JP2007216118A - 分子篩機能を有する竹炭、その製造方法、それを利用したガス分離方法および装置 - Google Patents

分子篩機能を有する竹炭、その製造方法、それを利用したガス分離方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】細孔径が10オングストローム以下である炭素材料、およびこの炭素材料の機能を利用した、新たな技術を提供する。
【解決手段】平均細孔径が10オングストローム以下である竹炭。竹材を250℃〜400℃に加熱して、前記竹材から竹酢液を放出させる工程、および竹酢液を放出させた竹材を不活性ガス雰囲気下、400〜1000℃に加熱して、前記竹材を炭化する工程を含む竹炭の製造方法。竹炭に酸素と窒素を含む混合ガスを接触させて、前記混合ガス中の少なくとも一部の窒素を前記竹炭に吸着させ、窒素含有量が減少した酸素含有ガスを得る工程、前記竹炭に吸着した窒素を竹炭から脱着させて窒素ガスを得る工程を含む、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造方法。この窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造方法に使用する装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、分子篩機能を有する竹炭、その製造方法、それを利用したガス分離方法および装置に関する。
天然竹を原料とする竹炭は、微細な細孔を有することから、他の多孔質材料、例えば、活性炭などと同様に、例えば、脱臭剤、土壌改良剤、水質浄化剤などに用いられている。例えば、特開2000-290662号公報(特許文献1)には、リチウムイオン電池の電極や水素吸蔵材料や上質活性炭などへの用途について記載している。また、特開2002-126516号公報には、活性竹炭微粉末と光触媒微粉末とからなる長期間使用可能な環境改善材が記載されている。
ところで、通常の竹炭は、他の炭と同様に、竹材を蒸し焼きにすることで炭化して製造され、その細孔径は、上記特許文献2の図5に示されるように、約30オングストローム以上、約200オングストローム程度までの広い細孔分布を有し、かつ、細孔径が比較的大きい。それに対して、リチウムイオン電池の電極や水素吸蔵材料や上質活性炭などへの用途を目指して、特許文献1では、より細孔径の小さい竹炭の製造が試みられている。即ち、竹材を炭化する前に高圧力で圧縮し、その後に炭化することで、直径4ナノメータ以下の孔の均質なミクロポアを有する多孔質炭を得ている。
しかるに、上記特許文献1の方法で得られる竹炭の細孔径は4ナノメータ(40オングストローム)以下であるが、10オングストロームよりははるかに大きい。
ところで、細孔径が10オングストロームより小さく、例えば、5オングストローム前後であれば、従来はゼオライト等の材料でのみ可能であって、分子篩機能を有する炭素材料の提供も可能であり、ゼオライト等の材料にはない炭素材料独特の性質もあることから、新たな用途が期待できる。ゼオライトのようなナノポアを有する活性竹炭を調製することが出来れば、ゼオライトの代替材料として安価な吸着材を作り出すことができるため、その社会的貢献は大きい。
そこで本発明の目的は、細孔径が10オングストローム以下である炭素材料を提供することにある。
さらに本発明は、上記細孔径が10オングストローム以下である炭素材料の機能を利用した、新たな技術を提供することも目的とする。
本発明者らの検討の結果、竹材を所定のスケジュールで加熱、炭化することで、従来は得られなかった細孔径が10オングストローム以下である炭素材料である竹炭が得られること、さらにこの竹炭には、5オングストローム前後の平均細孔径を有するものがあり、酸素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なるものや、二酸化炭素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なるものがあることを見いだして、本発明を完成した。
上記課題を解決するための本発明は以下のとおりである。
[1]平均細孔径が10オングストローム以下である竹炭。
[2]平均細孔径が4〜6オングストロームである[1]に記載の竹炭。
[3]平均細孔径が4〜5オングストロームである[1]に記載の竹炭。
[4]酸素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なる[1]〜[3]のいずれか1項に記載の竹炭。
[5]二酸化炭素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なる[1]〜[3]のいずれかに記載の竹炭。
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の竹炭に酸素と窒素を含む混合ガスを接触させて、前記混合ガス中の少なくとも一部の窒素を前記竹炭に吸着させ、窒素含有量が減少した酸素含有ガスを得る工程、
前記竹炭に吸着した窒素を竹炭から脱着させて窒素ガスを得る工程
を含む、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造方法。
[7]酸素と窒素を含む混合ガスが空気である[6に記載の製造方法。
[8]窒素含有量が減少した酸素含有ガスは、窒素含有量が20容積% 以下である[7に記載の製造方法。
[9]酸素と窒素を含む混合ガスから、酸素と窒素とを分離して、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造に用いられる装置であって、
前記装置は、前記混合ガスに含まれる少なくとも一部の窒素を吸着するため、および吸着した窒素を脱着して窒素を得るための竹炭を含む窒素の吸脱着手段を含み、前記竹炭が[1]〜[4]のいずれかに記載の竹炭である、前記装置。
[10]酸素と窒素を含む混合ガスが空気である[9]に記載の装置。
[11]竹材を250℃〜400℃に加熱して、前記竹材から竹酢液を放出させる工程、および
竹酢液を放出させた竹材を不活性ガス雰囲気下、400〜1000℃に加熱して、前記竹材を炭化する工程
を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の竹炭の製造方法。
[12]竹材から竹酢液を放出させる工程は、竹材からの白煙の発生がなくなるまで行う[11]に記載の製造方法。
[13]250℃〜400℃の加熱温度まで、10〜100℃/hrの範囲の速度で室温から昇温する[1]1または[12]に記載の製造方法。
[14]400〜1000℃での加熱は、生成する竹炭が10オングストローム以下の平均細孔径を有するようになるまで行う[11]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15]400〜1000℃での加熱は、生成する竹炭が10オングストローム以下の平均細孔径を有する間に終了する[14]に記載の製造方法。
本発明によれば、従来は得られなかった細孔径が10オングストローム以下である炭素材料である竹炭が得られる。さらに、本発明の竹炭が有する、酸素に対する吸着能と窒素に対する吸着能の違いを利用して、空気から窒素と酸素を分離する、例えば、酸素を濃縮することもできる。
本発明の竹炭は、平均細孔径が10オングストローム以下である。平均細孔径は、好ましくは4〜6オングストロームであり、より好ましくは4〜5オングストロームの範囲である。本発明の竹炭は、酸素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なり、また、二酸化炭素に対する吸着能と窒素に対する吸着能も異なる。
本発明の竹炭は、以下の製造方法により製造できる。即ち、竹材を250℃〜400℃に加熱して、前記竹材から竹酢液を放出させる工程、および竹酢液を放出させた竹材を不活性ガス雰囲気下、400〜1000℃に加熱して、前記竹材を炭化する工程を含む方法である。本発明の製造方法は、竹材から竹酢液を放出させる工程とこの工程で、竹酢液をほぼ完全に放出した竹材をさらに加熱して炭化する工程を含むことを特徴とする。この2つの工程を経ることで、平均細孔径が10オングストローム以下、好ましくは4〜6オングストローム、より好ましくは4〜5オングストロームの範囲である竹炭を得ることができる。
原料として用いる竹材は、孟宗竹、真竹、矢竹等を挙げることができ、とくに限定されない。また、竹材は、予め適当な寸法に切断した後に、上記加熱工程に供することが適当である。
竹材から竹酢液を放出させる工程は、250℃〜400℃に加熱することで行う。250℃未満では、竹酢液の放出が完全に完了するまでに、長時間を要しすぎ、400℃を超えると、竹酢液の放出途中で竹材の炭化が始まり、破損の恐れがある。この加熱温度は、好ましくは250℃〜350℃、より好ましくは約300℃である。
竹材から竹酢液を放出させる工程は、竹材からの白煙の発生がなくなるまで行うことが適当である。竹酢液の放出が不完全な竹材を炭化する工程に供すると、竹材が炭化工程における高温で破損し、所望の平均細孔径を有する竹炭は得られない。
竹材から竹酢液を放出させる工程における250℃〜400℃の加熱温度までは、10〜100℃/hrの範囲の速度で室温から昇温することが、竹材の破損を抑制しつつ所定温度まで加熱するという観点から好ましい。
竹材を炭化する工程では、竹酢液を放出させた竹材を不活性ガス雰囲気下、400〜1000℃に加熱する。400℃未満では、事実上炭化は進まず、1000℃を超えると10オングストローム以下の細孔の構造破壊の度合いが増加するという問題がある。不活性ガス雰囲気は、熱処理中の活性炭に化学的変化を与えない雰囲気であればよく、例えば、窒素ガスや希ガス(例えば、アルゴンガス等)等の雰囲気であることができる。また、雰囲気の圧力は、特に制限はないが、常圧であることができ、必要により、減圧下、または加圧下であってもよい。
竹材を炭化する工程での400〜1000℃での加熱は、生成する竹炭が10オングストローム以下の平均細孔径を有するようになるまで行うことが好ましい。竹材を炭化する工程での400〜1000℃での加熱は、生成する竹炭が10オングストローム以下の平均細孔径を有する間に終了する。加熱時間は、加熱温度により適宜選択できるが、例えば、1〜10時間の範囲で選択できる。
炭化工程で得られた竹炭はさらに必要により、表面積を大きくすることを目的として、賦活処理に供することもできる。賦活処理は、炭酸ガス雰囲気や水蒸気雰囲気中で、500〜1000℃で、例えば、1〜10時間加熱することで行うことができる。これらのガスは通常では不活性なものであるが高温では上記竹炭と反応をして表面積を大きくすることができる。
本発明の竹炭は、上記のように、酸素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なるため、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造方法に利用できる。
この方法は、本発明の竹炭に酸素と窒素を含む混合ガスを接触させて、前記混合ガス中の少なくとも一部の窒素を前記竹炭に吸着させ、窒素含有量が減少した酸素含有ガスを得る工程、および前記竹炭に吸着した窒素を竹炭から脱着させて窒素ガスを得る工程を含む。本発明の竹炭は、酸素に対する吸着能に比べて、窒素に対する吸着能が高く、第1の工程では、前記混合ガス中の少なくとも一部の窒素が竹炭に吸着する。吸着の条件は、以下のようにすることができる。前記竹炭を詰めた充填層にコンプレッサーやベローズポンプ等の空気圧縮装置を用いて空気を加圧流入させ窒素を吸着させる。その際、窒素含有量が減少した酸素含有ガスを得る。吸着の条件によっては、窒素の全量を竹炭に吸着させ、窒素を含有しない酸素含有ガスを得ることもできる。
本発明の竹炭の酸素に対する吸着能と窒素に対する吸着能は、竹炭が有する平均細孔径により変化する。そのため、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造方法に適した平均細孔径を有する竹炭を利用することが好ましい。竹炭が有する平均細孔径は、竹炭の製造方法を調整することで適宜選択できる。
次に、前記竹炭に吸着した窒素を竹炭から脱着させて窒素ガスを得る。窒素を竹炭から脱着させる際の条件は、以下のようにすることができる。減圧装置を用いて充填層に吸着している窒素を脱着させる。
上記窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造方法で使用する酸素と窒素を含む混合ガスは、例えば、空気であることができる。空気を原料として用いることで、窒素ガスおよび窒素含有量が減少した酸素含有ガスを製造できる。窒素含有量が減少した酸素含有ガスは、条件により窒素含有量が20容積%以下、好ましくは10容積%以下である窒素含有量が減少した酸素含有ガスであるか、実質的に窒素を含有しない酸素含有ガス(酸素以外は、主に二酸化炭素)が得られる。
本発明は、酸素と窒素を含む混合ガスから、酸素と窒素とを分離して、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造に用いられる装置であって、前記装置は、前記混合ガスに含まれる少なくとも一部の窒素を吸着するため、および吸着した窒素を脱着して窒素を得るための竹炭を含む窒素の吸脱着手段を含む、前記装置を包含する。上記竹炭は、本発明の竹炭である。酸素と窒素を含む混合ガスは、例えば、空気であることができる。
上記装置は、混合ガスに含まれる少なくとも一部の窒素を吸着するため、および吸着した窒素を脱着して窒素を得るための竹炭を含む窒素の吸脱着手段を含む。この吸脱着手段は、例えば、竹炭を充填したカラムあるいは容器と、このカラムあるいは容器に混合ガスを供給するポンプ、このカラムあるいは容器の温度を調整する手段(加熱手段および/または冷却手段)、さらに、カラムあるいは容器から排出される、窒素含有量が減少した酸素含有ガスを貯蔵する容器、および窒素を貯蔵する容器を備えることができる。
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
[実験方法]
試料調製
測定に用いる孟宗竹は2004年6月採取品(埼玉県深谷市(旧花園町)産)を用いた。活性竹炭は、採取品を窒素雰囲気中(200 mL min-1)の加熱炉で焼成することにより製造した。焼成温度は400 ℃〜1000 ℃の各所定温度とした。焼成時間は2時間とした。製造した活性竹炭の粒径を20〜60 meshに揃え試料とした。
物性評価:
測定前処理として、各試料を200 ℃、6時間にて真空加熱処理した。比表面積測定にはBET法を利用し、吸着質として用いたガスは窒素、炭酸ガス、酸素である。比表面積を求める際は、窒素の吸着断面積を0.162 nm2、炭酸ガスの吸着断面積を0.195 nm2、酸素の吸着断面積を0.136 nm2として計算した(A.L.McClellan, H.F.Harnsberger, J.Colloid Interface Sci., 23, 577 (1967))。窒素の吸着温度は‐196 ℃(液体窒素)。炭酸ガスの吸着温度は−72 ℃(ドライアイス・エタノール寒剤)とした。また、両ガスともに室温(25 ℃)における吸着測定も行い、酸素ガスの吸着は室温(25 ℃)のみとした。より詳細に吸着特性を検討するために、水蒸気吸着、メタノール吸着、シクロヘキサン吸着も行った(吸着温度は全て25 ℃)。
細孔径分布測定には、モレキュラー・プローブ法を用いた。図1にモレキュラー・プローブ法の原理を示す。細孔径よりも大きい分子サイズの吸着質は、細孔内に進入することが困難であり、吸着しにくい。分子径の異なる数種類の気体を用いて吸着等温線を測定し、分子径と細孔容積から細孔径分布を算出する。ここで用いたガスは、炭酸ガス (0.33 nm)、エタン (0.40 nm)、n−ブタン (0.43 nm)、iso−ブタン (0.50 nm)の4種類である。括弧内の数値は最小分子直径である。測定温度は室温(25 ℃)とした。この方法では、窒素ガス吸着法で確認できなかった0.5 nm以下の細孔径分布を測定することが可能である。細孔容積はそれぞれのガスに対してDA法を用いて算出した(M.M.Dubinin, V.A.Astakhov, Adv. Chem. Series, 102, 69 (1970))。なお、ガス吸着測定にはBELSORP36(日本ベル社製)およびBELSORP18(日本ベル社製)を用いた。表面観察は走査型電子顕微鏡を使用した。
[結果]
a)細孔径分布
図2に、モレキュラープローブ法により求めた活性竹炭(900 ℃)の細孔径分布を示す。得られた細孔ピーク直径は0.43 nmであった。他の温度で焼成した試料においても、同様に0.43〜0.47 nm付近にピークが見られた。この結果より、ナノポアを有する活性竹炭の調製ができたといえる。
b)活性竹炭の吸着特性(1)
吸着等温線:低温の吸着温度(N2:−196 ℃、CO2:−72 ℃)にて評価した活性竹炭の吸着等温線(焼成温度600 ℃)を図3に示す。炭酸ガスの吸着等温線はI型と分類され、低圧部の急激な立ち上がりおよび高圧部でのほぼ一定なプロットが特徴である。この吸着等温線は、外部表面積が細孔内部表面積に比べて小さい吸着剤の場合で得られる。立ち上がりの部分ではナノポア内への炭酸ガス吸着が起き、平らな部分では外部表面での吸着が起きていると考えられる。この結果は、活性竹炭が有するナノポアの存在を示唆するものである。窒素ガス吸着等温線は緩やかに上昇し、かつ脱離等温線は吸着等温線と同様な傾向を示した。これらの曲線より、窒素ガスは活性竹炭に吸着しにくいことがわかった。
比表面積:表に所定の吸着温度(N2:−196 ℃、CO2:−72 ℃)にて評価した活性竹炭の特性を示した。窒素ガス吸着法により測定した活性竹炭の比表面積は、700 ℃までの焼成温度で増加する傾向が見られた。しかし、これらの値は通常用いられるヤシ殻活性炭の値よりも非常に小さい値である。
炭酸ガス吸着法により測定した活性竹炭の比表面積は、焼成温度900℃まで320 m2g-1であり、炭酸ガス吸着法および窒素ガス吸着法により求めた比表面積比(CO2/N2)の値は、最大で150という数値を示した。ヤシ殻活性炭での比表面積比は1の値をもつものが多い。焼成温度の増加に伴い細孔容積は増加し、その値は800℃で最大値1.13mL g-1を示した。平均細孔直径は、焼成温度が増加するに従い減少する傾向が見られ、その値は1000 ℃で最小値0.43 nmを示した。
c)活性竹炭の吸着特性(2)
比表面積:室温での吸着温度(25 ℃)にて評価した活性竹炭の各種ガス吸着特性を図4に示す。窒素ガス吸着法により測定した活性竹炭の比表面積は焼成温度700 ℃まで増加する傾向が見られた。また、炭酸ガス吸着法により求めた比表面積は800 ℃まで増加し、800 ℃〜1000 ℃の間ではほぼ一定の比表面積値を示した。酸素ガス吸着法では、400 ℃〜1000 ℃の間で約10 m2 g-1の値を示した。室温(25 ℃)の条件下、窒素ガスおよび酸素ガスに比べ、炭酸ガスをより多く吸着する特性を確認した。
d)炭酸ガスの吸着特性
図5に活性竹炭(焼成温度800 ℃)の吸着等温線を示す。低圧部から窒素ガスと炭酸ガスの吸着特性が異なることが分かる。それぞれのガス吸着量から算出した比表面積値をCO2/N2とすると、最大で20という値になった。各焼成温度(400〜1000 ℃)における炭酸ガスの吸着エネルギーをDA法により求めたところ、3.5〜4.6 kJ mol-1と見積もることができた。これらの値は、物理吸着現象における吸着エネルギー値であり、活性竹炭表面に炭酸ガスは物理吸着していることがわかった。
e)酸素の吸着特性
図6〜8に活性竹炭、Na-X型ゼオライト(平均細孔径:13 Å)およびヤシ殻活性炭の25 ℃の吸着温度における窒素ガスおよび酸素ガス吸着等温線を示した。Na-X型ゼオライトは空気中の酸素・窒素分離材として用いられている吸着剤である。これらの結果より、その分離特性は活性竹炭が最も優れていることがわかった。分離係数をN2/O2とした場合その値は焼成温度600℃〜800℃において2〜4を示すことを確認した。図6の窒素の吸着等温線より、相対圧1.0を超える高圧域ではさらに分離係数が大きくなることが予測でき、加圧状態にて各々のガスを吸着させた場合により高い分離能力を発揮できるものと推測される。
f)水蒸気の吸着特性
活性竹炭(600 ℃焼成)の水蒸気吸着等温線を図9に、Na-X型ゼオライトの水蒸気吸着等温線を図10に示す。活性竹炭は水蒸気吸着量が少なくNa-X型ゼオライトの吸着量の約1/2であった。Na-X型ゼオライトに見られる低圧部で急激な立上がりは、水分子とゼオライト表面との相互が強く作用することを示している。この結果は、ゼオライトに多量の水が吸着するという知見と一致している。一方、活性竹炭には低圧部における立上がりは見られず、水分子との表面相互作用が弱いことがわかった。活性竹炭はゼオライトよりも疎水性の材料であるといえる。
g)メタノールおよびシクロヘキサンの吸着特性
メタノールおよびシクロヘキサンの室温(25 ℃)における吸着特性についても検討した。図には示さないが、活性竹炭にはシクロヘキサンはほとんど吸着しなかった。これは、活性竹炭が有するナノポアの直径がシクロヘキサンの分子直径0.61 nmよりも小さいためと考えられる。活性竹炭のメタノール吸着量は、Na-Xゼオライトと同程度の吸着量であった。
本発明において、ナノポアを有する活性竹炭の調製に成功した。その活性竹炭の各種ガスの吸着特性を調べた結果、窒素ガスや水分子の吸着性能は低く、炭酸ガスや酸素の吸着性能が高いことが明らかとなった。特に、空気中の酸素・窒素の分離係数が大きく、かつ水分子が吸着しにくいため新たな酸素濃縮材料への応用が期待できる。
にモレキュラー・プローブ法の原理を示す。 モレキュラープローブ法により求めた活性竹炭(900 ℃)の細孔径分布を示す。 低温の吸着温度(N2:−196 ℃、CO2:−72 ℃)にて評価した活性竹炭の吸着等温線(焼成温度600 ℃)を示す。 室温での吸着温度(25 ℃)にて評価した活性竹炭の各種ガス吸着特性を示す。 活性竹炭(焼成温度800 ℃)の吸着等温線を示す。 活性竹炭の25 ℃の吸着温度における窒素ガスおよび酸素ガス吸着等温線を示す。 Na-X型ゼオライト(平均細孔径:13 Å)の25 ℃の吸着温度における窒素ガスおよび酸素ガス吸着等温線を示す。 ヤシ殻活性炭の25 ℃の吸着温度における窒素ガスおよび酸素ガス吸着等温線を示す。 活性竹炭(600 ℃焼成)の水蒸気吸着等温線を示す。 Na-X型ゼオライトの水蒸気吸着等温線を示す。

Claims (15)

  1. 平均細孔径が10オングストローム以下である竹炭。
  2. 平均細孔径が4〜6オングストロームである請求項1に記載の竹炭。
  3. 平均細孔径が4〜5オングストロームである請求項1に記載の竹炭。
  4. 酸素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なる請求項1〜3のいずれか1項に記載の竹炭。
  5. 二酸化炭素に対する吸着能と窒素に対する吸着能が異なる請求項1〜3のいずれか1項に記載の竹炭。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の竹炭に酸素と窒素を含む混合ガスを接触させて、前記混合ガス中の少なくとも一部の窒素を前記竹炭に吸着させ、窒素含有量が減少した酸素含有ガスを得る工程、
    前記竹炭に吸着した窒素を竹炭から脱着させて窒素ガスを得る工程
    を含む、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造方法。
  7. 酸素と窒素を含む混合ガスが空気である請求項6に記載の製造方法。
  8. 窒素含有量が減少した酸素含有ガスは、窒素含有量が20容積% 以下である請求項7に記載の製造方法。
  9. 酸素と窒素を含む混合ガスから、酸素と窒素とを分離して、窒素ガスおよび/または窒素含有量が減少した酸素含有ガスの製造に用いられる装置であって、
    前記装置は、前記混合ガスに含まれる少なくとも一部の窒素を吸着するため、および吸着した窒素を脱着して窒素を得るための竹炭を含む窒素の吸脱着手段を含み、前記竹炭が請求項1〜4のいずれか1項に記載の竹炭である、前記装置。
  10. 酸素と窒素を含む混合ガスが空気である請求項9に記載の装置。
  11. 竹材を250℃〜400℃に加熱して、前記竹材から竹酢液を放出させる工程、および
    竹酢液を放出させた竹材を不活性ガス雰囲気下、400〜1000℃に加熱して、前記竹材を炭化する工程
    を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の竹炭の製造方法。
  12. 竹材から竹酢液を放出させる工程は、竹材からの白煙の発生がなくなるまで行う請求項11に記載の製造方法。
  13. 250℃〜400℃の加熱温度まで、10〜100℃/hrの範囲の速度で室温から昇温する請求項11または12に記載の製造方法。
  14. 400〜1000℃での加熱は、生成する竹炭が10オングストローム以下の平均細孔径を有するようになるまで行う請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 400〜1000℃での加熱は、生成する竹炭が10オングストローム以下の平均細孔径を有する間に終了する請求項14に記載の製造方法。
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JP2016164107A (ja) * 2015-03-06 2016-09-08 国立大学法人金沢大学 多孔質炭素材料およびその製造方法

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JP2003082360A (ja) * 2001-09-10 2003-03-19 Morio Nakamura 姿焼竹炭およびその製造方法ならびにその製造装置
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