脱塩素処理した可燃性ガスを前記素材製造装置に導入するように構成された;
    請求項1に記載の素材製造システム。
  3. 前記チャー燃焼室で生成した燃焼ガスを、前記可燃性ガスとは別々に、前記素材製造装置に供給する第2のガス経路を有する;
    請求項1又は請求項2に記載の素材製造システム。
  4. 前記素材製造装置が、銑鉄製造装置、ガラス製造装置、焼成装置のうちのいずれかである;
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の素材製造システム。
  5. 被処理物を熱分解して可燃性ガスとチャーを生成するガス化工程と;
    前記ガス化工程で生成されたチャー分を燃焼して、前記ガス化工程における熱分解反応に必要な熱量を得るとともに、燃焼ガスを生成するチャー燃焼工程と;
    前記ガス化工程で生成した可燃性ガスを部分燃焼することにより800℃以上に高温化して前記可燃性ガス中の重質分及びタール分の少なくとも一方を除去する可燃性ガス改質工程と;
    前記可燃性ガス改質工程で重質分及びタール分の少なくとも一方を除去した可燃性ガスを1200℃以上の高温の熱源を必要とする素材製造装置に供給する第1のガス供給工程とを備える;
    ガス供給方法。
  6. 前記可燃性ガス改質工程で重質分及びタール分の少なくとも一方を除去した可燃性ガスを、前記第1のガス供給工程の前に脱塩素処理する、脱塩素処理工程を備える;
    請求項5に記載のガス供給方法。
  7. 前記チャー燃焼工程で生成した燃焼ガスを、前記可燃性ガスとは別々に、前記素材製造装置に供給する第2のガス供給工程を備える;
    請求項5又は請求項6に記載のガス供給方法。
  8. 前記素材製造装置が、銑鉄製造装置、ガラス製造装置、焼成装置のうちのいずれかである;
    請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のガス供給方法。
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