JP2007217654A - 水溶性重合体の連続的製造方法、及び、水溶性重合体 - Google Patents

水溶性重合体の連続的製造方法、及び、水溶性重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】分子量分布が狭い水溶性共重合体が高効率で得られる連続的製造方法を提供する。
【解決手段】タンク及びその外部を循環する配管により構成される循環ラインを有する反応装置に重合性不飽和結合を有する単量体を含む循環液を循環させて水溶性重合体を連続的に製造する工程と、循環液の一部を排出ラインから取り出す工程とを有する水溶性重合体の連続的製造方法であって、該循環ラインは、少なくとも1箇所に冷却器が備えられたものである水溶性重合体の連続的製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水溶性重合体の連続的製造方法に関する。より詳しくは、顔料等の分散剤、水等の洗剤ビルダー、スケール防止剤、無機顔料分散剤等として有用な水溶性重合体を連続的に製造する方法に関する。
水溶性重合体は、増粘剤、粘着剤、凝集剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、粘着性向上剤、分散剤等としての優れた基本性能を有するものであり工業上多用されている。例えば、掘削土処理剤や湿布薬・パップ剤用添加剤、浚渫土処理剤等の他、医薬、塗料、製紙、洗剤や化粧品、水処理、繊維処理、土木建築や農・園芸、接着剤、窯業、製造プロセス、その他の分野において多岐にわたって使用されている。また、粘度や残存する単量体の量等においてより高品質のものは、例えば、増粘剤やほぐれ促進剤等として食品用や飼料用として用いられている。
従来の水溶性重合体の製造方法としては、発泡や温度を制御したバッチ重合での高濃度のポリアクリル酸ソーダの製造方法が開示されており(例えば、特開2004−244617号公報(第2、8〜10、41頁)参照。)、冷却装置、槽型反応器、撹拌型ミキサーを有した回分(バッチ)式反応装置が記載されている。しかしながら、この製造方法では、高生産性を確保するには大規模な装置が必要であり、また得られた重合体の分子量分布(Mw/Mn)は比較的大きくなるため、目的の分子量分布を有する重合体を得るための工夫の余地があった。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った商で示される。
また複数個の反応装置を直列に設置した低分子量分布のポリアクリル酸の連続的な製造方法が開示されている(例えば、特開2003−002909号公報(第2、4−7頁)及び特開2003−040912号公報(第2、5−8頁)参照。)。実施例では、槽型の第1〜第3反応器と、必要に応じて第2反応器に冷却装置と、撹拌型ミキサーとを有する撹拌槽直列連続式反応装置が記載されている。この反応装置は、連続式といっても、撹拌槽が第1〜第3反応器として直列に接続され、第1反応器から第3反応器に順に反応液が送られて第3反応器から取り出されるものである。このような直列の反応装置においては、反応時間の短縮化や生産性、除熱効率の点において、工業上効率的にポリアクリル酸を生産することができるようにするための工夫の余地があった。
一方、ループ型の循環ラインを有した低分子量分布のポリアクリル酸の連続的な製造方法が開示され(例えば、特開2001−098002号公報(第2−9頁)参照。)、管型反応器と、モーションレスミキサーとを有する循環型連続式反応装置が記載されている。しかしながら、除熱効率を充分なものとして、反応時間を短縮し、生産性を更に向上させる工夫の余地があった。
特公昭48−20532号公報(第1−2頁) 特開昭47−31924号公報(第1−2頁) 特開昭49−11820号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、分子量分布が狭い水溶性共重合体が高効率で得られる連続的製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、水溶性重合体の製造方法について種々検討したところ、タンクと外部に循環するループ型の配管(循環ライン)を有する連続的反応装置が、生産性に優れることに着目し、循環ラインに冷却器を備えた撹拌槽直列連続式反応装置とすると、反応装置内の温度分布を均一なものとすることができるうえに、温度を容易に制御することができるため、高い重合濃度で反応させることができ、残存単量体の濃度を低くすることができることを見いだした。また、熟成工程を必要とせず、短い反応(滞留)時間で、重合反応させることができることから、更に生産性を高くすることができることを見いだした。また、通常は、分子量分布(Mw/Mn)の狭い重合体を得るためには、重合濃度を下げたり、反応時間を長くしたり、時間当たりの生産量が低下することが懸念されるが、上記特性に起因して、単量体の濃度を均一にすることができ、高い生産性を有しつつ、Mw/Mnが狭い水溶性(共)重合体を製造することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、充分にMw/Mnが狭いため、洗剤ビルダー、スケール防止剤、無機顔料分散剤等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、タンク及びその外部を循環する配管により構成される循環ラインを有する反応装置に重合性不飽和結合を有する単量体を含む循環液を循環させて水溶性重合体を連続的に製造する工程と、循環液の一部を排出ラインから取り出す工程とを有する水溶性重合体の連続的製造方法であって、上記循環ラインは、少なくとも1箇所に冷却器が備えられたものである水溶性重合体の連続的製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の水溶性重合体の連続的製造方法は、タンク及びその外部を循環する配管により構成される循環ラインを有する反応装置に重合性不飽和結合を有する単量体を含む循環液を循環させて水溶性重合体を連続的に製造する工程と、循環液の一部を排出ラインから取り出す工程とを有するものである。すなわち、タンクと循環ラインとを必須として有する反応装置、及び、排出ライン(以降、反応装置と排出ラインとを含めて「製造装置」ともいう。)によって水溶性重合体を製造するものである。
上記タンクの外部を循環する配管により構成される循環ラインは、少なくとも1箇所に冷却器が備えられたものであり、冷却器を備えることにより、重合熱、希釈熱、中和熱、分解熱、溶解熱等からもたらされる反応熱を除去することができ、反応装置内の温度分布を均一なものとすることができるとともに、温度を容易に制御することができるため、Mw/Mnが狭い水溶性重合体を得ることができる。冷却器を備えず、上述した反応熱を充分に除去しない場合、反応が急激に促進し、例えば、沸点に達したり、マイケル付加物が多量に発生したり、連鎖移動剤を用いても、連鎖移動剤として働かなくなったりして、ハンドリングができなくなるおそれがある。本発明においては、例えば、(メタ)アクリル酸やその塩、エステル等、アクリルアミドやそのN−置換体等の重合が速く進む反応に好適に適用できるものであり、この場合、冷却により充分にマイルドな重合反応とすることができる。特にアクリル酸及び/又はその塩の重合反応においては、後述するように、用いる開始剤等の反応条件によっては、30秒で90%以上の原料が水溶性重合体に転換するほど反応が速く、それに伴う反応熱も大きいことから、該反応熱を除去する冷却器を備えることが必須となる。
上記冷却器としては、循環ラインに備えることができ、冷却器内を通過する循環液の温度を下げて反応熱の少なくとも数%を除くことができるものであればよく、例えば、発生する反応熱の30%以上を除去できるものであることが好ましい。反応熱の除去が充分でない場合には、得られる水溶性重合体のMw/Mnを充分に狭くできなくなるおそれがある。より好ましくは、50%以上を除去できることであり、更に好ましくは、70%以上を除去できることである。反応熱の除去により、例えば、循環液の反応温度(重合温度)を後述の好適な範囲とすることができる。
上記冷却器としては、また、循環液の体積V[m]と冷却器の伝熱面積S[m]との間の関係が、S/V≧5を満たすものであれば好ましい。冷却器がこのような要件をみたすことにより、循環液を充分に冷却することができ、本発明の作用効果を発揮することができる。より好ましくは、6.5以上であり、更に好ましくは、8以上である。
上記冷却器としては、反応熱の除去効率か、S/Vの少なくとも一方が上記要件を満たすものであればよいが、両者をともに満足するものであることが好ましい。
上記冷却器の構造としては、本発明の作用効果を発揮する限り、形状、形式、設置個数、設置位置等は特に限定されない。冷却器の形状、形式としては、例えば、多管円筒型、二重管式、プレート式、エアクーラー、イリゲーションクーラー、コイル式、渦巻き式、ジャケット等、一般に広く用いられる冷却器・熱交換器のいずれを採用してもよく、単独又は組み合わせて使用することが可能である。また、ジャケット等の場合、配管やタンクに接している長さ等は、特に制限されない。冷却器の設置個数としては、一つであってもよく、複数であってもよい。複数設置する場合は、一ヶ所に複数設置されていてもよく、分散して配置されていてもよいが、冷却効率がよい分散配置が好ましい。例えば、発生する反応熱量が多い場合は、分散して複数設置することが好ましい。また設置位置としては、循環ラインにあればよく、タンクに設置していてもよいが、タンクに設置される場合、温度と濃度に勾配ができ、分子量分布が拡大するおそれがあるため、このような勾配に充分注意して設置する必要がある。
なお、例えばジャケットや二重管を備えずに配管長を長くするだけでも放熱が大きくなり循環液温度は低下するが、配管及び装置敷設の建設コスト増大やポンプ能力の強化が必要であるうえに、上記冷却器の能力の条件を満たさない場合もあり、温度勾配が大きな状態が続くため重合体の物性にとっても好ましくない。また滞留時間が長くなるため、単位時間あたりの反応熱量は減少できるが、生産性の面から好ましくない。
上記タンクは、循環液を一時的に留めておくことができるものであればよく、配管に比べて充分な容積を有することが好ましい。本発明においては、反応液がタンクに戻ってきて循環することになることから、当該タンクを循環液タンクという意味でリサイクルタンクともいう。タンク(リサイクルタンクとも言う。)の容積としては、循環ライン全体の10体積%以上であることが好ましい。タンクの容積が10体積%未満である場合、配管が非常に長くなる等の問題があり、それに伴う圧力損失等の観点からも、重合反応が進行する反応器として充分には機能せず、水溶性重合体の生産性を充分には高くできないおそれがある。より好ましくは、30体積%以上である。
上記タンクは、循環液を保持・循環するだけでなく、重合反応が進行する反応器として機能することが好ましい。
上記タンクが反応装置の一部を構成していることで、水溶性重合体の生産性を高くすることができ、重合液の濃度や単量体フィード量を高くしても、所望の低分子量の重合体を得ることができる。タンク(リサイクルタンクとも言う。)を有しないループ型反応器(循環ライン)を用いた連続的重合法では、生産性を高めようとして重合液の濃度や単量体フィード量を高くすると、所望の低分子量の重合体を得ることができなくなる。これに対して本発明では、ループ型反応器(反応装置)内にリサイクルタンクを備えているため、重合液の濃度や単量体フィード量を高くしても、所望の低分子量の重合体を得ることができ、生産性よく製造することができる。
このため、タンクは撹拌機及び重合開始剤や重合促進剤、連鎖移動剤等の添加剤を供給するノズルを有することが好ましい。つまり、リサイクルタンク内の循環液を撹拌したり、重合開始剤や重合促進剤、連鎖移動剤を添加して重合を進行させることが好ましい。主に重合反応が進行することが好ましい。リサイクルタンクには、必要に応じて気液分離器を設けて、ガスを抜きながら循環ライン内を循環させてもよい。
上記タンクの外部を循環する配管は、タンクの出口(循環液の出口)と、タンクの入口(循環液の入口)とに接続され、タンクとともに循環ライン(ループ構造)を形成する。循環ラインとは、本発明の好適な実施形態の一例である図1及び2において説明すると、図1及び2のタンク底(タンク出口)をa、タンク上部に戻ってきているところ(タンク入口)をbとすると、a〜bで示される区間を「循環ライン」という。
上記配管においては、循環液を保持・循環するだけでなく、通常、重合反応も進行することになる。
本発明の製造装置の材質としては、伝熱及び耐食性の点から、SUS製のものが好ましく、具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L等が挙げられる。これらの場合にはまた、従来公知のスケール防止剤を塗布したり、これ(従来公知のスケール防止剤)を水性懸濁混合物(循環液)中に添加することも可能である。なお、以下において本発明の製造装置に設置されてもよい各種供給口等においても同様である。
上記製造方法において、原料の供給口の設置位置は、本発明の作用効果が発揮される限り特に限定されず、製造装置(タンク、循環ライン及び排出ライン)のどの位置であってもよいが、循環ラインに原料供給口が備えられたものであることが好ましい。循環ラインに原料を供給することで、撹拌が必ずしも必要でなくなり、装置面、コスト面で有利となる。上記原料供給口の設置個数は、特に限定されず、少なくとも1個以上であればよい。このように、上記循環ラインが、少なくとも1箇所に原料供給口が備えられたものである形態は、本発明の好ましい形態の一つである。
上記製造方法は、循環液の一部を排出ラインから取り出す工程を含むものであるが、排出ラインは、少なくとも1箇所に冷却器が備えられたものであることが好ましい。冷却器を排出ラインに設けることで、得られる生成物を充分に除熱することができ、重合体中の単量体除去や中和等の後工程がある場合、装置を簡略化できる利点がある。また、後述するように、排出ラインに、原料供給口が備えらた形態であっても、反応熱を充分に除去できるので、排出ラインから取り出される循環液と原料との混合液を適当な温度とすることができる。このような排出ラインに設けることができる冷却器としては、上述のものが好適である。
上記製造装置においては、循環液の原料の濃度分布を均一にするために、循環液を混合する装置が少なくとも1つ製造装置(タンク、循環ライン及び排出ライン)に設置されていることが好ましい。混合装置としては、例えば、パドル翼、マックスブレンド(登録商標)、アンカー翼等、撹拌翼に代表されるモーター駆動型、シェイカー等に代表される面駆動型、噴射衝突型、超音波分散型、モーションレスミキサー等、液の混合が充分に行えるものであれば形式は問わない。その中でもパドル翼、マックスブレンド、アンカー翼を使用した撹拌装置、モーションレスミキサーが好ましい。より好ましくは、撹拌装置、モーションレスミキサーであり、更に好ましくは、モーションレスミキサーである。
上記混合装置の設置位置としては、循環液を混合できる形態であれば特に限定されず、製造装置の中でも、反応装置に設置されていることが好ましい。その設置形態としては、(1)タンク内に通常の撹拌機を設置する形態、(2)循環ラインに、モーションレスミキサーを設置する形態、(3)循環ラインに、撹拌装置を設置する形態(撹拌型反応装置を循環ラインに設置する形態)、(4)循環ライン及びタンクの外部から、超音波等の外力により混合する形態等の1種又は2種以上が好適である。これらの中でも、(1)及び(2)を併用する形態が好ましく、循環液がタンク内及び循環ラインの双方で均一なものとすることができる。上記(2)の形態においては、撹拌能力に優れたモーションレスミキサーを循環ラインに設けることで、循環液、原料、及び、後述する開始剤等がより効率的に混合し、濃度勾配が減少し、循環液がより均一にできる利点がある。このように、循環ラインが、モーションレスミキサーを有する形態は、本発明の好ましい形態の一つである。なお、本発明においては、特に循環ラインに撹拌装置を設置する場合には、撹拌装置としてモーションレスミキサーが好ましいが、その他の撹拌装置であっても本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、以下において、モーションレスミキサー以外の撹拌装置をモーションレスミキサーの代わりに、又は、併用して用いてもよい。
上記原料供給口は、循環ライン内の循環液の流路方向において冷却器からタンクまでの間に位置していてもよく、タンクから冷却器までの間に位置していてもよく、いずれの形態であっても好ましい。冷却器からタンクまでの間に位置する場合は、原料を冷却器の下流側で供給することにより、配管内が閉塞する等、不測の事態が起こっても復旧が容易であるという利点がある。タンクから冷却器までの間に位置する場合は、著しく反応熱が大である反応系において、好ましくない副反応を抑制できるという利点がある。循環ラインにモーションレスミキサーを有する場合は、原料供給口は、循環ライン内のいずれに置いてもよく、例えば、循環ラインにモーションレスミキサーを設置した揚合、モーションレスミキサー内、循環ライン内の循環液の流路方向において、タンクからモーションレスミキサーまでの間、モーションレスミキサーからタンクまでの間のいずれに置いてもよい。これらの中でも、モーションレスミキサー内、又は、循環ライン内の循環液の流路方向においてタンクからモーションレスミキサーまでの間に位置することが好ましい。原料をモーションレスミキサー内又はその直前で添加することにより、モーションレスミキサーにより直ちに撹拌されることになり、原料の濃度分布が均一になり、Mw/Mnの狭い水溶性重合体を得ることができる。原料供給口としてより好ましくは、循環液の流路方向において冷却器からモーションレスミキサーの間に設置されることである。
本発明の水溶性重合体の製造方法においては、重合開始剤を添加してもよく、その供給位置及び個数としては、本発明の作用効果が発揮される限り特に限定されず、製造装置のどの位置に設置されてもよい。すなわち上記循環ラインは、循環液の流路方向において、(1)冷却器からタンクまでの間に開始剤供給口(重合開始剤供給口)を有してもよく、(2)タンクから冷却器までの間に開始剤供給口を有してもよい。(1)のような位置に開始剤供給口を少なくとも1つ設けることにより、タンクに戻る際に定温としやすく、温度勾配を極めて小さくできるという利点がある。(2)のような位置に開始剤供給口を少なくとも1つ設けることにより、著しく速い反応系において、開始剤濃度が均一となっており、投入口での望まざる暴走反応を抑制できるという利点がある。タンクとその外部を循環する配管により構成される循環ラインを有する反応装置において、その循環ラインに冷却器と、原料供給口と、開始剤供給口とを有する反応装置での水溶性重合体の連続的製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
なお、上記循環ラインがモーションレスミキサーを有する場合、重合開始剤は、循環ライン内の循環液の流路方向においてモーションレスミキサーからタンクまでの間に供給するか、タンクからモーションレスミキサーまでの間に供給することが好ましい。いずれの場合でも、モーションレスミキサーにより循環液の混合を充分に行うことができる。
本発明の製造方法においては、排出ラインから循環液の一部を取り出す工程を含むものであり、少なくとも1個の排出ラインを有するものである。排出ラインの設置位置としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、反応装置(タンク、循環ライン)のいずれの位置であってもよいが、ラインの簡略化によるメンテナンスの容易さ、コストから勘案して、循環ラインに設置されていることが好ましい。より好ましくは、配管経路の単純化、設備の簡略化の観点から、排出ラインは、循環液の流路方向において、タンクから冷却器までの間に位置することであり、タンクから原料供給口までの間に位置することである。循環液の流路方向において、タンク、冷却器、原料供給口がこの順に配置される場合には、タンクから冷却器までの間に位置することが、更に好ましい。また、タンク、原料供給口、冷却器がこの順に配置される場合には、タンクから原料供給口までの間に位置することが、更に好ましい。このような位置に設置することにより、循環液の単量体濃度が循環ライン内で最も低く、重合が最も進んだ溶液を取り出すことができる。
本発明の製造方法においては、原料供給口での単量体添加量に対するタンク入口での単量体転化量を示す転化率が、90%以上であることが好ましい。90%未満であると、残存単量体が多く、また生産性が低下するおそれがある。より好ましくは、96%以上であり、更に好ましくは、99%以上である。上記転化率は、例えば、単量体としてアクリル酸ナトリウムを用い、ポリアクリル酸ナトリウム(PSA)を得る場合において開始剤量、移動剤量、促進剤量、温度、滞留時間を種々に変化させ得られた反応速度解析によるシミュレーションの結果から、アレニウスの式に基づいて算出することができる。なお、上記転化率としては、攪拌槽式連続反応装置(continuous stirred tank reactor;CSTR)において、(メタ)アクリル酸(塩)/(メタ)アクリル酸エステル等のコポリマーの場合は、PSA等のホモポリマーの場合と異なる可能性があるが、転化率の好ましい範囲としては、上述のとおりである。上記単量体の詳細については後述する。このように、上記製造方法は、タンク入口での単量体転化率が90%以上である水溶性重合体の連続的製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の製造方法においては、循環ライン内における重合反応を加圧条件下でも行うことができる。循環ライン内における重合反応を加圧下で行うことにより、高温で反応を行うことができ、反応を促進させることで残存単量体が少なく、また生産性の向上も期待できる。循環ライン内における重合反応は、例えば、循環液の流量や温度等を制御することにより加圧下で行うことができる。上記循環ライン内の圧力としては、特に限定されないが、0.1MPa〜3.0MPaが好ましい。より好ましくは、0.12MPa〜1.0MPaである。なお、前記重合反応を加圧下で行うことは、循環ライン内に限定されず、タンク及び/又は循環ライン中における重合反応を加圧下で行うことも可能である。
上記循環ライン内の循環液の液温(重合温度)としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、通常25〜150℃である。重合温度は50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また重合温度は130℃以下であることが好ましく、99℃以下であることがより好ましく、更に95℃未満で重合してもよい。重合温度が25〜150℃の範囲において、分子量の上昇、不純物の増加等を生じることなく、適切な重合時間により充分な生産性を達成することができる。また、重合開始剤を用いる場合はその半減期にもよるが、通常60〜130℃が好ましい。より好ましくは、70〜120℃であり、更に好ましくは、80〜120℃である。なお、反応溶液の沸点未満の温度に制御することにより、安価な汎用の重合開始剤が使用できるため好ましい。反応釜(タンク)の温度としては、上記範囲であればよく、また、タンクの入口(循環ラインの出口)とタンクの出口(循環ラインの入口)との温度差は、後述のとおり25℃以内であることが好ましい。
上記重合温度は、重合中、経時的に温度変動(昇温又は降温)してもよく、また、重合開始時等において、上記好適な重合温度範囲を一時的に外れることがあってもよい。
上記重合温度の温度変動としては、循環ラインの入口と出口との温度差が25℃以内であることが好ましい。上記温度変動が、25℃以内である場合は、狭いMw/Mnの重合体を得ることができるうえに、重合開始剤の分解速度を一定にでき、均一な重合進行を行うことができる。より好ましくは、20℃以内であり、更に好ましくは、18℃以内である。
上記重合反応は、空気下、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下、連鎖移動剤等に由来する反応性ガス雰囲気下等、いずれでも実施が可能である。
反応物の温度を温度センサーで検出し、この検出値に応じて熱交換器の温度を調節して、反応容器(製造装置又は反応装置)内の温度が、目標とする重合温度(例えばT℃とする)にほぼ一致するように、フィードバック制御しながら重合を行うことが好ましい。制御範囲の好ましい目安はT℃±10℃である。より好ましくはT℃±7℃、更に好ましくはT℃±5℃である。
上記フィードバック制御による温度管理は、重合体溶液の製造装置が1m以上の場合、反応器表面からの放熱が減少するため、特に循環ラインによる除熱の効果が現れ易く、好適に用いることができる。より好ましくは3m以上、更に好ましくは5m以上である。
また循環液を保温する必要がある場合は、モーションレスミキサーのジャケット内を流れる熱媒(又は、冷媒)の温度コントロールや単量体供給量のコントロール、配管及びタンクの保温(保温材を巻き付ける等)や必要に応じて配管及びタンクへの熱供給等を挙げることができる。
上記循環液は、タンク出口の単量体濃度が、0.3モル/kg以下であることが好ましい。このような濃度とすることで、最終的に得られる製品の残留単量体を極めて低レベルとすることができる。より好ましくは、0.15モル/kg以下であり、更に好ましくは、0.10モル/kg以下である。下限としては、実質的に0モル/kg以下であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、必要に応じてその他の成分を供給する供給口を有するものであってもよい。その他の成分の供給口としては、その他の成分を添加することにより発揮される効果が得られる限り特に限定されず、上記製造装置に1個以上設置されるものであればよく、例えば、所望する重合体の反応効率を向上させるために、上記製造装置は、循環ラインのいずれかから反応促進剤、アルカリ剤等を投入できる投入口を有してもよい。
上記その他の成分としては、アルカリ剤、重合促進剤、連鎖移動剤、重合体が水溶性を保つ範囲で、架橋剤を添加することも可能である。
上記アルカリ剤を供給することにより、循環液のpHを適宜変更することができ、単量体を部分中和又は完全中和することができる。また、重合促進剤、連鎖移動剤を用いることにより、重合反応を制御し、得られる水溶性重合体のMw/Mnを狭くすることができる。
上記その他の成分として、アルカリ剤、重合促進剤、連鎖移動剤を用いる場合、その他の成分の供給口としては、上記循環ラインに位置することが好ましい。すなわち、上記循環ラインは、(1)アルカリ剤供給口が備えられたものである形態、(2)重合促進剤供給口が備えられたものである形態、(3)連鎖移動剤供給口が備えられたものである形態が好ましい。これらの供給口は、循環液の流路方向において、排出ラインからタンクまでの間に位置することが好ましい。循環ライン内の循環液の流路方向において、タンク、排出ライン、冷却器がこの順に配置される場合には、冷却器からタンクまでの間に位置するか、排出ラインから冷却器までの間に位置することが好ましい。
上記循環ラインがモーションレスミキサーを有する場合は、上記その他の成分の供給口は、循環液の流路方向において冷却器からモーションレスミキサーまでの間であることが好ましい。このような位置に設置することにより、モーションレスミキサーにより単量体等と早期に均一に混合することができる。図1は、アルカリ剤及び連鎖移動剤が、循環ライン内の循環液の流路方向において冷却器からタンクまでの間で供給される場合を示しており、アルカリ剤供給口、原料供給口、連鎖移動剤供給口の順に設置される場合である。また図2は、アルカリ剤及び連鎖移動剤が、循環ライン内の循環液の流路方向においてタンクから冷却器までの間で供給される場合を示しており、アルカリ剤供給口、原料供給口、連鎖移動剤供給口の順に設置される場合である。
本発明の製造装置は、排出ラインを備えるものであるが、該排出ラインは、モーションレスミキサーを有することが好ましい。このように排出ラインに少なくとも1以上のモーションレスミキサーを設けることで、残存単量体を除くための開始剤の添加や、重合体の中和等、次工程が容易に行える。
上記排出ラインは、原料供給口が備えられ、循環液が原料と混合されて取り出される機構を有することが好ましい。このように排出ラインに少なくとも1以上の原料供給口を設けることで、得られる水溶性重合体に含まれる残留単量体を極めて低レベルとすることができるという利点がある。排出ラインに冷却器又はモーションレスミキサーを設置する場合は、冷却器又はモーションレスミキサーの上流側の少なくとも1箇所に、原料供給口を設置する形態が好ましい。冷却器とモーションレスミキサーを共に設置する場合は、モーションレスミキサーの上流に冷却器を設け、冷却器とモーションレスミキサーの間に原料供給口を設ける形態が好ましく、図1及び2は、このような形態を示している。
上記排出ラインは更に、上記その他の成分を供給する供給口を有するものであってもよい。上記その他の成分として、アルカリ剤、重合促進剤、連鎖移動剤を用いる場合、上記排出ラインは、(1)アルカリ剤供給口が備えられたものである形態、(2)重合促進剤供給口が備えられたものである形態、(3)連鎖移動剤供給口が備えられたものである形態が好適である。
上記排出ラインが冷却器及び/又はモーションレスミキサーを有する場合は、上記その他の成分の供給口は、循環液の流路方向において冷却器からモーションレスミキサーまでの間であることが好ましい。その他の成分の供給口が複数ある場合は、その設置位置は適宜設定することができる。
また所望する重合体によっては、排出ラインにアルカリ剤や開始剤等の原料を混合してもよく、その際撹拌型反応器及び/又はモーションレスミキサーを設置してもよい。
このように、排出ラインには、アルカリ剤、原料、連鎖移動剤、重合開始剤及び酸化剤からなる群より選ばれる一種以上の剤が供給されてもよい。その他の成分が排出ラインに供給されてもよい。このような供給口は、排出ラインに1箇所又は2箇所以上設けてもよい。
図1及び2は、このような各種剤等を供給する剤供給口が、循環液の流路方向において冷却器からモーションレスミキサーまでの間に1つ設けられた形態を示している。
上記製造装置はまた、循環ポンプが1個以上設置されていてもよく、循環ポンプの設置位置、個数及び形式は、充分に循環液を循環できれるものであれば特に限定されない。図1及び2では、タンクと排出ラインの間に循環ポンプが設置された場合を示す。
本発明の製造方法は、高い重合濃度で反応させることができ、熟成工程を必要としないことから、短い反応(滞留)時間で、重合反応させることができる。滞留時間は、反応液の総量/単位時間あたりの排液量をいう。上記滞留時間としては、240分以下であることが好ましい。このような滞留時間であることにより、Mw/Mnの狭い重合体を高い生産性を保持し、水溶性重合体を効率よく得ることができる。また、得られる水溶性重合体の分子量分布をシャープなものとすることができ、クレイ分散性等の各種特性に優れた水溶性重合体とすることができる。より好ましくは、120分以下であり、更に好ましくは、80分以下であり、特に好ましくは、60分以下である。下限として、3分以上である。このように、本発明の製造方法は、タンク及び循環ラインでの循環液の滞留時間が、240分以下である形態は、本発明の好ましい形態の一つである。このように、滞留時間が短いため、高い生産性が実現できるが、単位時間あたりの反応熱量は大きくなる。したがって本発明では、上述した冷却器を製造装置に有することにより、反応熱を充分に除去し、反応系中の温度勾配を小さくすることができ、該製造方法の特性を最もよく発現することができる。
本発明の製造方法は、上述したように、温度変動が少ない方が好ましく、循環ラインの入口と出口との温度差が25℃以内であることが好ましい。更に、本発明の製造方法としては、小さい温度変動と短い滞留時間とを満たすものがより好ましい。上記製造方法は、タンク及び循環ラインでの循環液の滞留時間が120分以下であり、循環ラインの入口と出口との温度差が25℃以内であることが好ましい。より好ましい滞留時間及び温度差としては、滞留時間及び温度差がそれぞれ、120分以下、20℃以内であり、更に好ましくは、60分以下、20℃以内であり、特に好ましくは、30分以下、15℃以内である。
本発明においては、タンクに戻る液量を排出ラインから製造装置外部に抜き出される液量で割った循環比(タンクに戻る液量/外部に抜き出される液量)は、3以上であることが好ましい。循環比が3以上であると、濃度勾配が小さく、狭いMw/Mnの水溶性重合体を、高い生産性を保った状態で得ることができる。上述のように、短い滞留時間で本発明の作用効果が充分に発揮されるためには、冷却能力の高い冷却器を用いることが好ましいことから、循環比と冷却器の効率が重要となる。循環比としてより好ましくは5以上であり、更に好ましくは9以上であり、特に好ましくは10以上である。
上記循環ライン内へ供給する被供給物(単量体及び重合開始剤、更に必要に応じて重合促進剤、連鎖移動剤等の供給液)の合計供給量は、循環ラインの全循環液量の0.1〜50重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましい。前記範囲よりも被供給物の合計供給量が少ないと生産性が著しく低下する。前記範囲よりも被供給物の合計供給量が多いと、狭いMw/Mnの重合体が得られにくくなり、また、残留単量体が多くなるおそれがある。
本発明においては、狭いMw/Mnの水溶性重合体が得られるが、洗剤用ビルダーや分散剤、スケール防止剤等として供される場合、重量平均分子量(Mw)は、1500〜30000であることが好適であり、2000〜20000が好ましく、3500〜15000がより好ましく、4000〜12000が更に好ましい。また、上記水溶性重合体が、(メタ)アクリル酸(塩)のホモポリマーである場合には、重量平均分子量(Mw)は、1500〜30000であることが好適であり、2000〜12000であることが好ましく、2000〜10000であることがより好ましい。この分子量範囲においてMw/Mnが狭くなることにより、同程度の重合度の重合体をより多く得られることとなり、例えば分散剤では分散性の向上等、剤の性能に好ましい影響を与えることとなる。Mw/Mnは、7以下が好ましく、5以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましく、3.2以下が特に好ましく、2.7以下が最も好ましい。
上記水溶性重合体のMw/Mnは、重量平均分子量(Mw)が1500〜30000、好ましくは、2000〜20000の場合に、7以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。Mw/Mnがこのような範囲のものであると、洗剤ビルダー、スケール防止剤、無機顔料分散剤等の用途に好適に用いることができる。Mw/Mn、及び、重量平均分子量(Mw)として、Mwが1500〜30000、好ましくは、2000〜15000の場合に、Mw/Mnが6.5以下であることが好ましく、2.9以下であることがより好ましい。また、Mwが2000〜12000の場合に、Mw/Mnが5以下であることが好ましく、2.7以下であることがより好ましい。
このように、上記水溶性重合体のMw/Mnは、重量平均分子量(Mw)が1500〜30000、好ましくは、2000〜20000の場合に、7以下である水溶性重合体が好ましく、水溶性重合体のMw/Mnは、重量平均分子量(Mw)が1500〜30000、好ましくは、2000〜12000の場合に、5以下である水溶性重合体がより好ましい。
上記重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びMw/Mnは、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)測定により得ることができる。測定条件は下記のとおりである。
GPCのカラムとしては東ソー株式会社製G−3000PWXL(商品名)を用いた。
移動相としては、リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(いずれも試薬特級)に純水を加えて全量を5000gとし、その後0.45μmのメンブランフィルターで濾過した水溶液(固形分0.1質量%)を用いた。
検出器としては、株式会社日立製作所製のL−7110(商品名)を用い、検出波長は、214nmを用いた。測定はUV測定モードで行った。
ポンプは、日立製作所社製L−6000を用い、移動相の流量は0.5ml/分とし、温度は35℃とした。検量線は、創和科学社製のポリアクリル酸ナトリウム標準サンプルを用いて作成し、システムインスツルメント株式会社製解析ソフト SIC480IIデータステーションにより分子量を算出した。
更に、本発明においては、製造装置の出口温度又は重合反応器への投入口が、10〜90℃であることが好ましい。これにより、安定的に除熱することができる。この温度は製造装置における溶液流速と冷却媒体の温度を適宜設定することにより、制御することができる。
本発明の方法においては、重合溶液の循環量は一定でもよく、また重合の進行に伴って循環量を連続的又は段階的に変化させてもよい。なお、製造装置における循環液の流速は、製造装置によって適宜設定することができる。
上記製造方法は、排出ラインから次工程に移る途中段階で、酸化剤を添加することが好ましい。上記次工程とは、例えば、残存単量体を除くための開始剤の添加や、重合体の中和等であり、本発明の水溶性重合体を、洗剤、水処理剤又は分散剤等の各種用途に好適に用いることができるようにするために、上記製造方法により得られた水溶性重合体に種々の処理をする工程を言う。上記酸化剤としては、酸素、オゾン、過酸化水素、過硫酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、臭素酸塩、硝酸(塩)、次亜塩素酸塩等が好適である。酸化剤は、開始剤の種類や装置等への腐食性、得られる水溶性重合体に残存する成分により選択可能であるが、その中でも、酸素、オゾン、過酸化水素、過硫酸塩が好ましい。
本発明において、水溶性重合体とは、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸等の酸とその塩、アミドやアミン、アルコール等親水性の官能基を有する、重合性不飽和結合を有する単量体を含む重合体を意味する。塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらの塩は単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。塩とする場合における好ましい形態は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩とアンモニウム塩であり、特に好ましくはナトリウム塩とアンモニウム塩である。
本発明の水溶性重合体の製造方法に好適に用いることができる原料としては、上記製造方法により、水溶性重合体を製造できる単量体成分からなるものを好適に用いることができる。このような単量体成分としては特に制限されず、例えば、不飽和カルボン酸系単量体が好ましい。このように、上記製造方法は、原料に不飽和カルボン酸系単量体を必須として含む水溶性重合体の連続的製造方法は、本発明の好ましい形態の一つである。なお上記重合開始時に、予め目的の重合体を仕込むことにより、更に生産性を向上させることも可能である。
上記不飽和カルボン酸系単量体(以下、単量体(I)ともいう。)としては、重合性不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを有する単量体であればよく、好ましくは、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2007217654
式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、メチル基、又は−(CH)z1COOMを表し、z1は0〜3の数を表す。−(CH)z1COOMは、−COOM又は他の−(CH)z1COOMと無水物を形成していてもよい。M及びMは、同一若しくは異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基(有機アンモニウム基)を表す。
上記一般式(1)のM及びMにおける金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好適である。更に、有機アミン基はアンモニウム基であってもよい。
上記単量体(I)としては、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体等が好適であり、不飽和モノカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを1つずつ有する単量体であればよく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が好ましい。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であればよく、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、又は、それらの無水物が好ましい。
上記単量体(I)としてはまた、これらの他にも、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミド等を用いることもできる。
上記単量体(I)としては、上記例示の1種又は2種以上が好適に用いることができるが、中でも、重合性の高さや汎用性の面から、(メタ)アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)、無水マレイン酸、イタコン酸(塩)、α−ヒドロキシアクリル酸(塩)が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸、マレイン酸(塩)である。更に好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)である。なお、(メタ)アクリル酸(塩)とは、(メタ)アクリル酸、及び、これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等の部分又は完全中和した塩をいう。
上記水溶性重合体を製造できる単量体成分において、上記単量体(I)以外のその他の単量体(上記不飽和カルボン酸系単量体(単量体(I))と共重合可能な単量体。以下、単量体(II)ともいう。)を好適に用いることができる。
上記単量体(II)としては、上記単量体(I)と共重合可能な単量体であればよく、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート等のスルホン酸基を有するモノエチレン性不飽和単量体、及び、これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等の部分又は完全中和した塩;3−メチル−2−ブテン−1−オール(単に、プレノールともいう)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(単に、イソプレノールともいう)、(メタ)アリルアルコール等の水酸基を含有する不飽和炭化水素及びイソプレノールやアリルアルコールにアルキレンオキシドを付加した不飽和ポリアルキレングリコール系単量体等を挙げることができる。
上記単量体(II)としては、ラジカル重合性単量体も好適に使用することができる。ラジカル重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体であれば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸アリル等のモノ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;等の(メタ)アクリレート類、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸(塩)、α−(ヒドロシキポリアルキレンオキシメチル)アクリル酸(塩)。
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン等の窒素含有官能基を有する単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド系単量体等;イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体等が好ましい単量体として挙げられる。
上記単量体(II)としては、これらのうち1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
上記単量体(I)の配合量は、単量体全量に対して、50〜100mol%、好ましくは70〜100mol%、より好ましくは90〜100mol%の範囲である。単量体(I)の配合量が50mol%以上において、多くの場合、水溶性を広く発現させることができ、好ましい。一方、上限については、100mol%、すなわち全量(メタ)アクリル酸(塩)であってもよい。更に、単量体(I)として、アクリル酸(塩)及びメタクリル酸(塩)を併用する場合には、該(メタ)アクリル酸(塩)の配合量は、単量体全量に対して好ましくは50mol%以下、より好ましくは0.5〜40mol%、更に好ましくは1〜30mol%の範囲で用いる。
なお、単量体(I)を、後述する溶媒、好ましくは水に溶解して単量体(I)の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加してもよい。単量体(I)溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度は、30〜75質量%、好ましくは35〜70質量%、より好ましくは40〜65質量%である。単量体(I)溶液の濃度がこの範囲の場合において、良好な濃度の製品を得ることができ、輸送及び保管の点で好ましい。
上記単量体(II)の配合量は、単量体全量に対して、0〜50mol%であることが好ましい。より好ましくは、0〜30mol%であり、更に好ましくは、0〜10mol%である。該(II)の配合量は50mol%以下において、水溶性を保ちつつ、単量体(II)単体の、又は、単量体(I)と協調した物性を、重合体として発現することができる。一方、上記単量体(II)の下限値は、0mol%である。すなわち、上記単量体(I)成分による単独重合体(ホモポリマー)ないし共重合体(コポリマー)のいずれでもよい。
単量体(II)を後述する溶媒、好ましくは水に溶解して単量体(II)の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加してもよい。単量体(II)溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度としては、10〜100質量%、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%である。単量体(II)溶液の濃度が10質量%以上の場合において、良好な濃度の製品を得ることができ、輸送及び保管の点で好ましい。一方、上限については特に制限されるべきものではなく、100質量%(すなわち、全量)単量体(II)(すなわち、無溶媒)であってもよい。
上記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセリン等の多価アルコール及びその誘導体;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤等の1種類又は2種類以上を適宜選択して用いることができる。
上記溶媒として好ましくは、水、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類等の水性の溶媒である。より好ましくは、水と水以外の1種以上を用いる水系溶媒である。水以外の溶媒を用いると、沸点の調整又は溶解性の調整等をおこなうことができる。水と水以外の溶媒との混合割合は、重合体の溶解性、原料との反応性等を考慮して適宜設定すればよく、通常10質量%以下であることが好ましい。
上記溶媒の使用量は、単量体全量に対して40〜200質量%、好ましくは45〜180質量%、より好ましくは50〜150質量%の範囲である。該溶媒の使用量が40質量%未満の場合には、分子量が高くなってしまい、一方、該溶媒の使用量が200質量%を超える場合には、製造された水溶性重合体の濃度が低くなり、場合によっては溶媒除去が必要となるため、好ましくない。なお、該溶媒の一部は、必要に応じて、重合初期に製造装置に仕込むこともできる。溶媒の一部は、単独で重合中に反応系内に、例えば、その他の成分の供給口から適宜添加してもよい。また、単量体成分や開始剤やその他の添加剤等を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合中に反応系内に適当に添加してもよい。
溶媒と単量体との使用量比は、特に限定されないが、溶媒100質量部に対し、単量体全量を200質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは160質量部以下である。
本発明の水溶液系重合に用いることのできる重合開始剤としては、レドックス開始剤、アゾ系開始剤、有機過酸化物、光開始剤等が好適である。具体的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、1種類のみであっても2種類以上含んでいてもよい。中でも、レドックス開始剤、アゾ系開始剤、有機過酸化物が好ましい。具体的には、過硫酸塩、過酸化水素、有機過酸化物、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩が好ましく、過硫酸塩、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩がより好ましく、過硫酸塩、過酸化水素が更に好ましい。
上記重合開始剤としては、複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体を用いることが好ましい。このように、上記製造方法は、循環ラインの少なくとも1箇所から複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体を添加してなる水溶性重合体の連続的製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。複数の酸化数を有する金属とは、例えば、鉄の2価と3価、銅の1価と2価、コバルトの2価と3価、クロムの2価、3価及び6価等、イオンとなった際に複数の酸化数を有するものを指す。複数の酸化数について、複数存在することにより反応を促進する用をなせば金属の種類は制限されないが、反応系を複雑にしないことを考慮すると、2種類の酸化数を有する金属構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体がより好ましい。金属錯体の配位子としては、例えば、水(アコ錯体)、アンモニア(アンモン錯体)、エチレンジアミン、シアン(シアノ錯体)、ヒドロキシル基(ヒドロキシ錯体)、ハロゲン(ハロゲノ錯体)、環状エーテル、ピリジン等の環状アミン、フラーレン、ポルフィリン、シクロペンタジエン(メタロセン)等が好適である。
上記複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体としては、多価金属化合物又は単体が好ましい。具体的には、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シュウ酸バナジル、硫酸バナジル、無水バナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナダス[(NHSO・VSO・6HO]、硫酸アンモニウムバナダス[(NH)V(SO・12HO]、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、銅(II)アセチルアセテート、塩化第二銅アンモニウム、塩化銅アンモニウム、炭酸銅、塩化銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅(II)、硝酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅(II)、マレイン酸銅、リン酸銅、硫酸銅(II)、塩化第一銅、シアン化銅(I)、ヨウ化銅、酸化銅(I)、チオシアン酸銅、鉄アセチルアセナート、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸鉄アンモニウム(モール塩)、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸鉄、フマル酸鉄、マレイン酸鉄、乳酸第一鉄、硝酸第二鉄、鉄ペンタカルボニル、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄等の水溶性多価金属塩;五酸化バナジウム、酸化銅(II)、酸化第一鉄、酸化第二鉄等の多価金属酸化物;硫化鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化銅等の多価金属硫化物;銅粉末、鉄粉末等の1種又は2種以上であることが好ましい。なお、これらは水和物の形態であってもよい。より好ましくは、入手の容易さと経済性を考慮すると、硫酸塩、ハロゲン化物、水溶性の錯体であり、更に好ましくは、硫酸塩、水溶性の錯体である。
上記複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体は、上述した重合開始剤供給口から循環ラインにされることが好適であり、該重合開始剤供給口の配置、設置個数等については、上述のとおりである。
上記単量体を水溶液中で重合する際に重合反応系に用いられる重合開始剤としては、過硫酸塩及び亜硫酸塩系、過硫酸塩及び過酸化水素系、亜硫酸塩及び酸素系、多価金属イオンとこれらの開始剤の1又は2以上(例えば、鉄及び過酸化水素系、過硫酸塩系、鉄及び過硫酸塩及び亜硫酸塩系)、過酸化水素及びエリアスコルビン酸、チオ尿酸、L−アスコルビン酸とその塩等の還元性有機化合物からなる系等のように組み合わせて用いることもできる。中でも、過硫酸塩及び亜硫酸塩系、過硫酸塩及び過酸化水素系、多価金属イオンと過硫酸塩及び亜硫酸塩系が好ましい。より好ましくは、多価金属イオンと過硫酸塩及び亜硫酸塩系である。
上記多価金属イオンとしては、具体的には、後述の重金属含有化合物で挙げられる化合物、例えば、オキシ三塩化バナジウム等の水溶性多価金属塩、五酸化バナジウム等の多価金属酸化物、硫化鉄(III)等の多価金属硫化物、硫酸鉄アンモニウム(モール塩)等の多価金属を含有した錯体、銅粉末等の金属単体等が挙げられる。中でも硫酸鉄アンモニウム(モール塩)が好ましい。すなわち、上記重合開始剤としては、多価金属を含有した錯体と過硫酸塩及び亜硫酸塩系がより好ましく、硫酸鉄アンモニウム(モール塩)と過硫酸塩及び亜硫酸塩系が更に好ましい。具体的には、硫酸鉄アンモニウム(モール塩)と過硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムを組み合わせた形態であることが好ましい。
特に、過硫酸塩及び重亜硫酸塩をそれぞれ1種類以上組み合わせて用いることにより、分散能やキレート能に優れた低分子量の水溶性重合体を得ることができ、好ましい。過硫酸塩に加えて、重亜硫酸塩を開始剤系に加えることで、得られる水溶性重合体が必要以上に高分子量化することが抑制され、重合体の分子量を調整することができる。
また複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体を組み合わせた場合、反応速度を大幅に向上できるという利点がある。例えば、モール塩を併用した場合、得られる水溶性重合体の分子量を容易に規定することができ、重亜硫酸塩において脱酸素させることができ、同時に所望の分子量の水溶性重合体を得ることができる。また、水溶性重合体の重合速度を速くすることができ、例えば、水溶性重合体としてポリアクリル酸及び/又はその塩を製造する場合、30秒で90%以上のアクリル酸及び/又はその塩をポリアクリル酸及び/又はその塩に転換させることができる。
過硫酸塩としては、具体的には、過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等を挙げることができる。また、重亜硫酸塩としては、具体的には、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム及び重亜硫酸アンモニウム等を挙げることができる。更に重亜硫酸塩の代わりに、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩等を用いてもよい。
過硫酸塩及び重亜硫酸塩の添加比率は、過硫酸塩1質量部に対して、重亜硫酸塩は0.5〜5質量部、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは1.25〜3質量部の範囲内である。過硫酸塩1質量部に対して重亜硫酸塩を0.5質量部以上用いることにより、重亜硫酸塩による充分な効果が得られるとともに、水溶性重合体の重量平均分子量も充分に低く抑えることができる。一方、過硫酸塩1質量部に対して重亜硫酸塩が5質量部以下において、充分な重亜硫酸塩添加効果を得ることができ、重亜硫酸塩の過剰供給を抑えることができる。このため、過剰な重亜硫酸塩が重合反応系で分解されることによる亜硫酸ガスの発生を抑制することができる。また、得られる水溶性重合体の性能低下や低温保持時の不純物析出を有効に防止することができ、低温保持時に不純物析出を招くこともなく、好ましい。
複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体を併用する場合の添加比率としては、過硫酸塩100質量%に対し、20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超える場合、反応促進等の効果は保たれるが、経済性に劣るおそれがある。また、添加する金属塩や錯体によっては、pH等の条件によって着色し、水溶性重合体の用途によっては好ましくない結果をもたらすおそれがある。より好ましくは、0.2質量%以下であり、更に好ましくは、0.02質量%以下である。
重合開始剤である過硫酸塩及び重亜硫酸塩の添加量は、単量体1モルに対して、重合開始剤の過硫酸塩及び重亜硫酸塩の合計量が好ましくは2〜20g、より好ましくは4〜15g、更に好ましくは6〜12g、特に好ましくは6〜9gである。本発明では、このように低い添加量の範囲で過硫酸塩及び重亜硫酸塩を加えてもよく、不純物の発生を低減できる。更に、得られる水溶性重合体の性能低下や低温保持時の不純物析出を防止することができる。上記重合開始剤の過硫酸塩及び重亜硫酸塩の添加量が2〜20gの範囲内において、得られる水溶性重合体の純度低下等の悪影響を及ぼすことなく、良好な分子量の重合体を効率よく得ることができる。
複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体を併用する場合の添加量としては、また、単量体100質量%に対し、1.5質量%以下であることが好ましい。1.5質量%を超える場合、反応促進等の効果は保たれるが、経済性に劣るおそれがある。また、添加する金属塩や錯体によっては、pH等の条件によって着色し、水溶性重合体の用途によっては好ましくない結果をもたらすおそれがある。より好ましくは、0.015質量%以下であり、更に好ましくは、0.0015質量%以下である。
上記重合開始剤の1種である上記過硫酸塩は、上記水系溶媒に溶解して過硫酸塩の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加されてもよい。該過硫酸塩溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度としては、1〜35質量%、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%である。ここで、過硫酸塩溶液の濃度が1質量%未満の場合には、製品の濃度が低下してしまい、輸送及び保管が繁雑となる。一方、過硫酸塩溶液の濃度が35質量%を超える場合には、過硫酸塩が析出するおそれがある。
上記重合開始剤の1種である重亜硫酸塩は、上記水系溶媒に溶解して重亜硫酸塩の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加されてもよい。該重亜硫酸塩溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度としては、10〜40質量%、好ましくは20〜40質量%、より好ましくは30〜40質量%である。重亜硫酸塩溶液の濃度を上記範囲内とすることにより、重亜硫酸塩の析出のおそれなく、充分な濃度の製品を得ることができ、輸送及び保管上好ましい。
また、本発明においては、重合開始剤として、1種類又は2種類以上の過硫酸塩及び過酸化水素を併用して用いることも好ましい。また場合により、連鎖移動剤や多価金属イオンを用いてもよく(ここで、多価金属イオンは重合開始剤の分解促進剤として働く)、これらは両方同時に用いても良い。
以下、具体的に説明する。
過硫酸塩としては、具体的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムを挙げることができる。好ましくは過硫酸ナトリウムである。
上記過酸化水素の添加量は、単量体1molに対して2.0〜10.0gであることが好ましく、3.0〜8.0gであることがより好ましい。過酸化水素の添加量が2.0g以上において、重合平均分子量が充分に低い(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を得ることができる。また、添加量が10.0g以下において、残存する過酸化水素による悪影響もなく、充分に有効な過酸化水素の効果を得ることができる。
上記過硫酸塩の添加量は、単量体1molに対して1.0〜5.0gであることが好ましく、2.0〜4.0gであることがより好ましい。過硫酸塩の添加量が1.0g以上において、分子量が充分に低い(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を得ることができ、また、添加量が5.0g以下において、得られる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の純度低下を招くことなく充分に有効な過硫酸塩の効果を得ることができる。
上記過酸化水素及び過硫酸塩の添加比率は、重量比で過酸化水素の重量が1としたときに、過硫酸塩の重量が0.1〜5.0であることが好ましく、0.5〜3.0であることがより好ましい。過硫酸塩の重量比が0.1以上において、得られる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の重量平均分子量を充分に低く抑えることができ、また5.0以下で過硫酸塩添加効果を充分に得ることができる。
本発明は、本発明の作用効果に悪影響を及ぼさない限り、他の開始剤(連鎖移動剤を含む)を、必要に応じて適宜使用してもよい。本発明においては、開始剤系として上記過硫酸塩及び重亜硫酸塩の組み合わせが好適に用いられるが、この組み合わせに特に限定されるものではない。すなわち、本発明の作用効果が発揮される限り、上述の開始剤を用いてもよく、他の開始剤を用いてもよく、また、上述した開始剤に加えて更に他の開始剤を用いてもよい。他の開始剤(連鎖移動剤を含む)としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物、及び過酸化水素が挙げられる。
上記他の開始剤についても、上記水系溶媒に溶解して水溶液の形態で添加してもよい。該水溶液として用いる場合の濃度としては、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、通常は、上記した過硫酸塩又は重亜硫酸塩の溶液の濃度と同程度に基づき適宜決定される。
上記他の開始剤としては、連鎖移動剤を用いてもよく、連鎖移動剤を用いることにより、重合体の分子量を調整することができる。連鎖移動剤としては、特に限定されず、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素(塩)、ピロ亜硫酸(塩)、亜リン酸(塩)、次亜リン酸(塩)、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオプロピオン酸、チオプロピオン酸オクチル、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネート等のメルカプト基含有化合物、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のメルカプタン系化合物、イソプロパノール、グリセリン等の2級アルコール等を用いることができる。
上記単量体を水溶液中で重合する際に重合反応系に用いることのできる開始剤以外の他の添加剤としては、本発明の作用効果に影響を与えない範囲で適当な添加剤を適量加えることができる。例えば、重金属含有化合物、有機過酸化物、過酸化水素(H)と金属塩等が用いることが好適である。このような添加剤を用いることにより、反応を速めることができ、生産効率の観点からこれらを添加することが好ましい。上記重金属含有化合物としては、例えば、上述した複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体に記載のものを添加剤として用いることができる。
本発明において得られる水溶性重合体の重金属イオン濃度は、0.05〜10ppmであることが望ましいことから、上記重金属含有化合物を必要に応じて適量添加するのが望ましい。更に、本発明においては、SUS(ステンレス)製の容器や撹拌器等を用いた場合に、本発明の製造条件下において、上記に規定する適量の重金属イオン、特に鉄イオンが、容器等の材質であるSUSから反応溶液中に極微量溶出(供給)するため、費用対効果の面から有利である。本発明の製造方法においては、こうしたSUS製の反応容器や撹拌翼等の反応装置を利用する場合には、上記重金属含有化合物を添加する場合と同様の作用効果を奏しうる。なお、既存の鋼鉄(スチール)製や銅合金製の反応容器であっても問題はないが、重金属イオンが多く溶出されるおそれがある。そうした場合には、重金属により着色するため、こうした重金属イオンを除去する操作が必要となり、不経済である。また、グラスライニング加工等された反応容器であっても問題はなく、必要に応じて、重金属含有化合物を使用すればよい。
本発明の製造方法では、上記単量体の重合反応は、用いる開始剤によって、酸性、中性、アルカリ性のいずれの条件下でも行うことができる。例えば、過硫酸塩を用いる場合は、低いpH条件下で行うことが好ましく、過酸化水素では、高いpH条件下で行うことが好ましい。このように、上記単量体の重合反応におけるpH領域は、特に限定されないが、例えば、酸性領域下で行う場合には、重合反応系の水溶液の粘度の上昇を抑制し、低分子量の水溶性重合体を良好に製造することができる。
上記重合中の反応溶液のpHを調整したり、単量体を中和したりするためのアルカリ剤(pH調整剤又は中和剤とも言う。)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物とアンモニアが好ましく、水酸化ナトリウムとアンモニアがより好ましい。
重合中の中和度は1〜25mol%であるが、重合に用いられる単量体が上記単量体(I)のみの場合には、好ましくは2〜15mol%、より好ましくは3〜10mol%の範囲内である。重合に用いられる単量体が上記単量体(I)に加えて単量体(II)を含む場合には、該単量体(II)の一部又は全量を初期に仕込むことが可能であるが、このときの重合中の中和度は、好ましくは1〜25mol%、より好ましくは3〜10mol%の範囲内である。重合中の中和度がかかる範囲内であれば、上記単量体(I)のみの場合であっても、単量体(I)と単量体(II)とを共重合させる場合であっても、最も良好に重合ないし共重合することが可能である。また、重合反応系の水溶液の粘度が上昇することがなく、低分子量の重合体を良好に製造することができる。しかも、従来よりも高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるため、製造効率を大幅に上昇させることができる。重合中の中和度が1mol%以上において、亜硫酸ガスの発生量を良好に抑制でき、得られる重合体の分子量を充分に低く抑えることができ、好ましい。また、重合中の中和度が25mol%以下において、充分な重亜硫酸塩の連鎖移動効率を得ることができるため、得られる重合体の分子量を充分に低く抑えることができ、また、重合が進行するに伴う重合反応系の水溶液の粘度の上昇も抑えることができ、得られる重合体の分子量が必要以上に増大することなく、低分子量の重合体を得ることができる。更に、上記中和度低減による効果を充分に発揮でき、不純物を低減することができる。
ここでの中和の方法は、特に制限されない。中和剤として、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウム等のアルカリ性の単量体(I)成分を利用してもよい。また、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を用いてもよいし、これらを併用してもよい。また、中和の際の中和剤の添加形態は、固体であってもよいし、適当な溶媒、好ましくは水に溶解した水溶液であってもよい。水溶液を用いる場合の水溶液の濃度は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、更に好ましくは30〜50質量%である。水溶液の濃度が10質量%以上において、良好な濃度の製品を得ることができ、輸送及び保管上好ましい。一方、60質量%以下において、析出や粘度上昇のおそれがなく、送液や液液混合も容易であり、好ましい。
重合に際しては、上記単量体、開始剤系の過硫酸塩及び重亜硫酸塩その他の添加剤は、通常、これらを予め適当な溶媒(好ましくは反応溶媒と同種の溶媒)に溶解し、単量体溶液、重合開始剤溶液、その他の添加剤溶液とする。そして、それぞれを製造装置(反応容器)内に仕込んだ(水性の)溶媒(必要があれば所定の温度に調節したもの)に対して、所定の供給口から所定の添加時間に渡って連続的に添加しながら重合することが好ましい。溶媒の一部についても、反応系内の製造装置に予め仕込んだり、後から添加したりしてもよい。ただし、本発明の製造方法は、これらに制限されない。例えば、添加方法に関しては、連続的に添加しても、断続的に何度かに小分けして添加してもよい。単量体(II)は、一部又は全量を初期仕込みしてもよい(すなわち、重合開始時に一時に全量ないしその一部を添加したものと見なすこともできる)。また、単量体(II)の添加速度(添加量)も、添加の開始から終了まで常に一定(一定量)してもよいし、重合温度等に応じて経時的に添加速度(供給量)を変化させてもよい。また、添加成分ごとに開始時や終了時をずらせたり、添加時間を短縮させたり延長させてもよい。このように、本発明の製造方法は、本発明の作用効果を損なわない範囲で適当に変更可能である。また、溶液の形態で各成分を添加する場合には、反応系内の重合温度と同程度まで添加溶液を加温しておいてもよい。こうしておくと、重合温度を一定に保持する場合に、温度変動が少なく温度調整が容易である。
単量体(I)及び/又は(II)を共重合する場合、単量体それぞれの重合性に応じて添加時間を制御するとよい。例えば、重合性の低い単量体を用いる場合には、添加時間を短くしてもよい。また、予め単量体の一部又は全量を製造装置に仕込んでおいてもよい。
更に、重亜硫酸塩は、重合初期の分子量が最終分子量に大きく影響する。このため、初期分子量を低下させるために、重合開始より60分以内、好ましくは30分以内、より好ましくは10分以内に重亜硫酸塩ないしその溶液を5〜20質量%添加することにより調整可能であり、特に、室温から重合を開始する場合には有効である。
また、重合の際の添加成分のうち、重亜硫酸塩ないしその溶液の添加時間については、単量体(I)ないしその溶液の添加終了よりも1〜30分、好ましくは1〜20分、より好ましくは1〜15分添加終了を早めることで、これにより、重合終了後の重亜硫酸塩量を低減でき、該重亜硫酸塩による亜硫酸ガスの発生や不純物の形成を有効かつ効果的に抑制することができる。そのため重合終了後、気相部の亜硫酸ガスが液相に溶解してできる不純物を格段に低減することができる。重合終了後に重亜硫酸塩が残存する場合には、不純物を生成し重合体の性能低下や低温保持時の不純物析出等を招くことにつながる。したがって、重合の終わりには重亜硫酸塩を含む開始剤が消費され残存していないことがより望ましい。
ここで、重亜硫酸塩(溶液)の添加終了時間を、単量体(I)(溶液)の添加終了時間よりも1分未満しか早めることができない場合には、重合終了後に重亜硫酸塩が残存する場合がある。かかる場合としては、重亜硫酸塩ないしその溶液の添加終了と単量体(I)(溶液)の添加終了が同時である場合や、重亜硫酸塩(溶液)の添加終了の方が単量体(I)(溶液)の添加終了よりも遅い場合が含まれる。こうした場合には亜硫酸ガスの発生や不純物の形成を有効かつ効果的に抑制するのが困難となり、残存する開始剤が得られる重合体の熱的安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、重亜硫酸塩ないしその溶液の添加終了時間が単量体(I)(溶液)の添加終了時間よりも30分を超えて早い場合には、重合終了までに重亜硫酸塩が消費されてしまっている。このため、分子量の増大をまねくおそれがある。そのほか、重合中に重亜硫酸塩の添加速度が単量体(I)(溶液)の添加速度に比して速く、短時間で多く添加されるために、この添加期間中に不純物や亜硫酸ガスが多く発生するおそれがある。
また、重合の際の添加成分のうち、過硫酸塩(溶液)の添加終了時間は、単量体(I)(溶液)の添加終了時間よりも1〜30分、好ましくは1〜20分、より好ましくは1〜15分遅らせる。これにより、重合終了後に残存する単量体成分量を低減できる等、残存単量体に起因する不純物を格段に低減することができる。
ここで、過硫酸塩(溶液)の添加終了時間が単量体(I)(溶液)の添加終了時間よりも1分未満しか遅くすることができない場合には、重合終了後に単量体成分が残存する場合がある。かような場合としては、過硫酸塩(溶液)の添加終了と単量体(I)(溶液)の添加終了が同時である場合や、過硫酸塩(溶液)の添加終了の方が単量体(I)(溶液)の添加終了よりも早い場合が含まれる。こうした場合には、不純物の形成を有効かつ効果的に抑制するのが困難となる。一方、過硫酸塩(溶液)の添加終了時間が単量体(I)(溶液)の添加終了時間よりも30分を超えて遅い場合には、重合終了後に過硫酸塩又はその分解物が残存し、不純物を形成するおそれがある。
また上述した酸素、オゾン、過酸化水素、過硫酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、臭素酸塩、硝酸(塩)、次亜塩素酸塩等の酸化剤を使用することによっても同様の効果を奏することができる。
上記各成分の添加が終了し、重合反応系における重合反応が終了した時点での水溶液中の固形分濃度(すなわち単量体の重合固形分濃度)は、35質量%以上、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは45〜65質量%である。このように重合反応終了時の固形分濃度が35質量%以上において、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、効率よく低分子量の水溶性重合体を得ることができる。例えば、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができる。それゆえ、その製造効率を大幅に上昇させたものとすることができる。その結果、水溶性重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。
ここで、上記固形分濃度が35質量%未満の場合には、水溶性重合体の生産性を大幅に向上することができない場合がある。例えば、濃縮工程を省略することが困難となる。
重合反応系において固形分濃度を高くすると、従来の方法では、重合反応の進行に伴う反応溶液の粘度の上昇が顕著となり、得られる重合体の重量平均分子量も大幅に高くなるという問題点を生じていた。しかしながら、重合反応は酸性側(25℃でのpHが1〜6であり、中和度が1〜25mol%の範囲)でなされていると、重合反応が進行に伴う反応溶液の粘度の上昇を抑制することができる。それゆえ、重合反応を高濃度の条件下で行っても低分子量の重合体を得ることができ、重合体の製造効率を大幅に上昇させることができる。ここで、重合反応が終了した時点とは、排出ラインから反応液を取り出した時点を言う。
本発明に係る水溶性重合体の製造方法では、排出ラインにアルカリ剤供給口が設置することにより、得られる水溶性重合体の中和度(最終中和度)を必要に応じて、適当なアルカリ成分を適宜添加することによって所定の範囲に設定することができる。
上記最終中和度は、その使用用途によって異なるため特に制限されるべきものではなく、1〜100mol%の極めて広範囲に設定可能である。例えば、素肌に優しいといわれている弱酸性洗剤等に、洗剤ビルダーとして利用するような場合には、酸性のまま中和せずに使用してもよい。また、中性洗剤やアルカリ洗剤等に使用するような場合には、後処理としてアルカリ成分で中和して中和度90mol%以上に中和して使用してもよい。特に酸性の重合体として使用する場合の最終中和度は、好ましくは1〜75mol%、より好ましくは5〜70mol%である。中性ないしアルカリ性の重合体として使用する場合の最終中和度は、好ましくは75〜100mol%、より好ましくは85〜99mol%である。また、中性ないしアルカリ性の重合体として使用する場合の最終中和度が99mol%を超える場合には重合体水溶液が着色するおそれがある。
上記アルカリ成分としては、上述のアルカリ剤の1種類又は2種類以上を用いることができる。
本発明はまた、末端に硫黄原子及び/又はリン原子を有するポリアクリル酸及び/又はその塩によって構成される水溶性重合体であって、該ポリアクリル酸及び/又はその塩のピークトップ分子量は100〜50000の範囲であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、標準ポリアクリル酸ソーダを使用した検量線から得られた分子量が2500となる保持時間から7000となる保持時間に含まれる区間の面積強度が、該ポリアクリル酸及び/又はその塩の全面積強度に対して38.0%以上である水溶性重合体でもある。
上記水溶性重合体は、重合体の主鎖末端に硫黄原子及び/又はリン原子を有するポリアクリル酸及び/又はその塩によって構成されるものであればよく、その他の構成成分を有していてもよい。重合体の分子量を制御できる連鎖移動剤由来の硫黄原子及び/又はリン原子は、重合体の主鎖末端に導入されるので、主鎖末端に硫黄原子及び/又はリン原子を有することで、水溶性重合体を得る場合に、重合を速くすすめることができる。また添加量を変化させれば、容易に所望の分子量の水溶性重合体を得ることができる。
上記ポリアクリル酸及び/又はその塩は、特定の分子量範囲に含まれるポリマーの量が38.0%以上のものである。38.0%未満であると、優れたクレイ分散性が得られず、例えば、ビルダー等の種々の用途に好適に用いることができないおそれがある。より好ましくは、39.0%以上であり、更に好ましくは、39.5%以上であり、最も好ましくは、40.0%以上であり、特に好ましくは、41.0%以上である。中でも、上記分子量範囲に含まれるポリマーの量が、41.0%(面積%)以上であれば、充分なクレイ分散性を発現することができる。
上記特定の分子量範囲に含まれるポリマーの量の上限としては、100.0%である。本発明においては、上記ポリマーの量が38.0%以上であればよく、上限は特に制限されないが、生産性の観点から、80.0%以下であることが好ましい。例えば、上記ポリマー量を100.0%とする場合、含有量を増すために、範囲外の高分子を除くために透析等の操作や、範囲外の高分子を作らないようにする操作等が必要となるが、80.0%以下とすることにより、上記操作を省略又は簡略化することができ、高い生産性でポリマーを得ることができる。また、このような範囲であっても充分に高いクレイ分散性を発揮することができる。すなわち、80.0%以下とすることにより、クレイ分散性とポリマーの生産性の両方に優れたものとすることができる。上限としてより好ましくは、70.0%以下であり、更に好ましくは、65.0%以下である。
上記ポリマー含有量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる面積比であって、〔標準ポリアクリル酸ソーダを使用した検量線から得られた分子量が2500となる保持時間から7000となる保持時間に含まれる区間のポリアクリル酸及び/又はその塩の面積強度〕/〔上記ポリアクリル酸及び/又はその塩の全面積強度〕×100で得られるものである。保持時間が分子量2500未満であると、得られる水溶性重合体の分散性が低く、保持時間が分子量7000を超えると、金属原子が共存する場合、該金属原子に架橋して、不溶化し、後述する各種用途に好適に用いることができなくなるおそれがある。
上記面積比としては、例えば、図6の概念図に示すように、網線部分が、標準ポリアクリル酸ソーダを使用した検量線から得られた分子量が2500となる保持時間から7000となる保持時間に含まれる区間のポリアクリル酸及び/又はその塩の面積強度を示し、斜線部分が上記ポリアクリル酸及び/又はその塩の全面積強度を表す。
上記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件としては、上述のとおりであることが好ましい。また、標準ポリアクリル酸ソーダを使用した検量線は、例えば、ピークトップ分子量(Mp)が900〜47500等の標準ポリアクリル酸ソーダを、上記ポリアクリル酸及び/又はその塩のGPC測定条件と同じ条件で測定し、保持時間と分子量との関係を表したものである。上記ポリアクリル酸及び/又はその塩の面積強度は、当該検量線からMpが2500〜7000に相当する区間の面積を全区間の面積で割ったものである。
上記水溶性重合体としては、ポリアクリル酸及び/又はその塩によって構成されるものであればよく、本発明の作用効果を発揮できる限り特に限定されず、その他の成分が含まれていてもよい。上記その他の成分としては、開始剤・移動剤等に由来の有機物/無機物、残存単量体や残存単量体由来の付加反応物等が挙げられる。
上記ポリアクリル酸及び/又はその塩の含有割合としては、水溶性重合体100モル中、90モル以上であることが好ましい。90モル未満であると、本発明の作用効果を充分に発揮することができないおそれがある。より好ましくは、95モル以上であり、更に好ましくは、水溶性重合体がすべてポリアクリル酸及び/又はその塩で構成されることである。
このように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、標準ポリアクリル酸ソーダを使用した検量線から得られた分子量(Mp)にて2500なる保持時間から7000なる保持時間に含まれる区間の面積強度が、該ポリマー全体の面積強度に対して38.0%以上であることを特徴とする、ポリマー末端に硫黄及び/又はリンが結合したポリアクリル酸及び/又はその塩もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記ポリアクリル酸及び/又はその塩は、クレイ分散性が、0.85以上であることが好ましい。0.85未満であると、洗剤、水処理剤又は分散剤等の種々の用途に好適に用いることができないおそれがある。より好ましくは、0.88以上であり、更に好ましくは、0.90以上である。
上記ポリアクリル酸及び/又はその塩は、数平均分子量が、2000〜3000の範囲にあることが好ましい。数平均分子量が、2000未満であると、分散性が不足するおそれがあり、3000を超えると、多価金属による不溶化のおそれがある。
上記水溶性重合体は、上述した効果を奏するものである限り特に限定されないが、上述した製造方法により製造されるものであることが好ましい。すなわち、上記水溶性重合体が、タンク及びその外部を循環する配管により構成される循環ラインを有する反応装置に重合性不飽和結合を有する単量体を含む循環液を循環させて水溶性重合体を連続的に製造する工程と、循環液の一部を排出ラインから取り出す工程とを有する水溶性重合体の連続的製造方法により製造されるものである水溶性重合体は、本発明の好ましい形態の一つである。上述した製造方法により水溶性重合体を製造することにより、従来製法よりも高性能な水溶性重合体を高い生産性で安定して得られるという利点がある。
本発明は更に、水溶性重合体を含有してなる洗剤、水処理剤又は分散剤でもある。
すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、標準ポリアクリル酸ソーダを使用した検量線から得られた分子量(Mp)にて2500なる保持時間と7000なる保持時間に含まれる区間の面積強度が、該ポリマー全体の面積強度に対して38.0%以上である、ポリマー末端に硫黄及び/又はリンが結合したポリアクリル酸及び/又とその塩であり、上記クレイ分散性試験において、0.85以上の分散性を示し、かつ数平均分子量(Mn)が2000〜3000の範囲にあることを特徴とする洗剤、洗剤組成物、水処理剤及び/又は顔料分散剤もまた本発明の好ましい形態の一つである。
上記水溶性重合体は、本発明の製造方法により製造されてなる水溶性重合体でもよく、その他の製造方法により製造されてなるものでもよい。また、上記洗浄用組成物は、洗浄剤用添加剤、洗浄剤、洗剤用ビルダー(洗剤ビルダー)、洗剤を意味する。
上記洗剤用ビルダーは、洗浄中の衣類等に汚れが再付着するのを防止するための作用を発揮するものである。水溶性重合体が汚れの再付着を防止する場合、カルボキシル基により系中の多価金属イオンを除き、洗浄成分を充分に働かせる作用と共に、疎水性の末端構造を有するときには汚れとの親和性を低下させる作用、又は、親水性の末端構造を有するときには、汚れの分散作用が充分に発揮されるようにすることが好ましい。
上記洗剤用ビルダーは、界面活性剤との相溶性に優れ、得られる洗剤が高濃縮の液体洗剤となる点から、液体洗剤用ビルダーとして好適に用いることができる。界面活性剤との相溶性に優れることにより、液体洗剤に用いた場合の透明性が良好となり、濁りが原因として起こる液体洗剤の分離の問題を防ぐことができる。また、相溶性が優れることにより、高濃縮の液体洗剤とすることができ、液体洗剤の洗浄能力を向上することができる。
上記洗剤ビルダーは、再汚染防止能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗剤ビルダーとすることができる。
上記洗剤ビルダーにおける水溶性重合体以外の他の組成成分や配合比率としては、通常の洗剤ビルダーに用いることができる各種成分、及び、その配合比率に基づき、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
上記洗剤は、粉末洗剤であってもよいし、液体洗剤であってもよい。上記洗剤には、水溶性重合体以外に、通常、洗剤に用いられる添加剤を用いることができる。上記添加剤としては、例えば、界面活性剤、アルカリビルダー、キレートビルダー、ポリアクリレートやポリアクリレート/マレートコポリマー等のポリカルボキシレートやカルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等のよごれ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
上記洗剤に用いる場合、水溶性重合体は、洗剤100質量%に対して0.1〜20質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜10質量%であり、更に好ましくは0.3〜5質量%であり、特に好ましくは0.4〜4質量%である。0.1質量%未満であると、洗剤の洗浄力が不充分になるおそれがあり、20質量%を超えると、不経済になるおそれがある。
上記洗剤における水溶性重合体の配合形態は、液状、固形状等のいずれであってもよく、洗剤の販売時の形態(例えば、液状物又は固形物)に応じて決定することができる。重合後の水溶液の形態で配合してもよいし、水溶液の水分をある程度減少させて濃縮した状態で配合してもよいし、乾燥固化した状態で配合してもよい。
なお、上記洗剤は、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤、繊維助剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含む。
上記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であり、これらの界面活性剤は1種又は2種以上を使用することができる。2種以上使用する場合、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを合わせた使用量は、全界面活性剤100質量%に対して50質量%以上が好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、70質量%以上であり、特に好ましくは、80質量%以上である。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。
上記アニオン系界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。上記ノニオン系界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記カチオン系界面活性剤としては、第4アンモニウム塩等が好適である。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。
上記カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記界面活性剤の配合割合は、通常、液体洗剤100質量%に対して10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、50質量%以下であり、更に好ましくは、20質量%以上、45質量%以下であり、特に好ましくは、25質量%以上、40質量%以下である。界面活性剤の配合割合が10質量%未満であると、充分な洗浄力を発揮できなくなるおそれがあり、60質量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
上記液体洗剤用ビルダーの配合割合は、通常、液体洗剤100質量%に対して0.1〜20質量%が好ましい。より好ましくは、0.2質量%以上、15質量%以下であり、より好ましくは、0.3質量%以上、10質量%以下であり、更に好ましくは、0.4質量%以上、8質量%以下であり、特に好ましくは、0.5質量%以上、5質量%以下である。液体洗剤用ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、充分な洗剤性能を発揮できなくなるおそれがあり、20質量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
上記液体洗剤に含まれる水分量は、通常、液体洗剤100質量%に対して0.1〜75質量%が好ましい。より好ましくは、0.2質量%以上、70質量%以下であり、更に好ましくは、0.5質量%以上、65質量%以下であり、特に好ましくは、0.7質量%以上、60質量%以下であり、より特に好ましくは、1質量%以上、55質量%以下であり、最も好ましくは、1.5質量%以上、50質量%以下である。
上記液体洗剤は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましい。より好ましくは、150mg/L以下であり、更に好ましくは、120mg/L以下であり、特に好ましくは、100mg/L以下であり、最も好ましくは、50mg/L以下である。
また、本発明の水溶性重合体を液体洗剤に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下が好ましい。より好ましくは、400mg/L以下であり、更に好ましくは、300mg/L以下であり、特に好ましくは、200mg/L以下であり、最も好ましくは、100mg/L以下である。カオリン濁度は、例えば、下記の方法により測定することができる。
(カオリン濁度の測定方法)
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTurbidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
本発明の洗剤に配合することができる酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いアルカリアミラーゼ、プロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗剤100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が好適である。上記キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、クエン酸等が好適である。水溶性ポリカルボン酸系ポリマーを用いてもよい。
上記洗剤は、分散能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗剤とすることができる。
上記水処理剤は、例えば、冷却水系、ボイラー水系等の水系に添加されることになる。この場合、水溶性重合体をそのまま添加してもよく、水溶性重合体以外のその他の成分を含むものを添加してもよい。
上記水処理剤における水溶性重合体以外の他の組成成分や配合比率としては、通常の水処理剤に用いることができる各種成分、及び、その配合比率に基づき、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
上記分散剤は、水系の分散剤であればよく、例えば、顔料分散剤、セメント分散剤、炭酸カルシウムの分散剤、カオリンの分散剤等が好適である。
上記分散剤は、水溶性重合体が本来有する極めて優れた分散能を発現することができる。また、長期間保存しても性能低下や低温保持時の不純物析出なども生じることのない極めて高品質高性能で安定性に優れた分散剤とすることができる。
上記分散剤における水溶性重合体以外の他の組成成分や配合比率としては、通常の分散剤に用いることができる各種成分、及び、その配合比率に基づき、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
本発明の水溶性重合体は、このように、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤又は分散剤の用途において好適なものであるが、その他の用途においても、水溶性重合体が用いられる用途において、該共重合体が発揮する各種の特性を向上して好適に用いることができるものである。
本発明の水溶性重合体の連続的製造方法は、上述の構成よりなり、水系の分散剤(顔料分散剤を含む)、スケール防止剤(スケール抑制剤)、洗剤ビルダー及びこれを用いた洗剤、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー等において好適に用いることができる分子量分布が狭い水溶性共重合体が高効率で得られる連続的製造方法である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例1
2Lのガラス製セパラブルフラスコに反応液抜き出し用のポンプを備え、冷却器、スタティックミキサー、開度調節が可能な循環ライン、原料供給ライン及び系外抜き出しラインを有するループライン型反応器を準備した。セパラブルフラスコに水720gを予め仕込んでおき、90℃まで加熱した。その条件下で反応液抜き出し用ポンプを起動させ、フラスコ内の温度が90℃を維持するように冷却水温及び冷却水量を調整しながら、原料供給ラインからそれぞれ80重量%アクリル酸水溶液(80%AAaq.)、48重量%水酸化ナトリウム水溶液(48%NaOHaq.)、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(35%SBSaq.)、15質量%過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)水溶液(15%NaPSaq.)、5質量ppmモール塩(硫酸鉄(II)アンモニウム・6水和物)水溶液を規定量加えた。処方は表1に示すとおりであり、分子量の調整は亜硫酸水素ナトリウムの増減により行った。
なお加えたモノマー、開始剤、連鎖移動剤及び触媒水溶液(モール塩水溶液)の合計質量は1440g/hrであり、滞留時間は30分とした。また、循環比(=循環量/系外抜き出し液量)は10となるように開度を調整した。この状態で6時間反応させた後、原料供給と循環を止め、フラスコ内に残った反応液を冷却後取り出し、48質量%水酸化ナトリウムを加えpH7となるまで中和した。また、表1において、(g/mol・hr)は、単位時間あたりの単量体1モルに対する添加量(g)を示す。以下の表においても同様である。
Figure 2007217654
比較例1(滞留時間同じで冷却器なし)
冷却水を流さない、すなわち冷却器を機能させず反応温度の調整をしなかったこと以外には実施例1と同等の条件で反応を行なった。なお、処方は上記重合体1−7の場合と同等である。
比較例2(滞留時間長いが循環ライン出入りの温度差が大、冷却器あり)
2Lのガラス製セパラブルフラスコに反応液抜き出し用のポンプを備え、冷却器、スタティックミキサー、開度調節が可能な循環ライン、原料供給ライン及び系外抜き出しラインを有するループライン型反応器を準備した。セパラブルフラスコに水720gを予め仕込んでおき、90℃まで加熱した。その条件下で反応液抜き出し用ポンプを起動させ、原料供給ラインからそれぞれ80重量%アクリル酸水溶液、48重量%水酸化ナトリウム水溶液、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、15質量%過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)水溶液、5質量ppmモール塩水溶液を規定量加えた。処方は表1に示すとおりである。
なお加えたモノマー、開始剤、連鎖移動剤及び触媒水溶液の合計質量は240g/hrであり、滞留時間は180分とした。また、循環比(=循環量/系外抜き出し液量)は1となるように調整した。この状態で9時間反応させた後、原料供給と循環を止め、フラスコ内に残った反応液を冷却後取り出し、48質量%水酸化ナトリウムを加えpH7となるまで中和した。
比較例3(バッチ重合)
2Lのガラス製セパラブルフラスコに水350gを加え、90℃まで加熱した。その条件下でテフロン(登録商標)製撹拌羽により撹拌を行いつつ、フラスコ内の温度が90℃を維持するように風冷しながら、フラスコ内に80重量%アクリル酸水溶液、48重量%水酸化ナトリウム水溶液、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、15質量%過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)水溶液、5質量ppmモール塩水溶液を規定量加えた。なお添加の速度は処方に示す通り(表2)であり、分子量の調整は亜硫酸水素ナトリウムの増減により行った。なお、表2において、(g/mol)は、単量体1モルに対する添加量(g)を示す。以下の表においても同様である。
Figure 2007217654
実施例1と比較例1〜3において添加した過硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムの量と、得られた重合体1−1〜1−10及び比較重合体1〜3−9の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布(Mw/Mn)とを表3に示した。なお、ここでのサンプルには、上記の重合により得られた重合体をそのまま使用した。重量平均分子量及び数平均分子量は、上述の測定条件、装置のとおりである。
Figure 2007217654
実施例1と比較例1〜3で得られた重合体1−1〜1−10及び比較重合体1〜3−9のMw/Mnの分子量依存性について図3及び図4に、重合体1−1〜1−8及び比較重合体3−1〜3−8の重量平均分子量と吸光度の関係を図5に示す。図3、4及び5中、◆は重合体1−1〜1−10を、□は比較重合体1を、△は比較重合体2を、●は比較重合体3−1〜3−9を表す。図3(及び図4)では、同じ重量平均分子量Mw(数平均分子量Mn)において、縦軸に沿って正の方向にあるほどMw/Mnが広いことを示す。また、重量平均分子量MwをX、Mw/MnをYとし、Y=a・ln(X)+b、(ln(X)はXを底とする自然対数)なる対数近似式を与えたとき、係数aが小さいほど、重量分子量が増大した場合にもMw/Mnの増分が小さいことを示す。
図3を見ると、冷却や循環比が充分でない場合は、反応熱を抑制するために滞留時間を長くしたとても、循環ラインの入口と出口の温度差が大、すなわち循環液中での温度勾配が大であるため、Mw/Mnは著しく増大した。これに対し、本発明により規定される重合条件においては、充分に除熱ができ、反応液中での濃度勾配も減少できた結果、Mw/Mnでの優位性が認められ、更に従来のバッチ重合で得られた重合体よりもMw/Mnの狭い重合体を与えた。
図3において、Mnが比較的小である領域(Mn1500〜3500)では、例えば、液体洗剤に配合したり、カオリン等の無機物の分散剤として供することができる。また、Mnが増大する領域(Mn3500以上30000以下)では、粉体洗剤に配合したり、繊維の処理剤等に供することができる。Mnが比較的小である領域においては、系内反応液の粘度も高くなく、充分に攪拌ができるため、製法によるMw/Mnの差はそれほどみられなかった。しかしながら、Mw(Mn)が増大すると、系の粘度の増大に伴い、攪拌の不足による除熱の不足(温度勾配の増大)と濃度勾配の影響が大きくなると考えられる。すなわち、重合の状態にばらつきを生じ、特に連鎖移動剤の効率が低下したり、場合によっては系外に揮発するなどMwが望まざる形で増大し、結果的にMw/Mnが大となる。図3と図4を比べると、バッチ重合におけるMnの増分に比べ、Mwの増分がより大であることがわかる。本発明においては、反応の速さと充分な攪拌、充分な除熱が達成されたことから、Mw(Mn)が小である領域でも従来のバッチ重合と同等のMw/Mnを有する水溶性高分子をバッチ重合よりも高い生産性で得ることができ、また、Mw(Mn)が大である領域においては、その高い生産性を維持しつつ、バッチ重合に比べMw/Mnが狭い水溶性高分子を得ることができた。
<性能評価1>(クレイ分散性)
下記方法によって、重合体1−1〜1−8及び比較重合体3−1〜3−8のクレイ分散性を測定した。
グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、NaOH2.4gに純水を加え、600gとした(これをバッファーAとする)。バッファーA60gに塩化カルシウム二水和物0.3268gを加え、更に純水を加え、1000gとした(これをバッファーBとする)。測定対象の重合体(重合体1−1〜1−8及び比較重合体3−1〜3−8)の0.1重量%水溶液(固形分重量換算)4gに、バッファーBを36g加え、撹拌し分散液とした。試験管(IWAKI GLASS社製:直径18mm、高さ180mm)にクレイ(社団法人日本粉体工業技術協会製、試験用ダスト8種)0.3gを入れた後、上記の分散液を30g加え、密封する。この条件で、水の硬度は200ppmとなる。
試験管を振り、クレイを均一に分散させた。その後、試験管を暗所に20時間静置した。
20時間後、分散液の上澄みを5cc取り、UV分光器(島津製作所社製、UV−1200;1cmセル、波長380nm)で吸光度を測定した。この値が大きいほど、クレイ分散性が高いことを示す。
<性能評価2>(カルシウム捕捉能)
下記方法によって、重合体1−1〜1−8及び比較重合体3−1〜3−8のカルシウム捕捉能を測定した。
検量線用カルシウムイオン標準液として、塩化カルシウム2水和物を用いて、0.01mol/l、0.001mol/l、0.0001mol/lの水溶液を50g調製し、4.8%NaOH水溶液でpH9〜11の範囲に調整し、更に4mol/lの塩化カリウム水溶液(以下4M−KCl水溶液と略す)を1ml添加し、更にマグネチックスターラーを用いて充分に撹拌して検量線用サンプル液を作製した。また、試験用カルシウムイオン標準液として、同じく塩化カルシウム2水和物を用いて、0.001mol/lの水溶液を必要量(1サンプルにつき50g)調製した。
次いで、100ccビーカーに試験サンプル(重合体1−1〜1−8及び比較重合体3−1〜3−8)を固形分換算で10mg秤量し、上記の試験用カルシウムイオン標準液50gを添加し、マグネチックスターラーを用いて充分に撹拌した。更に、検量線用サンプルと同様に、4.8%NaOH水溶液でpH9〜11の範囲に調し、4M−KCl水溶液を1ml添加して、試験用サンプル液を作製した。
この様にして、作製した検量線用サンプル液、試験用サンプル液を平沼産業株式会社製滴定装置COMTITE−550を用いて、オリオン社製カルシウムイオン電極93−20,比較電極90−01により測定を行なった。
検量線及び試験用のサンプル液の測定値より、サンプル(重合体)が捕捉したカルシウムイオン量を計算により求め、その値を重合体固形分1gあたりの捕捉量を炭酸カルシウム換算のmg数で表し、この値をカルシウムイオン捕捉能値とした。
Figure 2007217654
一般に、高硬度の水に対しては、ポリアクリル酸(塩)はカルシウム、マグネシウムをはじめとする多価イオンにより分子間架橋し、不溶化する。そのため、高硬度条件において、分子量の増大とともに分散性は低下する。高硬度の水を使用する条件でポリアクリル酸(塩)を洗剤ビルダーや分散剤として供した場合、上記の理由により性能を低下させ、望む性能を発揮できないことが懸念される。逆に、分子量が低い場合にはカルシウム、マグネシウムをはじめとする多価イオンを捕捉したとしても系中に分散するため、例えば洗剤ビルダーとして供した場合には洗浄成分の働きを阻害することが懸念される。これらのことから、分子量が多価イオンを捕捉するに充分な大きさであり、かつ、分散性が分子量に依存しなければ好適であるといえる。
比較例3で重合したポリアクリル酸ソーダは上記の傾向を顕著に示している。すなわち、分子量の低い領域では分散性が高いがカルシウム捕捉能が低く、逆に分子量の高い領域になるとカルシウム捕捉能は高いが分散性が低下してしまっている。
これに対し実施例1で重合したポリアクリル酸ソーダは、分散性低下の度合いが小さくなっていた。図5からも実施例1は比較例3よりも分散性低下が小さいことは明らかである。
本発明の製法により得られたポリアクリル酸ソーダは、上記の結果から、高硬度において充分にカルシウム等の多価イオンを捕捉しつつ、クレイ分散性を保持させ、より好ましい性能を発現できた。
実施例2
実施例1と同様の方法により、下記表5に示すとおりの処方で、重合体2−1〜2−5を得た。
比較例4(バッチ重合)
比較例3と同様の方法により、比較重合体4を得た。なお、アルカリ酸水溶液と水酸化ナトリウム水溶液は180分、亜硫酸水素ナトリウム水溶液は175分、15質量%過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)水溶液は185分をかけ、処方(表5)に示す量を添加した。
Figure 2007217654
比較例5〜8
分子量分布の狭い比較サンプルとして、下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の標準試料であるポリアクリル酸ソーダ(表6)を使用した。表6中、PAA3k、PAA2k、PAA1k及びPAA18kをそれぞれ比較重合体5〜8として用いた。
Figure 2007217654
重合体2−1〜2−5、比較重合体4〜8について、GPCにより重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。測定条件は、上述と同様である。
表6に示す標準ポリアクリル酸ソーダを使用して、保持時間とピークトップ分子量(Mp)との関係を示す検量線を得て、この検量線から、分子量が2500となる保持時間から7000となる保持時間に含まれる区間のポリアクリル酸及び/又はその塩の面積強度(A)、及び、ポリアクリル酸及び/又はその塩の全面積強度(B)を得て、(A)の(B)に対する割合、〔(A)/(B)〕×100を算出した。結果を表7に示す。
Figure 2007217654
性能評価(クレイ分散性)
グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、NaOH2.4gに純水を加え、600gとした(これをバッファーAとする)。バッファーA60gに塩化カルシウム二水和物0.3268gを加え、更に純水を加え、1000gとした(これをバッファーBとする)。測定対象の重合体の0.02重量%水溶液(固形分重量換算)3gに、バッファーBを27g加え、攪拌し分散液とした。試験管(IWAKI GLASS社製:直径18mm、高さ180mm)にクレイ(社団法人日本粉体工業技術協会製、試験用ダスト8種)0.3gを入れた後、上記の分散液を30g加え、密封する。この条件で、水の硬度は200ppmとなる。
試験管を振り、クレイを均一に分散させた。その後、試験管を室温(約20℃)・暗所に5時間静置した。5時間後、分散液の上澄みを5cc取り、UV分光器(島津製作所、UV−1200;1cmセル、波長380nm)で吸光度を測定した。この値が大きいほど、クレイ分散性が高いことを示す。結果を表8に示す。
Figure 2007217654
実施例3
実施例1と同様の方法により、下記表9に示すとおりの処方で、重合体3を得た。なお、重合体3は、重合体1−7において、モール塩の添加を省略した以外はすべて同じ条件で重合を行ったものである。
Figure 2007217654
実施例1で得た重合体1−5〜1−7及び重合体3について、上述と同様にして重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。また、重合体に含まれる残存モノマー量を下記条件で液体クロマトグラフィー(LC)により測定した。結果を表10に示す。
(LC測定条件)
検出装置:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−4000H(検出波長220nm)
カラム:株式会社東ソー製 G−3000PWXL(35℃)
溶離液:0.1質量%リン酸水溶液
測定時間:60min/サンプル(溶出速度1.0mL/min)
サンプル濃度:固形分1質量%
仕込量より目的の単量体量を算出しておき、LCの測定結果(残存単量体量)から、残存率を計算する(質量%)。
Figure 2007217654
本発明の水溶性重合体の連続的製造方法の実施の一形態を示す概念図である。 本発明の水溶性重合体の連続的製造方法の実施の一形態を示す概念図である。 本発明の重合体及び比較重合体の重量平均分子量とMw/Mnの関係を示す図である。 本発明の重合体及び比較重合体の数平均分子量とMw/Mnの関係を示す図である。 本発明の重合体及び比較重合体の重量平均分子量と吸光度の関係を示す図である。 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる面積比を示す概念図である。
符号の説明
1 タンク
2 循環ライン
3 排出ライン
4 冷却器
5 モーションレスミキサー
6 循環ポンプ
7 アルカリ剤供給口
8 原料供給口
9 連鎖移動剤供給口
10 重合開始剤供給口
11 剤供給口
a 循環ライン入口
b 循環ライン出口

Claims (14)

  1. タンク及びその外部を循環する配管により構成される循環ラインを有する反応装置に重合性不飽和結合を有する単量体を含む循環液を循環させて水溶性重合体を連続的に製造する工程と、循環液の一部を排出ラインから取り出す工程とを有する水溶性重合体の連続的製造方法であって、
    該循環ラインは、少なくとも1箇所に冷却器が備えられたものであることを特徴とする水溶性重合体の連続的製造方法。
  2. 前記製造方法は、タンク入口での単量体転化率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  3. 前記製造方法は、タンク及び循環ラインでの循環液の滞留時間(=反応液の総量/単位時間あたりの排液量)が、240分以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  4. 前記製造方法は、タンク及び循環ラインでの循環液の滞留時間が120分以下であり、循環ラインの入口と出口との温度差が25℃以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  5. 前記循環ラインは、少なくとも1箇所に原料供給口が備えられたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  6. 前記排出ラインは、循環液の流路方向において、タンクから原料供給口までの間に位置することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに水溶性重合体の連続的製造方法。
  7. 前記循環液は、タンク出口の単量体濃度が、0.3モル/kg以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  8. 前記製造方法は、循環ラインの少なくとも1箇所から複数の酸化数を有する金属を構成成分とする金属単体、塩及び/又は錯体を添加してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  9. 前記製造方法は、排出ラインから次工程に移る途中段階で、酸化剤を添加することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  10. 前記製造方法は、原料に不飽和カルボン酸系単量体を必須として含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の水溶性重合体の連続的製造方法。
  11. 末端に硫黄原子及び/又はリン原子を有するポリアクリル酸及び/又はその塩によって構成される水溶性重合体であって、
    該ポリアクリル酸及び/又はその塩のピークトップ分子量は100〜50000の範囲であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、標準ポリアクリル酸ソーダを使用した検量線から得られた分子量が2500となる保持時間から7000となる保持時間に含まれる区間の面積強度が、該ポリアクリル酸及び/又はその塩の全面積強度に対して38.0%以上であることを特徴とする水溶性重合体。
  12. 前記ポリアクリル酸及び/又はその塩は、クレイ分散性が、0.85以上であることを特徴とする請求項11に記載の水溶性重合体。
  13. 前記ポリアクリル酸及び/又はその塩は、数平均分子量が、2000〜3000の範囲にあることを特徴とする請求項11又は12に記載の水溶性重合体。
  14. 請求項11〜13のいずれかに記載の水溶性重合体を含有してなることを特徴とする洗剤、水処理剤又は分散剤。
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